デュエルアカデミアなんちゃって○イオハザードから数日。生徒会室に呼び出された人間が二人いた。一人はフユ。そしてもう一人は春である。一つの部屋に年頃の男女が一組。それも好きな相手だともうテンションが上がるのである。部屋の中はものすごい静かだが、フユの心の内は
(イィィィィィィィィィヤッホオオオオォォォォォォォォォォウ!!!)
このように狂喜乱舞しているのである。
「それにしても遅いね、満月先輩」
「そ、そうですね」
この二人を呼び出したのは秋人。しかしまだ姿を見せない。だがそんなことはフユにとってはどうでもいい。むしろ一時間ぐらい来るな、なんて考えていた。
(チャンスなんじゃないか?)
そう思っていた。
「あの、すいません。少し席を外させてもらいます」
「え?あ、うん」
そう言って生徒会室を出ると、すぐ近くの男子トイレに入った。で、珍しく鏡を見てヘアスタイルや服装を確認すると、(そんなもんないけど)カメラ目線になってシャウトした。
「読者の皆さん!!R-18のご用意はよろしいでしょうか!?」
フユは勢いよくトイレから飛び出した。
(春さんとあんな事やこんな事やそんな事をグフフフフ)
「春さぁ―――ん!!お待たせしましたぁ!!」
バタンと生徒会室の扉を開けるとそこにいたのは・・・
「―――みたいなことがあったんだよ、この間の試合で」
「へぇー、面白いですね」
いつの間に来ていたのか、秋人と春がそれはそれは楽しそうに喋っていた。
(・・・・・・カオス・ソルジャー、いる?)
(ここに)
フユの斜め後ろで片膝を着いて待機していた。その姿はフユにしか見えていない、とフユ自身は思っていた。
(とりあえずあの先輩をサクッとぶった切っちゃってくれない?)
(はっ!・・・・・・え?いやいやいや!!お待ちください主!)
呼吸をするかの如くとんでもない事を言うフユを慌てて止める。
(いいじゃないか。別にこの会話が聞かれてることもないだろうし、君の姿だって見えるはずないし)
(そういう問題ではございません。それに、おそらく満月様には私の姿が見えています)
「ん?やぁ、白雪姫君。待っていたよ」
秋人がフユの存在に気付いた。
「まあ君も座ってくれ。少しティータイムにでもしよう」
秋人は部屋の隅に置かれている食器棚から諸々取り出した。
「お茶と茶菓子だ。遠慮なく食べてくれ」
そう言って秋人はなかなかシャレた洋風のカップと皿を二人の前に出した。その中に入っていたのは――――――――――――――、抹茶といちご大福だった。
「何でだああああああああああああああああああ!!!」
たまらずシャウトするフユ。
「何で抹茶といちご大福なんですか!?そこは普通食器的に紅茶とケーキじゃないですか!?」
「たまには俺もボケたいのさ」
「ボケてもツッコミを入れる人がいないじゃないですか!!・・・あ、いた!!僕だ!!」
四十七話目でやっと千鳥のありがたみを理解したフユであった。
「で、悪ふざけはそこまでにしておいて、君達を呼んだ理由なんだが・・・・・・、それを話す前に、二人にはこれからデュエルをしてもらいたい」
「デュエル、ですか?」
「そうだ。これは後で話すことに深く関わってくるかもしれない。それとこのデュエル、互いに『全力で』闘ってほしい」
「え?」
フユには秋人の言葉の意味が理解できた。全力で、つまりあのマークが発動した状態で戦えというのだ。それでは春に危害が及ぶことになる。
「僕は・・・」
「いいですよー」
フユが断ると言い切る前に春がOKした。
「春さん・・・・・」
「だってリベンジしたかったし」
春はフユに指を突きつけた。
「・・・・・・分かりました。受けましょう」
(こうなったら、あのマークが出ないことを祈ろう)
そして、いつかの三つ巴デュエルの時のように机や椅子を移動させて、デュエルが可能なスペースを作った。
「よーし、行っくよー!」
「はい!」
「「デュエル!!」」
フユ LP8000
春 LP8000
「私のターン、ドロォ〜〜↓」
カードを引いた途端、春はその場に崩れ落ちた。
「ど、どうしたんですか!?」
「お腹がすいて力が出ないよ・・・・・」
(ええぇー・・・・・・)
「ちょっとタイム」
そう言ってさっきのいちご大福と抹茶を喉に通すと、
「おおぉー!!」
一瞬で目に輝きを取り戻した。そしてそれだけならまだ良かったのだが、
「よーし、頑張るぞー!」
まさかの右手にピンク色の『S』のマークが。
「ええ――っ!!?まさかのマーク持ち!?」
フユが驚く一方、
「やはりな・・・」
秋人は何やら意味深な発言。
(落ち着け。春さんのデッキは確か【マドルチェ】。無限ループさえ注意すれば・・・)
「私は《魔導召喚士 テンペル》を召喚!」
(・・・え?)
