遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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第四十八話 「ここでもやります。遊戯王年末恒例行事」

フユ LP1300 手札0

モンスター/《ブラック・ローズ・ドラゴン》

 

 

春 LP7800 手札1

モンスター/《マジマジ☆マジシャンギャル》《魔導法士 ジュノン》

魔法・罠/《魔導書院ラメイソン》リバース×1

 

 

「あの、上のサブタイ、嫌な予感しかしないんですけど・・・」

 

 開口一番フユが言った。引きつった笑みで。

 

「まあ『アレ』しかないよね」

 

 春も薄々感づいているようだが、そこまで怖がってもいない。

 

「とりあえず二人共、デュエルを続けてくれ。今回の話は二人のデュエルがメインじゃないから」

 

 秋人がデュエルを続行するように促した。っていうかメタ発言すぎるだろ三人とも。

 

「あ、はい。僕のターン!」

(実質このドロー次第で、このデュエルの勝敗が決まる)

「ドロー!」

 

 周りの空気がピンと張り詰めた。

 

「来た!三枚目!」

「え?てことは・・・」

「僕は墓地の《創造の代行者 ヴィーナス》を除外!このデュエルではもう出したけど、この話の中では最初なのでフルに口上を言わせてもらいます!天空に住まいし太陽神よ、矛を向ける者全てを灼き払え!!来い、《マスター・ヒュペリオン》!!!」 

 

 

マスター・ヒュペリオン 星8 光 天使族 攻2700/守2100

 

 

「ほう。ここで引き当てたか」

「《マスター・ヒュペリオン》の効果発動です!墓地の《神聖なる球体》を除外して、《マジマジ☆マジシャンギャル》を破壊します!シャイニング・デストラクション!」

 

 攻撃力を0にされた仕返しとばかりに最大火力でぶっぱなした。(そんなことしてたら嫌われるよ。読者から)

 

「バトル!《マスター・ヒュペリオン》で《魔導法士 ジュノン》を攻撃します!プロミネンス・ブラスト!」

 

 再びジュノンを襲う灼熱の炎。

 

 

春 LP7800→LP7600

 

 

「最後に《ブラック・ローズ・ドラゴン》でダイレクトアタック!ブラック・ローズ・フレア!」

 

 

春 LP7600→LP5200

 

 

「キャアッ!」

 

 フユとしては惚れた女子を直接攻撃するのは気が引けたが、仮にマークが出ていたらあんなものじゃないだろう。それにデュエルは全力で挑まなければ相手に失礼というもの。

 

「ターンエンドです!」

 

 

フユ LP1300 手札0

モンスター/《マスター・ヒュペリオン》《ブラック・ローズ・ドラゴン》

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

 圧倒的有利から絶体絶命に追い込まれた春。だが諦めてはいないようだ。

 

「私はラメイソンの効果で墓地の《ネクロの魔導書》をデッキの一番下に戻して、カードを一枚ドロー!―――私はモンスターを一枚セットしてターンエンドだよ!」

 

 

春 LP5200 手札2

モンスター/リバース×1

魔法・罠/《魔導書院ラメイソン》リバース×1

 

 

「僕のターン、ドロー!―――そろそろこのデュエルに幕を引きましょう。僕は《マスター・ヒュペリオン》の効果を発動します!墓地の《神聖なる球体》を除外して、セットモンスターを破壊します!シャイニング・デストラクション!」

「させないよ!手札から《エフェクト・ヴェーラー》を墓地へ送って効果発動!《マスター・ヒュペリオン》の効果を無効にするよ!」

 

 薄い帯が《マスター・ヒュペリオン》の動きを止めた。

 

「まさかそんな隠し玉を用意していたとは・・・。なら僕は《ブラック・ローズ・ドラゴン》でセットモンスターを攻撃します!ブラック・ローズ・フレア!」

 

 《ブラック・ローズ・ドラゴン》の攻撃で姿を現したのは青い帽子に青い服、気だるげな顔をした少年だ。

 

