遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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第五十八話 「エアトスと女神の聖剣の効果が噛み合わないorz」

「さ、寒ィ〜・・・・・・」

 

 いきなり愚痴るのはケイト。三話ほど前はこれと真逆のことを言っていた。だがしかし、昨日は火山にいたのに、今現在は激しく雪の降る島にいる。これほどまで対極で過酷な環境に置かれたら文句の一つでも言いたくなるというものだ。

 

「た、確かにこれは、耐え難いものがあるな・・・・」

 

 英雄もガタガタと震えている。

 

「逆に考えるんだ。こんな所をか弱い女子に行かせなくて良かったと」

 

 二人ほどではないが秋人も表情は険しい。

 

「つーか、ここにも一人か弱い女子がいんだけど?」

「モンスターと互角に殴り合う奴を、か弱いとは言わない」

 

 そして火山だろうが雪原だろうが零士は仏頂面である。

 

「皆さん、お喋りはここまでのようです」

 

 エアトスが前を見ながら言った。その先には人影が二つ。

 

 いや、『人』影ではない。

 人間にしては胴体が長く、翼のようなものも見える。

 

「やはりこちらの一行だったか」

「俺はもう一つの方が良かったんだけどな」

 

 そんな会話をしているのは《氷結界の龍 グングニール》と《氷結界の龍 ブリューナク》だった。

 

「ここでの相手は君達のようだな」

「その通りだ。だが俺達の倒したい相手はお前達ではない。別で動いている男の方だ」

「フユのことか!?なぜ狙う!?」

 

「決まっているだろう・・・」

「アイツは、いやアイツの使うカードの中には・・・・・!!」

 

「「裏切り者のトリシューラがいるんだよぉ!!」」

 

「・・・・は?」

 

「アンニャロウ俺を差し置いて一人だけ禁止解除されやがって!!」

「それに召喚に縛りがほとんどないから俺より就職先が多いしよォ!!」

 

「何だこいつら。ただ自分が活躍できないのを妬んでるだけじゃねーか」

 

 ケイトも呆れ顔である。

 

「うるさい!とっととお前らを倒して、次はあの裏切り者だ!!」

 

「次?お前達に、次などあるわけがないだろう」

「なんでかって?それは、俺達が勝つからだ!」

 

 一歩前に出た零士と秋人。

 

「いいだろう。ならばタッグデュエルで勝負だ!!」

 

 と、両陣営ノリノリになってきたところで、英雄はある事に気付いた。

 

「ん?そう言えば他の《氷結界》のモンスターはいないのか?今までだったらいそうなものなんだが」

「いるわけないだろ!寒いんだから!!」

「えぇー・・・・・」

「こんな馬鹿の言うことに一々構うな。とっとと始めるぞ」

「ヒデェー・・・・・」

 

「「「デュエル!!!」」」「デュエル」

 

 

零士&秋人 LP8000

 

氷結界の龍 ブリューナク&氷結界の龍 グングニール LP8000

 

 

「オレの先攻。―――オレは《異次元の生還者》を召喚」

 

 

異次元の生還者 星4 闇 戦士族 攻1800/守200

 

 

「さらに魔法カード《封印の黄金櫃》を発動。デッキから《ネクロフェイス》を除外」

「うーわ。早速来やがったよ」

「除外された《ネクロフェイス》の効果。互いのデッキの上から五枚を除外する。―――この場合、オレと直前のターンプレイヤーのみこの効果が適用される」

 

 零士が指差したのはグングニールの方だ。

 

「ご、五枚ものカードを除外だと・・・!?」

「オレはカードを一枚セットしてターンエンドだ」

 

 

零士 LP8000 手札2

モンスター/《異次元の生還者》

魔法・罠/リバース×1

 

 

「ふん。たかが1800のモンスターと五枚の除外が何だというのだ!俺のターン、ドロー!」

「永続罠《マクロコスモス》を発動」

「えーっ!?」

 

 零士のデュエルを一話でも読んだことがある人は予想できてましたよね?

