遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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第十話 「一デッキに一枚アイドルカードを!」

 夜中に全員参加、という事以外、特に決まりは無い。

 定期的に開かれることもなく、その内容も議長となるモンスター以外誰も知らない。

 そんな、「会議」という名の「座談会」が、今宵、開かれようとしていた・・・・・。

 フユのデッキのモンスター達には、「会議」があった。

 

 

 

「はい、それじゃー会議始めるぞー」

 

 議長担当の《マスター・ヒュペリオン》の気だるそうな一声でざわついていたモンスター達が一応静かになる。

 

「そんじゃ、まず議題一つ目ー、ここに戻ってきた奴と、新しく入った奴を紹介する。

《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》と《召喚師セームベル》だ」

 

 その声で周囲の目がカオス・ソルジャーとセームベルに向かう。

 

「じゃ、二人共、こっち来て軽く自己紹介してくんない?」

 

 《マスター・ヒュペリオン》の近くに来てまず口を開いたのは《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》。

 

「《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》です。また皆様と主のために戦えること、心より嬉しく思います」

 

 相変わらず真面目な話し方。で、その次は、

 

「《召喚師セームベル》です!これからよろしくお願いしまーす!」

 

八話、九話ではよく分からなかったが、彼女は元々天真爛漫な性格だったのだろう。

 モンスター達、特に男モンスターは騒がしくなった。おい、あの娘可愛くね?みたいに。

 

「っつーわけで、全員拍手ー」

 

 その声で二人に温かな拍手が送られる。そこで、《マスター・ヒュペリオン》がカオス・ソルジャーに話しかけた。

 

「それでものは相談なんだけどよー、議長変わってくんね?」

「私がですか?」

「ほら、俺こういう性格じゃん?議長とかそういうの向いてねーんだよ」

 

 で、カオス・ソルジャーは少し考え込む。

 

「―――分かりました。引き受けましょう」

「サンキュー。じゃ、これ、こっから先の議題内容な」

 

 そう言って何枚かの紙をカオス・ソルジャーに手渡す。

 

「ではこれからは僭越ながら私、《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》が会議の進行を務めさせていただきます」

 

 カオス・ソルジャーがいい感じに切り出している一方、元議長の《マスター・ヒュペリオン》は周囲から少し外れて何かしていた。

 

「クッソやっぱアマツつえーな。弓とか使ったら結構楽に狩れるし、頭部部位破壊もいけるけど、一から防具揃えるのメンドクセーからなー・・・・・」

 

 ○ンハンやってました。ちなみになぜ今更3rdなのかというと、当時の最新作だったからである。

 で、カオス・ソルジャーがよ~く周りを見回してみたら、他のモンスターも好き勝手やっている。《創造の代行者 ヴィーナス》は壁に向かって体育座りして負のオーラ撒き散らしてるし、《奇跡の代行者 ジュピター》は一人で黙々と筋トレしてるし、《ガチガチガンテツ》に至っては小さい鉢で何か育ててるという自由っぷり。

 

(大丈夫なんでしょうか・・・・)

 

 早くも不安になるカオス・ソルジャーだった。

 

 

 

「・・・それでは、次の議題に入ります」

 

 カオス・ソルジャーは書類に目を落とした。

 

「えー、『アイドルカードの変更について』とありますね」

 

 騒がしかったモンスター達が、より一層ざわつく。

 

「お静かに。・・・・・これまでは本人の強い希望とその他の女性モンスターが別に構わないとのことだったので、《ダーク・ヴァルキリア》さんがアイドルカードになっていたようですが・・・・・、」

 

 そこでカオス・ソルジャーは顔を上げる。

 

「もう新アイドルカードはセームベルでいいでしょう」

 

 その言葉に男性陣は「さんせーい!!」と声を揃える。が、

 

「ちょっ、勝手に決めんじゃないわよ!!」

 

と、一人喚くのは《ダーク・ヴァルキリア》である。

 

「何でこんなガキにアタシのアイドルカードとしての座を奪われなきゃいけないのよ!?」

「えー、だってぇー」

 

 そう言うのは《マスター・ヒュペリオン》。

 

「セームベルちゃん可愛いしー。それに対してお前にモテる要素があるって言うなら教えて欲しいしー」

「アタシの魅力に気付かないなんて、哀れだねぇ。こうなりゃ意地でも気付かせてやる!・・・おいガキィ!!」

 

