遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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第四十四話 「主人公にこんな特技が必要だったのでしょうか?」

 ある日のデュエルアカデミアの朝である。学校で朝からやる事と言えばホームルームだ。これはどんな学校でもほぼ同じだろう。無論フユ達のクラスも例外ではない。朝のチャイムと同時に彼らの担任、宵星麻理亜が教室に入ってくる。彼女が教壇に立つと、日直が号令をかける。後は麻理亜からの連絡事項が伝えられるのみ。至極普通である。今日も大したことは言われないんだろうな、とクラスの生徒の多くがそう思っていたが、麻理亜は開口一番にこう言った。

 

「え〜、最近先生の出番と露出魔の出没が多くなっています」

「先生、前半は余計です」

 

 クラス全体でもツッコミ役は千鳥である。それはともかく、後半は比較的大事な話だ。

 

「先生、露出魔の話の方はもうちょっと詳しく話してくれませんかい?」

 

 軌道修正しようとしているのはケイトだ。

 

「近頃、学校の付近で女子の前で全裸になる中年男性が目撃されているようです。それもちょっと変わった」

「変わった?」

「そう。その露出魔は女の子にデュエルを挑んで、倒した相手に対して全裸になるの」

 

 なるほど確かに変わっている。まあ、露出魔の時点で変態兼変人なのは変わりないが。

 

「相手は一人でいる女子が人気のないところにいる時を狙ってくるらしいので、女子の皆さんは下校中は一人にならないこと。知らない男性にデュエルを挑まれても絶対に受けないようにしてくださいねぇ。それと・・・」

 

 そこで麻理亜は喋るのをやめ、ある男子三人と女子二人と目を合わせた。

 

「白雪姫君、天城君、霧谷さん、前田さん、不屈野君の五人は、『絶対に』この件に首を突っ込んじゃダメよぉ」

 

 麻理亜はそう言うとニッコリと笑って教室を出ていった。これにてホームルーム終了である。その後すぐさっき名指しされた五人は一所に集まった。

 

「露出魔かー。気を付けないとね・・・って、この中じゃ私ぐらいか」

「そんな破廉恥な男が世の中にいるとはな・・・!!許せん」

 

 英雄は握り拳を固めていた。

 

「英雄の言う通りだね。女子小学生や春さんの前で全裸になろうものなら・・・。何て羨ま、許せないよ。そんな変態」

「ここにも約一名候補がいるけどね」

 

 千鳥は冷めた目でフユを見た。

 

「だが、そのような下らない行為も今日までだ」

「だな」

 

 零士の意見にケイトが同意した。フユと英雄の二人も頷いている。

 

「え?どういうこと?」

 

 状況が読めていないのは千鳥だけだ。

 

「さっき先生も言ってたでしょ。絶対に首を突っ込むなって。あれは間違いなく・・・」

 

 

「「「「フリだ」」」」

 

 

「え!?そんな『押すな押すな!!』みたいな!?」

 

 という訳で、チームACEによる、露出魔退治が始まったのである。

 

 

 

 そしてその日の放課後、早速教室にて作戦会議が行われた。ちなみに帰りのホームルームでも、

 

「今朝言った五人は『絶対に』露出魔の件に関わっちゃダメよぉ」

 

と麻理亜は言っていた。

 

(あ、確かにこりゃフリだわ)

 

 千鳥は内心そう思った。

 

「さて、それじゃあまずは露出魔をどうやって捕まえるかだね」

 

 切り出したのはフユ。

 

「やっぱ現行犯でとっ捕まえるってのが手堅いんじゃねえか?」

 

 ケイトの提案は最もなところ。

 

「だがそれだと被害に遭う女子が可哀想だ!」

 

 性格イケメンな英雄らしい発言である。

 

「となると、やはり囮を使うのが上策だろうな」

「ってことはオレか千鳥が妥当かい」

「いや、ケイトは止めておいた方がいい」

 

 フユが言ったのには理由がある。というのも、ケイトの暴れっぷりが学校の中で収まるはずもなく、街中でもそれが遺憾なく発揮されているのだ。だからケイトはいい意味でも悪い意味でも名が知られている。なのでケイトも露出魔のターゲットから外されているだろう。