 

「お前やグングニール、というか氷結界の多くは墓地に依存する効果を持つことは知っている。だが全てのカードを除外する《マクロコスモス》の前には、お前達自身を召喚したとしても無力!」

「なんでお前が誇らしげに語っている?」

「クソ・・・。俺達を前にプチ漫才始めやがって」

(だが、野郎の言う通り打つ手はほとんどない)

「俺はモンスターを一体セットしてターンエンド!」

 

 

氷結界の龍 ブリューナク LP8000 手札5

モンスター/リバース×1

 

 

 直後、秋人はニヤリと笑った。

「フッ、俺のターン、ドロー。―――俺は《剣闘獣ラクエル》を召喚!」

 

 

剣闘獣ラクエル 星4 炎 獣戦士族 攻1800/守400

 

 

「バトル!《剣闘獣ラクエル》でセットモンスターを攻撃!」

 

 ラクエルが伏せられているカードに飛びかかった。

 姿を見せたのは赤毛の女モンスター。

 

 

氷弾使いレイス 星2 水 海竜族 チューナー 攻800/守800

 

 

「残念だったな。《氷弾使いレイス》はレベル4以上のモンスターとの戦闘では破壊されない!」

「残念なのはお前の方さ。俺は《異次元の生還者》では攻撃せず、バトルフェイズ終了時にラクエルの効果を発動!このモンスターをデッキに戻し、デッキから《剣闘獣アウグストル》を特殊召喚!」

 

 ラクエルに代わり召喚されたのは二足歩行の鳥モンスター。

 

 

剣闘獣アウグストル 星8 闇 鳥獣族 攻2600/守1000

 

 

「いきなり攻撃力2600の上級モンスター!?」

「だが、いくら攻撃力があろうとレイスには・・・」

「アウグストルの効果!《剣闘獣》の効果でデッキから特殊召喚された時、手札から《剣闘獣》を表側守備表示で特殊召喚できる!現れろ《剣闘獣ベストロウリィ》!」

 

 

剣闘獣ベストロウリィ 星4 風 鳥獣族 攻1500/守800

 

 

「俺はベストロウリィとアウグストルをデッキに戻し、融合!《剣闘獣ガイザレス》!」

 

 

剣闘獣ガイザレス 星6 闇 鳥獣族 攻2400/守1500

 

 

「ガイザレスのモンスター効果、発動!フィールドのカードを二枚まで破壊できる!《氷弾使いレイス》を破壊!」

 

 ガイザレスは高速で突進し、レイスをぶっ飛ばした。

 

「こうもあっさりと・・・」

 

「俺はカードを一枚セットしてターンを終了する」

 

 

秋人 LP8000 手札3

モンスター/《異次元の生還者》《剣闘獣ガイザレス》

魔法・罠/《マクロコスモス》リバース×1

 

 

「クッ、俺のターン、ドロー!―――どうやら運は俺達の味方らしい」

「ほう」

 

 秋人はうすら笑いを浮かべている。

 

「俺は手札の《氷結界の虎将 ガンターラ》《氷結界の神精霊》《氷結界の風水師》を見せ、お前達の《マクロコスモス》を選択し、魔法カード《氷結界の・・・」

 

「カウンター罠《ディザーム》を発動!」

 

「え?」

「っつーか最後まで言わせてやれよ」

「手札の《剣闘獣ホプロムス》をデッキに戻し、魔法カードの発動を無効化する」

「何ィッ!?」

「《氷結界》で最も警戒すべきは《氷結界の三方陣》だからな。事前に手を打っておくのは当然さ」

「だがまだだ。まだ終わらんよ!《氷結界の風水師》を召喚!」

 鏡と前髪で顔がほとんど見えないが、かろうじて女性だと分かるモンスターが現れた。

 

 

氷結界の風水師 星3 水 魔法使い族 チューナー 攻800/守1200

 

 

「風水師の効果発動!手札のガンターラを捨て、闇属性を宣言する!これでお前達の闇属性モンスターはこのモンスターに攻撃することはできん!ターンエンドだ!」

 

 

氷結界の龍 グングニール LP8000 手札3

モンスター/《氷結界の風水師》

 

 

