──あいつらはドジだが、やっぱり只者じゃねぇ。
追いかけっこのスタート直後。俺とロイドの目の前で転けたアーヤちゃんとデュバリィちゃんは、その後、とてつもないスピードで走り出した。その速度は俺の目でも追いにくい──いや、他に目を向けなきゃならねえ状態じゃ目で追えないほどに。
言うまでもねぇが、旧市街の道を知り尽くしてるヴァルドとワジのコンビに、ポテンシャルの高いエステルちゃんとヨシュアのコンビも手強い。だから俺とロイドは連携と適切な判断によってなんとかレースを有利に進めた。
だが途中、エステルちゃんとヨシュア。そしてヴァルドとワジにまでしてやられたことで俺に火が点いた。
熱くなってキレちまった俺は本気で前を行く奴らを追いかける。
「追いついたー!」
「来ましたわよ!」
「っ!? あれだけの差があったってのにもう追いついて来たのか……!?」
「ロイド! 迎撃するぞ!」
「ああ!」
──そして背後から凄まじいスピードでやってきたアーヤとデュバリィに対し、俺はロイドの指示を聞くよりも速く、目の前にやってきたアーヤに攻撃を仕掛ける。相手を傷つけるかもしれねぇ──なんて考えはその時の俺の頭からはすっ飛んでいた。
だから俺の攻撃はかなり危険なものであったはずだが──
「楽しそうな顔になってるね!」
「!? な──!?」
──アーヤは俺の攻撃を受けて、俺の上を難なく素通りした。
その矛盾。俺を飛び越えようとしたアーヤにハルバードの一撃をお見舞いしたが、アーヤはそれを踏み台にでもするかのようにチェックポイントまで跳んで、そのまま同じくロイドを難なく突破したらしいデュバリィと一緒に道を戻っていく。
「なんてスピードだ……!」
「──ハハハハハ……! 面白ぇ……!」
ロイドの言うように速さも力も技もスタミナも、何もかもが俺を上回ってやがる。
あれなら本気でやっても問題はねぇし、俺も熱くなってきた。ロイドと共に全力で2人を追いかける──が、追いつけねぇ。
前を走っていたワジとヴァルドすら無視して、エステルとヨシュアに対しては仕掛ける──更に速くなったそれぞれの得物による戦技……コンビクラフトを受けたエステルとヨシュアだが、2人もまた連携でその連続攻撃を辛うじて返していた。中々良い勝負だが、まだアーヤとデュバリィに軍配が上がる。次に2人が突破して1位に躍り出ようとした直後、俺たちもまた仕掛けることにした。そうやって足の引っ張り合いが行われるからこそ俺たちにもまだ勝ちの目がある。ロイドが仕掛けるのに合わせて俺は頭上から強烈な一撃を食らわせ、そうして怯んだ隙にチェックポイントを叩いて俺達はゴールに向かって駆け出した。
だが──
「いった~~~い!! よくもやったなー!」
「中々よい一撃でしたが……それでもわたくしたちに勝つには足りませんわよ!!」
「なっ……!?」
「っ……馬鹿な……あれを食らってこの程度の隙しか作れねぇのか……!」
アーヤとデュバリィは俺たちを追いかけ、そして抜かしてしまった。
最後尾からの大きな出遅れ。そこから俺たちに追いつき、その上攻撃を食らってもなおあれだけのスピードで走ってくる。速さもそうだが、やっぱり体力も並じゃねぇな……!?
そして直線で抜け出された以上はもう妨害も出来ねぇ。苦し紛れに攻撃しても躱されるだけだ。そもそもそれで足を止めたら後続にすら追い抜かれる可能性がある。
くそっ、ここまでか……! 俺は追いつけないことを悟りながら歯噛みし──
「──へぶっ!?」
「──あいたあ!!?」
──だがゴール直前でまたしてもどこからか飛んできたバナナの皮を踏んで2人は転んでいた。こいつら……やっぱり間が悪いのもあるだろうが、なんか残念すぎねぇか……?
