TS不幸少女のゼムリア大陸災難記   作:黒岩

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血染めと戯れる不幸

 ──どうもこんにちは……情報局特務少尉のアーヤ・サイードです……。宰相閣下から任務を受けて色々動いたのは良いんだけどなんか上手くいかなくてテロリストを待ち伏せしようとジオフロントに向かったら──《赤い星座》の面々と遭遇しました……最悪すぎる……どうしよ……なんかシグムントさんもシャーリィちゃんも不敵な笑みを浮かべてるし……ここはこう……上手いことコミュニケーションで乗り切れないかな……? よーし、笑顔笑顔……。

 

「や、やっほー。挨拶してくれてありがとねー。でも人違いじゃないかな? 私は情報局のアーヤ・サイード特務少尉だよ?」

 

「えーっ!? 絶対違うでしょ! あたしたちのこと覚えてないの!? あんなに楽しく戦ったのに!」

 

「知らないなー覚えてないなー《赤い星座》は情報として知ってるけど会ったことなんてないかもなー。なのでここはひとつ、初めましてということで仲良く──」

 

「ふっ、人違いか。なるほどな。残念だったなシャーリィ。《血染め》の先輩はどうやらお前のことを覚えていないらしい。以前のお前はまだまだ覚えるに値しない──取るに足らない小娘だったということだな」

 

「そっかー。まあ確かにあの頃のシャーリィは全然弱かったから仕方ないね。でもだったら──今から記憶に刻んであげることは出来るよね」

 

 そうそう。そうして親睦を深めるためにシャーリィちゃんが好戦的に目を輝かせて得物である《テスタ=ロッサ》を取り出してね──ってうわあああああ!? 違う違う違う! そうじゃない! なんでそうなるのっ!? そうはならんやろがい! ここは初めましてということで手を取り合うところでしょーが! いやー!? このままじゃ人食い虎に襲われる! 食われちゃう! 応戦して逃げなきゃ! 

 

「──やめろ、シャーリィ」

 

「え?」

 

「え?」

 

 と、私の方も仕掛けてくるならどうにかしなきゃと内心怯えながら構えようとしたが、シグムントさんの方は娘さんに静止を命じた。あれ? なんで? てっきり襲いかかってくるかと思ったんだけど……。

 

「今の獲物はそいつではない。むしろ同じ雇い主に雇われている者同士だ。クライアントのオーダーを優先するぞ」

 

「あ、それもそっか。ざーんねん」

 

 そ──そうそう! そうだよそれそれ! いやーさすがは大陸西部最強の猟兵団《赤い星座》の副団長! 《赤の戦鬼》シグムント・オルランド! 強いだけじゃなくて頭もキレるし冷静だぞ! そりゃそうだ! 私はなんかいつものノリで襲われるんだって思っちゃってたけど冷静に考えたら今の私は《鉄血宰相》の配下だし同じくテロリストの皆殺しを命じられた仲間! なんならこの後の雇い主も一緒! つまりは仲間だ! 仲間……なんて良い響きなんだ……! 強くて怖い人たちも味方なら全然マシに感じられる! やっぱり仲良くできるんだ! 友達になろう! 

 

「そうそう。シグムントさんの言う通り! だからお互い仲良くしようね!」

 

「ならさ、一緒にやりに行く? シャーリィも《切り裂き魔》のお姉さんのやり方に興味あるし!」

 

「──ごめんなさい無理です私はもう片方を追うのでそちらはそちらでやってくださいお願いします」

 

「なんで急にそんな塩対応!?」

 

「クク、どうやらお前は初見から敬遠されているようだな、シャーリィ」

 

「いや、どっちかっていうとシグムントさんの方が嫌だけど……」

 

「フッ、心外だな。確かに《戦鬼》として恐れられているが、これでも弁えていると自負している。何の依頼もなく敵勢力でもないお前に襲いかかるような真似はしない」

 

「(げっ、聞こえてた!?)あ、あはは……いやー、幼い頃の苦い記憶が蘇ったもんでつい……えっと、一緒にやるのはどっちでもいいんですけど、私はもう片方をとりあえず確実にやらなきゃいけないので後から追いついてやる感じでもいいですか?」

