遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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第五十二話 「今回のルール改定とP召喚に驚いた人は多いはず」

 精霊世界で合流したチームACE+アルファ。その上最初の敵がまさかの(?)《カオス・ソルジャー》。やる気があるのかないのかよく分からないデュエルを制したのはフユだった。

 

 

 

「はーい、オメデトー。これでこの一帯、厳密にはこの街は俺らの支配から解放されたよー」

「なんだか、勝ったって感じではないね」

 

 フユの言う通り、この《カオス・ソルジャー》、別に悪役っぽい感じでもないし、○ンチノミーみたいに主人公の成長を促すようなタイプでもない。だからフユが勝ってもそこまで悔しがってはいないし、爽やかな終わり方とは言えない。極端な話、普通に友達とのデュエルが終わっただけみたいな感じなのだ。失いものはないが、得るものも少ない。

 

「ですが主、勝ちは勝ちです。それに、他の地域はここのように平穏というわけではございません」

「やっぱり、ここ以外にも倒さなきゃならない相手がいるんだね」

「はい。赴いていただく場は、敵の首領も含めてあと七箇所ございます」

「七箇所!?そんなの一日で全部倒せるの!?」

 

 千鳥が驚くのも当然といえば当然だ。そしてカオス・ソルジャーは質問に対して首を横に振った。

 

「いいえ。ですがご安心ください。この世界には、今日を入れて六日間までなら皆様の世界に安全にお帰りできます。おそらくここに来た時から2、3時間程経った頃の時刻に戻ることができると思います」

「もし六日を過ぎてしまったら?」

 

 この質問は秋人。

 

「最悪の場合、浦島太郎状態になります」

「だ、だが、仮に一日に一人倒したとしても間に合わないぞ」

 

 英雄の意見もまた然り。あまり気にはならなかったが、そろそろ日が傾き始めている。と、ここで春が一つ提案をした。

 

「だったら分かれて動けばいいんじゃない?」

「流石春さん!僕もそれが得策と考えてました!」

 

 流石フユ、自分の株価を上げようと必死なのは見え見えだ。しかし反対意見は特に出なかったので、春の言うとおりパーティーを三人と四人に分割することにした。(カオス・ソルジャーとセームベルはノーカン)

 

「で、どうやって決めるんだよ?」

「グッパ(グーとパー)で!」

 

 よくチームなんかを二分するときにやるアレだ。

 

「じゃ、いくよー!せーのっ」

 

「「「「「「じゃんけん、ぽん!」」」」」」「・・・・・・・・」

 

 作者がちょっとネットで調べたところ、全国で掛け声が異なるらしいので普通のじゃんけんの掛け声にしました。と、それはさて置き、全員の出した手はこんな感じ。

 

フユ パー

千鳥 グー

零士 パー

ケイト パー

英雄 パー

秋人 パー

春 パー

 

「・・・よし!決まりだね!」

「決まってないわよ!そんなあるあるネタ挟まなくていいから!!」

 

 いつもの夫婦漫才が終わったところで仕切り直し。

 

 

 

 ―――――で、決まった。不安要素しかないパーティーが。

 

グー フユ 千鳥 春  (チーム修羅場)

パー 零士 ケイト 英雄 秋人  (チームツッコミ不在)

 

「もう一回!もう一回チーム分け!」

 

 千鳥が挙手しながら言った。彼女にとってフユと同じなのは問題ないだろう。しかし同時に春がいるのは大いに問題ありなのだ。

 

「え?別にこのままでも構わないと思うが?」

「そうそう。ツッコミは現地で調達するからよぉ、お前らはお前らで楽しんでこいよ」

 

 しかし秋人とケイトが即却下した。それにものすごくニヤニヤしている。だがここで英雄が何かに気付いた。

 

「あ。そう言えば、お前達の方にはカオス・ソルジャーがガイドにつくからいいとして、俺達にはガイドはつかないのか?道に迷いそうなんだが・・・・・・」

「それでしたら問題ありません。もう一名が付き添っていただけるようなので。そろそろ到着するはずですが・・・」

 

 カオス・ソルジャーの言葉に反応したのは、零士。

 

「まさか、奴か?」

 