「こちらのモンスターは闇属性のみか・・・。オレのターン、ドロー。このスタンバイフェイズ、《封印の黄金櫃》の効果で除外されていた《ネクロフェイス》を手札に加える。モンスターを一体伏せてターンエンドだ」

 

 

零士 LP8000 手札3

モンスター/《異次元の生還者》《剣闘獣ガイザレス》リバース×1

魔法・罠/《マクロコスモス》

 

 

「攻撃はしないか・・・。まぁ当然だがな。俺のターン、ドロー!―――俺は《氷結界の舞姫》を召喚!」

 

 青い髪をツインテールにした少女が召喚される。

 

 

氷結界の舞姫 星4 水 魔法使い族 攻1700/守800

 

 

「さっきから、お前達のモンスターは女ばかりだな」

「たまたまだ!それに効果だってすごいんだぞ!今は使えないけど」

 

「知らねー読者用に説明すると、舞姫はフィールドに他の《氷結界》がいれば手札の《氷結界》モンスターを好きなだけ見せて、その数だけ相手のセットカードを手札に戻す効果があるんだ」

 

 ケイトの言うように、零士達のフィールドには表側の罠しかないので舞姫の効果は使えないのだ。

 

「だが俺の狙いはこれだ!レベル4の《氷結界の舞姫》に、レベル3の《氷結界の風水師》をチューニング!―――シンクロ召喚!凍てつけ、《氷結界の龍 グングニール》!」

 

 まさかの相方召喚である。

 

 

氷結界の龍 グングニール 星7 水 ドラゴン族 攻2500/守1700

 

 

(奴らのフィールドで最も攻撃力が低いのは《異次元の生還者》。だが《マクロコスモス》がある限り何度でも蘇る。ならば・・・)

 

「俺は《氷結界の龍 グングニール》で《剣闘獣ガイザレス》を攻撃!」

 

 今までの精霊の如くどこか抜けているが、流石は氷結界に封じられし龍の一角。屈強な剣闘獣を氷のブレス一つで倒した。

 

 

零士&秋人 LP8000→LP7900

 

 

「・・・・・・・」「・・・・・フゥン」

 

「馬鹿な!?たった100ポイントとはいえ、お前達には相応のダメージが入ったはず!」

「なのに顔色一つ変えないどころか片方は社長のモノマネをするだと!?」

「悪いがこの程度のダメージは互いに慣れているんでな!」

「チッ、ターンエンド!」

 

 

氷結界の龍 ブリューナク LP8000 手札5

モンスター/《氷結界の龍 グングニール》

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

(とはいえ、状況は僅かだが向こうの有利に傾きつつある。零士は前のターン何を伏せた?)

 

 秋人はデュエルディスクのボタンをイジってセットモンスターを確認した。

 

(セットモンスター、零士の手札、相手のライフ、そして今回のサブタイ・・・。ここから考えられる零士の動きは・・・・・・。なるほど、大まかにだが把握した!)

 

「俺は《剣闘獣ダリウス》を召喚!」

 

 

剣闘獣ダリウス 星4 地 獣戦士族 攻1700/守300

 

 

「さらにカードを二枚伏せてターンエンドだ!」

 

 

秋人 LP7900 手札0

モンスター/《異次元の生還者》《剣闘獣ダリウス》リバース×1

魔法・罠/《マクロコスモス》リバース×2

 

 

「俺のターン、ドロー!――よし!手札から《サイクロン》を発動!破壊するのはもちろん《マクロコスモス》!」

 

 文字通りカードからサイクロンが出現し、《マクロコスモス》を破壊した。

 

「これで俺の効果を発動できるようになった」

 

(俺の効果で破壊できるカードは二枚まで。除外の方のセットモンスターをリバースしなかった辺り、《人喰い虫》のようなカードではなく《異次元の女戦士》のようなモンスターか?《剣闘獣》の方は俺がいるにも関わらず攻撃力の劣るダリウスを召喚した。つまり、その後に伏せたカードに何かがあるということ)

 

「俺は俺の効果を発動!手札を二枚墓地へ捨て、お前達のセットカード二枚を破壊する!」

 

 モンスターとして召喚されている方のグングニールが雄叫びをあげる。

 

