遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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第十七話 「ある動画見てたら店長=このデッキが固定観念化した」

 さて、前回の最後の方でデッキの強化をするために千鳥に薦められたカードショップに行くことになったフユら一行。で、その店は彼らのアカデミアからそこまで遠くない場所にあったので、各自で一旦ある程度の資金を持ってきてからその店にやってきた。

 

「ほら、ここよ」

 

 そこはパッと見そこまで大きくはない店で、この土地にまだ詳しくないケイトはもとより、フユ、零士、英雄の三人も知らなかった。

 

「さ、入るわよー」

 

 千鳥を先頭に店の中に入っていった。内部はよくあるカードショップのそれで、結構な品揃えであった。

 

「フゥン。ここからデッキの大幅な変更もありか・・・。どうしようかな?」

 

 そんなことをフユは呟いた。

 

「ちょっと、何言ってんの?あと何どさくさに紛れて社長の真似してんの?」

 

 千鳥が少し困惑気味に言った。

 

「うん、最近やっぱり【代行天使】じゃキツイものがあるなって・・・」

「いやそれ言っちゃダメでしょ!そこんとこの無理は承知で作者も頑張ってるんだから!」

 

 そう言ってフユをとりなす千鳥だが、この主人公は顎に手を当ててこんなことを言ったり。

 

「でも正直【テラナイト】なんかも使ってみたいなーって思うんだよね」

「やめろォォォォォォォ!!!」

 

 千鳥がものすごい勢いでそれを止める。ちなみにリメイク前はここが【ラヴァル】になってました。

 

「せめてまたアースが制限になったり、カオスソルジャーが禁止になるまで待ちなさいよ!!」

 

 やっとのことで、主人公がデッキをほぼまるごと変えるという遊戯王界最大の暴挙に走るのを思いとどまらせることができた。・・・ように見えた。

 

「そっか。・・・じゃあ強化されて同じ光属性で闇属性カードを入れても大丈夫そうな【ライトロード】に・・・」

「だからやめろォォォォォォォ!!!」

 

 

 

「やあ、いらっしゃい」

 

 五人が色んなカードを見ていると、店の奥の方から人が顔を見せた。小太りで人の良さそうな男性。歳は30代半ばといったところか。

 

「なあ千鳥。大体予想はつくけど、あれ誰?」

 

 ケイトが訊ねてくる。

 

「あの人はここの店長さんよ」

「あ、やっぱり?―――なら、店長さんよぉ」

 

 文字だけならチンピラみたいな言い方だが、実際はごく普通に話しかけている。

 

「ここのカード、少し高すぎやしないかい?」

「確かにな」

 

 これに零士も同意した。

 

「一通り見てみたが、ノーマルカードでも最低100円。これならダメもとでパックで当てた方が早い」

 

 そうなのだ。1000円や2000円のカードなんてザラで、中には5000円やとんでもないので10,000円なんてのもちらほら。

 

「まあとりあえず欲しいカード持ってきて。値段とかはそこまで気にしなくていいから」

 

 千鳥がそう言うので四人は再びカードを選びだした。

 

「それにしても千鳥ちゃんが友達を連れて買いに来るとはね。穴場だからって秘密にしてると思ったけど」

 

 退屈しのぎ感覚で店長は千鳥に話しかける。

 

「近いうちにアカデミア内で大会あるの。しかもチーム戦。背に腹は変えられないでしょ」

「へえ、そうなんだ・・・」

 

 そう言うと店長は声を落とした。

 

「で、どっちが狙いなの?」

「へ?」

 

 突然の話題に一瞬戸惑う千鳥。

 

「あの大人しそうな子?それともあの背の高い長髪の子?」

「いやいやいや!何言ってんの店長!?別にどっちも狙ってないってば!!」

 

 顔を真っ赤にして否定した。会話から察するに二人は仲がいいようだ。

 そんなこんなしていると、四人とも欲しいカードを選んでカウンターまで持ってきた。千鳥も含めると合計でかなりの額になった。

 全員が選び終わったのを確認すると、千鳥は店長に言った。

 

「じゃ店長、いつもの『アレ』、やりたいんだけど?」

「いいよ。いくらのやつにする?」

「じゃあ・・・・・、半額で」

 

 四人には二人が何の話をしているかよく分からなかった。

 

「OK。ついてきて」

 

 そう言うと店長は店の後ろの方のドアを開けた。そこは地下へ続く階段となっていた。

 

「ねえ、よく分からないんだけど、とりあえず半額になるの?」

 

 フユが耳打ちした。

 

「まあね」

「まさか千鳥、お金をケチりたいからって・・・」

 

 そこでフユは涙を拭うフリをする。

 

「体まで売っちゃってるなんて・・・。後でR-18のタグ付けてもらっとかないと」

「んなわけないでしょ!!だいたいあの人、妻子持ちだし!――とにかく移動しながら説明するから」

 

 そう言って店長、千鳥、残りの四人の順に階段を下りていく。

 

「この店のカードは確かに高いわ。でもこの店には、ちょっとしたゲームがあってね」

「ゲーム?何だよ?」

 