 と、ここで

 

ピンポーン

 

チャイムの音が聞こえてきた。誰かが来たようだ。ちなみにまだ《カオス・ソルジャー》の部屋からは出ていない。

 

「あー、ハイハイ」

 

 部屋の主である《カオス・ソルジャー》が玄関へ向かう。そして何か会話をするとまず《カオス・ソルジャー》が戻ってきた。

 

「おーい、あんたらに協力してくれるっていうネーチャンが来たぞ」

 

 すると数秒後、そのネーチャンが姿を見せた。

 

「はじめまして。マスターがいつもお世話になっています」

 

 カオス・ソルジャーみたく礼儀正しく挨拶したのは、鷲の頭部を模した被り物をかぶった民族衣装の女性。零士のエースモンスター兼アイドルモンスター。《ガーディアン・エアトス》だ。

 

「スタジアムで別行動になって以来だな。どうしていた?」

「申し訳ありません。最近BSでやっている○ーマ編で忙しく・・・」

「いやメタいメタい。しかもこっちだともう何ヶ月も前の話だし」

 

 主従の会話に千鳥がツッコミを入れる。しかしまぁ見た目しっかりしているのでどちらの案内役も信頼できるだろう。

 

「それじゃあチーム分けも案内役も決まったことだし、今後のことを話し合おう」

 

 秋人が切り出した。

 

「制圧する場所は七つ。一チーム三箇所の分担でいこう。大将首は最後に全員合流して総がかりで挑む。これでどうかな?」

 

 これも反対意見は無し。

 

「それなら、時間も限られているわけだし、早速動くとするか。―――失礼するよ」

 

 秋人が《カオス・ソルジャー》に軽く頭を下げた。

 

「敵の俺が言うのも変な話だが、気をつけろよ。他の奴らは俺みたく緩くはないぞ」

 

 

 

 一行はマンションの外に移動していた。

 

「ここからは別行動だね」

 

 口火を切ったのはフユ。

 

「お前ら、絶ッ対生き残れよ!」

 

 ケイトが別行動をとる三人に送った言葉だ。

 

「そっちこそ!・・・って言いたいけど、アンタ達はそう簡単にくたばらないわよね」

 

 これは千鳥。

 

「・・・カオス・ソルジャー」

 

 フユのエースモンスターに声をかけたのは零士。

 

「どうかなされましたか?」

「いざという時はこれを使え」

 

 そう言っていくつかの袋を手渡した。袋には『○トレージ』と書かれていた。

 

(いい人だ。この人めっちゃいい人だ)

 

 カオス・ソルジャーは内心感動していたそうだ。

 

 

「それじゃあ皆!四日後に、○ャボンディ諸島で!!」

 

 

「いやそれ○ンピースだろうがあああああああああああ!!!」

 

 と、普段のボケ&ツッコミが行われる中、

 

「では我々は・・・・・・・・・・、そちらは・・・・・・・・・・・ということでよろしいですね?」

「ええ」

 

カオス・ソルジャーとエアトスは密談をしていた。おそらくどのチームがどこに行くのかという相談だろう。そして先に動いたのはエアトス。

 

「それではマスター、皆様。参りましょう。我々の最初の目的地は遠いですから」

「分かった」

 

 エアトス、零士、秋人、ケイト、英雄のツッコミ不在パーティーが歩き出す。

 

「主、我々も行きましょう。明日の我々の行き先はそこまで遠くはありませんので、近くのホテルを予約しております」

「やったー。皆でお泊まりだー♪」

 

 カオス・ソルジャー、フユ、千鳥、春、セームベルの修羅場パーティーも違う方向へ歩き始めた。ちなみにカオス・ソルジャーの後のセリフは春。

 

「おい。向こうはホテルで一泊だってよ。オレらはどうなんだよ?」

 

 カオス・ソルジャー達の会話を盗み聞きしていたケイトがこっそりエアトスに聞いた。

 

「私達は野宿です。近くに宿もありませんので」

「ま、別にいいけどよ」

「ですが・・・」

 

 エアトスは言葉を続け、零士にそこそこ大きめのバッグを渡した。

 

