遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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第五十四話 「食品工場なんて大体そんなもの」

 英雄がアーミタイルとのデュエルを制した頃、フユ、千鳥、春プラスガイドのカオス・ソルジャーと、とりあえず付いて来ているセームベルは街のはずれを歩いていた。横にはそこそこ高い壁がずっと続いている。そして一行の中で春だけは数歩先を鼻歌交じりに歩いている。それもそのはず。本日の目的地は『マドルチェのお菓子工場』。そしてあまり描写はないが彼女は甘いものが好きであり、使うデッキも【魔導】と【マドルチェ】なのだ。そりゃテンションも上がる。

 

「それにしてもさぁ、お菓子工場なんか押さえて相手に得なんかあるの?」

 

 千鳥がカオス・ソルジャーに訊ねた。

 

「・・・これは推測ですが・・・・・、この工場、お菓子工場と言う名こそ付いていますが、精霊世界の全ての菓子製品やスイーツの類の製造・販売を行っています。こちらの世界でも女性はそういったものに目がなく、工場の利益がそのまま組織の利益になっているものかと」

「なるほど」

 

 これに答えるのはフユ。

 そんな会話をしつつ、彼らは工場の入口に辿りついた。

 

「わぁ・・・!」

 

 その見た目に春は感嘆した。案の定敷地面積は広く、広大な庭があり、その先にあるのは工場というより、《マドルチェ・シャトー》ような城。そして前から一人の女性が歩いてきた。

 

「皆様、お待ちしておりました」

 

 そう言ってスカートの両端を少し上げ、お辞儀をしたモンスターは、チョコ色のローブを羽織り、左手には杖を握っている。

 

「私(わたくし)、ここの工場長をしています《クイーンマドルチェ・ティアラミス》と申します」

「女王自ら出迎えてくださるとは恐れ入ります。私は、《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》です」

「僕は白雪姫フユと言います」

「私は霧谷千鳥です」

 

 女王と聞いてすぐ三人は丁寧に名乗るが、

 

「春だよ。・・・って、全くの初対面ってわけじゃないよね。時々使うし」

「《召喚師セームベル》だよ!よろしくねっ!」

 

この二人に関しては全くブレない。

 

「それで?ここの支配をしてるモンスターって中にいるんですか?」

 

 千鳥はすぐに本題に入った。

 

「いえ、ここにいらっしゃるのはもうしばらく後だそうです。ですので、皆様しばしの間こちらでおくつろぎください」

 

 すると春が閃いたように挙手した。

 

「あ!じゃあじゃあ、私お菓子作ってるところ見てみたい!」

 

 カオス・ソルジャーはティアラミスに視線を送った。「よろしいのですか?」みたいな。

 

「構いませんよ。時々工場見学もやっていますので、見学者用の通路もございます。ご案内しますね」

 

 ティアラミスは城の方へ歩いていく。

 

(どんな風になってるのかな・・・?)

 

 春は想像していた。

 

 庭ではクロワンサンやミィルフィーヤ、メェプルがじゃれあい、中の床や壁はチョコやクッキーの柄。

 

そして魔法でお菓子は宙を舞い、真面目で働き者なバトラスクとマーマメイドはそれに仕上げとしてクリームを塗ったり果物で飾り付けたりしている。

 

シューバリエも何か手伝おうとするがプディンセスに付きまとわれて困り果てている。

 

エンジェリーやマジョレーヌはつまみ食いしようとするがメッセンジェラートに叱りつけられている。

 

叱ったメッセンジェラートは完成したお菓子を可愛い箱や袋に包んでそれを宅配に出かける。

 

「アハハハハ、ウフフフフ」

 

 その中に春も混ざる。

 

「アハハハハ、ウフフフフ」

 

 以上、春の妄想でした。

 

 

 

 ―――――で、実際には。

 給食を作るオバちゃんみたいにほぼ目しか見えない全身真っ白な従業員が十数人働いており、彼らの目の前をベルトコンベアが無機質に稼働している。モンスターも働いているには働いているのだが、大部分は機械任せだ。また運搬も普通にダンボール詰めにしてトラックで配達していた。運転手はメッセンジェラートだったが。

 なんというか、普通に人間がやっていることと大差なかった。フユ、千鳥、カオス・ソルジャーは、「ま、そんなもんだよな」ぐらいの感想しか持たなかったし、セームベルも最初は楽しそうにしていたが途中からあくびが出るぐらい退屈していた。そして最も楽しみにしていたであろう春は、

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

完全に目からハイライトが消えていた。

 

「いかがだったでしょうか?」

 

 一通り見て回ったあと、ティアラミスが感想を聞いてきた。

 

