遊戯王 スノーホワイト/ブラック   作:xxxg

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第九話 「それでもやっぱりミラの方が人気」

フユ LP17000 手札4

モンスター/《ガチガチガンテツ》

魔法・罠/リバース×1

 

 

ガチガチガンテツ ランク2 地 岩石族 攻900/守2200

 

 

死神 LP8000 手札1

モンスター/《魂を削る死霊》

魔法・罠/リバース×1

 

 

魂を削る死霊 星3 闇 アンデット族 攻300/守200

 

 

「我ハ《魂を削る死霊》ヲリリースシ、」

「えっ!?」

(戦闘破壊耐性のあるモンスターをリリース?レベル5、6で破壊耐性のあるモンスターなんてそんなにいないはず・・・)

「モンスターヲ一体セット。コレデ、ターン終了ダ」

 

 

死神 LP8000 手札0

モンスター/リバース×1

魔法・罠/リバース×1

 

 

「僕のターン、ドロー!」

(試しに仕掛けてみるか・・・!)

「僕は《奇跡の代行者 ジュピター》を召喚!」

 

 

奇跡の代行者 ジュピター 星4 光 天使族 攻1800→2200/守1000→1400

 

 

「《奇跡の代行者 ジュピター》で、伏せモンスターに攻撃!ディヴァイン・ソウル!!」

 

 おっさん天使が猛スピードで殴りかかっていく。

 

「リバースカード、オープン!速攻魔法《収縮》!!コレニヨリ、《奇跡の代行者 ジュピター》ノ攻撃力ハ、エンドフェイズマデ半減!」

 

 ジュピターの体が半分ぐらいの大きさになった。

 

 

奇跡の代行者 ジュピター 攻2200→1100

 

 

「ソシテ伏セモンスターは・・・、《カードを狩る死神》!!!」

 

 

カードを狩る死神 星5 闇 悪魔族 攻1380/守1930

 

 

フユ LP17000→LP16170

 

 

「ウグッ!!」

 

 ライフが減った途端、フユの体に痛みが走った。

 

(この痛み・・・。ソリッド・ビジョンなんかじゃない・・・!!)

「一ツ言イ忘レタガ、」

 

 死神が話しかけてきた。

 

「精霊トノデュエルデハ、ダメージガ実体化スル。我ハ死ナヌガ、人間ノ貴様ハドウナルカナ?」

「そんな!?無茶苦茶じゃない!!」

 

 高らかに笑う死神に、強がってフユは尋ねた。

 

「にしても、《カードを狩る死神》をデッキに入れているとは思いませんでしたよ」

「我々精霊二トッテ、デュエル中二一度ハ自分召喚ヲ行ナイタイモノナノダ」

 

 それを聞いて千鳥は傍らにいるセームベルに聞いてみた。

 

「そういうもんなの?」

「皆やろうとしてるよ」

 そんな二人の会話を気にする事無く、死神はデュエルを進めていく。

「ソシテ我ノ効果発動!貴様ノソノ伏セカードガトラップナラ、破壊サセテモラウ!―――死招きの鎌(カード・イレイザー)!!」

 

 フィールドに出ている方の《カードを狩る死神》がフユの場の伏せカードに向けて鎌を振り下ろした。切り裂かれたのは、《聖なるバリア―ミラーフォース―》。

 

「ホントミラフォは仕事しないね。・・・王様以外」

「一言どころか全部言わんでいいわ!!」

「僕はこれでターンエンド」

 

 

奇跡の代行者 ジュピター 攻1100→2200

 

 

フユ LP16170 手札4

モンスター/《ガチガチガンテツ》《奇跡の代行者 ジュピター》

 

 

 千鳥のツッコミはサラッと流した。

 

「我ノターン、ドロー!―――我ハ我二《ミスト・ボディ》ヲ装備!」

 

 死神の姿が半透明になる。

 

「どんだけ自分好きなんですか?」

「我ガ破壊サレルノハ見タクナイカラナ・・・。何ガアッテモ護ッテミセルゾ・・・!」

「へえ~」

 

 そう言ったフユの顔はすごくいい笑顔だった。

 

 

死神 LP8000 手札0

モンスター/《カードを狩る死神》

魔法・罠/《ミスト・ボディ》

 

 

「やばい・・・!」

 

 千鳥はゾクリとするものを感じた。

 

(嫌な予感しかしない・・・・・)

「僕のターン、ドロー。―――僕は《ジャンク・シンクロン》を召喚」

 

 

