TS不幸少女のゼムリア大陸災難記   作:黒岩

133 / 138
大君が復活する不幸

 ──昔からずっと……俺の中には拭いきれねえ嫌悪感があった。

 

 煌都も黒月(ヘイユエ)もダチもお袋も……何もかもが霞んじまって反吐が出るような気分になる。

 俺の中にそんな想いがあるはずがねえってのに。俺の居場所はここじゃねえと俺の中の何かが言っているような……そんな気持ちの悪い考えがふとした時に頭に浮かんじまう。

 

 だからこそ俺はそんな考えを拭い去るためにもこの街やダチの連中を守って俺自身に証明してやる。俺の中のそれはただの気の迷いでしかなく──俺はここにいていいんだと。

 

 そのためにはよそ者の介入なんざ認めねえ。この街のことはこの街の連中で片付けるのが筋ってもんだ。《黒月》が動くってんならともかく、他所から来た遊撃士とか《裏解決屋》なんかに邪魔されるわけにはいかねえ。

 ……確かにやり方は面白いし、弁えてはいるみてえだがな。一緒に行動してそれも見極められた。

 

 ──ただ……それでもだ。こうなった以上、《アルマータ》の連中はこの俺の手で仕留める。

 

 昨夜殺された俺のダチ連中が浮かばれねえ。絶対に赦さねえ。俺の手で落とし前を付けさせてやる。

 

 そうして俺は連中の足取りを追って、そうして港にある倉庫にたどり着いた。《サルバッド通運》とかいう存在しねえ会社の倉庫らしいが、要はここを拠点にして《黒月》やら俺たちの追跡を躱してやがったってわけだ。ジャックとハルから聞いた情報に間違いはねえ。連中の痕跡も見つけた。

 

 俺は沸々と滾る血と怒りを、連中に向けてぶつけるために抑えながら奥まで進んだ。

 

「なんだお前は!?」

 

「どうしてここに──ぐあッ!!?」

 

 ──そうして俺はそこにいたクソッタレな半グレ共に怒りを、憎しみをぶつけた。

 

《月華》で鍛え上げた技と力を振るって連中を叩きのめす。辛うじて死んでねえが、殺さねえように加減したつもりはさらさらない。むしろダチをあんな風にした返しとして、全員まとめて煉獄送りにしてやるつもりだった。

 

「あぁ? 誰かと思えばガキ1人で乗り込んでくるなんて命知らずだねぇ」

 

「《庭園》の人間ではないようだな。誰であろうと果ててもらうだけだが」

 

 ──だが……そのクソ野郎共を率いる幹部2人の強さは俺よりも上だった。

 

 突然俺の目の前に現れた中東系の女と猟兵の匂いが隠しきれてねえ巨漢の男の2人に、俺は叩きのめされた。

 

 俺はこんなとこで死ぬわけにはいかねえし、死ぬつもりもねえ。こいつらを煉獄送りにしてやるまでは。

 だがそれでも連中の容赦のない一撃が俺の身体を吹き飛ばし……そこで俺を受け止められた。

 

「っ……てめえらは……」

 

「この状況は……そっちの女は確かヴィオーラだったか。もう1人も含めてアルマータの幹部が2人も煌都入りしてたってわけだな?」

 

「ああ、クレイユ村で会った以来だねぇ。それで正解だよ」

 

「お前たちが噂の《裏解決屋》か。俺はアレクサンドル。ヴィオーラと同じくアルマータの幹部の1人だ」

 

「なら昨日の襲撃はやっぱり……」

 

 そう……こいつらのせいで俺のダチは──

 

「ああ──本来ならあたしらがぐちゃぐちゃにしてやる予定だったんだけどねぇ。邪魔が入ったからそいつらに任せてやったのさ」

 

「俺たちは別の敵の相手で忙しかったのでな」

 

「!? 何……?」

 

「別の相手……? あ……それってもしかしてあの……!」

 

 ──と、そう思っていた。

 

 頭に血が昇っていたから忘れていたが、確かに昨晩は怪しい人物がもう1人いやがった。

 あの白い装束の女。《庭園》とか名乗ってやがった《アルマータ》とは別のよそ者。

 

「──ああ、そりゃ俺たちのことだなァ」

 

「!? ──伏せろ!」

 

 突如、上から野郎の声が聞こえた。

 アークライドのオッサンが声を荒げた直後、アルマータの幹部2人に向かって何かが振り下ろされ──

 

「──イシュタンティ」

 

「ぎゃあああああ!?」

 

 ──半グレ共も昨日見た謎の天使によって、全員引き裂かれていった。

 

「む……!」

 

「出やがったね……! 《庭園》の管理人共……!」

 

「ハハ、ようやく見つけたぜ。これでようやく鏖に出来るってもんだ」

 

 そしてその場には半グレ共の死体の山が、辺りにばら撒かれた血と肉と共に出来上がり、昨日の白い装束の女と斧槍と甲冑を身に着けた男が出てきやがる。

 アルマータの幹部2人は斧槍の一撃を飛び退いて躱しながらも警戒していやがった。

 

「何を……してやがんだ……!」

 

「あァ?」

 

 だが……俺はそんなことよりも俺は目の前で好き勝手する連中……アルマータだけじゃなく庭園とかいう連中にもムカついた。

 

「そいつらは……俺の手で……俺の手でやるんだよ……!」

 

 俺の生まれ育った煌都で好き勝手する連中。それを俺は許すことが出来ねえ。

 

「よそ者が……好き勝手してんじゃねえぞおおおおッ!!」

 

 だから俺は庭園とかいう2人に背後から斬り掛かった。

 

「ハハ、中々唆る殺気だが……今はそっちの相手はする気はなくてなァ。──おらよ!」

 

「ガッ!?」

 

 だがその俺の怒りすらも──そいつらは簡単に打ち払いやがった。

 俺は甲冑の野郎の斧槍に吹き飛ばされ、壁にぶち当たる。衝撃が肺の中の空気を押し出し、痛みが走る。

 だがこんなことで連中への仇討ちを諦めるわけにはいかねえ。俺は何とか立ち上がろうと無様に藻掻いた。

 

「そいつらは……俺が……!」

 

「──悪いがこっちは正式に《黒月》から鏖にするよう頼まれててなァ。文句があんならそっちに言ってくれや」

 

「《アルマータ》準構成員の殲滅を完了しました。次に幹部2名の暗殺に移ります。裏解決屋の方々はくれぐれも巻き添えにならぬよう、どうかお引き取りください」

 

「こ、の……クソ野郎共が……!!」

 

「アーロンさん……!」

 

「《庭園》……オランピアって言ったか。お前さんにはその所属は聞いたが、どうやらもう1人も同じみたいだな」

 

「ああ──《裏解決屋》だったか。話は聞いてるぜ。お前らも面白そうだが、今は仕事中でな。名乗りも含めて後にさせてくれや」

 

「チッ……! 鬱陶しい奴らだね……!」

 

「……撤退するぞ。管理人2人の相手は分が悪い」

 

「させません。追跡を開始します」

 

「ハハ、また逃げんのかよ! よっぽど俺らのことが怖いみてぇだなァ!」

 

 そして俺が気を失う直前まで、連中は好き勝手に殺し合いを始め、破壊した壁から外に出て倉庫からも姿を消していきやがる。

 

「行っちまいやがったか……半グレ共は……全員事切れて……(……ん? なんだ、半グレのポケットから……こいつは……何かの薬か?)」

 

 そしてアークライドのオッサンは半グレ共の死体を確認し、俺は小娘共の介抱を受けて一度気を失っちまった。

 

 ──己の弱さが恨めしいか? 

