遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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第六十六話 「ラブコメの主人公ほど、女泣かせな男はいない」

 中間試験の順位が出た翌日、朝のホームルームでのことである。フユ達の担任、真理亜が開口一番にこんなことを言った。

 

「本日、このクラスに転入してくる生徒がいます」

 

 次の瞬間、一名を除くクラスの全生徒が窓側にノートや教科書を立てて防御の構えを取った。

 

「おーい、何してんだお前ら」

 

 その一名、ケイトが呆れ気味に言った。

 

「今回はちゃんと学校に来てますよ〜。それにちゃんと廊下に待機してもらってますから」

 

 さらに真理亜は言葉を続ける。

 

「それと、本来なら彼女は皆さんより一学年上なのですが、諸事情と本人の希望によりこのクラスに入ることになりました」

 

 『彼女』というワードで女子生徒だと分かると、とりわけ男子がざわついた。しかし、フユと千鳥に関しては嫌な予感がしていた。

 

「ちょっと黙りましょうか〜。それじゃあ入ってきてくださ〜い」

 

 ガラリと教室の戸が開き中に入ってきたのは、焦げ茶色のロングヘアーをなびかせるクール系美少女。その容姿にクラス全体が「おおっ」となるが、それとは異なる反応をする者が六人いた。

 

「あ!」

「ああっ!」

「こいつは驚いた」

「やっぱりあれって・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「そんな気がしたんだけど、まさかあなただったとはね」

 

 もちろん春、英雄、ケイト、千鳥、零士、そしてフユだ。

 

「桜木さんと不屈野君、二度も同じこと言わせないでね?」

「「ハイ・・・」」

「それじゃぁ自己紹介、してもらえる?」

「分かりました」

 

 少女は答えると、まず黒板に自分の名前を書き出した。

 

「『深海 夏希(ふかみ なつき)』だ。『海』という漢字が入っているが、使うカードは主に炎属性。よろしく頼む」

 

 直後拍手が響いたが、フユ達は未だ目の前の出来事に呆然としていた。

 

「彼女は入学試験も兼ねた中間テストで学年三位に入る秀才です。それとどうやら生徒会の五人と桜木さんは深海さんのことを知っているみたいだから、あなた達には彼女のお世話とアカデミアの説明をお願いするわね。―――――あ、それと今日は先生が別のアカデミアでちょっと研修を行うので、今日の『デュエル』の授業はフリーデュエルということにします。以上、ホームルーム終わり〜」

 

 

 

「まさかあなたがこの世界に、それも僕達のクラスに来るとはね」

 

 ホームルームが終わったあとのことである。

 

「お前達がどう思っているかは知らないが、私はもう敵対するつもりはない。それにあの炎を出す力もない。もっとも、『こっち』は出せるがな」

 

 そう言って少女改め夏希は右手の甲を見せる。

 

「どうやってこの世界に来た?目的は何だ?」

 

 零士が問い詰めると、

 

「それについては、俺から説明しよう」

 

背後から声がした。秋人だ。

 

 

 

 君達と別れて旧校舎で校長と今後のことを話し合っていた時だ。知っての通りあの精霊世界へ続く空間は一定時間残り続ける。彼女は突如あの空間から出てきたんだ。

 

「お前は・・・!!何故この世界に来た?白雪姫君へのリベンジか?」

「白雪姫・・・、ああ、奴のことか。いいや、お前達のおかげであちらでの拠点がなくなったんでな。お前達があそこを通り、カオス・ソルジャーとセームベルがいなくなったあと、隙を見て私もあそこを通ったんだ」

「・・・・この世界で行くあてはあるのか?」

「いや」

「なら落ち着く場所が決まるまでこのアカデミアで暮らすといい。生活に必要なものは俺や校長が手配しよう」

「何故そこまでのことをする?私はお前を殺しかけたんだぞ?」

「後で零士に聞いた話から察するに、君は真の黒幕と何らかの取引をして嫌々動いていたと見える。だったら君も俺や零士と同じ被害者ということだ。理由はそれだけで十分じゃないか」

 

 

 

 

「というわけだ」

 