ジャンク・シンクロン 星3 闇 戦士族 チューナー 攻1300/守500

 

 

「レベル4、《奇跡の代行者 ジュピター》に、レベル3の《ジャンク・シンクロン》をチューニング!―――冷たい炎が世界の全てを包み込む。漆黒の花よ、開け!シンクロ召喚!現れよ、《ブラック・ローズ・ドラゴン》!」

 

 全身を薔薇の鱗に包まれ、刺のついた触手を持つドラゴンが現れた。

 

 

ブラック・ローズ・ドラゴン 星7 炎 ドラゴン族 攻2400→2800/守1800→2200

 

 

「《ブラック・ローズ・ドラゴン》の効果。このカードがシンクロ召喚に成功した時、フィールド上のカードを全て破壊できる!ブラック・ローズ・ガイル!!」

 

 ブラック・ローズの触手が自らを含む全てをしばきまくる。

 

「これで《カードを狩る死神》も破壊」

「アアアアアアアアアァァァァァ!!!!」

 

 死神がこれまで聞かなかった大声を上げた。

 

「ちなみに《ガチガチガンテツ》はエクシーズ素材を一つ取り除くことで破壊されません」

 

 

ガチガチガンテツ ORU 2→1 攻900→700/守2200→2000

 

 

「さて、いい加減攻撃させてもらいますよ。―――僕は墓地の《創造の代行者 ヴィーナス》を除外」

「このデュエル、フユの勝ちね・・・」

 

 そう言う千鳥の顔は笑顔は笑顔でも、引きつった笑みである。

 

「天空に住まいし太陽神よ、矛を向ける者全てを灼き払え!!来い、《マスター・ヒュペリオン》!!!」

 

 暗闇をも照らす大天使の翼。

 

 

マスター・ヒュペリオン 星8 光 天使族 攻2700→2900/守2100→2300

 

 

「《マスター・ヒュペリオン》でダイレクトアタック!プロミネンス・ブラスト!!」

 

 死神が炎に包まれる。

 

 

死神 LP8000→LP5100

 

 

「グオオアアアアア!!」

 

 ダメージが実体化しているだけあって叫びもかなりのもの。

 そしてそれを聞いてますますいい笑顔になるフユ。

 

(ダメだ・・・・・。『天使という名の悪魔』が降臨した・・・・・・・)

「僕はこれでターンエンドです」

 

 

フユ LP16170 手札3

モンスター/《ガチガチガンテツ》《マスター・ヒュペリオン》

 

 

「許サヌ、許サヌゾオオオォォォ!!」

 

 死神の声は怒りに満ちていた。

 

「我ノターン、ドロォォォ!!―――我ハ《ピラミッド・タートル》ヲ召喚!!」

 

 現れたのは巨大で甲羅がピラミッドになっている亀だ。

 

 

ピラミッド・タートル 星4 地 アンデット族 攻1200/守1400

 

 

「《ピラミッド・タートル》デ《マスター・ヒュペリオン》二攻撃!!」

「なっ!?自滅する気か!?」

 

 あえなく灼かれる《ピラミッド・タートル》。

 

 

死神 LP5100→LP3400

 

 

「グウウウッ!!ダガコノ瞬間、《ピラミッド・タートル》ノ効果発動!コノカードガ戦闘デ破壊サレ、墓地ヘ送ラレタ時、デッキカラ守備力2000以下ノアンデット族モンスター一体ヲ特殊召喚スル!!現レヨ、《茫漠の死者》!!!」

 

 全身を、特に両腕をハンマーのようになるまで包帯でぐるぐる巻きにしたミイラ男が現れた。

 

 

茫漠の死者 星5 闇 アンデット族 攻?/守0

 

 

「《茫漠の死者》ノ効果発動!!コノカードノ攻撃力ハ、相手ライフノ半分トナル!!」

「クソッ、僕のライフを回復したのはこれが狙いか!!」

 

 

茫漠の死者 攻?→8085

 

 

ウウオオオァァァァ!!!!!

