デュエルフェスタも三日目に突入し、ようやく折り返しである。でもって今回は普段よりかなり長くなりそうなので、早速スタートなのである。
「さぁ―――――――ッ!!!デュエルフェスタも三日目!何げに準々決勝だ――――――――――――ッ!!!」
相変わらずハイテンションなMC秋人。
「それでは選手の入場だ――――!!」
そして登場するのは彼ら。
「まずは!!五人全員が一騎当千!!チームACE!!!」
観客の歓声がさらに大きくなる。ここ二日間の活躍でACEの人気は急上昇していた。
キャー、零士様ー!!
零士くーん、こっち向いてー!!
特に昨日の一件で零士の人気がうなぎのぼり。しかし当の本人は反応無し。
(いいな〜)
ここ最近全く出番がないせいか、あまり人気の上がっていないフユはちょっと羨ましがったり。
「対するは、メンバーは全員美少女!!定期的に集まってはお茶している女の子チーム!!略して『ていおん!』」
「どっかで聞いたことあるんだけど、似たタイトルのマンガとアニメ!!」
反射的にツッこむ千鳥。
しかしまあ、黒髪おかっぱロングの娘とか、小柄なツインテールの娘とか、確かにそれっぽい人達ばかりだった。
「デュエリストが揃ったところで、対戦形式の発表だぁ―――――ッ!!」
全員の目がモニターへと移る。
で、毎度のごとくランダムで選ばれた対戦形式は、コレ。
勝ち抜き戦
「今回のデュエルは勝ち抜き戦だー!!一対一で敗けるまでデュエルしてもらい、先に五人全員を倒したチームの勝利だ―――ッ!!しかも、勝ち抜き戦はそのルールから対戦の順番はチーム内で決めることができるぞぉ―――――!!という訳で、早速デュエルの順番を決めてくれ!!」
そういう訳で話し合いを始める五人。
「こういうのは、やっぱいっちゃん強え奴がいいよな?」
そう言ってケイトが目線を送ったのはフユ。
「いいよ」
フユも快諾。活躍して零士みたいに人気を上げたいという欲が出たのもあるが。
「でも大丈夫なの?向こうも多分同じことを考えてるだろうし・・・」
「コイツがそんじょそこらのデュエリストに敗けるはずがない!」
心配する千鳥と信頼しきっている英雄。
「なら、先陣は決まりだな」
そして零士がまとめるように言った。
それから諸々話し合われた結果、フユ、零士、千鳥、英雄、ケイトという順番になった。
「それでは最初のデュエリスト二人はリングに上がってくれ!」
両チームの話し合いが終わったのを見計らって秋人が言った。
「じゃ、行ってくるよ」
「頑張ってね」
「どうせなら、ノーダメ五人抜きでもやっちまえ!」
などの言葉を受けて、フユにとって初のフェスタでのデュエルが始まった。
フユの対戦相手は、茶髪セミロングの髪型に、スカートの下に黒いタイツを履いた、結構可愛いの女の子だ。
(一応名乗るぐらいはしといたほうがいいかな?今回はモニターに表示されなかったし)
ふとそんなことが頭に浮かんだので、
「白雪姫フユです。よろしく」
そう言って微笑んだ。
「桜木(さくらぎ)春(はる)です。よろしくね!」
それに対して相手もにっこり笑って名を告げてきた。
(あ、結構可愛いかも・・・)
なんて思って頬を赤らめたり。
「・・・・・あ``ぁ``?」
そしてそれを敏感に感じ取ってイラつく千鳥。
「それでは!準々決勝第一試合、スタートだぁぁぁぁッ!!!」
「デュエル!」「デュエ・・・・・ん?」
「デュエル!」って言いかけたところで、フユが相手のデュエルディスクに何か違和感を覚えた。いや、カラーリングがピンク色でデュエルアカデミア風というところ以外は普通のそれと変わりない。しかしよ〜く見ると、それが何なのか分かった。
「あの、デュエルディスク・・・、逆じゃないですか?」
そう、彼女のデュエルディスクが前後ろ反対になっていたのだ。
「え?・・・・・あ、ホントだ!」
「いや気付くだろ普通!!」
てへへ、と笑う春に千鳥のツッコミが炸裂した。が、しかしフユの反応は
(て、天然だとォォォォォッ!?)