 今回何げに初めて喋った英雄。

 

「店長もデュエル好きで、店長とデュエルして勝ったら、その時の店長のデッキに応じて安くしてもらえるの。もちろん敗けたらそのままの額」

「へえ、面白そうだね」

「ま、今回は私がデュエルさせてもらうわ。五人も順番にやってると面倒だし」

「大丈夫なのか?ここはフユや零士に任せたほうが・・・」

 

 英雄が不安をあらわにした。

 

「僕は千鳥を信じるよ」

 

 フユは賛成のようだ。

 

「だがやはり危険じゃないか?」

 

 零士も表情には見せないが心配しているみたいだった。

 

「守銭奴の千鳥では金額のプレッシャーで集中できないんじゃないか?」

 

 フユは軽く笑ってそれを否定した。

 

「フッ、逆だよ。――――お金がかかっている時こそ、千鳥はやってくれるんだ」

 

 

 

 六人はかなり広い空間にやってきた。どうやらここでデュエルをするらしい。二人がデュエルディスクを起動させ、準備が完了する。

 

「「デュエル!!」」

 

 

千鳥 LP8000

 

 

店長 LP8000

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

 今回は千鳥が先攻。

 

「私はモンスターを一体セット。そしてカードを二枚セットしてターンエンド!」

 

 

千鳥 LP8000 手札3

モンスター/リバース×1

魔法・罠/リバース×2

 

 

「・・・どうなると思う?このデュエル」

 

 零士はフユに聞いた。

 

「そうだね・・・。半額ってなると多分それなりに強力なデッキなんだろうけど、ビートダウンなら千鳥にも分があるとおもうよ」

「僕のターン、ドロー!―――僕はまず、永続魔法《六武衆の結束》を発動!」

「【六武衆】か・・・・・。こりゃあまたえげつないデッキだねえ」

 

 ケイトが少々大げさに驚いた。

 

「次に《真六武衆―カゲキ》を召喚!」

 

 場に出たのは茶色の鎧で身を覆い、背中に機械の腕を取り付け、計四本の刀を持った老将。

 

 

真六武衆―カゲキ 星3 風 戦士族 攻200/守2000

 

 

「召喚に成功したカゲキの効果発動!手札から《六武衆の影武者》を特殊召喚!」

 

 黒の鎧に黄緑色のラインが入ったモンスターが召喚される。しかしその顔は仮面のようなものをつけていてほとんど見えない。

 

 

六武衆の影武者 星2 地 戦士族 チューナー 攻400/守1800

 

 

「さらに二体の《六武衆》が召喚されたことにより《六武衆の結束》に武士道カウンターが二つ乗るよ」

 

 

武士道カウンター 0→2

 

 

「そして《六武衆の結束》を墓地へ送り、乗っていたカウンターの数だけカードをドロー!」

 

 考えようによっては〈強欲な壺〉と遜色ない。

 

「いやはや、やっぱりガチデッキは回るねえ」

「・・・お前が言うな」

 

 わざとらしく苦笑するケイトに零士が初ツッコミ。

 

「続けてレベル3、《真六武衆―カゲキ》に、レベル2の《六武衆の影武者》をチューニング!―――シンクロ召喚!現れよ、《真六武衆―シエン》!!」

 

 背中に一対の黒い翼が付いた赤い甲冑。そしてその鎧には黄金色の装飾が散りばめられていて、それを見事に着こなす中の男はまさに大将といった風格を漂わせている。

 

 

真六武衆―シエン 星5 闇 戦士族 攻2500/守1400

 

 

「早速お出ましね・・・!《六武衆》の切り札」

 

 千鳥はマジもんの苦笑をする。

 

「まだまだこんなもんじゃないよ。フィールドに〈六武衆〉がいる時、このモンスター達は特殊召喚できる!来い、〈真六武衆―キザン〉、〈六武衆の師範〉!!そしてキザンは場に二体の〈六武衆〉がいるから攻撃力が300ポイントアップ!」

 

 黄色のラインの入った漆黒の鎧兜を身にまとった若い侍と右目が機械の老人武将が現れる。ちなみに師範はキザンの歳をとった姿で、モチーフは武田信玄らしいよ。

 

 

真六武衆―キザン 星4 地 戦士族 攻1800→2100/守500

 

 

六武衆の師範 星5 地 戦士族 攻2100/守800

 

 

(1ターンで攻撃力2000超えのモンスターが三体・・・。さらには一度だけとはいえ魔法・罠を無効にできるシエンか・・・・・)

 

 フユは現状を分析した。

 

(でも千鳥だからこそ、この状況は乗り切れるだろうね)

「バトル!《六武衆の師範》でセットモンスターに攻撃!風林火山!」

 

 師範がセットカードに斬りかかる。

 

「罠発動!《聖なるバリア―ミラーフォース―》!」

 

 セットカードと師範の間に半透明の壁が立ちはだかる。

 

(何かを狙ってるんだろうけど、使うしかないか)

「《真六武衆―シエン》の効果発動!ミラーフォースの発動を無効にして、破壊する!問答無用!」

 