 

 ……心の内に聞こえやがる謎の声にうなされながら。

 

 ──そして目覚めた後も俺は仇討ちをするために色んな奴に当たっちまって……アークライドのオッサンに説教を食らった。

 

 あいつらの間で一体どういう陰謀が隠されてるのか。それらを暴き出すのが本当の仇討ちだってな。

 言われてみりゃその通りだった。俺は……怒りに囚われて奴らに仕返しすることしか頭になかった。

 当然今でも怒りは収まってねえ。収まってはねえが……オッサンの言う通り、ダチのためにもなんでこんなことが起こったか。そして奴らを捕らえてきっちり落とし前をつけさせる。それが筋ってもんだ。

 

 だから俺はオッサンに頭を下げて協力してもらうことにした。アルマータの連中を追うために。アークライド解決事務所の力を借りることにした。

 

 ──そうして改めて捜査を始めて……俺たちは沖にある《黒龍城砦》が怪しいと睨み、そこに向かった。

 

 だが……そこに辿り着いた時、俺の中にある声や感情が大きくなった気がした。

 

 ──連中が憎い。

 

 ──奴らに復讐しろ。

 

 ──力を以ってそれを成せ。

 

 それが誰に向けたものであるか、俺は気づかない振りをしながら奥に進んだ。廃墟と化した《黒龍城砦》を。

 

 そして……だからなんだろうな。

 最奥に辿り着き、そこで《アルマータ》じゃない《庭園》とかいう連中と鉢合わせ、この場所で起きた真実を聞かされ、小娘が集めてるゲネシスとやらが起動された時──俺の中のそれが……《大君》が復活したのは──

 

「ワッショイワッショイ……!」

 

「祭リダ……祭リダ……!」

 

「神輿ヲ運ブノダ……!」

 

 ──なぜか複数の《鬼》が神輿を担ぎながら祭りを開いている感覚を感じながら俺は理解した。俺の自我は眠ったように、夢のようにその光景だけを映し見た。他の誰でもねえ……正真正銘の《大君》として。

 

 

 

 

 

 ──イー、アル、サン、スー……っと。今は遠目に埋葬される死体の数を数えてます。《庭園の主》のアーヤ・サイードです。お悔やみ申し上げます。アーロンくんの友達は本当に御愁傷様です。でもあの世で待っていてほしい。すぐに実行犯と関係者を同じところに送るからそこでボコボコにするといいよ! 《アルマータ》に恨みのある人間は大勢いるだろうしね。

 

 そんなわけで今は9月21日。昨夜は《アルマータ》の襲撃があって今朝まで煌都も私もてんやわんやしてた。アリオッチとオランピアちゃんにも《アルマータ》に関係のある半グレもやっていいよって許可出したし、私も黒龍城砦からこっちに一旦戻って捜索中。

 ただ隠れるのは得意な私だけど探す方はそこまで得意じゃないからすぐには見つからないね。煌都って首都の次にめっっちゃ広いし。なので今は捜索はアリオッチとオランピアちゃんに任せてちょっと休憩中。昨日は徹夜だったからね。

 

「んんーっ……! ふぅ、さすがにちょっと休憩しないとね。今日は何食べよっかなぁ」

 

「──どうやらお疲れみたいだね。姉さん」

 

「あっ、メルキオル」

 

 適当な建物の屋上で街を観察してると背後からメルキオルが声をかけてきた。煌都にアルマータが現れたってことで加勢に来てくれたっぽいね。バーゼル方面で仕事はちゃんとしてるっぽいし、急にやって来ても不自然さはない。私も気配には気づいてたし、動じることもなく普通に応じる。

 

「ちょうどいいや。メルキオル、サンドイッチ買ってきてくれない?」

 

「もうお昼だもんね。──そう言うと思ったからもう買ってきてるよ。ちゃんとトマト多めでね」

 

「おお……さすがはメルキオル。ちょっと怖いけどありがとね」

 

 メルキオルから笑顔で渡されたサンドイッチの入った袋を受け取って包みをあける。トマト多めに卵にレタスにカツにオニオンソースと私の好みをしっかり分かってる内容だ。口いっぱいにかぶりつく! 

 

「美味ーい♪」

 

「それなら良かったよ。──それで《アルマータ》の殲滅は上手くいってるのかな? 昨夜は色々と事件があったみたいだけど」

 

「んー……まだ見つかってないねー。アリオッチとオランピアちゃんが今探してるとこ。多分、今日中には見つかると思うし《黒月》との契約も果たせるとは思うけど……」

 

「何か心配事でも?」

 

「心配事っていうか……いつも犠牲になるのは無関係の人なんだなーって思ってね。なんかなーって」

 

「……へぇ? 姉さんでも感傷に浸ることってあるんだ? それくらい、ずっと昔からわかってるはずなのにさ」

 

「まあそうなんだけどね。でも感傷ってほどでもないよ。可哀想だなーってのともっとやれることあったかなーってちょっと思っただけだし」

 

 サンドイッチを食べながら昨夜死んだ人たちのことを考える。《アルマータ》もそうだけど《黒月》も犠牲を許容するのは良くないよね。まあ私が言えたことじゃないんだけどさ。

 やっぱりできるだけ早めに《アルマータ》を消さないとね。無関係の人間を巻き込まれるのを防ぐためにも。うーん……何かいい方法があればいいんだけど……。

 

「……それなら《黒月》も殺しちゃえばいいんじゃないかな」

 

「? なんで?」

 

「だって姉さん、元々《黒月》のこと嫌いじゃないか。昨夜の犠牲者だって半分は《アルマータ》のせいだけどもう半分は《黒月》のせいだしね」

 

「……まーそれはそうかもだけど」

 

「でしょ? 《黒月》だろうと《アルマータ》だろうと姉さんが気に入らない人間はみんな消しちゃえばいいと思わない?」

 

「いや、それはさすがに思わないけど……」

 

「なんでさ? そうすれば姉さんの嫌いな無関係な人間が巻き込まれる事態を防げるかもしれないよ? 必要悪とかいって犠牲を許容する《黒月》なんかよりよっぽど良い秩序が築けるかもしれないじゃない。それこそ裏社会における王……いや、神にだってなれ──」

 

「──メルキオル」

 

「!」

 

 なんか愉しそうに嘯いてくるメルキオルの名前を呼ぶ。ちょっとテンションが高くなっている弟分を嗜めるために。

 

「はぁ……メルキオルが昔っから人を殺すのとか苦しめるのが大好きなのは知ってるけどさ。あんまりやりすぎないようにね?」

 

「…………めずらしいね」

 

「? めずらしいって?」

 

「ボクに注意することがさ。ボクが子供の頃……それこそ《月光木馬團》にいた時以来じゃない? 姉さんがボクのやることに釘を刺したり苦言を呈したりするのってさ」

 

「……あ、あー……言われてみれば……」

 

 私の注意を聞いて、それこそめずらしく一瞬驚いた表情を浮かべ、すぐにいつもの悪い笑みになったメルキオルはそんな風に指摘してくる。

 そしてちょっと焦る。い、言い過ぎたかな……? 最近は私の言う事聞いてくれるからつい言っちゃったけどまた昔みたいにいきなり刺されたらどうしよう……! ヤバい。汗掻きそう。なんとか取り繕わなきゃ! 