あまりの盛大な転け方に熱くなっていた頭が急に冷めるというか、虚を突かれて困惑しちまう。この2人はやっぱ只者じゃねぇようだが……ヨシュアと同じで悪い奴らではねえみたいだな……2人の様子を見て俺はそう思った。
──どうもー。ファッションデザイナーのアーヤ・サイードです。最近朝食にホットケーキを食べるのに嵌ってます。アルモリカ産の蜂蜜をかけるのが美味しくて美味しくて。デュバリィちゃんも気に入ってます。
ってことで追いかけっこが終了。いやー良い勝負だったね。観客にメルキオルがいて動揺して転けちゃったし、デュバリィちゃんも一緒に転けてかなり出遅れたけどそこからめちゃくちゃ頑張った。……いやもうほんとに……なんであんなにトラブル起こるかなぁ……おかげで本当に良い勝負になっちゃった。普通に走ったら私とデュバリィちゃんの余裕勝ちなんだけどね。
ただそのおかげで盛り上がったとも言える。私とデュバリィちゃんが追い上げた時の観客や実況の歓声がすごかった。ロイドくんとかサーヴァルドくんもびっくりしてたね。完全に勝負から脱落したと思ってたところで地形も利用しつつ妨害すら無視してただ速さで駆け抜けた。私はこういう地形で走るのは得意だし、デュバリィちゃんは私ほどアクロバットな動きは得意じゃないけどその分速さがあるから2人共良い感じに歩調を合わせられた。途中でランディがウォークライ発動させてめちゃくちゃ猛追してきた時はちょっとびっくりしたけど結果は何とか2位。最後に転けなければ1位だったんだけどなぁ……なんで急にバナナ飛んできた? マリ◯カートじゃないんだからさぁ……でもエステルちゃんやヨシュアくんたちには勝ったからいいか。デュバリィちゃんは悔しがってたけど負けは負け。敗北を認めないような無様なことをしない騎士道精神のデュバリィちゃんは1位になった特務支援課を少し見直したらしく、倒れている2人に対して「あの程度のチェイスバトルで体力切れを起こすとは情けないですわね」と告げた後「ですが連携と最後の動きは中々悪くありませんでしたわ。その調子で精進することですわね」と下げて上げるツンデレのようなことを言うデュバリィちゃんの賛辞を送っていた。要は中々見どころがあるから頑張ってねってことだよって言ったらロイドくんたちは苦笑いをして、デュバリィちゃんには「早く行きますわよ!」って催促されたため私もロイドくんたちに楽しかったよってお礼を言ってからデュバリィちゃんについていった。ちなみにアヤリィです。そして去り際にエステルちゃんとヨシュアくんにもすれ違ったけど──
「アーヤ」
「アヤリィだよ。いやー残念だったねエステルちゃん。でも以前に比べてすごく速くなってたし、成長したね!」
「それはありがと。でもやっぱり目的は教えてくれないのね?」
「それは……えーっと、どうする? デュバリィちゃん?」
「なんでわたくしに聞きますのよ……ふぅ、まあいいですわ。──ヨシュア・ブライト」
「!」
「貴方たちとわたくしたちの勝負はわたくしたちの勝利……ですが、先ほど見せた身のこなしにそちらの遊撃士と見せた連携……以前の貴方であればわたくしたちの攻撃を防ぐこともできなかったはず。ですからその分、成長したことだけは認めてあげます」
「デュバリィさん……ええ。僕はもう、あの頃とは違います」
「そのようですわね。《剣帝》に勝利したと耳にした時は何かの間違いとしか思えませんでしたが、今の貴方なら奇跡的にそういうことがあっても不思議ではない……そう思うことにしますわ」
「……ありがとうございます」
「おお、ヨシュアくん褒められた! やったね! デュバリィちゃんに認められたよ!」
「フン……力を示したのならそれを認めるのは普通のことですわ。そっちの遊撃士……エステル・ブライトと言いましたか。わたくしからすればまだまだひよっこですが……《剣聖》の娘というのも伊達ではないようですわね」
「うっ……やっぱりそこで父さんの名前が出てくるかぁ……でもありがと。そっちもすごい速さだったわ」
「おお、勝負の果てに友情が芽生えた! 絆レベルアップ!」
「芽生えてません! ……こほん。ですが、わたくしたち相手にあそこまで食い下がったその力に免じて、少しだけ教えて差し上げます」
「それは……」
「えっと、いいの? こっちは助かるけど……」
