TS不幸少女のゼムリア大陸災難記   作:黒岩

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輝く環の力に立ち向かう不幸

 ──中枢塔の屋上で襲いかかってきたドラギオンをアーヤとレーヴェに任せてあたしたちは浮遊都市の中心……根源区画と呼ばれるところまで《白面》を追いかけてやってきた。

 

 残してきた2人のことが少し心配だけど、きっと大丈夫だと信じてる。あんなに強い2人だもん。アーヤはまだ全然戦えそうだったし、レーヴェも不意は打たれたけど回復すればあんな機械に遅れを取るような強さじゃない。

 だからあたしたちは背後をレーヴェとアーヤに任せて、全員でワイスマンのところに乗り込んだ。

 この異変を解決し……ヨシュアを取り戻すために。

 

 あたしたちは最後の戦いに挑んだ。

 

「ようこそ……大いなる秘蹟の源たる場所へ」

 

 そうして根源区画の中心に辿り着いた時……そこにはワイスマンとヨシュアがいて。

 ワイスマンの言葉にあたしは強く言い返した。

 だけどワイスマンはヨシュアを自分の所有物だと言い、その証が聖痕だと言った。どうやらその聖痕ってのが悪さをしてヨシュアを縛り付けているみたいで。

 あたしは怒りと悲しみを覚えながらもそれを堪えて、続く教授の言葉を聞いた。《輝く環》を巡る人間の歴史を聞いた。

 あたしたちのご先祖様が《輝く環》を封印して地上で暮らすことになった経緯。それを話し、それでいながら同じ道を辿ろうとしているとかなんとか。

 それを防ぐためには人が進化するしかないってのがワイスマンの言い分だった。

 いかなる誘惑、逆境にも揺らぐことのない絶対の理性と感情に囚われることなく正しい答えを出せる究極の知性。それらを兼ね備えた進化を行うことが《福音計画》の最終目的だと聞いて──あたしは心底、教授を可哀想な人だと思った。

 人を無力だと思い込み、信じ合って助け合う喜びを知らなくて、人が足掻いてるところを見ることでしか喜びを見出だせない。そんな寂しい生き方をしてる人なんだと思った。

 だけどそれとこれとは別。教授の目的にみんなを巻き込むことは遊撃士として、人として見過ごせない。だからこそ力付くで止めようとして……そこであたしはヨシュアと対峙することになった。

 教授が魔眼ってやつで皆を動けなくして、あたしはヨシュアに抑えつけられた。

 抵抗しようとしたけどヨシュアは強くて……そこで教授はヨシュアにあたしを殺させようとした。

 そんなヨシュアの心を更に傷つける酷すぎる命令に、あたしは抵抗できなくてあたしは謝った。絶対に死なない。一緒に歩くって約束したのに死ぬようなことになってごめんって。

 でもヨシュアなら、それでも絶対に負けない。あたしがいなくなっても現実から逃げたりしないって、そう口にして──

 

「……ごめん。ちょっと自信はないかな」

 

「な……!?」

 

 ──そこでヨシュアは自分の意志を取り戻して、教授へ攻撃を行った。

 教授はそこで攻撃されたことよりも肩にあった聖痕がなくなったことに驚いて、あたしもどうなっているのか驚いたけど……どうやらその暗示は、父さんの手紙で相談したケビン神父がそれを壊れるように予め仕込んでいたらしい。

 それは一種の賭けみたいだったけど、ヨシュアはそれに勝った。

 そして本当に、自由になった。もう教授にヨシュアは操られない。

 

「……愚かな……このまま私に従っていれば遥かな高みに登れたものを……新たなる段階へと進化させてやったものを……」

 

「エステルと同じく……僕もそんなものに興味はない。それに道というのは……他人から与えられるものじゃない。暗闇の中で足掻きながら自分自身で見出して行くものだ」

 