「何だこれは?」

「テント(一人用)です。ご就寝の際にお使いください」

 

 これに秋人も続く。

 

「零士、これも使え。寝袋と虫除けスプレーだ」

「・・・・・自分達で使え」

 

 これには零士も少しうんざりしたように返した。表情は普段とそんなに変わらなかったけど。

 

((・・・過保護だなぁ))

 

 三人のやりとりを見て、ケイトと英雄はしみじみとそう思った。

 

 

 

 翌朝、ツッコミ不在チーム。現在山道を歩いている真っ最中である。ちなみに前日別行動になった後コンビニに立ち寄ったので食事には困らなかったが、やはり山の中での野宿は応えたようで、疲労の色が残っている。・・・・・英雄だけ。性格上弱音は吐かないが、四人の二、三歩程後ろを行く。

 

「なぁエアトスよ。目的地はまだかよ?オレもう疲れちまったんだけど」

 

 なんて言うケイトは全然疲れているようには見えない。

 

「もう少しです」

 

 エアトスの言うとおり、しばらく行くと視界が開けてきた。

 そこには、小高い山に囲まれた畑が一面に広がっていた。天気がいいこともあって、とてものどかだ。

 

「今回はこの、『岩石畑』で闘っていただきます」

「じゃあ栽培してるのは全部岩石なのか?」

 

 質問したのは秋人。

 

「いえ。働いているのが主に岩石族なのです」

 

 確かにせっせと働いているのはゴゴゴシリーズ等の岩石族のモンスター達だ。

 

「あ、皆さん。お待ちしておりましただ」

 

 などと田舎者感丸出しで挨拶してきたのはゴゴゴシリーズではない。しかしそれは全員どっかのロリコンのデュエルで散々見たことがあるモンスター。

 

「どうも、フユの旦那がお世話になってます。《ガチガチガンテツ》言います」

「んで、今日はお前とデュエルすればいいのかよ?」

 

 ケイトは早速臨戦態勢だ。

 

「いえいえ。旦那のご学友と闘うなんて滅相もごぜェません。倒して欲しい方はもう少しで来ると思いますので、皆さんよろしければ朝食でもどうですだ?」

 

 そう言って連れて行かれたのは木造の山小屋。しかし小屋と言ってもやはり使うモンスターがモンスターなので結構な大きさだ。

 

「たいしたモンは出せませんけんど」

 

 出されたのはイチゴジャムの乗った食パンと水だ。

 

「ああ、ありがとうな。それじゃ早速、いただきまーす!」

 

 真っ先に食べたのは英雄。

 

「おお、上手いな!パンとジャムはこっちの世界で売ってるものか?」

「パンは買ったものですけんど、ジャムは自家製ですだ。《ナチュル・ストロベリー》から作った」

「そっかー。このジャム《ナチュル・ストロベリー》から作ったのかー。・・・・・・へ?」

 

 言っていたケイトの顔が次第に青ざめた。秋人、英雄、エアトスもだ。

 

「今・・・・、何て?」

「このイチゴジャムは《ナチュル・ストロベリー》から作りましただ。作り方は普通ですだよ?まずはヘタにあたる胴体をちぎって・・・」

 

 四人はイメージしてしまった。あのキュートな笑顔がどこぞの進撃してくる巨人に捕食される人の顔みたいになるのを。

 

「・・・そろそろ本題に入ってもらおうか」

 

 零士は某特務機関の司令のように机に肘を乗せ、手を組みながら言った。

 

「え?だども・・・」

「本題に入ってもらおうか」

「・・・はい」

 

 零士に威圧されたというのもあるだろうが、ガンテツは力無く語りだした。

 

「元々この畑で採れた野菜や果物は、街の食堂や工場に出荷するために栽培していましただ。配達料や食料品として出た利益の一部でこの畑は成り立っていますた。・・・・・だども、この農園の支配を任された方々はそれとは別に自分達だけの食料の栽培も行うよう命じましただ。あの方達の一度の食料は膨大で、どう頑張っても追いつかねぇんです。それに黙ってはいますが、あの方達は夜な夜な農園にやってきては野菜も果物も食い荒らしているんですだ。このままじゃあ、オラ達の農園は潰れちまいます」