「えーと・・・、意外と普通に普通の工場だったなっていうか・・・・・」

 

 千鳥が困惑気味に答えた。彼女も、いや彼女らも春ほどではないにしろもうちょっとファンタジー要素に期待をしてはいたようだ。この反応にティアラミスの表情が曇った。

 

「・・・皆様のお考えになっていることは分かります。ここもかつては、『○ャーリーと○ョコレート工場』のような夢の工場で、皆も楽しそうに働いていました。ですが、『あの方』の意向により現在の生産方法となってしまったのです」

「あの方?その人を倒したら、元の作り方に戻してくれるの?」

 

 いち早く反応したのは春。その時、背後から声が響いた。

 

「お前達、そんなところで油を売っている暇があるなら仕事に戻れ!」

 

 一行が振り向くと、そこにいたのは浮遊する滅茶苦茶デカイ土偶みたいなモンスター。

 

《オレイカルコス・シュノロス》だった。

 

「いやお前かよオオオオォォォ!!!」

 

 そりゃ千鳥もつっこまざるをえない。

 

「ん?お前達は人間。・・・ということは昨日《カオス・ソルジャー》を倒した、我々に歯向かおうという集団か」

 

 見た目はアレだが、雰囲気は彼を使っていたアトランティスの王様っぽい。

 

「ねぇ、どうして工場をあんな風にしたの!?前は楽しく働いてたって言ってるのに!」

「そんなもの、決まっているだろう。魔法などという胡散臭いもので作った食べ物を、いったい誰が食べたいというのだ!!」

「言ってることは分かるけどアンタを使ってた人も魔法じみたことやってたからね!!」

 

 千鳥のツッコミに共感した読者は多い・・・はず!

 

「御託はいい!デュエリストならデュエルで語れ!」

「だったら僕が・・・」

「私が行くよ!」

 

 フユを遮って名乗りを上げたのはやはり春だった。

 

「春さん、危険ですよ!?」

「それでもやるよ!ここに来たのは、友達を助けるためなんだから!」

 

 フユの言葉を聞き入れるつもりはないようだ。

 

「私の相手はその娘でいいのだな?手加減はせんぞ」

「うん!」

 

「「デュエル!!」」

 

春 LP8000

 

オレイカルコス・シュノロス LP8000

 

「私の先攻だよ!私のターン、ドロ・・・」

「あっ、待ってください春さん!」

 

 いつものようにカードをドローしようとしたところでフユが慌てて止めた。

 

「どうしたの?」

「最近ルールが大幅に改訂されて、先攻は最初のターンはドローできないんです」

「へぇー、そうなんだ。じゃあ私は《魔導召喚士 テンペル》を召喚!」

 

 

魔導召喚士 テンペル 星3 地 魔法使い族 攻1000/守1000

 

 

「さらに私は、魔法カード《グリモの魔導書》を発動して、デッキから《トーラの魔導書》を手札に加えるよ」

「ってゆーか桜木さん【魔導】も使ってたの!?それとこの場合は【マドルチェ】使うもんじゃないの!?」

 

 この世界に来る前に生徒会室にいなかった千鳥にとってはまさしく『今明かされる衝撃の真実ゥ!』である。

 

「いやぁ、デッキ取ってくる時間がなくて・・・。そんなことより、私はテンペルのモンスター効果を発動!このモンスターをリリースして、デッキから《魔導天士 トールモンド》を特殊召喚!」

 

 フユとの二度目のデュエルの最後に現れた《魔導》最強のモンスターが今回はいきなり召喚された。

 

 

魔導天士 トールモンド 星9 光 魔法使い族 攻2900/守2400

 

 

「カードを一枚セットしてターンエンド!」

 

 

春 LP8000 手札3

モンスター/《魔導天士 トールモンド》

魔法・罠/リバース×1

 

 

(《トーラの魔導書》をサーチしておいてカードを一枚伏せるなど、それが《トーラの魔導書》と言っているようなものではないか)

「私のターン、ドロー!―――フフフ、お前に見せてやろう。心の闇(○ナミ)から生まれしカードを!」

「いやカッコの中明らかにおかしいでしょ!!」

「発動せよ、《オレイカルコスの結界》!!」

 

 二人の間にオレイカルコスのマークが浮かび上がり、その外側を古代文字が円状に囲った。この時春とシュノロス以外は結界の外側にいたのだが、フユは足だけ結界の内側に入れてみた。が、別に入れなかったり、足が切断されるようなことはなかった。

 