 シエンが一喝すると、聖なるバリアは粉々に砕け散った。

 

「師範の攻撃を再開するよ!」

 

 師範はセットカードを真っ二つにした。

 

 

ガスタ・ガルド 星3 風 鳥獣族 チューナー 攻500/守500

 

 

「っ!破壊された《ガスタ・ガルド》の効果発動!デッキから《ガスタ・イグル》を守備表示で特殊召喚!」

 

 

ガスタ・イグル 星1 風 鳥獣族 チューナー 攻200/守400

 

 

 小鳥と小鳥がほぼ入れ替わりで場に出る。

 

「なら今度は《真六武衆―キザン》で《ガスタ・イグル》を攻撃!真・風林火山!」

 

 キザンの一閃でイグルはあえなく消滅した。

 

「まだまだ!《ガスタ・イグル》の効果発動!デッキから《ガスタ・サンボルト》を特殊召喚!」

 

 続いて現れたのは頭に角の飾りを付け、雷を帯びた黄緑色の狼だった。

 

 

ガスタ・サンボルト 星4 風 雷族 攻1500/守1200

 

 

「だったら《真六武衆―シエン》で《ガスタ・サンボルト》に攻撃!第六天斬り!」

 

 シエンは一気にサンボルトとの間合いを詰め大上段から切り伏せた。

 

「ほぉ、モンスター一体から三体の攻撃を防ぎきるか。やるねえ」

「いけるぞー!!千鳥ー!!」

 

 ケイトが感心し、英雄が声援を送る。それに千鳥はニコッと笑った。

 

「まだまだこんなもんじゃないわよ。《ガスタ・サンボルト》が墓地へ送られた時、罠発動!《ガスタのつむじ風》!」

 

 その言葉に店長はしまったという顔をした。

 

「あっちゃー、それが本命だったか・・・」

「そういうこと。ミラーフォースは囮。私はガルドとイグルをデッキに戻して、もう一度《ガスタ・イグル》を特殊召喚!」

 

 四話、五話でもそうだったが、下級ガスタは過労系が多い。

 

「さらに店長のバトルフェイズ終了時に《ガスタ・サンボルト》の効果発動!このカードを除外して《ガスタの賢者 ウィンダール》をデッキから特殊召喚!」

 

 杖を携えたガスタの長が現れた。

 

 

ガスタの賢者 ウィンダール 星6 風 サイキック族 攻2000/守1000

 

 

「これで次のターンにイグルスを召喚するための準備が整ったわ」

「流石だね千鳥ちゃん。僕はカードを一枚セットしてターン終了」

 

 

店長 LP8000 手札2

モンスター/《真六武衆―シエン》《六武衆の師範代》《真六武衆―キザン》

魔法・罠/リバース×1

 

 

「私のターン!」

(あの伏せカード・・・・・。このターンのエンドフェイズにイグルスの効果で除去することはできる。でも店長も私のデッキが【ガスタ】で、しかもイグルスが召喚されると分かった状態で伏せた。攻撃時に発動するカードか、あるいはアレか・・・)

 

 千鳥はドローしながら考えた。

 

(どっちにしてもシエンの効果は厄介ね。でもこのカードなら・・・!)

「私はレベル6、《ガスタの賢者 ウィンダール》に、レベル1の《ガスタ・イグル》をチューニング!―――シンクロ召喚!羽ばたけ、《ダイガスタ・イグルス》!」

 

 巨大化したイグルを駆るウィンダール。

 

 

ダイガスタ・イグルス 星7 風 サイキック族 攻2600/守1800

 

 

「ギリギリ打点ではシエンが負けてるねぇ」

「でもこれだけじゃないわよ。私は《ガスタの神官 ムスト》を召喚!」

 

 現れたのはローブを着て杖を持った中年の男。

 

 

ガスタの神官 ムスト 星4 風 サイキック族 攻1800/守900

 

 

「ムストの効果!墓地のイグルをデッキに戻して、シエンの効果を無効にする!」

 

 ムストが持っていた杖をかざし、シエンに対して呪文のようなものを唱えると、数秒間シエンが苦しんだ。

 

「よっしゃあ!これで魔法・罠使い放題だ!」

 

 英雄が歓喜し、声援を送る。

 

「そして私は《サイクロン》を発動して、店長の伏せカードを破壊するわ!」

 

 突風でモロに粉々になる直前、店長の伏せカードが表になった。《六尺瓊勾玉(むさかにのまがたま)》である。

 

「やっぱりね」

 

 どうやら千鳥は伏せカードにアテがあったようだ。

 

「すごい読みだね」

 

 店長は素直に感心していた。

 

「そりゃ絶対に敗けられないもの。色々とかかってるから」

 

 千鳥はニッと笑った。

 

「優勝とか、あと特にお金とか!」

 

 

 




 久しぶりに千鳥がデュエルした十七話でした。登場した頃は異常なぐらい強かったですよね、《真六武衆》。
 ちなみにサブタイにある某動画というのはニコ動のSF人情なんちゃって時代劇架空デュエルコメディーです。
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