こんな感じ。
で、改めてデュエルディスクを戻して、
「「デュエル!!」」
デュエルスタート。
フユ LP8000
春 LP8000
「あ、先攻どうぞ」
親切心から先攻を譲ったフユ。
「ありがと!―――じゃ、私のターン、ドロー!」
さて、ゆるい雰囲気だが、これが勝ち抜き戦である以上、相手の実力が少なくとも向こうのチームの中ではかなり高いことはほぼ間違いない。
「私はモンスターをセット。トラッ・・・、カードを一枚セットしてターンエンドだよ!」
春 LP8000 手札4
モンスター/リバース×1
魔法・罠/リバース×1
うっかり罠カードと言いかけた。
「気を付けろよフユー!あの伏せカードなんかあるぞー!」
ケイトの警告。が、しかしフユの反応は
(ド、ドジッ娘だとォォォォォッ!!?)
こんな感じ。
「ぼ、僕のターン、ドロー!」
どうにも四人にはフユが普段のフユには見えない。
「僕は《ダーク・ヴァルキリア》を召喚!」
今回は普通な登場だが、久しぶりの出番だからか、テンションが上がっているように見えた。
ダーク・ヴァルキリア 星4 闇 天使族 攻1800/守1050
「バトル!《ダーク・ヴァルキリア》でセットモンスターに攻撃!ダーク・エンジェル・ダスト!」
「っておい!なんかあるって言っただろ!」
しかしもう手遅れ。《ダーク・ヴァルキリア》の放った霧が伏せカードを捕らえた。
「セットモンスターは《マドルチェ・マーマメイド》!守備力は2000だから破壊されないよ!」
姿を見せたのはメイド服を着た可愛らしいモンスター。
マドルチェ・マーマメイド 星4 地 魔法使い族 攻800/守2000
(挙げ句の果てに【マドルチェ】だとォォォォォッ!!!?)
フユ LP8000→LP7800
たった200程度の衝撃だが、フユには《インフェルニティ・デス・ガンマン》(アニメオリジナル)にこめかみを撃ち抜かれたような感覚がした。
(ま、まさかあの今度出る、っていうかリメイク版だともう出てる《ゴーストリック》に勝るとも劣らない可愛いシリーズをこんな大会で使う人がいるとは・・・!!・・・・っていうか何なんだ?さっきから感じるこの胸の高まりは・・・?)
「マーマメイドはリバースした時に墓地の《マドルチェ》って名前のつく魔法か罠カードを手札に加えられるけど、この効果は使えないよ」
フユがひとり悶絶しているとは露知らず、効果の説明をする春。
「うッ・・・。僕はカードを一枚セットしてターンエンド」
フユ LP7800 手札4
モンスター/《ダーク・ヴァルキリア》
魔法・罠/リバース×1
「私のターン、ドロー!私は《マドルチェ・マーマメイド》をリリースして・・・、」
マーマメイドが光に包まれて消えていく。
「《マドルチェ・プディンセス》をアドバンス召喚!」
マーマメイドが消えた後から現れたのは、純白のドレスを着たこれまたキュートなお姫様。
マドルチェ・プディンセス 星5 地 天使族 攻1000/守1000
「さらにフィールド魔法《マドルチェ・シャトー》を発動!」
カードが発動された瞬間、彼女の後ろにでかいケーキの家ならぬ、ケーキの城がそびえ立った。
「このカードの効果で墓地の《マドルチェ》モンスターをデッキに戻して、フィールドの《マドルチェ》の攻撃力と守備力を500ポイントアップ!さらにプディンセスは墓地にモンスターがいない時は攻撃力が800アップするよ!」
マドルチェ・プディンセス 攻1000→1500→2300/守1000→1500→2300
「攻撃力が逆転されたか・・・!」
「《マドルチェ・プディンセス》で《ダーク・ヴァルキリア》を攻撃!プディンセス・アラモード!」
プディンセスはどこから取り出したのか、ケーキやらマカロンやら洋菓子の類を投げつけてきた。
「罠発動!《聖なるバリア―ミラーフォース―》!」
「食べ物を粗末にするなぁぁぁッ!!」
フユの声と千鳥のツッコミが被った。
「ヤバッ!カウンター罠、《マドルチェ・ティーブレイク》!ミラーフォースの効果を無効にして、手札に戻すよ!」
(クッ、やっぱりミラフォは仕事をしない・・・!)