 

魔導書士 バテル 星2 水 魔法使い族 攻500/守400

 

 

「《魔導書士 バテル》の効果発動だよ!このモンスターが召喚かリバースしたら、デッキの《魔導書》を手札に加えられるから、私は《グリモの魔導書》を手札に加えるね!」

「だとしても!僕は《マスター・ヒュペリオン》でダイレクトアタックします!プロミネンス・ブラスト!」

 

 

春 LP5200→LP2500

 

 

「うぅ、イッターイ」

「これでターンを終了します」

 

 

フユ LP1300 手札1

モンスター/《マスター・ヒュペリオン》《ブラック・ローズ・ドラゴン》

 

 

「私のターン、ドロー!《魔導書院ラメイソン》の効果・・・・・は、墓地に《魔導書》がないから発動しないで、私は《魔導召喚士 テンペル》を召喚!」

 

 

魔導召喚士 テンペル 星3 地 魔法使い族 攻1000/守1000

 

 

「次は魔法カード《グリモの魔導書》を発動して、デッキから《ヒュグロの魔導書》を手札に加えて、さらに私はリバースカード、《トーラの魔導書》をテンペルに対して発動するよ。これでテンペルは魔法カードの効果を受けないよ!」

「でも、狙いはそれじゃありませんよね?」

「うん!私は《魔導召喚士 テンペル》の効果を発動!このカードをリリースして、デッキからレベル9、光属性の《魔導天士 トールモンド》を特殊召喚!」

 

 現れたモンスターは天使のような三対の翼を持ち、その周りには槍、杖、弓、剣が浮遊している。神々しさを感じさせるモンスターだ。

 

 

魔導天士 トールモンド 星9 光 魔法使い族 攻2900/守2400

 

 

「最後の最後ですごいのが来たな・・・!!」

「トールモンドの効果発動!このカードが魔法使い族の効果か《魔導書》の効果で特殊召喚できた時、墓地の《魔導書》二枚を手札に加えられるから、私は《グリモの魔導書》と《トーラの魔導書》を手札に加えるよ!」

「なるほど。さっき二枚の《魔導書》を使ったのは再利用するためですか」

「それにね、手札の《魔導書》四種類を見せたら、このカード以外のフィールドのカードを全部破壊できるんだよ」

「なっ!?」

(今春さんの手札は四枚。そしてその内トールモンドの効果で二枚、《グリモの魔導書》の効果で一枚。合計三種類の《魔導書》が握られている。最後の一枚が別の《魔導書》だったら、僕の敗けだ)

 

 

「あ、ダメだ。四種類無いや」

 

 

 この春の一言には二人共ズッコケた。

 

「でも私は《ヒュグロの魔導書》を発動してトールモンドの攻撃力を1000ポイントもアップさせちゃうもんね」

 

 

魔導天士 トールモンド 攻2900→3900

 

 

「バトルだよ!《魔導天士 トールモンド》で《マスター・ヒュペリオン》を攻撃!ジ・エンド・オブ・マジック!!」

 

 トールモンドは浮遊する四つの武器を(おそらく)念力で操作して《マスター・ヒュペリオン》に放った。

 

「これで終わりだよ!!」

 

 春の勝利宣言(典型的負けフラグ)。

 

 

「ええ。終わりですね。――――僕の勝利で!!!」

 

 

「え?」

「僕は手札の《オネスト》を墓地に送って効果を発動します!《マスター・ヒュペリオン》の攻撃力をトールモンドの攻撃力分アップさせます!!」

 

 

マスター・ヒュペリオン 攻2700→6600

 

 

「迎え撃て、《マスター・ヒュペリオン》!!プロミネンス・ブラスト・メテオ!!!」

 

 《マスター・ヒュペリオン》は普段の戦闘で撃つより数倍大きな火球を作り出した。それは放たれた武器を溶かし、トールモンドを焼き尽くした。

 だがそれと同時にフユの右手には『W』のマークが浮かび上がる。

 

