──その俺と似た肌色の女性は軍務でやってきた軍人であるらしい。
「情報局特務少尉のアーヤ・サイードだよ! Ⅶ組のことは話に聞いてるからよろしくね!」
「情報局と言うと……」
「《帝国軍情報局》……正規軍の情報機関ですよね?」
「ああ。宰相閣下肝いりの諜報機関だな。鉄道憲兵隊と並んで各地の領邦軍からは最大限に警戒されている組織だとか」
「そんな人がどうしてここに……?」
「ふむ……」
「ちょ……ちょっとちょっと。そんなにじっと見つめて警戒しないでほしいかなーって。言ったように正規軍でちゃんとゼクス中将の許可も取ってきてるんだから」
「あ……すみません。それで……アーヤさんは何故ここに?」
「それはまあ……お仕事かな。今はまだちょっと秘密。答えられなくてごめんねー」
「ああ、いえ、それもそうですよね」
「情報局は機密性の高い任務に従事することも多いと聞く。士官学院生に教えられることなどないだろうな」
「それじゃあ馬を追いかけていたのは……」
「景色の良いところでお弁当を食べてたら馬が走り出しちゃってね。でもさすがに速くて中々捕まえられなくてさ。だからⅦ組の皆が捕まえてきてくれて助かったよ! ──あ、リィンくんだっけ? 叩いちゃってごめんねー! お約束かと思ったからさ」
「い、いえ……それはこちらも悪かったですし……大丈夫です」
「ほんと? それなら良かった!」
そのアーヤ・サイードと名乗った情報局の軍人は明るい笑顔をこちらに向けてくる。
振る舞いも朗らかで嫌な風も微塵も感じない。軍人というには少し気楽過ぎる気もしたが、どうやら悪い人ではなさそうだった。Ⅶ組のことや俺たちの素性についても既に知っているようで名乗る前からこちらの名前を呼んでくる。俺の名前も呼ばれた。「集落の人に挨拶がしたいから案内してもらってもいい?」と言われたため、俺たちは一時アーヤさんと行動を共にすることにした。
最初は集落の場所を教えて俺たちは実習に戻ろうと思っていたのだが……アーヤさんはどうやら俺たちの活動を見たいとのことだったので相談した上でそのまま課題に戻り、俺たちは幾つかの課題をこなし、途中で壊れた導力車を修理してもらうべく北の湖のほとりに住む御老人──なんとアリサの祖父だというグエン殿に頼んで導力車を修理してもらい、そのまま集落に戻ることになった。その間、アーヤさんは大人しく──
「うわあああ!!? 湖のヌシだ──!! 一本釣りー!! フィ──ッシュ!! 誰か網ー!! というか籠ー!! 持ってきてー!!」
──はしていなかったようだが。湖でどういうわけか200リジュくらいはありそうな巨大魚を釣って大騒ぎしていた。ふむ、軍人にも色んな人がいるものだな……と俺は自らの知見の狭さを改めて思い知った。
そしてその後は集落で父や集落の人間に挨拶をして夕食を一緒に採ることになったのだが……シーダやリリに服をプレゼントして喜ばせていた。どうやら裁縫が得意らしい。それを見てアリサやユーシスは何か覚えがあるようで頭を捻っていたが……それが何かは分からず、しかし子供たちに親切な良い人という印象を少なくとも俺は持った。そのまま集落に泊まっていくことになり、空いているテントを案内されるとその日はもうアーヤさんに会うことはなかった。
──だが次の日、目覚めるとアーヤさんは出かけてしまったらしく集落には姿が見られなかった。代わりに手紙を書き残していた。「お世話になりました。ご飯美味しかったです。急ではありますがお仕事を思い出したのでお暇させていだたきます。ご容赦ください」という内容で、側にはお礼なのだろう。七耀鉱石と上等な布が置かれていた。
俺たちはそれを見て不思議がったものだが……すぐにそれを気にしている場合ではなくなった。
──帝国軍と共和国軍の監視塔が互いに攻撃を受けたという報せが届けられたのは朝食中のことだった。
俺たちはそれを聞いてすぐにゼンダー門に状況を確かめに行くことにした。父にも背中を押され、焦燥感に駆られながらもゼンダー門にたどり着くとちょうどゼクス中将が視察から戻ってきたところで俺たちは詳しい情報を聞いた。
帝国軍が先に手を出したという事実はなく、死者も奇跡的に出なかった。だが反対に共和国軍の方は被害が大きく、死者も出てしまったらしいと。
そして数時間の内に戦端が開かれる可能性が高いことを聞いて、俺は居ても立っても居られなくなり、確かな意思の下、事件の調査を任せてほしいと口にしていた。
そして俺の仲間──リィンたちⅦ組の仲間もそれに同意してくれ、ゼクス中将からも許可を得たことで俺たちは急いで事件の調査を行うことにした。
移動中に俺がトールズ士官学院に入学した理由を仲間たちに話し……やがて監視塔に辿り着くとそこで兵士から詳しい状況を聞き込みすることにした。
そして俺たちは死者が出なかった理由も聞いた。兵士が言うにはだが──
「ああ……それが砲撃が行われた瞬間、俺たちを突き飛ばしてくれた誰かがいてな。まあ監視塔から落っこちたからおかげで骨折やら打撲やらでこの通り重傷ではあるんだが……そいつのおかげでなんとか命を拾ったんだ」