 

 英雄はない頭で少し考えた。

 

(毎晩農作物を食い荒らすということは・・・、獣族とかか?グリーン・バブーンとか。だがそれよりも・・・・・)

 

「許せねえぜ、そんな奴ら!!皆!ここは俺に行かせてくれ!!」

 

 英雄は立ち上がり握り拳を固める。

 

「そこまでの熱意があるなら、俺は止ない」

「一発ぶちかましてこいよ!」

 

 秋人、ケイトは即答。

 

「精々頑張るんだな」

「申し訳ありません。マスター素直じゃありませんので」

「余計なことは言わなくていい」

 

 零士も零士なりに応援してくれている。英雄は四人に対して力強く頷くと、ガンテツの方に向き直った。

 

「で、相手は誰だ?グリーン・バブーンか!?イエロー・バブーンか!?」

「い、いえ。どっちも違いますだ。ここを任されてるのは・・・」

 

―――――ズズーン。―――――ズズーン。

 

 ガンテツが説明しようとした時、突如として地響きが起きた。

 

「き、来ましただ!!」

「早速お出ましか!!よぉーし!!」

 

 勢いよく小屋から飛び出す英雄。残る零士、ケイト、秋人、エアトス、ガンテツも続く。

 

「やい、お前ら!この俺、不屈野英雄が来たからにはもう悪事、は・・・?」

 

 最初に英雄の視界に入ったのは、中央に黒い両足。右に赤い尻尾。左に黄色い翼。とりあえず三体のモンスターがいるのは分かった。そして相手の図体がデカイというのも分かった。となると次にやる行為は、見上げる、だ。英雄ももちろんそうする。で、やっと今どんなモンスターが眼前にいるのかを理解した。

 

 

「何だこいつ人間か?」

 

 

「大方昨日から噂になってる俺達に楯突こうって連中だろ?」

 

 

「どっちにしたって俺らの邪魔をするんなら食っちまうぞコラァ!!」

 

 

 《神炎皇ウリア》、《降雷皇ハモン》、そして《幻魔皇ラビエル》だった。

 

(さ、三幻魔だ――――――――――――――――――――――――!!!!!)

 

 英雄は内心シャウトしていた。

 

(ま、待て待て落ち着け。そして勇気を出せ不屈野英雄!)

「さ、さっきそこの《ガチガチガンテツ》に聞いたぞ!!ここの連中をお前らの食料確保のために必要以上に働かせてるってな!!」

 

 これに対して反論したのはラビエル。

 

「ああ?こっちだってなぁ、生きていくには必要な事なんだよ!!この巨体でお前らと同じ量の飯毎日食ってみろ!!骨と皮だけになるわ!!!」

 

(意外と正論で返された―――――!!)

 

「それにこれでもラビエルの分だけしか要求してないんだぜ?」

「そうそう。こいつ意外と野菜とか果物の方が好きだから」

 

(しかもラビエルがベジタリアンだった―――――!!)

 

「だがお前ら、毎晩ここにやってきては畑のものを食い荒らしていくそうじゃないか!!」

「え?俺そんなことしてるっけ?」

 

 ラビエルが両隣の相方に聞いた。

 

「・・・さぁ?」

「あ、アレだよお前。お前昔っから寝相悪いから、ここで知らない間に夜食とってたんじゃね?」

 

 ハモンの言葉でラビエルはポンと手を打った。

 

「ああ、なるほど。どうりで朝起きたら葉っぱとか土が口元に付いてるわけだ」

「おいおい、しっかりしてくれよぉ。お前一応俺らん中じゃリーダーってことになってんだから」

「(。・ ω<)ゞテヘペロ」

「つーわけで、ゴメンネなんか。いつの間にかウチのリーダーが粗相しでかしてたみたいで」

 

(挙句ちょっとフレンドリーだ―――――!!)