 

「ま、まあ程々にね! 無関係の人を巻き込んだりしなければ……アルマータの人とか教団の人間相手には何やってもいいからさ!」

 

「…………ふぅん……やっぱ姉さんがこだわるのは()()()()()()。……だったらボクは──」

 

「……メルキオル?」

 

 なんて? 小声すぎて聞こえない。メルキオルもお腹空いた? サンドイッチ食べる? 

 

「──もちろん、わかってるよ、アーヤ姉さん♡」

 

「そう? それならいいけど」

 

「うん。ボクは姉さんのためなら()()()()()()()()()()──()()()()()()

 

「? まあその気持ちは嬉しいけど……別に今は特に頼みたいことは……」

 

 ──と、そこまで言って思い出す。頼みたくはないけど悩みはあったと。

 

「その反応は何かあるみたいだね?」

 

「あ、いや、そんな別に……確かにちょ~~~~っとだけど困りはしたけど……で、でも大したことないからさ! メルキオルに頼むほどのことでは……」

 

「大丈夫だよ姉さん。ボクは姉さんの言い付けはちゃんと守るからさ。殺すなって言われれば殺さないし何もしないよ」

 

「そ、そう? それなら言ってもいいかな? 頼みっていうか愚痴なんだけどね」

 

「愚痴?」

 

「うん。ちょっとガウランっていう人に付き纏われちゃって……すごい私のこと狙ってるみたいなんだよねー。私のことを食べたいとか言ってて──」

 

「…………なるほどね♡ 話はわかったよ。──ちょっと殺してくるね

 

 ──私がその話をするとメルキオルがすごい殺気を発した。やっぱダメじゃん!! 私は慌ててメルキオルを止める。

 

「こらこらこら!! だからダメだって!!」

 

「止めないでよ姉さん♡ その人殺せないでしょ?」

 

「殺すのはやりすぎだって! それにその人結構強いし!」

 

「ああ、ガウランって噂の《月華》最強の人だよね。確かに姉さんの言う通り、少しは手こずりそうだけど手段を選ばきゃどうにでも──」

 

「だめ! メルキオル! ステーイ!!」

 

 ──そうしてガウランを殺しに行こうとするメルキオルを私は必死に止める羽目になった……なんとか止まってくれたけど「姉さんがそこまで言うなら今はやめておくよ」って不穏なことを言ってたので怖い。いやまあ別にガウランのことはどうとも思ってないけどかといって殺すのはやりすぎだよね……無駄に疲れてしまった。メルキオルも途中ちょっと様子がおかしかったけどやっぱ普段通りだった。いや普段通りサイコパスだから困るんだけどさ。

 

 まあでも目には目を。サイコにはサイコを。アルマータを相手にするならメルキオルも頼もしい。メルキオルから受け取った第三のゲネシスも改めて《大君》復活のためにオランピアちゃんたちに渡さないとね。戻って来るまでちょっとだけ息抜きで遊んでよっかな。テスターしてほしいって頼まれてたんだよねっと。

 私はその場で導力ゲームを起動する。じゃじゃーん! 来月発売予定の歴史シミュレーション導力ゲーム《ゼムリア史大戦》! ゼムリア大陸を舞台に各国を操作して統一を目指すのが目的の最新作! 各国の歴史とかもちゃんと考証した上で、歴史上の有名な人物とかも沢山登場させてるから歴史マニアにはウケるはず! 歴史学の教官でもあるリィンくんに協力してもらったり、実際に昔の歴史を知ってる人たち──それこそドライケルスの生まれ変わりのオズボーンさんにも色々教えてもらった! あ、そういえば《大君》もいるよ! いや、煌都では禁じられた名前みたいになってるけど歴史的には《大君》は外せないというかね。制作中に煌都を支配していた人物の名前がわからなくてスーニャちゃんとか制作スタッフが困ってたから私が教えといた。周りの人に聞いたら普通に教えてもらったからね。なんでも40年前の《大君》の名前はラグン・カーンっていうらしい。結構かっこいい名前だね! せっかくだし《大君》でプレイしよう。統率と武力がかなり高いし、知略もそこそこ。政治はちょっとだけ低めで個人の能力は高いけど配下の忠誠度がめちゃくちゃ低いので難易度は高いと思う。なのでまずはしっかり煌都を支配しないとね! 第三のゲネシスは一旦脇に置いておいてと、さーて、始めるぞー! 領民の忠誠度低いし、まずはお祭りでも開いて忠誠度を上げようかな。大君復活祭だー! わっしょーい! 

 

 そうして導力ゲームをプレイすることしばらく──

 

『──ボス。連中のアジトを見つけたぜ』

 

『これより奇襲を開始します。逃走の可能性を鑑みて即座に実行しますがよろしいですか?』

 

「ああ、もう見つかったんだ。それじゃいいよ。やっちゃってー。私もすぐに行くからさ」

 

 Xiphaに連絡が来た。アリオッチとオランピアちゃんが《アルマータ》が潜伏してるアジトを発見したみたい。なので私も遊びを切り上げて指定された地点へ向かう。

 とはいえ私が辿り着く頃には全部終わってそうだけどね。幹部は逃げちゃうかもだけどそれはまた後からでもいいし。一旦は関係者を一掃していくところから始めないと。アーロンくんの友達の弔い合戦だ! 私が行くまでの間はアリオッチとオランピアちゃん。それと──

 

「マキナはちゃんと隠れて見張っててね」

 

『了解です、マスター。ステルスモードのまま先んじて現場の映像を送ります』

 

 ──というわけで私の頼れるお供のマキナに現場を生中継してもらって私のXiphaに送ってもらうことにした。これで私が行くまでの間、倉庫内でどんなことが起きたか見て知ることができる。ヴァンたちも来るだろうからね。どういう状況か理解してから突入しないとうっかり鉢合わせたりしたら今はめんどうくさいし、私も集中したいから監視ドローン的な感じでマキナを運用することにした。準備はバッチリだ! さて、アルマータの幹部にヴァンくんたちはどうなってるかなー。どれどれ……? あー……確かにいるね。ヴィオーラとアレクサンドルか。しかもアーロンくんが先んじて挑んで一蹴されちゃってる。可哀想。さすがに勝てないよね。

 

 まあでも大丈夫! 私たちがきっちりやっておくからね! 行け! アリオッチ! オランピアちゃん! よし、奇襲ナイスー! そのまま胴体を引き裂いちゃえ! もしくは真っ二つ! なんかヴァンたちも来てるけどそっちは無視していいよー! すごい悪者っぽいのは気になるけど立場としては《黒月》から《アルマータ》の暗殺を頼まれたただの雇われものだからギリ悪者じゃないよね? うん、大丈夫。ってことでやっちゃえー! 