「それは……」
「……その人が誰かは分からないんですか?」
「それなんだよな……だが女性だったのは覚えてるぜ。砲撃の瞬間に聞こえた声が女性のものだったし……砲撃の後で「うわあああああ!!?」って叫び声もしたからな」
「えっと……」
「……聞いてもないのに聞き覚えがあるような……」
「ああ……もしかしたらそれはアーヤさんかもしれないな」
「情報局の特務少尉か……確かに、情報局の人間なら事前に何らかの予兆に気付いて死者が出るのを食い止めた可能性はあるか……」
「でも叫び声が聞こえたってことは……」
「……死者は出ていないんですよね?」
「ああ、重傷者ならいるけどな。それにその女性も見つかってない」
「そうですか……」
──とのことらしい。俺たちは兵士にお礼を言って聞き込みをある程度終えた後に情報を整理するために話し合ったが……どうやら昨日会ったアーヤさんが砲撃から兵士を救ったらしい。
それと兵士たちの中では銀色の髪をした不審者が先日から目撃されているらしく、その人物が共和国軍の密偵ではないかという話も出ていたが、真偽は定かではなかった。もちろんその可能性も捨てきれないが……一先ず俺たちは砲弾が発射されたと思われる高台に向かい、そこで俺たちは砲撃を行った痕跡となる兵器を発見し、それを報告するためにゼンダー門へと一度戻ることにした。
だがその途中で白い謎の浮遊する物体に乗った少女を発見し、俺たちは馬に乗ってそれを追いかけ、石柱群までやってきた。
そこで彼女が何者なのか……無用な疑いを避けるためにもそれを問いかけると、彼女はひとりでに納得し、何かを思いついた様子で戦闘態勢を取った。
ミリアム・オライオンと名乗るその少女とそうして戦うことになり、それを乗り越えると俺たちは力を貸してほしいと言う少女に何をしてほしいのかと問いかけた。
そしてそれが帝国の監視塔と共和国軍の基地を砲撃した武装集団の拘束だと聞くと……俺たちは驚きながらも少女──ミリアムが協力してくれるならその猟兵と思われる武装集団の居場所に案内してくれると聞いて、俺たちはそれを了承して共にその場所へ向かうことにした。
一度集落で父や長老、通信機でゼンダー門のゼクス中将にも報告を行い、改めて武装集団を拘束する許可を得て、俺たちは高原の北側にある石切り場……古代の遺跡へ足を踏み入れた。
そうして俺たちはミリアムの協力を得ながら遺跡の奥へと辿り着き……そこで武装集団と思われる6、7人の気配を感じ取った後、準備を整えてからリィンの号令で突入することにした。
──そして俺たちは武装集団とそれを雇っていると思われる眼鏡をかけた謎の男……《G》……ギデオンと名乗った者を拘束するべく戦闘を行うことにした。
幸いにも彼らはそれほど強くはなく、もう少しで取り押さえられるというところまで彼らを追い詰めることに成功する。
だがギデオンという男がミリアムの素性について何かに気付いたように言及した直後──取り出したその異様な気配を発する笛の音色が響き渡り、頭上からこの石切り場のヌシと思われる巨大な蜘蛛の魔獣が現れ……俺たちは連戦することになった。
──だが問題はその後だった。
「ほう……中々やるものだな。ならば更に絶望を与えてやろう」
「何……!?」
「これは……!」
「魔獣が回復……!? いえ、強化されてます!」
「一体何をしたの!?」
「フフ……《AS薬》と言ったか。高い金を払っただけはある。そして……どうやら形勢逆転のようだな?」
「くっ……!」
「ちょっと計算が狂ったかも……! まさかそんな隠し玉があるなんてねー……!」
そう──ギデオンが懐から取り出した謎の薬を瀕死の魔獣に使ったことで、魔獣は金色のオーラを立ち昇らせながら復活してしまった。
それは絶体絶命の状況だった。このままでは俺たち全員魔獣の餌になってしまう。
「それでは──良き死出の旅を」
そうしてギデオンは俺たちに礼をしてその場を後にしようとする。
こんなところで倒れるわけにはいかない。故郷を戦場にさせるわけにはいかない。
俺たちはなんとか力を振り絞って戦おうとしたが……生き残れる可能性は限りなく低い。そんな絶望の中だった。
「ちょっと待った──!!」
「!? ──誰だ!?」
「この声は……!?」
──空間に突如として聞き覚えのある声が響き渡り、それと同時に見覚えのある人影が俺たちの前に割って入ってくる。
その速さは例えるなら疾風。一瞬のうちにその魔獣に一撃を与えてダウンさせてみせたその人物は……。
「Ⅶ組を殺すなんて……そんなことさせないよ!!」
「アーヤさん……!」
──情報局のアーヤ少尉だった。
──皆さんどうも! 情報局特務少尉のアーヤ・サイードであります! 軍人だけど銃は苦手です! いや、昔っからなんか微妙なんだよね。よく暴発したりあらぬところに銃弾が跳んでいったりするから銃は使わない方がいいって色んな人に言われた。でも刃物の扱いは得意です! CQCだって多分できるぜ! 良いセンスだ!
