TS不幸少女のゼムリア大陸災難記   作:黒岩

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執行者になる不幸

 ──その者は非常に興味深い存在。

 

 彼からその人の子の存在を耳にした時……いえ、それ以前からその存在は私の興味を引いていました。

 何しろ《外の理》。そして────筈の────を僅かながら感じたがゆえに。

 その人の子はともすれば、我らの計画に更なる可能性を与えるかもしれない。

 特殊な魂の在り様。そしてその身に秘める《力》から、彼女は世界に対し、()()()()()()()()()()()()()()()

 あるいはその代わりとなりえる存在。

 かの────と同じ。偽にして真なる力の残滓。

 そしてその心に闇はなく、それゆえに世界に影を落とす。

 

 ……しかし、その力を抜きにしても彼女は面白い存在であることには変わりません。

 

 ゆえに私は《破戒》の願いを聞き入れ、彼女に彼を仲介にして“武器”を授け、《執行者》としての使命をも与えました。

 マクバーンなどは僅かながらその正体を感づいているようですね。彼女の力が自らの記憶を呼び起こす一助となることを期待しているようです。

 

 ですが彼女のことがなかったとしても……人の業はいずれ人自身を試すことになるでしょう。

 その刻限にはまだ僅かながらの猶予があります。

 

 今暫くは彼女のことも見守るとしましょう。

 

 ──本当に()()()()()()()()()()()()()、その可能性の証と言えるでしょう。

 

 それもまた人の証。人の業の1つ。

 

 ──アーヤ。水面に浮かぶ水光の如き貴方の輝きが見られることを、私も楽しみにしています。

 

 

 

 

 

 ──ふぅ……あ、どうも。アーヤ・サイードです。《執行者》です。最近私ってもしかしてエッチなんじゃないかと思って自己嫌悪に陥っています。

 

 さて──そういうわけで私は先日、昇級しました。

 結社《身喰らう蛇》の《執行者》No.ⅩⅢ。《血染の裁縫師》アーヤ・サイード。それが今の私の肩書です。急に星辰の間に呼ばれて重役会議ならぬ使徒会議に呼ばれたと思ったら滅多に姿を現さない《盟主》様が直接私に任命しました。その後は《破戒》のオジサンからも異名とかも付けられ、突然の事態に混乱しました。

 というか落ち着いた今も思う──いや、なんで私? 私まだ子供でそんなに強くないんですけど? というかNo.ⅩⅢはヨシュア君のナンバーだったと思うんですけど? オジサンやマクバーンが推薦したとか言ってたけどいやいやいや……。

 確かに執行者になればあらゆる自由が認められるらしいし都合が良いのかもしれないけどさ。私には荷が重いというか……。

 

 ──って、よくよく考えたら私がヨシュア君の代わりのNo.ⅩⅢってことはヨシュア君の代わりにチート親父の暗殺命じられてブライト家に潜入して情報を送りながらブライト家の子供になるかもしれないってことじゃん!! いや────!!? 色んな意味でいや────!! 

 

 私はその可能性を思いついて頭を抱える。いや、確かに表に行くことは望むところだしエステルが妹とかだと楽しいだろうなってのは思うけどその代わりにヨシュア君が救われないのは嫌! 別に原作が崩れるとかはまだどうでもいいけど気に入ってる人が救われないのは困る! こうなったらどうにかして手を考えないと……! 

 

「どうしよう……執行者になったら潜入任務とか命じられて大変なことになっちゃう……クルーガーちゃん。レティ姉さん。何か良い方法知らない?」

 

「はぁ。何を悩んでいるのか分かりかねますが、そもそも貴方に潜入任務なんて()()()()()()()()()と思いますのでその心配は無用かと」

 

「えっ、どうして? 私演技とか得意だよ? 表にめっちゃ馴染めるよ?」

 

「そういう問題ではありません。貴方に潜入なんて器用かつ難しい判断が求められる仕事は向いてないと言っています。貴方、頭良くありませんし」

 

「うわ、ひどーい! ねえレティ姉さん。クルーガーちゃんがこんなこと言ってるけどそんなことないよね?」

 