魔導召喚士 テンペル 星3 地 魔法使い族 攻1000/守1000
召喚されたのは可愛いお人形さんではなく、フード付きのローブで顔を隠している女モンスターだ。
「さらに私は魔法カード《グリモの魔導書》を発動。このカードの効果で《魔導書》って名前のつく魔法カード一枚を手札に加えられるから、私はフィールド魔法、《魔導書院ラメイソン》を手札に加えて、そのまま発動するよ」
春の後ろに白い巨塔がそびえ立った。
(・・・・え?)
「そして私はテンペルのモンスター効果を発動。《魔導書》を発動したターンのメインフェイズに、このカードをリリースしてデッキからレベル5以上の光か闇の魔法使い族モンスターを一体特殊召喚できるから、私はレベル7、光属性の《魔導法士 ジュノン》を特殊召喚」
テンペルと入れ替わりに召喚されたのは、ピンクの髪に白い服着たボインなネーチャン。
魔導法士 ジュノン 星7 光 魔法使い族 攻2500/守2100
「私はカードを二枚セットしてターンエンドだよ!」
春 LP8000 手札3
モンスター/《魔導法士 ジュノン》
魔法・罠/《魔導書院ラメイソン》リバース×2
「あの、えっと・・・、春さん?」
「んー?」
「前に僕とデュエルした時って、確か【マドルチェ】でしたよね?」
「うん。私、【マドルチェ】と【魔導書】の二つのデッキ持ってるから」
「そんなのアリですか?普通こういうのってデッキ一個ですよね?」
「へぇー、そうなんだ」
「・・・・・・何か、もう、いいです。僕のターン、ドロー!―――僕は手札から、魔法カード《強欲で謙虚な壺》を発動します!デッキの上から三枚のカードを確認し、その中の一枚を選び手札に加え、残りの二枚をデッキに戻します!一枚目は《神聖なる球体》、二枚目は《マスター・ヒュペリオン》、三枚目は《波動共鳴》。僕が選ぶのは《マスター・ヒュペリオン》です。そして僕はモンスターとカードを一枚ずつセットしてターンを終了します」
フユ LP8000 手札4
モンスター/リバース×1
魔法・罠/リバース×1
「私のターン、ドロー!私はスタンバイフェイズに、フィールド魔法《魔導書院ラメイソン》の効果発動!墓地の《グリモの魔導書》をデッキの一番下に戻して、カードを一枚ドロー!」
「なるほど。回収とドローを兼ね備えたフィールド魔法ですか。羨ましい(ボソッ)」
「次に私はジュノンの効果を発動!手札か墓地の《魔導書》一枚を除外したらフィールドのカード一枚を破壊できるから、私は手札の《ヒュグロの魔導書》を除外して、白雪姫君のセットカードを破壊するよ」
フユの場には伏せカードしかないので分かりにくいが、要するに魔法・罠の方だ。
「だったら僕はチェーンして罠カード《強制脱出装置》を発動します!」
それを言った瞬間、春は一時停止したみたいに硬直した。
「・・・・・チェーンって、何?」
「「ええええぇぇぇぇ!?」」
これに関してはフユだけでなく秋人まで驚かされた。
「『チェーン』というのは、簡単に言ったらカードの効果や発動に対して別のカードの効果を発動することなんだよ。それとこれにはスペルスピードというものが1から3まであって、1は一部を除くモンスター効果と速攻魔法以外の魔法カード。2は一部のモンスター効果と速攻魔法、それとカウンター罠以外の罠カード。3がカウンター罠だ。スペルスピード2のカードにスペルスピード1のカードは発動できないし、3に対しては1や2のカードは発動できないんだよ」