「なっ、マズイ!!」

 

 しかしもう手遅れだった。

 

 

春 LP2500→LP0

 

 

「キャアアッ!」

 

 春は衝撃で数メートル後方に吹っ飛ばされた。

 

「春さん!!」

 

 フユはすぐに春の元に駆け寄ったが、

 

「イタタ〜。また敗けちった」

 

 当の本人はほぼ無傷と言ってよかった。それに関してはフユはホッと胸を撫で下ろした。

 

「いいえ。あのデュエルはどっちが勝ってもおかしくなかったですよ。っていうか、あの時《ブラック・ローズ・ドラゴン》を攻撃されてたら僕の敗けでしたし。それよりも良かったですよ、大事なくて。でも、何でマークが出ていたのに、ダメージがリアル化しなかったのかな?」

「それについては俺から説明しよう。もっとも、俺自身の経験から推測した話でしかないが」

 

 秋人が歩み寄ってきた。

 

「秋人先輩・・・」

「ちょうど、残り二人も来たみたいだしな」

「二人?」

「そいつはオレも聞かせてもらおうか。あの時は聞きそびれたからな」

「皆、遅れてすまない」

 

 そう言って生徒会室に入ってきたのは零士と校長だ。

 

「零士。校長先生も。どうしてここに?」

「俺が呼んだんだ。零士には、校長を連れてくるように言っていてね。それにしても遅かったじゃないですか」

「パソコンでデータの保存の仕方が分からなかったそうだ」

 

 アハハ、と校長は申し訳なさそうに笑う。

 

「ヤレヤレだな。とにかく、話を元に戻そう。まず白雪姫君の疑問から解消していこう。君はこう思っているだろう。何故自分や桜木さんにマークが出ていたのに、互いにあの程度のダメージで済んだのか、と」

「ええ、まあ」

「このマークはね、何回か出しているとその内色々と調整できるようになるんだよ」

「そうなんですか?」

 

 秋人は無言で頷いた。そしてフユが次に視線を送ったのは春。

 

「うん。なんかね、ものすごい頑張ろーって思ったら、普通に出るよ」

「普通に!?」

「試しにマーク出ろって念じてみたらどうだい?」

 

 秋人の提案をフユは受け入れた。

 

「・・・・・・」

 

 そして春の言ったことを参考に気合やら覚悟やらみたいなのを込めると、本当に出来た。それだけではない。電気を点けたり消したりするように簡単にON/OFFができるようになっていた。

 

「うわっ!ホントだ!」

「なかなか飲み込みが早いじゃないか」

「だがそもそもそのマークは何なんだ?どういう意味がある?」

 

 今度は零士が問い詰める。

 

「そうだな。このアルファベット、これはおそらく季節を表している、と俺は考えている」

「え?でも、これを持ってる人がアルファベットの数だけいるってことはないんですか?」

 

 これを言ったのは春。

 

「そうか。桜木さんには言ってなかったが、俺はもう一人『S』のマークを持っている人間に昔会ったことがあるんだ。色は違うがね。それに、季節と考えたほうがしっくりくる事柄も多い。例えば桜木さんだったら、下の名前が春だからspring(春)。白雪姫君の場合はフユ=冬=winterといった具合でね」

 

「じゃあ、先輩のは秋だからfallで『F』ですね」

「いや。俺のマークは『A』だ。秋には別の言い方でautumn、というのがあってね。それなんじゃないかと思っている。―――それと桜木さん」

 

 秋人の顔から少し元気が消えた。

 

「俺はもう就職しているようなもんだから別に構わないが、高三の受験生相手にfall(落ちる)は言わない方がいいよ」

 

 いるかどうかは怪しいけど、これを見ている受験生の方々申し訳ございません。

 