 

 彼らのやり取りを見ていてケイトが口を開いた。

 

「完全に言いくるめられてんな」

「彼は口喧嘩が得意なタイプには見えないしな」

 

 秋人も同意する。

 

「それに、さすが『こんな精霊世界は嫌だ編』と言うだけある」

 

 零士も冷静にそう返す。

 

「だが、お前達のやっていることを見過ごすわけにはいかない!!ここの解放をかけて、俺とデュエルしろ!!」

 

 この英雄の一言で、さっきまで和やかだった三幻魔の雰囲気が急に張り詰めた。

 

「ほう。お前、本気で言ってるのか?」

 

 ラビエルの口元がニタリと歪む。

 

「当然だ!」

「だったらこっちも条件を出させてもらおうか。でなきゃフェアじゃないよなぁ?」

「そうだな。ここの奴らのことを案じているなら、お前もここで働け。・・・・・一生な」

 

 一生、つまり二度と元の世界には帰ることができないということだ。もっとも、このデュエルで命を落としてもアウトだが。

 

「・・・いいだろう」

 

 しかし英雄はその条件を飲んだ。

 

「面白い!!だったら俺達も本気でいかせてもらう!!!」

 

 三体のモンスターをドス黒い雲が包み込んだ。

 

 

「おおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!!!!」

 

 

 中から咆哮が聞こえた直後、雲が晴れた。

 そこから現れたのは一体のモンスター。それは顔と胴体はラビエル。そこから下はウリアの胴体。背中にはハモンの翼。そして左腕がウリアの首から上。《混沌幻魔アーミタイル》だ。

 

「さぁ、デュエルを始めようか」

「俺は・・・、絶対に敗けん!!」

 

 と、ここからいつものように「「デュエル!!」」で言いかけた時、英雄はふと気付いた。さっきから他の連中の声がしない。畑を見ると、

 

「たまには、こういうのもいいもんだねぇ」

 

ケイトはモンスターに混じって農作業に従事していた。さらにさっきの山小屋の近くでは、どこから持ってきたのか、カフェの屋外に置いてありそうなテーブルと椅子があり、零士と秋人はそれに腰掛けている。

 

「マスター、秋人様。りんごジュースとコーヒーでございます」

 

そしてエアトスも何故かメイドのコスプレをして二人の前にティーカップを差し出す。

 

「ありがとう」

「すまないな。・・・それより、その格好どうにかならないのか?」

「ご所望でしたらネコ耳も付けますが?」

「そういう問題ではない」

 

なんて会話も聞こえる。

 

「あの、そろそろデュエル始まるんだけど・・・?」

 

 英雄がやんわりと言っても、

 

「大丈夫だよ。チラ見ぐらいはするから」

 

などと返される。

 

「大変だな、アンタも」

 

 アーミタイルもこの扱いには共感してくれた。

 

「・・・うん」

 

 英雄もそれぐらいしか返す言葉がなかった。

 

 

 

 で、改めて。

 

「行くぞアーミタイル!!」

「来るがいい小僧!!」

 

 お互いに気持ちを切り替えてデュエル開始。

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

英雄 LP8000

 

 

アーミタイル LP8000

 

 

「先攻は俺がいただく!俺のターン、ドロー!」

 

 先手はアーミタイルだ。

 

「俺はまず、手札から魔法カード《手札抹殺》を発動!互いに手札を全て墓地に送って、その枚数分カードをドロー!」

(いきなり《手札抹殺》か・・・。コイツァ英雄には効くかもしれねぇなぁ。英雄の初手の手札は大体エアーマンみたいなキーカードが入ってくる。だからいきなりそれを捨てさせられるのは英雄にとってかなり不利だ)

 

 などとケイトが考えている間に一人と一体は手札を入れ替えた。

 

「さらに俺は、《トーチトークン》二体を攻撃表示で特殊召喚し・・・」

 

 アーミタイルの場に頭が円盤状のノコギリみたいになった人型のマシンが現れる。

 

 

トーチトークン 星1 闇 悪魔族 攻0/守0

 

 

「《トーチ・ゴーレム》をお前のフィールド上に特殊召喚!!」

「なんだと!?」

 

 

トーチ・ゴーレム 星8 闇 悪魔族 攻3000/守300

 

 

 今度は英雄の場にさっきのトークンの倍以上の大きさのモンスターが召喚された。

 

「カードを二枚セットしてターンエンドだ!」

 

 

