──俺たちの目の前でマクダエル議長とヨナを爆破したフードで姿を隠した謎の二人組。
俺たちは怒りを堪えて襲いかかってきたその謎の人物の制圧を試みた。
「アハハ……! 結構やるじゃない♡」
「ふむ、以前よりも対応力が上がっているようだな」
「っ……! 強い……!」
「1人はどうやら以前にルバーチェ商会のアジトで出会った人みたいですが……」
「重力を操る古代遺物に……そっちは爆弾の古代遺物かな。それほどの得物を所有しているなんてどうやら只者じゃないみたいだね」
「腕前の方も普通じゃありません……!」
「猟兵にも似ちゃいるがそれ以上に殺意の乗った攻撃……一体何者だ……!?」
「ええ。見覚えのある攻撃方法や姿を隠しているところといい……おそらくですが雇われた刺客か暗殺者の類でしょう」
──しかしその謎の2人は、こちらの想定以上の手強い相手だった。
1人はティオが言うように以前にルバーチェの地下で、マルコーニ会長の部屋で出くわした重力を操る古代遺物を使う人物のようだが、もう1人のダガーと爆弾の古代遺物を使う少年と思わしき相手については引っかかるところもありつつも初見の相手に間違いない。
そしてその強さは驚異的だった。アーティファクトの力も厄介だが、それだけでもない。身のこなしも洗練されたものであり、特に少年の方は容赦なくこちらの死角を狙いすまして攻撃してくる。その動作に淀みは全くなく、残忍な殺意を感じた。そういった生業に詳しいリーシャが言うように雇われた暗殺者……そう考えるのが自然かもしれない。
「へぇ……さすがは伝説の凶手《
「……率直に聞かせてもらう。貴方たちは何者だ? 前にそちらの彼には聞いたが、結社の執行者や使徒というわけではないみたいだ。かといって猟兵という感じもしない。となれば国外のマフィアやそれ以外の裏の犯罪組織……今わかる情報だと消去法でそう考えるしかないが、実際に明かしてくれるなら推理の手間が省ける」
「ロイドさん……」
「ほう……? 思ったよりも冷静だな」
「そうそう。見てなかったの? それとも戦闘に必死で忘れちゃったのかな? 君たちが救いに来たマクダエル議長にギークの少年、2人を木っ端微塵にしてあげたのをさぁ!」
「そうだぜロイド……! こいつらは……!」
「ええ、絶対に許せません!」
「──いや、よく見てくれ」
なんとか耐え凌いだ後の会話。こちらの神経を逆撫でしようとしてくる謎の2人に対し、俺は冷静に床に散らばった破片を手にしながら仲間たちや彼らに告げる。
「これは……硬い……?」
「ああ。人の肉片にしては材質が少し違う。人の骨にしても……本物はどうだか分からないけどイマイチ不自然だ。爆発した直後は頭に血が昇っていたけどよく見てみれば血の量も少なかったように思える」
「それは……確かに。言われてみればそうだな」
「なら、今の2人は別人……? いえ、もしかして……人形か何かを使った偽物……?」
「多分、だけどね。本物の人間にしては不自然だった。だから先ほどの行為は俺たちから冷静さを奪うため……あるいは挑発行為だと推測できる」
「そんな悪趣味な……」
「だけど確かに本物じゃないなら……」
俺がそう説明すれば仲間たちもそれに気付いて冷静さを取り戻す。そんな中でも俺は油断せずに真っ直ぐに、内心の怒りを抑えながら彼らを見つめ続けた。
すると少しの間をおいて少年の方が手を叩き。
「──あははは! すごいすごい! よくわかったねぇ!」
「戦闘中にそこまで気付くとは……なるほど。どうやら君たちを少しばかり見くびっていたようだ」
「ほんとほんと! いやー、まさかそこに気付いてくるなんてね。ただの捜査官にしては物凄い勘の良さじゃあないか」
「そりゃあどうも。だが……たとえ2人が偽物だったとしても決して肯定できるやり口とは言えない。爆発物の所持にその使用……実際にそれをやりかねない振る舞いも含めて、改めて君たちが何者なのか、その質問に答えてもらおうか」
「あらら、すごい警戒されちゃったみたいだね。ちょっとしたドッキリを仕掛けただけなのにさぁ」
「致し方あるまい。