秋人、説明乙。
「おぉ、なるほど」
春は感心して聞いていた。
「っていうか春さんチェーン知らないで今までデュエルしてたんですか?」
「私デュエル始めたの中学からだから」
リアルでなら普通だが、『こっちの世界』では小学生から始める人間が大多数だ。
「それでここまでカードを使いこなせるのもすごいですけど、とりあえずジュノンには手札に戻ってもらいます!」
「ちょーっと待ったぁ!!じゃあ私はその罠カードにチェーンして速攻魔法《トーラの魔導書》を発動!さっきの話だったら、スペルスピード2のカードに対してスペルスピード2のカードは発動できますよね?」
「ああ。できるさ」
秋人は最早ジャッジ扱いだ。
「なら私は《トーラの魔導書》の効果でジュノンを罠カードの効果を受けないようにするよ!」
分厚い本が結界のようなもの作り、ジュノンを守った。
「さらに私は魔法カード《アルマの魔導書》を発動!除外されている《ヒュグロの魔導書》を手札に加えて、そのまま《ヒュグロの魔導書》も発動!ジュノンの攻撃力を1000アップさせるよ!」
魔導法士 ジュノン 攻2500→3500
(いくら攻撃力を上げても、守備表示だからダメージは受けない。そのぐらいは知っているはず・・・。ということは、他に狙いが?)
「バトル!《魔導法士 ジュノン》でセットモンスターを攻撃!○ィロ・フィナーレ!」
「それは別の魔法少女です!!」
技名はアレだったが、ジュノンは魔法で生み出したビームを右手から撃った。(決して馬鹿デカイ銃をぶっぱなしたりはしていません)
ネクロ・ガードナー 星3 闇 戦士族 攻600/守1300
「この瞬間、《ヒュグロの魔導書》の効果発動!」
「やっぱり攻撃力を上げるだけじゃありませんでしたか」
「攻撃力を上げたモンスターが相手のモンスターを破壊して墓地へ送ったら、デッキから《魔導書》を一枚手札に加えるよ!私は《グリモの魔導書》を選択!そして今手札に加えた《グリモの魔導書》を使って《トーラの魔導書》デッキから手札に加えて、モンスターを一枚セットしてターンエンド!」
魔導法士 ジュノン 攻3500→2500
春 LP8000 手札3
モンスター/《魔導法士 ジュノン》リバース×1
魔法・罠/《魔導書院ラメイソン》リバース×1
「すごいですね。あれだけカードを使ったのに、前のターンの終わりと手札の枚数が変わってないなんて」
「えっへん」
素直に感心するフユに、春はまんざらでもないようだ。
「でも、僕の手札にあのカードがある事を忘れていませんか?僕のターン!僕は手札の《奇跡の代行者ジュピター》をゲームから除外!―――天空に住まいし太陽神よ、矛を向ける者全てを灼き払え!!来い、《マスター・ヒュペリオン》!!!」
マスター・ヒュペリオン 星8 光 天使族 攻2700/守2100
で、やっぱりこのモンスターはグチとともに登場するわけで
(勘弁してくれよ〜。こちとら『○突!デュエルカーニバル!』やってる最中だったってのによぉ。○鳥ちゃんで)
(いや確かに全然TF出ないからやりたいのは分かるけど、なんで○鳥ちゃん?)
