第五十一話 「今回の長編のタイトルが決まりました」
「ま、そーゆーわけだ」
前回の話を読んでない読者はケイトが何を言っているのかまるで意味がわからないだろうが、ほぼ回想なのですっ飛ばしてくれてもさほど支障はない。
で、前々回気を失った状態で登場した千鳥と英雄も意識を取り戻していた。
「ほら、こうして全員集合したわけなんだからよ。お前らもここらでデュエルは手打ちにして、さっさとこの世界に来た目的を果たそうぜ」
ケイトの言うことは確かに正論だ。最悪敵にこちらの手の内が知られることになる。しかし・・・
「悪いけど、だからと言ってこんな楽しいデュエルやめられるわけがないよ」
「フユの言うとおりだ。邪魔をするな」
火のついたこの二人を止めることはできない。
「まぁこっちも野暮なことはあんまり言いたかねぇし、素直に聞いてくれるとは思っちゃいなかったよ。―――だから、こういうのはどうだい?」
そう言うとケイトは二人のエースモンスター、《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》と《ガーディアン・エアトス》を指差した。
「お前らのモンスターで、オレのアーマード・ウィングを攻撃してこい」
「どういう意味だい?」
「一つ勝負といこうじゃねぇか。三つ巴のエース対決だ。お前らのモンスターが二体とも破壊されたらオレの勝ち。このデュエルは中止だ。でもオレのモンスターが破壊されたらお前らの勝ち。・・・って言いたいところだが、あいにくアーマード・ウィングは戦闘じゃ無敵だ。だから、攻撃したあとにお前らのモンスターが両方いたらお前らの勝ちでいいぜ。そん時は好きなだけデュエルしてろよ」
中断されていたが、それぞれのエースモンスターの攻撃力はこんな具合だ。
フユ カオス・ソルジャー ―開闢の使者― 攻3000
零士 ガーディアン・エアトス 攻4000(モンスター効果)
ケイト BF-アーマード・ウィング 攻2500
「現状では君のモンスターが最も攻撃力が低い。それでもそんな勝負をふっかけてくるとはね。面白い、乗ったよ」
「・・・・いいだろう。少しだけ相手をしてやる」
フユと零士の言葉でそれぞれのエースも再び斬りかかる構えを取った。
「決まりだな。かかってこいよ!!」
(フユの言うとおり、『今のままなら』ケイトに勝ち目はない。それを承知でケイトはこんな勝負を提案した。ということはケイトの手札にはカルートが握られているはず。それに気付かない二人じゃないと思うんだけど・・・)
果たして千鳥の予想は的中するのだろうか?
「行け、カオス・ソルジャー!開闢双破斬!」
「エアトスの攻撃。聖剣のソウル」
二つの斬撃がアーマード・ウィングに襲い来る。
「はっはぁッ!!お前ら、オレがカルートを握ってるのは分かってただろうが、これは読めたかぁ!?オレは三枚のカルートを墓地へ送って、アーマード・ウィングの攻撃力を4200アップ!!」
BF-アーマード・ウィング 攻2500→6700
「迎え撃て!!ブラック・ハリケーン!」
三体のモンスターが激突する。直後立ち込めた土煙に五人は顔を覆った。
「わっ」「ちっ」「うおっ」「きゃっ」「・・・俺もう特に被らない台詞がない!」
最後が誰なのか大体予想はつきますよね?