 

「でも私は嫌よ!オッサンの全裸を見るなんて!」

 

 残るは千鳥なのだが、この通りだ。

 

「う〜ん、困ったな〜」

 

 フユは腕組みをして宙を睨んだ。

 

「そんなに言うならお前がやりゃあいいんじゃねえか?女装とかして」

 

 ケイトが当たり前のように言った。

 

「え?・・・いやいや何言ってるの?」

 

 フユは一蹴するが、

 

「だってお前髪長いほうだし、そもそもすぴばるに出てる表紙見たらお前女装とかできそうじゃん」

 

ケイトは意外と真剣だ。

 

「そうね。やってみたらいいんじゃない?アンタも許せないんでしょ?」

「そうだな。俺や零士じゃ無理があるだろうしな」

「・・・・・・決まりだな」

 

 一名を除き満場一致。

 

「えええ!?それは流石に無理があるんじゃ・・・」

 

ドムッ!

 

「あべしっ!!」

 

 ケイトの鉄拳がフユのみぞおちにクリーンヒットして即気絶。

 

「ごちゃごちゃ言うから気絶させといたぞ。千鳥、今のうちに生徒会室で女装させてこいよ」

「OK!」

 

 今回は突然の指名でも驚くことはなかった。千鳥はズルズルとフユを引きずりながら教室を出て行く。去り際に、

 

「フユを着せ替えながらあんなことやこんなことをグフフフフ・・・」

 

という声が聞こえたが。

 

「おい。何か嫌な予感がするんだが、大丈夫なんだろうか?」

「さあ?気のせいなんじゃねえの?」

「ああ、気のせいだ」

 

 

 

 場所は変わり生徒会室。今秋人はおらず、千鳥と気絶したフユの二人だけだ。そしてここからは少しの間台詞と擬音のみでお楽しみください。(普段も台詞ばっかな気がするけど)

 

「う、う〜ん・・・。あれ?ここどこ?」

「生徒会室よ。それと、アンタが気を失ってる間に女装完了したから・・・」

「え?・・・うわ、ホントだ!!下の方もちょっと何かスースーする!もしかして千鳥・・・」

「制服は隠したから、露出魔捕まえるか夜まではずっとその格好でいなさいよね・・・」

「え〜・・・。それより千鳥、何か元気ないんじゃない?」

「いいから。アンタは先に教室戻って。零士達待たせてるから。私も少し遅れて行くわ」

「わ、分かったよ・・・」

 

 

―――ガラガラ、ガラガラ

 

 

「・・・・・・・・・マジかアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

「なあなあ、どうなると思う?女装版フユ」

 

 退屈になったのかケイトが零士と英雄に訊ねた。

 

「こういう展開だとだいたい美少女が出てくるパターンだけどな」

 

 これは英雄の意見。

 

「案外ブサイクになるかもしれんぞ。・・・というかケイト。お前楽しんでるだろ?」

 

 今度は零士である。

 

「ヘへっ、まあな。んじゃオレは中間で」

 

 そんな会話をしている時だ。

 一人の女子生徒が教室に入ってきた。はっきり言えば超美少女である。黒髪のショートポニーテールで、右目は前髪で隠れている。また、前髪左側はヘアピンで留めている。その上身長は三人より高い。というか男子でもこの身長を超える人間はそういないだろう。

 

「どう、かな・・・?変じゃない?」

 

 と、照れながら三人に話しかけてきた美少女がフユであることに気付くのにかなり時間がかかった。

 

「「・・・・・・ええええええええええええええええええ!!!?」」

 

 ケイトと英雄の声が教室中に響いた。

 

「マジか、おい!!ほとんど思い付きで言ったのに!つーかお前ホントにフユか!?」

「正真正銘フユよ・・・・・・」

 

 後からやってきたのは千鳥。何故か元気がない。

 

「どう考えても何かあったんだろうが、何かあったのか?」

「そりゃもちろん・・・、私より、というか私が知ってる女子の中でもトップクラスに綺麗なんだもの・・・・・・。こんなロリコンが」

「いやロリコンとか言わないでくれない!?」

 

 そこでフユはハタと気付いた。さっきの驚きの声以降、英雄が一言も喋ってないのだ。で、よく見ると少し後ろの方でこちらに背を向けてうずくまっていた。

 

(な、何なんだこの胸の高まりは!?し、心臓が爆発しそうだ!!)