とまあそんなことは置いといて、ノルド高原にやってきた私はそこで遂にⅦ組の皆と出会いましたー! わー! ぱちぱちぱちー! まあ半分しかいないけどね! その半分をまずは紹介するよ!
まずはⅦ組の重心にして主人公! リィン・シュバルツァー! シュバルツァー男爵家の養子で自己犠牲しがちな朴念仁なザ・主人公! 八葉一刀流の使い手でかつ謎の力も持ってるぞ! ラッキースケベしてきたのはさすがだよね! 私も思わずお約束かなと思って叩いちゃったけどさすがのお人好しっぷりで許してくれた! まあ私の胸の感触を味わった代価としては充分だよね! 別に嫌じゃないけど!
そして次にヒロイン! アリサ・ラインフォルト! 金髪でお嬢様! グラマーでツンデレ! ラッキースケベもあるぞ! ザ・ヒロイン! まあリィンくんはヒロイン沢山いるからアリサちゃんと決まったわけじゃないけど一応メインヒロインなはず! あのラインフォルト社のご令嬢だ! ラインフォルト社といえば私の友達のクルーガーちゃんが仕えてる場所なので気になるよね! 今度色々とお話したいなー。
そして次は風! ガイウス・ウォーゼル! このノルド高原に住む遊牧民族出身のイケメンさんだ! ガイウスくんはなんと言っても貫禄がある! とても学生とは思えない落ち着き! 大人っぽい! 学生時代に出会ってたら普通にアプローチしてたかもしれないくらいの大人っぽいイケメンだ! そして風! 風! なんと言っても風! なんでも風でわかるし風で例えるぞ! ちなみにゲーム的にはくっそ強い。
その次はおっぱい! エマ・ミルスティン! 帝国に古くから住む魔女の一族だ! 眼鏡っ娘! 秀才! 委員長! おっぱい! アーツだけじゃなく魔術も得意だぞ! そしてヴィータ姉さんの妹分だ! だからスタイルも良いしめっちゃ美人! 眼鏡を外すと美人すぎるらしい! 服の仕立てがいがありそう! そしておっぱい! これが帝国の《巨イナル乳》の1つかな?
そして最後はお労しい! ユーシス・アルバレア! ユーシスくんは……そう、とにかく可哀想。アルバレア公爵家という帝国の名門貴族の子なのは良いんだけど正妻の子じゃないいわゆる妾の子供で、しかも庶子でもあって昔は平民でもあって母が死んでからアルバレア家に引き取られて……そして父親のヘルムート・アルバレアからは微塵も興味を持たれてないとかいうね……でも兄のルーファス・アルバレアは尊敬していて良くしてもらってるんだけど……そのルーファスが……うん……はぁ~~~~……クソデカため息が出るくらい色々と……まあヘルムートもクズなんだけどね……こっちも結構アレで……おまけに次に紹介するミリアムちゃんが……はぁ~~~~……もうね、本当にユーシスくんは可哀想。だから色々と優しくしてあげようと思う。Ⅶ組の中じゃリィンくんの次にユーシスくんがお労しいと思う。強く生きてね……。
後はミリアム・オライオンちゃんっていう情報局のエージェントで実は《黒の工房》製ホムンクルスのかわいい元気っ子がいるんだけど私はまだ直接会ってないから割愛。戦術殻の《アガートラム》で色んなものを粉砕するロリっ娘。この子も優しくしてあげたいよね。なんでとは言わないけど。ほら……わかるでしょ? 後に残酷なことになるから楽しい思い出を作ってあげないとね。
──とまあそういうことで私はⅦ組と出会った。そこで一応自己紹介もしておいた。ただ情報局の特務少尉で仕事で来たってことだけ告げてね。トールズの臨時の教官になることについては、まだ正式になったわけじゃないから今はまだ言わない。後で学院に戻ってから驚かせようかなって思ってる。ふふ、今から楽しみだなー。皆の驚く顔が。皆こうして実際に顔を合わせてみると皆数歳差とはいえ学生っぽくて可愛いし、大人の女性としてしっかり可愛がって導いてあげないとね! 大丈夫。実戦技術と服飾には自身があります! 後ちょっとは勉強もできるよ。こう見えて私は名門アラミスの卒業生だからね!