それはともかく、である。徐々に視界が晴れてきた。最初に見えてきたモンスターは、アーマード・ウィング。
「ま、当然だよな」
しかし彼ら五人以外にも人影が。
「マジかよ!?」
その正体は―――――――――――――――――――――――、カオス・ソルジャーだ。
「残念だったねケイト。カオス・ソルジャーの攻撃力は9700だ」
「なるほど。《オネスト》か」
確かにさっき持っていたはずのフユの残り一枚の手札がない。
「そう。君がカルートを使うことは読めていた。元々はエアトスへの反撃に使うつもりだったんだけどね。―――さて、僕のモンスターは健在だからこの勝負は僕の勝ち、と言いたいところだけど、零士のエアトスは破壊されたし面白い駆け引きができたから、このデュエルは中止でいいよ。零士もそれでいいかな?」
「ああ」
零士がそっけなく答えたところで、秋人と春もスタジアムの内部に入ってきた。
「まさか君達までこの世界に来るとはな」
そう言う秋人の顔はいつになく真剣だ。
「なんとか、君達だけでもすぐに元の世界に返せないものか・・・」
「ワリィけど、そのつもりはないぜ」
ケイトが真っ先に口火を切った。
「その通りだ!この不屈野英雄が来たからには、大船に乗ったつもりでいてくれ!!」
「でも、僕も先輩の意見に賛成だよ」
こういう場合、『泥船の間違いだろ?』みたいな反応があってもいいが、それをしないのが彼らだ。
「君達を危険に巻き込むわけには・・・」
「フユ」
フユの説得を止める者がいた。千鳥だ。
「どうして私がデッキを強化してたか、分かる?」
「千鳥・・・?」
「あの時の・・・、デュエルフェスタの決勝みたいになりたくなかったから。アンタ達の足でまといになりたくなかったの・・・!!だって」
「千鳥。・・・もう何も言わなくていいよ」
フユは千鳥の両肩に手を置いた。
「僕もさっきは帰ったほうがいいって言ったけど、正直、君が来てくれて嬉しかったんだ」
「フユ・・・」
フユの予想外の言葉に千鳥は顔を赤くしている。
「おうおう。見せつけてくれるねぇ」
ケイトが茶化す。が、この二人は気にも留めない。
「僕には、君が必要だ」
「そ、そんな大げさな」
「大げさなんかじゃないよ。だって・・・・・・・、君がいないと僕がツッコミ役なるところだったからね!」
「・・・・・・・・・は?」
千鳥の反応など気にせずフユはほざきやがる。
「最近千鳥の出番がなかったし、皆が好き勝手にボケまくるから僕がツッこむしかなかったんだよね。それにやっぱり、ツッコミよりボケの方がおいしいし」
千鳥は顔を伏せて拳を握り締めた。
「ああ、そう。だったら、久しぶりに私がアンタにつっこんであげるわよ・・・!!」
「んなんでやねんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!!!」
ツッコミという名の○竜拳によって、フユはギャグマンガのごとく空の彼方へ飛んでいった。
「ま、大体予想は付いてたけどな」
「奴は自分の恋愛以外興味がないからな」
「へぇー、白雪姫君好きな人いるんだ」
(相手がこれじゃ、白雪姫君も大変だな・・・・・・)
「っつーかさ」
ケイトは先に来ていた零士、秋人、春を見た。(フユはまだ落ちてこない)
「お前らなんつー格好してんだよ」
今まで特に触れられなかったが、一人はコロニーから送り込まれた破壊工作員、一人は○D’sのMCみたいなコスプレ。そしてもう一人は鶏(?)の着ぐるみを着ていて、え?ここは仮装パーティーの会場ですか?みたいなことになっている。そんな話をしていると、やっとフユも落下してきて、ケイトがそれをキャッチ。
「これはアレだよ、変装。こっちの世界じゃ俺達はあまりにも目立つからな」
「言われてみれば・・・」
後から来た三人もスタジアムの観客席をぐるりと見渡す。
「モンスターばっかだな」
それに観客のモンスター達はなんだか殺気立っている。
「な、何だ・・・?今にもダイレクトアタックを受けそうな雰囲気なんだが・・・・・」
ビビる英雄。
「そりゃそうだよ。だって皆楽しみにしてたデュエルが中止させられたんだもん」
さも当然のように春が説明した。
「ていうかなんで春さんそんなこと知ってるんですか?」
「さっき近くにいた観客のモンスターに教えてもらったんだ♪」
「誰にでも話しかけられるところは良いところ、と言った方がいいのかな?」
秋人も呆れている。
「だが、ここでイザコザに巻き込まれることはないだろう」
「何故だ?」
「運良くこのスタジアムの管理・運営を行っていたのが剣闘獣達だったみたいでな。さっき脅・・・、話し合ったんだ。このままだと混乱や暴動が起こる可能性があるから上手く沈めてくれってな」
((((この人はどうしてマーク出たんだ・・・?))))