「そやなぁ。アーヤには普通の暗殺とか護衛とかが向いてるんと違う? 潜入なんてしたらしっちゃかめっちゃかになって阿鼻叫喚になって帰ってくるのがオチやろうし」

 

「レティ姉さんまで!?」

 

 なので私と仲の良い執行者のクルーガーちゃんとレティ姉さんに何気なく聞いてみるも2人からは潜入には向いてないという答えをもらった。多分2人とも私をちょっと誤解してると思う。私はこう見えて器用で理知的なのだ。

 ……とはいえ確かに……私が潜入に向いてるか向いてないかは置いといても、カシウスさん家の子になるあの任務は教授の暗示を受けた可哀想な子であるヨシュア君だからこそ可能な任務とも言える。幾ら私が演技上手だとしても頭脳面でも最強クラスな《剣聖》の目を欺くのはちょっと難しいかもしれない。だったら私が代わりに任務につく心配はいらない……か。

 

「そもそもアーヤはそういう仕事やるの嫌なんやろ? だったら断ってしもたらええんやない?」

 

「え?」

 

「いや、え、やなくて。《執行者》はあらゆる自由を与えられとるんよ? たとえ《盟主》はんの頼みやろうと気に食わへんのなら断ってもええんやから」

 

「それは……確かに……」

 

 私が悩んでいるのを見かねてレティ姉さんがそう指摘してくれる。そして、そう言われればそうだと思う。

 確かに……執行者として自由が与えられてるんだからいざとなったら断ればいいし……私よりも小さくて潜入に向いてる子なんてヨシュア君くらいしかいない。

 それに、だ。よくよく考えたらヨシュア君に執行者の地位なんてない方がいいのでは? 別に執行者の地位があったところでただヨシュア君を苦しめるだけだし……結社としてもヨシュア君って執行者になってすぐにブライト家に潜入してその任務が完了したらもう帰ってこなくていいよとか面白教授が言うから本当に帰ってこなくなる訳だし。別に執行者であろうとなかろうと起こることは変わらない上、むしろない方がヨシュア君の苦しみを少しでも和らげられるのかもしれない。

 そして……私が執行者になるのは私自身にとって都合がいい。だって自由だし。社会復帰のためのあれこれを試せるし。しかも気に食わない仕事はやらなくてもいい! なんか無理やり受けさせようとしてくる人もちょっぴりいるけど、それさえ我慢すれば執行者でも別にいいのかも! 執行者でも普通に社会に出て楽しく過ごしてる人もいるしね! 

 私は今の状況が私にとって非常に都合の良いことを理解する。執行者に選ばれた理由もどうだっていい。きっと私の中の隠しきれない闇をみんな見抜いているのだろう。ふっふっふ。みんな分かっちゃうかー。この隠しきれない闇の波動を。くくく。私って実は可哀想だし、()()()()()()()()()()()()()()っていう客観的に見て人よりちょっとだけ個性的だしね。執行者には向いていたのかもしれない。

 

「……よし! そうと決まれば──」

 

 私はクルーガーちゃんとレティ姉さんと別れ、その後──オジサンの元に向かった。

 

「──オジサン!」

 

「どうしたアーヤ。俺に何か用事でもあるのか?」

 

「お願い事があるからちょっと聞いてほしいんだけど……」

 

「ほう? 何だ? とりあえず言ってみろよ」

 

 相変わらず葉巻と毒々しい気配を漂わせる《破戒》のオジサンに私はお願いを告げる。私のお願い。それは──

 

「えっと……ちゃんとした身分証とか欲しいなーって」

 

「身分証だと?」

 

「うん、駄目? ねえいいでしょオジサーン♡ 身分証ちょうだーい♡ 買って買って~♡」

 

 私は年頃の可愛い娘のように猫なで声でお願いする。聞いてもらえるためにはしょうがない。この程度のおねだり、私にとってはなんてことはないのだ。ふっふっふ、おじさんキラーと言われた私の上目遣いを食らえ! 