 

 《茫漠の死者》の叫びとも雄叫びともつかない声が響き渡る。

 

「攻撃力8000超えって、こんな化物どうやって倒せって言うのよ!?」

 

 耳を塞ぎながら千鳥が叫んだ。

 

「後悔サセテヤルゾ人間ンン!―――《茫漠の死者》デ《マスター・ヒュペリオン》二攻撃!!エンドレス・ディケイド!!」

 

《茫漠の死者》が《マスター・ヒュペリオン》に襲いかかった。

 

 

フユ LP16170→LP10985

 

 

「うわああああああっ!!!!」

 

 今度はフユが絶叫した。

 

「フユ!!」「お兄ちゃん!!」

「ホウ・・・。マダ立ッテイラレルカ人間。―――ターンエンドダ」

 

 

死神 LP3400 手札0

モンスター/《茫漠の死者》

 

 

「僕の、ターン・・・。ッ、ドロー!―――僕は手札から、魔法カード《強欲で謙虚な壺》を発動!」

 

 対零士戦でも使った強力な魔法カード。

 

「一枚目、《ライトロード・マジシャン ライラ》。二枚目、《サイクロン》。三枚目、」

(!来てくれたか・・・!!)

「三枚目、《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》!!」

「来た!!フユのもう一枚のエースモンスター!!」

(でも、《強欲で謙虚な壺》の効果で、このターンは特殊召喚ができない)

「僕は〈カオス・ソルジャー ―開闢の使者―〉を手札に加えて、ターンエンド」

 

 

フユ LP10985 手札4

モンスター/《ガチガチガンテツ》

 

 

(主、大丈夫ですか?)

 

 カオス・ソルジャーが心配して話しかけてきた。

 

(ああ、なんとかね)

(ですが、次のターン私を召喚したとしても策はあるのですか?)

(最悪の場合、君の『あっちの効果』を使う。それならまだこちらにもチャンスはある・・・!)

「フン、小癪(こしゃく)ナ人間メ。我ノターン、ドロー!―――我ハ《茫漠の死者》二《ビッグバン・シュート》ヲ装備!!コレデ《茫漠の死者》ニハ貫通効果ガ備ワッタ」

「・・・こんなことなら、《サイクロン》を手札に加えておくべきだったかな・・・・・」

 

 思わず苦笑してしまうフユ。

 

 

茫漠の死者 攻8085→8485

 

 

「《茫漠の死者》デ《ガチガチガンテツ》二攻撃!!エンドレス・ディケイド!!」

「クッ、耐えろ!《ガチガチガンテツ》!!」

 

 

フユ LP10985→LP4500

 

 

ガチガチガンテツ ORU 2→1 攻700→500/守2000→1800

 

 

「うあああああああああああああ!!!!!」

 

 無残なほどに響くフユの絶叫。

 

「ソノママ命散ラスガイイ!!」

 

 死神が嘲笑う。

 しかし、

 

「ウ、ウウウオオオオオオアアアァァァァ!!!」

 

フユが倒れることはなかった。

 

「フユ・・・、良かった・・・・・!」

 

 半泣きになる千鳥と、

 

「お兄ちゃん・・・・」

 

嬉しさと戸惑いの入り混じったセームベル。

 

「何故ダ!?何故マダ戦エル!?ソンナ小娘ノタメニ!!マダ会ッテ少シシカ経ッテナイ罪人ノタメニ!!!」

「ハアッ、ハアッ、ハアッ・・・!!」

 

 フユは息を切らしていた。そして頭から出血しているようで、顔には血が流れていた。

 

「フユ、アンタ血が・・・!」

「だ、大丈夫。このぐらい・・・」

「大丈夫って・・・」

 

 そこで千鳥との会話を打ち切り死神に向き直る。

 

「・・・・・泣いてたから」

「何?」

 

「・・・・・『助けて』と言われたから。誰かが僕の目の前で傷つくというのなら、そしてその人を救えるだけの力が僕にあるのなら、僕は!!何が何でも助けてみせる!!!」

 

 ここに龍一や零士がいたら「お前初めて主人公っぽい事言ったな」とか言っただろう。そしてこの場合千鳥が言って然るべきなのだろうが、

 

「フユ・・・・・・」

 

みたいな感じで頬を染めて『恋する乙女スイッチ』的なものが入ってしまってそれ以外何も言えない。

 

 

死神 LP3400 手札0

モンスター/《茫漠の死者》

魔法・罠/《ビッグバン・シュート》

 

 

(大丈夫とは言ったけど、かなりヤバイな・・・・・。早いとこ、なんとかしないと)

「僕の、ターン!!」

 

 時が止まったような沈黙が流れる。しかしフユが引いたカードを見た瞬間、それは破られた。

 

「―――このターンで、決めます!!」

「何ダト!?」

「僕は墓地の《神聖なる球体》と《ジャンク・シンクロン》をゲームから除外!」

 

 白と黒の螺旋の渦が起こる。

 