「はは……それが出来れば世話はない! 人の歴史は闇の歴史! 大いなる光で導いてやらねばいつまで経っても迷ったままだ!」

 

「人は暗闇の中でもお互いが放つ光を頼りにして共に歩んでいくこともできる! それが……今ここにいる僕たちの力だ!」

 

「ヨシュア……」

 

「……クク……出来損ないの執行者くずれがずいぶん大きな口を叩くものだ。ならば見せてみるがいい……闇の中でも輝くというお前たちの光とやらをな……」

 

 そうしてヨシュアの言葉を受けた教授は、空間から人形兵器のようなものを幾つか呼び出して戦う姿勢を見せた。

 

「《盟主》の忠実なる僕──《蛇の使徒》が一柱、《白面》の力、見せてやろう!」

 

「……望むところよ!」

 

「全力で行かせてもらうよ!」

 

 それに合わせてあたしたちも武器を構え……あたしたちは最後の戦いを始めた。

 

 ──だけどその《白面》の力は……確かに強かったし恐ろしいものだったけど、あたしたちはそれを乗り越えた。あたしとヨシュア。そして仲間たちの力のおかげで。

 それにレーヴェとアーヤに比べれば、こんなの全然大したものじゃない。このままとっちめてやるとあたしたちは更に気合いを入れたところで──

 

「ゼェ……ゼェ……このまま《盟主》に献上するつもりだったが……気が変わった……貴様らが歯向かった相手がどのような存在かを思い知るがいい……」

 

 ──教授はそのままではあたしたちに敵わないと思ったのか、割とボロボロになりながらあたしたちの隙を見て《輝く環》と融合を行った。

 そうしてワイスマンは巨大な怪物に……ワイスマンが言うことを信じるなら《天使》と呼ばれる姿になって再びあたしたちに襲いかかった。

 

「フフ……やっと思い知ったようだね。これが真の力というものだ」

 

「そ、そんな……何でこっちの攻撃が全然当たらないのよ……」

 

「何らかの障壁を展開し続けているんだ……でも……ここまで通用しないなんて……」

 

「クク、七至宝の中でも《輝く環》は空間を司る存在……導力魔法とは比べ物にならない圧倒的な『絶対障壁』を展開できる。もはや私と君たちとでは存在の次元が違いすぎるのだよ」

 

 ──そしてその力は……認めたくないけど、圧倒的だった

 

 あたしたちの攻撃は障壁によって阻まれて通用しない。その上、ワイスマンの持っていた魔眼の力も健在みたいで、あたしたちはその場でまたしても動けなくなった。

 

「クク……その目……やはりお前を殺すには惜しい……じっくり調整しながら再び『聖痕』を埋め込んでやる……そしてまた希望を与えてからその目を摘み取ってやろう……希望が絶望に変わる表情……今から楽しみだよ……ククク……」

 

 そうしてワイスマンはあたしたちを嬲るようにそんな言葉を上から浴びせてきた。

 だけどそれを聞いてもあたしたちには何も出来ない。どうにかして身体を動かそうと、そして障壁をどうにかしようと頭も身体も動かそうとしていたその時──更に上から声が響いた。

 

「やれやれ……もはや悪趣味と言うより病気と言った方が良さそうだな」

 

「そうだそうだ! やめろこの変態野郎ー!」

 

「!?」

 

 その声はあたしたちの知る2人のもので──黒いドラギオンに乗ってやってきたその2人に、あたしたちは声を上げてその名を呼んだ。

 

「レーヴェ!?」

 

「アーヤ!?」

 

 ──レーヴェとアーヤ。その2人が現れ……2人の乗るドラギオンは絶対障壁ってやつに攻撃を仕掛けた。

 

 

 

 

 

 

