遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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第三十五話 「女の涙はある意味最強の兵器」

 さて、久しぶりの英雄のプレイングミスで相手に1ポイントのダメージすら与えることなく一戦目を落としたチームACE。二番手は『デュエルフェスタ編』に入ってから未だ敗けなしの千鳥なのだが・・・・・。

 

 

 

「そう言えば、さっきの千鳥、なんだか様子が変だったね」

 

 千鳥を送り出した後のことだ。フユがなんの気なしに言った。

 

「さあ?ウ○コでも我慢してたんじゃないか?」

「いや君曲がりなりにも女子だよね。っていうか女子じゃなくても何言ってんの?」

 

 爆弾発言をするケイトと、それを注意するフユである。

 

「その辺にしておけ」

 

 さらに零士も割って入った。

「・・・始まるぞ」

 

 

 一方千鳥は、

 

「よ、よろしくお願いします・・・」

 

既に相手のデュエリストと対峙していた。少し臆病な印象を受ける相手だった。

 

「このまま二戦目もチームDが勝利するのか!?それともチームACEが粘るのか!?気になる二戦目、スタートォォッ!!」

「「デュエル!!」」

 

 

千鳥 LP8000

 

 

芦田 LP8000

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

 普段とあまり変わらない表記で分かりにくいが、「デュエル!」と言ってほとんど間髪入れずに千鳥は先攻をもぎ取った。

 

(先手必勝!)

「私はモンスターを一体セット!さらにカードを一枚セットしてターンエンド!」

 

 

千鳥 LP8000 手札4

モンスター/リバース×1

魔法・罠/リバース×1

 

 

(相手チームはおそらく全員ドラゴン族主軸のデッキ。だったら攻撃的なモンスターが多いはず・・・)

 

「ぼ、僕のターン、ドロー!僕は〈黒竜の雛〉を召喚!」

 

 何かの卵の殻に入った、小さな黒いドラゴンが鳴き声を発した。

 

 

黒竜の雛 星1 闇 ドラゴン族 攻800/守500

 

 

「《黒竜の雛》の効果発動!このカードを墓地に送って、手札の《真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)》を特殊召喚!」

 

 小さな黒竜が黒い炎に包まれると、炎が巨大化し、その中から細身の黒い竜が姿を見せた。

 

 

真紅眼の黒竜 星7 闇 ドラゴン族 攻2400/守2000

 

 

「ブルーアイズの次はレッドアイズ!なんだかロマン全開だぁ―――ッ!!」

 

 秋人の言うことも納得がいく。

 

(やっぱり上級モンスターを速攻召喚してきた。さあ、攻撃してきなさい!)

 

「僕はさらに、魔法カード《黒炎弾》を発動!レッドアイズの攻撃を放棄する代わりに、相手に元々の攻撃力分のダメージを与える!」

「なっ・・・!?」

 

 レッドアイズは口から黒い炎の塊を放った。それは伏せモンスターを通り過ぎて千鳥に直撃する。

 

「キャアアアッ!!」

 

 

千鳥 LP8000→LP5600

 

 

「ぼっ、僕はカードを一枚セットして、永続魔法《強欲なカケラ》を発動してターンエンド・・・」

 

 

芦田 LP8000 手札1

モンスター/《真紅眼の黒竜》

魔法・罠/《強欲なカケラ》リバース×1

 

 

 相手の足元に《強欲な壺》とおぼしき残骸が散らばる。

 

「私のターン、ドロー!」

(こうなったら普通に殴るしかない!)

 

「私は《ガスタの希望 カムイ》を反転召喚!」

 

 流石に毎回毎回ガルドかイグルで始まるというわけではないようだ。・・・あんまりワンパターンすぎて読者に飽きられるのも嫌だし。

 

「カムイのリバース効果により、私はデッキのチューナーモンスター《ガスタ・イグル》を特殊召喚!」

 

 

ガスタ・イグル 星1 風 鳥獣族 チューナー 攻200/守400

 

 

「さらに《ガスタの希望 カムイ》をリリースして、《ガスタの賢者 ウィンダール》をアドバンス召喚!」

 

 少年が消えると、代わりに青年が現れた。(でも別に成長した姿ってわけじゃないからね)

 

 

ガスタの賢者 ウィンダール 星6 風 サイキック族 攻2000/守1000

 

 

