遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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第二十話 「パワーだけじゃどうにもならない世知辛い世の中」

 

千鳥 LP6800 手札4

モンスター/《ガスタの疾風 リーズ》

 

 

ガスタの疾風 リーズ 星5 風 サイキック族 攻1900/守1400

 

 

雀句 LP7800 手札2

モンスター/《レッド・デーモンズ・ドラゴン》《マッド・デーモン》

 

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン 星8 闇 ドラゴン族 攻3000/守2000

 

 

マッド・デーモン 星4 闇 悪魔族 攻1800/守0

 

 

 さて、チームACEの一回戦。まさかの二回連続千鳥がデュエルという、おいおいこれ絶対千鳥敗けるだろ、と思われた今回。しかし意外とこのままいけばレモンが奪えるというチャンスから始まるのであった。

 

「グッ・・・・!ターン、エンド・・・!!」

 

 雀句のエンド宣言から悔しさが伺える。しかしまあ、フユ程ではないにしろ、千鳥は容赦が無い。

 

「私のターン、ドロー!―――私は《ガスタ・イグル》を召喚!」

 

 鳴き声をあげ、パタパタと羽ばたく小鷲。

 

 

ガスタ・イグル 星1 風 鳥獣族 チューナー 攻200/守400

 

 

「そして私は手札を一枚デッキの下に戻して効果を発動!私のフィールドの《ガスタ》モンスターと相手モンスター一体のコントロールを入れ替える!」

 

 イグルとレモン、それぞれが本来の主に矛を向けた。

 

「おー、おー。千鳥のやつ、なかなかえげつない事するねえ」

 

 ケイトは腕を後頭部で組みながらそんなことを呟いた。

 

「確かに攻撃力200のモンスターと3000のモンスターが入れ替わるわけだからな」

 

 英雄もそれに同意した。

 

「いや、それもあるが千鳥の狙いは他にもある」

 

 零士が補足する。

 

「私は《ガスタの疾風 リーズ》で《ガスタ・イグル》を攻撃!ウインド・ロッド!」

 

 リーズは槍状の杖でイグルを攻撃した。

 

 

雀句 LP7800→LP6100

 

 

「破壊されたイグルの効果発動!戦闘破壊されて墓地へ送られた時、デッキから非チューナーでレベル4以下の《ガスタ》を一体特殊召喚できる!」

「何だと!?」

 

 雀句は目を見開いた。

 

「おおお!これが狙いだったのか!」

 

 英雄は純粋に感心している。

 

「私は《ガスタの静寂 カーム》を特殊召喚!」

 

 

ガスタの静寂 カーム 星4 風 サイキック族 攻1700/守1100

 

 

「《ガスタの静寂 カーム》で《マッド・デーモン》を攻撃!サイレント・ウィンド!」

「クッ!《マッド・デーモン》は攻撃対象になった時、守備表示になる・・・!」

 

 上級モンスターに攻撃されても貫通持ちでない限りダメージは受けないが、攻撃力が0を超えてさえいれば破壊される微妙な効果。

 

「最後に《レッド・デーモンズ・ドラゴン》でダイレクトアタック!アブソリュート・パワーフォース!」

「グアアアアアッ!!!」

 

 腕に炎を纏ったレモンの強烈な一撃を雀句はまともに受けた。

 

 

雀句 LP6100→LP3100

 

 

「私はカードを二枚セットしてターンエンド!」

 

 

千鳥 LP6800 手札1

モンスター/《ガスタの疾風 リーズ》《ガスタの静寂 カーム》《レッド・デーモンズ・ドラゴン》

魔法・罠/リバース×2

 

 

「おのれ・・・!よくも俺の《レッド・デーモンズ・ドラゴン》を・・・・!!っ俺のターン!」

 

 雀句はドローしたカードを見て思案した。

 

(相手にも手札を与えることになるが、今の俺の手札に逆転の一手は無い。ここは賭けに出るか・・・)

 

「俺はモンスターを一体伏せて、ターンエンド!」

 

 

雀句 LP3100 手札2

モンスター/リバース×1

 

 

「私のターン、ドロー!――――私は《ガスタの静寂 カーム》で伏せモンスターに攻撃!サイレント・ウィンド!」

 カームの召喚した風が裏側のカードに当たる直前、モンスターが正体を表した。

 

 

メタモルポット 星2 地 岩石族 攻700/守600

 

 