 

 などと、英雄が一人悶絶しているところに

 

「英雄、どうしたの?」

 

フユが(珍しく故意ではなく)顔を近づけるというトドメを刺してきた。

 

「ワアアアアアアアアアッ!!!」

 

 英雄は顔を真っ赤にして尻餅をついた状態で数メートル後ずさる。

 

「やっぱり僕がやるのは無理があったんじゃないかな?英雄もこんなリアクションとるし」

「いやいや、なかなかいいぜ」

「それに僕っ娘というのも点は高いと思うぞ。一部マニアには」

 

 英雄の反応をいち早く察したケイトはニヤニヤしながら言った。その上零士まで援護射撃を浴びせてくる。

 

「よっしゃあ!!んじゃこれから露出魔とっ捕まえに行くぞ―――!!」

「「おー」」「お、おー」

 

 

 

 再び場所は変わり校外である。フユ(女装版)は街中を歩いていた。帰宅途中というわけではなく、人通りの少ない道をしらみつぶしに通っているのだ。ちなみに千鳥達はフユがギリギリ見える程度の距離を開けて歩いている。

 

(うう・・・。恥ずかしいな・・・)

 

 フユは内心愚痴るのだった。人通りが少ないとはいえ、全く人がいないわけではない。すれ違いざまに何人かの視線を感じた。それがものすごく痛い。

 

(僕だってバレたら社会的に生きてられないよ・・・)

 

 とにかくものすごく憂鬱なのである。

 そして歩くこと数十分。日が暮れかけた頃、車が一台通れるか通れないかぐらいの道を歩いていた時だった。

 

「ちょっとそこのお嬢さん?」

 

 フユの背後から声がした。振り返ると中年の男が立っていた。

 

「よかったらおじさんとデュエルしてもらえないかな?」

(この人が、例の露出魔か・・・)

 

 なるほどこの男性の衣服は見える部分では帽子とコートだけだ。しかもこのコート、首から下が全く見えないが、かろうじて見える足元は素足に靴だ。

 フユはチラリと露出魔の後ろ―――、千鳥達がいる方を見た。すると四つの人影が別の道に入っていくのが見えた。おそらくグルリと回ってフユの後ろに身をひそめるのだろう。

 

「いいですよ。お受けしましょう」

 

 街路灯がジジッと音を立てて点滅しだした。

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

フユ  LP8000

 

 

露出魔 LP8000

 

 

「私の先攻。ドロー!」

 

 先攻は露出魔から。

 

「私はモンスターをセット。さらに永続魔法《平和の使者》を発動!」

 

(《平和の使者》・・・。自分のターンが終わるごとにライフを100払う代わりに、攻撃力1500以上のモンスターが攻撃できなくなる永続魔法)

「さらに私はカードを一枚セットしてターンエンド!」

 

 

露出魔 LP8000→LP7900 手札3

モンスター/リバース×1

魔法・罠/《平和の使者》リバース×1

 

 

「僕のターン、ドロー!」

「この瞬間、永続罠《グラヴィティ・バインド―超重力の網―》を発動!」

 

 二人の間、フィールド全体に網がかけられた。

 

「これでレベル4以上のモンスターは攻撃できない!」

(かなりロックしてきたな・・・。おそらく相手のデッキはロックバーンか特殊勝利型。でも・・・)

 

 フユは手札を見た。

 

(このターンでは無理だけど、この手札なら相手のロックを崩すことはできる。攻略できないカードもコンボも存在しない!あれ?これ言ったのかなり久しぶりな気が・・・)

「どうしたんだい嬢ちゃん。このままターンを終了かい?」

「まさか。僕は《創造の代行者 ヴィーナス》を召喚!」

 

創造の代行者 ヴィーナス 星3 光 天使族 攻1600/守0

 

 ヴィーナスはチラリとフユを見て視線をフィールドに移した。で、もう一回フユを驚きの表情で見た。いわゆる二度見である。

 

(いや気持ちは分かるけど今はデュエルに集中して!)

