──アーヤ教官がどういうわけか走り去ってしまった後。
俺はクロウの言葉を思い出し、2階の客室を訪れることにした……が、正直なところ先ほどのアーヤ教官から聞いた話は俺の心を少なからずかき乱した。
以前から気になっていたアーヤ教官の過去……結社に所属することになった経緯……語られた過去はあまりにも端的ではあるが、それだけでも察せられるほどにその闇は深かった。語り口も明るいものだったが……それが逆に痛ましさをより感じさせる。それらの過去を既に乗り越えた……いや、既にどうでもいいものと切り捨てているようなアーヤ教官は本当に気にしていないのだろう。アーヤ教官が所有する人形《エクス=マキナ》からの言葉によってアーヤ教官は顔を真っ赤にして叫びながらいなくなってしまったのだから。何でも以前紹介されたレオンハルトという人物とアーヤ教官が人工呼吸という形ではあるがキスをしていたらしい。幾つかとんでもない単語も耳にしたが……とはいえそれを聞いても色めくような気持ちではなかった。
だけど正直なところそれのおかげで暗い気持ちは少しだけ吹き飛んだが……それでも落ち着いて深く考えてしまうとやはり暗い気持ちになってしまう。それほどにアーヤ教官の過去は重かった。
とはいえいつまでも暗い気持ちでじっとしているわけにもいかず、俺は2階の客室を訪ね、そこで囚われていたアルフィン殿下と顔を合わせた。
その時に俺は話の流れから俺の抱えていた迷いを殿下に打ち明け……そして殿下から恐れ多くも叱咤された。
エリゼの親友でもある殿下から聞かされたエリゼの想いや真意。
俺の考えていたことが的外れであり、本当は俺のことを守っていてくれたこと。
そしてそれはエリゼだけじゃない。父さんに母さん。ユン老師も。士官学院のみんなも。互いに支え合って生かし合っている。
──そのことに気付いた時、俺の胸には光が宿った。
この光があればきっと大丈夫だ。そう信じ、俺は殿下を連れてこの船から脱出することにした。
だがそれも簡単にはいかない。兵士や人形兵器を突破した先で待ち受けていた結社の2人──《神速》のデュバリィと《怪盗紳士》ブルブラン。その2人と相対した俺はそれでも行ける確信があった。
自らが恐れていた力。みんなのおかげで達した新たな境地。それを解放し、俺は以前よりも増した力を持って殿下を抱え、その場から脱した。
幾らこの力があっても彼らを倒し切るのは難しく、またそうしている時間もない。ぐずぐずしていたら他の面々も集まってくるだろうと判断し、逃げることを優先する。
途中の《西風》の2人を撒くのに使った残像も合わせて士官学院で培ったものだ。適切な状況判断に時には逃げることも必要。サラ教官とアーヤ教官から学んだことを活かして敵の陣を突破する。
しかしあのアルティナという娘を突破し、ヴァリマールのある甲板まで辿り着いたところで待ち受けていたのは──結社の執行者No.Ⅰ《劫炎》のマクバーンと同じく執行者No.ⅩⅢであるアーヤ教官。
そして俺たちⅦ組の仲間だった《蒼の騎士》……クロウだった。
「ふぅん……そういう“顕れ方”をすんのか」
「《鬼》の力──ようやく使いこなしやがったか。しっかし、現金なヤツだぜ。まんまと可愛い子ちゃんに元気付けてもらいやがったな?」
「はは……まあね。それに妹と、みんなと……ある意味クロウにもかな」
「ったく……」
「ちぃと試してみたいが……さすがに手を出すのはヤボだよな?」
「ああ、遠慮してくれや。アーヤ、お前も──って何してんだ?」