「悪いがそれにチェーンしてお前が破壊しようとしたカードの一枚、《和睦の使者》を発動させてもらう」

「そんなカードまで入れているのか」

「攻撃宣言時に発動すれば俺のモンスターは戦闘破壊されないが、戦闘自体は行った形になるから、考えようによってはミラーフォース並に便利なんだよ」

 

 そしてもう一枚は《サイクロン》。こちらは普通に破壊された。

 

「《和睦の使者》が発動されているなら、攻撃したところで無駄か。ターンエンド」

 

 

氷結界の龍 グングニール LP8000 手札1

モンスター/《氷結界の龍 グングニール》

 

 

「だ、そうだ。決めてやれ零士」

 

「当然だ」

 

「馬鹿な!?こちらのライフは8000。さらにグングニールがいる!そんな状態で1ターンキルなど・・・」

 

「できる。なぜなら、お前達がわざわざ《マクロコスモス》を破壊してくれたからな」

 

「どう言う意味だ!?」

「今に分かる。―――オレのターン、ドロー。オレは永続魔法《次元の裂け目》を発動。さらにカードを一枚セット。―――――そして、オレ達の墓地にモンスターはいない」

 

 ここでケイトはハタと気付く。

 

「あれ?そういやさっきからエアトスいなくね?」

「ああ。そう言えば」

 

 ケイトと英雄が辺りを見渡すがエアトスはいない。で、ケイトが上を見た時だった。

 

「あ、いた」

 

「《ガーディアン・エアトス》を特殊召喚」

 

 零士の言葉に導かれるように、エアトスは天空からゆっくりと降下してきた。しんしんと降る雪と相まって、その姿は美しい。否、ふつくしい。

 

 

ガーディアン・エアトス 星8 風 天使族 攻2500/守2000

 

 

「なぜ上空で待機していた?」

「マスターが私を召喚する際、少しでもお洒落な方がいいと思いずっとスタンばってました」

「何をごちゃごちゃと!!」

「エアトスの攻撃力は2500。俺と相打ちすることしかできんぞ!」

「確かに、このままでは駄目だ。だからオレは《メタモルポット》を反転召喚する」

 

 

メタモルポット 星2 地 岩石族 攻700/守600

 

 

「《メタモルポット》だと!?」

 

「効果は知っているな。互いに手札を全て捨て、五枚ドローする。そしてオレの手札はこの一枚、《ネクロフェイス》」

 

「なっ・・・」

「五枚のカードをドローした後、《次元の裂け目》の効果により除外された《ネクロフェイス》の効果が発動する。互いのデッキの上から五枚のカードをゲームから除外」

「だが、いくらカードを除外したところで、いくらカードをドローしたところで!!逆転のカードを引かなければ・・・」

 

「それなら既に引いている。オレは先程セットしておいた《女神の聖剣‐エアトス》をリバース発動」

 

「馬鹿め!《ガーディアン・エアトス》の効果で墓地に送れば、女神の聖剣はタイミングを逃す!」

 

「そんなことは知っている。そしてこのカードは何も自分に装備する必然性はない。このカードを装備させるのは、《氷結界の龍 グングニール》」

 

「何っ!?」

 

 

氷結界の龍 グングニール 攻2500→3000

 

 

 本来なら剣なので手に持つべきなのだが、いかんせんグングニールには手がないので、何故か頭に突き刺さった。

 

「・・・・・おい。なんかこれ、嫌がらせにしか見えないんだけど?」

「気にするな。そういう演出だ」

 

「絵ヅラはヒデェけど上手い!グングニールさえ破壊すれば、女神の聖剣はタイミングを逃さねぇ!!」

「だが、攻撃力3000のモンスターをどうやって倒すんだ!?それにもしエアトスで攻撃すれば、攻撃力が上がっても追撃することはできない!」

 

「フッ、何も戦闘で破壊する必要はないさ。不屈野君」

「ああ。オレは《メタモルポット》をリリースし、《邪帝ガイウス》をアドバンス召喚」

 

 帝モンスター筆頭とも言えるカード。最近帝シリーズの強化版が何体か登場しているので、このモンスターにも期待がかかる。

 