 

 

 

「ハハッ。フユの奴、自分のモンスターに二度見されてやんの」

 

 声の主はケイト。四人とも既にフユの後ろの曲がり角に隠れているので声は潜めている。

 

「っていうかアイツ女装してから属性がボケからツッコミに変わってない?」

 

 これは千鳥。

 

「どうした?自分のアイデンティティを奪われるのが恐いか?」

「違うわよ!」

 

 『!』が付きはしたが、ちゃんと小声でつっこんでいる。

 

「だが確か、あの露出魔は倒した女子の前で脱ぐんだろ?敗けるつもりか?」

 

 英雄は色んな意味で心配な様子。

 

「奴の性格上敗けるつもりはないだろうが、何か手は打つだろう」

 

 はてさて、零士の予想通りになるだろうか。

 

 

 

「僕はカードを一枚セットしてターンエンドです!」

 

フユ LP8000 手札4

モンスター/《創造の代行者 ヴィーナス》

魔法・罠/リバース×1

 

「私のターン、ドロー!―――フッフッフ。まずは《ステルスバード》を反転召喚!」

 

 姿を見せたのは紺色のコウモリ。

 

 

ステルスバード 星3 闇 鳥獣族 攻700/守1700

 

 

「《ステルスバード》の効果発動!このカードが反転召喚に成功した時、相手ライフに1000ポイントのダメージを与える!」

 

 相手のコウモリが超音波を放ってきた。

 

「ウッ!」

 

 

フユ LP8000→LP7000

 

 

「やはり女の子の苦痛に歪んだ顔はたまらんな。私は《ステルスバード》のもう一つの効果を発動!このカードは1ターンに一度、裏側表示にできる!さらに私はモンスターを一体セットしてターンエンド!」

 

 

露出魔 LP7900→LP7800 手札3

モンスター/リバース×2(内一枚《ステルスバード》)

魔法・罠/《平和の使者》《グラヴィティ・バインド―超重力の網―》

 

 

「僕は歪められるより歪める派ですし、何よりあなたの性格の方が歪んでいると思いますけどね。僕のターン、ドロー!―――僕は《創造の代行者ヴィーナス》の効果発動!ライフを1000払い、《神聖なる球体》を二体攻撃表示でデッキから特殊召喚します!」

 

 

フユ LP7000→LP6000

 

 

神聖なる球体 星2 光 天使族 攻500/守500

 

 

 流石にものが球なので二度見はしなかった。

 

「そしてレベル4以下のモンスターの特殊召喚に成功したことにより、手札の《TG ワーウルフ》を特殊召喚!」

 

 しかし久々登場のこのモンスターは二度見した。

 

 

TG ワーウルフ 星3 闇 獣戦士族 攻1200/守0

 

 

(え!?君も!?)

(すんません。まさかうちの主にこんな趣味があるとは思わなくて)

(趣味じゃないよ!それと初セリフおめでとう!)

 

「さらに《神秘の代行者 アース》を召喚!」

 

 どうせまた二度見されるんだろうな、内心フユは呟いていた。

 

 

神秘の代行者アース 星2 光 天使族 チューナー 攻1000/守800

 

 

 アースも例に漏れず二度見したが、二回目に振り向いた時の顔は嬉しそうにも残念そうにも見えた。

 

(君は一体どんな表情してるの!?)

 

 するとアースはため息混じりに言った。

 

(おっぱいボインボインだったらよかったのに・・・)

(いやあるわけないよね!!僕の場合ある方がおかしいよね!!)