(だって『現れろ、マスター・ヒュペリオン!』とか言ってくれるからテンション上がるし、そのために音声入れてくれたって思うとよっしゃ!ってなるし)
(気持ちは分からなくもないけど、今はとりあえず働いて。それに中の人が【代行天使】を使ってるから入れてくれただけだから!)
「へぇ、白雪姫君のエースモンスター、なんだかフレンドリーだね」
春の一言にフユはかなり驚かされた。
「えっ!?今の聞こえてたんですか?」
「うん」
春は短く答えた。さも当然のように。
(今更だけど、この人は一体何者なんだ?ヴェルズの存在に最初に気付いて、僕や秋人先輩と同類のマークを持っていて、なおかつモンスターとの会話まで聞こえるなんて・・・。いや、今はデュエルに集中しよう)
「僕はさらに《創造の代行者 ヴィーナス》を召喚します!」
創造の代行者 ヴィーナス 星3 光 天使族 攻1600/守0
「そしてヴィーナスの効果発動!ライフを1000払って《神聖なる球体》を二体デッキから特殊召喚します!」
フユ LP8000→LP7000
神聖なる球体 星2 光 天使族 攻500/守500
「僕はレベル2の《神聖なる球体》二体でオーバーレイ!―――二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろ、《ガチガチガンテツ》!」
『デュエルフェスタ編』が終わってからは、これが初登場となる、フユのデッキのサポーター筆頭。
ガチガチガンテツ ランク2 地 岩石族 攻500/守1800
「《ガチガチガンテツ》の効果により、このカードのエクシーズ素材一つにつき、僕の場のモンスターの攻撃力と守備力は200ポイントアップします!」
ガチガチガンテツ 攻500→900/守1800→2200
マスター・ヒュペリオン 攻2700→3100/守2100→2500
創造の代行者 ヴィーナス 攻1600→2000/守0→400
「バトル!《マスター・ヒュペリオン》で《魔導法士ジュノン》を攻撃します!プロミネンス・ブラスト!」
マスター・ヒュペリオンの撃った火球は真っ直ぐにジュノンに向かっていく。
「させないよ!速攻魔法《ゲーテの魔導書》を発動!」
「!!」
「このカードは墓地の《魔導書》を除外した枚数で効果が変わる速攻魔法だよ。私はアルマ、ヒュグロ、トーラの三枚を除外して、《マスター・ヒュペリオン》をゲームから除外!」
マスター・ヒュペリオンの周りに魔法陣が浮かび上がり、消滅させた。
「くっ、なら僕はヴィーナスで伏せモンスターを攻撃します!Go!速Q!」
こちらも毎度のように球をぶん投げて攻撃する。そして姿を見せた相手モンスターは二本の槍を持った屈強な男だった。
魔導術士 ラパンデ 星1 水 魔法使い族 攻300/守200
「《魔導術士 ラパンデ》の効果発動!このカードが墓地に送られた時、デッキのレベル3の《魔導》って名前のついたモンスターを手札に加えるから、私は《魔導召喚士 テンペル》を手札に加えるよ!」
正直最近まで環境トップだったカードってサーチとか手札増強に事欠かなかったですよね。
「―――僕はカードを一枚セットしてターンエンドです」
フユ LP7000 手札1
モンスター/《創造の代行者 ヴィーナス》《ガチガチガンテツ》
魔法・罠/リバース×1
「私のターン、ドロー!私はラメイソンの効果を発動!墓地の《グリモの魔導書》をデッキの一番下に戻して、カードを一枚ドロー。で、私は魔法カード《死者蘇生》を発動してラパンデを特殊召喚!そして《ガガガマジシャン》を召喚!」
○アルを見ている人にはお馴染みの、初期の頃からずっと登場している目つきの悪い魔法使いだ。
ガガガマジシャン 星4 闇 魔法使い族 攻1500/守1000
「《ガガガマジシャン》の効果発動!このモンスターのレベルをラパンデと同じ1にするよ」
ガガガマジシャン 星4→1
「レベルを調整したということは、エクシーズ召喚ですか」
「そうだよ。私はレベル1になった《ガガガマジシャン》と《魔導術士 ラパンデ》でオーバーレイ!―――二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!いつでもゴロゴロ、《シャイニート・マジシャン》!」