「! てめぇら……」
「貴方たちは一体……っ」
そうして改めて質問を行ったが、返ってきたのは戯れのような言葉。そして、寒気を感じるような悍ましい気配の乗った視線。
人を殺すこと。傷つけることなどなんとも思っていない。なんの躊躇いもなくそれを実行できる。そんな邪悪な人間の気配を感じ、更に警戒を強める。
「ふふ、まあ確かにね。本当は本物で君たちの度肝を抜きたかったところだけど。クライアントのオーダーでもあるし、何より
「やはりどこかの組織の人間ですか……」
「依頼主は独立国……ディーター市長に間違いなさそうですが……」
「それは当たらずとも遠からずといったところか」
「え……?」
「依頼主がディーター市長じゃない……?」
「……重ねて問うが、あなたたちは一体何者だ?」
「アハ、僕たちのことが気になって仕方がないみたいだね♡ まあ、その期待に応えてあげたいのは山々なんだけど……生憎と時期尚早でさ。僕たちの素性を教えるわけにはいかないんだよね」
「何だと……!?」
「テメェ……そんな答えで俺たちが引き下がるとでも思ってんのか?」
「そう思うのなら追いかけてくるがいい。我らは止めはしない」
「そうだね。好きにするといいよ。──だけどその時は、
「っ……!」
「この気は……!」
おそらく笑みと共に放たれたその気迫──猟兵のそれとは違った赤黒い闘気に再び寒気を感じる。混じり気のない殺気。残忍さの発露。ここで追撃を行うようならこちらもただじゃすまない。今度は本気で殺し合いを行うと示してくる。
だが警察として、捜査官として、その必要があるのなら迷いはしない。彼らを取り押さえる必要があるのなら何としても彼らを制圧する。
「さて、どうする? 手がかりも得られるだろうし、どうしても僕たちを捕まえたいって言うなら付き合ってあげても構わないけど──」
「──いや、やめておこう」
「! へぇ……?」
「ロイドさん……いいんですか?」
「……正直、警察としては捨て置けない相手だとは思うけどね。だが今の俺たちがやるべきことは一刻も早くマクダエル議長やエリィたちを救出すること。彼らとこれ以上やり合っている余裕はない」
「確かに……」
「ぐずぐずしてたら《赤い星座》の増援も来るかもしれねぇ、か……」
そう、その理由を考えればここで彼らを追撃する選択肢はない。彼らがここを放棄して撤退しようとしている以上、深追いを行えば本末転倒。本来の目的であるエリィたちの救出を果たせなくなる可能性が高い。
だからこそ少なくともこの場は彼らを見逃すしかなかった。
「……なるほど。思ったよりも冷静だな。さすがはこのクロスベルの地における英雄といったところか」
「ふふ、そういうことなら僕たちは帰らせてもらおうかな。本当はもうちょっと暴れたかったけど、これ以上ここでやれることもなさそうだしね」
「……ああ、少なくともこの場では追わない。だが……」
俺は得物であるトンファーを彼らの方に突きつけながら告げる。
「もしまた、俺たちの前に《壁》として現れるようなら……その時は、全力で打ち破らせてもらう」
「! ……ふふ、了解。覚えておくよ。それじゃまたね、特務支援課♡」
「ではまたの邂逅を楽しみにしておくがよい」
──そうしてその別れの言葉と共に謎の2人は去っていった。
残された俺たちはようやく僅かに──敵地であることには変わりないため──緊張を解いて互いに見合う。
そこで交わす言葉は先ほどの2人についてのことだが、情報が少なすぎるために彼らの正体を突き止めることは出来ない。引っかかる部分はあるものの、それでも分かるのは彼らが随分前からこのクロスベルで暗躍していたということだけ。
だが彼らがどこの誰であろうとも俺たちのやるべきことは変わらない。俺たちのクロスベルを。真実を。そしてキーアを取り戻すために。
程なくして無事だったエリィやマクダエル議長、ヨナと合流した俺たちはそうして再びメルカバへ戻り、情報を共有しながら今後の動きについて相談するのだった。