 ──うおおおおおお!!? やったああ!! ドラギオン倒したぞー! つ、疲れたー! 私やればできるじゃん! 強い! まあ復活したレーヴェとなんか知らんけどやって来たジョゼットの兄たちの協力もあってだけど倒したー! ばんざーい……ってそんなことやってる場合じゃない! 急いで根源区画に降りる! ドラギオンに乗せてもらって……あー!? もうあの気持ち悪い形態になってる!? うわぁ、グロ……これが進化の形? グロすぎない? こんなのになりたかったとかやっぱり教授ってガチの変態じゃん……気持ち悪すぎる。なんかまたヨシュアくんに気持ち悪い言葉を送ってるし、その状態で触手責めでもするつもりなんだろうか。嫌すぎる。気持ち悪い。そもそもお前その姿から元に戻れるの? 戻れないんじゃない? いや知らないけどさ。一生そのままとかこれはこれで可哀想だ。進化進化うるさい奴だとは思ってたけど本当に変態して退化するとは思わなかった──でもまあいいか! とにかく間に合った! これならレーヴェを守れるぞ! 途中でさささっとね! 絶対障壁を壊して最後に文句を言いまくったら脱出だ! 

 

「フン……止めを刺しておくべきだったか。しかし君たちが来たところで何ができる? いかにドラギオンといえど《環》の障壁を破ることは不可能だ」

 

「……だろうな」

 

「それはどうかな! やってみなきゃわからないよ!」

 

「ところでワイスマン。一つ……いや、二つ聞いておきたいことがある。──『ハーメルの悲劇』……貴様はどの程度、関与していた?」

 

「!?」

 

 そしてレーヴェから教授への最後の質問……あれ? なんで二つ? ──ま、いいや。とにかく二つの質問だ! それにヨシュアくんは驚くけど……あー……その話しちゃう? 知ってる身からするとここ結構何とも言えない感じになっちゃうんだけど……まあ仕方ないか。心の中でツッコミながら聞くことにしよう。

 

「おお、人聞きの悪いことを言わないでくれたまえ。あれはあくまで帝国内の主戦派が企てた事件だろう? どうして私が関与するのかね?」

 

「それが貴様が“蛇”だからだ。弱みを持つ人の前に現れて破滅をもたらす計画を囁く……そして手を汚すことなく自らの目的を達成してしまう……それが貴様のやり口だろう」

 

「あ……」

 

「…………(うん。まあそれは間違ってないね──それも大体イシュメルガが悪いんだけどさ)」

 

「実際、主戦派の首謀者たちは当時あったという政争に敗れて後がない者たちばかりだったと聞く」

 

 ──うん。あー……えっと、レクターの父親だっけ? が起こしたんだよね──まあ殆どイシュメルガのせいなんですけど。

 

「もし、10年前の戦争すら今回の計画の仕込みだったのなら……全てのことに説明が付くと思ってな」

 

「ククク……なるほどな。まあ、おおむね君の指摘通りと言えるだろう」

 

「!!」

 

「もっとも私がやった事は彼らに猟兵くずれを紹介してハーメルの名を囁いただけさ。それだけで事態は動き出し、瞬く間に戦争へと発展してしまった。クク……人間の業を感じさせる実験結果だったよ」

 

 ──いやまあ人間の未熟さもそりゃあるだろうけどそれでも半分くらいはイシュメルガの呪いのせいだし……というかお前! 今思ったけど実はイシュメルガの呪いのことも知っててやったんじゃないだろうな!? あの怨霊とも繋がってるし結社の使徒だし冷静に考えたら知っててもおかしくないじゃん! じゃあやっぱりお前のせいでもあるじゃん! それで人間の業云々とか言ってんじゃないよこのタコ! 

 

「……吐き気がしてきたわ」

 

 ほんとだよ! エステルちゃんに同意! こいつクズだった! いや知ってたけどね! 更にクズ度が上がった! 