後から来た三人+フユはそんなことを考えながらスタジアムをあとにした。
スタジアムを出た七人は外で待機していたカオス・ソルジャー、セームベルと合流すると、街中を歩いていた。ちなみに最初の四人は既に制服に戻っている。これは長編の最後まであの格好だと全然締まらないから、と考えていただきたい。
そしてカオス・ソルジャーのガイドで街中を歩いている時だった。
「あ!セームベル!」
前方から一人の少女が駆け寄ってきた。お団子頭で先に刺付き鉄球の乗った両手杖を持っている。
「サイちゃん・・・?サイちゃん!久しぶりー!!」
セームベルも駆け寄り、互いに抱き合っている。
「お友達?」
千鳥がかがんで聞いた。
「うん!お友達の《サイ・ガール》ちゃんだよ!」
「はじめまして。《サイ・ガール》です」
カードイラストだと少しムスっとしている印象があるが、会ってみれば普通にいい子だった。
「あぁ、幼女が二人・・・」
こんな犯罪スレスレのことを言うのはどこぞのロリコン主人公しかいない。
「それよりセームベル、この人達人間でしょ?どうしてこの精霊世界にいるの?」
「皆世界を救・・・」
「この方たちには日頃の感謝の意を込めて精霊世界の観光をしていただいているんですよ」
カオス・ソルジャーがセームベルの口を塞いで説明した。世界を救うためと言って騒ぎになるのを避けるためだ。
「そうなんだ」
《サイ・ガール》は特に疑う様子もない。
「サイちゃんは何してたの?」
「皆のところに遊びに行く途中だったの」
「皆って?」
この質問は春。
「ピケルにクランに(カード)エクスクルーダー、それと黒薔薇(の魔女)。皆とっても仲良しで、時々六人でお泊りしたりしてるんだよ」
「ねぇ、今度その中に僕も入れてくれないかな?」
「ねぇ、カオス・ソルジャー、この世界にも警察とかあるの?」
一人変な意味で盛り上がる主人公と人一倍冷ややかな反応を示す千鳥。
「とにかく、ここで時間を潰すわけにはいかないからな。前田さん、よろしく」
「へいへい」
ケイトはフユの襟首を掴んで引きずっていく。
「バイバイ、サイちゃん!」
「うん、またねー」
「・・・なぁ、このくだりに意味はあったのか?」
英雄が零士に訊ねた。
「・・・・・さあな」
「それではこれより、この一帯を支配している者を倒していただきます」
移動しながらカオス・ソルジャーは言った。場所はマンションが立ち並ぶ住宅街になり、少し人通り、もといモンスター通りも減ってきた。
「でも支配って言う割には・・・」
そう言いながら千鳥はすれ違うモンスターに視線を送る。彼らはこの一行を物珍しそうに見ているが、騒ぎ立てたりする様子はないし、生きる活力を失っているようには見えない。そういう点では自分達の住んでいる街の人間と大差ない。
「皆イキイキしてるけど?」
「ええ、それは、その・・・、支配している者の方に問題があると言いますか・・・、何というか・・・・・」
急にカオス・ソルジャーの歯切れが悪くなった。
「そんなことはいい。だが一つだけ教えろ」
これを言ったのは零士。
「世界そのものを支配できるということはかなりの規模の組織のはずだ。一体どんな組織なんだ?」
零士の言う通り、全員敵の詳しい話は聞いていない。
「・・・・・・分かりました。お答えしましょう。――――今回の敵は言うなれば、連合軍のようなものなのです」
「連合軍?ってことはアレか?どこか複数の組織が手ェ組んでるのか?」
「その通りです。一つは、人間・精霊を問わず、デュエリストに『使えないカード』『弱いカード』の烙印を押されたモンスター達。そしてもう一つは禁止カード化された者達です」
「どっちも、デュエリストに恨みを持っていそうね・・・」
カオス・ソルジャーは無言で頷くと、説明を続けた。