 

 ……と、しばらく移動しながら応援してたけどヴィオーラとアレクサンドルはまんまと逃げおおせてた。途中なんか謎の薬飲んで身体能力上げてたけどもしかしなくても私由来の薬かな? なんか不思議な消え方してたけどなんなんだろう。気配どころか一瞬、存在まで消えたような消え方だったけど。

 

 ……ま、いいや。一旦は逃がしちゃったけどこれはこれで予定通りではあるんだよね。多分まだ煌都からは出てないだろうし、予定通り気は進まないけど《大君》を復活させよう。はぁ……それじゃ《黒龍城砦》に移動して、と。私は隠れつつ第三のゲネシスはオランピアちゃんたちに渡してと。心配だからもう少し見てようかな。《アルマータ》がゲネシスを集めてるならまだこっちに来る可能性は一応あるしね。

 

 ──そうして待つことしばらく……《黒龍城砦》に複数のお客さんが来た。

 

 最初になんかZ1レーサーのマクシム・ルーガンとその取り巻きっぽい女の人が2人ほど来てたけどそっちは無視しつつ、その次にヴァンたちアークライド解決事務所。アーロンくんにエレインちゃんも来てるねー。予定通りではあるんだけどなんかなーって感じ。だって立場的に──「姉さん。ちょっと彼らに挨拶してくるね」──ああ、うん。いってらっしゃいメルキオル……って、ん? 彼らって誰? 挨拶? もしかして……ヴァンたちにじゃないよね? 《アルマータ》だよね? アークライド解決事務所にあえて絡む意味はないし──

 

「へえ、なかなか鋭いじゃない♪ 気配は消してたつもりなんだけどなぁ」

 

「! あの人は……!」

 

「クレイユ村で現れた……」

 

「……ああ。あの時は流離人と名乗っちゃいたが……この場にいるってことはお前も《アルマータ》を追いかけてる連中……いや、あるいはあの《庭園》の仲間か?」

 

「っ……! ヴァン、それは……」

 

「ウフフ、勘がいいじゃない。まあ、もう隠す意味もあまりないし、お初の人もいるし改めて名乗ろうかな? ──《棘の園(ソーンガーデン)》の管理人、《(ソーン)》のメルキオル。見ての通り、薄幸の美青年さ」

 

 ──って、こらああああああああ!!? 何普通に敵っぽくヴァンたちの前に現れてるの!? いやまあ敵として立ち塞がるつもりじゃないかもしれないけどさ! 名乗りのタイミングとか色んな意味で敵っぽい!! ダメダメ! カットカット! リテイクして! これじゃ後から私が実は《庭園の主》だってバレちゃった時にあんなサイコを従えてるやばい人みたいになっちゃうじゃん! せめて敵対はやめてね! バトルとかなしだよ!? 戦う意味もないんだから──

 

「……なら目的は同じってことか」

 

「まあそういうことになるね。だからあえて敵対する必要もないし、なんだったら一緒に同行して協力してあげてもいいんだけど──」

 

「ああ、それは必要ねえよ。それに、お前さんの方も全くそういう気はなさそうだしな」

 

「え……?」

 

「まさか……」

 

 ──まさかじゃないよ? 戦わないよ? ……戦わないよね? ただ手伝わないだけだよね? 信じてるよメルキオル。

 

「そうなんだよ。本来なら見逃して上げても良かったんだけどさ。邪魔者も多いのは困るし、個人的にも欲求不満だからさ。この舞台に便乗して少しは楽しませてもらおうかな♡」

 

 ──楽しませてもらおうかな♡ じゃないっ!! 楽しむなー!! 戦うなー!! ほら、なんかヴァンたちも不可解に感じながらも応戦する流れになっちゃってるじゃん!! もうめっちゃ敵じゃん!! やめてよね!! いやこの後アーロンくん使って《大君》復活させなきゃいけないからどっちみち敵みたいなもんなんだけどさ!! 

 

 私は気配を消しながら物陰からそれを見て頭を抱える。メルキオルを信じた私が馬鹿だった……こういう時に我慢出来る子じゃないのは知ってたのに……ぐぬぬ……。

 

 ……でも一応本気は出してないっぽいし、ヴァンたちを殺す気もないっぽいから最悪ではないかな……ヴァンたちも勝てないだろうけど……お、エレインちゃんが本気出してる! 強い! メルキオルと拮抗してるよ! まだメルキオルは完全に本気ってわけじゃないけどかなり実力出してるし良い勝負だ! よーし、頑張れエレインちゃん! その調子でメルキオルを満足させてあげて! 満足したら消えるはずだから! 私はヴァンたちの方追いかけるけど応援してるよ! 

 

 なので私はヴァンたちを陰から尾行しつつ最奥へ。そこに辿り着く頃にはすっかり日も落ちてた。なのでより隠れやすいね! これなら安心して見てられる。そして……最奥にはゲネシスを台座に置いて待ち構えてるアリオッチとオランピアちゃんがいてヴァンたちを出迎えた。

 

「よう、さっき振りじゃねェか。歓迎するぜ」

 

「アークライド解決事務所。それに《羅州の小覇王》でしたか。この場が怪しいと睨むとは、こちらの想定以上に鋭いようですね」

 

「お前らか……」

 

「《アルマータ》の人は……いないみたいですね」

 

「ああ。俺たちもここでこいつを餌にすりゃあ無理にでも奪いに来るんじゃねぇかと待ち構えてたんだけどな。結局来たのはお前らだけってことだ」

 

「ハッ……どうやら色々と知ってそうな口ぶりじゃねぇか……」

 

「肯定します。そちらよりは情報を持っているでしょう」

 

「なら聞かせてください。《アルマータ》も含めて……その装置を使って何をしようとしているんですか?」

 

「そこまで詳しくは知らねぇな。何かの実験をしようとしてるみてぇだが」

 

「実験だと……?」

 

「私たちは契約に基づいて行動しています。なので詳細を話すことはできませんが……そちらの方には関係者として、ある程度は説明する必要があります」

 

「あ……?」

 

「アーロンさんが、関係者……?」

 

 おお……なんかそれっぽい会話してる……緊張してきた。というのも細かい指示出したわけじゃないからどういう流れでやるのかわかんなくてドキドキするんだよね。ゲネシス使って《大君》復活させてねって言っただけなので。戦わないといいなとは思うけどこの流れ的に──

 

「ま、そういうわけだ。こっちも仕事なんでなァ。ちょっくら付き合ってもらうぜ」

 

「っ……」

 

「──何を狙ってんのか知らねえが……アルマータもそうだが煌都で好き勝手しやがって……」

 

「! この息吹は……」

 

 あーやっぱそういう流れになっちゃうよねー。アーロンくんを刺激しないといけないっぽいし戦うのはしょうがないか。まあ必要以上に傷つけなければ……でもアーロンくんが可哀想なのでまた今度埋め合わせはしてあげよう。ヴァンたちはサポート頑張れー! 

