高度に発達したAIは小説家と区別がつかない 作:藍野策輪
綾辻文(あやつじふみ)は、AIの進化についての調査を進める中で、AIが既に人間を凌駕している分野に注目した。その一つが将棋や囲碁だった。これらの世界では、AIがプロ棋士や囲碁棋士に勝利することが常識となっていた。文は、将棋のプロと囲碁のプロに話を聞くことで、人間の価値について新たな視点を得ようと考えた。
ある日、文は将棋のプロ棋士である上田亮(うえだりょう)と、囲碁のプロ棋士である藤本玲二(ふじもとれいじ)とのインタビューを手配した。インタビューは、上田の所属する将棋会館で行われることになった。会館の一室に通された文は、少し緊張しながらも期待に胸を膨らませていた。
「今日はお忙しい中、お時間を頂いてありがとうございます。」文は礼儀正しく頭を下げた。
「いえ、こちらこそお話できる機会をいただけて嬉しいです。」上田亮が微笑みながら応じた。
「私も、文さんがどんなことを聞きたいのか興味があります。」藤本玲二も柔らかな笑顔を見せた。
文はノートを開き、まずは将棋のプロである上田亮に質問を投げかけた。「上田さん、将棋の世界ではAIが人間を凌駕していますが、その中で人間の価値とは何だと思いますか?」
上田は少し考えてから答えた。「確かに、AIは計算力やパターン認識の面で人間を圧倒しています。しかし、将棋は単なる勝ち負けだけではないんです。対局を通じて生まれるドラマや、その瞬間に感じる緊張感、そして対局後に感じる達成感や悔しさ。それらは全て、人間だからこそ感じられるものだと思います。」
文はその言葉に深く頷いた。「なるほど。人間の感情や経験が、将棋に深みを与えているんですね。」
次に、文は藤本玲二に質問を向けた。「藤本さん、囲碁の世界でも同じようにAIが活躍していますが、あなたが考える人間の価値とは何でしょうか?」
藤本は少し微笑んでから答えた。「囲碁も同じです。AIがどれだけ強くても、人間同士の対局には独特の緊張感があります。それに、私たち棋士は対局だけでなく、囲碁を通じて人々に感動を与えたり、教育をしたりしています。そういった活動も含めて、囲碁の世界は成り立っているんです。」
文はその言葉に感銘を受けた。「確かに、AIには感動を伝える力や、人間同士の絆を育む力はまだないかもしれませんね。」
上田も頷きながら付け加えた。「そうです。AIは優れたツールですが、それをどう活かすかは人間次第です。私たちはAIを使って、自分たちの理解を深めたり、新しい戦術を学んだりしています。でも最終的には、人間同士の対話や交流が将棋や囲碁の真の魅力を生み出しているんです。」
文は二人の話を聞きながら、自分の心の中にあるもやもやが少しずつ晴れていくのを感じた。AIがどれだけ進化しても、人間にしかできないことがある。そのことを再確認することで、文は自分の道を再び見つめ直す勇気を得た。
「今日は本当にありがとうございました。お二人の話を聞いて、AIとの共存について新しい視点を持つことができました。」
上田と藤本は微笑みながら頷いた。「こちらこそ、文さんの質問に答えることで、私たちも改めて自分たちの役割を考える良い機会になりました。」
インタビューを終えた文は、会館を後にしながら新たな決意を胸に抱いた。AIがどれだけ進化しても、人間の価値は決して消えることはない。彼女はそのことを胸に刻み、再び自分の創作活動に向き合う準備を整えていた。