 

邪帝ガイウス 星6 闇 悪魔族 攻2400/守1000

 

 

「《邪帝ガイウス》の効果発動。《氷結界の龍 グングニール》を除外」

「しまった!そういうことか!!?」

 

 ガイウスの放った闇の塊がグングニールを蝕んだ。

 

「グングニールは除外され、同時に《女神の聖剣‐エアトス》が墓地へ送られた。これにより、第二の効果を発動。互いの除外されているモンスター一体につき、エアトスの攻撃力を500アップさせる」

 

 女神の聖剣は、本来の持ち主の手に渡った。そしてエアトスは聖剣を高々と掲げ、除外されたモンスターの魂を吸収していく。

 

「み、味方の除外されたモンスターも含むのか!?・・・・って、何体除外されてたっけ?」

「えーと、零士達はガイザレス、メタモル、ネクロの三体。向こうの氷結界コンビはレイスに風水師、舞姫、それとグングニールの四体。でも《ネクロフェイス》の効果で合計で二十枚もカードが除外されてんだ。それだけじゃないと思うぜ」

 

「《ネクロフェイス》の効果で除外されたオレのモンスターは計四体。お前達は何体除外された?」

「さ、さぁなー?」

 

 グングニールは目をそらし、口笛を吹いていた。

 

「なんともまぁベタな・・・」

「構わない。どちらにしろこれだけで攻撃力は5500アップして8000。それに、機械は嘘をつかない」

 

 

ガーディアン・エアトス 攻2500→11000

 

 

「なるほど。六体だったか」

 

 自らの三倍以上のパワーを得て、聖剣はもう聖剣というより○イザーソードみたいになった。

 

「これで終わりだ。《ガーディアン・エアトス》の攻撃。聖剣のソウル」

「RRRRRRRYYYEEEEEEEE!!」

 

 

氷結界の龍 グングニール LP8000→LP0

 

 

 グングニールは地平線の彼方まで飛ばされ、見えなくなる頃には『キラーン』という音が聞こえてきた。

 

「残りはお前だけだ」

 

 エアトスがブリューナクの喉元に剣を突きつけた。

 

「ヒィッ!」

「お前達精霊は死ににくいらしいな。オレの質問に正直に答えなければ、バラバラの肉塊にしてやる」

「な、なんだ・・・?」

 

「簡単なことだ。お前達を仕切っている人間の居場所を教えろ」

 

 ブリューナクは一瞬ためらったが、口を開いた。

 

「お、お前達が最初にいた街の近くの森だ。その奥地に教会がある」

「おいおい、いいのかよ?大将の居場所をそんな簡単に吐いて」

「フン。どうせお前達ではあの方には勝てん。全員焼き殺されるに決まっている」

 

 ブリューナクの高笑いが雪原に響く。

 

「―――――いいだろう。お前はもう用済みだ」

 

「なっ!?答えれば斬らないんじゃ・・・」

 

「『答えなければ斬る』と言っただけだ」

 

 エアトスが無言で剣を大上段に構える。

 

「今楽にしてやる」

 

そして聖剣は、振り下ろされた。

 

「ウゲゲアアアアアアアアアアアァァァ!!!」

 

 

 

「しかし、お前も冷徹に見えて案外甘いな。今更だが」

 

 一行は来た道を引き返していた。船を使い街の方へ戻るためだ。

 

「奴を殺すことに価値も意味もない。それだけだ」

 

 結局あの直後エアトスの剣は空振った。無論わざとだ。もっともブリューナクの方は気絶してしまったが。

 

「そんなことより、今は最後の目的地へと行くのが先決だ」

 

 零士の表情は僅かではあるがいつもより厳しい。おそらく内心はこんなものではないだろう。

 

 

「優奈の仇は、オレが討つ」

 

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 それを後ろから見ていたエアトスの顔は、どこか悲しげだった。

 

 




 相変わらずギャグなのかシリアスなのかよく分からない回になりました。でもやっぱりこの小説のシリアス成分はほとんど零士のおかげで成り立ってますよね。
 次回はほぼほぼギャグ回になります。だって主人公が好き勝手しまくるんだもの。
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