遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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第十六話 「ありえないプレイングミスを考えるのは意外と難しい」

「これからオレ達はチームACEとして大会に臨むわけだが、一つ大きな問題がある」

 

 十五話の終わった直後、すなわちフユがリーダーに決まったすぐの事、唐突に零士が言った。

 これに一人を除く三人が同意した。

 

「問題?なんだそれは?」

 

 一人だけ全く分かっていないのが英雄であるというのは読者諸兄も容易に察することができるだろう。

 零士は英雄を指差し、言った。

 

「今日からお前のプレイングミスを叩き直す。・・・今のお前は荷物以外の何者でもない」

「何だと!?」

 

 英雄は零士を睨みつけるが、フユが制した。

 

「とりあえず落ち着いて」

 

 そう言っておいてフユは英雄を見つめて説得した。

 

「英雄、確かに君のプレイングミスは目に余るものがある。でも、それさえ無くなれば君の引きと相まってアカデミア内でも屈指の実力者になれるはずなんだ」

 

 その言葉に英雄は少し考え込んだ。

 

「・・・・・分かった。人気は無いが修行編、やってやろうじゃないか!!」

 

 なんかちゃんと理解しているのかよく分からないが、とりあえず納得する英雄だった。

 

 

 

 という訳で早速その日の放課後から英雄の特訓が始まるのだった。その内容は、誰か一人が英雄とデュエルし、残りの三人が後ろから英雄にアドバイスをするというもの。

 

「それじゃあ、始めてくれる?」

 

 フユが促した。

 

「で、何でオレが相手なんだよ?」

 

 それを言ったのはケイトである。つまりフユ、零士、千鳥の三人がアドバイス担当ということだ。

 

「相手をするならできるだけ普通のビートダウンデッキの人がいいと思ってね。だったら僕かケイトのどっちかだろうけど、君は教えるよりデュエルする方がいいだろうし」

「ま、それもそうだな」

 

 フユの説明で納得するケイト。

 

「あ、でもある程度は手加減してあげてよ」

 

 最後に一つ忠告する千鳥。

 

「わーってるよ。―――んじゃ、とっとと始めようぜ!」

 

 ケイトは英雄に向き直った。

 

「おう!よろしく頼む!!」

 

「「デュエル!!」」

 

 

英雄  LP8000

 

 

ケイト LP8000

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 事前に英雄には先攻を取ってもらうようにしていた。これは二人も承知のこと。

 で、フユと千鳥は英雄の手札を後ろから覗き込んだ。その内容は、

 

《E・HEROエアーマン》《E・HEROアナザー・ネオス》《超融合》《デュアルスパーク》《神の宣告》《ヒーロー・シグナル》

 

「これは・・・」

 

 思わず呟いたフユ。

 

「?どうした?」

「いや、僕ならこの手札が来たら色々できそうで逆に迷いそうだなあって・・・・・。まあまずは自分なりにやってみてよ」

「おう!俺は《E・HEROエアーマン》を召喚!」

 

 

E・HEROエアーマン 星4 風 戦士族 攻1800/守300

 

 

「俺はこれでターンエンド!」

 

 

英雄 LP8000 手札5

モンスター/《E・HEROエアーマン》

 

 

 直後フユと千鳥はズッコケた。

 

「いや待て待て待て!!何でエアーマンの効果を発動しないのよ!?何でカードを一枚たりともセットしないのよ!?」

「あああ!!しまったァァァ!!!」

 

 千鳥の指摘に頭を抱える英雄。

 

「ケイトー、やっぱりさっさと終わらせてー」

 

 フユもフユでそんなことをのたまったり。

 

「そうかい。じゃ、遠慮なく・・・。オレのターン、ドロー!オレは《BF‐蒼炎のシュラ》を召喚!」

 

 青いトサカに《BF》特有の黒い翼のモンスターが召喚された。

 

 

BF‐蒼炎のシュラ 星4 闇 鳥獣族 攻1800/守1200

 

 

「さらに場に《BF》が場にいる時、《BF‐黒槍のブラスト》を特殊召喚できる!」

 

 

BF‐黒槍のブラスト 星4 闇 鳥獣族 攻1700/守800

 

 

「バトル!蒼炎のシュラでエアーマンに攻撃!」

「相打ち狙いか!?」

「そう思うかい?」

 

 英雄の考えにケイトは不敵に笑った。

 

「オレはダメージステップ時に手札のカルートを墓地へ送り、シュラの攻撃力を1400ポイントアップ!」

 