 とはいえオジサンの表情に変化はない。ただ葉巻の煙を吐き出しながら少し間を取りつつ言葉を繰り出す。

 

「身分証ねぇ。つまり、表で出せる国籍や肩書が欲しいってことか」

 

「そうそう♡ だからほら、ちょうだい?」

 

 私は両手を差し出して満面の笑みでおねだりをする。ほら、早く。執行者は自由なんだから自由にしてよ。ほらほらほら。色んなところに伝手があるオジサンなら朝飯前でしょ。

 

「そうだなぁ。まあ、くれてやってもいいんだが……タダでやるってのも面白くねぇ」

 

「うぇ……あ、アーヤ無料がいいなー?」

 

「だってお前、タダでそんなもんやっちまったらさっさと足抜けしちまうかもしれねぇだろ? 出来るかどうかは置いといてな」

 

 げっ、バレてる。確かに、出来るかどうかは置いといても色々と試そうとしていたのはある。表で働き口探してみようとか色々。でもそのためには身分証とか戸籍とか色んなものが必要なんだよね。この前イーディスに行った時に学んだ。なので是が非でも欲しい。

 

「とはいえ表で動くために色々と必要だって話も分かるぜ?」

 

「そ、そうだよねー。それだったら……」

 

「ああ。だからその代わりに──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってのはどうだ?」

 

 オジサンのいつもの悪い笑み付きの言葉を聞いて私は笑顔のまま固まる。うわぁ……最悪だ……オジサンの仕事って絶対ロクなものじゃないよ……良くて暗殺。悪くて大犯罪の片棒をかつぐことになる。どちらにせよ結構な無茶振りを頼まれるのは経験上よく分かっていた。

 

「お前が求める公的な身分ってのは作ろうと思ったら結構金がかかるんだぜ? それをちょっとしたおつかいを引き受けるだけで貰えるんなら破格だろ? オジサンの出血大サービスって奴だ」

 

「……はぁ、わかった。それで仕事って?」

 

「もう猫なで声はしねぇのか?」

 

「オジサンにやっても無駄だし。媚びるだけ損ってもんだよ」

 

「アーヤ、テメェ……ま、俺もそう思うわ」

 

 私は諦めてオジサンの仕事を受けることを決める。どっちにしろある程度やることはやらないと表で何かをすることも出来ない。お金もないし。そして、お金を稼ぐには結社の《執行者》として仕事をする必要がある。

 前にちょっとレティ姉さんから聞いたけど、執行者ってのは行動は自由だけどお給金は仕事をしないと貰えないらしい。そりゃそうだ。でもその代わり1回の仕事で結構な額が貰える。結構な高給取りであるらしい。

 ──それなら将来のために貯蓄することも必要だよね! 高校とかも行きたいし、やりたいこともあるからお金はどうにかして貯めないと! 

 そのためにはある程度結社で働くことも仕方ないことだと割り切る。大丈夫。闇稼業はもうお手の物だ。よっぽどの悪どいことや無茶振りでもなければこなせる自信はあるし、もしヤバそうなら断ればいい! よし、やる気が出てきた! 明るい将来のために今は頑張ろう! 

 

「それで、どんなお仕事があるの?」

 

「クク、やる気だな。まあそんなに難しい仕事じゃねぇ。言っちまえばいつもの暗殺だ」

 

「暗殺ね。りょうかーい。それで標的は? いつまでに殺ればいいの? それとももう手はずとかは整ってる感じ?」

 

「詳細は向こうについてから話してやるが、安心しな。標的は1人だ。それに別に強くもねぇし向こうも殺しを生業としてる奴だ。これだけ聞けばお前も安心出来るだろ?」

 

「強くない暗殺対象! しかも悪人! それどころか同業! 最高だねオジサン!」

 

 私はその情報を聞いて心から喜ぶ。確かにオジサンにしては優しい仕事だ。強くないなら怖くないし、相手が善良な人間でないってのもいい。良心が咎めないし大義名分が立つ。向こうも殺そうとしてくるような相手ならこっちも殺してもいいってことだ。