そしてその結果、マクダエル議長によるクロスベル独立国の無効宣言を経て、俺たちはクロスベル市へ突入してディーター市長を押さえるための作戦を実行するため、クロスベル市を覆う結界を消滅させるべく、結界を発生させた原因の鐘がある月の僧院と星見の塔に向かうことにした。
──だがそこで待ち受けていたのは当然、それを阻止する役目を任された結社の面々。執行者に鉄機隊。月の僧院でカンパネルラを退け、続いてやってきた星見の塔では鉄機隊の《剛毅》のアイネス。《魔弓》のエンネアという強者と戦った。
誰もが一筋縄ではいかない相手だったし、この先には更に手強い相手が待ち構えているだろう。だがそれでも立ち止まるわけにはいかない。俺たちは覚悟を持って塔を進み、また待ち構えていた相手と対峙し──
「──イエ────イ!!! レッツパーリィタ────イム!!!」
「Foo────!!!」
「オオォン……!!!」
『ギギギ……外部カラノハッキングニヨリ制御不能……想定外ノエラーヲ検知……制御不能……制御不能……』
「うぅ……頭が……頭が痛いですわー……」
……と、思っていたのだがそこに広がっていた光景は、星見の塔には全く似つかわしくないキラキラした装飾や照明。即席のミラーボールが天井に吊り下げられ、七色の光がチカチカと点滅し、軽快なダンスミュージックがかかっている……そんな光景だった。
そしてそんなどこかのクラブかと見紛うような場の中心で星型のサングラスをかけたアーヤさんはDJブースで音源を制御してると思われる赤く光る導力機を操作しながら周囲にいる人形兵器や魔獣と共に音楽に合わせて踊っていた。……地味にあのデュバリィという人も端の方で頭を抑えて気持ち悪そうに蹲っている。
「な、なんだってんだこの状況は……!?」
「アーヤさん……!?」
「あのデュバリィって人もいますね……」
「こんなところで踊って何を……?」
「さあ……でも楽しそうだね……」
「じっと聴いてると勝手に身体が動き出しそうです……!」
「というかなんか本当に身体がリズムを刻み出したような……」
「……! 皆、耳を塞──うわぁ!?」
そしてその場でしばらく立ち止まっていると
最初は足でリズムを刻みだし、首が動き、徐々に身体の自由が効かなくなっていく。気付いた時には手遅れだった。
「おいお嬢! それにロイドも! 何急に踊りだしてんだ!?」
「そういうランディさんも身体が動いてますよ!?」
「か、身体が勝手に……!?」
「くっ……音を通じて身体が操られてる……!?」
「しまったね……! これじゃ無防備だ……!」
「それになんだか恥ずかしいですよー!」
「っ……なんとか突破口を開くしか……! これじゃ戦うことも──」
「──ふっふー!! フライデーナイトフィーバー!! アーヤちゃんのダンスナイト! まだまだ行くよー!!」
「って、こっちに気付いてない……!?」
「顔も赤いし、もしかして酔っているのかしら……!」
「確かに、あっちのデュバリィという人も二日酔いしてるように見えなくも……!」
「なら彼女たちや魔獣が襲いかかってくる心配はなさそうかな?」
「だ、だからってこの状況は……どうすればいいんですかー!?」
「と、とにかく気合で身体の動きを止められないか試してみよう!」
「それしかねぇか……!」
──その後、俺たちはどうにかダンスを中断出来ないか、あるいは音楽を止められないか色々と試してみたが無駄に終わり、それぞれが無駄に上手かったり逆に下手だったりするダンスを見せつけ合うことになり、最終的に気絶するようにアーヤさんが倒れると音楽も止まって身体に自由が戻り、同じく立ち直った《神速》のデュバリィと戦うことになった……物凄く体力を消費させられた……結果的にアーヤさんは眠ったままで戦わずには済んだが……結局さっきの現象はなんだったのか、またアーヤさんの謎が増える結果に終わり、俺たちは色んな意味で頭を痛くしながら屋上へと向かうことにした……。
──ハロー! とっても忙しいアーヤ・サイードです! 自分のやりたい仕事とやらなきゃいけない仕事が渋滞してて訳が分かりません! 東奔西走です! 現在進行形で行きかけたクロスベルから帝国に戻ってきました!