「案外中に入ることはできるみたいだね」

「当たり前だ。なんやかんや言っても普通のカードだからな。だから敗けても魂を取られることはないし、効果もOCG版だ」

「何ていうか、結構しょぼいのね」

「だが!それゆえに敗けフラグカードではなくなった!!私は《エヴォルテクター シュバリエ》を召喚!」

 

 左手が炎の紅の戦士が召喚された。

 

 

エヴォルテクター シュバリエ 星4 炎 戦士族 攻1900/守900

 

 

「さらに《オレイカルコスの結界》の効果で、攻撃力500ポイントアップ」

 

 

エヴォルテクター シュバリエ 攻1900→2400

 

 

 シュバリエの額にオレイカルコスのマークが浮かび、目が一瞬赤く光った。

 

「でもトールモンドの攻撃力は2900だから、まだ攻撃力は足りないよ!」

「ふっ、私の狙いは他にある。私は装備魔法《スーペルヴィス》を発動。シュバリエに装備する」

 

 しかし見た目的には特に何も変わっていない。

 

「そう来たのね・・・!」

 

 千鳥は何かに感づいたようだ。

 

「え?どうしたの?」

「《エヴォルテクター シュバリエ》はデュアルモンスター。本当ならもう一度召喚しなきゃ効果を発揮できないんだけど、あの装備魔法は装備したモンスターを再度召喚した扱いにできるのよ」

 

「その女の言うとおりだ。そしてシュバリエの効果は装備カードを墓地へ送る事で相手フィールドのカードを一枚破壊する効果だ!」

「えぇ!?」

「消え去るがいい!トールモンド!」

 

 シュバリエは剣を投げつけ、トールモンドの胸に突き刺さった。

 

「これでお前を守るモンスターはいなくなった。《エヴォルテクター シュバリエ》でダイレクトアタック!」

 

 赤い剣士が春に斬りかかる。

 

 

「危なああああああぁぁぁい!!!」

 

 

 しかしフユがゴールキーパー並の横っ飛びで春の前に出て、代わりに攻撃を受けた。

 

「うあっ!」

「白雪姫君!?」

 

 

春 LP8000→LP5600

 

 

 フユはドサリと倒れたがそれはダメージによるものではなく飛んだ勢いによるものだ。

 

「ちょっ、アンタ何してんの!?」

「白雪姫君、どうして庇ってくれたの?」

 

 フユは起き上がると親指を立てた。

 

「ケイトならともかく、か弱い女子にリアルダメージなんて受けさせられるわけないじゃないですか」

「フン。紳士だな。私はこれでターンエンド」

(紳士は紳士でもその前に『変態という名の』が付くけどね)

 

 などと千鳥だけは思ったり思わなかったり。

 

 

オレイカルコス・シュノロス LP8000 手札3

モンスター/《エヴォルテクター シュバリエ》

魔法・罠/《オレイカルコスの結界》

 

 

「私のターン、ドロー!―――まずは《マジカル・コンダクター》を召喚!」

 

 緑色の服を着た黒髪の女魔法使いが現れた。

 

 

マジカル・コンダクター 星4 地 魔法使い族 攻1700/守1400

 

 

「次に永続魔法《魔導書廊エトワール》を発動するよ!」

 

 春の両側に壁が出現し、それがずっと後ろまで続いている。

 

「それと魔法カードを発動したからコンダクターに魔力カウンターが2つ乗るよ」

「一回の魔法の発動で2つの魔力カウンターが乗るカードだと!?」

 

 

マジカル・コンダクター 魔力カウンター 0→2

 

 

「それとなんだかそのフィールド魔法ヤバそうだから破壊させてもらうね!私はフィールド魔法《魔導書院ラメイソン》を発動!」

 

 エトワールのさらに後ろに白い塔がそびえ立つ。しかし足元の結界は消えなかった。

 

「アレ?なんで?」

 

 春が不思議そうにしているとまたフユが説明した。

 

「これも最近のルール改定によるものです。互いのプレイヤーはそれぞれにフィールド魔法を発動できるという」

 

 一連の流れを見て、シュノロスは高笑いした。

 

「ハハハ!残念だったな。それと一つ言っておくが、《オレイカルコスの結界》は1ターンに一度だけ破壊されることはない」

「で、でもでも、コンダクターに魔力カウンターが2つ乗るし、エトワールも《魔導書》発動したから魔力カウンターが1つ乗るし・・・」

 

 

マジカル・コンダクター 魔力カウンター 2→4

 

 

魔導書廊エトワール 魔力カウンター 0→1

 

 

「それとエトワールの効果でこのカードの魔力カウンターの数だけ私の魔法使い族の攻撃力が100上がるよ」

 

 

マジカル・コンダクター 攻1700→1800

 

 