「《メタモルポット》のリバース効果を発動!互いに手札を全て捨て、デッキから新たに5枚のカードをドローする!」

「おぉーっとぉ!!?雀句選手、ここで大量ドロー!残る攻撃を防ぐ手立てはあるのか!?」

「何が来ようと、私は進む!私の信じる、仲間と共に!」

 

 千鳥は珍しくかっこいいことを言うが、

 

「うん、レモンは?」

 

とここでフユがナイスツッコミ。

 

「と、とにかく私は《レッド・デーモンズ・ドラゴン》でダイレクトアタック!アブソリュート・パワーフォース!」

 

 指摘された恥ずかしさで顔を赤くしつつ、千鳥は攻撃を宣言する。

 

(相手のデッキ上、ゴーズの危険は少ない。仮に召喚されたとしてもリーズでまたコントロールを入れ替えればいい!)

 

「この雀句阿斗羅須にそう何度も同じような攻撃がきくものか!俺は手札から《バトルフェーダー》を特殊召喚し、バトルフェイズを強制的に終了させる!」

 

 黒い振り子時計みたいなモンスターが召喚され、下半身(?)の振り子が鳴る。すると《レッド・デーモンズ・ドラゴン》は攻撃の手を止めた。

 

「しくじったわ・・・!でも次のターンで決める!私はカードを一枚伏せてターン・・・」

 

 千鳥のエンド宣言を雀句は遮った。

 

「この瞬間、《レッド・デーモンズ・ドラゴン》の効果により、攻撃宣言をしていない《ガスタの疾風 リーズ》は破壊される!」

 

 悪魔龍は自軍のモンスターすらも容赦なく焼き尽くす。

 

「・・・・っターン、エンド」

 

 

千鳥 LP6800 手札4

モンスター/《ガスタの静寂 カーム》《レッド・デーモンズ・ドラゴン》

魔法・罠/リバース×3

 

 

(今伏せたカードは《ガスタ》の攻撃時にカード効果を発動させない罠カード、《ガスタの風塵》。次の攻撃をしのげれば・・・・)

「なんとかしのぎ切った雀句だが、逆転することはできるのかぁ―――っ!?」

 

 秋人の実況に元キンもどきは、

 

「フッ、このぐらいのエンターティイメントが無ければ、面白くないだろう?」

 

などと言って不敵に笑う。

 

「俺のターン、ドロー!!―――俺は手札から《ブラック・ホール》を発動!」

 

 光ですら脱出できない闇がフィールドの三体のモンスターを吸い込んだ。

 

「そう言えば、何げにカームって初めて破壊されたよね」

 

 と言うフユの言葉は全員シカト。

 

「さらに俺は《死者蘇生》を発動!」

「《ブラック・ホール》だけじゃなく、《死者蘇生》まで引いてたっていうの!?」

「キングだからな!そして復活させるのは無論このカード!甦れ!我が魂、《レッド・デーモンズ・ドラゴン》!!」

 

 主の元に蘇った紅蓮魔龍。

 

「そして俺の場にレベル8以上のシンクロモンスターがいる時、このモンスターは特殊召喚できる!《クリエイト・リゾネーター》を特殊召喚!」

 

 パッと見は《ダーク・リゾネーター》と変わらないが、背中には何やら青い花が。

 

 

クリエイト・リゾネーター 星3 風 悪魔族 チューナー 攻800/守600

 

 

「次に《アタック・ゲイナー》を召喚!」

 

 今度は黒いヒーロースーツみたいなのを着た少年モンスターが召喚された。

 

 

アタック・ゲイナー 星1 地 チューナー 戦士族 攻0/守0

 

 

「レベル合計は12・・・。来るな」

 

 零士が冷静に言う。

 

「行くぞ!俺はレベル8の《レッド・デーモンズ・ドラゴン》に、レベル3の《クリエイト・リゾネーター》と、レベル1の《アタック・ゲイナー》でダブルチューニング!!」

「ち、チューナー二体でのシンクロだとぉ!?」

 

 こういう時驚くのは英雄の仕事。

 で、通常シンクロ時はチューナーは緑の輪になるのだが、今回は炎の輪となっている。

 

「王者と悪魔、今ここに交わる。荒ぶる魂よ、天地創造の叫びをあげよ。シンクロ召喚!出てよ、《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》!」

 

バオオオオオオォォォォォ!!!