「……やばいやばいやばいレーヴェとキスしたキスした。でも落ち着け私。別にそれくらいってどうってこともないしキスくらい今まで腐るほどしてきたしそれ以上のことも馬鹿になるくらい経験済みだしそもそもただの人工呼吸だしそれくらいで狼狽える必要はないしわざとじゃないから別に抜け駆けでもないし相手がレーヴェでも別に……うわああああ……! なんか……なんかあああ……! 私の中の何かが目覚めるうううう……!? し、心臓が落ち着かない……! ど、どうすれば……と、とりあえず次に会ったら……ええっと、助けてくれたお礼に手編みのマフラーでも送る? 柄はお揃いの──って、違う違う違う! それじゃああからさま過ぎる! こういうのはもっとさり気なく相手のことを考えて……ああ、でもおそろっちにするのも悪くないかも……」
──と、対峙した俺たちの横でブツブツと何かを口にしながら一心不乱に裁縫を行っているアーヤ教官がいたが……もしかしてまだ動揺してしまっているのだろうか……。何やら目がぐるぐるしている気もするし、よっぽど先ほど判明した事実が衝撃的だったのか……。
「お、おい……なんか様子がおかしいが……マクバーン。こいつ、大丈夫なのか?」
「確かに未知の毒ガスでも食らったんじゃねぇかって感じの様子だが……こいつの様子がおかしくない時の方が珍しいし、平気なんじゃねぇか?」
「……それもそうだな」
──いや、さすがにその扱いは酷くないか?
だがアーヤ教官は実際大丈夫そうではあるし、こちらからすると都合が良くもある。ここでクロウとの立ち合いを制さなければ逃げることもできない。ゆえに俺は殿下を下がらせてからクロウとの生身の一戦に臨んだ。
「ハッ……やるじゃねえか。まさか一対一で押し切られるとはな……」
「っ……そちらこそ……“この状態”の俺の剣をそこまで凌ぐなんて──」
そしてその結果……俺はなんとかクロウの得物を弾き飛ばすことに成功した。
──しかしそこで限界が来てしまう。
「……クッ……こんなタイミングで……」
「《鬼》の力が尽きたか……」
「お、追いつきましたわよっ!」
「なんや、大人気やなぁ」
「だが、いささか無謀が過ぎたようだな」
「悪くない勝負だった。ただまあ、運は無かったな?」
「おいおい……あんまり手荒な真似は──」
力が尽きて膝を付いた俺の背後からは先ほど振り切った結社の2人と西風の2人にアルティナが追いついてきて、俺は絶体絶命の窮地に陥る。
こうなってはもう逃げることも抵抗することも叶わない。それを察したであろうクロウが俺を慮って声をかけてきた──その直後。
「おい……!」
「あ、紅い翼──」
頭上を通り抜けた紅い翼──カレイジャスの姿を確認し、甲板にいる全員がそれを見た。艦影だけではない……そこから飛び降りてくる頼りになる大人たちの姿を。
「あ……!」
「サラ教官、皆さん……!」
「お待たせ、リィン!」
「はは、ドンピシャだったみたいだな!」
「ユミル襲撃では虚を突かれましたが……」
「今度はこちらから出向かせて頂きました」
サラ教官にトヴァルさん。クレア大尉にシャロンさん。その4人が俺の背後を守るように立ち塞がってくれる。
そして味方は彼らだけじゃない。未だ戦力は劣っている。そんな中、それを埋めるべく降りてきたのは──
「し、子爵閣下……! それに、貴方は……」
「アルゼイドのおじさま……!」
「久しいな、リィン。アルフィン殿下もご無事で何よりでした」
「くっ……《光の剣匠》まで……」
「へえ……アンタ。強いな、この上なく」
「そなたの方こそ。結社最強の《火焔魔人》……かの《鋼の聖女》に匹敵すると噂されるだけはある」
「クク……どうやら俺の相手はアンタに決まりそうだが──」
「──いや、そなたの相手は私ではない」
「!」
続いて降りてきたのは《光の剣匠》だけではなく──以前にも会ったもう1人の達人だった。
シルバーアッシュの髪色を持つその人物は甲板に降り立つと旧知であろう結社の面々に声をかける──
「──久しぶりだな。マクバーン」
「!? ──ハハ……そうか……! ここでお前が来るかよ……レーヴェ……!!」
「《剣帝》レーヴェ……!? まさか貴方まで……!」
「へぇ……! あんたがあの《剣帝》か……!」