「メインフェイズの最後に《ヒュグロの魔導書》を発動!コンダクターの攻撃力をこのターンの終わりまで1000アップ!」

 

 

魔導書廊エトワール 魔力カウンター 1→2

 

 

マジカル・コンダクター 魔力カウンター 4→6 攻1800→2900

 

 

「攻撃力2900!?」

「行っくよー!コンダクターでシュバリエを攻撃!」

 

 《マジカル・コンダクター》は手のひらを前に向けると、初期の頃の『ブラック・マジック』よろしく衝撃波でシュバリエを倒した。

 

 

オレイカルコス・シュノロス LP8000→LP7500

 

 

「ぬううっ!」

「さらに《ヒュグロの魔導書》の効果でデッキから《ゲーテの魔導書》をサーチして、カードを一枚セットしてターンエンドだよ!」

 

 

マジカル・コンダクター 攻2900→1900

 

 

春 LP5600 手札0

モンスター/《マジカル・コンダクター》

魔法・罠/《魔導書院ラメイソン》《魔導書廊エトワール》リバース×2

 

 

「くっ、私のターン、ドロー!」

(!早速来たか。だが、ここは少し泳がせるとしよう)

「私はモンスターを一体セット!さらにカードを一枚セットしてターンエンドだ!」

 

 

オレイカルコス・シュノロス LP7500 手札2

モンスター/リバース×1

魔法・罠/《オレイカルコスの結界》リバース×1

 

 

「私のターン、ドロー!――まずは《魔導書院ラメイソン》の効果を発動するよ!墓地の《グリモの魔導書》をデッキの一番下に戻して、カードを一枚ドロー!」

「それを待っていた!速攻魔法《手札断殺》を発動!互いに手札を二枚捨て、カードを二枚ドロー!」

「手札交換カード。何か狙ってるわね・・・」

「でもあのカードは状況によりけりだけど春さんにもメリットを与える。・・・それより、二つほど気付いたことがあるんだ」

「・・・・・何よ?(ツッコミの準備しとこう)」

「一つ目は、もうスノブラの連載が始まって一年経ってたってこと。(すぴばるでは)」

「・・・これに関してはつっこむのはよすわ。ちなみにこの小説の中の時間って今どのぐらいなの?」

「えーっと特に説明とかなかったけど、第一話が四月の初めの方で、今が大体五月の下旬入ったばかりぐらいらしいよ」

「遅っ!!五十話以上やってるのにそれ!?」

「それともう一つ。こっちの方が重要なんだけど、さっきからモンスター組が完全に空気なんだよね」

「主、私はいますよ」

 

 カオス・ソルジャーが控えめに挙手した。

 

「あ、いたんだ。でも、セームベルと女王様は?」

「セームベルならあそこでマドルチェの動物組とじゃれてますよ」

 

 見るとメェプルやクロワンサンと庭を散歩していて、なんだか某アルプスの少女みたいなことになっている。

 

「それとティアラミス様は事務仕事に戻りました」

「いやそこは見てなさいよ!一応あの人?っていうかモンスター?のためにデュエルしてるんだから!」

「ねぇ、デュエル続けてもいい?」

 

 三人の会話でデュエルが中断されていたようだ。

 

「あ、どうぞどうぞ」

「まずは《手札断殺》が発動されたから《マジカル・コンダクター》にまた魔力カウンターが二つ乗るよ!」

 

 

マジカル・コンダクター 魔力カウンター 6→8

 

 

「そして《ガガガマジシャン》を召喚!」

 

 数少ない物理攻撃をする魔法使いの登場である。

 

 

ガガガマジシャン 星4 闇 魔法使い族 攻1500→1700/守1000

 

 

「《ガガガマジシャン》で伏せモンスターを攻撃!ガガガマジック!」

 

 という名のパンチだ。で、シュノロスが伏せていたモンスターは白のマフラーを巻いた緑色の小柄な戦士。

 

 

デュアル・ソルジャー 星2 風 戦士族 攻500/守300

 

 

「次は《マジカル・コンダクター》でダイレクトアタック!」

「グオオッ!」

 

 

オレイカルコス・シュノロス LP7500→LP5600

 

 

「ターンエンド!」

 

 

春 LP5600 手札1

モンスター/《マジカル・コンダクター》《ガガガマジシャン》

魔法・罠/《魔導書院ラメイソン》《魔導書廊エトワール》リバース×2

 

 

「くっ、私のターン、ドロー!―――私はモンスターをセットしてターンエンド」

 

 

オレイカルコス・シュノロス LP5600 手札2

モンスター/リバース×1

魔法・罠/《オレイカルコスの結界》

 

 