「光と闇、二つの魂交わりて、我が剣となれ!!光臨せよ、《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》!!!」

 

 姿を見せるフユの最強の剣。

 

 

カオス・ソルジャー ―開闢の使者― 星8 光 戦士族 攻3000/守2500

 

 

「ソンナ騎士ダケデ何ガデキル!?」

「攻略できないカードもコンボも存在しない!僕は《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》で攻撃!!」

「フハハハ!血迷ッタカ!?迎エ撃テ!《茫漠の死者》!!」

「させるか!僕はダメージ計算前に、手札の《オネスト》を墓地へ送り、効果発動!!」

「何ダト!?」

 

 金色の髪をなびかせる、白い翼の天使がカオス・ソルジャーを包み込んだ。

 

 

カオス・ソルジャー ―開闢の使者― 攻3000→11485

 

 

「行けっ、カオス・ソルジャー!!開闢無双斬!!!」

 

 カオス・ソルジャーの剣が《茫漠の死者》を両断した。

 

「グオオオッ!!」

 

 

死神 LP3400→LP400

 

 

「《カオス・ソルジャー ―開闢の使者―》の効果により、もう一度攻撃!!―――時空突破・開闢無双斬!!!」

「クッソオオオオォォォォォォ!!!」

 

 

死神 LP400→LP0

 

 

「僕の・・・、勝ち、だ・・・・・!」

 

 フユはその場で片膝をついた。

 

「オノレ、オノレェェェェ!!!コウナッタラ、貴様ダケデモォォォ!!!」

 

 死神は鎌を振りかざしてフユに襲い掛かる。

 しかし再びカオス・ソルジャーが受け止める。

 

「我が主に刃を向けるというのなら、容赦はしません」

「ドケェ!!」

「貴方はまだ気付いていない様ですね。貴方の攻撃力はたかだか1380・・・。私は3000。最初にセームベルを庇った時、主の命があればいつでも切り伏せていた。だが、今度は別です!!」

 

 カオス・ソルジャーは死神を鎌ごと真っ二つに切り倒した。

 

「ダガ、ソイツハ、我ラノ世界ノ理ヲ破ッタ愚カ者ハ・・・、イズレ消エル・・・。ソウイウ・・・・・サダ、メダ・・・・・・!!」

 

 そう言い残し死神は闇の中へ消えた。

 

 

 

 フユはヨロヨロとセームベルに歩み寄った。

 

「お兄ちゃん・・・・・・・・」

「大丈夫?怪我は無い?」

 

 明らかに自分の方がボロボロなのにそんな風に心配している。

 セームベルの目が潤んできた。

 

「ありがとう・・・。でも、ごめんね・・・・・。私、このままだと、いつか消えちゃうの・・・・・」

 

 フユはセームベルの目からこぼれ落ちる涙を指で拭おうとしたが、触れられないので、拭うことはできなかった。

 フユは少しの間考え込み、そして言った。

 

「ねえ、僕のカードにならない?」

「え?」

「《カードを狩る死神》が、言ってたよね。君たちの世界から外れ、僕らのカードにもならないから罪人なんだって。だったら、君が誰かのカードになれば、消えることもないんじゃないかな?もちろん、君がそれを望むなら、だけど」

 

「い、いいの?」

「うん」

「私、弱いし、効果もあんまり使えないけど、いいの?」

「うん」

「お兄ちゃんの事、頼ってもいいの?」

「うん」

 

 セームベルの涙がどんどん溢れ出してくる。

 

「・・・・・ありがとう。私、お兄ちゃんに会えて、良かった・・・・・!」

 

 そう言ってセームベルはニッコリと笑った。その時、セームベルの周りが光った。優しく、温かな光だった。

 光が収まると、そこにセームベルの姿は無かった。代わりにそこには、《召喚師セームベル》のカードがあった。フユはそのカードを拾った。

 

 

 

「それにしても、どうすんの?」

 

 フユと千鳥が廃校舎を出ていこうとしているところだ。

 

「何が?」

「明日、皆に何て言うつもりなの?怪談のこと」

「そうだね・・・・・」

 

 フユが天を仰ぐ。

 

「女の子はちゃんと兄に見つけてもらった、とでも言っておこうかな?」

 

 




 悪魔なフユも、かっこいいフユも見られる第九話でした。
 そしてフユの新たな仲間《召喚師セームベル》。彼女はデュエルでもそれ以外でも今後活躍しますよ。
 次回はフユのモンスター達が弾けまくる、カード版「トイ・ストーリー」みたいな回だよ。
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