 

BF‐蒼炎のシュラ 攻1800→3200

 

 

「攻撃力3200だと!?」

「行け、シュラ!ブラック・クロー!!」

 

 シュラの切り裂き攻撃がエアーマンにヒット。

 

 

英雄 LP8000→LP6600

 

 

「続けてシュラの効果を発動!効果を無効にして《BF‐疾風のゲイル》を特殊召喚!」

 

 

BF-疾風のゲイル 星3 闇 鳥獣族 チューナー 攻1300/守400

 

 

 (ある意味自分のせいで)かなりピンチの英雄。

 

「そしてゲイルとブラストでダイレクトアタック!」

「イデデデデ!!」

 

 

英雄 LP6600→LP3600

 

 

「さらにメインフェイズ2でレベル4、《BF-黒槍のブラスト》に、レベル3の《BF-疾風のゲイル》をチューニング!―――黒き旋風よ、天空へ駆け上がる翼となれ!シンクロ召喚!《BF‐アーマード・ウィング》!」

 

 屈強な肉体を持つ《BF》の切り札。

 

 

BF‐アーマード・ウィング 星7 闇 鳥獣族 攻2500/守1500

 

 

「最後にカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

 

ケイト LP8000 手札3

モンスター/《BF-アーマード・ウィング》《BF-蒼炎のシュラ》

魔法・罠/リバース×1

 

 

「クッ、俺のターン!」

 

 そう言って英雄はドローしたカードを見た。引いたカードは《死者蘇生》。

 

「よーし!俺は・・・」

「あ、英雄」

 

 英雄が何をしようとしたかは分からないがここでフユが一言耳打ちした。

 

「ここから逆転するには《超融合》と《デュアルスパーク》をどう使うかが鍵だよ」

「なるほど!―――俺は《E・HEROアナザー・ネオス》を召喚!」

 

 子供版ネオスとも言える戦士が召喚された。

 

 

E・HEROアナザー・ネオス 星4 光 戦士族 攻1900/守1300

 

 

「カードを二枚セットしてターンエンド!」

 

 

英雄 LP3600 手札3

モンスター/《E・HEROアナザー・ネオス》

魔法・罠/リバース×2

 

 

 そう言って《超融合》と《デュアルスパーク》を伏せる英雄。

 

「っ・・・・・・!?」

 

 これには千鳥も絶句した。

 

「英雄・・・」

 

 フユは英雄の肩に手を置き、もう片方の手の親指を立てた。

 

「君ならやるって信じてたよ」

 

 そう言うフユはいい笑顔。

 

「おお!さっきのはそんなに良かったか!?」

「何言ってるの?」

「え?」

 

 この一連の件でフユは終始スマイルだった。こういう時のフユの笑顔は悪い意味しかしない。ここでケイトが英雄に話しかけた。

 

「おーい、エンド宣言したところで悪いんだけどさあ、お前のエンドフェイズにシュラをリリースして《ゴッドバードアタック》を使わせてもらうぜ」

「何ぃ!?」

「対象はアナザー・ネオスと伏せカード一枚な」

 

 シュラは炎を纏いアナザー・ネオスと伏せカードを自らと共に燃やし尽くした。

 

「うおおお!!?《デュアルスパーク》がああ!!!」

 

 英雄のその言葉にケイトはため息混じりにかぶりを振った。

 

「まさか、ここまで酷いとはねえ・・・・・。オレのターン、ドロー!―――オレは《BF-極北のブリザード》を召喚して、効果発動!墓地のブラストを守備表示で特殊召喚するぜ!」

 

 

BF‐極北のブリザード 星2 闇 鳥獣族 チューナー 攻1300/守0

 

 

 アニメみたくブリザードがデュエルディスクをコンコンとつっつくと、ブラストが特殊召喚された。

 

「そしてレベル4、《BF-黒槍のブラスト》に、レベル2の《BF‐極北のブリザード》をチューニング!――漆黒の力!大いなる翼に宿りて、神風を巻き起こせ!シンクロ召喚!吹きすさべ、《BF‐アームズ・ウィング》!」

 

 銃剣一体の武器を携えたモンスターが現れた。

 

 

BF‐アームズ・ウィング 星6 闇 鳥獣族 攻2300/守1000

 

 

「これで終わりだ。アームズ・ウィングとアーマード・ウィングでダイレクトアタック!」

「グアアァ!!」

 

 

英雄 LP3600→LP0

 