「よーし、このまま押し切っちゃおー!私のターン、ドロー!まずはスタンバイフェイズ!ラメイソンの効果で墓地の《ヒュグロの魔導書》をデッキの一番下に戻してカードを一枚ドロー!次にモンスターをセットして、《マジカル・コンダクター》の効果を発動だよ!手札か墓地の魔法使い族モンスターのレベルと同じ数の魔力カウンターを取り除いてそのモンスターを特殊召喚できるから、私は3つ取り除いて手札の《魔導教士 システィ》を特殊召喚!」

 

 コンダクターが魔法陣を出現させると、そこから初老の魔女が召喚された。

 

 

マジカル・コンダクター 魔力カウンター 8→5

 

 

魔導教士 システィ 星3 地 魔法使い族 攻1600→1800/守800

 

 

「クッ、一気にモンスターが四体だと・・・!」

(だが、まぁいい。むしろ好都合だ)

「それじゃあバトルフェイズ!まずは《ガガガマジシャン》で攻撃!ガガガマジック!」

 

 再びのパンチ。そしてセットモンスターの正体は・・・。

 

 

ジェネティック・ワーウルフ 星4 地 獣戦士族 攻2000/守100

 

 

 シュノロスの伏せていたカードを見てフユの表情が険しくなった。

 

(あのモンスターの攻撃力は2000。《オレイカルコスの結界》の効果で2500まで上げることはできたし、それで春さんのモンスターを破壊することはできたはず。やはり何かある!!)

「気を付けてください春さん!!多分デカいのが来ます!!」

「え?」

 

「ふっ、もう遅い!通常モンスターを戦闘破壊されることがトリガーとなり、このカードは特殊召喚できる!出でよ!!《オレイカルコス・シュノロス》!!」

 

 

 現れたのはもう一体のシュノロス。

 

 

オレイカルコス・シュノロス 星10 闇 機械族 攻?→500/守0

 

 

「私の攻撃力は、お前の場のモンスターの数×1000ポイントアップする!」

 

 

オレイカルコス・シュノロス 攻500→4500

 

 

「攻撃力4500!?」

「フフフ。ここまでの攻撃力を得られたのはお前が何も考えずに突っ込んできてくれたおかげだ」

「うぅ・・・。私は《マジカル・コンダクター》を守備表示にしてターンエンド」

 

 

春 LP5600 手札1

モンスター/《マジカル・コンダクター》《ガガガマジシャン》《魔導教士 システィ》リバース×1

魔法・罠/《魔導書院ラメイソン》《魔導書廊エトワール》リバース×2

 

 

「絶望するがいい。私のターン!―――行け、《オレイカルコス・シュノロス》!《ガガガマジシャン》を攻撃せよ!フォトン・リング!」

 

 モンスターとして召喚された方のシュノロスの頭の上から光の輪っかが発生し、それが回転を伴って《ガガガマジシャン》に放たれる。そして光輪は腹部に直撃した。

 

 

春 LP5600→LP2800

 

 

オレイカルコス・シュノロス 攻4500→3500

 

 

 さらにこの輪、そのまま戻らずに春にも当たるような軌道を通っている。しかし・・・、

 

 

「再び危なあああああぁぁぁい!!!」

 

 

またしてもフユがフライングガード。

 

「・・・ガハッ!」

 

 社長すらも一発KOさせる攻撃はやはり応えるようだ。

 

「だから何をしてんのよアンタは!!」

「春さんは・・・、傷つけさせない!」

 

 やっていることはアホらしいが、気持ちは真剣そのものだった。

 

「ありがとうね、白雪姫君。でももう大丈夫。次のターンで勝つから」

 

 これに反応したのはシュノロスの方。

 

「何?ふざけるなよ小娘が・・・!ターンエン・・・」

「じゃあここで速攻魔法《トーラの魔導書》を発動!このターンの終わりまで《マジカル・コンダクター》は罠カードの効果を受けないよ!」

 

 一見するとただ魔力カウンターを貯めるだけの行為でしかないように見える。

 

 

魔導書廊エトワール 魔力カウンター 2→3

 

 

マジカル・コンダクター 魔力カウンター 5→7 攻1900→2000

 

 

魔導教士 システィ 攻1800→1900

 

 

「そうやって攻撃力をジワジワと上げていくつもりか?何十ターンかかるか分からんがな。ターンエンド!」

 

 

オレイカルコス・シュノロス LP5600 手札2

モンスター/《オレイカルコス・シュノロス》

魔法・罠/《オレイカルコスの結界》

 

 

「それじゃあラストドロー、行っくぜぇー!!」

 

