遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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非日常的日常編その1
第六十五話 「テストなんて闇の炎に抱かれて消えろ」


 廃校舎を出ると、もう太陽は西に傾き始めていた。

 

 精霊世界、そして結果的に彼らの住む世界を救ったフユ達七人だが、さらなる敵が待ち構えていた。中間テストである。特にケイト、英雄、春という、どう考えても勉強できないだろう三人は完全に意気消沈していた。

 

「中間テストか。ま、頑張ってくれたまえよ」

 

 秋人は完全に他人事である。

 

「余裕だな」

「というか、俺プロ兼業してるからテストは特別に免除されてるんだよな、これが。それにぶっつけで受けても良い点は取れるしな」

 

 この一言でおバカ三人組は恨みの眼差しを秋人に向けた。

 

「そういうわけだ。これから校長と今回の一件の事後処理の話し合いがあるから、俺はこれで失礼させてもらうよ」

 

 そう言って秋人は旧校舎に戻っていった。

 

「それにしても、まさかアンタ達テストあること覚えてなかったの?」

 

 呆れた様子の千鳥が言った。

 

「え?もしかして覚えてたの?」

「当然よ。それに、テスト勉強もばっちりなんだから」

 

 珍しくドヤ顔な千鳥。そして今度は英雄がイケメン二人に視線を向けた。

 

「まさか・・、お前らも・・・・・?」

「うん。バッチリだよ」

「無論だ」

 

 英雄が頭を抱える中、ケイトは無理やり笑顔を作った。

 

「ま、まぁオレは『デュエル』さえどうにかなれば後は別にいいけどな!」

「「そ、そーだそーだ!」」

 

 しかし次のフユの一言で彼らの希望は完全に打ち砕かれた。

 

「あぁ、そう言えば『デュエル』は筆記試験だったような・・・・」

「「「―――――――――――――――――――――――――――――」」」

 

 三人の目から、ハイライトが消えた瞬間だった。

 

「な、なんで・・・?」

「実際のデュエルは授業中に充分見たから、テストでは知識面を見るって先生が・・・・」

 

「「「勉強教えてくださいィィィ!!」」」

 

 すがる三人と、すがられる三人。

 

「うん、いいよ」

「断る」

「ちょっ、嫌よ!私だって何日か空いた分復習しておきたいんだから!」

 

 即OKするフユと、即拒否る零士と千鳥。

 

「そんなこと言うなよぉ!人に教えたらその分自分の勉強にもなるって言うじゃねえか!」

「まぁまぁ二人共。『情けは人のためならず』って言うし、ここは手伝ってあげたら?」

 

「そこまで言うなら・・・、別に構わないわよ」

「・・・・・・・・いつ、どこでするのか、さっさと決めろ」

 

 ケイトの必死の説得とフユがとりなしてくれたおかげで、二人も渋々承諾した。

 

「そうだね。アカデミアで・・・、はちょっと時間的に中途半端だから色々と面倒なことになるかもしれないし、ここは誰かの家なんかがいいんじゃないかな?」

 

 フユの意見に五人は納得したが、これは実際のところフユの作戦で、上手い事春の家にお邪魔できたらな、という欲望丸出しの狙いがあった。

 

「んじゃ誰んち行くかはジャンケンで決めようぜ」

「僕は別にそれで構わないよ」

(チッ)

 

 これも即採用。フユは内心舌打ちしていたが。

 

「それじゃ、ジャーン、ケーン・・・・・・」

 

 

 

「「「「お邪魔しまーす!」」」」「・・・邪魔するぞ」

「・・・・い、いらっしゃい・・・・・・・・」

(な、なんで私の家・・・?)

 

 あの後・・・。

 六人はアカデミアに戻り荷物を回収。その後一旦自宅に帰って、千鳥の家にやって来たのだ。とは言っても、作者が全員の私服を考えるのがめんど・・・ゲフンゲフン、全員制服のままで来たのだが。

 ちなみに改めて説明しておくと、千鳥は現在遺族の残した家で一人暮らしである。なので千鳥の家には彼女以外住んでいない。

 

「それなりに広い家だな。寂しくねぇのか?」

「別に。もう慣れたわよ」

 

 ケイトが何の気なしに訊ねたが、千鳥も普段と変わらない様子で答えた。

 

「さ。留年したくなかったら、とっとと勉強始めるわよ」

「ヘイヘイ」

 