「なるほど・・・」

 

 英雄がしたり顔で頷く。

 

「ちょっと待ちな。まだ聞かなきゃいけないことはあるぜ」

 

 ケイトが夏希を見据える。

 

「流石にお前は黒幕のことを知ってんだろ?それにフユに敗けたあと弟がどうとか言ってたよな?」

 

 夏希は一瞬考え込んだあと、口を開いた。

 

「ああ、知っている。そいつは私が気付かないうちに私の記憶の大半を奪い、取引を持ちかけてきた。『弟と記憶を取り戻したければ、自分に従え。そのための力を貸してやる』とな」

「その『借りた力』というのが、あの『炎を自在に出す力』というわけですね?そして、弟さんが未だ敵の手の中にある、と?」

「そういうことだ。顔も名前も思い出せないが、確かにいるんだ」

「それで?その黒幕ってのは?」

 

「カオス・・・、エンペラー・ドラゴン・・・・・・」

 

 それを聞いた瞬間フユは溜め息をつきながら顔に手を当てた。

 

「あ〜ハイハイ。そんなことだろうと思ったよ。どうせ作者が《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》対《混沌帝龍 ―終焉の使者―》の構図を作りたかっただけでしょ?」

「アンタのせいでシリアスな空気ぶち壊しよ!!」

 

 そんな漫才夫婦のやりとりは無視して、ケイトが夏希に告げた。

 

「ん?でも混沌帝龍ってたしか・・・」

「それ以上言わなくていい」

 

「そう言やお前住むとこないんだろ?だったらオレんち来いよ。つっても、寮生活だけどな」

「・・・いいのか?」

「ホラ、誰かの家に住み着くとしても親御さんに迷惑かけちまうだろ?その点オレは独り身だから全然構わねぇぜ」

「そんなこと言って、アンタにそんな余裕あるの?」

「ん〜、こっち来る前に結構溜め込んできたから卒業するまでだったらなんとかなるんじゃねぇか?」

「すまない・・・・。と、ところで・・・・・」

 

 夏希は軽く咳払いすると、急に乙女チックに顔を赤らめた。

 

「力を奪われたのと同時に記憶の一部が戻ったんだが、その・・・、フユ」

「はい?」

 

 急に下の名前で呼ばれたことに、少し違和感を覚えた。

 

「私とお前はずっと昔会ったことがある」

 

 これには当の本人だけでなく周囲の者大半が驚いた。

 

「ええっ!?そうだったんですか!?」

「や、やっぱり覚えてないのか!?じゃあ、『あの約束』も・・・?」

「約束?」

 

 しかし、次はもっと衝撃の真実ゥ!であった。

 

 

「私のこと、お嫁にもらってくれるって!!!」

 

 

「なっ・・・・・・・」

 

何ィ―――――――――――――――――――――――――――!!!!!!?

 

 この大胆発言にクラスメイトプラス秋人の目がフユと夏希に向かう。

 

「お、オヨメって・・・、お嫁?」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 夏希は恥ずかしそうにうつむきながら頷いた。

 

「おうおう、やるじゃねぇか、この色男!」

「はっはっは。これは一本取られたな」

 

 茶化すケイトと秋人。

 

「ちょっとフユ!!どういうことよ!?」

「僕だって身に覚えが・・・!」

 

「身に覚えが?」

 

「おー、すごいねフユ君!」

(ああ、春さんまで・・・)

 

 フユとしてはこれ以上恋路に障害が生まれるのは喜ばしくないのだ。

 

「そ、そうだ!僕のことは諦めて、零士なんかはどうかな!?僕よりもよっぽど・・・」

「―――――――――――――――――――――!!!!!」

 

パァン!!