「私はレベル6の《ガスタの賢者 ウィンダール》に、レベル1の《ガスタ・イグル》をチューニング!―――シンクロ召喚!羽ばたけ、《ダイガスタ・イグルス》!」

 

 早速【ガスタ】の中で最も攻撃力の高いモンスターが召喚された。

 

 

ダイガスタ・イグルス 星7 風 サイキック族 攻2600/守1800

 

 

「バトル!《ダイガスタ・イグルス》で《真紅眼の黒竜》を攻撃!フェザー・シュート!」

 

 成長したイグルとそれに乗るウィンダールがレッドアイズに突っ込む。

 

「レッドアイズはやらせない!罠発動、《亜空間物質転送装置》!」

 

 レッドアイズは別次元に逃げ、イグルスの攻撃を躱した。

 

「っ、ならダイレクトアタック!」

 

 イグルスは勢いをそのままに相手デュエリストに特攻した。

 

「うわああっ!!」

 

 

芦田 LP8000→LP5400

 

 

(自分がダメージを受けるのを覚悟の上でレッドアイズを逃がした?何のために?)

「私はこれでターンエンド!」

 

 

千鳥 LP5600 手札4

モンスター/《ダイガスタ・イグルス》

魔法・罠/リバース×1

 

 

「ぐっ・・・!あなたのターンのエンドフェイズに《亜空間物質転送装置》で除外されたレッドアイズが戻ってくる」

 

 空間が裂け、そこから真紅の瞳を持つ黒竜が出現した。

「そして僕のターン、ドロー!このドローフェイズで〈強欲なカケラ〉に強欲カウンターが一つ乗る!」

 

 相手の足元に散らばっていたカケラのいくつかがくっついた。

 

 

強欲カウンター 0→1

 

 

「さらに僕は《真紅眼の黒竜》を墓地へ送り、《真紅眼の闇竜(レッドアイズ・ダークネスドラゴン)》を特殊召喚!」

 

 レッドアイズの体に複数のオレンジ色のラインが入り、ボディラインがより刺々しくなる。

 

 

真紅眼の闇竜 星9 闇 ドラゴン族 攻2400/守2000

 

 

「《真紅眼の闇竜》は墓地のドラゴン族モンスター一体につき、攻撃力を300ポイントアップする!僕の墓地のドラゴン族は《黒竜の雛》と《真紅眼の黒竜》の二体!」

「そんなっ!」

 

グゥオオオオオォォォッ!!

 

 

真紅眼の闇竜 攻2400→3000

 

 

「行きます!《真紅眼の闇竜》で《ダイガスタ・イグルス》を攻撃!ダークネス・ギガ・フレイム!」

 

 先程の黒炎弾よりも一回り大きい火球を闇の竜は放った。そしてイグルスはそれに飲まれ、消滅した。

 

 

千鳥 LP5600→LP5200

 

 

「まさかレダメじゃなくてダークネスドラゴンを入れてるなんて・・・!」

「僕はこれでターンエンド」

 

 

芦田 LP5400 手札1

モンスター/《真紅眼の闇竜》

魔法・罠/《強欲なカケラ》

 

 

(長期戦になればダークネスドラゴンの攻撃力は手をつけられない大きさになる。でも、対抗策がないわけじゃない)

「私のターン、ドロー!―――私は罠カード《ガスタへの祈り》を発動!墓地のカムイとイグルスをデッキに戻して墓地の《ガスタ・イグル》を特殊召喚!さらに《ガスタの静寂 カーム》を召喚!」

 

 緑色の小鳥と物静かな美少女が並び立った。

 

 

ガスタの静寂 カーム 星4 風 サイキック族 攻1700/守1100

 

 

「レベル4の《ガスタの静寂 カーム》に、レベル1の《ガスタ・イグル》をチューニング!―――シンクロ召喚!飛べ、《ダイガスタ・ガルドス》!」

 

 召喚されたのは巨大化したイグルでもなく、それを駆るカームでもなく、やっぱりガルドとウィンダである。

 

 

ダイガスタ・ガルドス 星5 風 サイキック族 攻2200/守800

 

 

「《ダイガスタ・ガルドス》の効果発動!墓地のカームとイグルをデッキに戻して《真紅眼の闇竜》を破壊!」

 

 ガルドに乗っているウィンダは杖に緑色の雷を集め、それをダークネスドラゴンに放った。

 