召喚されたモンスターは青い髪、頭にゴーグルをかけた魔法少女。長いクッションの上に寝転がっている。強いてイラストと違うところがあるとするなら、ポテチを貪り、上着に『働いたら負け』というロゴが入っているところだ。
シャイニート・マジシャン ランク1 光 魔法使い族 攻200/守2100
「もうその格好じゃ限りなくニートじゃないですか」
苦笑しながらフユは言った。
「仕事してないだけでニート!?」
ショックを受けたのは何故か春。
「いや、それをニートと言うんだが・・・。もしくは無職」
秋人も軽いツッコミを入れた。
「うーん、まあいいや。バトル!《魔導法士 ジュノン》でヴィーナスを攻撃!○ィロ・フィナーレ!」
「悪いですけど、その攻撃を通すつもりはありません!リバースカード、オープン!《光霊術―「聖(ひじり)」》!」
ヴィーナスは光に包まれて消滅し、ジュノンの攻撃をかわした。
「あり?」
「このカードは、僕の場の光属性のモンスターをリリースして、除外されているモンスターを特殊召喚する罠カードです。このままいけば僕は《マスター・ヒュペリオン》を特殊召喚しますが、春さんが手札に罠カードを持っていればそれを見せることでこの効果を無効化することができます。どうしますか?」
「罠カード?私入れてないよ」
(デッキ柄そうなんじゃないかとは思ってたけど、よく回せるなぁ)
「なら僕は《マスター・ヒュペリオン》を特殊召喚します!」
再びフユの場に現れた大天使。
「じゃあ私はジュノンで《ガチガチガンテツ》を攻撃するよ!」
ジュノンの魔法攻撃は直撃したが、岩石の戦士には多少傷が付いた程度である。
「《ガチガチガンテツ》は、破壊される代わりにエクシーズ素材を一つ取り除くことができます」
ガチガチガンテツ ORU 2→1 攻900/守2200→2000
マスター・ヒュペリオン 攻3100→2900/守2500→2300
「私はこれでターンエンドだよ」
春 LP8000 手札4
モンスター/《魔導法士 ジュノン》《シャイニート・マジシャン》
魔法・罠/《魔導書院ラメイソン》
「僕のターン、ドロー!」
(この手札だと、攻撃するぐらいしかできないね)
「僕は《マスター・ヒュペリオン》で《魔導法士 ジュノン》を攻撃します!プロミネンス・ブラスト!」
今回は伏せカードは一枚もない。ジュノンは一瞬で破壊された。
春 LP8000→LP7800
(マークは・・・、よし。出てないな)
「ターンエンドです!」
フユ LP7000 手札2
モンスター/《マスター・ヒュペリオン》《ガチガチガンテツ》
「私のターン、ドロー!私はまたまたラメイソンの効果を発動!墓地の《グリモの魔導書》をデッキの一番下に戻して、カードを一枚ドロー!そして《魔導召喚士 テンペル》を通常召喚!」
(ということは、また上級モンスターを特殊召喚してくるのか)
「私は手札から《グリモの魔導書》を発動して、デッキから《ヒュグロの魔導書》を手札に加えるよ。続けてテンペルの効果発動!このカードをリリースして・・・・・、デッキからレベル8闇属性の《魔導獣士 ルード》を特殊召喚!」
召喚されたのは立派なたてがみのライオン(二足歩行)。手にはゴツイ盾を持っている。
魔導獣士 ルード 星8 闇 魔法使い族 攻2700/守1700
「《魔導獣士 ルード》の効果発動!魔法使い族モンスターの効果でこのカードが特殊召喚に成功した時、除外されている《魔導書》を好きなだけ選んで、選んだカードは墓地に、それ以外のカードをデッキに戻すよ!」
そこで春の動きがまた止まった。それにルードも、いやちょっと待って待って、みたいな顔をして春の方を見ていた。
「・・・え?逆?選んだカードがデッキで、それ以外が墓地?・・・・・・あ、ホントだ」
その様子はごく普通に会話しているようにフユと秋人には見えた。
「じゃあ改めて、ルードの効果を発動!私は除外されている、アルマ、ヒュグロ、トーラの三枚全部をデッキに戻すよ」
「それはいいですけど、僕の《マスター・ヒュペリオン》の攻撃力は《ガチガチガンテツ》の効果で2900になっています。そのモンスターじゃ返り討ちですよ?」
「だから私はさっき《グリモの魔導書》の効果で手札に加えた《ヒュグロの魔導書》の効果でルードの攻撃力を1000ポイントアップさせるんだ」
(しまった!サラッと手札に加えた上、色々あって忘れてた!!)