 

「いいぜ……! アルマータと決着を付ける前にまずお前らからだ! 俺たちが勝ったら洗いざらい話してもらうから覚悟しやがれ!」

 

「ええ、構いません。戦いが終われば可能な範囲で知ってることをお話しましょう」

 

「ハハ、良い気迫じゃねえか。なら互いに前菜として殺し合いを楽しむとしようぜ!」

 

「シャード展開! アニエス! フェリ! 前衛の俺とアーロンをサポートしろ!」

 

「はい!」

 

「了解!」

 

 そして戦いが始まってしまうのです、と。大丈夫かなぁ……メルキオルと同じでアリオッチとオランピアちゃんも手加減して戦ってるとはいえアニエスちゃんとかフェリちゃんは心配だよね。ヴァンとアーロンくんは耐えれそうかな? マジでヴァンはちゃんとアニエスちゃん守ってね。一応注意はしてるけど実戦は生き物。何かの拍子で腕とか足がいっちゃったり死んじゃったりとかもありえるんだから。

 

 ってわけでしばらく戦闘を見てたけど……うん、なんとかなったかな? 無事何も起きずにアーロンくんの中の感情だけ刺激できたっぽい。アリオッチとオランピアちゃんが《大君》についての説明も行ってくれてるし、後は第三のゲネシスをほいっと渡すだけで《大君》が復活する。

 

「オオオオオオオッ!!!」

 

「く、昏き息吹が……」

 

「場の記憶を喰らって……」

 

「アーロン……さん……?」

 

 うわっ、やっぱりヤバそう。アーロンくんが雄叫びをあげてる。もうこのまま《大君》に変身する気だ。うろ覚えだけどちょっと人外っぽい見た目だったよね確か。まあそれもヴァンたちに倒してもらうんだけどさ。それを見届けたら私はアルマータの方に行こうと思う。なのでヴァンたち頑張れー! 《大君》と言っても本人じゃないし、グレンデルを使えば簡単に──

 

「──ハハハハハハハ!!」

 

 ……………………ん? 

 

 ──豪快かつ何者も憚らない笑い声が黒龍城砦に響き渡って、私は頭に疑問符を浮かべる。

 それを発するのは魔人でもなくアーロンくん──でもない。それに似た見た目の覇気を発する偉丈夫だった。それを見たヴァンたちはその覇気に押されながらも疑問を投げかける。

 

「っ……お前は……」

 

「ほう! この(オレ)の名を問うか! 客人共よ! ならばしかと聞け!!」

 

 そしてアーロンくんだった筈のその男は第三のゲネシスが発する光に照らされながらその名を答えた。本来なら復活することはありえないはずの、その名前を。

 

「吾こそは《大君》! ラグン・カーン! 40年の時を経て復活した煌都を、いやこの世を支配する者よ!」

 

 …………は? ほ、本物? マジで? 

 

「へえ……? こりゃあ面白ェな。まさかこうなっちまうとは」

 

「想定外の事象ですね」

 

「──ああ、お前達がこの己を復活させた《庭園》なる者達だな」

 

「俺たちのことも知ってんのか?」

 

「その装置に宿っていた記憶でな。何、大したことは知らん。吾を復活させるに至った原因はわかっても原理までは皆目見当もつかん。どうやら吾を《アルマータ》とやらにぶつけるつもりであることは理解したがな」

 

「本当に……本物なのか……?」

 

「裏解決屋だったか。フン、貴様らも災難だったな。《黒月》の小僧共に嵌められてこの地に誘き寄せられるとは。──だが安心するといい。この肉体の持ち主である小僧の恨みも含め、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「何だと……?」

 

「仕返し……?」

 

「貴方は一体……何をする気なんですか?」

 

「ハハッ! 知れたことよ! 己はこの煌都を再び支配する! 《黒月》や《庭園》の思惑などに乗るつもりもない! 全てを呑み込み蹂躙し、吾の手中に収めてやろう!!」

 

 そう言って《大君》は覇気を発しながら、それとは別の霊的な力を発揮した。

 周囲から影のように現れるのは私の記憶にもある魔人《大君》──鬼としてのその姿だった。

 

「っ……そいつは……!」

 

「これは己の影。この地に染み付いていた吾の憎しみや怒りが具現化した《(グイ)》だ」

 

「なるほど。私達が本来復活させる筈の姿、ということですか」

 

「その通りだ。まあ多少、影響を受けたせいか()()()()()()()()()()()()()()

 

「え?」

 

 ──え? と私もアニエスちゃんと同じく声には出さずにその《鬼》たちに目を向けた。すると鬼たちは何やら鉢巻やら法被やらを身につけていて。

 

「ワッショイワッショイ……!」

 

「祭リダ……祭リダ……!」

 

「神輿ヲ運ブノダ……!」

 

「って、何をやっているんですか!?」

 

「──ふむ……敢えて言うなら大君復活祭か。面白い……! この吾の復活を讃えるのであればこの珍妙な現象も歓迎してやろう!」

 

 ──なんか祭りを開こうとしてた。えぇ……何してんの? どういうこと? 《大君》ってこんな愉快な人だったの? 意外だなぁ……。

 

「だがこの存在感……やってることは馬鹿っぽいがかなり厄介だな……!」

 

「案ずるな、裏解決屋。貴様たちの相手はこの己、自らしてやろう。その秘めた力……準備運動にちょうどよさそうだ」

 

「……!」

 

「ハハ、つーことは俺たちが鬼の相手かよ!」

 

「……仕方ありません。せめて今後の備えとして《鬼》の力を確かめるとしましょう」

 

「あの《庭園》の人たちにまで……!」

 

「さあ、これで邪魔者は消えた! 力を出すがいい!! 貴様の鬼の力……! この吾がどれほどの物か見定めてやろう!!」

 

「ぐあっ!?」

 

 そして《鬼》たちをアリオッチやオランピアちゃんにぶつけ、本人はヴァンたちに向かって拳で強く当たって吹き飛ばした。つまり超ピンチ。なので当然、ヴァンたちの前にはメアちゃんが時を止めた上で現れて──あ、今度は私も動ける! 止まった時の世界も慣れたかもしんない。ラッキー。……って、そんな場合じゃない。今の状況がやばい。どれだけやばいかっていうと……。

 

「シャード解放! 悪夢を纏え(テイク・ザ・グレンデル)

 

「ほう……! それが貴様の持つ鬼の力か!! 面白い!! ならば尋常に死合うとしようではないか!!」

 

「ヲヲヲヲヲヲヲッッ!!!」

 

 ……………………え~っと……そんなわけで本物の《大君》ラグン・カーンが復活して、その《大君》はグレンデル化したヴァンと戦って……管理人は複数の《鬼》の相手をしている……と、そんな状況です。

 

 私はそのカオス極まりない状況を俯瞰して事態を把握する。なんだけど……いや、なんでこうなった? 本当にわからない。普通にゲネシス起動しただけのはずだよね? どういうこと? 詳細がわからなすぎる……と、とにかくオーダーはこなしたし、後はアルマータを殲滅するだけなんだけど……さすがにヤバい気がするよね? 私はヤバいと思う。私の知ってる状況じゃないし、これは離れたらダメだよね? というかアーロンくん大丈夫なのかな? た、助けたほうがいいかな? でも私がこのまま出ていくのはちょっと……判断が難しい! なんか見てたらなんとかなりそう感もあるけど! 変装していくにしても普通の変装だとなんかヴァン相手だとバレそうで……ぐぬぬ、どうしたら……。

 

(マスター。少しよろしいですか?)

