遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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第四十一話 「三対六」

零士 LP6300 手札0

モンスター/《ガーディアン・エアトス》《異次元の生還者》

魔法・罠/《マクロコスモス》

 

 

ガーディアン・エアトス 星8 風 天使族 攻2500/守2000

 

 

異次元の生還者 星4 闇 戦士族 攻1800/守200

 

 

秋人 LP3500 手札0

モンスター/《剣闘獣ヘラクレイノス》

 

 

剣闘獣ヘラクレイノス 星8 炎 獣戦士族 攻3000/守2800

 

 

 零士に追い詰められかけていた秋人だったが、フユのように手からオレンジ色に『A』の文字が浮かび上がると、すぐさまモンスターを大量展開し、エースモンスター《剣闘獣ヘラクレイノス》を融合召喚したのだった。

 

 

 

「俺はこれでターンを終了する」

「オレのターン、ドロー。―――オレはカードを一枚セット。そしてエアトスと生還者を守備表示に変更してターン終了だ」

 

 

零士 LP6300 手札0

モンスター/《ガーディアン・エアトス》《異次元の生還者》

魔法・罠/《マクロコスモス》リバース×1

 

 

 零士の場の二体のモンスターが防御の姿勢を取った。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 秋人はドローカードを確認した。ちなみにさっきマークはまだ浮かび上がっている。

 

(《休息する剣闘獣》・・・。手札の《剣闘獣》二枚をデッキに戻してカードを三枚ドローするカードだが、今の手札はこのカード一枚のみ。ここはヘラクレイノスの効果を発動するために残しておくべきか・・・・・)

 

 次に顔を上げて零士のフィールドを見た。

 

(零士の場には守備表示のエアトスと生還者。そして《マクロコスモス》と伏せカードが一枚。やはりここは・・・・・・)

「俺は《剣闘獣ヘラクレイノス》で《ガーディアン・エアトス》を攻撃!百獣斬斧!!」

 

 ヘラクレイノスはエアトスに斧を振り下ろした。エアトスの守備力ではもちろん防げるわけもない。

 

「ターンエンドだ」

 

 

秋人 LP3500 手札1

モンスター/《剣闘獣ヘラクレイノス》

 

 

「オレのターン、ドロー」

 

 エースモンスターが破壊されても零士は眉一つ動かさない。

 

「オレはカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

 

零士 LP6300 手札0

モンスター/《異次元の生還者》

魔法・罠/《マクロコスモス》リバース×2

 

 

「俺のターン、ドロー!―――俺は《剣闘獣ラクエル》を召喚!」

 

 三度召喚された獅子。

 

「そろそろ消えてもらおうか。《剣闘獣ラクエル》で《異次元の生還者》を攻撃!」

 

 生還者に飛びかかるラクエル。

 

「消えるのはお前のモンスターだけだ。速攻魔法《グランドクロス》を発動」

「来た来た来たぁ!!返しの《グランドクロス》!!!」

「よっしゃあ!!反撃開始だ零士!!」

 

 ケイトと英雄がテンションを上げる中、

 

「それはどうかな?」

 

秋人は余裕ぶりは健在だ。

 

「俺は《剣闘獣ヘラクレイノス》の効果発動!手札を一枚捨てて、魔法・罠カードの発動を無効にして破壊する!闘士の咆哮!!」

 

 ヘラクレイノスの雄叫びが《グランドクロス》を粉々にした。

 

「これでバトルは続行される。行けっ、ラクエル!」

 

 ラクエルの攻撃が生還者を襲った。

 

「そしてヘラクレイノスでダイレクトアタック!」

 

 振り下ろされた斧の衝撃は零士を高く跳ね上げた。4000超えのダメージを受けても微動だにしなかった零士が、だ。

 

 

零士 LP6300→LP3300

 

 

(カオス・ソルジャー、あれってやっぱり・・・・・・)

(ええ、主のものと同質のようです)

 

「・・・・・・くっ」

 

 しかし流石零士。空中で態勢を立て直して見事着地した。

 

「どうだ零士?いつものデュエルとは比べ物にならないぐらいのダメージだろ?」

「・・・・・・・・・・」

 