 

 

「そう言えば、さっきは零士全然台詞無かったね」

 

 デュエルが終わった直後にフユが言った。

 

「ああ、あまりにも酷いデュエルだったから言うことも無かった」

「グッ・・・!」

 

 今回ばかりは英雄も返す言葉が無いようだ。

 

「なあフユ。最後のターン、お前ならどうした?」

 

 とりあえずフユに意見を求めてみる。

 

「そうだね・・・。英雄はエスクリダオはデッキに入れてる?」

「一枚だけ入れてはいる」

「そっか。僕なら・・・、まあこれがベストってわけじゃないかもしれないから、読者の皆さんももっといい手があるよって思ってもあんまり気にしないでくださいね」

「なに予防線張ってるの?」

 

 千鳥は釘を刺しておいた。

 

「まずは《死者蘇生》でエアーマンを蘇生して効果を発動するかな。召喚を無効にされない限りは止められないから。まあサーチ対象はオーシャン辺りでいいや。で、アナザー・ネオスを召喚してシュラに攻撃。そしたらシュラをリリースしてゴドバを発動して、アナザー・ネオスとエアーマンを破壊しにくるだろうから、その時はチェーンして《デュアルスパーク》を発動。破壊対象はゴドバとして、そこにさらにチェーンして《超融合》も発動。ここでチェーンは解決されるから、まずは手札のオーシャンを捨ててエアーマンとアーマード・ウィングでエスクリダオを融合召喚。次にアナザー・ネオスをリリースして実質一枚ドローするだけ。ゴドバは不発になって厄介なアーマード・ウィングも消える。残ったエスクリダオで直接攻撃したあと、《神の宣告》と《ヒーロー・シグナル》をセットしてターンエンド。といったところかな」

「おお、なるほど」

 

 素直に感心している英雄。

 

「っていうか、かなり長く喋ったわね」

 

 などと千鳥が言ったが、これは無視。

 

「まあ、習うより慣れろって言うし、何回かやってたら覚えると思うよ」

 

 フユの言葉で英雄もやる気を出したようで、

 

「よっしゃあ!!やってやるぜ!!!」

 

と気合を入れ直した。

 ということで、英雄の特訓が再始動した。

 

もう!何で相手モンスターがいるのに自分のカード同士で《超融合》使うのよ!?

後の事を考えたら、あそこはゲイルを攻撃するべきだった。

ウ~ン、そこはアブソルートZeroを融合召喚する方が良かったかな?

 

 と、ちょっとずつちょっとずつ成長していく英雄だったのでした。

 

 

 

「ひとまずコイツも最低限の実力がついたとして、次は各自のデッキの強化だな」

 

 何度目かのデュエルが終わったところで零士が言った。

 

「そういや、これにも大会中はデッキのカードは基本的には変更できないって書いてあるしな」

 

 何かの紙を持ったケイトもそれに続く。

 

「何それ?」

 

 千鳥が紙切れについて尋ねた。

 

「ああ、コレ大会の注意事項みたいのが書かれた用紙だよ。昼間申請に行ったときにもらったんだ」

「でもさっきの文言の中にあった『基本的には』ってどういうことよ?」

「さあ?この『デュエルフェスタ編』?やってる間にオレらのカードが禁止制限に引っかかったり、何か相性の良さげなカードが出た時のためなんじゃねえの?」

 

 千鳥が短くため息をついた。

 

「作者って意外と細かいのね・・・」

「でもデッキの強化はしておきたいよな。どっかいいカードショップとかねえの?まだオレこの辺よく知らねえからさ」

 

 ケイトは他四人に聞いてみる。

 

「だったら私いい店知ってるわよ」

 

 そう言うのは守銭奴千鳥。

 

「千鳥の薦める店か・・・。大丈夫かな・・・・」

 

 そう言って不安をあらわにするフユに対して千鳥はこんなことを言ってみたり。

 

「賭けろ!この私に全てを!!」

「うん、ここで○クターの真似はホント勘弁して。嫌な予感しかしないから。それにその台詞そこまで有名ってほどじゃないし」

 

 まあでも試しに行ってみようかということになり、千鳥オススメのカードショップに赴く五人だった。

 

 




 たった一話で終わった英雄の修行回でした。リメイク前は予想すらつきませんでしたが、本当に【HERO】は強化されました。でも当分《HERO’s STRIKE》の新規カードは登場しませんのであしからず。
 そして次回は千鳥がメインの回となります。
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