高度に発達したAIは小説家と区別がつかない   作:藍野策輪

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第二話:希望と恐怖の狭間

綾辻文(あやつじふみ)は大学の講義が終わると、いつものようにカフェテリアに向かった。心の中で渦巻く思いを整理するため、彼女は親友の石田由美(いしだゆみ)と話すことに決めていた。由美は文学部で文と同じく小説家志望の女子大生だ。彼女は文よりも明るく前向きな性格で、文の悩みを聞いてくれる心強い存在だった。

 

カフェテリアに到着すると、文はすでに席についていた由美を見つけた。由美は手を振りながらにこやかに迎え入れた。

 

「文、こっちこっち!今日はどうしたの?ちょっと元気ないみたいだけど。」

 

文は苦笑いを浮かべ、席に着いた。少しの沈黙の後、彼女は重い口を開いた。

 

「由美、ちょっと聞いてほしいことがあるの。藍野策輪のことなんだけど……」

 

由美の顔が一瞬驚きに変わった。藍野策輪は彼女たち二人にとっても憧れの存在だったからだ。

 

「藍野策輪?どうしたの?」

 

「実は……あの作品、AIが書いたものなんだって。」

 

文の言葉に由美は目を見開いた。しばらくの沈黙の後、彼女は冷静さを取り戻し、深呼吸した。

 

「そうなんだ……びっくりしたけど、でも最近の技術の進歩を考えれば、あり得ない話じゃないね。」

 

文は由美の冷静な反応に少し驚いたが、同時に彼女の強さに感心した。

 

「由美、正直なところ、どう思う?私たちが夢見ている小説を書くこと、その意味が変わってしまうんじゃないかって思うんだ。」

 

由美は少し考え込み、コーヒーを一口飲んだ後、ゆっくりと口を開いた。

 

「確かに、AIが小説を書く時代が来るとは思わなかった。でも、私たちが書くものとAIが作り出すものには違いがあると思うの。」

 

「違い?」

 

「うん。AIがどれだけ優れた作品を作ったとしても、人間が書くものには人間の経験や感情が込められている。それが読者に響く部分だと思うんだ。だから、私たちの価値がなくなるわけじゃない。」

 

文はその言葉に少し救われた気がしたが、それでも心の中の不安は完全には消えなかった。

 

「でも、現実問題として、AIがこんなに優れた作品を出してきたら、私たちが勝てるのかな?」

 

由美は真剣な眼差しで文を見つめ、力強く言った。

 

「文、私たちは私たちの物語を紡げばいいんだよ。誰かと競うためじゃなくて、自分自身のために書く。それが大切なんじゃないかな。」

 

その言葉に文は少しだけ微笑んだ。由美の言葉は希望を取り戻す一筋の光となった。

 

「ありがとう、由美。私、もう少し頑張ってみる。」

 

「うん、一緒に頑張ろうね。私たちならできるよ。」

 

二人は互いに微笑み合い、未来への決意を新たにした。その時、彼女たちはまだ知らなかったが、この小さなカフェテリアで交わした会話が、彼女たちの運命を大きく動かす一歩となるのだった。

 

その日から、文は再び小説を書くことに前向きになり、自分の感情や経験を文字に託すことに集中するようになった。AIとの競争は避けられないが、彼女は由美とともに、自分たちの物語を紡ぎ続けることを誓った。

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