 

「……ああ、そういうことならそれで構わない。是非とも俺たちがオーダーをクリアしたか確認に来てほしい」

 

「ちぇー。せっかくあの《切り裂き魔》のやり方が見れると思ったのになー。でもまあいいや。また今度ゆっくりお話しよーね。《切り裂き魔》のお姉さん!」

 

「その呼び方はできればやめてほしいんだけどなぁ……それじゃまた後でねー」

 

「じゃあ《血染》のおねーさんかな! またねーばいば~い!」

 

「あはは……ばいば~い」

 

 ──ってことで意外と大人の対応をしてくれたシグムントさんとさすがに親の言うことや団の方針には逆らわないシャーリィちゃんに感謝して私はドロンとその場を後にすることにする。はぁ……危なかった……あのままやり合ってたら死んじゃってたかもしれないし……シグムントさんは猟兵の中じゃトップクラスの化け物で剣聖クラスとタメを張る感じだからめっちゃ怖いし、シャーリィちゃんもあの年齢で確かリーシャちゃんと同じくらい強いんだよね……ふぇぇ……強すぎ……成長しすぎだよぉ……さすがは将来の《赤い星座》副団長で執行者。戦いも殺しも大好きでやりまくってる女の子って怖いよね。正確な強さはわからないけど戦ったら負けちゃうかもしれないし、あれで普通に笑顔で接してくるの怖いよね。なんというかメルキオルを思い出すヤバさだ。慣れれば普通に接せられるけど最初だから戸惑ってしまった。次からは普通に仲良くしないとね。仲良くならないと刺されるかもしれないし気をつけよっと……。

 

 で、それはともかくとして……えーと。確か《帝国解放戦線》と《反移民政策主義》の人たちは途中で分かれて動くんだっけ? そんで《赤い星座》の面々がこっちにいたってことはもう片方は反対かな? それじゃ急がないと……仕事を失敗するわけにはいかないからね。できれば《黒月(ヘイユエ)》とかち合う前にやりたい。鬼畜眼鏡に会いたくないし、リーシャちゃんと戦うのも御免被る。そもそもせっかく《黒月(ヘイユエ)》とは和解したんだから対立したくないんだよね。鬼畜眼鏡は嫌いなままだけど。はぁ……なんかこう上手いこと遠隔でやれる手段ないかなー……って、それが本来はオジサン特製の兵器なんですけどね! マジでなんで効いてないのか……実はテロリストが付けてる顔隠しもガスマスクだったとか? それは普通にありえるけど……そうは見えなかったんだけどなぁ……はぁ、でもしょうがない。マニュアルはまた後で読むとして、今は急いで反移民の人たちを女神の下に送ってあげないと。急げ急げー。

 

 

 

 

 

 ──久し振りに見た《血染》のおねーさんはやっぱりすごく強そうだった。

 

 昔見た時も格上っぽかったけど今もそれは変わってなかったね! シャーリィも強くなったけどおねーさんも強くなってた! 一応シャーリィも《血染めのシャーリィ》なんて呼ばれてるから勝手に目標にしてみたけどまだちょっと足りてないみたい。

 とはいえ強さの隠蔽が上手すぎて肝心なところはわかりにくかったけど、それでもヤバかったね。

 

「あーあ。やっぱり一緒について来てほしかったな~」

 

「《切り裂き魔》のことならいずれ関わる機会もあるだろう。今は我慢しろ」

 

「はーい。……でもさでもさ! やっぱりすごかったよね! シャーリィやパパを前にしても全然やる気だったしさ! それになんだか隠し玉も持ってるみたいだったし」

 

「ほう……お前も気付いたか」

 