「彼らは元々デモ隊のような小さな組織でした。ですが彼らの目的は同じと言ってもいい。それゆえに手を組み、恨みの根源でありこの世界で生きる上で必要なもの、デュエルで自らのカードを用いてこの世界の実権を握ったのです」
「なるほど。デュエルで滅多に使われないカードは、対策されにくいという利点もある」
「それに、相手が一方的に禁止カードを使ってくるのは、圧倒的に不利ですしね」
秋人、フユがそのように考える中、
「・・・・・・・・」
零士だけは黙っていた(基本口数が少ないけど)。
「どうしたの零士?」
気になったんでフユが話しかけた。
「別にお前に言ってどうにかなる問題ではない」
「あ、分かった。最近また禁止・制限・・・、というかリミットレギュレーションに名前変わったんだったね。それで、《異次元からの帰還》が禁止になったからそれを気にしてるんでしょ?」
「・・・まあな」
「だったらデッキ大幅に変えてみたら?四十二話の回想じゃあ、君昔は【上級天使】使ってたみたいだし」
「悪いがオレはデッキを変えるつもりはない。それに、そのデッキを使う人間は後々登場するらしい」
「あ、君もなんだ。僕も実は【ライトロード】使う人が正式に決まったみたいだから実はもう外してるんだよね」
「アンタらの発言メタすぎるわ!!」
「あ、あのー、話を続けてもよろしいでしょうか?」
「うん、いいよー」
春に促されたので、カオス・ソルジャーは咳払いを一つして話を戻した。
「彼らの勢いは凄まじく、特に零士様や秋人様の探していらっしゃる炎を操るデュエリストの存在が認識されてからは、まさに烈火の如き進撃でした。―――ああ、皆さん、そうこう言っている内に最初の目的地にたどり着きました」
そう言ってやって来たのは、4階建てのマンションの前である。もの凄い豪華というわけでもなく、今にも壊れそうなほどボロいというわけでもなく、ただただ普通のマンション。
「・・・・・普通だね」
「ああ、普通だな」
というつまらないコメントしかできないほどに普通のマンションだ。
「ここの2階の一番奥の部屋にこの一帯を統べるモンスターがいます。そのモンスターを、デュエルで倒していただきたい」
「そうは言っても、この辺は結構平和なんだから別に倒さなくてもいいんじゃない?」
千鳥の指摘も最もなところ。
「確かにそうなのですが、一応悪堕ちした場合のことも考えて早い段階で芽は摘んでおいたほうがよろしいかと」
などと会話しながら、一行は階段を上がり、一番端の部屋の前に来た。
「いよいよか。腕が鳴るぜ」
ニヤニヤ笑うケイトは昔のバトルもの漫画のように指をゴキゴキと鳴らしている。
「よっしゃ!殴り込みだ!」
「いえ。それではご近所に迷惑ですので」
ピンポーン
カオス・ソルジャーは玄関のチャイムを押した。
「いや普通に入るのかよ!」
世にも珍しいケイトのツッコミ。ま、それは置いといて、
「はーい」
部屋の中から声が聞こえてきた。男の声だ。
それに反応して春、カオス・ソルジャー、セームベル以外の六人は少し身構えた。一体どんなモンスターが出てくるのか。だんだん足音が近づいてきて、玄関が開いた。
「大家さん、家賃なら一昨日払ったじゃ・・・、って、アンタら・・・・・・、誰?」
整った顔立ちに青い鎧。その姿はさっきまでガイド&説明をしてくれていた誰かさんにそっくりだった。その誰かさんがまた説明を添えてくれた。
「紹介します。私の兄、《カオス・ソルジャー》(儀式モンスター)です」
以下、セリフは順にフユ、ケイト、英雄、秋人、千鳥だ。
(ええー)
(確かに旧式の儀式召喚はシンクロとかエクシーズよりメンドーだけどさ・・・)
(確かに《カオス・ソルジャー》は特に効果もないし、効果のない儀式モンスターとしてはマスクド・ヘルレイザーに劣るが・・・)
(確かに王様のカードの中では出番かなり少なかったけどさ・・・)
(だからってこんな残念そうな組織に加担するなよ!!)