魔導獣士 ルード 攻2700→3700
「ルードで《マスター・ヒュペリオン》を攻撃するよ!」
ルードはそのデカイ盾をフリスビーの要領で投げつけた。
「なら僕は墓地の《ネクロ・ガードナー》をゲームから除外して、攻撃を無効にします!」
しかし《ネクロ・ガードナー》が《マスター・ヒュペリオン》を庇う形で盾は戻ってきた。
「そう言えば墓地にいたね。またそのモンスターに防がれちゃったよ」
読者の皆さんは覚えているだろうか、あるいは知っているだろうか?以前春は無限ループを《ネクロ・ガードナー》で防がれていたのだ。
(でも、できることならこのカードは使いたくなかった)
何故か。これでフユの墓地に闇属性モンスターはいない。だから仮に神ドローでエースモンスターであるカオス・ソルジャーを引いたとしてもただ腐るだけなのだ。
「ターンエンドだよ」
魔導獣士 ルード 攻3700→2700
春 LP7800 手札4
モンスター/《魔導獣士 ルード》《シャイニート・マジシャン》
魔法・罠/《魔導書院ラメイソン》
「僕のターン、ドロー!―――春さん、そろそろこの均衡を崩させてもらいます」
「なん、だと・・・!?」
「まずは《神秘の代行者 アース》を召喚します!」
神秘の代行者 アース 星2 光 天使族 チューナー 攻1000→1200/守800→1000
「アースのモンスター効果により、デッキから《創造の代行者 ヴィーナス》を手札に加えます!そして速攻魔法《フォトン・リード》を発動して今手札に加えたヴィーナスを特殊召喚!」
ヴィーナス本日二度目の登場。
創造の代行者 ヴィーナス 攻1600→1800/守0→200
「今度はヴィーナスの効果を発動します!ライフを500払って、デッキから三枚目の《神聖なる球体》を特殊召喚!」
フユ LP7000→LP6500
神聖なる球体 攻500→700/守500→700
「僕はレベル2の《神聖なる球体》とレベル3の《創造の代行者ヴィーナス》に、レベル2の《神秘の代行者アース》をチューニング!―――冷たい炎が世界の全てを包み込む。漆黒の花よ、開け!シンクロ召喚!現れよ、《ブラック・ローズ・ドラゴン》!」
ブラック・ローズ・ドラゴン 星7 炎 ドラゴン族 攻2400→2600/守1800→2000
「さらに僕は、墓地の《神秘の代行者 アース》を除外します!」
「と、いうことは・・・」
「天空に住まいし太陽神よ、以下略!!来い、《マスター・ヒュペリオン》!!!」
エース二体目の登場である。(今更だけどエース三積みとか主人公としていかがなものだろうか)
マスター・ヒュペリオン 攻2700→2900/守2100→2300
「まずは先に召喚した《マスター・ヒュペリオン》の効果を発動します!墓地の《神聖なる球体》を除外して、《魔導獣士 ルード》を破壊します!シャイニング・デストラクション!!」
ルードは一瞬で丸焦げになって破壊された。
「次は今召喚した《マスター・ヒュペリオン》の効果発動!墓地のヴィーナスを除外して《シャイニート・マジシャン》を破壊します!シャイニング・デストラクション、ダイニダァ!!」
どっかのカイザーに似た台詞。
「じゃあ私は《シャイニート・マジシャン》の効果を発動するよ!エクシーズ素材を一つ取り除いて、このカードを対象にするカード効果を無効にして破壊!」
「え?」
《シャイニート・マジシャン》は仕掛けようとしていた《マスター・ヒュペリオン》に対してクッションをぶん回しておもっクソしばいた。
(イッテー!父さんにもぶたれたことないのに!!)
