──ハローエブリワン! アーヤ・サイードでーす!
というわけで今日もアーヤちゃんは元気なんだけど、ついこの間は悲しいことがありました。それはなんと言っても、私のお気に入りのコートが斬られてしまったことです……。
しかもその相手は《風の剣聖》アリオス・マクレインでめちゃくちゃびびった。おまけにガイ・バニングスもいたし、セルゲイ課長もいた。今は課長なのか知らないけど、私的には会いたくない人達だった。
なんでかって言うと、優秀すぎるから。私がクロスベルにあんまり行かない理由でもある。とにかく、クロスベルの警察は優秀なのだ。
これはもう見てきた人なら分かると思うけど、もうクロスベルの人達は抗う心がすっごいすっごい。特にその筆頭であるバニングス兄弟。兄のガイ・バニングスと弟で主人公のロイド・バニングスはもうヤバい。語彙力がなくなるくらいヤバい。どんな事件や逆境だろうと“諦めない心”という根性というか精神論で乗り越えてくる。おまけに根性だけじゃなく推理力もヤバい。どんな高い壁も絶対に乗り越える。まさに“壁絶対乗り越えるマン”なのだ。
だから私はクロスベルには出来れば近づきたくない──だってクロスベルで事件なんて起こしたら絶対バレちゃうじゃん! 解決されちゃうじゃん! 犯人特定されちゃうじゃん! 諦めない心となんで分かるのってレベルの推理力で私が悪い人だってことになってブタ箱に詰め込まれちゃう!
なので私はクロスベルは好きだけど、あんまり近寄らない。ローゼンベルク工房に行く時も市内にはあまり入らないようにしてる。本当は色々見て回りたいんだけどね……いつ職質受けるかもしんないし……というか、うわあああ! あの3人に認知されちゃったー! もうこれいつバレてもおかしくないじゃん……。
「はぁ……でもガイがいなくなったら……いや、でも過去の事件でも駄目だからなぁ」
「アーヤどうしたの? 何か考え事してるの?」
「んーちょっとねー。それよりもほら、今日もお勉強の日だから一緒に勉強しよっか」
「? よく分からないけど分かったわ。それじゃ勉強しましょっ!」
私は自分の部屋で声を掛けてきたレンに勉強するように告げる。するとレンはすぐにノートと教科書と私の作ってあげたペンケースを持って私の隣に座ってきた。そして私の顔を見上げて「えへへ」と笑う。レンちゃんは可愛いなぁ……私の心を癒やしてくれる。私のお気に入りのコートが壊れた時も慰めてくれたからね。今はまた作り直したから大丈夫だけど、壊れて帰ってきてからは結構落ち込んだ。デザインも時間かけたし、コートってのもあってかなり時間をかけて作ったから大変なんだよ、本当。
ただ良いこともある。そもそもだ。私が何故あの時にロッジにいったのか。それはもちろん──教団を他の人達と同じく徹底的に殲滅して私の自由を脅かされないようにするためだ。
だからこそ私はあの時、隠し通路も探し当てて中にいた教団の人間をひたすらちょきんちょきんした。なんか思想の強い幹部とかがいてもちゃんと逃さず殺せるように。
そのかいあってか大体は殺せた筈。まあ何人か残党はいるだろうけどそれはこれから他の勢力も頑張ってくれるし、私も見つけたら出来る限りは処理しよう。あんまり殺りたくはないけど教団なら仕方ない。ちゃんと綺麗にしないといつまでも広がって消えないからね。
ってことで色々あったけどようやく、私をこれまで苦しめてきた教団はなくなった! なので私は自由! これで堂々と警戒せず外を歩ける! もう教団の人間が近くにいるかもと怯えなくていい!
私の自由への最大の障害がいなくなったので、私はご機嫌だった。そして教団がいなくなったので当面の悩みはなくなり、私の将来についてようやく考えることにしたのだ。何しろ私ももう14歳。なので良いくらいのとっても可愛い美少女になってて自分でも鏡を見る度に私って可愛いなぁって思うくらい可愛いけど、16歳になれば日曜学校も卒業する年齢になって外で働かなければならない。
まあもう結社で働いてるんだけど……まあそれは置いとくとしても、表での職業は考えないといけない。だから色々考えている。第一の夢としてはデザイナーとかの服飾関係で、第二は……まあ農業関係、とかかなー。私自然って好きだし。都会の方が便利だし住みたいけど自分の家には立派な庭が欲しい。第三は私の容姿を活かせるようなモデルとかアパレルショップとかカフェの店員とかかな。基本的にチヤホヤはされたい。第四にごはん屋さん。まだこの世界にないグルメを開発して大儲けする! 転生者なら一度は考える楽な道だ! タピオカミルクティーとか油そばとか作って大儲けするんだ!