そんでまあちょっとの間Ⅶ組と行動を共にして彼らの活動をちょっとだけ拝見させてもらったけど……ふーむ。なんというか、原石って感じだね。まだまだ実力不足なんだけど、才能をすっごい感じるって感じ。弱いけど強いというか……あ、それと《ARCUS》のおかげかな。連携はかなり優れてる。集団戦はかなり良く見えるね。それぞれの得意で足りないところも補ってるからバランスがめちゃくちゃ良い感じ。このノルドの魔獣くらいなら余裕で倒しちゃう。将来有望な雛鳥たちって感じかな。これは鍛えがいがありそうだね! 残りの面々も楽しみだなー。
そしてまあ彼らは親切なので私のことを集落まで案内してくれたし、なんならノルドの人達は温かいので居心地はめちゃくちゃ良かった。子供たちも元気いっぱいで仲良くて良いよね。なんというか昔を思い出す。戦争で被災して貧乏になる前は私の故郷もこの集落みたいな雰囲気だったかな。まあ私が2、3歳くらいまでだけど。自然の中で家畜を育てながら一族全体が家族みたいな感じで平和に生きる感じがよく似てる。私たちも風には感謝してないけど水には感謝してたしね。砂漠や荒野に住む民族の信仰対象は水になりがちなのだ──ま、結局色々あって水すら満足に飲めずに挙句の果てに子供を売るくらいには貧困になっちゃったんだけどねー。
とまあそういうことなので人も空気も、なんなら食べ物も全然違うのになんだか懐かしくて居心地が良い。親切にも泊めてくれるしご飯もご馳走になったので私はガイウスくんの妹たちや集落の子供にノルド風の衣服をその場で仕立ててプレゼントした。あるかどうかわかんないけど帝国の方にお出かけする時とかに着ていくといいよってね。ノルドの伝統的な紋様なんかを取り入れながら帝国風というお洒落な民族衣装に仕上がってる。喜んでくれたので良かった。
その後はテントに案内されてそこで寝泊まり……後はぐっすりと眠るだけ……になったんだけどね。そこでふと思い出して私は飛び起きた。
というのもよくよく考えたらリィンくんたちが課題から帰ってきて、しかもアリサちゃんのお爺さんであるグエン・ラインフォルトが来てるってことは……これって2日目なんじゃないと。うろ覚えだけど特別実習って大体3日あって、2日目とかに事件が起きてた気がすると私は思い出した。
なので「やばい!」と私はテントを速攻で出た。手紙とお礼を残してすぐさまノルドバクシンオーに乗って監視塔に急ぐ。一応情報局の一員として働かないと! それに帝国解放戦線の活動も応援しないといけないけど、そこはできれば人死には少なくしたいし、それを防ぐために私は監視塔に辿り着くと直ぐ様上に昇って見張りの人達に近づき──
「危な──い!!」
「え……? ──うわぁ!!?」
「うわあああああああああ!!?」
──直後に共和国軍の基地で火の手が上がり、砲撃が飛んできたことで私は一々避難させている余裕もなく、見張りの兵士たちを高台から突き落とすことにした。大丈夫! 帝国人はこれくらいの高さから落ちても死なない! ましてや軍人なら余裕でしょ!
でも私が迫撃砲食らった──!! 痛い痛い痛────い!! くっそー! ギリギリだったからしょうがないとはいえ無駄なダメージ食らったー!! 許さんぞ帝国解放戦線! そこに雇われてる猟兵共! まあ私も雇われてるのは同じなんですけどね!!
私は内心で悪態をつきながらも急いで監視塔を見回って逃げ遅れた人がいないことを確認してからその場をささっと後にする。なんで逃げたかと言うと、説明を求められたら面倒だから。説明できないからね。なんで砲撃を察知したかとか。原作知識云々は置いとくとしても、実はスパイで帝国解放戦線に潜入してて、そこから情報を得たんです……とも言えない。二重スパイだからね。帝国解放戦線の不利になりすぎることも言えないのだ。……あれ? ひょっとして二重スパイってめちゃくちゃ面倒くさい? 立ち回り難しくない? しかも私って二重どころか実は三重スパイだし……。
……うん。まあしょうがない。一度引き受けちゃったことだし、それは割り切ろう。どのみち私としてもやるしかないわけだし、前向きに行こうと私はそれから一度、念の為共和国軍の基地の方も見に行って被害なんかを確かめた。こっちは結構被害がでかくて可哀想だったね。なんかこういうとこで共和国は人死にが多いのは何故なのか。まあ軍人だからある程度は仕方ないとはいえ、共和国モブ軍人は作中でよく死ぬ。ハーキュリーズとか……。
そんで色々と調査をしてたらすっかり日の出が上がったので私は集落から頂いたミルクを飲んで身体に活力を入れた後に再び移動開始。多分この後はリィンくんたちが帝国解放戦線の……えーっと、ギ……ギ……ギロロ? 違う。それはケ◯ン軍の伍長。また忘れた。とにかく《G》と雇った武装集団を拘束しに行くと思われるのでそこで待ち構えて観察するべく向かった。
もしそこでリィンくんたちが万が一こなかったり、ピンチになるようなら私が助ける。そして反対に《G》がなんか捕まりそうだなーってなったら私が《A》として現れて《G》を逃がす。そんな感じのプランで動くつもりだった。