 

(なにマキナ!? 今それどころじゃないから手短にお願い!)

 

(では手短に。──マスターが私に預けた()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。如何しますか?)

 

(如何も何も何でもいいからこの状況を何とかしてー!)

 

(了解しました。──()()()()()()悪夢に染まります(ブート・ザ・グレンデル)

 

 ……………………え? 

 

 私が何も考えずに状況にあたふたしていると、マキナから聞いたことのある言葉が紡がれた。

 そして空間に隠れていたマキナの持っていた第八のゲネシスが紅黎く輝いて……。

 

「ヲヲヲヲヲヲヲンッッ──!!」

 

「!?」

 

「何だ……!?」

 

 ──周囲を侵蝕する紅いシャードの罅と共に……私の目の前には罪を喰らう獣が顕現していた

 

 

 

 

 

 ──復活した《大君》ラグン・カーンとの戦闘が激化し、グレンデルと化してもなお苦戦を強いられている最中に、俺はそれを見た。

 このままじゃマズい。《大君》の強さは隙がなく、際限なく生み出される《鬼》の脅威もあって崩すことができないでいた。

 

「ハハハハハッ!! どうした!? その程度か《裏解決屋》!! であればそろそろ塵にしてしまうぞ!!」

 

「ヴァンさん……っ」

 

「……っ(体力も消耗してる……次の一撃で決めるしかねぇ……! 何とか隙を作れれば……何か……何かねえのか……!?)」

 

 圧倒的な力を誇る《大君》を前に俺は最後の攻勢に出ることを決めながら、奴に一撃を食らわせる糸口を見つけようと思考を回した。

 だが……決定的なものは何も見つからない。迫りくる《大君》に俺は雄叫びを上げて迎撃しようとして──

 

「ヲヲヲヲヲヲヲンッッ──!!」

 

「!?」

 

「何だ……!?」

 

 ──別の獣のような雄叫びを聞いた。

 周囲が紅く染まる。《大君》が復活した時に生じた時以上のシャードが溢れている。それを認識した1秒後には。

 

「何っ!? ──ぐあっ!?」

 

 ──紅い閃光が、《大君》ラグン・カーンを貫いた。

 

 それは一瞬の出来事。突如として現れたとてつもない力の奔流が、《大君》を正確に狙い撃つ。

 

「一体何が……!?」

 

「ヴァンさん! これは……!」

 

「ッ──オオオオオオ!!」

 

 その謎の事象に困惑しながらも、ずっと待っていた決定的な隙に俺は飛び込む。

 グレンデルの力を全開に発揮し、俺は《大君》ラグン・カーンに飛び蹴りをお見舞いした。

 

「ガアアアアア!!?」

 

「ハァ……ハァ……これで何とか抑え込んだな……」

 

 ──そうして俺は《大君》を制することができた。グレンデル化を解除し、俺は呼吸を必死に整える。

 

「ッ……オオオオオ!!」

 

「そ、そんな……」

 

「吾、は……《大君》……ラグン・カーン……この世を、統べるもの……! この煌都を……《黒月》を…………する者を……戦い……導き……支配スル者……」

 

 だがそれでもなお、《大君》はこの世に留まろうとした。

 その様子は先ほどよりも正気ではなく、この地に染み付いた本人自身の怨念に侵されているようだった。

 

 ──そんな《大君》に……いや、《煌都の麒麟児》アーロン・ウェイに俺は甘ったれるなと必死に呼びかける。

 

 俺が聞いたあいつの想いは《大君》のそれとは違う。確かにアーロン・ウェイとして生きた人生の軌跡がそこにはあった。

 

 だからこそ生まれ変わりだか何だか知らねえが、そんなものに縛られて逃げてんじゃねえと俺は説得する。アニエスやフェリも同じように言葉をかけた。

 

 その結果──奴の中で何かがあったんだろう。意識を目覚めさせたアーロンの声が、俺たちに届く。

 

「グ、ア……コレデ終ワッタト思ウナ……己ハ……イズレマタ……オオオオオオオオ──……」

 

 そして《大君》ラグン・カーンは最後に捨て台詞を残し雄叫びをあげて、その身体をアーロンに返した。

 元のクソガキにきっちり戻ったアーロンに安心し、声をかけながらも俺は周囲に気配が何もないことに違和感を感じる。《大君》が操っていた《鬼》が消えたことでそれと戦っていた《庭園》の連中もどこかに行っちまったんだろう。

 

「ようやく終わったんですね……今回の一連の事件が……」

 

「はい……アルマータも結局ここには現れませんでしたし……庭園の人たちもいなくなってます……」

 

「……どうやらそうみてぇだな(だとすると最後に見たアレは……また別の……?)」

 

 だが何よりも俺は最後に見たあの紅黎い何かが気になっていた。

 一瞬でよく見えなかったが、あの通り過ぎた刹那の影は見間違いでなければ、グレンデルにも似ていたようにも思えて──

 

「──大儀であったな。裏解決屋にアーロンよ」

 

 ──だがそのことに思考を回す前に、俺たちの前に《黒月》の長老の1人であるギエン・ルウが現れたことで俺は思考を中断する。

 

 そしてギエン・ルウから《アルマータ》が煌都から撤退し始めていることや《黒月》に雇われながらも好き勝手に動いていた《庭園》の管理人もそれを追跡しに向かったことを教えられた。

 

 その上で俺たちのことを労い、働きに見合った報酬を約束するとアーロンを連れてその場を去ろうとする。

 

「──待てよ、爺さん」

 

 だが俺はそれをさせねえ。立ち去ろうとするギエン・ルウの背中に声をかけ、辿り着いた真相を口にする。

 

「あんた──庭園とアルマータ、()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 ──その言葉を口にし、周囲の空気が一変する。アーロンはその衝撃に声に出して驚き、その声の振動のせいか偶然かはわからないが、遠くで何か物が落ちたかのような音もした。

 

「……黒月とアルマータが本気で対立しているのは本当だろう。庭園とかいう連中にしろ、アルマータと抗争を行っているのは間違いない。その利害の一致であんたら黒月と庭園が契約を結んだのも本当だ。この地で血で血を洗うような戦争を行うつもりだったのもな」

 

 俺は俺の推理を口にする。爺さんの口から直接聞くまでまだ確定ではないからだ。

 

「だが──どちらの組織にも“協定”に近いことが秘密裏に結ばれていた」

 

「……あの言葉……『外禍を通じ内患と外禍を見定める』ですか」

 

 そう、アニエスが口にした俺たちが聞いたギエン・ルウの言葉。

 