「構いません。──そもそもわたくしたちがクロスベルに滞在しているのは完全なプライベート。結社は何も関係ありませんわ」
「! ……そうか……」
「……やっぱりあなたも結社の執行者ってこと?」
「わたくしは《執行者》ではありませんわ」
「え?」
「まあ違うねー。ただ実力は執行者クラスだよ!」
「……ええ。わたくしが結社でどのような役職についているか、今はまだ明かすわけにはいきませんが……せっかくです。わたくしの二つ名だけは教えて差し上げます」
そしてデュバリィちゃんは最後に名乗った。
「《神速》のデュバリィ──とそう名乗らせていただいています」
そうしてかっこよく意味深に暗転……する前に私も名乗っておこう。
「そして私は《喘息》のアヤリィとそう名乗っているよ」
「その馬鹿げた名前まだ使うつもりですの!?」
「あーん、怒られちゃった。それじゃあねー」
「ちょ、ちょっと! 何を走って……ああもう! 待ちなさい!」
「あはは……アーヤは変わらないわね」
「うん、変わってないね」
──と、こんなやり取りがありつつ私とデュバリィちゃんは走って家まで帰った。最後にちょっと走って戻って「それとレンのことは皆に任せるからよろしくねー」とだけ言ってね。背後から驚いた感じの気配を感じたけど呼び止められる前に帰る。説明を求められても困るしね。……それとメルキオル怖かったし……バレないように観客に紛れて一般人を装ってるけど当然私にはバレバレというか私だけは分かるからね。走ってる最中もちょっと緊張した。
ただどういうわけかその後は別に連絡とかも寄越してこないというか、何をしているのかわからなかった。もしかしてまた観光か仕事に来ただけ……? うーん、メルキオルならありえるけど……ま、いっか。何もしてこないならそれで。後で気が向いたら連絡してみよう。それよりもやることあるしね。
──ということで創立記念祭の3日目は例のレンのイベントというか、レンの両親と弟……ヘイワース一家のイベントがある日……だよね? うん、多分そうなんだけど、私的には別にやることはない。レンに関してはもう私が関わらない方が幸せになれるだろうからね。エステルちゃんとヨシュアくんに任せると言ったのはそういうことだ。後は特務支援課も協力して、レンの両親は実はレンを捨てたわけじゃないっていう真相が分かることになる。そのことでレンにブライト家に特務支援課と縁ができて色々と上手くいくようになっているのだ! なので邪魔者は退散。寂しいけどレンも私よりブライトさん家の方が良いだろうからね。なので3日目は純粋にデュバリィちゃんとお祭りを楽しんだ。ご飯を食べたりショッピングをしたりね。途中でコリンくん知りませんかってレンと会う前っぽいロイドくんに声かけられたけど知らないって答えといた。実際知らない。街道に出たんだっけ……? まあ多分そんな感じだろうけど詳しい場所までは覚えてないから不確実なことは言えないんだよね。捜索の邪魔にはならないようにしておく。
……ただ結果は気になるから後でこっそり見に行こっかな。ってことでデュバリィちゃんに断って後から特務支援課のビルを見張ってみたけどどうやら無事にレンとコリンくんは救出されたみたいだし、エステルちゃんにヨシュアくんも特務支援課に尋ねに来てたからよかったよかった。これで上手いこといってるはず! 何もズレてない! 原作遵守だ!
私は安心して再びデュバリィちゃんに合流した。これで後はもう本当にやることは少ない。レンのイベントはちょっと心配だったからね。解消されてよかった。
なので創立記念祭の4日目は昼間は普通に遊んで、夕方からミシュラムワンダーランドで遊ぶことにした。夜も開いてるのがいいよねー! うわー! みっしぃだみっしぃ! あの猫の被り物! マスコットキャラだ! デュバリィちゃん写真撮ろ! 後は隠れみっしぃを探すんだ!
いやーまさかテーマパークに来れるなんて夢みたいだよね。テンション上がるなぁ。デュバリィちゃんも最初は渋ってたけどなんだかんだ楽しんでたみたい。ホラーなアトラクションだとちょっとビビってたのが可愛かったね。ちなみに鏡の城にも行ってみたけどルシオラ姉さんはまだいなかった。うーん、多分ニアミス。どのタイミングだったっけなぁ。まあ会えるまでは定期的に来よう。年間パスゲットだぜ!