「そりゃああんなに自信満々だったらね。シャーリィたちがいるのに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そう、あの《切り裂き魔》のおねーさんは普通に見えて全然普通じゃない。今のヘタレてるランディ兄とは反対。外側だけ普通に見えるだけで中身はシャーリィたちと似て殺すことも全然躊躇ってない感じだ。でも猟兵とは違う。あれが暗殺者の気配って奴なのかな? 遠慮してるように見えて自信満々。普通シャーリィたち《赤い星座》が獲物を追いかけてるならそれに追いつこうなんて思わないし、ましてや《黒月(ヘイユエ)》と競争してそっちを終わらせてからこっちにやってくるって言うんだから可笑しいよね。パパも同じ気持ちみたいで面白そうに笑ってる。

 

「クク、《切り裂き魔》は大陸中で伝説になるほどの暗殺者。俺たちも猟兵として殺すことは得意だが、向こうもそれなりの自信があるのだろう。何年か前にやり合った時はまだ発展途上だったが……今はもうほとんど完成しているようだな」

 

「《黒月(ヘイユエ)》との抗争の時もいたみたいだけど姿隠してて全然見つけられなかったしねー。でも話せて良かったかな。それになんとなく仲良くなれそうだし!」

 

「ほう? お前もようやく友人らしい友人が作れそうか?」

 

「あっ、パパひどーい! それじゃあシャーリィが友達いないぼっちみたいじゃん!」

 

「だが否定できないだろう?」

 

「ま、それはそうなんだけどさ。でも……うん。向こうの方がちょっと年上だけど歳も近いから仲良くなれそうな気はしてるし、仲良くなりたいかも!」

 

 そう、そんな気はしてる。

 幼い頃から戦場で育って血と硝煙と肉に塗れてきたシャーリィは周りと価値観はあんまり合わない。同じ猟兵で同年代の女の子なんて──《西風》にいた妖精くらいだけどそっちとは結局あんまり話す機会はなかったし、滞在する街とかで深く分かりあえた相手もいないしね。ランディ兄みたいに普通の友人を作る機会はなかったし、別にそれに不満もなかったけど……同じ血みどろの世界にいる強い相手のことは気になるし、同年代で昔から血みどろの世界にいた匂いがするあの《切り裂き魔》のおねーさんとはかなり分かりあえそうな気がする。性格的にも明るくて面白くて一緒にいて楽しそうな感じがするし、こういう物騒な仕事の最中でも笑顔でいれる相手って他にいなかったからちょっと興味が湧いた。それこそランディ兄は従兄弟で昔はそんな感じだったけど今は違うし、《切り裂き魔》のおねーさんはそれこそ姉がいたらあんな感じなのかも。スタイルも良かったし、あんな姉がいたら普通に楽しそうだよね~。

 

「フッ……そうか。ならば次に会った時は一緒に食事か買い物に行く約束でも取り付けるといい」

 

「うん! そうしてみる!」

 

「あの娘なら俺たちの物騒な言動や価値観にもついて来れるだろう。お前の友人としては申し分のない相手だが……それに加えてあの実力もある。あるいはランドルフが《闘神》を継いだ際には、()()()()()()()()オルランド家に招いてやるのも悪くないかもしれんな

 

「! シグムント様、それは……!」

 

「うーん、確かにあのおねーさんが家に来るのは嬉しいけど、せっかく友達になれそうな相手なのにランディ兄のお嫁さんかー。まあそれはそれで姉になるわけだからそれも面白そうだけど……シャーリィ的にはちょっと複雑かなー」

 

「何、今はまだそういう考えもあるというだけだ。お前の友達作りの邪魔をするつもりはないから好きにするといい。なんならクラブの方に招いても構わんぞ」

 

「ちょっと引っかかるけど──うん、わかった! それじゃ頑張ってみるね!」

 

 パパからシャーリィの友達としても合格を出されたからシャーリィも安心して仲良くなれる。なんとなくライバルって感じはしないけど、同じ業界の先輩みたいな感じだし、色々と話を聞いてみたいよね! 