 秋人の問いに零士は無言と睨みで返した。

 

「こいつさ。こいつはな、選ばれた人間がモンスターの精霊と強い絆で結ばれた証なんだよ。そのダメージはこれの恩恵といったところだ」

 

 そう言って秋人は右手のマークをチラつかせた。

 

「絆?くだらないな」

 

 零士は吐き捨てるように言った。

 

「オレ達デュエリストにとってカードは剣、兵器だ。勝利するための道具でしかない物に、いちいち感情移入などできるか」

「そうか・・・。ならば仕方がない。俺はバトルフェイズを終了する時、《剣闘獣ラクエル》の効果を発動する!このカードをデッキに戻し、デッキから《剣闘獣ディカエリィ》を特殊召喚!」

 

 三回目の登場だが、《剣闘獣》の効果で特殊召喚されたのはこれが初めてだ。

 

「《剣闘獣》の効果で特殊召喚されたディカエリィは、二度の攻撃ができる。次のターンで決めてやるよ。ターンエンド」

 

 

秋人 LP3500 手札0

モンスター/《剣闘獣ヘラクレイノス》《剣闘獣ディカエリィ》

 

 

「ならばこのエンドフェイズに、《異次元の生還者》を守備表示で特殊召喚する」

「守備表示?ディカエリィを倒せるのに?臆したか?」

「オレのターン、ドロー」

 

 零士は秋人の言葉を遮るようにデュエルを進めた。

 

「オレはモンスターをセットしてターンエンド」

 

 

零士 LP3300 手札0

モンスター/《異次元の生還者》リバース×1

魔法・罠/《マクロコスモス》リバース×1

 

 

「運良くモンスターを引けたようだな。俺のターン、ドロー!―――俺はまず《剣闘獣ディカエリィ》で《異次元の生還者》を攻撃!」

 

 ディカエリィの猛烈なパンチを浴びて、生還者は吹っ飛ばされた。

 

「二度目の攻撃!ディカエリィで伏せモンスターを攻撃!」

 

 そしてすぐさまディカエリィは伏せカードを殴った。それにより姿を見せたモンスターは金髪の女戦士だ。

 

 

異次元の女戦士 星4 光 戦士族 攻1500/守1600

 

 

「《異次元の女戦士》の効果発動。このカードとこのカードを攻撃したモンスターをゲームから除外する」

 

 二体のモンスターの傍の空間が裂け、その中に二体とも吸い込まれた。

 

「なるほど。上手く《剣闘獣》の効果を潰しにきたな。だがこれは受けてもらおう!《剣闘獣ヘラクレイノス》でダイレクトアタック!!百獣斬斧!!!」

 

 

零士 LP3300→LP300

 

 

「・・・・・・カハッ・・・・・・・・・・」

 

 またヘラクレイノスの攻撃をまともに受けた零士。今度は態勢を立て直すこともできず、背中から地面に叩きつけられた。

 

「「「「零士っ!!」」」」

 

 デュエルリングのすぐそばに駆け寄った四人。

 

「今の状態でヘラクレイノスの攻撃を二度も受けるのはいくらお前でも無理があったか」

 

 すると秋人は少しだけ声を大きくして言った。

 

「どうする?今回に関しては、特別にサレンダーを認めてやらなくもないぞ」

 

 これに先に反応したのは他の四人である。

 

「もういい零士!お前は十分よく戦った!!」

「そうよ零士、サレンダーして!!アンタもうボロボロじゃない!!」

 

 英雄と千鳥はそう言ったが、

 

「ふざけ、るな・・・・・・」

 

零士はゆっくりと立ち上がった。しかし息が荒くなってきている。

 

「言ったはずだ。オレは・・・、オレはこの時のために生きてきたと」

「でも死んじゃったら元も子も・・・」

「零士!!」

 

 千鳥の言葉を遮って話しかけたのはケイトだ。

 

「オレ言ったよな?絶対に勝ってこいって。―――約束は、きっちり守ってもらおうか」

「当然だ」

「ちょっとケイト!!何無責任なことを・・・」

 