でもずっと走ってるわけにはいかないので途中から転移を挟んで休憩しつつ移動してたら多少は落ち着いたのでこうなった経緯を話すと、要はブッキングが酷いんだよね。帝国内でやることが若干落ち着いたから要請に従ってクロスベルに戻って1回特務支援課やらを待ち受けて仕事やった感を出そうとしたらその直後に前々から私が気をつけてた《北の猟兵》やらアルバレア公の動きが怪しいってことなのでこれはもういよいよ焼き討ちイベントが起こるんじゃないかと思い、めちゃくちゃ急いで交易町ケルディックに移動中ってわけだ。民間人に手を出すとか良くないしね。できることなら助けてあげたい。
まあそもそもケルディックの焼き討ちの犠牲者ってそんなに多くなかったような気がしないでもないんだけど民間の街を焼き払うって行為がそもそも帝国の内戦じゃアルバレア公と北の猟兵くらいしかやってない鬼畜行為だし、火を使うと犠牲者も出やすくなるからやっぱり良くない。私も本当にちっちゃい頃だけど故郷を燃やされてるからよくわかる。命が助かったとしてもその後の生活も大変になるし、間接的に人が死ぬことにもなりかねないんだよねー。
とはいえ放火とかを全部防ぐのは物理的に難しいかもだから最悪人命だけささっと助ければいいかもしれない。そのためには速やかな動きが求められる。救出もそうだけど、そうなる前に根本を断てれば完璧だよね。
「──ってことでアリオッチ! 《北の猟兵》と領邦軍を見かけたら最優先皆殺しでよろしくねっ!」
「ハハ、よし来た! 得意分野だぜ。一応味方側のはずだがやっちまっていいんだな?」
「雇い主の評判も悪くなるから許容範囲内のはず! だから大丈夫だよ! じゃんじゃんやっちゃって!」
「ならさっさとやっちまうか。もう始まってるみたいだしな」
「え? ──あっ! ほんとだ! やばい!」
そんなわけで移動中にアリオッチと合流して東ケルディック街道の外れからケルディックに向かって進んでいると火の手が上がったのと人の悲鳴が聞こえ、更に血の匂いまで感じたのでこれは焼き討ちが始まったと私も察する。やばいやばい! 早く行かないと!
「って、しかもなんか思ってたより燃えてるー!?」
「へえ……? 連中もかなり気合が入ってるみてえだな──っと!!」
「何者だ!?」
「誰でも構わん! 邪魔者は排除──ぐああっ!?」
言いながらアリオッチが猟兵をそのバカでかい斧槍をぶん投げて殺害する。見れば今まさに民間人の家を放火し、住民に銃を突きつけているところだった。
なんか焼き討ちというかもはや虐殺みたいなことしようとしてる感がすごいけどやっぱ焼き討ちってこんなに酷いんだね! これはもう手段を選べる余裕はない!
「アリオッチは後で合流ね!」
「おう。それじゃあまた後でな」
「よろしくね!」
ってことで一旦アリオッチと別れる。アリオッチに救出は向いてないだろうし、北の猟兵の数を減らしてもらいつつ注意を引いてもらおう。なんか私が思ってたのよりなんか酷いし。焼き討ちってゲーム内だとやってるところ描写されてなかったはずだからわかんないけど見た感じ普通に虐殺しようとしてるじゃん! 猟兵も殺意マシマシというか悪意が目に見えるくらいはやる気満々だし!
「依頼人からのオーダーだ! 容赦なく燃やして殺せ!」
「住民だろうが容赦するな! 大義は我らが領邦軍にある!」
「やめろこのアホ──!!」
「ッ……!? ガハッ……!」
「なっ……あれは……!?」
「確か我々の協力者の……!」
「あの狂った暗殺者か……!」
「やはり情報局のスパイだったのか!?」
「ええい、何をする!? また意味もなく邪魔立てするつもりか!?」
「うるさいうるさいうるさい! なにが大義だこのアホー! ばーかばーか! 意味もなく民間人殺すアホに味方するわけないだろー!」
オズボーン宰相とか結社の人たちですら計画に必要ならという但し書きがつくのにどうでもいい理由で民間人を虐殺するようなアホアホ貴族集団の群れがいたのでとりあえず文句をぶつけておく。暗殺者の私が言えた義理じゃないかもだけど殺すならもうちょっと納得できる理由を持ってから出直してきてほしいよね! 民間人をやっていい理由なんてあんまりないけどさ!
「やむを得ないか……! なら容赦はせん! 我らクロイツェン領邦軍の誇り高き剣の錆となるがいい!!」
「こっちこそ容赦しないからね! ──
「っ……!?」
「こ、この気は……!」
「寒気が……!」
おらー! なんかこっちを見て急にビビり出してるけど食らえー! なんか知らんけど食らえー! 全員ぶっころだー! とりあえず間近な敵からサーチ&デストロイ! 領邦軍の兵士を針付きの糸で頭や心臓を撃ち抜いてついでに一纏めにして引き寄せる! 死んでない敵も《ゾルフシャマール》で挟んで次!