「……どうやらかなりの凄腕のようだな」
「おお……! 君までここで参上するとは……! わかっていたことではあるが、君はそちら側に付くようだね?」
「ヒュッ」
「ああ、ブルブラン……お前と縁のある皇子に頼まれてな。悪いがここは止めさせてもらうぞ」
「──その通りだ! 悪いが彼らを返してもらうよ……!」
《剣帝》レオンハルト──彼の言葉に応えるようにオリヴァルト殿下の声が響き、転移によって殿下とⅦ組の仲間たちが甲板に現れる。俺のことを心配して助けに来た仲間たちの声に俺は希望を感じる。
こうなれば戦力的には五分五分。なんとかこの場を脱することも出来なくはない。
「フフ……また会ったわね、エマ。魔女としてはまだまだ未熟だけど先ほどの転移術は見事だったわ。──それにレオンも久しぶりね。結社から抜けたことは聞いていたけれど……また会えて嬉しいわ」
「《深淵》の魔女か。相変わらず人が惑う様を見て愉しんでいるようだが……この場もまたかき乱すつもりか?」
「フフ、嫌われたものね。でも安心して。今はその気はないわ」
そう思って足に力を入れたが──そこで立体映像で現れたクロチルダさんによってこの場は俺たちに譲ることを口にする。俺はその場でヴァリマールに乗って解放され、それぞれが対峙しながらも因縁のある相手に対して言葉を送った。
「クク、それにしても結社を抜けてから随分腕を上げたみてえだな? 前から張り合いのある相手ではあったが……以前よりもかなり唆るぜ。今のお前なら《鋼》にも届くんじゃねぇか?」
「なっ……! まさか、そんなのありえませんわ! マスターに届くなんて……!」
「……さてな。人の身で《鋼》やマクバーン……
「うっ……」
「ハハ……! いいねぇ……なら次に期待しとくとするか」
中でもその会話。結社の執行者No.Ⅰと元No.Ⅱ……執行者のNo.は強さとは関係ないらしいが、それでも強さでは1、2を争うと言われる2人のやり取りは聞いているだけでも周囲に緊張感を走らせた。人を超えているという言葉も気になったが……今はその意味は分からない。
「……ところで先程から静かですが……どうかしましたか?」
「……………………」
「アーヤ?」
「……………………」
「どうかしましたの? ──って、貴方……」
「アーヤ教官?」
そこで皆のやり取りを聞いているとシャロンさんがアーヤ教官に声をかけていたが……確かにさっきからずっと静かだった。特に増援がやってきてから固まっている様子だったが……隣にいたデュバリィという人が様子を確かめる。そしてよくよく見てみれば──
「た……
「ええっ!?」
──何故か目をぐるぐるさせた状態で気を失っている様子だった。
その意味が分からない……いや、原因の分からない状態ににわかにざわつく。あのアーヤ教官が気を失うというのはよっぽどのことだった。
「はっ……!」
「起きましたわ!?」
「……そういえば最初から様子がおかしいようだったが……何かあったのか?」
「え……あ……い、いいいや……なんでも……なんでもないですううううううう!!」
「ええっ!? どこに行きますの!?」
「ふぅ……よくわかりませんが、あの子のことですからまた何か妙なことを考えたみたいですね」
「ふむ。何やら顔を赤くしていたが……」
「あいつが熱とか出るはずもねぇしな。放っといても問題ねぇだろ」
「…………(もしや……)」
甲板から艦内に走って去っていくアーヤ教官を見送り、元を含めて結社の面々が口々に言及しているのを聞いて俺もまた気にはなったが……とはいえ追いかけるわけにもいかず、俺はクロウと最後に言葉を交わしてから皆と一緒にカレイジャスに乗って去ることにした。
──うわああああああああん!! レーヴェの顔がまともに見られないいいいい!! 頭が沸騰しちゃうよおおおお!! どどど、どうすればー!!