 ケイトに喰ってかかろうとした千鳥の肩にフユはそっと手を置いた。

 

「千鳥、ここは零士の好きにさせてあげよう」

「アンタまで何言ってんのよ!?」

「彼は本気だ。僕はそれを尊重したい」

「でも・・・」

「大丈夫。零士は勝つ。僕はそう信じてる。・・・君はどう?」

「・・・・・・・・・・あー、もう!分かったわよ!!」

 

 千鳥は頭をかきむしりながら言った。

 

「フユ・・・・」

 

 気が付いたら零士はフユをジッと見ていた。

 

「すまない・・・・・・」

 

 そう言って秋人の方に向き直った。

 

「どうしても、諦めてはくれないか?」

「ああ。オレかお前・・・、どちらかの命が尽きるまで戦い続けてやる」

「そうか・・・。なら俺もこれ以上は何も言わない!デュエル続行だ!!俺はメインフェイズ2に入り、カードを一枚セット!これでターンエンドだ!」

 

 

秋人 LP3500 手札0

モンスター/《剣闘獣ヘラクレイノス》

魔法・罠/リバース×1

 

 

「ならばこのエンドフェイズに除外された《異次元の生還者》を守備表示で特殊召喚する」

 

 これで零士の場には守備表示の《異次元の生還者》が一体。そして《マクロコスモス》と伏せカードが一枚。手札は0。最悪次のターン、秋人がモンスターをドローしたらアウトだ。

 

「オレのターン・・・・・・」

 

「ドロー」

 

 よく見ると、零士は目をつぶったままドローしていた。そして目を開くと、ドローしたカードも見ないで宣言した。

 

「このデュエル、オレの勝ちだ」

 

「何!?ドローカードも見ないで勝利宣言だと!?」

「そうだ。このターンで、お前を倒す」

「いいだろう!見せてみろ、お前のラストターンを!!」

「言われるまでもない。―――オレはリバースカード《異次元からの帰還》を発動する」

(くっ・・・。今の俺の手札は0。奴の魔法カードも罠カードも無効化することはできない・・・!!)

「オレはライフを半分払い、除外されているオレのモンスターを可能な限り特殊召喚する。オレが復活させるのは《邪帝ガイウス》、《ネクロフェイス》、《D.D.アサイラント》。・・・・・・そして戻って来い、《ガーディアン・エアトス》」

 

 

零士 LP300→LP150

 

 

ネクロフェイス 星4 闇 アンデット族 攻1200/守1800

 

 

 零士のモンスターが、彼をずっと支えてきたモンスター達が揃った。

 

―――――そして最後にエアトスが特殊召喚された、その時だった。

 

 零士の頭の中に直接声が聞こえてきた。

 

(私は知っています。例え貴方が言の葉で我らを『道具』と言っても、今までも、そしてこれからも、信じてくださっているということを・・・)

 

 一瞬零士は驚いた顔をしたが、すぐに彼は自分の場の一体のモンスター、―――エアトスを見た。

 

「お前か?今オレに話しかけたのは」

 

 エアトスは顔だけ振り向いて無言で頷いた。

 しかし零士より驚きが大きかったのはフユと秋人であった。

 

(今、声が聞こえた・・・)

「ば、馬鹿な!!なぜお前にモンスターとの対話ができる!?」

「さあな」

 

 零士の答えはそっけなかったが、秋人はすぐに平静を取り戻した。

 

「なるほど、読めたぞ。お前のその残った手札はおそらく装備魔法!それをエアトスに装備してから、エアトスの効果で攻撃力を上げてヘラクレイノスを破壊し、残ったモンスターで総攻撃、といったところか」

(だが、それをした瞬間にお前の敗けが確定する!)