ってことで私はなりたいものいっぱいな夢いっぱいな美少女なんだけど、本当に悩む。とりあえず第一の夢のためにデザイン画を書きつつ、コンクールとかに応募したり服飾の会社とかブランドに送ってみようかなーとか色々考えてるんだけど……それをするにしてもまあ時間はそこそこかかる。
だからこそ私は考えたのだ。そうやって将来の夢にも悩む時間を作るためにも──まずは、進学をすることを……!
そう、進学だ。よくよく考えたらまだ私はこの世界で学校というものに通ったことがない。なので青春出来てないし、モラトリアムを楽しめていない。おかげで友達は闇の住人だけ。まあクルーガーちゃんとかデュバリィちゃんも良い子だし大事な友達だし不満がある訳じゃないけど、私的にはもっと沢山友達は欲しいし、馬鹿騒ぎもあんまりしてないからしてみたい。
そういう訳で私は進学をまず第一に考える。そしてその進学先だけど……候補は概ね3つだ。
まず学園といえば──そう、トールズ士官学院! エレボニア帝国にある歴史ある学院であり、士官学院ではあるものの進路は軍人だけじゃないし、ちゃんとした高等教育が受けられる場所! 世の礎たれ!
そしてなんと言っても閃の軌跡シリーズの舞台でもある。なので学校と言えば真っ先に浮かぶのはそこだ。私もⅦ組に入ってリィン達と青春してみたいなぁ。二次創作だとこれ絶対終わらないだろってレベルの長くて濃密で楽しい学園生活を送ってみたい。
……ただ今の時期は全然リィン達はいないんだよね。それどころかあのかわいいかわいいトワ先輩もいない。詳しい年は分からないけどまだ福音計画すら始まってないし、うろ覚えだけど空が終わった後の年だった気がするし。なので今いっても普通に学院生活だ。それはそれで良いんだけど、リィン達が後になったらいるっていうメリットを考えるとちょっと残念ではある。
後は帝国はちょっと……怖い。エレボニア帝国は怖い。帝国人も怖いし帝国っていう土地もやばい。軍人やら武人は強い人ばっかりだし、そもそも土地は怨霊のせいで呪い塗れで争いの火種ばっかり起きる。だから私は帝国にもあんまり近寄っていない。一応この間聞いた話だと今は結社と帝国政府は協力関係にあるから実は行きやすいんだけどね……そういう問題じゃなくて単純に怖いから行きづらいのだ。
まあなのでトールズについては行きたいけど不安要素も多いって感じ。そして次の候補は──ジェニス王立学園。
これはリベール王国にある高等学校でシリーズで1番最初に出てきた高等教育機関。私のイメージとしてはクローゼちゃん、リベールのお姫様が後になって通ってたり、レクターとかいう胡散臭い人がいるイメージ。後は劇。それとなんか旧校舎? でなんかブルブランがクローゼちゃんに目を付けてたイメージ。
学園としては普通に楽しそうなのでありだけど、学園生活を送る上で立地は重要。私は勉強というより友達と遊んだり青春がしてみたいので、出来れば利便性は考えたい。買い食いとかしたいし、放課後とかも遊びたい。
ルーアン市は結構綺麗な湾港都市らしいけど学園とは若干距離があるし、これもそうだけど今の時期ってクローゼちゃんもいなさそうだしね。なので悪くはないけど第二志望ってところだ。
ということで私としては3番目の選択肢にして第一志望──アラミス高等学校を推していきたい。
アラミスはカルバード共和国の首都イーディスにある学校で芸術家アラミスが設立した学校だね。都会にあるので利便性は抜群だし、制服も割と可愛いし学校行事も結構充実してるから楽しそう。後は主人公のヴァンとかエレインちゃんとかが通ってたらしいけど正直2人の年齢も覚えてなければいつ通ってたのか正確な時期も覚えてないのでそれも期待は薄い。けど学校として見るなら1番ありだ。何よりカルバードは私にとって第二の故郷みたいなものだし、将来何をするにしてもまずはカルバード国内で何かしようと思っていた。経済的に成長率もすごいし市場的にはここが1番。
まあ他にもレミフェリア公国とかエルザイム公国。それこそ私の生まれた場所ということになってるヴァリス市国にも高等教育機関はあるけど、やっぱりこの3つが1番良さそうだし、第一志望はアラミス。第二志望はジェニス。第三志望はトールズって感じかなー。
そういう訳で私はこの間から受験勉強をすることにした。勉強はそこそこ出来る自信はあるけどどこも名門校ということもあって確実に受かる保証はない。なので私が16歳になるまでのこの2年は勉強を優先します! 受験戦争だ! 執行者としての危ない訓練に比べたら勉強してる方がマシだし!