 春は右腕を高く上げた。そして右手に桃色の『S』というマークが浮かぶ。

 

「あれが秋人先輩が使ってたのと同じマークなのね。実際アレ出してたらチューナー五体連続で引いたりできるの?」

「いや、僕がマーク発動していたのは大体バトルフェイズだし、秋人先輩もシャイニングドローみたいなことはできないって言ってたけど・・・」

「え?これ出してたら来て欲しいカード結構来るけど?」

「「嘘ぉーん!!」」

「というわけで、私のターン、ドロー!あ、ホントに来た」

「「またまた嘘ぉーん!!」」

「まずはスタンバイフェイズにラメイソンの効果を発動!さっき墓地に送った《トーラの魔導書》をデッキの一番下に戻して、カードを一枚ドロー!」

「なるほど。追加ドローを行うために《トーラの魔導書》を発動していたのか。見た目の割に抜け目がないな」

「えへへ。それから、《魔導書士 バテル》を反転召喚!」

 

 やる気のなさそうな目をした少年魔法使いが現れた。

 

 

魔導書士 バテル 星2 水 魔法使い族 攻500→800/守400

 

 

「さらにバテルがリバースしたから、効果で《グリモの魔導書》を手札に加えて、そのまま発動!デッキから《ヒュグロの魔導書》を手札に加えるよ」

 

 

魔導書廊エトワール 魔力カウンター 3→4

 

 

マジカル・コンダクター 魔力カウンター 7→9 攻2000→2100

 

 

魔導教士 システィ 攻1900→2000

 

 

魔導書士 バテル 攻800→900

 

 

「次に手札から装備魔法《ガガガリベンジ》を発動だよ!墓地の《ガガガマジシャン》を特殊召喚して、このカードを装備!」

 

 春のフィールドに棺が現れ、その中から《ガガガマジシャン》が出てきた。

 

 

ガガガマジシャン 攻1500→1900

 

 

オレイカルコス・シュノロス 攻3500→4500

 

 

「まだまだ!私は《マジカル・コンダクター》の魔力カウンターを7個取り除いて、墓地の《魔導法士 ジュノン》を特殊召喚!」

「何!?ちょっと待て!!そんなモンスター、いつの間に墓地へ送っていた!?」

「さっきの《手札断殺》で」

 

 

マジカル・コンダクター 魔力カウンター 9→2

 

 

魔導法士 ジュノン 星7 光 魔法使い族 攻2500→2900/守2100

 

 

 しかしこれで春の場にはいっぱいいっぱいまでモンスターがしょうかんされたことになり、

 

 

オレイカルコス・シュノロス 攻4500→5500

 

 

攻撃力は《F・G・D》をも上回った。

 

「ここからだよ!私は《ガガガマジシャン》のレベルを7に変更!」

 

 

ガガガマジシャン 星4→7

 

 

「これで春さんの場にはレベル7のモンスターが二体・・・・」

「私はレベル7の《ガガガマジシャン》とジュノンでオーバーレイ!―――二体の魔法使い族モンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!来て、《魔導法皇 ハイロン》!!」

 

 召喚されたモンスターは、左手に黒と金の杖を持ち、緑色の石が散りばめられた金の冠を被った、黒い魔法使いである。

 

 

魔導法皇 ハイロン ランク7 闇 魔法使い族 攻2800→3200/守2600

 

 

オレイカルコス・シュノロス 攻5500→4500

 

 

「さらに《ガガガリベンジ》を装備してたモンスターをエクシーズ素材にしたモンスターは攻撃力が300上がるよ!」

 

 

魔導法皇 ハイロン 攻3200→3500

 

 

「それでもまだ足りんな」

「だからさっき手札に加えた《ヒュグロの魔導書》を使うんだよ」

「しまっ・・」

 

 

魔導書廊エトワール 魔力カウンター 4→5

 

 

マジカル・コンダクター 魔力カウンター 2→4 攻2100→2200

 

 

魔導書士 バテル 攻900→1000

 

 

魔導教士 システィ 攻2000→2100

 

 

魔導法皇 ハイロン 攻3500→4600

 

 

「それからそれから、セットしてた《ゲーテの魔導書》も発動するね。墓地の《グリモの魔導書》、《ヒュグロの魔導書》、あと《手札断殺》で捨ててた《アルマの魔導書》を除外して、《オレイカルコスの結界》を除外!破壊せずに除外するから大丈夫だよね?」

 

 これを聞いてこのデュエルを見ていた三人は思った。

 

(あれ?これもしかしたら春(さん)の方が上手くカードを墓地に送れてたんじゃね?)