 

 ちなみに今はパッドを仕込んでいるので最低限あるようには見えています。

 

「僕は《神秘の代行者 アース》の効果発動!デッキから《奇跡の代行者 ジュピター》を手札に加えます!」

「だが君の場のモンスターでは《ステルスバード》を破壊することはできないし、それができる打点のモンスターは攻撃できんよ」

「だったらそのロックを崩すまでです。まずはリバースカード《強制転移》を発動します!」

「何!?」

「これにより、互いに自分の場のモンスター一体を選択してコントロールを入れ替えます。僕は《神聖なる球体》を選びます」

「くぅっ・・・!私はさっきリバースしていない方のカードを選ぶ」

 

「うっわー、攻撃力500のバニラと交換って、フユもエグイことするねぇ」

「あんなのまだマシよ。私なんて《ダイガスタ・イグルス》と攻撃表示の《バトルフェーダー》入れ替えられたことがあるからね」

 

 千鳥が自嘲気味に笑った。

 

「そいつはご愁傷様」

 

 そのような会話がなされている間に両者のモンスターが入れ替わった。

 

「やはりもう一枚の伏せモンスターも《ステルスバード》でしたか。ですがまだこの程度じゃ終わりません!僕はレベル3の《創造の代行者 ヴィーナス》、レベル2の《神聖なる球体》、レベル3の《TG ワーウルフ》に、レベル2の《神秘の代行者 アース》をチューニング!―――シンクロ召喚!蹂躙せよ、《A・O・J ディサイシブ・アームズ》!」

 

 純粋な攻撃力で言えば、このモンスターがフユのカードの中で最も強い。

 

 

A・O・J ディサイシブ・アームズ 星10 闇 機械族 攻3300/守3300

 

 

「僕はあなたの場に光属性のモンスターがいることにより、ディサイシブ・アームズの第二の効果を発動します!」

「!そうか!《強制転移》で《神聖なる球体》を寄越してきたのはこれが狙いか!!」

「その通りです!僕は手札の《奇跡の代行者 ジュピター》を墓地に送り、あなたの魔法・罠カードを全て破壊します!」

 

 ディサイシブ・アームズのレーザービームが露出魔のカードを燃やし尽くした。

 

「これでロックはなくなりました!僕は《A・O・J ディサイシブ・アームズ》でセットされた《ステルスバード》を攻撃!ハイメガビーム砲!」

 

 圧倒的火力で《ステルスバード》はチリと消えた。

 

「僕はこれでターンエンドです!」

 

 

フユ LP6000 手札3

モンスター/《A・O・J ディサイシブ・アームズ》リバース(《ステルスバード》)×1

 

 

「ムウゥ・・・。またディサイシブ・アームズの効果を発動するために《神聖なる球体》は残したか・・・。ならば私のターン、ドロー!―――私は《神聖なる球体》で《A・O・J ディサイシブ・アームズ》を攻撃!」

 

 しかし決戦兵器の前には球体の力は無に等しい。

 

 

露出魔 LP7800→LP5100

 

 

「そして私はメインフェイズ2に入り、《堕天使ナース―レフィキュル》を召喚!」

 

 全身包帯でぐるぐる巻きのナースが召喚された。

 

 

堕天使ナース―レフィキュル 星4 闇 天使族 攻1400/守600

 

 

「そして再び《平和の使者》を発動し、カードを二枚セットしてターンエンド!」

 

 

露出魔 LP5100→LP5000 手札0

モンスター/《堕天使ナース―レフィキュル》

魔法・罠/《平和の使者》リバース×2

 

 

「僕のターン、ドロー!」

「私はもう一度《グラヴィティ・バインド―超重力の網―》を発動!」

「またか・・・」

「さっきと同じと思わんことだよ。さらに私は罠カード《ギフトカード》を発動!」

「なっ!?」

「そう。《ギフトカード》は本来なら相手に3000のライフを与えるカード。だが《堕天使ナース―レフィキュル》は相手のライフ回復をライフへのダメージに変換する効果がある。つまり・・・」

 

 

フユ LP6000→LP3000

 

 

「《ギフトカード》は一瞬で大型バーンカードに変わるということさ!!」

 

 露出魔は高らかに笑い出す。

 