 

 時間が止まったように教室が静まり返る。

 

「・・・・・・バカ!!!!」

 

 夏希は号泣しながら教室を飛び出していった。

 

「アンタがここまでどうしようもない馬鹿だったとはね」

「今のはお前が悪い」

「ま、惚れ込んだ男に他の男に鞍替えしろなんて言われりゃな」

「男の風上にも置けんぞ!」

「あれはあんまりだよフユ君」

「その、なんだ。へこむことはないが、ちゃんと謝るべきだと思うぞ」

 

 集中砲火である。

 

「ええー。この小説いつからラブコメになったっけ?」

 

 第三話のラストの方ぐらいからである。

 

 

 

 しかし、フユが夏希と話すきっかけができず、気まずい関係の中「デュエル」の授業。

 この授業、普段はデュエルフェスタで使われたようなでかいスタジアムを使うのではなく、机や椅子を隅に寄せて教室で行うのである。

 

「で?フリーデュエルってことは普通に自由にデュエルしてていいですよってこと?」

「まぁそういうことになるだろうね」

「アンタは私じゃなくて夏希さんとコミュニケーションとりなさいよ」

 

 夏希は今、フユからかなり離れたところで腕組みをしながら待機している。

 

「そうは言うけど、通常の三倍ぐらい近寄りがたい空気だから・・・。何とかサポート頼むよ、皆」

「五人全員巻き込むつもり?」

 

 そんな時である。

 

「千鳥ちゃん、デュエルしよ」

 

 春が千鳥をデュエルに誘った。

 

「いいわよ」

 

 特に断る理由がないので千鳥もあっさりOK。

 

(羨ましいな、千鳥)

 

 そう思いつつ、もうスペースがないためフユは観戦。

 

「「デュエル!!」」

 

 

千鳥 LP8000

 

 

春  LP8000

 

 

「私のターン!――えーと、私は《マドルチェ・マジョレーヌ》を召喚するよ」

 

 

マドルチェ・マジョレーヌ 星4 地 魔法使い族 攻1400/守1200

 

 

(今回は【マドルチェ】なのね・・・。あれって【ガスタ】と同じくらい場持ちいいから注意しないと)

 

 なんて千鳥が考えていた時だった。

 

「ハッ!どうしよう千鳥ちゃん?」

「何?もしかしてデュエルディスクが壊れたとか!?」

 

「このデッキの回し方、忘れちった♡」

 

「『忘れちった♡』じゃねぇええ!!」

 

 といった感じで和気あいあいとしながら時間が過ぎていく。そんな中フユはなんとか夏希と会話するきっかけを得なければと考え込んでいた。

 

(とりあえず、デュエルにでも誘ってみるかな)

 

 そう思って夏希の方に視線を向けると、

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

彼女はジッと佇んでいた。しかし顔は俯き気味で、両手が反対側の腕をギュッと握り、肩は震えていた。

 

(風邪?)

 

 しかしその考えはすぐに消し飛んだ。

 

 

「貴様ら!!どいつもこいつも何だそのデュエルは!!!!」

 

 

 再び静まり返る教室。

 

「お前達のデュエルからは、やる気も気迫も感じられん!!」

「まぁまぁ、そんなカテーこと言うなよ。アーククレイドルが落ちてくるでもなし」

「そうだよー。厳しすぎるよ、なっちゃん」

「なっちゃん言うな!!」

 

 ケイトと春がとりなすも、一向に効果なし。

 

「デュエルとは、魂と魂のぶつかり合い!!貴様ら全員そこになおれ!!一から指導してやる!!!」

 

 夏希のン熱血指導ゥ!する様は、最早教官、否、恐官といった感じだ。

 しかし、これを好機と捉えた者が数名。

 

((((今だあああああああああ!!!))))

 

 零士、千鳥、ケイト、英雄、春がフユにアイコンタクトを送る。フユもまた、それが何を意味するのか感じ取った。

 

(ありがとう、皆!)