パンタグリュエルの自室に入ったところで私は息を整えて落ち着く。ふぅ……あ、どうも。アーヤ・サイードです。恋愛対象は男女どちらも行けると思ってたけど本当の意味で初めて男性を意識してしまっているかもしれない……くっ……私にこんな乙女な部分があったなんて……! 自分でもびっくりだ。あー恥ずかしかった。思わず手編みのマフラーが2人分出来てしまった。今度プレゼントしよっと。
はー……でもしょうがない。これも受け入れよう。そうすれば悩むこともなく恥ずかしさもそこまで感じずに幸せな気分になれる。突然に明かされた衝撃の事実に加えて突然そのレーヴェが現れたからめちゃくちゃ動揺したけどもう大丈夫だ。次からはもっと普通に接することが出来ると思う。とりあえず次に会った時はデートでも……お弁当でも作ってピクニックとかしようかな……それで夜はハーモニカで『星の在り処』でも吹きながら望遠鏡で天体観測とか……レーヴェはなんとなくそういうの好きそうだし、私も天体観測はしたことないからそういうデートは憧れるなー。まあレーヴェと一緒ならなんでも楽しいとは思うけどね。
と、そんな妄想をしつつも現実に戻る。そういえばリィンくんに逃げられたんだったね。まあでもあれはしょうがない。リィンくんは鬼の力を御して神気合一を習得したし、一騎打ちでクロウくんも倒したし紅き翼がやってきて頼れる味方が大勢やってきたんだから仕方ない。そこにレーヴェまで来てたのは驚いたけど……まあこの帝国の現状をレーヴェが放置するわけもないしそういうことにもなるよね。とりあえず責任はヴィータ姉さんが取ってくれるって言ってたし、私は気にせず次の仕事に移ろう。結社の専用小型飛空艇でさっさとクロスベルに向かう。仕事の一覧は……えーとなになに……? クロスベル内で潜伏してる星杯騎士団の捜索と排除。同じく独立国内で潜伏、活動している《
まあでも排除って言葉で濁したおかげで私も言い訳の余地が出来るから良かったかもしれない。独立国内から追い出せば排除ってことでも通りそうだし。殺せって命令でも実際にやるかどうかは置いといて、言い訳しやすいのはありがたいよね。
ただそもそもレジスタンス以外は見つけられるかどうかって問題もあるけど。黒月にしても星杯騎士にしても隠れてるし。人数が多いから前者の方が見つけやすいかな? 星杯騎士は数も少ないし神機による防衛網があるとはいえメルカバに乗って移動したりするから正直見つけられる気がしない。ロイドくんたちの方は優先度も低いから他の仕事を言い訳に放置するつもりだし、クロスベル内で適当にお散歩しようかな。万が一《黒月》の構成員とかが見つかるようならちょっとはやってもいいけど……でもなるたけ出くわさないようにしよう。ミシュラムから湿地帯方面でも適当に歩いて捜索してる体で行こうかな。うろ覚えだけどこっちには黒月もレジスタンスも特務支援課のメンバーもいなかったと思うし、幻獣なら前はいたけど今は多分いないから安全だろうし、魔獣でも倒しながら適当に──ん? なんか人の気配が……しかも何人か……って……。
「それで、どうするの? ケビン」
「せやな。とりあえず、もうしばらくはロイド君たちのためにも撹乱を続けるとして──その前に、そこで隠れてる誰かを追い返さんとな」
「!」
「──うわっ!?」
──なんて、急に攻撃されたので私はささっと躱して茂みの中から飛び出す。
「! よりによってアーヤちゃんかいな……!」
「……っ……少し前にクロスベルで動いていたのは聞いていましたが……」
「あー……あはは、どうも久しぶりー。ネギ神父。そっちの娘は初めましてー」
「ネギ言うなや! はぁ……相変わらずやな、君は……」
「……リース・アルジェントです。一応、初めましてではないのですが……」
「え、嘘? 私全然覚えてないんだけど……」
「まあ《影の国》っちゅうちょっと特殊な状況で少しな。とはいえ正確に言うならリースとは初対面で間違いないし、オレの方もあの浮遊都市以来にはなるな」
──えええええええええ!!? そうなの!? 私やっぱり《影の国》にいたんだー!? ってかリースちゃん初対面だー! 可愛いー! 初対面だけど色々思い出すー! 腹ペコシスター! ルフィナ・アルジェントの妹でケビンの恋人! 聖杯騎士団の従騎士ー! ついでにネギ神父も一緒だー! 今は《外法狩り》じゃなくて《千の護り手》だー! うわああああああ!!?