「・・・・・・・・・」

 

 しかしフユは全く動じていない。

 

「二、三聞きたいことがあります」

「お?何だい?」

「まず一つ目、あなたは巷で噂の露出魔ですか?」

 

 あまりにもどストレートな質問。これには千鳥、ケイト、英雄も仰天する。

 

「ほう。なぜそう思ったのかね?」

 

 しかし相手も否定はしない。自分が優位に立っているという思い込みからだろうか。

 

「あなたには僕が聞いた情報と共通している点が多い。女子が一人でいるところを狙うということも、デュエルを挑んでくるというところも」

「なるほど。分かった上でこのデュエルを受けたというのか」

 

 この発言でこの男が露出魔だということが確定した。

 

「でなきゃとっくに大声を上げるか、逃げるかをしていますよ。ちなみに逆にあなたが逃げても追いかけられる自信はありますから」

「なら何の目的で・・・」

「二つ目の質問です」

 

 フユは露出魔の言葉を遮った。

 

「あなたは女子小学生にもこのようなことをしたんですか?」

「い、いや・・・、それはもうそろそろしようかなーとは思ったが・・・」

「そうですか。ならこれが最後の質問です。あなたは春という名の茶髪セミロングの女子高生にもこのようなことをしましたか?」

「あの、それだと名前以外結構該当する人多そうなんだが・・・」

「・・・分かりました。では・・・」

 

「これより全国の女子小学生と春さんに変わって、あなたに天誅を下します」

 

「ま、まさかこのターンで勝つつもりか!?」

「つもりではなく確定形で勝ちます。僕は《召喚師セームベル》を召喚!」

 

 

召喚師セームベル 星2 風 魔法使い族 攻600/守400

 

 

(!お兄ちゃんがお姉ちゃんになった!!)

 上記の通りセームベルにも二度見されました。

(もういいよ!何か他に言うことないの皆!!)

「僕はさらに魔法カード《波動共鳴》を発動して、セームベルのレベルを4に変更します!」

 

 

召喚師セームベル 星2→4

 

 

「そしてセームベルの効果発動!現在のこのカードと同じレベルのモンスター一体を手札から特殊召喚します!僕は《ダーク・ヴァルキリア》を特殊召喚!」

 

 

ダーク・ヴァルキリア 星4 闇 天使族 攻1800/守1050

 

 

(あ、性転換したんだ)

 

 《ダーク・ヴァルキリア》はフユの方を見てサラッとそんなことを言ってきた。

 

(してないよ!皆もうちょっと気の利いた言葉をかけられないの!?)

「僕はレベル4の《召喚師セームベル》と《ダーク・ヴァルキリア》でオーバーレイ!―――二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、《No.39 希望皇ホープ》!」

 

 

No.39 希望皇ホープ ランク4 光 戦士族 攻2500/守2000

 

 

「フッ、今度はホープでもコントロールさせてくれるというのかね?」

「それは、僕の最後の手札を見てから言ってもらいましょう!―――重なった熱き思いが、世界を希望の未来に再構築する。リ・コントラクト・ユニバース!」

 

 そう言うとフユは最後の一枚を高々と見せるが、もちろんカードテキストが書き換えられるなどというインチキの極みみたいなことは起こらない。

 

「いや変わってねーじゃん!」

 

 千鳥は物陰から小声でつっこんだ。

 

「僕は《RUM(ランクアップマジック)―ヌメロン・フォース》を発動!このカードの効果により、僕は希望皇ホープでオーバーレイネットワークを再構築!―――現れろ、CNo(カオスナンバーズ).39!希望に輝く魂よ!森羅万象を網羅し、未来を導く力となれ! 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー!」

 

ホォ――――プ!!