なのでまあ遺跡の最奥に辿り着いた私は影に隠れて身を潜める。ちょっとリィンくんとかガイウスくんの気配察知が心配だけど、そこは私の暗殺者としての技量を信じるしかない……と、そういうことで待つことしばらく。お昼過ぎになってからようやくそこにリィンくんたちがミリアムちゃんを伴って現れた。よしよし、これなら大丈夫そうだね。戦闘も割と楽勝そうだ。それと君、ギデオンって言うんだ……言われてみればそうだったね。でも幹部の割にはそんなに強くない。ただその魔獣を操るアーティファクトがちょっと厄介かなーってくらい。まあこれならなんとかなるでしょ。呼び出した蜘蛛の魔獣……うえぇ……気持ち悪いなぁ。デカい虫って嫌だよね。まあ我慢できるけどさ。故郷だと蠍とか蜘蛛も普通にいたから。辺境生まれだとこういう時強いよね。でもリィンくんたちが無事に倒してくれると、そう思って眺めてたら──
「ほう……中々やるものだな。ならば更に絶望を与えてやろう」
「何……!?」
「これは……!」
「魔獣が回復……!? いえ、強化されてます!」
「一体何をしたの!?」
「フフ……《AS薬》と言ったか。高い金を払っただけはある。そして……どうやら形勢逆転のようだな?」
「くっ……!」
「ちょっと計算が狂ったかも……! まさかそんな隠し玉があるなんてねー……!」
──は? え、何してんの? 《AS薬》って……ちょっと!? それ私が原材料のヨアヒムくんが作った薬じゃないか!! バカバカバカ!! なんでこっちまで流れてきてんの!? しかも魔獣に使っちゃったら再生もするし強化もされるしでリィンくんたちがやられちゃうじゃんかー!! バカー!!
くっ……こうなったら仕方ない。Ⅶ組を助けよう。原作から逸脱したらやられちゃいそうで怖いし! ここは頼れる味方! 私の出番だ! とりゃー!
「ちょっと待った──!!」
「!? ──誰だ!?」
「この声は……!?」
私は陰から現れて蜘蛛を奇襲して切り裂く。よーしよし、不意打ち成功! 私にかかればこんなものだ。そして決め台詞!
「Ⅶ組を殺すなんて……そんなことさせないよ!!」
「アーヤさん……!」
格好良く、頼れる味方としてアーヤちゃんの参上! これでⅦ組を救った頼れる味方として皆の信頼をゲットだ! 絆レベルアップ! 私もARCUS持ってるから戦術リンクも使えるよ!
「貴様は……!」
「情報局特務少尉のアーヤ・サイードだよ! ってことで即刻お縄につけー!」
「っ……なるほど……そういうことか……!」
そして相対するギデオンだが、向こうはこっちが雇われてることを知ってる。でも情報局に潜入していることも知っているため、そのことを明かすことは出来ない。私と戦って勝てるはずもない。つまり逃げなければならないが、そうなったら私も彼を追いかけなければならない。
「……………………」
「……………………」
──なのでお見合いをしてしまった。いや、どうしようかなって……だって逃げてくれないと困るし……かといって露骨に逃がすことはできないし……しまった……こうなるなら魔物を倒さなきゃ良かったかな……もうちょっと時間をかけて倒してその間に逃げてもらえばよかった……ど、どうしよう。
「フ……どうやら今度はこっちが形勢逆転のようだな」
「おー! 話に聞いてた新人さんだ! やっほー! 初めましてー!」
「アーヤさんがこれほど強いなんて……!」
「でも助かりました……!」
「ちょうど私も情報をゲットしてたからね。Ⅶ組の皆が抑えてくれて助かったよ」
……と、言いながらも私は内心で困る。Ⅶ組の皆やミリアムちゃんにはちゃんと味方だと思って貰えてるけど、このままだとギデオンを捕まえちゃうなぁ……どうしよう。もういっそのこと一度捕らえた後で上手いこと脱走させる……? それならまあ捕まえた正規軍とか見張りが悪いというか、ギデオンがものすごいプリズンブレイクを成し遂げたってことで済むし……そうしようかなぁ……よし、そうしよう。
「っ……仕方あるまい……奴の手を借りたくはなかったが……ここは助力を乞わせてもらおう……!」
「何を言ってるか分からないけど無駄だよ! あなたたちはここで捕らえさせてもらうからね!」
「──そうは行かねぇなぁ」
「え? ──うわっ!?」
そうして私はギデオンを捕らえようと一歩踏み込もうとしたところで──奇襲を受けてそれを防ぐことを強いられる。え、誰!? まさかクロウ!? それともヴァルカン!? まだ誰かいたの!? なんかめちゃくちゃ聞き覚えがあるけど……って……。
「ハハ──やるじゃねぇか」
「ひっ……!?」
「新手……!?」
「斧使いか……! いや、それよりもこの気配は……!?」
「ああ……凄まじい殺気だ……! 禍々しい風を感じる……!」
「ええ……この気配は……」
「くっ……何者だ!?」
──私がその男と打ち合い、少し距離を取るとⅦ組の面々はその男の纏う気配を恐れる。
甲冑を身に着け、
「クク……生憎と名乗ることは許されてねえんでなぁ。まあそこの腰抜け共と同じ、雇われのしがない暗殺者だとでも思ってくれや」
「暗殺者だと……!?」
「でも暗殺者にしては……」
「只者ではないな……!」
「でもこっちにはアーヤさんが……!」
Ⅶ組が背後で戦慄するも、私という頼れる味方がいることでなんとか希望を繋いでいる。
だが私は内心で戦慄していた。相手のことをめちゃくちゃ知っていたから。何しろその相手は──私の部下だったから。私は心の中だけで叫ぶ。
(な……なんでアリオッチがここにいるの──────!!?)