そして夜はミシュラムにある高級ホテルで一泊。夕方から来たから中々ロマンチックなムードだったけどデュバリィちゃんは友達なのでそういう雰囲気にはならない。普通にご飯食べて普通に寝た。今度はセラちゃんとかシーナちゃんと一緒に来よう。デートに持って来いの場所だし。
で、5日目になる訳だけど……なんであえて昨日の夕方からミシュラムに来たか、その理由がこの日にある。というのもこの5日目の夜にこのミシュラムの別荘地にあるハルトマン議長邸で《黒の競売会》が開催されるのだ。
つまり、5日目の夜は予定がある。なので丸1日ミシュラムワンダーランドで遊べない! ってことで昨日の内に遊んでおくことにしたわけだ。それにしてもオークションかぁ……参加したことないけどそれだけなら楽しそうだよね。私もお金はそこそこ持ってるから何か珍しいものあったら買いたい。グリー◯アイランドとかないかな。私って天才だから特質系だと思う。ふふん。
とまあそんな冗談は置いといて、私はデュバリィちゃんと一緒に黒の競売会へと向かうことに。ちゃんとデュバリィちゃん用の品の良い私服は用意した。華やかなドレスとかも仕立ててみたんだけど、それだと嫌だって言うんでまあ普通にね。なんだかんだ言って元小領主の家系なのでデュバリィちゃんは品が良いし、黙ってれば普通に貴族のお嬢様に見える。私の方もこの帝国風舞台衣装が中々に映えるというか、圧倒的に私が1番輝いているのでまあこのままでいいだろう。それじゃしゅっぱーつ──ってとこでデュバリィちゃんから声が掛けられ。
「それで? 貴方の目的はルバーチェの会長かその議長とやらのどちらですの?」
「え?」
「え、じゃありませんわ。まさかとは思いますが貴方……わたくしが何も知らないでついて来てるとでも思ってますの? 貴方が連中を狙っていることくらい普通に考えればわかりますわ」
──ということで……なんか普通にバレてた。知らなかった……デュバリィちゃん、アホの子だから普通に何も知らないで私に付き合ってきてるのかと……。
でもそうか。デュバリィちゃんから話聞いた後にルバーチェの組員殺したりしてるし、私の過去とかも知ってるんだからそりゃ気づくか……何も言ってこないから気付いてないのかと……ん? ってことは──。
「……あれ? それじゃあデュバリィちゃん……もしかして手伝ってくれるの?」
「……そのつもりですわ」
「そっか。ありがとうデュバリィちゃん!」
「……別に構いませんわ。数年前に行った殲滅の続きをするだけです。あの下種な組織が生き残っているのであれば放置はできませんし……ひいてはこの地で行う計画の邪魔にもなりかねませんから」
「あれ? でもプライベートで来たんだよね? それともやっぱり仕事? リアンヌ様に言われてきたの?」
「そ、それは違いますが……と、とにかく! わたくしも手伝いますから! いいですわね!?」
「オッケー! なーんだ、それならもっと密に情報交換して手伝ってもらえばよかったよ」
「本当に気付いてなかったんですわね……道理で単独で動く上に何も言ってこないわけですわ」
「ごめんて。それじゃ改めてレッツゴー!」
「ええ、行きましょう」
──ということでデュバリィちゃんと一緒に《黒の競売会》の会場へ。それにしてもそっかー私用って何かと思ったら私の手伝いに来てくれてたんだね。しかもプライベートで……ってことはデュバリィちゃん、自分で色々調べてきてくれたのかな? ヨアヒムくんのことやヨアヒム殺しを止められてることにも気付いてないっぽいし……まあ結社側の情報だと今回の教団残党の事件についてはあまり重要じゃないというか、別に関わってないからクロイス家とかが握ってるだけでそんなに知らなかったり興味ないだろうからね。デュバリィちゃんもそこまで詳しくは知らないけど、私の様子を見て関係者ってことに気付いたのかな?
まあエンネアちゃんのこともあるし、デュバリィちゃんは仲間思いだから動いてくれたのだろう。うんうん、私も嬉しいよデュバリィちゃん! 一緒に教団駆除しようね!
「……何やらわたくしたち以外にも只者じゃない相手がいるようですわね」
「あーうん。そうかもねー。んぐんぐ……ん~! このお肉美味しい~!」
「って、貴方は何を呑気に食べてますの!?」
「いや美味しいから。デュバリィちゃんは食べないの?」
「結構ですわ」
「えー勿体ないなぁ。食べ物に罪はないのに。どうせこんだけあっても捨てられちゃうんだし、食べれる時に食べないとねー。あむあむ……ん~! こっちのスイーツも最高~!」
「緊張感がありませんわね……。──あら?」
「あ……アーヤさんに……」
「そちらは確か、デュバリィさん……!?」
──と、会場内でむしゃむしゃご飯を食べてたら誰かがやってきたのにデュバリィちゃんが気付く。フォーマルなスーツに眼鏡の弟フェイスの青年にそして艶やかなドレス姿の美女。
「あ、ロイドくんにエリィちゃん! 奇遇だね~!」
「貴方たち、何故こんなところにいますの?」
「えっと、それは訳があって……」
「ええ。だからその、素性についてはご内密にして頂けると……」
「もちろんオッケーだよ! それよりその服中々いいねぇ。私のブランドじゃないけど、2人に中々似合ってるよ! まあ私ならロイドくんの方にはもうちょっと小物を追加するけどね。エリィちゃんのドレスの色をパートナーであるロイドくんのスーツの裾で拾いに行くのはかなり良いけど単体だともう少し……私のこのシルクハットみたいなのを追加したりするのも良いんじゃないかな。エリィちゃんはあまり言うことはないけど、それでも強いて言うなら──」
「あ、ありがとうございます……」
「えっと、ここではその、ガイと呼んで頂けると……」
「もちろんオッケーだよ! それよりご飯食べる? 美味しいよ! 他の人は全然食べてないけどね!」
「……とまあこの調子ですからわたくしたちのことは気にせずとも構いませんわ。貴方たちがここにいる理由についてもわたくしたちには関係ありませんし」
「……ありがとうございます。ですがその……」
「? なにー?」
「アーヤさんたちは何故ここにいるんですか?」
──ということで会場に潜入中のロイドくんとエリィちゃんだけど、当然のようにそんなことを聞いてくる。自分たちの素性は隠すけど私たちがここにいる理由は聞いてくる。中々警察官らしい、そして主人公らしい面の皮が厚さが良い感じだね。なのでこっちも当然正直に答えるわけにはいかない。なので適当に……えっと、あ、そうだ! もっともらしい理由あった!