 

「ああ。だがな、シャーリィ。あるいは引くのは俺たちの方かもしれんぞ?」

 

「? それってどういう意味?」

 

「俺の勘だがな。どうにも引っかかる。クライアントから同じオーダーを出され、会場にもいた奴がどうしてこの場まで態々連中を逃したのか……俺たちの仕事を奪わないためか、それとも……何か別の理由があるのか」

 

「別の理由……殺そうとしたけど何か理由があって失敗したとか?」

 

「さて、な。言ったようにあくまで俺の勘──いや、嗅覚が匂うだけに過ぎん。俺たち以上に危険な匂いがあの娘からはするからな」

 

「へぇ~やっぱり面白そうだね!」

 

「ああ。それを確かめるためにもそろそろ仕事に集中するぞ。連中を追いかけて殲滅する。他愛ない相手だが、油断はするな」

 

了解(ヤー)!』

 

「りょうかーい♪ それじゃ狩りの始まり~!」

 

 そうしてパパから気になる言葉を聞いてそこでお喋りは終わり。パパの号令でシャーリィたちは一気に地下を進んで標的のテロリストを追い詰めて皆殺しにするために動き出す。

《切り裂き魔》のおねーさん──アーヤ姉はシャーリィたちに追いつくつもりみたいだけど向こうがそのつもりならこっちはそれより早く殺して驚かせてあげないとね! 急げ急げー♪ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──そうしてシャーリィたちはテロリストを追い詰めて一匹を除いて皆殺しにした。

 タイミング良くランディ兄たちがやってきたせいで殺すタイミングを逃したんだけど……雑魚だと遊び甲斐がないからパパの命令に従って生き残りを向こうにパスしようとして。

 

「あっ──ああああっ……!」

 

「え? ──うわぁ!?」

 

「何……!?」

 

「なっ……」

 

「……へ……?」

 

「い、一体何が……?」

 

 ──そこで異変が起きた。

 突然シャーリィが捕まえてた生き残りが苦しそうにもがき始めたのを見てシャーリィはびっくりしてその相手を離して突き飛ばす。なんとなく危険を感じたから。そうして離した後で見てみれば、その生き残りの身体には確かな異常が起きていた。

 

「がぁぁぁっ! ああ゛……っ! ぐ、ぐるしい……! 熱いっ……! 寒いっ……! 痛いっ……! あああ、ああっ!」

 

 それはシャーリィでも見たことのない状態ですごかった。

 足が青白くなり、目元を抑えて痛みを訴え、同時に熱さと寒さも感じてるみたいに藻掻き苦しむ。見れば腕や顔はどんどん焼けただれてすっごいグロテスクな状態になっていってるし、何が起こっているのかわからないみたいでただただ苦しんで、そして徐々に声が聞こえなくなって死んでいく。ランディ兄たちが絶句する気持ちもさすがにわかるけど、シャーリィは冷静で、それに何が起きたかがわかっていた。パパも同じく。

 

「あー……なるほどね。だから余裕だったんだ」

 

「フフ……そういうことだな。なるほど、これは想定以上だ。まさかどう転んでも任務を達成する手段を用意していたとは」

 

「何を……一体何をした!? こんな……こんなやり方で人を殺すなんて!」

 

「クク、そう言いたくなる気持ちもわかるが吠える相手を間違えるな。これは俺たちが仕掛けたものではない」

 

「何……!?」

 

「なら一体誰が……!」

 

「さて、な。俺たちも確証があるわけではない。知りたければ自分たちで推理してみることだ」

 

 特務支援課のおにーさんがパパに怒りをぶつけるけど、生憎とお門違いだよね。どっちみち、まあせっかく生かしてあげた相手が死んじゃったのは悔しいだろうけど、どのみち殆ど死んでたわけだし。私たちがやろうとアーヤ姉がやろうとさ。

 でもさすがにびっくりした。そして納得もした。アーヤ姉は──()()使()()()()()。それも普通の毒じゃなくてこれは多分毒ガスか生物兵器ってやつだっけ。前にパパから教えられた。BC兵器っていうかなり危険な兵器でシャーリィたちも特に気をつけてるやつ。アーヤ姉がそんなものを使ってシャーリィたちや、多分《黒月(ヘイユエ)》もかな? 出し抜いてるのを理解して、シャーリィはさっきのパパの発言もそういうことなんだと納得した。そしてアーヤ姉のすごさとヤバさも改めて理解した。シャーリィの想像以上に──面白くてヤバい相手なんだと。これはやっぱり話を聞いてみるしかないよね。