「そしてダイレクトアタック!」

 

 

芦田 LP5400→LP3200

 

 

「ウグッ!」

 

 相手はダイレクトアタックの衝撃で片膝をついた。

 

「カードを一枚セットしてターンエンド!」

 

 

千鳥 LP5200 手札3

モンスター/《ダイガスタ・ガルドス》

魔法・罠/リバース×1

 

 

「ック・・・!僕のターン、ドロー!このドローフェイズで《強欲なカケラ》の強欲カウンターが二つになった!」

 

 再びカケラが合わさり、ついに一つの《強欲な壺》の形になった。

 

 

強欲カウンター 1→2

 

 

「《強欲なカケラ》の効果発動!このカードを墓地へ送り、強欲カウンターの数だけカードをドローできる!乗っていたカウンターの数は二つ。よってカードを二枚ドロー!」

 

 タイムラグがあるし破壊されるリスクはあるが、実質《強欲な壺》と大差ない。

 

「―――僕は手札から魔法カード《死者転生》を発動!手札の《真紅眼の飛竜(レッドアイズ・ワイバーン)》を墓地に送り、墓地の《真紅眼の闇竜》を手札に加える!」

「でもフィールドに《真紅眼の黒竜》がいないと召喚できないはず!」

「だからこそこのカードを発動します!魔法カード《思い出のブランコ》!このカードの効果で墓地の通常モンスター《真紅眼の黒竜》を特殊召喚!」

 

 え?何でそんなカード入れてんの?《死者蘇生》の方がいいんじゃね?とかは言わないでね。

 

「さらに《真紅眼の黒竜》を墓地へ送り、再び《真紅眼の闇竜》を特殊召喚!」

 

 そして1ターン前と同じように召喚された闇のドラゴン。

 

 

真紅眼の闇竜 攻2400→3300

 

 

「さらに装備魔法《巨大化》を発動!僕の方がライフを下回っているから、《真紅眼の闇竜》の元々の攻撃力は倍になります!」

「なっ・・・!?」

 

 装備カードが発動した瞬間、レッドアイズはみるみる巨大になっていく。

 

 

真紅眼の闇竜 攻3300→5700

 

 

「《真紅眼の闇竜》で《ダイガスタ・ガルドス》を攻撃!ダークネス・ギガ・フレイム!」

 

 さらに威力の増した炎の塊で、ガルドスはあっけなくやられてしまう。

 

 

千鳥 LP5200→LP1700

 

 

「あなたのライフが僕より下回ったので、《真紅眼の闇竜》の元々の攻撃力は半減します」

 

 今度は逆に元のサイズの半分ぐらいの大きさまで小さくなった。

 

 

真紅眼の闇竜 攻5700→2100

 

 

「さらにこのターン、僕は通常召喚を行っていないので、エンドフェイズに墓地の《真紅眼の飛竜》を除外して、《真紅眼の黒竜》を特殊召喚します!」

 

 これで二体の黒い竜が並び立った。

 

 

真紅眼の闇竜 攻2100→1500

 

 

「僕はこれでターンエンドです!」

 

 

芦田 LP3200 手札0

モンスター/《真紅眼の闇竜》《真紅眼の黒竜》

魔法・罠/《巨大化》

 

 

「私のターン、ドロー!―――私は罠カード《ガスタのつむじ風》を発動!墓地のウィンダールとガルドスをデッキに戻して、《ガスタの神官 ムスト》をデッキから特殊召喚!」

 

 

ガスタの神官 ムスト 星4 風 サイキック族 攻1800/守900

 

 

「さらに《ガスタ・スクレイル》を召喚!」

 

 

ガスタ・スクレイル 星2 風 雷族 攻0/守1800

 

 

「レベル4の《ガスタの神官 ムスト》に、レベル2の《ガスタ・スクレイル》をチューニング!―――シンクロ召喚!舞え、《ダイガスタ・スフィアード》!」

 

 ここに来て千鳥のエースモンスターの登場である。

 

 

ダイガスタ・スフィアード 星6 風 サイキック族 攻2000/守1300

 

 

「《ダイガスタ・スフィアード》の効果発動!このカードがシンクロ召喚に成功したことで、墓地の《ガスタへの祈り》を手札に加える!」

 

 そこで千鳥は一旦思案した。

 

(どっちを攻撃するべき?どっちを攻撃しても与えるダメージはほとんど変わらない。でもどうせだったらモンスターは少しでも破壊しておきたい。だったら・・・・!)