「さらにティーブレイクのもう一つの効果!プディンセスがフィールドにいる時、フィールドのカードを一枚破壊できる!私が破壊するのは、《ダーク・ヴァルキリア》!」
(仕事しないどころか、状況悪化させた―――!!)
ケーキの城の中から《マドルチェ・マジョレーヌ》が勢いよく飛び出してきて、そのままヴァルキリアにドロップキックを喰らわせる。
(結局ろくに活躍できなかった―――――!!)
《ダーク・ヴァルキリア》が消滅する直前にそんな声が聞こえたような気がしたが、まあ気にしない。
それより問題なのは・・・、
「改めて《マドルチェ・プディンセス》で攻撃!プディンセス・アラモード!」
フユの場がガラ空きだということだ。
フユ LP7800→LP5500
「うわっ!これがソリッドビジョンでホント良かったー」
流石に2000ちょっと程度のダメージでは、彼は動じないようだ。
「カードを一枚セットしてターンエンド!」
春 LP8000 手札2
モンスター/《マドルチェ・プディンセス》
魔法・罠/《マドルチェ・シャトー》リバース×1
(ああ、真剣な表情の春さんも可愛いな〜)
なんて物思いにふけっていると、
「おい何やってんだフユ!」
「お前のターンだぞ!」
などと味方サイドから叱咤される。
「え?ああ、ゴメン。僕のターン、ドロー!――――!」
ドローしたカードを見て、やっと主人公らしいキリッとした顔をした。
「僕は手札の《奇跡の代行者 ジュピター》を除外!」
フィールドに神々しい光が降り注いだ。
「来たぜ来たぜぇ!!フユのエースモンスターその一!!」
テンション↑↑なケイト。
「天空に住まいし太陽神よ、矛を向ける者全てを灼き払え!!来い、《マスター・ヒュペリオン》!!!」
マスター・ヒュペリオン 星8 光 天使族 攻2700/守2100
そう言えば、と思って、フユは《マスター・ヒュペリオン》にある相談をしてみた。
(ねえ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど・・・)
(何だよ?)
(今闘ってる娘いるでしょ?あの娘の一挙一動に、なんかこう、胸がドキドキするんだ。これって何なのかな?)
(そりゃお前アレだろ?あの娘に惚れたんじゃねえの?)
見た目の割には口調が軽い大天使。
(そっか。これが『恋』なのか・・・。じゃあさ、仮に、仮にだよ?僕は彼女と付き合うことが可能なのかな?)
(それは大丈夫なんじゃねぇの?性格はどうか知らねぇけどイケメンの部類だし)
(なるほど・・・。ありがとう)
ここで会話は終了。
「バトル!《マスター・ヒュペリオン》で《マドルチェ・プディンセス》を攻撃!プロミネンス・ブラスト!」
《マスター・ヒュペリオン》は極少サイズの太陽をプリン姫にぶつけた。
「ただじゃやらせないよ!」
(ヤらせない!?)