 

 雄叫びと共に現れたのは紅蓮の龍。しかしその形容は悪魔のようにも見える。

 

 

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン 星12 闇 ドラゴン族 攻3500/守3000

 

 

「見るがいい、これがスカーレッド・ノヴァのパワーだ!このカードは自分の墓地のチューナー一体につき、500ポイント攻撃力がアップする!俺の墓地のチューナーは三体!よって攻撃力は5000だ!!」

 

 

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン 攻3500→5000

 

 

「ここで雀句選手、《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》を召喚したー!!これで勝負は分からなくなったぞ――!!」

 

 秋人がテンション上げすぎて机の上に立って実況し出す。それを慌てて落ち着かせようとする校長。そして秋人のテンションに釣られて他の生徒達も湧き上がる。

 

「《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》でダイレクトアタック!バーニング・ソウル!!」

 

 スカーレッドが全身に炎を纏い、一直線に突っ込んできた。

 

「これをまともに喰らうとマズイぜ!」

 

 ケイトが焦りだした。

 

「大丈夫!罠発動!《ガスタのつむじ風》!」

「何だと!?」

「墓地のカームとイグルをデッキに戻して、デッキから《ガスタ・イグル》を特殊召喚!」

 

 再び召喚された緑色の小鳥。

 

「何かと思えばモンスターを特殊召喚するだけのカードか。そんなことで俺は止められんぞ!攻撃続行だ!バーニング・ソウル!!」

 

 小鳥にこの攻撃を止められるはずもなくイグルは瞬殺された。しかし〈ガスタ〉は墓地に送られた時こそ本領発揮なわけで。

 

「破壊された《ガスタ・イグル》の効果発動!デッキから《ガスタの巫女 ウィンダ》を特殊召喚!」

 

小さい鷲の次に現れたのは緑の髪をポニーテールでまとめた少女。

 

 

ガスタの巫女 ウィンダ 星2 風 サイキック族 攻1000/守400

 

 

「しのいだか・・・・・。俺はカードを一枚セットしてターンエ・・・」

「この瞬間、罠カード《ガスタの祈り》を発動!墓地のムストとスクレイルをデッキに戻して、墓地のリーズを特殊召喚!」

 

 またモンスターを奪う気満々なのが丸分かりだ。

 

「フン!この雀句阿斗羅須にそう何度も同じ手が通じるかな?」

 

 どうやら何か打開策があるようだ。

 

 

雀句 LP3100 手札0

モンスター/《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》《バトルフェーダー》

魔法・罠/リバース×1

 

 

「アニメ効果じゃないのにどうやって躱すつもりよ?―――私のターン!私は手札を一枚デッキの下に戻して、リーズの効果を・・・」

 

 千鳥がそこまで言った時、雀句は一喝した。

 

「甘い!浅い!!ぬるいわ!!!リバースカード、オープン!《禁じられた聖杯》!!コイツでリーズの攻撃力を400上げる代わりに効果を無効にする!」

「しまった!」

 

 で、前回同様そろそろカードがボケ始める頃合なわけで。《禁じられた聖杯》が立体映像化されたら、イラストにいた女性が片手に何かの入った盃を手にしていた。そこまではいいんだが、何故かこの女性、足元はふらついてるし、頬も赤いし、目の焦点もあっていない。挙げ句の果てに何かガン飛ばしてる気がする。

 

「な、何か酔ってない?あの人。しかも悪酔い」

 

 千鳥は引き気味に笑っている。

 

「きっとアレだよ。旦那の浮気を知って飲みすぎたとかそんなんだよ」

 

 フユがなんの気なしに答える。

 

「そうなの!?っていうか旦那いたのあの人?」

 

 ここから他三人もボケに走る。

 

「なるほど!そう考えたら他の《禁じられた》シリーズもつじつまが合うな!」

「《禁じられた聖衣》は旦那の服で、ポケットからキャバ嬢の名刺が出てきたとか、服に女物の香水の匂いが付いてたとかそんなんじゃないのかい?」

「そして《禁じられた聖槍》で女は愛する男を、か・・・・・」

「何よその昼ドラみたいな感じ!」

 

 そうこうやってる内に女はリーズにずかずかと歩み寄ってくる。

 

「オラ、飲めよ!!」

 

 何かそんなことを言っているような気もしたが、まあ気にしない。でもって無理矢理聖杯を飲まされたリーズもほんのり顔が赤くなり、何回かしゃっくりをしたりする。

 

 

ガスタの疾風 リーズ 攻1900→2300

 

 

 読者の皆、お酒は二十歳になってからだぞ!