当の《カオス・ソルジャー》は呑気というか、やる気が感じられない。
「あー。アンタらが俺ら倒すためにわざわざ精霊世界まで来た人間か。弟から話は聞いてるよ。まぁ立ち話もなんだから、入って入って」
フレンドリーというわけではないが、悪い奴には見えなかった。
部屋に入っても、普通に低い机があったりテレビがあったり普通の一人暮らしのマンションの一室といった感じだった。
「何ていうかこう・・・、世界征服狙う人の部屋じゃないな」
英雄が誰にともなく言った。
「え?いやこっちは侵略とか支配とかするきマンマンだよ?証拠にほら、こうやってシュミレーションしてたわけだし」
《カオス・ソルジャー》はテレビを指差した。近くにはPS3のコントローラーが落ちており、テレビ画面も何かのゲームのポーズ状態だった。
「ゴメンちょっと待ってて。デュエルの前にこれクリアしたいから。もうちょっとだから」
そう言って《カオス・ソルジャー》が再開したゲームは、『戦○無双』だった。
「いや遊んでるだけじゃねぇかああああああああああああああああああああ!!!!!」
当然千鳥もつっこまざるを得ない。
「ほんとくのいちの特殊技ってすごいよねー。無敵化するし」
「ボケがコアすぎるわ!!」
「・・・今、やっと分かったよ」
「え?何が?」
《カオス・ソルジャー》へのツッコミで息を切らしている千鳥をよそにフユが呟いた。
「これは、『精霊世界編』なんかじゃない。『こんな精霊世界は嫌だ編』だ」
「何よその○拳のボケのタイトルでありそうなの!!っていうか誰でもいいから早くデュエルしろおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!もうA4プリントにして13枚目なのよ!!女装がメインの四十四話でも7枚目でスタートしたのに、お前らはこんなほぼトークメインで一話丸々潰す気かああああ!!!?」
この千鳥の一括でとりあえず誰がデュエルするか話し合われた。
まず歩き疲れたという理由で春はパス。
前回デュエルしたという理由で双方不満があったけどケイトと英雄も除外。
そして残った四人だが、さっきデュエルを中断されたストレス発散とやっぱり最初は主人公からでしょという理由でフユがデュエルをすることになった。
「今度こそ見せてもらいましょうか。精霊世界のデュエルとやらを」
「ま、お手柔らかに頼むわ」
「「デュエル!!」」
フユ LP8000
カオス・ソルジャー LP8000
「僕のターン、ドロー!―――僕は《神秘の代行者 アース》を召喚!」
神秘の代行者アース 星2 光 天使族 チューナー 攻1000/守800
「アースのモンスター効果で《創造の代行者 ヴィーナス》をデッキから手札に加え、速攻魔法《フォトン・リード》で今手札に加えたヴィーナスを特殊召喚!」
創造の代行者ヴィーナス 星3 光 天使族 攻1600/守0
「白雪姫君。アース→リード→ヴィーナスのくだりはもう散々やった気がするんだが」
秋人の指摘通り、前のデュエルでも初手はこれだった。
「ふっ、甘いですよ先輩。僕の場合はここから様々なパターンで展開できるんですよ?僕はレベル4以下のモンスターの特殊召喚に成功した事で、手札の《TG ワーウルフ》を特殊召喚!」
TG ワーウルフ 星3 闇 獣戦士族 攻1200/守0
「さらにヴィーナスの効果発動!ライフを500払って、デッキの《神聖なる球体》を特殊召喚!」
フユ LP8000→LP7500
神聖なる球体 星2 光 天使族 攻500/守500
「僕はレベル3の《創造の代行者 ヴィーナス》、レベル2《神聖なる球体》、レベル3の《TG ワーウルフ》に、レベル2の《神秘の代行者 アース》をチューニング!―――シンクロ召喚!蹂躙せよ、《A・O・J ディサイシブ・アームズ》!」
今回は狭い部屋の中でのデュエルなので、程よい大きさに縮まっている。
A・O・J ディサイシブ・アームズ 星10 闇 機械族 攻3300/守3300
「いや、それと似た展開四十四話でもやってたから」
千鳥も反応が悪い。
「そんなこと言われても・・・・・。僕はこれでターンエンド!」
フユ LP7500 手札3
モンスター/《A・O・J ディサイシブ・アームズ》
「いきなり攻撃力3300のモンスターか。おー恐い恐い。俺のターン、ドロー。俺はモンスターとカードを一枚セットしてターンエンド」
カオス・ソルジャー LP8000 手札4
モンスター/リバース×1
魔法・罠/リバース×1
「僕のターン、ドロー!―――僕は《神聖なる球体》を召喚!」
「これは・・・、嫌がらせパターンその二ね」
「表現の仕方が酷いよ千鳥。僕は魔法カード《強制転移》を発動します!」
「うっわ、マジかよ?」
「あなたのフィールドのモンスターはそのセットモンスターのみ。だからそのモンスターのコントロールをいただきます。そして僕のフィールドからは攻撃表示の《神聖なる球体》のコントロールを譲ります」
これを嫌がらせと言わいでか。
(なるほど。セットモンスターは《儀式魔人プレコグスター》。儀式モンスターのサポートに特化したカード。これを入れているということは、最初から予想できてたけど相手のデッキは儀式主体)
「僕はあなたの場に光属性のモンスターがいることにより、ディサイシブ・アームズの第一の効果を発動!あなたの場のセットカードを一枚破壊します!」