どこのニュータイプだお前は。
「だったら《ブラック・ローズ・ドラゴン》で《シャイニート・マジシャン》を攻撃します!ブラック・ローズ・フレア!」
「《シャイニート・マジシャン》は1ターンに一度だけ戦闘じゃあ破壊されないよ!」
するとこのニート、寝返りをうってギリギリで《ブラック・ローズ・ドラゴン》の攻撃を避けた。
「うっわー。だったら今度は《マスター・ヒュペリオン》で攻撃します!プロミネンス・ブラスト!」
《マスター・ヒュペリオン》の攻撃が迫ってきても今度はよける気配はない。
(なんかもう動きたくなーい)
そんな風に言っているように、フユには聞こえた。
「うぅ・・・。エクシーズ素材にしてたラパンデが墓地に送られたから、デッキから《魔導召喚士 テンペル》を手札に加えるよ・・・・・」
「僕はこれでターンを終了します」
フユ LP6500 手札0
モンスター/《マスター・ヒュペリオン》《ブラック・ローズ・ドラゴン》《ガチガチガンテツ》
「ああ、《シャイニート・マジシャン》が・・・。私の友達が・・・。もう怒ったよ!!」
と、頬を膨らませた春であったが、
(嗚呼、怒った春さんもまた可愛い)
フユには逆効果だった。
「私のターン、ドロー!―――私はラメイソンの効果を発動!墓地の《グリモの魔導書》をデッキの一番下に戻して、カードを一枚ドロー!私は手札から、装備魔法《ネクロの魔導書》を発動だよ!」
「でも、春さんの場にはモンスターが・・・」
「チッチッチ。このカードは墓地の魔法使い族モンスターを除外して、相手に他の《魔導書》を見せて、墓地の魔法使い族モンスターを特殊召喚してこのカードを装備するんだよ。という訳で、ほい。《トーラの魔導書》」
「なるほど。《早すぎた埋葬》みたいなもんですか」
「それだけじゃなくて除外したモンスターのレベル分だけ特殊召喚したモンスターのレベルも上がるんだ。私はラパンデを除外して、墓地のジュノンにこのカードを装備して特殊召喚!」
魔導法士 ジュノン 星7→8
「それからジュノンの効果発動だよ!《ヒュグロの魔導書》を除外して、《ガチガチガンテツ》を破壊するよ!」
「なら僕はもう一度《ガチガチガンテツ》のエクシーズ素材を取り除いて、破壊を無効にします!」
ガチガチガンテツ ORU 1→0 攻700→500/守2000→1800
マスター・ヒュペリオン 攻2900→2700/守2300→2100
ブラック・ローズ・ドラゴン 攻2600→2400/守2000→1800
「まだまだ行くよー!私は手札から装備魔法《ガガガリベンジ》を発動!墓地の《ガガガマジシャン》にこのカードを装備して特殊召喚!」
春の場に棺桶が現れ、そこから先程のヤンキー魔法使いが出てきた。
「そして《ガガガマジシャン》のレベルを4から6に変えるよ!」
ガガガマジシャン 星4→6
「次は《ガガガガール》を召喚!」
ヤンキーマジシャンの隣に寄り添う形で召喚された魔法使い。こっちの見た目はほぼギャルである。
ガガガガール 星3 闇 魔法使い族 攻1000/守800
「《ガガガガール》の効果発動!フィールドの他の《ガガガ》と同じレベルにできるよ!」
ガガガガール 星3→6
「レベル6のモンスターが二体。ということは・・・」
「私はレベル6になった《ガガガマジシャン》と《ガガガガール》でオーバーレイ!―――二体の魔法使い族モンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れて、《マジマジ☆マジシャンギャル》!」