そう──ギデオンを守るために立ち塞がったのは私がボスを勤める《庭園》の管理人の1人。《錆》の管理人。《鏖殺》のアリオッチだった……いや、なんで? なんでいるの? ん? いつの間に雇われたの? 確かにボスの私は雇われたけど……もしかしてその関係? 私がクロスベルに行ってる間になんかあった?
私は内心で疑問を口にしまくる。というか、アリオッチって庭園の管理人の中でも純粋な戦闘力じゃ多分1番強いし、そんなのがいたら困るんですけど!? 私でもきっと勝てないよ! Ⅶ組じゃ無理だって! 死人が出ちゃう!
「助かった。なら後は頼むぞ」
「ああ。足止めをすりゃあいいんだろ? ──まあその前に殺しちまうかもしれねぇがな」
──ひいいいいい!!? 殺されちゃう──!! ……い、いや、落ち着け。ボスは私。アリオッチは部下だ。それに耐えるくらいならできるし、さすがに殺されはしない。Ⅶ組を守らなきゃいけないってのがキツイけど……でもなんとかなるはず! こうなったらアイコンタクトだ! ギデオンを逃がすってだけなら都合は良いし、茶番を演じてもらうように伝えよう!
(程々でお願いね!)
(ん……? なんだ……? 何かを伝えようと……って、ああ。安心しな。もちろん全力でやるぜ。せっかくのボスと打ち合える機会だからなぁ。久し振りに楽しませてもらうとするか)
──よし、伝わったな! これで程々に戦って……って、うわああああああああ!!? 全力で斧振りかぶってきたああああああ!!?
「ちょっと!? 手加減くらいしてくれたって……!」
「悪いなぁ。これでも俺は仕事熱心なんだ。頼まれた仕事で手を抜くわけにはいかねぇし、何より
「っ……まあ、それはそうだね……!」
なんて言われるけど納得できない! いや、納得するしかないけどね! 向こうはちゃんと事情を察して私が繋がってることを悟らせないようにしてくれてるし、その心配りはありがたいんだけどさ! だったらやり合う必要ないじゃん! 危ないって! 不死身の化け物と戦うとかやだ──!!
仕方なく私は応戦するも、アリオッチはどれだけ攻撃しても死ぬことはない。……そういう意味じゃこっちは手加減する必要ないんだけど……でもそっちは手加減してくれてもいいじゃん! 私が死んだらどうするの!? メルキオルに死ぬほど怒られるぞ! それでもいいのかー!? こらー!!
「では今度こそ死出の旅を」
「っ……逃げられる……!!」
「!? ──待て! さっきの魔獣が……!?」
「復活した……!?」
「まだ辛うじて生きていたか……!」
「あれ……? マジ……?」
「どうやらそっちは絶体絶命みたいだなぁ? お前さんは生き残れてもガキ共はやられちまいそうだぜ?」
──しかも視界の端で私が倒したと思ってた蜘蛛が薬の影響か、生命力を発揮して再び動き出していた。ちょっと! このタイミングで更に復活しないでくれない!? 困るんだけど! こっちはアリオッチで手一杯なのにー! あーもう! 全部が全部、間が悪いよー!! うわあああああん!! 誰か助けて──!!
「では諸君! さらばだ! あの世で後悔するがいい!」
「くっ……」
「──己が大義のために子供を犠牲にするか……俺が言えた義理ではないが、随分と傲慢なことだな」
「! ──何……!?」
「え……?」
──ギデオンが勝ち誇り、その場を脱しようとしたその時だ。私はアリオッチと鍔迫り合いを行いながら、それを見た。
「はあっ!!」
「なっ……!?」
「一撃……!?」
「へえ……?」
「あ……!」
──先ほどの私のように突如として現れ、今度こそ蜘蛛型の魔獣を一刀両断して消滅させたその
「き、貴様は……! まさか……!?」
「どうやら俺のことを知っているようだな。さすがは《帝国解放戦線》の幹部といったところか」
「《帝国解放戦線》……?」
「それが奴の属する組織の名前か……」
「どうやらそうみたいだな……だが、とするとあの剣士は一体……?」
「銀色の髪に金色の剣……情報通りみたいだねー」
Ⅶ組の面々がその言葉から情報を拾いながらも、その男の正体に疑問を憶えている。彼らには男が誰か知りようがない。ミリアムちゃんがちょっと気付いているくらいで。まあ情報局のファイルには名前もあったしね。
だけど私はファイルを確認する以前から知っていた。その男のことを。
「何故貴様が邪魔をする……!? 知っているぞ……貴様は……!」
「……確かにな。以前の俺であればお前たちの目的も理解の余地があっただろう。──だが今の俺は既に答えを得ている。自己の正当化のために自らの都合の良い真実だけを見て敵を作り、その間にある犠牲を許容する……そのような欺瞞を俺が許すと思うな」
「くっ……」
──きゃああああ────!!? レーヴェだ────!! 《剣帝》レオンハルトだ──!! かっこいい──!! タイミング良すぎる──!! 私の中の結婚したい男性ランキングのトップ! 元執行者No.Ⅱの《剣帝》だ──!! 最強すぎるぞー!! というか銀色の髪の不審者ってギデオンじゃなくてもしかしてレーヴェの方だった!? 気づかなかった──!! うわあああああ!!