 というわけで、千鳥の家のリビングを使っての勉強会が始まったのだが・・・・、

 

「うおー!!」

「ウヘヘ、もう食べられねぇよ・・・・・」

「うー・・・・・・」

 

英雄は頭を抱えて悶絶し、ケイトは狸寝入り。春も完全に集中力が切れていた。

 

「ちょっと!アンタ達が教えてって言ってきたんでしょ!やる気あるの!?」

「そうは言っても・・・・・」

「あ、そうだ」

 

 フユはおもむろに何かが入っているであろう白い箱を持ち上げた。

 

「こっち来る前にケーキ買ってきたんだけど、試験範囲の問題一通り終わったら食べる?」

 

「「「!!!」」」

 

 さっきまでとは比べ物にならないスピードでノートと教科書のページがめくられていった。

 

「良い手を思いついたものだな」

「まぁね」

(彼らの場合「目の前にニンジンをぶら下げた馬」の要領で簡単に扱えるからね)

(どうせコイツのことだから頭の中じゃ外道みたいなこと考えてるんでしょうけど)

 

 と、まぁそんなこんなで、

 

「違う。もう一度やり直せ」

「そうじゃなくて、ここはこっちの構文を・・・・」

「うん、OKだよ。それじゃあ次は反復としてこの問題を・・・」

 

零士と千鳥の指導とフユの懐柔という、まさにアメとムチを巧みに利用した勉強法で勉強会は成功した。

 

ように思われた。

 

 

 

 千鳥の家で勉強会が始まったのが夕方だったせいで、気がついたらもう夜中になっていた。

 

「あ、もうこんな時間!―――千鳥ちゃん」

「何?」

「お風呂・・・、借りてもよろしいでしょうか・・・?」

「いいけど、水道代かかるからお湯使い過ぎないでよ」

「はーい」

「部屋を出た左側だから」

「ありがとー」

 

 こうして春が部屋を出て数分後のことだ。

 

「千鳥、おふ・・・」

「駄目よ」

「まだ何も言ってないじゃないか」

「アンタの考えてることなんてお見通しよ。どうせ覗くつもりだったんでしょ!?」

「しょうがないじゃないか!向こうの世界で覗くつもりだったのに覗けなかったんだから!」

「アンタがキレるところか!!そんなに春の裸体拝みたければ性転換でもしてこい!!」

「流石にそれはあんまりだよ」

 

 などと言いながらフユは席を立ち、部屋を出ようとする。

 

「ちょっと!どこ行くつもりよ!?」

「失敬な!トイレだよ」

 

 フユはそう言って部屋を出ていった。

 

「・・・ケイト?」

「んー、足音は右に行ってるな。風呂とは逆方向だ」

 

 ケイトの言葉で安堵した千鳥は勉強再開。しかしものの一分かそこらで部屋に入ってきた者がいた。

 

「千鳥、ちょっとこれからお風呂借りてもいいかなー?」

 

 女装版フユだ。

 

「いいわけないでしょ!!!」

 

 もちろん即却下。

 

「そもそもその服はどこで拾ってきた?」

 

 零士の質問ももっともなところである。

 

「ああ、そこのタンスの中から・・・・」

「百回死ね!!!!」

 

ドゴォ!

 

「ゴファッ!」

 

 

 

 一悶着ありつつもおバカトリオの勉強は順調に進み、夜更けには勉強会は終了となって、全員帰ることになった。

 

「今日は世話になったな」

「でも起きて半日も経ってないからあんまり眠くないよ」

「そんなこと言って、明日テストの間熟睡しても知らねえぞ?」

「そ、それは嫌だ!」

「それじゃ千鳥、また明日な!」

「うん、バイバイ」

 

 千鳥は玄関で彼らを見送ったあと部屋に戻ると、未だに気絶しているフユに目が止まった。

 

「・・・・・・・・・・・もう」

 

 フユに布団をかける千鳥。ちなみにこの二人の家は結構近かったりする。

 

(私もお風呂入ろ)

 

 千鳥は部屋を出ながら今日のことを思い出した。

 

(たまにはこういうのもいいかもね)

 

「う〜ん・・・・・・」

 

 そのすぐあとにフユは目を覚ました。そして誰もいない部屋を見て皆もう帰ったということを理解した。

 

「僕も帰るか。あ、その前に着替えないと」

 