 そう言って《ダーク・ヴァルキリア》はセームベルを睨みつける。

 

「アタシと勝負しな!!アンタが勝ったらアイドルカードと認めてやるよ。だがアタシが勝ったらアイドルカードの座はこのままアタシのもんだよ!!」

 

 当のセームベルは言っている事がよく分からなかったようでポカーンとしていたが、とりあえず

 

「うん!いいよ!」

 

と、あっさりOKした。

 

 

 

「という訳で、どちらがアイドルカードにふさわしいか審査を行います」

 

 話し出したのはカオス・ソルジャー。

 

「審査の内容について説明します。季節的にはまだかなり早いですが、というかこっち(リメイク版)だともう遅いですが、水着審査とさせていただきます。彼女達には各自で選んだ水着を着て順番に登場していただき、審査員は二人にそれぞれ点数をつけ、高得点だった方を新しいアイドルカードとします。ちなみに審査員は順に、私、《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》、《ジャンク・シンクロン》殿、《朱光の宣告者》殿、《マスター・ヒュペリオン》殿の四人で執り行います」

 

 カオス・ソルジャーが一通り説明する。

 

「それでは登場して頂きましょう。まずは《ダーク・ヴァルキリア》殿からどうぞ!」

 

 現れた《ダーク・ヴァルキリア》が着ていたのは結構きわどい水着だった。

 

「ふん。どうだい?アンタらには刺激が強すぎたかしら?」

 

 などとセクシーポーズを取りながら言ったが、

 

オエエエエェェェ―――――!!

 

四人のみならずそれを見ていた男モンスター全員が気持ち悪くなった。で、四人が一斉にフリップを出す。

 

『0点』

『ないわー』

『テメ、体色とか考えろよ!』

『燃やすぞ、コラァ!!』

 

「おぉぉぉい!!」

 

 《ダーク・ヴァルキリア》が声を荒げる。

 

「ボロクソ言い過ぎだろーが!!ってゆーかちゃんと点数書いてるの一人だけだし!しかも0点だし!!」

 

 それに《マスター・ヒュペリオン》が反応する。

 

「っせーな!!大体テメーそんなにスタイル良くないくせに何エロで勝負しようとしてんだよ!そういうのはBMGとか、ルインとか選ばれしアイドルカードだけの特権なんだよ!!」

 

 などとワーワー騒いでいるところに、

 

「準備出来たよー!」

 

セームベルの声が聞こえてきた。全員が声のする方を振り向く。そこにいたセームベルの格好は―――、スク水だった。よくある紺色のものだ。そして胸元の名前を書く部分には平仮名で『せーむべる』と書かれている。

 審査員の四人は全員鼻血を垂れ流しながらフリップを出した。

 

『100点』

『キター!!』

『読者に絵ヅラが見せられないのが残念です!!』

『やっべ、マジ萌えるわー』

 

「はい。という訳で、新アイドルカードは《召喚師セームベル》に決まりました」

 

 まだ鼻血の止まってないカオス・ソルジャーが進めていく。

 

「チクショウ!!アイドルカードという役割が無くなったら、アタシには一体何が残るってんだよ!?」

 

 地団駄踏みまくってキレる《ダーク・ヴァルキリア》。

 そこに審査員四人がフリップを出す。

 

『アタッカーです』

『カオス・ソルジャーさんの為の贄です』

『コストです』

『玉砕担当です』

 

「ロクなのがねえ!!」

「いやあ〜、それにしても、五話で俺の攻撃名、某ぶっ飛びロボットアニメの必殺技にならなくて良かったぜ~。俺腕伸びねーもん」

 

 などと《マスター・ヒュペリオン》は隣の《朱光の宣告者》と会話を始める。

 それが《ダーク・ヴァルキア》の怒りに拍車をかける。

 

「てか《マスター・ヒュペリオン》!テメー『玉砕担当』とか書いてっけど、アンタだって最近よく速攻でやられてんじゃねぇか!!」

 

 それに《マスター・ヒュペリオン》もキレてフリップをへし折る。

 

「あ〜?テメーよりは出番あるし、活躍もしてっからいいんだよ、このクソ女」

「おい、あんまりアタシを怒らせるなよ?アタシ普通に召喚された時はほぼバニラだけど、再度召喚された時は攻撃力上げたり、破壊効果付いたりすっからな?」

「あ?破壊効果なら俺だって付いとるわボケ」

 

 何かもうチンピラ同士の会話みたいになっている。

 

「二人共、落ち着いてください」

 

 カオス・ソルジャーが仲裁に入るが、やんのかコラ、上等だコラ、と止まることもなく、

 

オラァァ!!