 

 

 

 

 

 ──えーっと、どうも。アーヤ・サイードです。まだやっぱりジオフロントにいます。そうしてテロリストの皆殺しを行おうとこっち側に逃げたっぽい《反移民政策主義》の人たちを追いかけてきたんだけど……なんか雲行きが怪しかった。《黒月(ヘイユエ)》の人たちがちょうど《反移民政策主義》を捕らえようと立ち塞がったんだけどね。そこで急にテロリストたちに異変が起きてた。

 

「うわああああ!!? 来るな! こっちに来るなあああ!!?」

 

「か、身体が石みたいに硬くなって……た、助けてく、れ……!」

 

「俺の手がぁああ……っ!? 誰か、俺の身体を……! 腐り落ちるのを止めてくれぇええ……!!」

 

 それはなんというか……パニック映画みたいな感じ? それぞれがそれぞれの症状で苦しんでいる。なんか幻覚見てるっぽくて空中に銃を乱射してて全身に火傷が広がってることに気づかない人や、身体がどんどん石化していく人に、手が腐り落ちた上に五感を感じれなくなってる人とか、なんか色んな人がいる。

 そんな人たちを見て《黒月(ヘイユエ)》の人たちは動揺していた。さすがにツァオとかは一応は冷静にどうなっているのかを観察していたが、それでも驚いてるっぽい。《銀》ことリーシャちゃんもさすがにびっくりしてる。

 でも1番びっくりというか、「えっ?」ってなってるのは私だ。こんなシーン原作にないけどどういうこと? なんか明らかに異常なことが起きてるけど……具体的にはオジサンのBC兵器を使った時みたいなわけわからんヤバい状況だ。

 

 …………まさか私の使ったBC兵器のせい……じゃないよね? あれは一応効果が全然違うし……即死させるものだし……中には即死してる人もいるっぽいけどさすがに違うと思う。うん。別に死んでも困らないけど違うと思う。思うけど……ま、まあ一応マニュアル見返してみようかな。うん。えーっと、《AS-CHEMICAL01》はっと……って、あれ……? 

 

 私は懐からマニュアルを取り出してそれを見る。そしてその中の《AS-CHEMICAL0()0()》というものを見つけるが……それは確かに私が使ったはずのBC兵器だ。無味無臭で即死させられるクリーンなやつ。

 でもこれは……よく見たらバージョン00であって、01じゃない。あれ? 私が使ったのって01…………もしかして使うやつ……いや、マニュアルが……。

 

 そーっと私は分厚いマニュアルを何枚かめくって探してみると、そこにはまた別の説明。新型の《AS-CHEMICAL01》の説明が載っていた。え、えーっと、なになに……? 以前のより僅かだが、ち、()()()()無味無臭で30分から1時間以内に()()()()()()()()()()……火傷や凍結に幻覚。石化に恐慌に混乱。五感の消失。腐食や呼吸困難、あるいは理解不能な症状が出る場合もあり。複数の症状が出たのち、やがて死に至る……解除方法は私が念じる以外に……わ、()()()()()()()()()()()()? は? なにそれ? 意味不明なんですけど……あ、裏にオジサンのコメントが載ってる……。

 