「そしてこのマーク最後の謎。これは何なのか?―――青臭い話、俺は今までモンスターと信頼関係で結ばれた者にだけ、このマークが浮かび上がると思っていた。それもとびきり強い絆でな。そしてこのマークがモンスターとの対話を可能にしたり、ダメージをリアル化させたりさせなかったりしていると考えていた」

「ということは、今は異なる見解ということですね」

 

 無言で頷く秋人。

 

「デュエルフェスタやさっきのデュエルを見て考えが変わったよ。対話やダメージは、このマークが起こしてるんじゃない。カードとの絶対的な絆が起こしているんだ。だからこそ、零士にもモンスターの声が聞こえるし、ダメージまで実体化させられる」

「でも私だってカードを大切にしてますよ!」

 

 反論を唱えたのは春。

 

「お洋服着せたりとか、添い寝したりとか」

「それは、大事にする方向性が間違っているんじゃないだろうか?」

 

 秋人がやんわりとツッこむ一方、

 

(添い寝かぁ、羨ましいな・・・)

 

なんて思っているのは、誰だか分かりますよね?

 

「俺達三人は、実際のところ、『他の人よりカードを信じていると断言できますか?』なんて聞かれたら、言葉を濁すだろうが、コイツは、零士だけは違う。コイツのカードは、ただのカードじゃないからな」

「それ以上は言うな」

 

 零士にとって他人に自分の過去をどうこう言われるのは気に入らないようだ。

 

「悪かった。このことから、俺達のマークは一種の補助装置みたいなものだろう。何故名前の中に季節が入っている者にそれと同じ英語の頭文字が浮かび上がるのかは分からんがね」

 

 秋人のその一言でひとまず『マークの件』については決着がついた。

 

「それで?それだけを説明するためにわざわざオレ達を呼びつけたわけじゃないだろう?」

「その通りだ。今回のメインはまた別な話だ。―――三人とも、宵星先生に取り付いていたヴェルズが最後に言ったことを覚えているか?」

 

 

『いずれ貴様らデュエリストは奴らに滅ぼされるのだ・・・・・・!!』

 

 

「とか言ってましたね」

「そう。君達も引っかかっていたと思う。俺もその一人だ。それで俺のモンスター達にあの手この手で問い詰めたら、全部喋ってくれたよ」

 

 秋人が下卑た笑みを浮かべた。

 

「ついさっきまでモンスターとの絆云々語ってたのは誰ですか?」

 

 フユが呆れ顔でつっこんだ。

 

「という訳で、お前の口から説明よろしくヘラクレイノス」

 

 すると秋人はおもむろに《剣闘獣ヘラクレイノス》のカードをプレイした。

 

「ヘイ・・・・・・」

 

 召喚されたヘラクレイノスはかつてデュエルで見せていた勇姿はどこへ行ったのか。がっくりとうなだれて元気がなかった。

 

(本当に何をされたんだろ?)

「それじゃ、ウチのマスターに言った事をアンタらにも伝えるぜ。―――今俺らの住んでいる世界、いわゆる『精霊世界』は、一部のモンスターが反乱を起こして完全にそいつらに制圧されちまったんだよ。噂じゃ、今度はアンタらの住む世界のデュエリストを滅ぼすって話だ」

「「そんな!?」」

 

 フユと春の声が被った。フユは自分のモンスターの中で最も話が通じそうな者に問うた。

 

(カオス・ソルジャー、今の話は、本当なの?)

(全て、事実です)

 

 普段以上に神妙な面持ちだった。

 

(何で教えてくれなかったの?)