 

 

CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー ランク5 光 戦士族 攻2800/守2500

 

 

 ホープの鎧が変化し、白と黄色が基調だったのが、白と赤が基調となった。

 

「だ、だが、そのモンスターも《平和の使者》の効果で攻撃することはできない!」

「いいえ。ヌメロン・フォースの効果で、エクシーズ召喚したホープレイ・ヴィクトリー以外の全ての表側表示のカードの効果は無効となっています!!」

「な、何だとぉ!!?」

 

 というか、いつの間にか効果が発動されていることに驚かない?原作もだけど。

 

「バトル!ホープレイ・ヴィクトリーで《堕天使ナース―レフィキュル》を攻撃!さらに効果も発動します!このカードの攻撃宣言時にエクシーズ素材を一つ取り除くことで、攻撃対象のモンスターの攻撃力分、攻撃力がプラスされます!ビクトリーチャージ!」

 

 

CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー ORU 3→2 攻2800→4200

 

 

 ホープレイ・ヴィクトリーの腕が二つ増えて、四刀流となった。

 

「行っけぇーっ!ホープ剣・ダブルビクトリースラッシュ!!」

 ホープレイ・ヴィクトリーは二つの『V』ができるようにレフィキュルをぶった切った。

 

 

露出魔 LP5000→LP2200

 

 

「最後にディサイシブ・アームズでダイレクトアタック!ハイメガビーム砲!!」

「グアアアアアアアアアッ!!!」

 

 

露出魔 LP2200→LP0

 

 

「クックック・・・。なかなか強いねお嬢ちゃん」

 

 露出魔はゆっくりと起き上がった。それだけなら良かったのだが、あろうことかコートのボタンを一つずつ開け始めた。

 

「え?ちょっ・・・、何やってるんですか!?あなた敗けた相手にしか見せないんじゃないんですか!?」

「今まではたまたま勝っていただけだよ」

「意外と強かったのね!!」

「そんなことを言っている暇があるのかな?」

 

 露出魔はボタンを全て開け終わっていた。

 

「い、いやっ・・・!!」

 

 フユは思わず手で顔を覆う。

 

「フハハ、はーいご開ちょ・・・」

「はーい現行犯逮、捕!」

 

ドゴォッ!!

 

 フユの背後から飛び出したケイトのジャンピング縦回転かかと落としで、露出魔はその目的を果たすことなく失神するのだった。

 

 

 

 失神した露出魔は事前に用意していたロープでぐるぐる巻きにされた。もちろん大事な所は見えないように。

 

「とりあえず、コイツはこれから警察に突き出すとするか。証拠もあることだしな」

 

 零士は露出魔を一瞥しながら言った。さっきのフユとの問答はケータイに動画で保存されている。

 

「なにはともあれ、今日中にどうにか出来て良かったわね」

 

 千鳥も伸びをしながら零士に続く。

 

「にしてもフユよ。お前最後見せられそうになった時マジで恥じらってたよな。自分のを見慣れてるだろうに」

 

 ケイトの問いにフユは一瞬ドキッとした顔を見せた。

 

「え!?そ、それは・・・・・」

 

 フユはポッと頬を染める。

 

 

「だ、だって・・・、恥ずかしいじゃないか・・・・・・」

 

 

「「「「・・・・・・萌え萌えーキュン」」」」

 

 四人全員の声が揃った瞬間だった。

 

 

 

「クソッ!奴ら、着実に勢力を伸ばしてやがる」

「もう『この世界』のほとんどが奴らの支配下になったからな・・・!!」

「どうする?このままでは俺達も潰されるぞ」

「・・・『この世界』から逃げるほかあるまい。『向こうの世界』へ行って、機を待つんだ」

「だがそれは禁忌だ!!それに奴らはいずれ『向こうの世界』も侵略するつもりなんだぞ!!」

「だったらどうする!?このまま奴らに挑んで玉砕するとでも言うのか!?我らの意思を一つにまとめ、あちらの世界、『人間世界』に行けば・・・」

「俺もその意見に賛成だ。上手くいけば人間どもの世界を乗っ取れるかもしれん。我らの――――――」

 

「純粋にして崇高なる邪念が結集すれば、な・・・・・・」

 

 




 最後にまた謎の敵が出現するような前振りがありましたが、本筋は大体ギャグ調になりました。読者の皆様は、今回やったような露出はもとより、できれば女装もやめておきましょう。社会的に終わります。
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