「建物だけじゃなく畑も燃やせ!」
「こらー! 燃やすなー! 農家の皆さんに謝れー!」
「っ!? あれは……!?」
「もしや……報告にあった結社の暗殺者……!」
「我らの祖国をかつて襲撃した《血染の裁縫師》か……!」
「襲撃したのは国じゃなくて《北の猟兵》だけどね! ──って、喋ってる場合じゃなかった! とにかく地に還れー!」
次に街の中を進んで遭遇したのは《北の猟兵》! ってことで見敵必殺! 針にオジサン特製の神経性の毒を塗りつけて投射! そのまま相手に毒を縫い付けるクラフト! 名付けて“エンブロイダリーペイン”! めっちゃ痛いよ! 私でも触ったらちょっぴりチクッとするくらいだし! ちなみに激痛はおまけで解呪しないと数分で死にます! 1人1人切り裂く余裕もないので針付き糸に毒が大活躍だ! ってことではい次!
「正規軍の駐留を認めるような恥知らずの領民共! クロイツェンの騎士の姿を目に焼き付けて、己の愚かさを悔いるがいい!」
「機甲兵に乗ってイキるなー! どうせ生身はボンボンの雑魚のくせにー!」
「ッ……! なんだ貴様は……!?」
「邪魔をするなら叩き潰してくれる!」
そして更に進むと今度は機甲兵が現れた! しかも二体! 硬くて面倒くさいけどやるしかない! どうせ死ぬなら最期くらいは綺麗な緋に染まれ! これが私の最高傑作! “オートクチュール・ル・サン”! 中ボス相手はさっさとSクラで片付けるに限るよね!
「ええい! よくも虎の子の機甲兵を……!」
って、まだ一体残ってたー!? ぎゃー! 攻撃食らうー!
「──やれやれ……修羅と化しても油断する癖はまだ残ってるようだな」
「え……?」
「!? 誰だ──」
「──遅い」
──と、そこで突然、機甲兵の背後に現れたのは見覚えのある姿で、しかも聞き覚えのありすぎる声だった。
「砕け散れ──“雷劫剣”!!」
そしてその相手は向こうの兵士が対応するよりも先に機甲兵の頭上に飛び上がると、力強くも洗練された剣の一振りで機甲兵を一瞬で駆動部分を斬り裂いて膝を突かせた。
「馬鹿な……!」
「数日振りだな、アーヤ」
「あ……!」
私は声をかけてきた相手に内心で強く反応する──け……けけけ、《剣帝》レーヴェだー!! うわああああああああ!!? めちゃくちゃかっこいい登場だー!! うわああああ!! 顔が熱くなるー!! せっかく落ち着いたのにそんなかっこいい登場されると心がかき乱されるー!! うわー! うわー! どうしよー! うわー! で、でも変に思われたくないし、普通に喋らないと……!