(我々の世界の問題を持ち込むべきではないと判断致しました)

 

「それと、ソイツらを率いてるのは人間だ。それも普通の人間じゃねえ。ソイツは炎を自在に操り、右手に青い『S』字のマークが入ってんだ」

「何?」

 

 これに反応したのは零士だ。

 

「そう。そんな人間はあの時俺が会った奴以外ありえない。この話は、お前の耳にだけは入れておきたいと思っていた。たとえお前が復讐に走るとしてもな」

「行くぞ、精霊世界に」

 

 零士の目には決意がはっきりと現れていた。

 

「零士は決まりだな。―――君達二人はどうする?」

 

 秋人がその二人。フユと春を見た。

 

「「行きます!」」

 

 この二人も決意は固いようだ。

 

「あっちの友達が困ってるんだもん。私は助けたいよ」

 

 彼女にとって自分が使役するモンスターも友達のカテゴリーに入るらしい。

 

(主・・・)

(御恩と奉公みたいなものさ。いつも君達に頑張ってもらっているんだ。たまには僕だって恩を返すよ。ここで食い止めなきゃ、僕達にも危害が及ぶみたいだしね)

 

 するとフユはデュエルディスクに《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》をプレイした。そうすればもちろん全員の目にも彼の姿が見えるようになる。

 

「それに君はさっき言ったよね?君達の世界の問題をこっちの世界に持ち込むべきじゃないって。僕達が君達の世界に干渉することができないからとは言っていない。つまり僕達にも君達の世界に干渉することはできるということだ。例えば・・・、君達の世界、『精霊世界』に行くことができる、とか」

 

 フユが探るようにカオス・ソルジャーを見つめた。

 

「・・・・・・皆様、何を言っても、もう止めることはできないのでしょう。―――我が主の仰る通り、精霊世界に行くことはできます。それも、このすぐ近くから」

 

 それを聞いて零士以外の四人は少し驚いた。カオス・ソルジャーは話を続ける。

 

「あちらに行けば、皆様にもどんな危険が待っているか分かりません。ですが、事こうなってしまった以上、我々の世界でも味方になりそうな者を募り、命に代えてでもお守りしましょう」

「フッ、決まりだな」

 

「行こう、皆。精霊世界へ」

 

「おー!―――あ」

 

 春が何かに気付く。

 

「ねぇねぇ、なんで校長先生は呼ばれたんですか?」

「うぅ・・・、傷つくから言わないで」

 

 グサリと刺さる一言だった。

 

「校長には以前からマークのことなんかを伝えていたんだよ。色々と世話にもなっているしね。それに、俺達がいなくなった時の先生や生徒への対応をしてもらおうと考えていたんだ」

「あ、やっぱり僕はハブられるんだ・・・」

「我慢してください。校長まで突然いなくなったらアカデミアが大騒ぎになりますから」

 

 校長もそれで納得した。

 

「それではお連れいたしましょう。二つの世界を繋ぐ地へ」

 

 

 

 カオス・ソルジャーに連れられてやって来た場所はあの廃校舎だった。以前フユと千鳥が行った時とは違いまだ昼間なので、何か出るような雰囲気はない。ちなみにこの時人目に触れられたら色々と面倒なので、カオス・ソルジャーもヘラクレイノスもデッキに戻されていた。カオス・ソルジャーがフユに指示を出していたのだ。五人は廃校舎の1階、廊下の突き当たりまで来ていた。

 

(主、そろそろ召喚してください)

(ん?ああ)

 

 再びフユはカオス・ソルジャーを召喚する。

 

「さて、早速精霊世界へレッツゴー!と、行きたいところだが、何故わざわざここまで来させたのかの説明をしてもらおうか」

 

 この疑問はこの場にいた者も、読者も同じだろう。

 

「では、説明させていただきます。主はセームベルと会った時のことを覚えていらっしゃいますか?」

「もちろん。彼女とはここで出会ったよね。ついでに《カードを狩る死神》まで出てきて。それにリアルダメージデュエルも初体験だったし」

「いや待って待って。僕達には何の話か分からないんだけど」

 

 会話の内容がフユとカオス・ソルジャーにしか分からないから、校長の反応は当然だろう。

 

「分からない人は第八話と第九話を見てくださいね!」

「どんな宣伝の仕方だ」

 

 零士が冷ややかにつっこんだ。

 

「・・・えー、話を戻しましょうか。疑問に思いませんでしたか?何故セームベルは精霊世界からここに来たのか?何故夜な夜な泣いては怪奇現象にまでなっていたのに、ここから出ようとは思わなかったのか?」