ディサイシブ・アームズのビーム砲は《カオス・ソルジャー》の伏せカードを貫通した。
(特に効果も発動されなかったか)
「バトル!ディサイシブ・アームズで《神聖なる球体》を攻撃!ハイメガビーム砲!」
ほぼ浮遊しているだけの球体に決戦兵器の攻撃をどうすることもできはしない。
カオス・ソルジャー LP8000→LP5200
「おおおぉっ!!」
《カオス・ソルジャー》は衝撃で部屋の端まで吹き飛ばされた。
「どうやらその痛がり方、僕が今まで体感してきた精霊とのデュエルと大差ないみたいですね。僕はこれでターンエ・・・」
「おぉーっと待った」
「!?」
ここに来て《カオス・ソルジャー》が待ったをかけた。
「悪いがこのエンドフェイズ、カードを発動させてもらうぜ」
「馬鹿な!?フィールドに何もカードがない上に、このタイミングで発動するカードなんて・・・」
「それがあるんだわ。俺は墓地の《白銀のスナイパー》の効果発動!」
「し、しまった!!」
「ねぇ、《白銀のスナイパー》ってどんなカードなの?」
春が他の観戦勢に聞いた。で、これに答えたのが秋人。
「《白銀のスナイパー》は《アーティファクト》のように魔法カード扱いで魔法・罠ゾーンにセットできるモンスターだ。このカードは破壊されたターンのエンドフェイズに墓地から特殊召喚でき、その時フィールドのカードを一枚破壊できる。さっきのディサイシブ・アームズの効果で破壊されたのは間違いないだろう」
そんな会話が成されている間にその狙撃手が姿を見せた。雪山の猟師のような格好をしているが、何故か息を切らしている。
白銀のスナイパー 星4 地 戦士族 攻1500/守1300
「何やってるんだろうなぁ、俺は・・・」
そんなことを呟きながらスナイパーはディサイシブ・アームズに狙いを定めた。
「けどな、こいつをやらなきゃ、敵を取らなきゃ・・・、俺は前に進めねぇ。世界と向き合えねぇ・・・!!だからさ・・・・・・、狙い撃つぜええぇ!!!!!」
スナイパーは引き金を引いた。数秒後、ディサイシブ・アームズの各所から爆発が起こり、そして大爆発。最強の決戦兵器は木っ端微塵に砕け散った。しかしその衝撃でスナイパーの体も宙を舞う。
「よぉ、お前ら。満足か、こんな世界で・・・?」
言いながら千鳥達の方に手を伸ばした。その後手を銃の形に。
「俺は・・・、嫌だね」
気が付いたら《カオス・ソルジャー》は涙を流していた。
「○ックオン・・・、○トラトス・・・・・。うおぉあああああああああ!!!」
フユ、ケイト、英雄、春、秋人、カオス・ソルジャー(開闢の方)、セームベルももらい泣き。でも・・・
「下らない茶番はやめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
千鳥だけはマジギレである。
「そんなボケやる暇があるならデュエルを続けなさいよデュエルを!!っていうか今死んだ感じになってるけど普通にピンピンしてるし!!」
《カオス・ソルジャー》は無視し、涙を拭って続けた。
「グスッ、どうする?あんたも何か発動するか?」
フユも目が赤いまま首を横に振った。
「いいえ・・・。ターンエンドです・・・・・」
フユ LP7500 手札2
モンスター/リバース×1(《儀式魔人プレコグスター》)
「俺のターン、ドロー。―――俺は《マンジュ・ゴッド》を召喚」
召喚されたモンスターは体中が腕になっている上に体色がグレーなので、無茶苦茶気持ち悪い。しかしそのカード効果は儀式主体のデッキにはとても有効。
マンジュ・ゴッド 星4 光 天使族 攻1400/守1000
「《マンジュ・ゴッド》の効果発動!デッキから儀式魔法《カオスの儀式》を手札に加える」
「・・・来る!」
「俺は手札に加えた儀式魔法《カオスの儀式》を発動!手札の《儀式魔人リリーサー》《儀式魔人ディザーズ》《儀式魔人カースエンチャター》の三体、合計のレベル8!こいつらをリリースして、俺、降臨!」
カオス・ソルジャー 星8 地 戦士族 攻3000/守2500
はたから見たら《カオス・ソルジャー》が二人いるように見える。
「儀式魔人達の効果でバニラ同然の俺もマシな動きができるようになるぜ。俺がいる限りリリーサーの効果であんたの特殊召喚が、カースエンチャターの効果でシンクロモンスターの効果が封じられ、ディザーズの効果で俺は罠カードの効果を受けねえ」
事実上三つの効果を得たも同然だ。
「さっきのお返しはさせてもらうぜ。まずは《マンジュ・ゴッド》でセットモンスター《儀式魔人プレコグスター》を攻撃」
儀式魔人プレコグスター 星3 闇 悪魔族 攻400/守300
《マンジュ・ゴッド》の一万の拳がプレコグスターを直撃した。
「続けて《白銀のスナイパー》でダイレクトアタック」
「狙い撃つぜ!」
スナイパーの放った銃弾はフユの心臓部を撃ち抜いた。
「ウッ!」
フユ LP7500→LP6000
しかし痛むだけで本当に死んだりはしない。
「最後に俺でダイレクトアタック!カオス・ブレード!」
フユ LP6000→LP3000
「アアアッ!!」
「「「フユッ!」」」「「白雪姫君!」」「主!」「お兄ちゃん!」
皆それぞれにフユを心配している。こんなロリコン馬鹿を心配してくれるなんて、いい友達を持ったね!