『よう、アーヤ。これを読んだ時にはまた間違えて面白い事態を引き起こしてると思うが、一応説明しておいてやるぜ。この毒は前のとは違って更に面白味のある毒ガスでな。効果は何が起こるかわからねぇ毒ガスときてる。俺が実験で使った時は突然悪魔が現れたり、急に脱ぎだして全裸になったり、むしろ強化されたりして面白かったぜ。大体は幾つかの決まったパターンなんだが、極稀にそういうことも起きてな。とにかくランダム性が高いギャンブルみたいな毒ガスだ。おまけに遅効性になってるからトラップとしてはかなり使えると思うぜ。玄関に芳香剤みたいに置いとけば客人がびっくりしてくれること間違いなしだ。──ま、それはともかく戦闘中とかに使うといいかもな。お前が念じれば即効性にすることも可能かつ解除方法もお前にダメージを与えること。つまり適度に戦う相手を苦しめることができる、ゲーム性のある毒ガスってことだ。どうだ、面白ぇだろ? ま、逆に言えばお前がその場にいない場合は解除できずに苦しみ続けることになる悪魔のような毒ガスになるわけだが……そこら辺の使い方はお前に任せるぜ。くれぐれも、間違って使うようなことがねぇようにな』──《破戒》のオジサンより……………………。

 

 んー……あー……そのぅ……。

 

「──なるほど。これはまたしてもあのお嬢さんにしてやられましたね。本来であれば政治犯として共和国政府に受け渡すつもりでしたが……いやはや、予想外でした。やはり()()()私を楽しませてくれますねぇ……さてさて、どう言い訳したものやら……」

 

 ──って、うわああああああああ!!? ツァオ・リーがなんか悪い笑みで愉快そうに私のこと語ってるー!! なんでバレたのー!? ごめんなさ──い!! でもテロリストは全員殺す予定だったからー! ちょっと苦しませちゃったけどしょうがないから許してー! …………でもよくよく考えたらお前に許しを貰う必要はないぞー! 和解はしたけどパンピーの私の彼女に手を出したことは根に持ってるんだからなー! 来るなら来い! 私は相手にしたくないけど《庭園》が相手だ! 私は戦わないけどね! でも他の方々はお騒がせしましたー! なんか意味不明な死に方してるのは怖いだろうけど相手はテロリストだし、なんかテロリストが勝手に毒ガスで自爆して死んだってことにして安心して次の章に行ってね! 多分もうこの毒ガスは使わないからさ! 魔獣とか敵以外には! 少なくとも善良なクロスベル市民には絶対使わないから安心して! はい、消えてなくなれ~! テロリスト以外に間違って吸ってる人がいたらヤバいからね! ふぅ、危ない危ない……これで危なかったけど毒ガスもなくなってテロリストも皆死んでるし、ミッションコンプリートだ!

 ──で、いいよね……? 何もおかしなことは起きてないし……でも一応戻りながらちょっと確認して──

 

「──あ! アーヤ姉! さっきぶり! ねえねえ、今度一緒に遊びに行かない? 色々と裏のお仕事の話とかやり方とか聞いてみたい!」

 

 ──うわああああああ!? おかしなことはなかったけどまた《赤い星座》と出くわしたー!? しかもシャーリィが飛びかかってきたー!? 懐かれてるー!? なんでー!? って、おっぱい揉まれて──あ、それは別にいいよ。え? だって減るもんじゃないし同性だしね。むしろ触り返しちゃうぞー! おらー! ──でも家に遊びに来るのはやめてね?

 




ということで西ゼムリア通商会議編は一応こんなところで。まあ後から他の視点でちょっと振り返ったり補足があったりするかもだけどね。一応ロイドくんたちは赤い星座のヤバさとランディ用イベントを見たのでそこは邪魔せずにそのまま独立宣言になりました。因みに別ルートだと全員全裸になるので国際問題どころか収拾がつかなくなるのでキーアちゃんは一度だけやりなおしたそうです。運が良くて良かったね。
次回は相変わらずトールズで教官をやりつつ、クロスベルで使徒の護衛したりクロスベル襲撃事件にちょっと関わったりと色々です。お楽しみに。新執行者もアーヤちゃんと相性良さそうなので楽しみ。
そしてクラフト説明も載せておきます。

《AS-CHEMICAL01》:CP30 範囲・中円指定 全状態異常50%(必ず1つは起こる) それ以外にも極稀におかしな効果が起こる。一定ターン数で即死。アーヤに一定ダメージで解除。要はパル◯ンテみたいな感じ。状態異常確定ガチャ。ちなみに00はまた別にあります。

感想、評価、良ければよろしくお願いします。
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