「そう言えば・・・!!」

「しかし実際は出なかったのではありません。出られなかったのです」

「というと?」

「・・・皆さんは、『龍穴』というものをご存知ですか?」

「あー、漫画やゲームなんかで時々耳にする言葉だね。確か・・・、大地の力が集まる場所とか、そんなのじゃなかったかな?」

 

 フユが代表して答えた。

 

「その通りです。これは膨大なエネルギーを持っており、こちらの世界はもちろん、我々のいる精霊世界にも存在します。そして偶然にも、主達の世界と精霊世界の地図があったとしたら、ここは二つの世界の龍穴が重なる位置にあり、互いに干渉しやすい場所と言えます」

「ということはあの時セームベルがここから出られなかったのは・・・」

「はい。ここから離れるということは干渉し合う場所から離れるということ。つまり彼女の場合はこちらでの存在が維持できなくなるのです」

 

 八話を見て『別に廃校舎から出たらよかったんじゃね?』とか思っていた読者の方々、これで納得していただけたでしょうか?

 

「それで?どうやってお前達の世界に行くというんだ?」

「零士様の言うこともご尤も。私の能力なら、この場に意図的に二つの世界を繋ぐ『門』を作れます。皆様少し下がっていてください」

 

 そう言うとカオス・ソルジャーは剣を抜いた。

 

「はあああああぁぁぁああっ!!!」

 

 気合のこもった声と共に、剣を振り下ろした。空中には剣による斬った跡ができていた。すると切れ目が裂け、人一人が通れる程度の穴が空いた。中を覗き込むと宇宙のように真っ暗になっている。

 

「この門は時間が経てば消滅しますが、皆さんが通る分には問題ありません」

 

 四人ともジッと門を見つめている。

 

 

「この向こうに、優奈を殺した人間がいる・・・」

 

 

「皆、待っててね!今から助けに行くよ!」

 

 

「三人とも、覚悟はいいか?」

 

 

そう言う秋人はどこから持ってきたのかスケートボードを小脇に抱え、ゴーグルをかけている。

 

「何でそんな装備付けてるんですか!?」

 

 これはフユのツッコミ。そしてため息を一つついて気持ちを切り替えた。

 

 

「行こう。大切な仲間を、そして僕達デュエリストの未来を護るために!」

 

 

 そしてフユが最初に門の中へと入り、次いで春、零士、最後に秋人が飛び込んでいった。

 

「皆、待ってるからね」

 

 残った校長は大切な四人の生徒の無事の帰還を信じるのだった。

 

 

 

 門の中を、四人はまるで飛んでいるかのように進んでいた。しばらくすると前方に光が見えてきた。あれが出口であり、精霊世界の入口であることは全員理解できた。

 光がより強くなり、その後四人の目に入ったのは、ただただ青空であった。足元を見ると、ずっと下に街らしきものがかろうじて見える。つまり彼らがいるのは空中なのだ。ということはつまり・・・・・・・・・。

 

 

「わああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」

 

 

 当然落下するわけだ。

 

 

「出たああああああああああああ!!!遊戯王恒例年末大落下あああああああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 慌てふためくフユを差し置いて、

 

「おおー!!」

 

春は楽しそうだし、

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

零士は相変わらず仏頂面で瞬き一つしていない(気を失ってるんじゃないよ!)。そして秋人は、

 

「イィィィィィィィヤッホォォウ!!!」

 

プロつながりのネタをしている。

 

「ヤバイって!!これは人が死ぬ高さだって!!イヤアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!!」

 

 サブタイの都合により、『精霊世界編(仮)前章』はもうちょっと続くよ!

 

 




 今回が年内最後の投稿になります。やっぱり遊戯王なら年末は大落下しないとね!
 次回からはファンタジーな世界をカオスな人間達が漫遊します。
 それでは皆様、良いお年を。
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