「へえ……これは思わぬ客が現れちまったなァ」
「……何者かは知らないが退くがいい。これ以上、この地で騒乱を巻き起こすと言うのなら──この俺が相手になろう」
「……なるほどな。それはそれで面白そうだが……さすがの俺もこっちの姉さんとアンタを同時に相手にするのは厳しそうだし、今回は退かせてもらうぜ──なあ、ギデオンの旦那もそれでいいよな?」
「っ……仕方あるまい……!」
「……! 待て……!」
「それじゃあな、ガキ共に情報局の姉さん。機会があったら今度は存分に殺し合おうぜ」
──そうしてアリオッチはギデオンを連れてその場から引いていった。さすがのアリオッチもレーヴェには敵わないと見たのか、引き時だと思ったのかな。武装集団は置いていったけど……まあそれは良い。だけどそんなことより──
「逃げられちゃったわね……」
「この状況なら仕方がないですよ……」
「ああ……それより、あなたは……」
「……俺のことなどよりやるべきことがあるだろう。戦を回避するなら急いだ方がいい」
「! ……わかりました。一先ず貴方の素性は置いておきます。それと助けて頂いてありがとうございました」
「感謝する……おかげで窮地を免れた」
「……ああ。後はお前たちでどうにかするといい」
言ってレーヴェはその場から去っていく。
その助けてくれた謎の人物にⅦ組は疑問に思いながらも残された武装集団を拘束して急いでゼンダー門へと連絡。そして向かっていった。
──そして程なくしてやってきた私の上司である《かかし男》レクター・アランドールによって共和国と交渉を行い、戦端は回避されるのだった……つまりは、一件落着だ! イエイイエイ! ミッションコンプリート!
──そしてその後。私はささっと姿を消して、ノルド高原のとある場所にて落ち合っていた。
「レーヴェ! 久し振りー!」
「ああ、久し振りだな。アーヤ。……およそ1年半振りか。相変わらずのようだな」
「うん! 相変わらず元気だよ! レーヴェの方も元気そうで良かった!」
「……腕前の方も以前と比べて上がったようだな。それに情報局の特務少尉か……どうやら色々と頼まれて動いているようだが……」
「ギクッ……そ、それはそのう……色々とありまして……で、でもその、めちゃくちゃ悪いことしようとしてはないというか……」
「ああ、理解している。裏にいる者たちの思惑はともかく、お前が自分の意思で大それた計画を行うとは思っていない。大方《深淵》か《破戒》の差し金だろう」
「あはは……まあ、そんな感じで……」
「その辺りも変わっていないようだな。少しは断ることも覚えた方がいいとは思うが……そこに隠れている者を少しは見習ったらどうだ?」
「──気付いていらしたのですね」
月の下で私はレーヴェと2人きりで旧交を温めていると、ふとレーヴェが岩陰の方を向いてそんなことを言ったので私もそちらを振り返る。久し振りのレーヴェに夢中で気配察知が疎かになってたけど確かにそこにもう1人がいた。そしてその人物は──
「く──クルーガーちゃん! 久し振り──!!」
そう、クルーガーちゃんだった。メイド服姿の! 私の親友の! 執行者No.Ⅸ《死線》のクルーガーちゃんだー! わーい!
嬉しくなって私は抱きつこうとするが──ひょいっと。クルーガーちゃんは私の抱擁を横にずれて躱した。
「って、なんで避けるの!?」
「なんとなく」
「なんとなく!? 酷いよクルーガーちゃん! 親友の私の抱擁を避けるなんて!」
「そんなことよりお久しぶりですね、レオンハルト様」
「ああ」
「無視!? ねえ私は!? 私にはもっとこう……なんかないの?」
「貴方の方は言うことは別にありませんので。相変わらずですね、としか」
「酷い! こっちはすごい寂しかったのに! 《破戒》のオジサンとか《
「絶対嘘ですね。貴方はともかく、あの人たちはそういう人達ではないでしょう」
「うん、まあ……それはそうなんだけどね。でも私が寂しがってたのは本当だよ!」
「ええ、はい。そうかもしれませんね。どちらでも構いませんしどうでもいいですが」
「なんか私にだけ冷たい! メイドなのに!」
久し振りのクルーガーちゃん! でも冷たい! 塩対応! むしろ昔を思い出す! 笑顔ではあるけど対応が変わってない! もっと優しくしてくれると思ったのに酷い!