「ああ……最初の“外禍”は当然だが《アルマータ》。もう一つの外禍は《庭園》で、“内患”は──つまりは《大君》ってわけだ」

 

 そう考えるに至った状況証拠を俺は更に口にしていく。

《黒月》がこの地で管理していた筈の第三のゲネシスをどこかの組織に売り払った露天商。

《大君》についても《庭園》の連中が勝手にやったという話だが、それにしてはその話に詳しすぎた。

 そして昨夜の件が起きる以前から《庭園》と手を組んでいながら、あの事態を座して見守り、《庭園》と《アルマータ》が争うことを許したこと。

《庭園》という謎の組織についての戦力を測りたかったか……あるいは両組織の共倒れを狙っていたか。《大君》を見定めるという目的を考えると、どちらにゲネシスが渡ってもこの地で実験を行うよう契約が結ばれていたんじゃねえか、と。

 

 アーロンに対して突然冷たくなったその理由も《大君》が原因。そう考えると辻褄が合う。

 

「ウソ、だろ……ギエン爺さん? ……ウソだと、言ってくれよ……!」

 

「全部──その男の指摘通りだ。ツァオが見込んだ者とはいえよもやそこまで見抜かれるとはな」

 

 そしてその俺の推理を、ギエン・ルウは全面的に認めた。

 アーロンの友人たちにしても、犠牲はある程度織り込み済みだったと。

 

「……あいつら……あいつらは…………そんなことのために…………」

 

「──これが“今の”黒月のやり方だ。不満なら、ヌシがそれを変えればいい」

 

「……ぇ……」

 

「この先は疑いようもなく混迷の時代──かつてない試練が待ち受けているだろう。だがヌシが先頭に立つならば黒月がそれを乗り越えることも叶おう。ただしそれは──非情にして巨イナル《大君》として」

 

「……こいつを神輿に担ごうってか。しかもこいつ自身じゃなく、《大君》に仕立て上げて」

 

「然り──全ては黒月のためだ」

 

 ギエン・ルウが右手を挙げると俺たちの周囲に最初から潜んでいた《黒月》の凶手たちが現れる。

 

「隠形……!」

 

「さ、最初から控えて……」

 

「チッ……!」

 

「連れて行け」

 

 そしてその虎の子である凶手がアーロンとの距離をゆっくりと詰めた──その時、介入してくれた奴らがいた。

 

「──そこまでです」

 

「《(イン)》──当代か。ということは……」

 

「父上──これ以上はお止めください」

 

 最初に現れたのは《(イン)》……東方人街の魔人と謳われた伝説の凶手。

 おそらくツァオの奴が連れてきたんだろう。クロスベルに拠点を移していた筈だが、この事態に協力を頼んだか。一緒に来たファン・ルウやアシェン・ルウ。そしてエレインからも制止の言葉がかかる。

 

「状況は概ね理解しているつもりです。黒月内部の話──とはいえ、そちらの彼はまだ民間人でしょう。強引に連れて行こうというのならギルドも黙っていられませんが……?」

 

 遊撃士としての立場と意見を明確にしてこの状況を収めようとする。

 これだけでも十分な助力だ。仮に黒月が、いや、ギエン・ルウが強引に事を進めようとして戦いになったとしてもこれなら勝機が見えるだろう。

 ゆえにその時点で均衡は作り上げられたが……。

 

「ム……」

 

「え?」

 

 ──()()()、と。

 ギエン・ルウの頭の上に、突如としてひらひらした布が置かれたことに隣にいたフェリが驚きの声を漏らす。

 

 突然、何の前触れも脈絡もなく虚空から現れたかのようなその一枚の布に《銀》やエレインにツァオ。そして俺も驚きを隠せない。

 

「父上、それは……」

 

「……フ、成程な」

 

 そしてギエン・ルウは頭の上の布を──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を見て思わず笑みを零した。

 

 ……何かの符牒か? いや、あの布はあるいは……。

 

 俺はその布にどこか見覚えがあるような気がして、1人の知り合いを頭に浮かべる。《銀》やエレイン、ツァオもそれぞれ反応していることから同じ人物を連想しただろう。

 だがその人物の気配は周囲に全くない。俺も匂いを感じられない。

 それなのにギエン・ルウの頭の上に赤と白で半分に塗り分けられた布が置かれたその意味。それを理解したのか、誰よりも黒月の凶手たちが動揺の気配を僅かだが覗かせる。同時に強い警戒の気配も。

 

「《剣の乙女》に、《当代》──それにかの無常の死神までも助力するとはな。均衡が崩れたか」

 

「……彼女が来ているならばそうなりますね。ですがそうでなくとも五分には持ち込んでみせます」

 

「よい気当たりだ。いずれ先代(モンド)にも届こう」

 

 そして《銀》もまたそのことに言及し、ギエン・ルウは《銀》とファン・ルウ。そしてアーロンとの幾つかのやり取りを終える。

 

「かの者たちの攻勢。そして抗争はこれから──くれぐれも気を抜かぬことだ」

 

 そして最後に俺たちにそんな言葉をかけて、今回の事件の黒幕でもあったギエン・ルウは凶手と共にその場を立ち去っていった。

 

 ──その後、事態の収拾を見届けて首都に戻った俺たちはジャックやハル、そしてアシェン・ルウから事の顛末を改めて聞いた。

 

 煌都には平穏が戻ったが、《アルマータ》を中心とする裏社会の勢力の抗争はここからが本番だということ。

 事態を収めたファン・ルウやツァオは民衆の支持を得て、更に影響力を増すであろうこと。

 そしてかの《庭園》については、ジャックやハルでも殆ど情報が得られていないこと。

 だが《黒月》と契約を結んでいたのは確かで、アシェンからは少しだが情報を聞けた。

 

『何でもここ数年で力をつけた暗殺組織みたいね。数年前の《赤い星座》と《黒月》との抗争の際にも動いていて、その時に《黒月》側にかなりの被害を与えたらしいわ』

 

「暗殺組織……そんなものが……」

 

 ……暗殺組織、か。そう聞いて思い浮かぶことは幾つかあるが、どれも完全に結びつくものじゃない。アニエスと一緒に遭遇したあの3人も含めて、おそらくは6人。これまでに遭遇したことになるんだろうが……そっちも気になるが問題は《アルマータ》の方だ。

 

 ゲネシスのことも含めてこれからも追う必要があるだろう。

 

 ……そしてその後にアーロンの奴が事務所に出入りし、部屋の契約も済ませてこれから裏解決屋を手伝うという話を強引にされたことで俺はまた頭を悩ませたが……文句を言おうにも《黒月》の連中はXiphaにかけても出やしない。結局はフェリの時と一緒で受け入れるしかなかった……。

 

「ん? このメールは……げっ」

 

 ──そして更に。俺のXiphaに送られてきたメールの宛名を見て俺は嫌な予感を感じながらその中身を見る。内容は……。

 

『煌都では依頼とか色々とありがと! 近いうちに、今度は直接会いに行くね!』

 

「……………………」

 

「……? どうかしたんですか? ヴァンさん」

 