 

「なるほど……大方、予想通りということか」

 

「……おや、意外と冷静だね。私としてはもう少し、憤って欲しいところではあるが」

 

「フフ、俺の心はとうに冷めきっているからな……」

 

 こらー! レーヴェで趣味発散しようとすなー! 気持ち悪いぞー! 

 

「ならばもう一つだ。ここで話すのも心苦しいことではあるが……」

 

 と、そこでなぜかレーヴェは私やヨシュアをちらりと見る。……? 良く分からないけど頷いておこう。うん、何でも言っていいよ! 私は気にならないし! ヨシュアくんもなんか知らんけど大丈夫そうだ。

 

「何かね。せっかくだ。聞いてあげようじゃないか」

 

「ならば問おう。……貴様は……その暗示の力を使い、幼き少女や少年の服を脱がせ、自らの欲望を満たそうとした。──そのことに間違いはないな?

 

「あっ……」

 

「…………っ」

 

「な、何だと!?」

 

 ──根源区画が凍りついた。

 私もあっ……って感じで察した。そういえばその問題が残ってた! 確かに! その報いも受けさせないとね! よーし! 裁判開始だ! 被告人、ゲオルグ・ワイスマンの法廷を開廷いたします! 検察側(私)。弁護側(ワイスマン自身)。裁判官兼傍聴人(この場にいる皆さん)。被害者兼証人(私とヨシュア)。裁判長兼執行人(レーヴェ)。──よし、全員揃ってるね! 私も検事として頭の中に敏腕検事を召喚して頑張るぞ! では証言してください。

 

「どうなんだ? 答えろ。それとも貴様ほどの悪趣味でも自らの趣向が明らかになるようなことには答えられないか?」

 

「ぐっ……よりにもよってレーヴェ。君までその馬鹿げた風評被害に踊らされているとは……! アーヤ……貴様の入れ知恵だな!?」

 

「──あれは私がまだ10歳で結社に入ったばかりの頃だったね。私、ある日突然教授に呼び出されて……部屋で突然暗示をかけられて……何が何だか分からないまま、私は服を脱がされてしまったんです。しかも身体を熱くされて……その後、私はなんとか逃げ出しましたが、それがなかったらどうなってたことか……本当に酷い話だよね!」

 

「デタラメを口にするな! あれは貴様が勝手に行ったことで私は何ら関与していない!」

 

 ワイスマンが机をバンと叩いて異議を申し立ててきてる(気がする)。ふ、馬鹿め! こっちには更なる証人の用意がある! 裁判長! 新たなる証人、目撃者にして被害者ヨシュア・ブライトを入廷させていただこう! 

 

「……それは嘘だね」

 

「何!?」

 

「僕は見ていた。教授と同じ部屋で。彼はアーヤの身体に興味があって、そのために彼女を騙して部屋に連れ込んだんだ。そうしてアーヤに暗示をかけた瞬間……確かに彼女の言う通りになったよ」

 

「そ、それは……!」

 

「っ……最低です……! まだ子供だったアーヤ先輩にそんなことをしたなんて……!」

 

「吐き気がしてきたわ……」

 

「酷い……! なんでそんなこと……!」

 

「鬼畜どころじゃないな……最低最悪の性犯罪者だ……!」

 

「うわぁ……最低……気持ち悪すぎるでしょ……」

 

 ヨシュアくんの証言に裁判官兼傍聴人たちがざわついてる! 主に女性陣が! 非難轟々だ! よし、いいぞヨシュアくん! 相手に付け入る隙を与えるな! 更なる証言で追い詰めるんだ! 