なんか思わず見つけてしまったケビン・グラハムことネギ神父とリースちゃんとの対面に私は内心で激しく動揺しつつも落ち着く。とりあえず余裕そうに振る舞おう。
「なるほどねー。なんかチラッと又聞きはしたけど、色々あったみたいだね。その《影の国》とやらでは私は味方だったり?」
「いやまあ、思いっきり敵やったけど……」
「味方のような立ち位置でしたけどね」
「え? なにそれどういうこと? 敵なの味方なの? どっち?」
「せやな。それに関してはめちゃくちゃ言いたいことが溜まっとるけど……今は俺たちを捕まえに来た……いや、排除しに来た敵のようやし、それをぶちまける暇はないな」
「……そうね。残念だけど……捕まるわけにはいかない」
そうして和やかにネギ神父とリースちゃんと会話……してたのに2人は唐突に真剣な顔つきになってそれぞれボウガンと法剣を取り出す。……え? 戦うの? 本当に? い、いやまあ確かに見つけてしまった以上は言い訳出来る程度には戦う必要はあるけど……本当に言ってる? 二重聖痕持ちの聖杯騎士の第五位と従騎士とはいえ結構強い方のリースちゃんのコンビを相手にするのはキツイんだけど?
「あー……確かに立場的には敵っちゃ敵だけど……本当に戦うの? やめた方がよくない?」
「ま、キツイのは確かやけどな。ただでさえ大陸一の暗殺者で、その上
「だけどここで引くわけにも行きません。どうにか凌がせてもらいます……!」
「いや、だから──「我が深淵にて煌めく蒼の刻印よ──千の棘をもってその身に絶望を刻み──
「相性が悪いのは百も承知──せやけどなんとか守らせてもらうで……《外法狩り》やなく──守護騎士第五位《千の護り手》としてな……!」
待て待て攻撃してくるなー!! 話し聞けネギー!! 私1人相手に二重聖痕発動するなー! いやー!? 殺されるー! 《外法狩り》されるー! 本気でやらないとこっちがやられちゃうんですけど! 手加減してる余裕ないよー! うわああああああん!!?
「──やれやれ……2対1か。ならここは手助けさせてもらおうかな?」
「!? ──伏せや、リース!」
「っ……! きゃあっ!?」
──うわああああ!? なになになに──って、あれ……新手の襲撃が来てまた不利になったと反射的に思ったけど……私への攻撃じゃない?
リースちゃんに加えて二重聖痕ケビンとかいうチート相手になんとか戦っていると突如として紫色の結晶がリースちゃん目掛けて放たれ、ケビンがそれを察知してそれを防ぐ。お決まり的に私に攻撃してくるんじゃと思ったのに……というかなんかめちゃくちゃ見覚えある攻撃だった。しかもこの声は……え? マジ?