「永続罠《マドルチェ・ワルツ》!《マドルチェ》モンスターが戦闘を行ったダメージステップ終了時に相手に300ポイントダメージを与えるよ!」
春 LP8000→LP7600
フユ LP5500→LP5200
「そしてプディンセスは相手に破壊されて墓地に送られた時、デッキに戻るけど、シャトーの効果で手札に戻るよ」
「ッ・・・。僕はモンスターを一体伏せてターンエンド」
フユ LP8000 手札3
モンスター/《マスター・ヒュペリオン》リバース×1
「っておいおい何やってんだよアイツは!?」
ケイトが頭をかきむしった。
「なんのことだ?」
毎度の如くよく分かっていない英雄。
「さっきミラフォが無効化されて手札に戻ってただろ?」
「あ!伏せてない!!」
ここでやっと気付く。
「だが、あの女のプレイングも分からんと言えば分からん」
ここで零士もログイン。
「どうして?」
「《マドルチェ・プディンセス》には戦闘を行った後、相手フィールドのカードを破壊できる効果がある。ダイレクトアタックの時は別として、さっきの戦闘で《マスター・ヒュペリオン》を破壊することができたはずだ」
「へぇ、そんな効果があったんだ」
「まあでも、あっちの姉チャンちょっと抜けてるところありそうだし、あれ任意効果だし、うっかり忘れてたんじゃねぇの?」
けど、とケイトは続けた。
「フユの場合は何てぇか、こう、デュエルに集中しきれてないっていうか、ドギマギしてるっていうか・・・、とにかく普段と違くね?」
「そんな事全員感じている。・・・・・それが何なのかまでは分からんがな」
四人がしゃべっている間もデュエルは進行していた。
「私のターン、ドロー!―――私は《マドルチェ・シューバリエ》を召喚!」
白馬に乗り、紅白のアメの剣を持った騎士が召喚された。
マドルチェ・シューバリエ 星4 地 戦士族 攻1700→2200/守1300→1800
「シューバリエでセットモンスターを攻撃!」
どんなモンスターが伏せられていたのかは分からないが、いとも簡単に伏せカードは両断された。
「それと《マドルチェ・ワルツ》の効果で300ダメージ!」
フユ LP5200→LP4900
「最後にまたカードを一枚セットしてターンエンドだよ」
春 LP7600 手札2
モンスター/《マドルチェ・シューバリエ》
魔法・罠/《マドルチェ・シャトー》《マドルチェ・ワルツ》リバース×1
(このままだとちょっとまずいかな?)
「僕のターン、ドロー!」
このタイミングで引いたカードは―――――、《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》。
(君か・・・。でも今墓地にいるモンスターは《ダーク・ヴァルキリア》とさっき破壊された『あのモンスター』だけだし、どっちも闇属性。召喚する事はできない)
「僕は《マスター・ヒュペリオン》で《マドルチェ・シューバリエ》攻撃!プロミネンス・ブラスト!」
(う〜。このカード、手札に別の戦士族モンスターがいないと使えないからな〜)
《マスター・ヒュペリオン》の放った炎の弾は間違いなくお菓子の騎士に直撃した。
春 LP7600→LP7100
フユ LP4900→LP4600
「僕はこれでターンエンド!」
フユ LP4600 手札4
モンスター/《マスター・ヒュペリオン》
「私のターン、ドロー!―――!」
ドローしたカードを見て、顔がパアッと明るくなった。
「ぃよぉーしっ!私はまず、《マドルチェ・メッセンジェラート》を召喚!」
現れたのは昔の郵便屋みたいな格好をした少年。
マドルチェ・メッセンジェラート 星4 地 戦士族 攻1600→2100/守1000→1500