 

「そして僕は……その時の記憶を封じられた。暗示が解けた今でも、僕の頭にはその時の悍ましい記憶が……正直なところ、深くは思い出せない……いや、思い出したくないんだ。教授はアーヤに暗示をかけた後、逃げられてしまったことに腹を立てて、僕にも同じことをしたのは覚えている。服を脱がされ、暗示をかけられてしまったからね……いつもより乱暴だったことをよく覚えているよ」

 

「ふ、ふざけるな! 何を言うヨシュア!? あれはただの調整であって……!」

 

「チッ……とんでもねぇ下種野郎が……おいてめぇ! ティータを見るんじゃねぇ!」

 

「……確かにそれは悪質だね。ボクも聞いただけで悍ましくなるような趣味のようだ」

 

「見下げ果てた奴だ……まさかそれほどに人としての道義に反しているとは……」

 

「これは外法やね……」

 

「……これほど最低な人間は見たことがない。外道という他にないな」

 

 更なる証言に裁判官兼傍聴人たちがドン引きした上で非難轟々だ! 主に男性陣が! バカめ! 今更そんな適当な嘘が通用すると思うなよ! ネタは上がってるんだネタは! ということで裁判長! 検察側は新たなる証拠品を提示する! 

 

「当時、教授は私に暗示だけじゃなく聖痕も埋め込もうとした。その証拠が……この私が映った写真よ」

 

「なっ……!? 貴様、いつの間にそんなものを……!?」

 

「暗示が完全になくなる前に撮った映像から抽出したものだよ。後で自然に消えちゃったけど……それでもここには顔を赤くしながら息苦しそうに廊下を歩く──聖痕を刻まれた私の姿が映ってる」

 

「…………確かに映っているな。成程……これは決定的だな」

 

 レーヴェが私の取り出した写真を見て更に酷く冷めた表情になる。ふふん、私を舐めてたのが運の尽きだ! 基地の監視映像に廊下を歩く私の姿が映っていたのを博士に頼んで抽出してもらってたのだよ! 面白教授! 君が見苦しい言い逃れを出来ないようにね! 

 

「ぐっ……この期に及んで……! このような……ふざけた真似を……!!」

 

「ふざけてるのはそっちでしょうが! 私はともかくヨシュアくんにまで暗示をかけて好き勝手して! この催眠変態暗示面白教授! バーカ! さっさと私とヨシュアくんとレーヴェと皆に謝れ! この塩カス野郎!」

 

「っ~~~~~!! こ、のッ……し……痴れ者がぁぁぁ!!!」

 

「! ──アーヤ!」

 

 ──え、何レーヴェ……って、うわああああああ!!? こ、攻撃された!! なんか赤い槍みたいなの飛ばしてきてる! なんならずっと追いかけてきてる!! に、逃げろー!! めちゃくちゃ危ない!! 

 

「うわっ! ととっ!? 危ない!」

 

「貴様……貴様のせいで……! 私がどれほどの屈辱を受けたか……! 貴様さえいなければぁぁぁ……!」

 

「逆恨みしないでくれるかな!? 自分のやったことでしょ!」

 

「黙れ! くっ……やはり魔眼はもう効かぬか……! 逃げるなこの痴れ者が……!」

 

 ははは! 逃げるなと言われて止まる奴がどこにいる! もう裁判の結果は出た! 判決! 有罪! 後はお前をエステルちゃんたちが倒してハッピーエンド! 塩の刑! そして教授の財産から慰謝料を差し引いてやる! 逆転の隙は与えない完璧な裁判だ!

 

「そこまでにしてもらおう」

 

 と、そこで逃げる私に攻撃するワイスマンにレーヴェが待ったをかけてくれる! きゃー! かっこいいぞレーヴェ! このままワイスマンをどうにかしてー! 

 

「もう聞きたいことは聞き終えた。先程貴様に昏倒させられた失態とアーヤとヨシュアの借りだけは返させてもらうぞ」

 

 そうそう! そうしてレーヴェはその《外の理》で作られた魔剣《ケルンバイター》を振りかぶり、絶対障壁に向けて振り下ろす。

 

「くっ……」

 

「ば、馬鹿な……《環》の絶対障壁が……そうか……その剣は!」

 

 ははは! ばーかばーか! 今更気付いてももう遅いわ! レーヴェの剣なら絶対障壁だって突破可能! これにて無敵のワイスマンを撃破可能! そしてレーヴェはアンヘルワイスマンの抵抗にあって──

 

 ……………………あれ?