 フユは制服に着替えると、さっき女装用に着た服を見て一つ考え込む。

 

(これどうしようかな・・・?一応洗濯機に入れておくか。確か、風呂場の前にあったよね)

 

 で、即行動。そしたらもちろん・・・・。

 

「なっ・・・・・・!」

 

 下着が見えかけの千鳥が(そのへんはご想像にお任せします)。

 

「あぁ、千鳥。さっき着てたこの服、洗濯機に入れておいてもいいかな?」

 

「なんで私の外観に特に反応しないのよ!!!」

 

 

 

 翌日。中学生以上の読者ならご理解いただけるだろうが、試験というものは二、三日かけて行われる。なお、国数英社理がどんなものだったかは普通すぎるので省略させていただく。

そして『デュエル』の筆記試験。これが一体どんなものなのか、千鳥からの視点でお楽しみください。

 

 

 

 試験が始まる数分前、各生徒に用紙が配られた。問題と解答が一緒になったタイプで、片面印刷された用紙が二枚となっている。

 それだけなら普通なのだが、千鳥はもうこの時点でものすごーくつっこみたかった。なぜなら。

 

「試験が始まったら、忘れずに名前と出席番号を書いてくださいね」

(なんで校長先生が試験監督やってんのよおおおお!!!!)

 

 流石にこの状況で声に出してツッコミを入れるわけにもいかないので、心の中だけに留めておく。

 

「それでは・・・、始めてください!」

 

 教室中に紙をめくる音が響く。そして問題を目にした千鳥は、内心ガッツポーズをした。

 

(何よこれ。ほとんど記号の選択問題じゃない!これなら消去法か、最悪勘で・・・)

 

 なんて考えていた時だった。

 

「かっとビングだ、オレ!!」

 

 いきなりそんなことを叫ぶ輩がいた。ケイトである。

 

(ちょっ、何言ってんのよケイト!?気持ちは分からなくもないけど、でも今言うことじゃないでしょ!?あとなんで校長も注意しないの!?)

 

 そんなことを考えつつも、一問目に目を通した。

 

問1.次の中で、正しいものを答えよ。

 

(何これ?モンスター効果か何か?)

 

1.離せ! 2.ハナセ! 3.HA☆NA☆SE!

 

(DO☆U☆CHI☆GA☆U☆N☆DA☆YO!!!)

 

 などとつっこみつつも、ちゃんと「3」を選んだ千鳥。そして次の問題。これは筆記系の問題だった。

 

問2.このアカデミアがある町の名前を答えよ。

 

 これには一瞬クスッと笑った。

 

(こんなの簡単じゃない。何年ここに住んでると思ってるのよ)

 

ちなみにハーメルン版ではこの問題は解けませんでした。

 

(次々!)

 

問3.この中で一番酷いのはどれ?

 

1.○ラシドの扱い 2.○ーマ編での王様のメンタル 3.みさ・・・、誰だっけ?あのラーイエローの人

 

(どれも酷いわあああああああああ!!!)

 

 危うくテスト用紙を破り捨てそうになった。

 しかし、その後も「なぁにこれぇ」な問題は続くわけで。

 

(「人が合体できるのはどれでしょう」?モンスターもDホイールも異世界人も無理に決まってるでしょうがあああああ!!!)

 

(「この中で顔芸が酷いのは誰」?闇○リクも正位置も黒薔薇の魔女もゲスも似たようなもんだろうがああああああああ!!!)

 

(「○間俊介さんご結婚おめでとうございます」?最早問題ですらねええええええ!!!それに何年前の話してんのよ!!)

 

 さらには周りから次々と声が聞こえてくる。

 

「かっとビングだ、俺!!」

「かっとビングだ、俺!!」

「カイトビングだ、俺!!」

「胸のキュンキュン、止まらないよ!」

「キャットビングよ、私!!」

 

(さっきからかっとビング、かっとビングうるせええええええええ!!!しかもなんか一人明らかにおかしい人いたし!!そもそもこんなふざけた問題作ったの誰よ!?)

 

 なんて考えていたら教室に入ってきた教師がいた。

 

「問題に訂正があります。問3の三番目の選択肢のところを「○沢大地の存在感」に変えておいてください」

 

 彼女らの担任、宵星真理亜だ。

 

(やっぱりアンタかいいいいいいいいい!!!それに訂正しても中身ほとんど変わらないし!!)