ってことで私は参考書やノートやら過去問やらを大量に買い込んで勉強をしている。学校によって科目は違うけど、大体は──文学、数学、史学(トールズの場合は帝国史)、政治経済、自然科学、導力技術の6科目くらい。トールズみたいに武術教練みたいなのがあればさすがに余裕なんだけどね。私は執行者の中じゃそんなに強い方じゃないとはいえそこいらの学生と比べればさすがにボコボコに出来る自信はある。多分。いや、アルゼイド流とかヴァンダール流の化け物がいる可能性もあるから分かんないけど……帝国とかは特に武術が多いし武人も多いし。まあ共和国も多いんだけどね……と、それは置いとくとしてとにかく勉強だ。自信がないのは初見過ぎる導力技術と史学と普通に難しい政治経済。それに比べれば文学、数学、自然科学はまだ余裕はある。なので苦手なところを重点的に勉強していくんだけど──。
「えーっと……この導力機を正しく動かすためには……」
「アーヤ。それ、間違ってるわ」
「え……ど、どこ?」
「ここよここ。レンはもう理解したから教えてあげる! ここはね──」
「な、なるほどねー……レンちゃん賢いね」
「結構簡単よ? だからアーヤもきっと理解出来るわ」
「も、もちろん分かるよ。簡単だよねー……」
私の横でついでに一緒に勉強をしているレンが、私のノートを見て問題の正しい答えと解説をしてくれる。その解説は幼い口調と声色に反してとても分かりやすい。私はそれを聞いて理解に努める。
……はい。ということで、私よりもレンちゃんの方が頭いいです……いや、分かってたけど……レンちゃん天才だし……でも8歳の幼女に勉強を教えられる私って……お姉ちゃんとしての威厳が……。
ま、まあでもほんと、これはレンが頭良すぎるだけなので落ち込む必要はないよね。大丈夫大丈夫……後2年あるし、私も頭は悪くない。勉強も出来る。大丈夫大丈夫……。
だけど私の尊厳は無視して考えるなら勉強を教えて貰えるのはすごくありがたい。私の周りに勉強を教えてくれそうな人がいないんだよね。まず勉強出来る人が……まあいないこともないんだけど、大抵は問題児だったりするし。導力技術なんか絶対博士に聞いた方がいいし面白教授も頭は良さそうだけど絶対教わりたくない。勉強中にエロ催眠かけられて即保健体育させられるに決まってる。後、頭良い人って言ったら──
「──よう、アーヤ。邪魔するぜ」
「──本当に邪魔だから帰ってくれない?」
──出 た よ。私の知り合いの中で、頭が良いという意味なら1、2を争うレベルの頭脳派。だけどその頭脳は悪巧みにしか使われない《破戒》のオジサンが私の部屋に入ってきた。
「あ、ハーウッドおじさん!」
「よう、レンも勉強中か? しかもアーヤより進んでるみたいじゃねぇか」
「うん! だから今はアーヤに勉強を教えてるのよ」
「クク、成程な。良かったじゃねぇか、アーヤ。良い教師を見つけられて。これで受験勉強対策はバッチリって訳だな」
「ぐ、ぐぬぬ……そ、そうなんだよね……そう、勉強中だからオジサンは帰ってくれるかなぁ……?」
私はレンの前ということもあって怒りを抑えつつ穏便にオジサンにお帰り願おうとする。だけどオジサンはそういうのはお構いなしだ。私の部屋でレンの前であるにも関わらず葉巻の煙を吐き出しながら言う。まさに《破戒》。ここ私の部屋なんですけどー!