「次に永続罠《死力のタッグチェンジ》を発動!」
「げ!!」
フユはいち早く自分に迫った危機を感じ取った。
「こりゃあ、やべえぞ・・・!!あの姉チャン、ボケっとしてるくせになんつーエグい手使いやがる」
「それに、かなりの引きだな」
ケイトと零士も少し遅れて勘付く。
「・・・どゆこと?」
やっぱり理解できてない英雄。
「そうか!戦士族のメッセンジェラートで《マスター・ヒュペリオン》を攻撃したら、《死力のタッグチェンジ》の効果で彼女への戦闘ダメージは0になって、メッセンジェラートは手札に戻る。そしてさっきのターンに破壊されて手札に戻った同じ戦士族のシューバリエが特殊召喚されて、今度はシューバリエで攻撃して・・・。しかもワルツの効果で攻撃が通る度にフユのライフが300削られていく・・・!つまり、無限ループコンボが完成しているの」
気付きついでに解説した千鳥。
「ってことはこのままじゃ・・・、フユが敗ける!?」
「あの娘、なかなかやるね。名前から考えても、もしかしたら君の探していた・・・」
影の薄い校長が隣にいるはずのMC秋人の方を見ると、いつの間にかいなくなっていた。
「・・・・・あれ?」
「バトル!メッセンジェラートで《マスター・ヒュペリオン》を攻撃!」
メッセンジェラートがカバンの中の手紙を手裏剣感覚で投げつけた。
これが通れば、実質フユの敗けだ。
「クッ、墓地の《ネクロ・ガードナー》の効果発動!メッセンジェラートの攻撃を無効にします!」
《マスター・ヒュペリオン》の前に半透明の《ネクロ・ガードナー》が立ち塞がり、手紙手裏剣を弾いた。
「ええ!?いつの間にそんなカードを墓地に!?」
「シューバリエに破壊されていた伏せモンスターですよ」
「うぅ〜。勝ったと思ったのに・・・。ターンエンド」
春 LP7100 手札3
モンスター/《マドルチェ・メッセンジェラート》
魔法・罠/《マドルチェ・シャトー》《マドルチェ・ワルツ》《死力のタッグチェンジ》
(うわ、ショゲてる春さんもまたいい)
(そうは言うがよ、ちょっとまずくねえか?もう防ぐ手はねえんだし)
《マスター・ヒュペリオン》が釘を刺してきた。
(それもそうだね。どっちにしろ、このドロー次第か)
「僕のターン、ドロー!!―――!」
(この手札なら、無限ループコンボを破壊できるかもしれない・・・!いや、それどころか・・・・・!!)
しばらく手札を見た後、顔を上げ、意を決したように言った。
「・・・・春さん、もしこのターンで僕が勝ったら、後でお話いいですか?」
そう言ったフユの顔は少し紅潮していた。
「ほほ〜う」
これを聞いたケイトはものすごいニヤニヤし、
「はあ?」
千鳥は眉間にしわを寄せる。
「・・・・・・・・・」
「?????????」
男性陣はこんな感じ。
「え?いいけど・・・。崩せるの、このコンボ?」
で、言われた彼女はキョトンとしている。
「攻略できないカードもコンボも存在しません。今からそれを証明してみせましょう。僕はまず、《召喚師セームベル》を召喚!」
久々登場フユデッキのアイドルカード、セームベル。しかし不機嫌そうに頬を膨らませている。
召喚師セームベル 星2 風 魔法使い族 攻600/守400
(どうしたの?最近出番無かったから、ふてくされちゃった?でもそれは他の皆も一緒だから・・・・・)
心配するのはいいが、的外れなことを言ったのが、火に油を注いでしまった。
「違うもん!!」
思いっ切り声に出して怒鳴った。
これには観客もざわつく。おい、今喋ったよな?みたいに。
(う〜ん困ったなー・・・。後で何でも言う事聞いてあげるから、機嫌直してくれない?)
(ホントに!?)
