遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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第二話 「大人しい人とか優しい人ほどキレると怖い」

 フユと不良が対峙する。

 ちなみに彼らの住んでいる詠留町は国内有数のデュエルディスク生産台数を誇っており、皆大抵社会見学なんかで自分オリジナルのデュエルディスクを造ってもらっている、ということにしてもらえないかな。                            

そしてフユのデュエルディスクは形状は一般的なものと同じだが表面が白、裏面が黒というカラーリングを施している。

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

フユ LP8000

 

 

不良 LP8000

 

 

「先攻は頂くぜ。オレのターン、ドロー! オレは手札から《ゴブリン突撃部隊》を召喚!」

 

不良生徒の場に重武装に身を包んだゴブリンの大群が現れる。

 

 

ゴブリン突撃部隊 星4 地 戦士族 攻2300/守0

 

 

「さらにオレはフィールド魔法《フューチャー・ヴィジョン》を発動!」

「なるほど・・・」

 

 フユが呟いた。

 

「《フューチャー・ヴィジョン》が存在する限り、モンスターを通常召喚すればフィールドから除外される。よってこの場合はモンスターをセットして、次のターン反転召喚するのが無難な策ですが、高打点の《ゴブリン突撃部隊》がいてはそれも難しいということですか」

 

 フユの解説を聞いて不良は少し満足そうな顔をした。

 

「まあ、それだけじゃねえけどな。オレはカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

 

不良 LP8000 手札3

モンスター/《ゴブリン突撃部隊》

魔法・罠/《フューチャー・ヴィジョン》リバース×1

 

 

「へぇ、なら、僕のターン、ドロー!」

 

 フユがカードをドローした瞬間、不良の目がカッと見開かれた。

 

「リバースカード、オープン!永続罠《スキルドレイン》!!」

 

 

不良 LP8000→LP7000

 

 

 不良の下卑た笑い声が響く。

 

「ハハハハハハ!!どうだ!?これでモンスター効果による除去もできなくなった上、《ゴブリン突撃部隊》のデメリット効果も消えた!さあ、どうする!?」

 

 不良が親切に説明&高笑いする中、フユは何も答えず、スッと目を閉じた。その様子を千鳥と龍一、不良はもちろんのこと、周りの生徒も訝しげに見ている。

 

「なんだそれは?」

 

 フユはその問いには答えず、かわりに目を開ける。

 

「見えた、クリアマインド!」

 

「えっ!?マジで!?」

「というのは冗談なんですけどね」

「冗談かよ!!」

「でも、勝つための策は見えました。―――このターンで決着をつけます」

 

 フユがフッと笑うと、不良は不機嫌な声を出す。

 

「はぁ?この状況で、しかも後攻ワンターンキルを決めるってか?攻略できるってんならしてみろよ!」

「攻略できないカードもコンボも存在しません!僕は手札から魔法カード《大嵐》を発動し、フィールドの魔法・罠カードを全て破壊します!」

 

 突如フィールドで強烈な風が発生し、二枚のカードを吹き飛ばす。

 

「何ぃ!?」

「続けて魔法カード《精神操作》を発動し、《ゴブリン突撃部隊》のコントロールを得ます!」

「テメッ、人のカードを!」

 

 不良の声は明らかに苛立っていた。

 

「そして《神秘の代行者 アース》を召喚!」

 

 体色が真っ白な少年天使が舞い降りる。

 

 

神秘の代行者 アース 星2 光 天使族 チューナー 攻1000/守800

 

 

「《神秘の代行者 アース》の効果発動!このモンスターが召喚に成功した時、デッキから《代行者》と名のつくカード一枚を手札に加えることができます。僕は《創造の代行者 ヴィーナス》を手札に加えます。さらに速攻魔法《フォトン・リード》を発動し、今手札に加えた《創造の代行者 ヴィーナス》を特殊召喚します!」

 

 今度は黄金色の女天使が現れた。

 

 

創造の代行者 ヴィーナス 星3 光 天使族 攻1600/守0

 

 

「レベル3《創造の代行者 ヴィーナス》に、レベル2の《神秘の代行者 アース》をチューニング!」

 

 少年天使の肉体が二つの輪となり、ヴィーナスを囲む。そして光の束が天を貫く。

 

「シンクロ召喚!研鑽せよ、《TG(テックジーナス)ハイパー・ライブラリアン》!!」

 

 その声と共にいかにも頭脳派なメガネが召喚される。

 

 

TG ハイパー・ライブラリアン 星5 闇 魔法使い族 攻2400/守1800

 

 

「まだです!僕は魔法カード《死者蘇生》を発動し、《神秘の代行者 アース》を蘇らせ、レベル4の《ゴブリン突撃部隊》にレベル2の《神秘の代行者 アース》をチューニング!」