「ちょっとオジサン! 葉巻吸わないでよ! 服に臭いが付いちゃうでしょ!」
「まあ、そう邪険にすんなよ。今日はお前に良い話を持ってきたんだぜ?」
「オジサンの良い話って大体ろくでもない話だからやだ。レンも、オジサンの言う事だけは真に受けたら駄目だからね?」
「ウフフ、分かってるわ。皆言ってるもの。ハーウッドおじさんは最悪だって!」
「クク、褒めてくれてありがとよ。だが良い話ってのは嘘じゃないんだなぁ、これが」
なんて言ってるけど私は信用してない。ジト目でオジサンを睨む。確かに報酬は良かったりするけど、その代わりに何かえげつない事に巻き込んでくるのがオジサンだ。なので警戒はしつつ話を聞くことにする。どうせ聞かないと終わらないし。オジサン相手は諦めることもまた肝心だ。
「……なら一応聞くけど、良い話って何?」
「簡単な話だ。お前の受験の準備を手伝ってやろうと思ってなぁ」
「準備? 勉強の手伝いならいらないんですけど。BC兵器の化学式なんか教えられても困るし」
「ああ、それを教えるのもありっちゃありだが……生憎とそっちじゃなくてな。俺が言ってるのは根回しの話だ」
「根回し? どういうこと?」
私が頭にはてなマークを思い浮かべると、オジサンは相変わらずの悪い笑みのまま口にする。
「お前、まさか普通に学校に通える……なんて思っちゃいねぇよな?」
「え? ……い、いや、だって執行者にはあらゆる自由が許されてるって……だから学校行ったっていいんじゃ……」
「そりゃお前が行こうとするのは自由だ。だがお前は結社の《執行者》なんだぜ? まだ名前まではバレてねぇにしろ、お前の存在は色んな連中にマークされてる。そんな奴が、普通に学校に通おうとして何もなく通ると思うか?」
「うっ……そ、それは……」
「そもそも学校に通うってなると色々手続きが必要なんだぜ? 保護者の承認や身元の保証。金はまだ問題ないにしても色々と面倒な手順を踏む必要がある。それも名門校となるとより審査も厳しいからなぁ。それをお前1人でどうやってクリアするつもりだ?」
「うっ、た、確かにそれは……」
オジサンにそれらのことを指摘されてぐうの音も出なくなる。確かに、あんまり気にしてなかったけどもしバレてたら通る筈がない。私は基本、執行者だって名乗ることもないし名前も口にしないからそんなに知られてない方だけど、異名とかは不本意ながら知れ渡ってるらしいし、もしかしたらどこかでストップがかかるかもしれないし、なんだったらそもそも手続きの部分で面倒になるかもしれない。
「じゃ、じゃあどうすれば……」
「アーヤ、学校通えないの?」
「クク。だからそれをオジサンが保護者代わりとしてクリアしてやろうと思って提案しに来たんだ。──どうだ? アーヤ。もしオジサンの頼みを引き受けてくれるなら、お前が学校に通うための諸々の障害を俺が取っ払ってやる。ついでに学費なんかもサービスしてやるが……どうする?」
くっ……確かにそれはありがたい……でもまたオジサンの頼みを引き受けなきゃいけないのか……当然ロクなことじゃないんだろうってのは分かる。分かるけど……他にこういった裏回しとかしてくれそうな人がいないのも確か。
「なんだったら学校に通うための庭付き一軒家もプレゼントしてやるぜ?」
「……分かった。やる。やるけど……ちゃんと条件は守ってよね!」
私は悩んだ末に頼みを引き受けることを決める。内容次第ではあるけれど、どうせ私の出来ることなんて暗殺くらいだからもういい。この際我慢する。今までに何度もやってきたし、これも学校に通うためだ。多少理不尽な仕事でもやってやろう。
「ああ、もちろんだ。約束は守るぜ。──ってことで早速付いて来てくれ」
「アーヤ行っちゃうの?」
「お仕事でちょっと出かけてくるだけだから大丈夫。ってことでちょっと行ってくるね」
「ええ、分かったわ! お仕事頑張ってね、アーヤ! いってらっしゃい!」
はぁ、やっぱりレンちゃんは癒やし。これで仕事も頑張れる……よーし! レンちゃんや私の明るい未来のためだ! 張り切って暗殺しちゃうぞー!