「……それよりもクルーガー。今回の件についてお前は関与していないのか?」
「ええ。先ほども別の方より同じ質問を受けて否定させて頂いたのですが……今のわたくしはラインフォルト家のメイドであり、
「そちらの方!? どんどん距離が遠くなってない!?」
「……やはりか。お前の方は随分と変わったようだな、クルーガー」
「フフ、それを言うならレオンハルト様こそ。以前は酷く冷たい気配を漂わせるのみでしたが……今はその気配の中に人としての温かみを感じますわ」
「フッ、否定はしない。……だが、そうか。ラインフォルト社が関与していないとなると、やはり連中の大元は……」
「ええ。十中八九
「なんか私抜きで仲良く話してる! やだやだやだ! 私も入ーれーてー! 仲間外れやーだー!」
クルーガーちゃんとレーヴェがわかり合ってるので私は駄々をこねて仲間に入れてもらうように懇願する。──まあでもその話を深堀りすると私は気まずくなっちゃうんだけどね! 真相知ってるし! 知ってるけど言えないし! なんならそこから更に深いことまで知ってるし! ラインフォルト家の事情とか帝国の悲劇の元凶とか! 大体全部《黒》のアルベリヒとか《黒》のイシュメルガが全部悪いんだ! でも言えないジレンマ! なのでお茶を濁すしかない!
「──それでは仲間に入れてあげますから貴方の知ってることを全部話してもらえますか?」
「──そうだ! 今度トールズ士官学院に臨時の教官として出向するからクルーガーちゃんとはほぼ同僚だよ! よろしくね!」
「……無駄だ。アーヤはこう見えて一度受けた仕事は真面目に行う。雇い主に対する義理も硬く口を割ることはないだろう。──
「ええ、よく知っていますわ。あるいは口を滑らせてくれることを期待していましたが、さすがにこの程度では何も喋ってくれないようですわね」
「え!? まさかそのために仲間外れにしたの!? 怖い! 怖いよクルーガーちゃん!」
「そんなことはありませんわ。それより、貴方がトールズ士官学院に教官として出向とは……貴方にそれを指示した相手は失礼ながら正気ではないのでは?」
「失礼! 本当に色んな意味で失礼だよクルーガーちゃん! 私だって教官くらいできるんだから! こう見えて名門校卒だしね! ──あ、そういえばクルーガーちゃんは学校卒業すらしてなかったね! やーい、低学歴ー。私の方が学歴上ー。頭良いー」
「──ああ、この感覚懐かしいですね。久し振りに殺意を思い出しました。
「やっても!? やってもって何!? 怖っ! じょ、冗談だってば。ごめんごめん。でも教えるの得意なのは本当だよ!」
「………………………………」
「気の所為でしょうか。レオンハルト様が貴方の指導力について何か言いたげに見えるのですが……」
「え、そうなの? そんなことないよ。私の指導力はレーヴェ仕込みなんだから。前にアドバイスしてもらったもんね!」
「…………ああ、そうだったな。だがあれでは不十分だろう。後で人に指導する際の注意点をまとめたものを送るからそれを参考にするといい」
「ほんと? ありがとー! ふふん、これでバッチリだね! 名教官待ったなし! アーヤちゃんしか勝たん!」
「……まあ指導力に関してはともかくとして……問題は……」
「……ああ。
──え? 因縁? そんなのあったっけ? …………いや、考えてみたけど別にないでしょ! だから何も問題なし! これから学院で今度は教官として青春を送るんだ! 楽しみだなー! 生徒との絆! 同僚との絆! 頼れる教官アーヤちゃんの物語の始まりだ! 1ねーん! Ⅶくみー! アーヤちゃんせんせー! いえーい!
──そして7月某日。
「──アーヤ・サイード! 私はあんたを教官とは認めないわ! だから……教官の座をかけてあたしと勝負しなさい!!」
「…………あー……マジ? そういう感じかぁ……」
──トールズ士官学院のグラウンドで、私はもう1人の教官……《紫電のバレスタイン》ことサラ・バレスタインに教官の座を賭けての勝負を挑まれていた……ああ、そういえばこの人って元《北の猟兵》なんだっけ……でもあの件は……しかも《北の猟兵》ってアレだし、言い訳の余地もあるけど……それを言ったら余計喧嘩になりそうだし……もー! なんでこうなるのー!? 私は普通に教官として皆を教え導いて助けたいだけなのにー!! うわああああああん!!!
アーヤちゃんの武器属性は(斬S 突B 射C 剛A)って感じかな。つまりはゲストキャラとして遂にパーティ入りだ! やったぜ! これで閃の軌跡編はアーヤちゃん戦とかいう苦行すぎるボス戦はないな!
ということで次回は学院で生徒を交えてのサラ教官とのバトル。青春の予感がするねって。お楽しみに。
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