召喚された女魔法使いは、BMGによく似ているが、若干老けて見える。
マジマジ☆マジシャンギャル ランク6 闇 魔法使い族 攻2400/守2000
「《ガガガリベンジ》の効果発動!装備モンスターがエクシーズ素材になってこのカードが墓地に送られた場合、エクシーズ召喚したモンスターの攻撃力を300アップするよ!」
マジマジ☆マジシャンギャル 攻2400→2700
「続けて《ガガガガール》の効果も発動するよ!このカードが他の《ガガガ》と一緒にエクシーズ素材になった時、相手の特殊召喚されたモンスターの攻撃力を0にするよ!対象は《マスター・ヒュペリオン》!ゼロゼロコール!」
マジシャンギャルの後ろに半透明になった《ガガガガール》が現れると、ケータイのボタンを早押しし、画面から光線を放った。
マスター・ヒュペリオン 攻2700→0
「最後にマジシャンギャルの効果発動!エクシーズ素材を一つ取り除いて、手札を一枚除外して相手フィールドのモンスターのコントロールをエンドフェイズまで得るの!《ブラック・ローズ・ドラゴン》を借りるね!」
《ブラック・ローズ・ドラゴン》は春の場に移動し、フユに相対した。
「これは、マズイ・・・!!」
「バトル!まずは《ブラック・ローズ・ドラゴン》で《ガチガチガンテツ》を攻撃!ブラック・ローズ・フレア!」
流石の《ガチガチガンテツ》も三度目の攻撃には耐えられない。
「次はジュノンで《マスター・ヒュペリオン》を攻撃!○ィバインバスター!」
「それもまずいです!!色々と!」
フユのツッコミもそうだが、《マスター・ヒュペリオン》はいとも簡単に破壊された。
(来る!!)
フユが戦闘でダメージを受けるのはこれが最初。そして春の手にはマークが。通常を遥かに超えるダメージを受けることになる。
フユ LP6500→LP4000
(・・・・・アレ?)
「最後にマジシャンギャルでダイレクトアタック!マジマジ・バーニング!」
アニメや漫画よろしく、杖から波動を放つ。
フユ LP4000→LP1300
(やっぱりだ。衝撃が普段のデュエルと変わらない。慣れたのかな)
「私はカードを一枚セットして、エンドフェイズ。それと《ブラック・ローズ・ドラゴン》を返すね。ターンエンド」
春 LP7800 手札1
モンスター/《マジマジ☆マジシャンギャル》《魔導法士 ジュノン》
魔法・罠/《魔導書院ラメイソン》リバース×1
(どうして春さんにマークが出ているのに、僕がリアルダメージを受けないのか分からないけど、デュエルの状況としては圧倒的に不利だね・・・)
フユの手札は0。それにフィールドには《ブラック・ローズ・ドラゴン》一体のみ。そして春がセットしたカードは間違いなく《トーラの魔導書》。つまり魔法・罠では除去しきれないのだ。だが、
「このまま決めちゃうよー!」
春の無邪気な笑顔に、
(ああ、心が洗われる)
癒されているフユなのであった。
まだメンバーが揃っていない初期の頃の四、五話を除けばたった三人しか登場しない回となりました。
やっぱりアレですね。AIBOが言っていたように、手札があれば可能性がウハウハですね。手札が多い方がデュエルの展開とか色々考えられますし。
次回は色々な秘密が明かされる&遊戯王作品にあるまじき大冒険のスタートとなります。