 

「バトル!《ダイガスタ・スフィアード》で《真紅眼の闇竜》を攻撃!アサルト・ウィンド!」

 

 スフィアードは風を纏わせた戦闘杖でダークネスドラゴンを攻撃した。

 

 

芦田 LP3200→LP2700

 

 

「私はメインフェイズ2に入って、カードを二枚セット!」

 

(今セットしたカードの一枚は《ガスタへの祈り》。もし次のターンスフィアードが破壊されてもこのカードでもう一度召喚すれば最悪でも壁になってくれる。もし破壊じゃなくてバウンスのようなカードを使われても、もう一枚の伏せカード《攻撃の無敵化》の効果で戦闘ダメージを0にすればなんとかなる。今の相手の手札は0。ドロー次第じゃ次の私のターンで勝てる―――絶対に敗けられない・・・!!敗けたくない!!)

「ターンエンド!」

 

 

千鳥 LP1700 手札2

モンスター/《ダイガスタ・スフィアード》

魔法・罠/リバース×2

 

 

「僕のターン、ドロー!・・・・・・」

 

 相手はドローしたカードを見て、一瞬黙り込んだ。そしてこう告げた。

 

「―――僕の勝ちです」

「え?」

 

 突然の一言に戸惑う千鳥。

 

「僕は手札から・・・、《黒炎弾》を発動!レッドアイズの攻撃力分のダメージを、あなたに与えます!」

 

 レッドアイズはスフィアードを無視して、千鳥に狙いを定めた。そして1ターン目と同じように黒い炎の塊を放つ。

 

「そん、な・・・・・」

 

ドオオォォォン―――――――

 

 

千鳥 LP1700→LP0

 

 

 

「決まったアアアァァァッ!!デュエルフェスタ決勝戦、二戦目もチームDの勝利!!優勝まであと一勝だぁ!!!」

 

 生徒達の歓声が大きくなる。

 それとは対照的にACEサイドの雰囲気は少し暗い。そんな中に千鳥は戻ってきた。

 

「ゴメンね、敗けちゃった。ハハ・・・」

 

 それが無理して作った笑いだということは誰の目から見ても明らかだった。

 

「ここ最近敗けなしだったツケが来ちゃったのかな。・・・こんな、時に・・・・・・」

 

 そこまで言うと、千鳥の両頬を一筋の涙がつたう。

 

「アレ?なんでだろ。涙が、止まんないや。まだ、敗けたわけじゃない・・・のに・・・・・。ホント、どうしてだろ・・・・・?」

 

 もう限界だったらしく、千鳥の目からとめどなく涙が溢れ出した。

 

「千鳥・・・」

 

 英雄には彼女にかける言葉が見つからなかった。

 ウッ、ウゥッ・・・、と嗚咽を漏らす千鳥の両肩に誰かが手を置いた。それは満面の笑みのケイトであった。

 

「な〜に泣いてんだよ。女の子の一番の化粧は、笑顔だろ!」

 

 そう言ってリングの方へと歩いていく。続けて零士がこちらへ来て、千鳥の隣で立ち止まった。

 

「この程度、ミスの内にも入らない。オレ達が取り返す」

 

 零士もそれだけ言って、ケイトの近くまで歩を進めた。そして最後にこの男も。

 

「大丈夫。僕達は絶対に勝つ。だから涙を拭いて」

 

 フユはそう言って千鳥の涙を指で拭い、優しく微笑んだ。

 

「あとは・・・」

 

 そしてケイトと零士の間に立つ。

 

 

「僕達に任せて」「「オレ達に任せろ」」

 

 

「皆・・・」

 

 千鳥の両頬にはもう涙の跡しかなかった。

 

「ありがとう・・・・・」

 

 

 




 すぴばる版だとこの回に「バニラ寄りのデッキなら《思い出のブランコ》も入るんじゃないでしょうか?」みたいなメッセージをいただきました。正直作者もアリだと思っています。ただ世の中には「《思い出のブランコ》入れるぐらいなら《正統なる血統》入れるわ」みたいな考えを持つ読者もいるんじゃないかな~、って思った結果です。
 さて次回、最強の三人は追い詰められたACEを救うことができるのか?まずはケイトが魅せてくれます。
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