セームベルが嬉々とした笑顔を見せてくれて、ひとまず安心した。
「そしてセームベルの効果発動!手札からレベル2の《朱光の宣告者》を特殊召喚します!」
セームベルが呪文を唱えると、魔法陣が出現し、そこからオレンジ色の石が現れた。
朱光の宣告者 星2 光 天使族 チューナー 攻300/守500
「僕はレベル2の《召喚師セームベル》に、レベル2の《朱光の宣告者》をチューニング!―――シンクロ召喚!現れよ、《アームズ・エイド》!」
けたたましいエンジン音を鳴らして現れた機械手甲。
アームズ・エイド 星4 光 機械族 攻1800/守1200
「さらに《マスター・ヒュペリオン》の効果発動!今墓地へ送った《朱光の宣告者》を除外して貴方の《死力のタッグチェンジ》を破壊します!シャイニング・デストラクション!」
大天使の放った炎の塊はカードを跡形もなく灼き尽くした。
「おぉー、確かにコンボは崩されちゃったけど、それだけじゃ勝てないよ?」
追い込まれている感は全くない。
「もちろん、これで終わりじゃありませんよ。僕は手札から、速攻魔法《異次元からの埋葬》を発動して、ジュピター、《ネクロ・ガードナー》、《朱光の宣告者》の三体を墓地に戻します!」
「これで、フユの墓地に光と闇が揃ったな」
「ってことは来るな。フユのエースモンスターその二が」
ケイトが待ってましたと言わんばかりにテンションを上げる。
「僕は墓地の《朱光の宣告者》と《ダーク・ヴァルキリア》をゲームから除外!―――光と闇、二つの魂交わりて、我が剣となれ!!光臨せよ、《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》!!!」
光と闇の渦の中から現れたカオス・ソルジャーは、大きなため息を一つついて現れた。どう考えても主人も仲間のモンスター達も好き勝手やっているせいだ。
カオス・ソルジャー ―開闢の使者― 星8 光 戦士族 攻3000/守2500
「最後に《アームズ・エイド》をカオス・ソルジャーに装備!」
「あ!これって零士とのデュエルの時の・・・・・」
千鳥は屋上での一戦を思い出した。知らない人は第七話を見てね!
カオス・ソルジャー ―開闢の使者― 攻3000→4000
「バトル!カオス・ソルジャーで《マドルチェ・メッセンジェラート》を攻撃!開闢双破拳!」
カオス・ソルジャーの鋼の拳がメッセンジェラートを捕らえた。
「さらに《アームズ・エイド》のもう一つの効果で、装備モンスターが相手モンスターを戦闘破壊し、墓地へ送った時、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与えます!」
春 LP7100→LP5200→LP3500
フユ LP4600→LP4300
「そしてカオス・ソルジャーの効果も発動!相手モンスターを破壊した時、続けて攻撃できます!」
「ええー!?」
「次元突破・開闢双破拳!!」
春 LP3500→LP0
「よっしゃぁーッ!一時はどうなるかと思ったぜ!」
「ふぅ・・・」
なんとか勝てて、フユもため息をつく。
「そう言えば、このターンで勝ったら話があるって言ってたよね?なぁに?」
「え、あ、そ、それは・・・・」
唐突に聞かれてガチガチに緊張してしまう。
(言え!言うんだ、僕!)
自らを叱咤してフユはデュエルの時より真剣な顔をする。
「・・・・・春さん」
「は、はい」
フユはスウっと息を吸い込んだ。
「僕と、付き合ってください!!!」
「・・・・・え?」
「友達からでもいいですから!!」
最後に余計と思えるような一言がついたが、まあ告白っちゃあ告白なわけで。
「ええええええぇぇぇぇぇぇ―――――――――――――――!!!?」
えええええぇぇぇ――――――!?
あまりにも突然の事で戸惑う春。と観客。
「おうおう、恋の華が咲いたねえ」
ケイトはいい笑顔。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
英雄はアングリと口を開けていたが、零士は普段通り無表情。
「・・・・・・・」
表記は一緒だが顔が般若(はんにゃ)と化しているヒロイン。
「ええっと、その・・・」
で、告白された(ニューヒロインになるかもしれない)彼女は顔を逸らして頬を掻いている。
「じゃあ・・・、デュエル友達までで」
苦笑しながらそんなことを言われた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
デュエル友達まで→それ以上の発展なし→付き合えない→実質フラれた
―――――バタンッ!