 

 それはともかく、結界は徐々に光を失い、消滅した。

 

 

オレイカルコス・シュノロス 攻4500→4000

 

 

魔導書廊エトワール 魔力カウンター 5→6

 

 

マジカル・コンダクター 魔力カウンター 4→6 攻2200→2300

 

 

魔導法皇 ハイロン 攻4600→4700

 

 

魔導教士 システィ 攻2100→2200

 

 

魔導書士 バテル 攻1000→1100

 

 

「私の攻撃力を、超えてくるだと!?」

「バトル!私は《魔導法皇 ハイロン》で《オレイカルコス・シュノロス》を攻撃!マジック・インパクト!」

 

 ハイロンは杖を掲げると、杖の先から黒い稲妻を放った。そしてこれを受けたシュノロスは一瞬間を空けて爆散した。

 

 

オレイカルコス・シュノロス LP5600→LP4900

 

 

「グッ・・・!」

「他の皆も一斉攻撃ィー!」

 

 春の一声で残ったモンスターもそれぞれ攻撃を仕掛けた。しかし《マジカル・コンダクター》だけは動かない。

 

 

オレイカルコス・シュノロス LP4900→LP2700→LP1600

 

 

「あれ?なんで《マジカル・コンダクター》は攻撃しないの?」

「春さん・・・。さっきのターン守備表示にしてたの忘れてます・・・・・」

「あ、そうだった。私はカードを一枚セットしてターンエンドだよ」

 

 

魔導法皇 ハイロン 攻4700→3700

 

 

春 LP2800 手札1

モンスター/《魔導法皇 ハイロン》《マジカル・コンダクター》《魔導教士 システィ》《魔導書士 バテル》

魔法・罠/《魔導書院ラメイソン》《魔導書廊エトワール》リバース×1

 

 

「それと《ヒュグロの魔導書》のサーチ効果も忘れてるわよ・・・」

「あ、それもそうだった」

 

 フユと千鳥は軽くため息をついた。そんなやり取りを見ていたシュノロスは強い怒りを覚えた。

 

(こんな、こんな阿呆にこの私が追い詰められているというのか・・・・・!?そんなこと、ありえん!!!)

 

「私のターン!!私は魔法カード、《死者蘇生》を発動!」

 

 

マジカル・コンダクター 魔力カウンター 6→8

 

 

「またシュノロスが来るの?」

「違うな。そして、このデュエル、私の勝ちだ!!甦れ、不死鳥の騎士よ!《フェニックス・ギア・フリード》!!」

 

 シュノロスの前に炎の塊が落下してきた。その中にいたのは白と赤の鎧をまとった騎士。

 

 

フェニックス・ギア・フリード 星8 炎 戦士族 攻2800/守2200

 

 

「《フェニックス・ギア・フリード》もデュアルモンスター。よって私は再度召喚する!」

「どんな効果なの?」

「状況的にはおまけ程度のものだ。そもそも私の狙いは別にある!私は二枚の装備魔法、《神剣―フェニックスブレード》と、《巨大化》をギア・フリードに装備!!」

 

 ギア・フリードの剣の柄が金色の鳥を模した形になった。

 

 

フェニックス・ギア・フリード 攻2800→5900

 

 

マジカル・コンダクター 魔力カウンター 8→12

 

 

「見るがいい!《巨大化》の効果で攻撃力は2倍、さらに300追加されて5900!!これでお前の場のバテルを攻撃すればお前のライフは0となる!」

 

 バテルは先程の攻撃で攻撃表示になっている。しかもエトワールの効果で多少上がっているとはいえ、その攻撃力はたった1100。

 

「これで本当に終わりだァ!!《フェニックス・ギア・フリード》で《魔導書士 バテル》を攻撃!バーニング・フェニックスブレード!!」

 

 《フェニックス・ギア・フリード》がバテルとの距離を一気に詰めた。

 

「春さん!!」

 

 三度春を庇おうとするが、咄嗟に千鳥が腕を掴んだ。

 

「ちょっ、待ちなさいよ!!死ぬつもり!?」

「HA☆NA☆SE!!」

 

 フユは手を振りほどいたが、もう間に合わない。

 バテルは斬られ、そこから土煙が舞い上がった。

 

 

「春さあああああああああああああああああん!!!」

 

 

「フハハハハ。私の勝ちだ。さぁ、次はどちらが相手だ?」

 

 シュノロスが二人の方を向いた時だった。

 

「イッターイ・・・」

 

「「「「!!!」」」」

 

 しかし煙の向こうには春がいた。デフォルメのタンコブを抑えてうずくまっていたが。

 

 

春 LP2800→LP800

 

 

フェニックス・ギア・フリード 攻3100

 

 