 

とうとうリアルファイトが始まった。で、止めようと間に入ったモンスターにも徐々に飛び火していき、終いには大乱闘へと発展した。

 

 

 

 大乱闘に巻き込まれなかったアースが近くにいた女性モンスターに話しかけた。

 

「ライラお姉さんはさっきの水着審査やらなくてよかったの?」

 

 話しかけられたのはまだ名前以外出番の無い《ライトロード・マジシャン ライラ》。

 

「地の文余計です」

 

 すんません。

 

「まあ、いいです。アイドルカードとか興味無いですし、そもそも水着とか恥ずかしいですし・・・・・」

 

 何て言ってライラは頬を染める。

 

「チッ」

 

 露骨に舌打ちをするアース。

 

「このエロガキ」

 

 それに対しボソッと呟くライラ。

 

「ヴィーナスお姉さんは?」

 

 アースが次に振ったのは《創造の代行者 ヴィーナス》。

 

「私もいいです・・・・・」

「えー、何でー?女性モンスターの中で一番出番あるじゃん」

 

 なおも食い下がるアース。

 

「だって私、体色黄色だし、何故か攻撃が私の周りに浮かんでるボールを投げるだし・・・、」

 

 徐々にヴィーナスの負のオーラが増していく。それにはアースもたじろぐ。

 

「私なんて、私なんて・・・、ボケ担当兼過労死モンスターの方がお似合いなんだわ――――!!」

 

 そう言ってヴィーナスは両手に《神聖なる球体》を持って自ら乱闘の中に突っ込んで行く。

 

「お姉さん!?それはそれでボケ担当という意味でちょっと僕とかぶるよ!!」

 

 微妙な引き止め方をするアースだった。

 

 

 

 乱闘が収拾不可能になりかけていたその時、

 

「いい加減にしなさい!!」

 

カオス・ソルジャーが怒鳴って持っていた剣で乱闘していたモンスターを薙ぎ払った。もちろんちゃんと峰打ちにしておいた。

 

「我々が一致団結して、主のために全力を尽くす!それが我らモンスターのあるべき姿なんじゃないんですか!?なのにどうですか!?今の貴方達は!!」

 

 場の空気がシュンとなる。カオス・ソルジャーは一つため息をついて言った。

 

「・・・・・今回の会議はこれで終わりにします。各自、解散してください」

 

 その言葉で皆どこかに散って行く。

 同様にその場を立ち去っていくカオス・ソルジャーを追いかけてくる者がいた。セームベルだ。

 

「何か気まずくなっちゃったね・・・・・」

 

 セームベルもションボリしている。が、カオス・ソルジャーは、

 

「大丈夫ですよ。おそらく、他の者もそこまで気にしていません」

 

と、あまり気にしていない。

 

「どうして?」

「毎回あのような感じなんです。『会議』と言っては世間話や大乱闘・・・。好き勝手やる者ばかり・・・。今回のように私が止めに入ったことも何度もありました・・・・・。フッ、懐かしい・・・・・」

 

 カオス・ソルジャーが遠くを見る目つきになる。

 

「ですが、皆それで尾を引く事も無いですし、いざデュエルとなれば持てる力を遺憾なく発揮してくれる。最高の仲間です」

 

 セームベルの表情がパアッと明るくなった。

 

「じゃあ、これからも、みんなと仲良くできるの?」

 

 その問いにカオス・ソルジャーは微笑みながら答えた。

 

「ええ、もちろんですよ」

 

 こうして夜は明けていくのだった。

 

 




 はい、持ち主が持ち主なら、モンスターもモンスターといった感じの第十話でした。上も下も問題児ばかりで、カオス・ソルジャーはそのうち胃痛でぶっ倒れるんじゃないでしょうか?
 それはさて置き、「すぴばる版」を知っている読者の方々、次回はついにあの『最強の問題児』が登場します。お楽しみに。
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