 

「まぁまぁ夏希さん。そんなに怒らなくても・・・」

 

 それに対し、夏希は憤怒の表情でフユを睨みつける。

 

「うるさい!!」

(いや現状この中で一番うるさいのあなたですよ)

「一番気に食わないのは貴様のそのひん曲がった性根だ!!デュエルで叩き直してやる!!」

 

 

 

「まさかこんなに早くあの二人が再戦するとはね」

 

 先程フユにアイコンタクトを送った五人は一所に集まっている。他の生徒もまた朝の一件を見ていたので勝負の行く末を見守っている。

 

「やっぱり、今度もギリギリのデュエルになるんだろうか?」

「いや、それはないんじゃねぇの?」

「だな」

 

 一戦目がシリアスな戦いだった故に英雄は今回もそうなるんじゃないかと予想したが、これは即ケイトと零士に否定された。

 

「え、なんで?」

「だって・・・」

 

「フユ!!覚悟は出来ているんだろうな!?」

「ええ、いつでもいいですよ」

 

 激昂している夏希に対して、フユはいつもの笑顔。

 

「「デュエル!!」」

 

 

フユ LP8000

 

 

夏希 LP8000

 

 

「私の先攻!私は手札から速攻魔法《手札断殺》を発動!」

 

 互いに手札を二枚捨て、新たに二枚ドローする。

 

「そして私は魔法カード《二重召喚(デュアルサモン)》を発動!これにより、私は二度の通常召喚を行える!―――私はリリースなしでン《熱血獣王ベアーマン》を召喚!!」

 

 赤いサングラスをかけた熊が召喚され、何故か一昔前に流行った某国の軍曹が開発したエクササイズの動きをしている。

 

 

熱血獣王ベアーマン 星8 炎 獣戦士族 攻2600/守2700

 

 

「ン《熱血獣王ベアーマン》は、この方法で召喚した場合攻撃力が半分になる」

 

 

熱血獣王ベアーマン 攻2600→1300

 

 

 ここで千鳥が軽く咳払いした。

 

「チェーンよろしく一つずつ処理させてもらうわね。――――まずなんで熱血の前に『ン』入れてるの!?なんでベアーマンが○リーズブートキャンプみたいなことやってるの!?そしてこのネタがやりたかっただけで夏希さんのデッキ【炎王】にしたんだろ作者ァ!!」

 

「さらに私はン《熱血獣士ウルフバーク》を召喚!!」

 

 今度は青いゴーグルをかけた狼である。

 

 

熱血獣士ウルフバーク 星4 炎 獣戦士族 攻1600/守1200

 

 

「ウルフバークの効果発動!墓地のレベル4炎属性獣戦士族モンスター一体を特殊召喚する!私はもう一体のン《熱血獣士ウルフバーク》を特殊召喚!」

 

 二体のウルフバークがベアーマンの両脇で同じようにエクササイズをはじめる。

 

「私はベアーマンの効果発動!ターン終了時まで場のレベル4獣戦士族モンスターのレベルを8に変更する!ン熱血指導だァ!!」

 

 

熱血獣士ウルフバーク 星4→8

 

 

「レベル8のモンスターが三体・・・」

「行くぞ!!私はレベル8となったン《熱血獣士ウルフバーク》二体と、ン《熱血獣王ベアーマン》でオーバーレイ!―――三体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!ン《熱血指導王ジャイアントレーナー》!!」

 

 

熱血指導王ジャイアントレーナー ランク8 炎 戦士族 攻2800/守2000

 

 

 何故か腕立て伏せをしながらの登場である。

 

「そこまで原作再現せんでいいわ!!」

「ジャイアントレーナーの効果発動!!エクシーズ素材を一つ使い、私はカードを一枚ドローする。それがモンスターカードなら、お前に800のダメージを与える!そしてこの効果は1ターンに3回使用できる!―――覚悟するんだな?」

 

 夏希の手に青い『S』のマークが浮かんだ。

 

「げっ!?」

 

 流石にフユもたじろいだ。

 

「さぁ、まずは一回目!ン熱血指導だァ!」

 

 そう言って夏希はカードをドローする。そしてこれは互いにドローしたカードを確認するため、そのカードを見せた。引きつった笑みを浮かべながら。

 

「ま、まぁ一枚ぐらいはな。《炎舞―「天璣」》だ。―――二回目!ン熱血指導ゥ!!」

 

 ドローしたカードを見た瞬間、今度は笑みすら消えた。

 

「え・・・、《炎王の急襲》・・・・・。まだまだァ!!三回目!!ン熱血指導ゥ!!!」

 

 《激流葬》。

 