──ということで私はオジサンと共に結社のアジトを出て飛空艇で移動。カルバード共和国内のとある街まで移動し、更に郊外の屋敷にまで移動。
「なんか遠くない? というかここで何するの?」
「クク、まずは顔合わせだ。これから仕事をしてもらうに当たってな」
「顔合わせ……?」
私はオジサンの言葉を理解出来ずに屋敷の中庭──その入口の扉をオジサンが開けたため一緒になって入っていく。
「うわぁ……広いし綺麗な庭園……」
「気に入ったか?」
「? まあ綺麗だし素敵なところだと思うけど……気に入ったかってどういう意味?」
またしても意味が分からないため聞き返す。するとその返事はオジサンではなく──
「──そりゃ
「えっ、そうなの? それは……だったら嬉しいけど……………………えっ?」
私はその声に遅れて気づく。その中庭の中心。草花が生い茂る庭の中心に置かれた円形のテーブルの前に、1人の見覚えのありすぎる少年がいた。しかも呼び名まで、私には聞き覚えがある。なので私は困惑し……そしてややあってようやく名前を口にした。
「──め、メルキオル?」
「はーい♪ アーヤ姉さん久し振り! またすっごく可愛くなったね♡」
「え、ああ、うん。それはありがとう……えっと、なんでメルキオルがここに? それにそっちの人は……」
「まあ驚くのも無理はねぇが落ち着けよアーヤ。順番に答えてやる」
「そうだよアーヤ姉さん。ってことでこっちの人が──」
「──お初にお目にかかる」
言ってもう1人。円形のテーブルの1つに座っていたそのローブ姿の男が、ローブを取っ払った上で立ち上がり、折り目正しく挨拶をしてくる。黄金の仮面と鎧、杖と宝珠を身に付けたその男の瞳が私を捉え。
「──我の名は《
「あ、はい……よろしくお願いします《皇帝》さん……アーヤ・サイードです。一応《身喰らう蛇》の執行者やってます……呼び方はなんでもいいので好きにしてください……」
「うんうん♪ 挨拶は終わったね。それじゃ僕も……って言いたいけど僕のことは当然アーヤ姉さんは知ってるからもう顔合わせは終わったってことでいいよね? 《破戒》のオジサン?」
「ああ。これで顔合わせは済んだ」
私がまだまだ全然理解出来ずに目を点にさせて固まる中、オジサンは更に悪い気配を漂わせながら頷く。
だが悪い気配を漂わせているのはオジサンだけじゃない。メルキオルに《皇帝》も。それぞれが悪い笑みのままオジサンの言葉を聞いた。
「中世から続く伝統ある暗殺組織《月光木馬團》の生き残りに、最悪のカルト教団《D∴G教団》の残党……そして
オジサンが告げる──《破戒》として、新たな組織の誕生を。
「お前らの希望通り、俺は引き合わせ見届けさせて貰うぜ。今ここに新たな暗殺組織──《
…………………………………………は?
「前にプレゼントしたいものがあるって言ったでしょアーヤ姉さん♡」
「前から庭が欲しいって言ってたからなぁ。アーヤ。お前にはお望み通り《
「これからは一緒の組織でも頑張ろうね♡」
「フフ、我らの新たな門出を共に祝おうではないか」
「は……はは……そ、そうだね……」
「ああ、ちなみに執行者じゃなくなった訳じゃねぇからそこんとこも頼むぜ?」
「あっ、いや……それは分かってる……けど」
──い……いやああああああ!!? 《
──七耀暦1198年。
結社の《破戒》の導きにより、壊滅した《月光木馬團》と《D∴G教団》の残党。そして伝説の暗殺者《
やったね! アーヤちゃん! 自分のお庭を手に入れたよ! ってことで今回はここまで。エンペラーが教団の幹部司祭だったって設定は独自設定です。月光木馬團と教団の残党が合流して出来上がったって設定なのに教団出身っぽいのが他にいないのでエンペラーなのかなって勝手に考察して決めました。
次回はアーヤちゃんが傷心旅行に行きます。勉強の息抜きも必要だよね。お楽しみに。
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