「なんだオッサン。眉間に皺なんか寄せやがって。余計に老けて見えるぜ?」

 

「だからオッサン言うんじゃねぇ!」

 

 相変わらずオッサンと俺を揶揄するアーロンに強めの言葉を返しながら俺は今後も波乱が巻き起こることを予感した。……でもあいつとは顔を合わせたくねぇ……。

 

 

 

 

 

 ──えーっと……どうも、アーヤ・サイードです。なんかよく分かんないけど……《グレンデル=ゾルガ》が現れました。意味わかんないよね? うん、私も意味わかんない。だって私が変身した訳じゃないし、マキナでもないし急に現れて大暴れしてた《大君》ぶっ飛ばしてたけどどういうこと……? ゾルガって後にディンゴ・ブラッドがなるものじゃないの? あれってどういう原理だったっけ。第八のゲネシスが呼び出してるとか代行者とかそんな感じだっけ? うろ覚えすぎて原因がわからない……何か怪しいとことか兆候とかあったっけ……マキナに預けてたのが原因? それともオジサンが渡してきたからオジサン? なぜか蘇った《大君》のせい? それとも私? ううん……マジでわからない……あれから第八のゲネシスを触ってみてるけどうんともすんとも言わないし……なんか《グレンデル=ゾルガ》を影から操るやべーやつみたいになりそうでなんかやだ……いや、見た目は好きだしちょっとテンションは上がったけどさ。原因が不明だと普通に怖い。

 

 …………ま、いっか! 切り替え切り替え。考えてもわかんないことは考えても仕方ないしね。一応あれのおかげで事態も収拾できたし。なんか最後にギエンお爺ちゃんが実はアルマータとも繋がってましたとかいうとんでもない事実が発覚して一瞬殺そうかなとも思ったり、久しぶりにリーシャちゃんを見てその成長したおっぱ──腕前にうおおおお!? って驚愕したり、アーロンくんを連れて行こうとしてたから白と赤の布を置いてDEAD OR ALIVEを選択させてみたりしたけど一件落着! 第三のゲネシスも無事にヴァンたちの元に渡ったし、私たちも悪者で終わらなかった。帰りに管理人全員でやったお疲れ様会も盛り上がったしね。アルマータは逃がしちゃったけど準備は整ってるので次でやっちゃおう。無事にアーロンくんを新しいバイトに迎えて楽しんでるであろうヴァンにも次は会おうねってメールを送っておいたし、次は私のホームグラウンドである大陸中東の玄関口、サルバッドでパーティだ! あ、そういえばフィーちゃんからも連絡が来てたし再会が楽しみだね! それと映画祭の協力でゴッチ監督に呼ばれてるから打ち合わせ行かないと。アルマータに協力してる暗殺予定のベガスフィルム社長のギャスパーさんとも会えるしね。──あっ、オジサンからも連絡来てる。後で確認しとかないと。あー忙し忙し。イクスとヨルダ、それとエースくんとも連携しないとね。エースくんなんかレンと同じで()()()()()()()()()()()動かないとだから忙しいし──

 

「あ、はーい」

 

 ──おっと。お客さんだ。誰だろう? 友達かな? アポ無しで私のアトリエに訪ねてくるなんて珍しいね。でもマキナが通したってことは知り合いだろうし良いんだけどさ。でも忙しいからそんな相手はできな──

 

「──お久しぶりです。先輩」

 

「────え?」

 

 ──なんか見覚えしかない顔がそこにあった。

 

 …………あれ? 私おかしいのかな? なんかどう見てもクローゼちゃんにしか見えない可愛い女の子がいるんだけど……しかもなんというか……帝国で会った時みたいな皇太女としての正装じゃなくて市井に紛れるための共和国風の私服だし……それでも溢れ出る気品というか貴族感は消えてないけど……旅行に来た他国のお貴族様か、良くて商家のお嬢様って感じだ……。

 

「クローゼちゃん? 久しぶり? 服可愛いね?」

 

「ありがとうございます。先輩も相変わらずすごくお洒落ですね」

 

「ああ、うん。ありがと。えっと……それで、何の用? というか1人──じゃないよね。2人いる?」

 

「──さすがの気配察知能力だな……」

 

「あはは……アーヤちゃん久しぶりー」

 

「ゆ、ユリア大尉さんにアネラスちゃんまでいるー!? なんでー!?」

 

「……ふぅ、護衛として来ているに決まっているだろう。ちなみに今は少佐だ」

 

「私もクローゼちゃん──クローディア姫に頼まれてね。ちょうど共和国支部から応援要請も来てたし。ということで()()()()()アネラス・エルフィード! 本日をもって共和国総支部に着任しましたー!」

 

「あ、少佐だったんだ。アネラスちゃんもB級になったんだねおめでとー」

 

「エステルちゃんたちに負けてられないからね! 特に最近は有望な新人も多いみたいだし……せっかくだから共和国で武者修行も出来るかなーと」

 

「……なるほど?」

 

「はい。ということでしばらく共和国に滞在する予定ですので先輩もよろしくお願いしますね」

 

「よ、よろしくお願いします……? うん、まあ良いんだけど……結局クローゼちゃんは何の用事で来たの?」

 

「調べ物と先輩に会いに。政治的な目的もありますし、個人的な目的もありますので。なのでよろしくお願いしますね?」

 

「なんで2回も……」

 

「よろしくお願いしますね、先輩」

 

「(さ、3回目……)う、うん! よろしくね! クローゼちゃん!」

 

「私と殿下はしばらく秘密裏にリベール大使館に滞在する予定だが、こちらに来ていることはくれぐれも口外しないでくれ」

 

「私はこれから首都の支部に顔を出して泊まるところ紹介してもらう予定かな。立場的に複雑かもだけどまた来るね。可愛い服とかも見たいし!」

 

 …………えーっと……はい。ということでなんかクローゼちゃんにお付きのユリアさんにアネラスちゃんが共和国入りしました。う、うわあああああい!! よく分からないけどギリギリ嬉しい! でも複雑な気分! 今は裏の仕事で忙しいから訪ねてきてくれたのは嬉しいけど困る! クローゼちゃんはまた綺麗になってるし圧も上がって多分剣の腕前も上がってるし、ユリアさんにアネラスちゃんも同じく! アルマータが活動してて危ないけど多分大丈夫だよね? それに私は来月には映画祭でサルバッドに行くし忙しいからそんなに会えないかもしれないけどまあ何回かは一緒に遊びに行ってもいいかな! クローゼちゃんたちはサルバッドには来ないだろうしね! それまでに予定空けとこーっと!




今回はここまで。忙しかったのでお久しぶりです。空の軌跡リメイクはまだクリアしてません。でもアーヤちゃん登場まではいきました(存在しない記憶)。
ということで第二章の煌都編は終了。次からは第三章。アーヤちゃんのホームグラウンドの砂漠の街で黎の軌跡初登場のアーヤちゃんです。こっからはついに裏解決屋もといヴァンとも絡むので会話の脱線やアライメントがカオスに寄ったりする展開が多そう。なので次回もお楽しみに。

感想、評価、良ければよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。