「──ケビン!」
「問題ない。攻撃は防いだ──が、まさかここで新手が現れるなんてな……なあ、《
「フフ、いやなにアーヤに野暮用があってね。カンパネルラにここにいると聞いてやってきただけなのだが……そしたら君たちと矛を合わせているものだから驚いてしまったよ」
そうしてケビンの言葉に答えながら私の隣に並んだ長い銀髪の男性に私は驚く。その人物は私と同じ結社の執行者だった。No.Ⅶ《幻想使い》シメオン。当然私の知り合いで、原作では(多分)出てない想像を具現化させるすごい人。それがなぜかこの場に現れて味方をしてきて……。
「え……シメオン? なんでここにいるの?」
「なんでって……君からのメールに応えただけなんだが。この地で現れた幻獣や特異な環境をこの目で見ようと思ってね。ついでにハーウッドさんから君への届け物を渡すように頼まれてしまったが」
「うわ……嫌な予感しかしない名前……しかも観光でやってきたとか……確かに直接見た方がわかりやすいかもとは書いたけどさ。まさか本当に来るなんて」
「そう嫌な顔をしないでくれ。共に
……なんて相変わらず胡散臭い紳士口調で紫色の想片を出現させるシメオン。確かにメールにはノリで「クロスベル面白いよ! 一度はおいで」みたいなことは書いたけど本当に来るとは思わなかったし、しかもオジサンからのお届け物とか嫌すぎる。そのまま返送したい。でもここで返送したところでいつの間にか家とか仕事場に置かれてたりもしそうだし、諦めて受け取るしかない。
それはそれとして……確かにシメオンが加勢してくれるなら二重聖痕ケビンとリース相手にもなんとかなりそう! 軌跡特有のヤバい時に現れる助っ人が遂に私の前にも現れた! いつもはそんな都合の良いことは起こらず1人でなんとかするしかなかったりするんだけど私もⅦ組に関わったことで味方補正が付いたのかもしれない!
「よーし、そういうことなら一緒に頑張ろう!」
「察するに君の仕事は聖杯騎士をこの地から追い出すことかな? であればそれだけは手伝おう──ああ、心配せずとも今回の計画にはそれほど関わるつもりはないから安心するといい」
「っ……厄介な……アーヤちゃんだけでも面倒やのに……!」
「要警戒ナンバーが2人……! ケビン! 協力してなんとか凌ぎましょう!」
「ああ、分かっとる!」
「出来れば早々に諦めてくれると助かるのだがね。アーヤはともかく、私の方は戦闘はあまり得意ではなくてね」
「私も別に言うほど得意じゃないけどね!」
ってことで久しぶりに2対2でバトルだ! これなら少しは安全だし、なんだったら勝ちきれる可能性も──って、よくよく考えたらそれはそれで問題では……? ケビンたちが負傷したりクロスベルから本気で撤退したらロイドくんたちにも影響が……それに大丈夫だとは思うけど万が一リースちゃんとかが重傷を負ったらヤバいし……。
「せっかくだ。手始めに
「なんやと!?」
「外界の獣……!?」
「フフ、さあ現われよ──
「
──って、こらあああー!!? 待て待て待て!! やめろ馬鹿! 唐突にクロスオーバーするなー!!? 確かにイラストと解説付きで教えたのは私だけどー!! でもちょっと感動するー! 後で触らせてほしいー!! でもケビンたちは逃げてー! 色んな意味で危ないからー!! このままじゃファルコムが任◯堂から訴訟されるー!! そしてケビンたちの身も危ないー!! 私じゃなくて相手と世界の危機だー!! うわあああああああん!!
今回はここまで。一応ネタバレになりすぎない程度の登場で抑えました。界の軌跡はクリアしたけど重要な部分については配慮して10月終わりくらいまで待とうかなって。感想としてはアーヤちゃんとシナジーがあるなって感じでこれからも頑張って書きます。
次回は特務支援課がミシュラムである人たちと遭遇したり、アーヤちゃんはキャンプファイヤー会場に行ったりしますのでお楽しみに。
感想、評価、良ければよろしくお願いします。