 

 さっきと同じ要領で光の束が生まれる。

 

「シンクロ召喚!貫け、《大地の騎士ガイアナイト》!!」

 

 馬のいななきが響き、西洋甲冑に身を包んだ騎士が現れた。

 

 

大地の騎士ガイアナイト 星6 地 戦士族 攻2600/守800

 

 

「クソッタレが・・・!」

 

 少し前までは余裕の表情を見せていた不良も焦りが見える。対照的にフユは落ち着いた声でこう告げる。

 

「《TG ハイパー・ライブラリアン》の効果により、僕はカードを一枚ドロー。そして墓地の《神秘の代行者 アース》を除外し、僕のエースモンスターを特殊召喚します」

 

 天空から光が降り注ぐ。

 

「天空に住まいし太陽神よ、矛を向ける者全てを灼き払え!!来い、《マスター・ヒュペリオン》!!!」

 

 その言葉と同時に炎の翼を持つ天使が降り立った。

 

 

マスター・ヒュペリオン 星8 光 天使族 攻2700/守2100

 

 

「な・・、に・・・!」

 

 三体の上級モンスターを前にして声もまともに出せなくなっている。

 

 

 

「す、すげえ・・・!」

 

 龍一は思わず呟いた。

 

「あいつどうしちまったってんだよ」

「多分、あれがホントの実力なんじゃないかな?」

 

 千鳥が言った。

 

「どういうことだよ?」

「昔のあいつね、すっごく強かったの。でも色々あって友達減っちゃって・・・・。その原因が自分がデュエルで勝ってばっかで皆つまらなくなったんじゃないかってフユは思ったみたいで・・・・・。それから先は知っての通りよ」

「そんなことがあったのか・・・・・」

 

 千鳥と龍一の間でそんな会話がなされているとも知らず、フユは不良に話しかける。

 

「僕の大事な友人を傷つけた罪は重いですよ」

 

しかしフユは天使が如き微笑みでこうも告げた。

 

「でも、今すぐ彼に謝るというのなら、せめてこのターンぐらいは攻撃しないであげてもいいですよ?」

「じゃ、じゃあ・・・。す、スイマ」

 

「遅い」

 

 フユは微笑んだまま、モンスターに総攻撃を命じた。

 槍、炎、何かデータっぽいものが不良に襲い掛かる。

 

「いぎゃあああああああああ!!!」

 

 

不良 LP7000→LP0

 

 

 あわれ不良は断末魔の叫びをあげて倒れましたとさ。

 

(うわぁ、悪魔)

 

 このデュエルを見ていた全員がそう思った。

 

 

 

 フユは何事もなかったかのようにいつもの笑顔で二人のもとへ歩み寄る。

 

「いやぁ、引きが良くて助かったよ」

 

 明らかに自分の実力を隠そうとしていた。

 

「おいフユ」

「なんだい?」

「明日の放課後、ここで俺とデュエルしてくれないか?」

「ああ、いいよ」

 

 サクッとOKしたフユに龍一は、でも、と言葉を付け加える。

 

「その時はさっきのデュエルみたく本気で相手してくれ」

「ハハ、何言ってるの?僕はいつだって本気で・・・・・、」

 

 そこまで言ってフユはいつになく真剣な表情の龍一と、気まずそうな千鳥の顔から大体の察しがついたようで、少し悲しそうな顔をして言った。

 

「・・・いいよ。君が、それを望むというのなら」

「サンキューな。でも、もしお前が本気を出してないって思ったら、その時は、俺はお前と絶交させてもらう」

 

 沈黙の輪が三人を包む。

 だがその沈黙もすぐに破られた。

 

「ククククク・・・・・」

 

 かすかな笑い声がする。その方向を向くと声の主はさっきの不良だった。彼は笑いながらよろよろと立ちあがる。

 

「テメェ、やっちまったなぁ・・・・・」

「どういうことです?」

「今このアカデミアの不良生徒はある方によってまとめ上げられている。このことを報告すれば必ずあの方は仇をとって下さる!だからそれまで覚えていやがれ!!」

 

 そう言い残し不良はこの場を去って行った。そして少ししてフユがポツリと呟いた。

 

「・・・お手本みたいな捨て台詞」

「いや、気にするところそこじゃないでしょーが」

 

 千鳥が速攻でツッコんだ。

 

 




 はい、というわけで主人公はザコデュエリストではなくクズデュエリストだったという二話です。ですが「すぴばる」の当小説をご覧になってない読者の皆さん。彼のクズぶりは実はこんなもんじゃなかったりします。
 それでは次回をお楽しみに。
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