「ターンエンドだ」
カオス・ソルジャー LP5200 手札0
モンスター/《カオス・ソルジャー》《白銀のスナイパー》《マンジュ・ゴッド》
「どうする?俺は諦めたほうがいいと思うけど?罠も使えないし、特殊召喚まで封じられてんだから」
「僕のターン・・・、ドロー!」
しかしフユはまだ諦めてはいない。
「おいおい。人の、っていうかこの場合はモンスターの話聞いてた?こんな無理ゲーどうやって攻略する気なんだよ?」
「ふっ、攻略できないカードもコンボも存在しません」
久々の決め台詞に観戦勢は期待する。
「へぇ、だったら見せ・・・」
「ハイ、《ブラック・ホール》!!」
「えええええええええええええっ!!!?」
《カオス・ソルジャー》には魔法への耐性はない。つまり《カオス・ソルジャー》は破壊され、ついでに他のモンスターも破壊され、フユは特殊召喚が可能になった。
(ロマンないわね)
(人のこと言えた義理じゃねえけどロマンねえな)
(ロマンがないな)
(ロマンないね)
(エンターティイメントがないな)
「フユ、そんなことをしていたら本家五作目の主人公に嫌われるぞ」
しかし皆の反応は冷ややかだった。
「えぇー。そんなこと言ったってしょうがないじゃないかぁ」
「○なりかずき風に言わなくていいわよ!!」
「皆ホント文句ばっかりだね。まぁ、もう慣れてるけど。僕は墓地の《神秘の代行者 アース》を除外します。―――天空に住まいし太陽神よ、矛を向ける者全てを灼き払え!!来い、《マスター・ヒュペリオン》!!!」
マスター・ヒュペリオン 星8 光 天使族 攻2700/守2100
で、このゲーム廚は登場して開口一番《カオス・ソルジャー》に言った。
「アンタさっきくのいち使ってたみたいだけど加藤清正のC5とかもなかなかいいと思うぜ?敵ポンポン消えるし」
「え、そうなの?今度やってみるわ」
「だからボケがコアすぎるって言ってるでしょうがぁ!!」
「そうだそうだ!お前らいい加減にしろ!」
ケイトも便乗してきた。
「最強は前田慶次一択だろうが!馬上攻撃舐めんな!!」
「いやアンタの元キャラ無双の方じゃないからね!○ASARAの方だからね!」
ツッコミではなくボケの便乗でした。
「彼らの漫才はほうっておいて、僕はさらに墓地のヴィーナスも除外!なんか略すのもメンドくさくなってきた!来い、《マスター・ヒュペリオン》!!」
「攻撃力2700のモンスターが二体!よぉし、決めろフユ!!」
「これで終わりです!!プロミネンス・ブラスト・ニレンダァ!!」
「アッ、ちょっ、まだゲームの話してる途中だったのにいいいいいいいいいいいい!!!!」
カオス・ソルジャー LP5200→LP0
はい、というわけで『精霊世界編』ならぬ『こんな精霊世界は嫌だ編』が始まります。名前はアレですけど一応シリアスな感じもありますから。まぁ大半はいつものユルユルグダグダですが。
それと次回は超久々の英雄回となります。