アーミタイル LP8000 手札2

モンスター/《トーチトークン》×2

魔法・罠/リバース×2

 

 

(俺の場に攻撃力3000のモンスターを特殊召喚した?アーミタイルの場には攻撃力0で何の効果もないトークンが二体。さらに伏せカードが二枚。罠をはっていることは明らかだ。だが・・・)

「それでも俺は突き進む!!俺のターン、ドロー!!」

「この瞬間、永続罠《洗脳解除》を発動!これで全てのモンスターのコントロールは元々の持ち主に戻る!」

「何!?」

 

 有利な状況から一転、英雄はいきなり攻撃力3000のモンスターを相手取ることに。

 

「さぁ、お前にこのモンスターを破る手段はあるのかぁ?」

 

 圧倒的優位だからこその発言だろう。しかし英雄は

 

「ある!!」

 

そう答えた。

 

「俺は《E・HERO アナザー・ネオス》を召喚!」

 

 

E・HERO アナザー・ネオス 星4 光 戦士族 攻1900/守1300

 

 

「さらに俺はカードを4枚セット!」

「いきなりカードを4枚も伏せただと!?」

「そうだ!そして今の俺の手札はこの一枚、だがこの一枚だからこそこいつは特殊召喚できる!俺は《E・HERO バブルマン》を特殊召喚!」

 

 現れたのは○ットマンを青色にして背中に酸素ボンベらしきもの二つを背負い、右腕に銃身を装着しているモンスター。

 

 

E・HERO バブルマン 星4 水 戦士族 攻800/守1200

 

 

「これで俺の場にはレベル4の戦士族モンスターが二体揃った!!俺はアナザー・ネオスとバブルマンでオーバーレイ!!―――二体の戦士族モンスターでオーバーレイネットワークを構築!!光纏いて現れろ!闇を切り裂くまばゆき王者!《H(ヒロイック)-C(チャンピオン) エクスカリバー》!!」

 

 

H-C エクスカリバー ランク4 光 戦士族 攻2000/守2000

 

 

 赤と銀色の鎧を身にまとい、ゴツイ剣を持った戦士が召喚された。

 

「へぇ、不屈野君はエクシーズ召喚も使うようになったんだね」

 

 そこそこ遠くからデュエルを見学していた秋人が言った。

 

「今更だがな」

 

 これは零士。

 

「ペンデュラム召喚の事か・・・。あんなのどチートだよな」

 

 そんな会話がされていることなど英雄もアーミタイルも知るはずはなく・・・。

 

「エクスカリバーの効果発動!エクシーズ素材を二つ取り除き、お前のエンドフェイズまでこのカードの攻撃力は元々の攻撃力の倍になる!!」

 

 

H-C エクスカリバー ORU 2→0 攻2000→4000

 

 

「まだだ!!俺は伏せていた魔法カード《ミラクルフュージョン》を発動!墓地のエアーマンとブラストを除外して、融合召喚!燃え上がれ、《E・HERO ノヴァマスター》!!」

 

 エアーマンとブラストはさっきの《手札抹殺》で捨てられた手札の中にあったであろうということは容易に想像できた。

 

 

E・HERO ノヴァマスター 星8 炎 戦士族 攻2600/守2100

 

 

「バトルだ!!まずはエクスカリバーで《トーチ・ゴーレム》を攻撃!!一刀両断!必殺真剣!!」

 

 エクスカリバーは剣を大上段に構えて《トーチ・ゴーレム》に斬りかかる。

 

「甘い!!罠発動、《和睦の使者》!」

 

 しかし三人の聖女が立ちはだかり、エクスカリバーは動きを止めた。

 

「これで俺のモンスターは破壊されず、戦闘ダメージもゼロだ!」

「くっ・・・。ターンエンドだ」

 

 

英雄 LP8000 手札0

モンスター/《H-C エクスカリバー》《E・HERO ノヴァマスター》

魔法・罠/リバース×3

 

 

「俺のターン、ドロー!―――フン、こうもすぐに呼ぶことができるとはな」

「?」

「俺は《トーチ・ゴーレム》と《トーチトークン》二体をリリース!」

「三体のモンスターをリリースだと!?まさか・・・、神か!?」

「バカが!リリースしたモンスターは全て悪魔族!よって俺は・・・・・・、《幻魔皇ラビエル》を特殊召喚!!」

 

 

幻魔皇ラビエル 星10 闇 悪魔族 攻4000/守4000

 

 

「ラビエルだと!?だが、ノヴァマスターが攻撃されたとしても、《ヒーローバリア》がある!」

(それに、攻撃力はエクスカリバーと同じ!)