 私は早速その場所へ向かうべくオジサンに行き先を尋ねることにする。

 

「それでオジサン。私はどこに飛べばいいの?」

 

「ああ。場所は──()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 ──七耀暦1195年。2月。

 

 ノーザンブリア自治州とは、ゼムリア大陸北方に位置する特殊な事情を抱えた国家である。

 かつてはノーザンブリア大公国と呼ばれたれっきとした自治州でもない国家であり、大公家が統治をしていた。隣国にエレボニア帝国とレミフェリア公国。ジュライ市国。南に大国たるエレボニア帝国と国境を接していたが、エレボニアとカルバードを除けば国土面積は大陸でも3番目の広さであり、国力も決して低いものではなかった。

 

 ──しかしそれが一変したのは七耀暦1178年7月1日のことだ。

 

 公都ハリアスク近郊に全高数百アージュの白色の巨大物体……通称《塩の杭》と呼ばれるものが突如として出現。大公国は公都を含む3つの行政区が塩に沈み、その謎の《塩化現象》によって国土と多くの国民が塩によって失われた。

 最終的には全国民の3分の1の命が失われることとなったその事件は《ノーザンブリア異変》。または《塩の杭》事件と称され、他国にも衝撃を与えた。

 大公国を治めるバルムント大公は東の隣国、レミフェリア公国に逃亡し、大公国では市民革命が勃発。最終的に大公家は打倒され、民主議会が発足する。国名もノーザンブリア自治州とし、アルテリア法国の認可の下、自治州として新たなスタートを切った。

 

 ……だが国土と国民の多くを飲み込んだ《塩の杭》の被害から立ち直った訳ではない。

 大陸北方に位置するがゆえの気候の厳しさ。事件による産業基盤の消滅。多くの難民が今なお貧困に喘ぎ、苦しんでいる。

 そんな中、祖国のために立ち上がったのが大公国の正規軍であり、彼らは祖国を救うために名前を《北の猟兵》と変え、その名の通り猟兵としての活動を始める。それによって外貨を獲得して国民を救っていた。

 

 つまり《北の猟兵》とはノーザンブリア自治州の人にとって“英雄”であり、嫌われがちな猟兵の中にあってそうではない例外であった。

 無論、猟兵として活動していることは事実であるため、国外において猟兵と扱われるのは変わらない。だがノーザンブリアの治安維持も行っていることからも、彼らは猟兵でありながら国の自警団でもあった。

 

 その戦力、兵力も並の猟兵団とは比べ物にならない。元は正規軍ということもあり、規模としては1万という猟兵団としては大軍を抱えている。

 単純な戦闘力であれば《西風の旅団》、《赤い星座》などの最強と称される彼らの方が上だろうが、規模としては間違いなく最大の猟兵団。それが《北の猟兵》だ。

 

 ──そしてその《北の猟兵》は現在、祖国ノーザンブリア自治州の寒空の下で戦闘を行っていた。

 

『こちら司令部──そちらの状況は?』

 

「こちら第35中隊! 現在敵を追撃中! 先行させていた小隊からの連絡が途絶えた!」

 

「こちら第5小隊! 敵は鋭いハサミのような武器を持った中東人の少女! だが──っ! 3時方向より敵襲! 応戦し──がッ……!?」

 

「! おいどうした!?」

 

「っ……やられたか……! 急ぎ増援を送れ!」

 

「大佐……やはり敵の正体は……」

 

「っ、ああ……ご丁寧に送られてきた情報とも一致する。その少女こそ──結社《身喰らう蛇》の執行者だ……!

 

 

 

 

 

 ──拝啓、皆様お元気ですか? 