「こ、こうなったら、《RUM―バリアンズ・フォース》を発動!ランク8のン《熱血指導王ジャイアントレーナー》でオーバーレイネットワークを再構築!!カオスエクシーズ・チェンジ!!ン熱血指導神アルティメットレーナー!!」

 

 

CX(カオスエクシーズ) 熱血指導神アルティメットレーナー ランク9 炎 戦士族 攻3800/守2300

 

 

「アルティメットレーナーの効果発動!!このモンスターもジャイアントレーナーと同類の効果を持つ!ン熱血指導だァ!!!!」

 

 最後のエクシーズ素材を使って引いたのは・・・・・、《月の書》。

 

「う〜、ううう、あんまりだ・・・」

「え?」

 

 

「HEEEEYYYY!!!!あァァァんまりだァァアァ!!!!」

 

 

 どこぞの柱の男みたいな号泣ぶりである。

 

「うわー・・・・・」

 

 フユはそのあまりの運のなさと号泣ぶりに引いていたが、それはこの場にいた全員がそうである。

 

「私はカード四枚全てを伏せてターンエンド!!」

 

 

夏希 LP8000 手札0

モンスター/《CX 熱血指導神アルティメットレーナー》

魔法・罠/リバース×4

 

 

 ともあれ夏希が伏せたカードの中の二枚は《激流葬》と《月の書》。厄介なことに変わりはない。

 

「ハァ・・・。じゃあ僕のターン、ドロー。まず《ハーピィの羽根箒》を発動します」

「何ィ!?」

 

 しかしこの男の前では無駄無駄であった。

 

「続けて久しぶりに《召喚師セームベル》を召喚します」

 

 こんな精霊世界は嫌だ編ではかなりの出番があったが一度も召喚されていなかったセームベル。

 

 

召喚師セームベル 星2 風 魔法使い族 攻600/守400

 

 

「セームベルの効果発動。手札のレベル2チューナー《神秘の代行者 アース》を特殊召喚します」

 

 

神秘の代行者 アース 星2 光 天使族 チューナー 攻1000/守800

 

 

「レベル2の《召喚師セームベル》に、レベル2の《神秘の代行者 アース》をチューニング。シンクロ召喚、《アームズ・エイド》」

 

 

アームズ・エイド 星4 光 機械族 攻1800/守1200

 

 

 読者の皆さんもうっすらお気づきかもしれないが、ソリティアの始まりである。

 

「次に墓地のアースとさっき《手札断殺》で墓地に送っておいた《ダーク・ヴァルキリア》を除外。《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》を特殊召喚」

 

 あまりのローテンションぶりで口上すらない。

 

 

カオス・ソルジャー ―開闢の使者― 星8 光 戦士族 攻3000/守2500

 

 

(主、これは流石にやりすぎです)

(えー、だってー)

 

「・・・ん?」

「どうしたの、ケイト?」

「いや、最近までおかしな世界にいたせいか、カオス・ソルジャーの幻聴が聞こえてきやがった」

「それってもしかして・・・」

 

「最後に《アームズ・エイド》をカオス・ソルジャーに装備して攻撃力を1000アップ」

 

 

カオス・ソルジャー ―開闢の使者― 攻3000→4000

 

 

「熱血指導神アルティメットレーナーに攻撃」

 

 《アームズ・エイド》を装備したカオス・ソルジャーの右腕がアルティメットレーナーを貫く。

 

 

夏希 LP8000→LP7800

 

 

「《アームズ・エイド》の効果で破壊したモンスターと同じ攻撃力分のダメージを与えます」

 

 

夏希 LP7800→LP4000

 

 

「最後にカオス・ソルジャーでダイレクトアタック」

 

 

夏希 LP4000→LP0

 

 

「そ、そんな馬鹿なァァァ!!!」

 

 

 

「嘘だ・・・。この私がこんな奴に敗けるなんて・・・」

「まー、アレだ。相手と運が悪かったなとしか言えねぇよ」

 

「あの・・・、昔僕とあなたがどんな約束をしたとか教えてもらえませんか?それを聞いたら何か思い出すかもしれませんし」

 