 

「見たか!これがキングの一歩先を行くデュエルだ!」

「・・・・・・・・・・・」

 

 千鳥はそれには何も答えない。

 

「どうした?ショックで言葉も出んか?」

 

 雀句は余裕の表情。

 

「・・・・・言ったはずよ。このターンで決めるって!」

 

 千鳥は勝ちを確信している顔だ。

 

「私は《ガスタ・ファルコ》を召喚!」

 

 

ガスタ・ファルコ 星2 風 鳥獣族 チューナー 攻600/守1400

 

 

「私はレベル2の《ガスタの巫女 ウィンダ》にレベル2の《ガスタ・ファルコ》をチューニング!―――シンクロ召喚!駆け抜けろ、《ダイガスタ・ファルコス》!」

 

 現れたのは巨大化したファルコを駆るウィンダ・・・・、じゃなくてカムイ。

 

 

ダイガスタ・ファルコス 星4 風 サイキック族 攻1400/守1200

 

 

「《ダイガスタ・ファルコス》がシンクロ召喚に成功した時、フィールドの《ガスタ》の攻撃力は600ポイントアップ!」

 

 

ダイガスタ・ファルコス 攻1400→2000

 

 

ガスタの疾風 リーズ 攻2300→2900

 

 

「その程度攻撃力を上げたところでスカーレッド・ノヴァの足元にも及ばん!」

「攻撃力が全てじゃないわ」

「ならば効果破壊か!?しかしこのカードはカード効果では破壊されない!」

「それも知ってるわ。―――――でもそれは『破壊されない』だけ・・・・」

「何が言いたい!?」

 

 千鳥の言葉にだんだん苛立ってくる元キンのソックリさん。

 

「つまり破壊以外の効果でフィールドからたたき出せばいいって言ってるのよ!!私は手札から《ガルドスの羽ペン》を発動!このカードは墓地の風属性モンスター二体をデッキに戻してフィールドのカード一枚を手札に戻す!」

「バウンスだと!?」

「シンクロしたのは墓地にモンスターを溜めるため。私は墓地のイグルとウィンダをデッキに戻して、《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》をエクストラデッキへ戻す!」

 

 そこそこでかい緑色の羽ペンが出現し、勝手に羽の部分でスカーレッドをしばいた。

 

「え!?そういう感じなの!?いや他のやり方も思いつかないけど!」

 

 まあ千鳥がツッコミはするけどこれで雀句のフィールドは完全にがら空き。

 

「決まっ・・・」

「これで終わりよ!《ダイガスタ・ファルコス》と《ガスタの疾風 リーズ》でダイレクトアタック!」

(最後まで言わせて・・・・)

 

 フユの悲痛な思いが間に入ってくる。

 

「ぬおっ!?うわあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

雀句 LP3100→LP0

 

 二体の直接攻撃で元キンもどきは数メートル向こうまで吹き飛んだ。

 

「ちょっ、大丈夫?」

 

 千鳥が心配して聞いてみる。聞かれた雀句は頭から血を流しながらよろよろと起き上がった。

 

「キ、キングのデュエルは、エンターティイメン倒でなければならない・・・・・!!」

「最後までキャラ貫くのね!」

 

 まあ○ャックで通すならこのぐらいやらないとね!

 

 

 

「それでは次のデュエリスト、不屈野英雄と黒羽鳳雁はリングに上がってくれ!あと雀句は今すぐ保健室に行った方がいいぞ!」

 

 デュエルが終わったのを見計らって秋人が促した。

 

「アンタもやれるだけのことはやりなさいよ!」

 

 すれ違う直前に千鳥は英雄に激を飛ばした。

 

「おう!このヒーローに任せろ!!」

 




 意外にも今回も千鳥の勝利でした。すぴばる版を読んだことのある読者なら知っているかもしれませんがこのデュエルフェスタ編の千鳥の勝率ってかなり高いんですよね。
 そして今回のフィニッシュ、やられ方が大げさだったかもしれませんが、○ャックのデュエルと言えばレモン、そしてダイナミッククラッシュ、いわゆる「エンターティイメン倒」ですからね。
 さて、次回は英雄のデュエル。彼は一体どれほど進歩できたのでしょうか?お楽しみに。

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