 

「前にこんな事を言われたことがある・・・・・・」

 

 零士は唐突に語りだした。

 

「1+1=2でしかない。だが、1には負けないとな」

「それってフユが言ってた・・・」

「なるほど。なかなか面白い説だな」

 

 すると零士はヘラクレイノスを指差した。

 

「仮にそのモンスター、融合素材のモンスター三体で召喚したから3としよう・・・」

「だったら1や2では勝てないな」

 

「だからオレは6だ」

 

「何だと!?」

「オレは手札から装備魔法《団結の力》をエアトスに装備する」

 

 四体のモンスターの力が、エアトスに集まり、剣の形を成した。

 

「《団結の力》は、自らを含む表側表示のモンスター一体につき攻撃力が800ポイントアップする」

 

 

ガーディアン・エアトス 攻2500→6500

 

 

「攻撃力6500!?」

「終わりだ・・・。《ガーディアン・エアトス》で《剣闘獣ヘラクレイノス》を攻撃。聖剣のソウル」

 

 エアトスの剣から放たれた衝撃波はヘラクレイノスを跡形もなく破壊した。

 

「ぐ、グアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

 

秋人 LP3500→LP0

 

 

 この瞬間、デュエルフェスタ最後の勝利者が決定した。

 

 

 

「う、うう・・・・・」

 

 倒れていた秋人はヨロヨロと起き上がった。どうやら少しの間気絶していたようだ。

 

「何で、俺は生きているんだ?」

 

 終始かなりのダメージを受けていた秋人にとって生きていること自体不思議だった。

 

「さあな」

 

 零士はついさっきと同じようにそっけなく答えた。

 

「俺を殺すんじゃなかったのか?」

「そうしてやりたいのは山々だが、今死なれては困る」

「ほう。なぜ?」

「教えろ。六年前、何があったのかを」

「・・・・・・・なるほど。ま、お前も馬鹿じゃないからな」

 

 そう呟くと秋人は零士すぐ隣まで歩いて通り際に囁いた。

 

「ここじゃなんだ。場所を変えよう」

 

 そしてフユ達には目もくれずにスタジアムをあとにした。しばらくして零士も続く。

 

「それでは以上でデュエルフェスタ全日程を終了します。生徒の皆さん、一週間お疲れ様でした」

 

 校長の短い挨拶で、デュエルフェスタは終了した。

 

 

 

 場所は変わってスタジアムの薄暗い通路。そこで零士と秋人は対峙していた。他には誰もいない。

 

「洗いざらい、本当のことを喋ってもらうぞ」

「分かっている。・・・・・・だが、」

 

 そこで一旦言葉を切って、秋人は零士の少し後ろ、通路の曲がり角を見た。

 

「盗み聞きはあまり感心しないな」

 

 するとそこからフユ、千鳥、ケイト、英雄の四人が顔を出した。

 

「お前ら・・・」

「いや〜、ごめんごめん」

「なんか気になってさぁ」

「あれだけ因縁深さ見せつけられたら、ねえ」

「俺はストレートに聞かせてくれって言った方がいいと思ってたんだけどな」

 

 秋人はヤレヤレ、といった具合に首を振った。

 

「別に聞いてくれても構わないよ。結構重い話になるが」

「だがその前に一つ聞いておくことがある」

「何だ、零士?」

「お前、わざと敗けたのか?」

 

 他四人には零士の言葉が信じられなかった。

 

「なぜそう思う?」

「最後のターン、お前がカードを伏せなければ、《異次元からの帰還》か、《団結の力》を無効にできていたはずだ」

「あの時は本気だったさ。最後に伏せたカードは《剣闘獣の戦車(グラディアルビースト・チャリオット)》。ヘラクレイノスでカバーできないモンスター効果を無効にして破壊するカードだ。だが、気持ちが揺らいだのも事実だ。このまま真実を隠し続けるべきか、打ち明けるべきか、な」

「そんなことをしてオレが喜ぶとでも思っているのか」

「これは俺にとって今まで逃げてきたことに対する一種のケジメと言ってもいい。だから嫌でも聞いてもらうぞ。――――――――――六年前の真実を」

 

 




 二回戦のタッグデュエルでも使いましたが、今回もまた《異次元からの帰還》を使わせていただきました。当時はまだ制限だったっていうのと、あのカード使わなかったらそれこそ勝敗に関わってくるので。
 次回でデュエルフェスタ編は最後ですが、スノーホワイト/ブラックはまだまだ続きます。
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