「本当に覚えていないのか?―――ならば教えよう。まず、お前にデュエルを教えたのは私だ」

 

「ええっ!?」

「ああ、それと、お前があの時言っていたライフが残っている限り云々、あれも私が教えた」

「マジかよ・・・?」

「何げに師弟対決してたのね」

「ねーねー、二人はどうやって知り合ったの?」

「・・・私とフユの出会いか・・・・・・」

 

 

 

 あれは、私がまだ幼稚園児だった頃の話だ。当時私は同級生や下級生にデュエルの基礎を教えていた。

 

「いいか!デッキを構築する上でロマンなんて考えるな!エースモンスターは召喚条件が緩いモンスターを三積みしろ!それと《死者蘇生》のような必須の魔法・罠カードを入れるのも忘れるな!」

 

「いや待て待て待て待て待てえええええええええええ!!!!!」

 

 ここで千鳥のストップが入る。

 

「小学生にもなってない子供に何教えてるのよ!!っていうかその歳でよくそんな思考に行き着いたわね!」

「だが実際基本的なことだ」

「その前に幼稚園児の知力と財力を考えなさいよ!」

「ええい!話が進まん!続けるぞ・・・」

 

 その幼稚園にフユもいてな。もちろん今と違って私より一学年下だ。その時からこいつのルックス、性格共にほぼ完成されていて、先生を含め幅広い年齢層から人気だった。昔は意味が分からなかったが、「ショタコン」という言葉が流行っていたな。―――私も、こいつの毒牙にかけられた一人だった。

 そんな時だ。私がヴァリュアブルブックを読んでいた時にフユから話しかけてきたのは。

 

「何読んでるの?」

「デュエルモンスターズだ。知らないのか?」

「うん。―――ねーねー教えて?」

 

 これを私は一種のチャンスだと思った。

 

「分かった、教えてやる」

「やったー」

「ただし!い、いつか私のことを・・・、その、貰ってくれ・・・・・」

「?よく分かんないけどいいよ」

「――――――――――――――――――――――――」

 

 私は嬉しかった。フユの頼みに応えるべく、私は持てる技術の全てを教えた。

 

 

 

「そして私が小学生になったあたりで、カオス・エンペラーに抱き込まれた、といったところだ」

「そう言われると、そんなことがあったような、なかったような・・・・・」

「こいつの安請け合いはこの時から始まってたのね・・・」

「つーか幼少期の○カロットと○チさんの約束みたいだな」

 

「さぁフユ。約束は守ってもらうぞ!」

「そんなこと言われても、僕まだ15だし・・・・」

「貴様!男が一度した約束を破るというのか!?」

「原因があったとはいえ、それを最近まで忘れていたお前が言えるのか?」

 

 意外にも零士がフユのフォローに回った。

 

「う、それは・・・」

「それに、本気でこいつを慕っているのは、お前だけじゃない」

「クッ・・・。だがフユ!私はお前のことを絶対諦めないからな!」

 

 そう言い残して夏希はその場を離れた。

 

「いやぁ、助かったよ零士」

「・・・・・・・」

 

 零士はそれには何も返さず。千鳥の横を通り過ぎていった。そして彼女にしか聞こえない声量で、言った。

 

「フォローはしてやったぞ」

 

「え?」

 

 

 

「うーん・・・・」

 

 デュエルが終わったあと、ケイトには引っかかるものがあった。さっき聞こえた幻聴だ。

 

(こっちの世界戻ってきてから、みょーにモンスターが普段と変わって見えるんだよなー・・・・)

 

 

 

 

 

夏希「フユの奴め、あんな大事な約束を忘れるとは・・・、でもそういうところが・・・・、おっといかんいかん。――たった一つのコレクターズパックをめぐり、零士とケイトが激突する!そしてケイトは新たなる力に目覚める!次回、遊戯王スノーホワイト/ブラック『今更CPL1?とか言わないで』。――何?次回私の出番はないだと!?」

 




 「あの仮面の少女いつ再登場するんだ?」なんて考えていた方々。ものの1話開けて再登場しました。ちなみにこの小説の恋愛要素は基本的にギャグ感覚で読んでください。
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