「馬鹿な!?ギア・フリードの攻撃力が下がっている!?」

「さっき攻撃された時にセットしておいた《サイクロン》で《巨大化》を破壊してたんだよ・・・」

「よ、良かった・・・・」

 

 ホッと胸をなでおろすフユだったが、

 

「っていうか今まで全部リアルダメージはシリアスな感じだったのに、なんでここに来てギャグっぽくなったのよ」

 

などと千鳥はつっこむ。

 

「くっ」

(《フェニックス・ギア・フリード》の効果はモンスターを対象に取る魔法・罠カードを装備魔法を墓地へ送って無効化する効果と、相手が魔法を発動した時に墓地のデュアルモンスターを特殊召喚する効果。だが《サイクロン》の破壊対象は魔法・罠。それにダメージステップも終わった今、蘇生効果も使えない・・・)

 

 

オレイカルコス・シュノロス LP1600 手札0

モンスター/《フェニックス・ギア・フリード》

魔法・罠/《神剣―フェニックスブレード》

 

 

「それじゃ、私のターン、ドロー!―――まずは折角一杯あるから《マジカル・コンダクター》の魔力カウンターを9個取り除いて、墓地のトールモンドを特殊召喚!」

 

 

マジカル・コンダクター 魔力カウンター 12→3

 

 

魔導天士 トールモンド 攻2900→3500

 

 

「今度こそ本当にラストバトル!まずはトールモンドで《フェニックス・ギア・フリード》を攻撃!ジ・エンド・オブ・マジック!!」

 

 《フェニックス・ギア・フリード》の体には、槍が、杖が、弓が、剣が突き刺さった。

 

 

シュノロス LP1600→LP1200

 

 

「わ、私は・・・!」

「これで終わり!ハイロンでダイレクトアタック!!マジック・インパクト!!」

「こんな小娘に敗けるというのかアアアアアアアアアァァァァッ!!!」

 

 

オレイカルコス・シュノロス LP1200→LP0

 

 

 

 

 シュノロスはこのダイレクトアタックで○ケット団よろしく大爆発からの空の彼方へ飛んでいった。流石に「ヤな感じ〜!!」とは叫ばなかったが。

 

「皆様、本当にありがとうございました。これでまた、皆と楽しく働くことができます」

 

 ティアラミスは事務仕事を終え、庭にやって来ると、頭を下げた。

 

「というか、ほぼ全部春さんのおかげですけどね」

「今度また来るからね。その時はまたお菓子よろしく!」

 

 春の言葉にティアラミスは笑ってこう返した。

 

「―――はい」

「あ、そう言えば私まだ他のマドルチェにちゃんと会ってなかったんだ」

「ほとんどの者が工場にいますので、お連れいたしますね」

「わーい」

 

 ティアラミスと春は工場の中に入っていった。そのあとを追おうと三人が歩き出そうとした時、後ろからエンジン音が聞こえてきた。

 

「おんや、皆さん。もうデュエルは終わったんですか?」

 

 振り返ると、声の主はスクーターに乗った《ガチガチガンテツ》だった。

 

「《ガチガチガンテツ》殿、そちらはどうでしたか?」

「英雄さんが倒してくれましただ」

「どうしてここに?」

 

 カオス・ソルジャーとフユが代わる代わる問う。

 

「配達に来たですだよ。ウチの農園で採れた果物なんかをここで使ってもらってるんです」

「へぇ、そうだったんだ。見せて見せて」

 

 千鳥が興味を示した。

 

「いいですだよ」

 

 言うとガンテツはシートの下からデカイ発泡スチロールの箱を取り出して開いた。三人が覗き込んだ中にあったのは、《ナチュル・ストロベリー》達だった。もちろん(?)首から上だけである。その顔は絶望という言葉がピッタリな表情だった。これにはフユと千鳥も言葉を失う。

 

「これはよくできていますね。流石貴方がたが育てただけある」

 

 しかしカオス・ソルジャーだけは感心していた。

 

(え!?何で感心してるの!?何でこんな惨殺死体見て平気でいられるの!?)

(なんだろう・・・?虫とか平気で食べてるどこかの原住民族を見てる気分だ・・・)

 

 

 

 こうしてフユと千鳥だけは悶々とした気分の中、修羅場チームは翌日、次なる目的地へと旅立つのだった。

 

 




 ここ何話かゆるふわデュエルが続いていますが、次回は結構ガチシリアスなデュエルになります。
 それにしても《オレイカルコスの結界》がOCG化されるとは思いもしませんでした。《ティマイオスの眼》もカード化されましたし、クリティウスやヘルモスもOCG化される日も来るかもしれませんね。
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