 

 いつ声に出してつっこむか分からないようなテンションになりつつも、やっと一枚目最後の問題にたどり着いた。

 

問64.次の中で《甲虫装機 ホーネット》の破壊効果を防げるのはどれか答えよ。

 

1.《天罰》 2.《禁じられた聖槍》 3.《封魔の呪印》

 

(ここに来て普通に難しい問題!?)

 

 というわけで、千鳥は考え込んだ。

 

(確か、ホーネットの破壊効果は『装備魔法』としての効果だから《天罰》は確実に違う。となると、残りは二つ。どちらも魔法カードを無効化できるけど・・・・・・)

 

 しばらく考え込んだが、一つ、閃くものがあった。

 

(あれ?前に似たような状況を体験したような・・・・、あ!)

 

 これはこれで声を上げそうになったが、思い出した。

 

(「デュエルフェスタ」の時の!)

 

 そう。デュエルフェスタ二回戦、あの時千鳥は零士と組んでタッグデュエルをしたのだ。その時の相手は【スクラップ】と【甲虫装機】。相手はホーネットの破壊効果を使ったのだが、千鳥は零士のカードを使ってこれを防いだのだ。その時使ったカードは・・・・・・・。

 

(《禁じられた聖槍》!)

 

 え?そうだったっけ?という人は、二十三話を見てみよう!

 

(よし!これで一枚目は終わり!――そうだ!時間は!?)

 

 時計を見ると、もう残り時間が十分を切っていた。

 

(やばい!まだ半分なのに、これじゃ時間が・・・)

 

 その時である。用紙の右下にこんな文章が書かれているのを目にした。

 

二枚目の問題は一問のみです。頑張ってくださいね。

 

(やった!これなら解答を確認する時間も・・・)

 

 なんて考えながら二枚目の紙を表にすると、デカデカとこんなことが書かれていた。

 

問65.菩薩メンタル、カウンセラーと呼ばれた、エビみたいな髪型をした主人公の口癖を叫べ(多少のアレンジは可)。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かっとビングよ、私!!!」

 

 

 

 数日後、各学年毎に中間試験の順位が廊下に張り出された。考えようによっては悪趣味極まりない行為だが、それは置いておくことにする。なお、右側に行くほど順位が高いということを先に述べさせていただく。

 で、千鳥はというと・・・、

 

「ま、こんなもんよね」

 

ほぼ平均といったところだった。

 

(さて、と。あいつらの順位でも見てあげますか)

 

 と、左側を見てもフユ、零士はもとより、ケイトも英雄も春もいない。

 

「嘘。まさか・・・・・・・・」

 

 恐る恐る右を見ると・・・、いた。五人全員。

 

「け、ケイト・・・?」

「いやぁ、ちゃんと教科書見て勉強したら案外なんとかなるもんだな!」

 

「は、春・・・・?」

「私、数学が特にダメだったからあの時集中的にやってたら・・・、100点取っちゃってました。エヘへ」

 

「ひ、英雄・・・・・?」

「最初の試験が始まる前にフユにアドバイスされてたんだ。『分からない問題は勘で書くといいよ』ってな。まさかここまで上手くいくとはなぁ!」

 

 そしてダメ押しとばかりにフユと零士はワンツーフィニッシュ。ちなみに零士が敗けたのはデュエルの最後の問題を放棄したためだったりする。

 

「あれ?千鳥、どうしたの?」

「あんたらって、あんたらって・・・!!」

「そんなことはいい。それより、これを見ろ」

 

 零士が示したのはテスト順位のフユ、零士の隣、つまり三位のことだ。

 

三位 ???

 

「『???』?何よこれ?」

「最近どこかで見たことあると思わない?」

「ま、まさかこれって・・・」

「考え難いが、もしやということもある」

 

 

 

 

 

次回予告

千鳥「もう、散々だったわ今回の中間テスト!それより、あの『???』ってもしかしてあの人?さらにフユの衝撃の新事実発覚!?次回、遊戯王スノーホワイト/ブラック『ラブコメの主人公ほど、女泣かせな男はいない』。お楽しみに!」

 

 




 デュエルをしている人なら一度でいいから「遊戯王のテスト」なんてものをやってみたいと思った方はいるんじゃないでしょうか。作者も何度もそう思いました。
 次回は新(?)準レギュラーキャラが登場します。ついでにキャラ崩壊します。
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