フユは白目剥いてブッ倒れた。
皆フユの事を心配する中、千鳥はものすごくいい笑顔をしていた。
「えっと、これ、デュエル続けられないよね・・・?」
マイク越しに言う校長。
すると零士がデュエルリングに上がり、フユに肩を貸した。
「食堂にでも連れて行く。・・・後は任せたぞ」
他三人にそれだけ告げて、未だ失神しているフユをズルズル引きずりながらスタジアムをあとにした。
「華は咲けども、すぐに散る、か」
二人の後ろ姿を見て、ケイトがぼやいた。
このアカデミアの食堂はスタジアムのすぐ近くにあり、中は十人ほど座れそうな大きな机がいくつかとカウンター席が十席程度ある。まだデュエルが続いているため、生徒はいない。零士はまだ意識のないフユをカウンター席の一つに座らせ、自分はその隣に座った。
「なかなか面白いデュエルを見せてもらった」
声のした方を見ると、少し離れた席に秋人が座っていた。足を組み、紅茶の入っている洒落たカップを片手にしていて、場所と服装を除けば中世の貴族のような雰囲気を醸し出している。
ちなみに食堂の壁には大型のテレビがあり、そこでスタジアムの様子も一通り見ることができるようになっている。
「・・・何様ティータイムだ?」
「『○いおん!』ネタもう止めね?」
秋人がクスリと笑った。
一方その頃、
(お兄ちゃ〜ん!何でも言うこと聞いてくれるんじゃなかったの〜?)
と、セームベルがフユの制服の裾を引っ張り、
(止めなさい、セームベル。主は今精神崩壊を起こしているのだから)
カオス・ソルジャーが親みたいなことになっている。その様子は無論誰にも見えていない。
はずだった。
ふとカオス・ソルジャーは人の視線を感じた。視線の主は秋人。二人の様子を楽しそうに見ている。
「もしや、貴方には我々のことが見えているのですか?」
カオス・ソルジャーが訊ねてみても、秋人はただ笑うだけ。
「どこを見ている?」
この問いは零士。
「ん?ああ、ちょっとな」
これもはぐらかす。零士は秋人が送っていた視線の先をちらりと見て、口を開いた。
「昔言っていた、モンスターの精霊、という奴か?」
秋人は少し意外そうな顔をした。
「へえ、覚えてたのか。信じないとか言ってたのに」
「昔はな。だが、今は信じている」
零士はカオス・ソルジャーに助けられた時のことを思い出す。
「さっき面白いと言ったのは、何も他人の告白アンド玉砕シーンが見られたからだけじゃない。二人共下の名前が季節というところや、最後のターン明らかに《召喚師セームベル》は喋っていた。モンスターが言葉を発するなんて、通常ではありえないことだ。もしかすると・・・」
「ごたくはいい。本来なら今すぐこの場でデュエルするところだが、今はお前の茶番に付き合ってやる」
「・・・・・やっぱり、俺の事を許すつもりはないみたいだな」
「ああ」
即答である。
「お前は、必ず殺す」
その頃スタジアムでは、
「《ダイガスタ・スフィアード》でダイレクトアタック!アサルト・ウィンド!」
木山 莉緒 LP2000→LP0
魔王千鳥が降臨し、まさかの四人抜きを達成していた。
(アーハッハッハッハッハッハッハッハ!!!ザマーミロ!なんちゃって主人公が!!)
主人公が主人公ならヒロインもヒロインである。
まあとりあえず、難なく三回戦も突破できたチームACEであった。
時々学校の文化祭とかで大勢の前で好きな人に告白して見事玉砕されるなんて話を耳にしますが、その人達の勇気は褒め称えられるべきなんじゃないかと思います。
そしてデュエルフェスタも次回から準決勝となります。でもむしろここからが長かったりします。では次回もお楽しみに。