 

 私……アーヤ・サイードは今、遠い地にいます。生まれは中東。育ちは南の海や大陸中央部ということもあってそこまで寒いのは得意じゃありません。なので寒いですが、私は健康なので何とか耐えられます。

 しかし寒さは何とかなっても厳しいことに変わりはありません。

 なんでこんなことになってしまったのか。私はつい先刻貰ったオジサンからの手紙。任務の内容とメッセージが書かれたそれを思い返します。そこにはこんなことが書かれていました。

 

 ──よう、アーヤ。ノーザンブリアには無事ついたか? ま、お前なら無事じゃなくても何とかなんだろ。だから仕事の内容を教えてやる。

 

 ──さっきも言ったが、仕事は暗殺。標的は《北の猟兵》に所属する幹部の1人だ。詳細は別紙を参照しろ。

 

 ──言ったようにそんなに難しい仕事じゃねえだろ? 貧乏なガキを装って殺すか正面から殺すか……ま、方法はお前に任せるわ。

 

 ──だがこれだけじゃ面白くねぇだろ? だから予め、これから結社の執行者No.ⅩⅢが殺しに行くとそれとなく伝えておいた。

 

 ──向こうさんもこれで警戒してくれんだろ。なんでこんなことするかはいつものだ。その方が面白いに決まってるからなぁ。

 

 ──つっても理由はそれだけじゃねぇ。これでお前も足りてない戦闘経験が死ぬほど積める訳だ。

 

 ──《北の猟兵》の戦力は1万程度。練度は元正規軍ってこともあってそれなりのもんだ。ま、装備の方は貧乏だから型落ちらしいが、それでも十分やりがいはあんだろ。

 

 ──報酬は任せとけ。仕事を無事に終えて帰ってくればしっかり用意してやる。

 

 ──《破戒》のオジサンより。

 

 ……と、そんなことが書かれていて私は頭を抱えました。暗殺対象が《北の猟兵》の幹部の1人でしかも予め予告してあるとか……嫌がらせ以外の何者でもないです。

 とはいえ仕事は仕事。私は諦めてそれを実行するべく、《北の猟兵》が警邏活動を行っている街に潜伏し、その幹部とやらを殺すことにしました。

 

 そして──仕事は無事に成功しました。なんてことはありません。子供だし得物も隠せるので、普通に潜入して隙が出来るまで近くの子供達と暇つぶしで遊んであげたりして、しばらくして1人になったところを《ゾルフシャマール》を取り出してバッサリ首チョンパ。正直チョロい仕事でした。

 だけど問題はその後。仕事を終えて帰ろうとしたところで兵士に見つかってしまい、てんやわんやの大騒ぎ。駐留していた部隊は勿論私を追撃してきたし、囲まれていたので仕方なく包囲を突破出来る程度は殺して脱出。

 しかし追手の方はいつまでも追ってきます。雪が積もる針葉樹林帯に隠れてやり過ごそうとするも向こうも林の中に入ってきて私を追いかけてきます。

 なので仕方なく適当に小隊を殺して脱出を図ったのですが、そこから更に増援がやってきてこの一帯を包囲。私を狩り始めたのが3日前のことで、そこからもひたすら私を追いかけ続けてきます。国境を超えた迎えの地点まで私もひたすら逃げますが、向こうはここがホームグラウンドなので幾らでも増援がやって来て私を追撃してきます。それをひたすらチョキチョキ、チョキチョキと。

 

 ──そう。今はもう4日目。潜伏し、ひたすら逃げながら戦い続けるサバイバル。ゲリラ戦を続けて72時間以上。さっき兵士を1人捕まえて口を割らせたところ、しかも()()()()()()()()という名前まで出てきて困惑中。

 私は敵から鹵獲したお茶と糧食を口にしながらほっと息をつきます。そして、内心で口にします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──うわあああああん!! 早くお家帰りたいよ────!! 《北の猟兵》の相手いや──!! 数多すぎ──!! しかもバレスタイン大佐ってサラ教官のお父さんじゃん!! いや────!! 

 

 ──そうしてその後、私はまたしてもひたすら逃げて殺し、5日目にしてようやく戦線を離脱することが出来た……もう嫌だ……ノーザンブリア寒い……行きたくない……。

 




今回はこんなところで。叫びたいのは北の猟兵の方なんだよなぁ……。
ということで次回は北の猟兵視点のVS執行者アーヤちゃん。それと怪盗Bです。お楽しみに。

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