「おい、英雄!実際に喋る言葉と心の声逆だぞ!!」

 

 これにはケイトも口を出さざるを得ない。

 

「・・・・・流石に今のは聞かなかったことにするわ。―――――俺は《ゴブリン突撃部隊》を召喚!」

 

 ゴブリンの群れが工事のヘルメットや金棒を持って現れた。

 

 

ゴブリン突撃部隊 星4 地 戦士族 攻2300/守0

 

 

「ラビエルの効果発動!自分のモンスター一体をリリースし、そのモンスターの攻撃力を得る!!」

 

 ラビエルはゴブリンを全て引っつかむとそれをオベリスクよろしくエネルギーを吸収した。

 

 

幻魔皇ラビエル 攻4000→6300

 

 

「攻撃力6300・・・!!」

「行くぞ!!《幻魔皇ラビエル》で《H-C エクスカリバー》を攻撃!天界蹂躙拳!」

 

 ラビエルの拳はエクスカリバーを剣ごと打ち砕いた。

 

 

英雄 LP8000→LP5700

 

 

「ぐおあっ!!」

 

 お忘れかもしれないが、精霊とのデュエルで受けるダメージは通常のそれとは比べ物にならない。

 

「俺は人間とデュエルをしたことはないがこっちだと受ける衝撃はダンチらしいな」

 

 英雄は既によろめいている。しかしその瞳はむしろ闘志を燃え上がらせていた。

 

「そんなことは、覚悟の上だ!!」

「!」

 

 英雄の勢いにはアーミタイルも一瞬気圧された。

 

「俺はエクスカリバーが破壊されたことで、罠カード《ヒーロー・シグナル》を発動!!デッキから《E・HERO フォレストマン》を守備表示で特殊召喚!!」

 

 

E・HERO フォレストマン 星4 地 戦士族 攻1000/守2000

 

 

「っ・・・。やる気だけは人一倍らしいな!俺はカードを一枚セットしてターンエンド!」

 

 

幻魔皇ラビエル 攻6300→4000

 

 

アーミタイル LP8000 手札0

モンスター/《幻魔皇ラビエル》

魔法・罠/《洗脳解除》リバース×1

 

 

「俺のターン!」

 

(ラビエルを倒すためには、あのカードを引くしかない。引けるのか・・・?いや、引くんだ!!!)

 

「ドロー!!」

 

 英雄は目を閉じていた。そして恐る恐るドローしたカードを確認するために目を開ける。

 

「・・・・・来た!!俺は魔法カード《融合》を発動!フィールドのノヴァマスターとフォレストマンで融合召喚!現れろ、《E・HERO ガイア》!!」

 

 

E・HERO ガイア 星6 地 戦士族 攻2200/守2600

 

 

「ガイアか・・・。だがお前は決定的なミスを犯した!!」

「何だと!!」

「だってフォレストマンの効果で《融合》はサーチできるんだもの!!」

「あ、そうだった!!」

 

 なんだか雰囲気がシリアスなのかギャグなのかよく分からなくなってきた。

 

「だが、ガイアのモンスター効果が発動する!ラビエルの攻撃力の半分を吸収!!」

 

 

幻魔皇ラビエル 攻4000→2000

 

 

E・HERO ガイア 攻2200→4200

 

 

「ガイアで《幻魔皇ラビエル》を攻撃!コンチネンタルハンマー!!」

 

 ガイアの岩のような拳がラビエルを捉えた。

 

 




 次回も英雄回となります。それにしても1年前のルール改定とペンデュラム召喚は衝撃的でしたね。次の次の回からこの小説もマスタールール3に移行します。ペンデュラム召喚もあと7話ぐらいで登場します。お楽しみに。
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