「私のブランドの服が流されてたら嫌でしょ? もしかしたら流れてるかもしれないし、流れてたら私が買い取ろうと思ってね」
「成程……アーヤさんの仕立てる服は一点物でかなりの値打ちの物もありますからね。それが流れている可能性があると……」
「うん。だから見つけたら買い取って、盗み取った奴を
「ぼ、ボコボコにですか?」
「それくらいいいかなーって思うんだけど、やっぱりダメ?」
「その、あまり暴力沙汰は推奨出来ませんけれど……」
「まあそれくらいなら……」
──お、警察官からのお許しが出た! まあ目的は嘘だけど、もしかしたら本当に流れてるかもしれないし、もし本当にそんなことがあったらボコボコにしよう。お金のために私の服を盗むなんて許せないからね!
「わたくしたちよりも、貴方たちの方こそ気づかれて袋叩きに合わないように気をつけることですわ。ルバーチェの組員も相当数詰めているようですし……それにあのガルシア・ロッシという男だけはかなりの腕前を持っていますから」
「……ええ、わかりました。気をつけます」
「アーヤさんたちも気をつけてくださいね」
「へーきへーき。私は熊さんにちょっかいかけるほど命知らずじゃないからねー」
──ってな感じで会場でロイドくんとエリィちゃんとも会話した。さすが主人公と言うべきか、他にも色んな人に声をかけてる。……というかここにあのキリカ・ロウランとかレクターとかもいるんだよね……怖いなぁ……急に襲われたらどうしよう。レクターの方は鉄血宰相と契約してるから大丈夫だと思うけどキリカさんの方はなぁ……まあでもデュバリィちゃんいるから何とかなるかな。
なので私はやるべきことをやるだけだ。とりあえずこのオークションでキーアちゃんが連れ出されるから、そのタイミングで動くとしよう。ついでにロイドくんたちも助けようかな。もしかしたら何か変なことが起きてピンチに陥るかもしれないし。
「ご来場の皆様……当競売会の主催者が参りましたので皆様にご挨拶させていただきます」
──お、そんなこんなでご飯食べたり会話をしてたら遂に奥からやってきた。ルバーチェ商会の会長であるマルコーニとクロスベル議会の議長のハルトマン。クソデブハゲジジイとロリコンヒゲオヤジ。……思ったよりも警備薄いなぁ。なんか挨拶してるけど何気なく近づいて殺ることは難しくない。まあ今はできないんですけどね。でも今はできるってタイミングを図るのは暗殺には大事。機を間違えると余計な手間がかかったりもするからね。
まあでもここにいる警備くらい私とデュバリィちゃんならなんてことない。騒ぎが起こったらこっそりと忍び寄ってやっちゃおう。デュバリィちゃんの方は騒ぎを更に手伝うとかサポートに回ってもらう形で。
はぁ、それにしてもあの2人相手だと全然乗り気でやれるというか、罪悪感をあんまり感じないから助かるよね。何しろ私の名前を勝手に使ったハゲデブと教団と関わりのあるロリコンだし! よーし! 久し振りにちょん切っちゃうぞー! 暗殺者アーヤちゃんの華麗なる暗殺をとくとご覧あれ! ショータイムだ!
──数十分後。
「おらー! 蜂蜜喰らえ―! 蜂蜜蜂蜜ー!」
「うおおお!!?」
──その後、私は何故か
ということで今回はここまで。次回はガルシア視点のルバーチェ回。ちなみに別のルートではアーヤちゃんがガルシアを蜂蜜塗れにしないので特務支援課が全滅します。しかし蜂蜜ルートに入ることで難を逃れることができます。その詳細は次回で。お楽しみに。
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