「そ……そそ、そうだね……久し振り……えーと、そのぉ……」
「そちらの動きを鑑みるにどうやらこの件に関してはクロイツェン州の……いや、アルバレア公の独断らしいな」
「あっ、そういう感じで……だから……」
「ならば俺もこの蛮行を止めるため協力しよう。悠長に話している余裕もない。手分けして逃げ遅れた住民の救助と蛮行を行う兵士の排除に当たるぞ」
「あっ、はい……」
と、言うが早いかレーヴェは私に確認を取るとすぐさま別の場所に走っていった。ケルディックの街は当然だが広い。迅速に行動しなければ犠牲者が増えてしまうだろう。だからその動きは当然。当たり前。私も街を助けに来たのは同じだし、すぐに動いて領邦軍と北の猟兵をこの世からさよならバイバイしつつ住民の救助を行う──途中、住民の避難誘導を行っていて逃げ遅れたっぽい老人(多分元締め)を猟兵から守って逃がしたり、子供が建物の中に取り残されたというのでそこに突っ込んで子供を救出したりしながら、内心で私は叫んでいた。
──ああああああああ!! 全然レーヴェと話せなかったー!! せっかく味方として出会えたのにー! プレゼントも渡せなかったー! 今はそんな場合じゃないにしても言いようはあったのにー! 恥ずかしいし熱い──!! 身体も燃えてるー!! 燃えた建物の中に突っ込んだから私も燃えて熱いー!! マクバーンの焔に比べたら全然だけどそれでも熱いよー! この後すぐにクロスベルに戻らないとだからシャワー浴びる時間もあんまりないのにー! うわあああああ──って、あああああ!? オジサンから貰った小包が燃えるー!? 水! 水! オジサンのことだからろくでもない代物だろうけど燃えちゃったら怒られるかもだしそもそも劇薬だったりしたら燃えて変な化学物質が出てきて環境汚染になりかねないからどうにか……ええい! こうなったら小包を抱えて地面を転がれー! そして水の導力魔法だー! うおおおおお!! 消えろー! 消えたー! ふぅ……危ない危ない。なんとか中身だけは死守した……中身を確認してる暇はあんまりないけど中身は2つあるみたいだ。1つは特注のお酒かな? そういえば前に私でも酔えるお酒ないかなって相談した覚えがあるし、それかもしれない。そしてもう1つはなんか年代物の導力機みたいだ。ふーん。なんで送ってきたか分からないけど、私もオタクってほどではないけどそこそこオーブメントには興味があるからいらなくは……って、なんか見覚えあるような──
「って、これ……ゲネシスじゃない? なーんて……」
…………え? 本当に? これ《オクト=ゲネシス》?
あっ、ふーん……なるほどなるほどなるほど。そういう感じね。オジサンがどこかから手に入れて面白がって私に送りつけてきたって感じかな? ははーん、なるほどねー。オジサンのやりそうなことだ。
私は右手に持った超重大アイテムであるそれを見て一息。そしてそれを振り上げて──
「──今じゃないっ!!!」
──思い切り地面に叩きつけた。
もちろん第八のゲネシスはビクともしない。やってから壊れたらマズいと思ったのですぐに拾い直すも、すぐに内心で叫び散らかす。
──今じゃない今じゃない!! 絶対に今じゃないっ!! タイミング間違えまくってる!! なんでC・エプスタインが作った世界を計る導力演算器で黎の軌跡シリーズの超重要アイテムをオジサンが確保しててしかもなんで私に送ってきてるとか言いたいことは山程あるけど、1番は今じゃないっ! 今は閃の軌跡Ⅱ! 碧の軌跡! 3作品くらい早い! 百歩譲って見たり手に入ることになるにしても今じゃないっ! おまけに国外に持ち出していいものじゃない! まだまだ呪い塗れの帝国に持ってきていいものじゃない! 返したい! 捨てたい! でも返せないし捨てれない! 私が持ってた方が世の中的には平和かもだし! でも今じゃないっ! 出来ればヴァンとかアニエスちゃんに渡したい気もするけどそれはそれで色々と問題もあるし、そもそもそんな暇ないっ! 今内戦! 焼き討ち! クロスベルも帝国も大変! 今は焔と大地と幻の番! 考えること多すぎてゲネシスのことまで考えてる余裕ないよー!! うわああああああああああああああああああああん!! もうやだー!! 焼き討ちの救出が終わったら後でデュバリィちゃんを誘ってクロスベルでやけ酒してやるー!! うわあああああああああああん!!
※この後めちゃくちゃ酒飲んで踊り散らかした。
ということで今回はここまで。界の軌跡までのプロットもなんとなくは思いついて発売から約1ヶ月半は経ったのでそろそろネタバレ解禁してもいいかなと思いつつも様子を見ながら書きます。アーヤちゃん×罪を観測する第八のゲネシスということで黎シリーズがハチャメチャになるフラグが経ちました。Sin値上げておきますね。
次回はオーロックス砦でサラ教官に聞きたいことを教えてあげつつクロスベルで最終決戦前。碧の大樹で領域の1つを任されるアーヤちゃんです。お楽しみに。
エンブロイダリーペイン:CP60 相手の痛覚に毒を塗った針と糸を突き刺して痛みを縫い付ける 物理攻撃 威力:D+ 封技・封魔・腐食100% 全能力ダウン大
雷劫剣:CP50 破砕剣の上位技。物理攻撃 威力:S 単体 気絶・封技・DFEダウン大100%
クラフト説明はこんな感じ。
感想、評価、良ければよろしくお願いします。