 

「そう……俺が《盟主》より授かった剣……」

 

 ──今の私の位置……逃げたことでレーヴェの反対側。

 

「貴様の杖と同じく、『外』の理で造られた魔剣だ……」

 

 ──ってことは……。

 

「クッ……迂闊であったわ……」

 

 まず──────────────────────い!!!? 

 やばいやばいやばい!! レーヴェが攻撃される!! 殺される!! 致命傷が与えられちゃう!! 言ってる場合じゃない!! 走れ──!! 

 

「……ええい……離れろ……!」

 

 待って待って待って! ちょ、後数秒! 1秒でもいいから待って! そしたら追いつくから! レーヴェを突き飛ばして一緒に躱せるから待ってえええええええ!!? やば────い!! 

 

「離れろ……この痴れ者がッ!」

 

 ああああああああああ!!? もうダメだ間に合わない!! もうレーヴェを救うには……ああもう迷ってる暇もないいいいいい!! もうこうするしかない……!! 大丈夫! 私なら行ける! やっぱり行けないかも! でも考えてる暇がない! 

 

 ──ああもおおおお……! 結局()()()()()()()()──!! もうどうにでも……なれ──ッ!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──絶対障壁を突破しようと魔剣を振り下ろしたレーヴェに、ワイスマンの放った槍が放たれる。

 だけどその攻撃はレーヴェには突き刺さらなかった。何故ならそれは──

 

「ううっ……!!」

 

「な……!?」

 

「あ、アーヤっ!?」

 

 ──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……アーヤに突き刺さっていたから。

 

「何を……何故、俺を庇った……!?」

 

「っ……す……()()()()()()()()……」

 

「!?」

 

 そしてアーヤは、レーヴェを庇って赤い血を流す。

 レーヴェもまたそのワイスマンの攻撃の激しさに少なからず傷を負ったのをあたしは見た。それも致命傷ではないと確実には言えないほどの傷を。

 だけどアーヤの方は……あれじゃあ……! 

 

「ああっ……!?」

 

 そして遂に、ワイスマンの槍がドラギオンを破壊してレーヴェとアーヤを地面に転がす。

 だけどアーヤは、更に大きく吹き飛ばされて──

 

「こ……これで……救えた……かな……?」

 

「アーヤっ!!」

 

 ──ワイスマンの槍の追撃を受けて……根源区画の周りにある大きな溝──その穴へと、()()()()()()()()()()()()()落ちていった。

 

「レーヴェ! 今そっちに──」

 

「……くっ……! いや……俺たちに構うな……! お前たちは目の前の相手に集中しろ……! お前たちが……切り拓け……!」

 

「っ……」

 

「……やってくれたな……」

 

 そしてレーヴェは、膝を付きながら出血箇所を抑え……苦渋に満ちた判断を咄嗟にあたしたちに飛ばした。

 既にワイスマンが、更なる力を解放しようとしていたから。

 

「まあいい……()()()()()()()()()()()()()()()()()……絶対障壁も《環》の力のほんの一端だ……全ての力を解放して貴様らに絶望を味わわせてやる……」

 

「貴方のことは……絶対に許しません……!」

 

「遊撃士として! リベールの市民として! そして何よりも人として!」

 

「ワイスマン……僕たちは貴方を倒す!」

 

 だからあたしたちは──戦いに集中することにした。

 大きな怪我を負ったレーヴェと……致命傷を負って底に落ちていったアーヤに構うことなく、正真正銘最後の戦いに臨んだ。




裁判BGM:追求~追い詰められて~ということで今回はここまで。次回はエンディング。空の軌跡SC編終了です。多分感動のラストなんやろなぁ……ってことでお楽しみに。

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