ネロですが、なにか? 作:グランドマスター
というわけでやってまいりました臨海の町ーーイプス。
朝早く出発したが、予想よりも早く半日もかからずに到着した。
邪魔さえなければ伯爵家の軍馬は疾いよねー。
ヴィコウ家はイプスに別荘を構えているため、ランバさんたちは別荘に住むことに。
ネロや騎士たちも、別荘の隣にある宿舎に泊まることが出来る。
荷物などを別荘に置いたのち、気分転換がてらヴィコウ夫妻は海辺へ散歩しに、ネロやロトー、そして護衛の騎士数名を連れて。
伯爵夫人にしては素朴な格好をしているリリアさん、顔色からとても出産から一週間くらいしか経ってない初産婦には見えない。
思いにこの世界の女性は出産からの治りは早い。タリアで出会ったシェリーさんもそう、回復魔術もかけたお陰で、躰が長旅にも耐えられるほどに素早く回復できた。
回復魔術に似た技術として、システム補助の元に行う回復魔法というものもあり、システムによりHPとして数値化された生命力を効率よく補うことができる。
文明は中世レベルとはいえ、システムのお陰でこの世界の国々は地球に於ける中世を遥かに超える生活水準を維持している。
しかし、その代償に、輪廻を支えるための生きとし生けるすべての魂は崩壊寸前、果たして次の代があるかどうかも分からない苦境に陥った。
システムの存在が正しいものかどうか判断しかねる。例えそれが星を再生するための苦肉の策であろうと。それを創り出した神の意図が、どうしても悪意のあるものだと思えてしまう。
「それにしても、まだまだ材料が足りていない……」
「何の材料が足りていないでしょうか、ネロ様?」
独り言が隣に歩いているメイドさんに聞かれたようだ。
「気にしないで、ただの独り言」
首を横に振り、前を見る。
ランバさんとリリアさんは既に昨日の誤解が解けたようで、仲睦まじく談笑している。
イプスの砂浜が綺麗で、帝国領内でも有名な観光地である。
海は危険ということはこの世界の常識で、特に遠海は強大な魔物が多く出没している。
しかしここイプスは海流の影響で、魔物が近づいてくることが少ない、たまに運悪く魔物が侵入してくることがあっても、イプスに駐在している兵士たちが対処可能なレベルだ。
と、以上はメイドさんから聞いたイプスに関する説明。
イプスに入ってからも、監視されている感覚は消えていないが、襲撃されることは未だない。
エルフ共は引いてくれるとありがたいが、そんな上手い話はないでしょ。
ネロもずっとここで子守しているつもりはない。
歩きながら海を眺める。
一望無尽な海に見えるが、その向こうには此処カサナガラ大陸とは別大陸であるダストルディア大陸があると聞かれた。
其処の主要国家たるアナレイト王国は帝国と外交関係を結んでいるとかなんとか。
海に霧が出ているみたい。暖かくて湿った空気を感じる。
この様子だと、霧が段々濃くなっていくでしょ。
砂浜までは湧いてこないと思うが、安全面を考慮して、散歩は早めに切り上げることにした。
別荘への帰りの途中、イプスの市場にも寄った。
海辺の町でしか買えない希少な品も見かけて、それなりの収穫があった。
結局、別荘に戻る途中にも襲撃されることはなかった。
警戒して損した……とは思わなかったけど。
むしろ、今襲われたほうが安心できるかもしれないね……
別荘にこっそり結界を張った。
とりあえず晩ご飯を済まし、もちろん食事にも問題はなかった。
別荘に潜入した者はいない。
警戒しつつも、ネロはランバさんに用意してもらった部屋に戻り、日課の錬金を行う。
イブン・ガズイの粉薬、その試作品は一応できたが、霊体の敵に今のどころ遭遇していなかったので、この世界の霊体にも通用できるのかまだ分からない。
神獣弾の作成も、材料が希少であることもあって、今の所3発ずつ貯めている。
時間が過ぎていき、深く静まった夜に変わる。
月は昏い町を照らしたが、霧に囲まれた海はついぞ光を届かせずにいた。
月と星の光の下、ネロ以外に目を醒ましているのは、眠気を耐えながら別荘の警備を担当する騎士たちと、治安を守るため夜回りする兵士たち。
そう、正しく殆どの住民が眠りに就くごろーー
大地が、揺さぶられた。
異変を感じてすぐ、窓から屋敷を出た。
震源は魔物が渦巻いていると言われた遠海。
そして振動の影響か、砂浜に海の魔物たちが次々と上陸している。
霧はまだ散っていない。
けれど何故か、その霧は視界を遮らず、海の遠くまではっきりと見える。
遠方、何かに背負わされているように、漆黒の水平面が隆起している。
それは天災に至った巨大な波ーー津波。
遠く離れているから遅いように見え、その実は恐ろしいほどの速度で近付いてくる津波。天をも覆い尽くそうとしているその津波が、町を海に沈めてしまうだろう。
「避難は間に合いそうにないね」
魔物が町に入っただけでも一騒ぎ、津波に至っては言うまでもない。
海を見張る兵士たちが魔物たちを止めようとしているが、焼け石に水でしょ。
「仕方ない」
術種選択:
虚空より現れた無数の弾丸が魔物たちを狙って飛んでいく。
マッハを超える弾丸がソニックブームを引き起こし、一瞬にして魔物たちの命を狩り尽くした。
兵士たちはいきなり倒れた魔物たちを見て右往左往しているが、今はそれどころではない。
此処一帯を滅ぼしかねる津波をなんとかしないと。
津波が町に到着するのが時間の問題。
ネロは試しに、スキルの『氷獄魔法』を使って海を凍らせようとする。
「ん?」
しかし、何かにジャミングされたようで、魔法の力は津波に届かなかった。
「こういう技術もあるってことか……」
警鐘が鳴らされ、兵士たちは砂浜に集まり、上陸する第二波の魔物は何とかなるだろう。
しかし、それだけで何れ訪れる津波にはどうしようも出来ない。
責務を全うするため懸命に魔物たちを討伐する兵士たちだが、彼らの顔に染まる絶望の彩が段々と濃くなっていく。
家を出た住民たち、遠く離れても見える、夜色に染められた高い壁のような津波に、彼らは呆然と立ち尽くしている。
続いてくるのは悲鳴、叫び、慟哭、恐怖。
蹲る人、跪く人、逃げようとする人、家に隠れる人……
兵士たちの中にも脱走者が出てくる。
叱る人はいないだろう。この状況はもはや、人力でどうにかできるものではないから。
ランバさんとリリアさんも、当然騒ぎに気付き、既に起きている。
イーノ君をリリアさんに托し、地下室に隠れることを見守ったのち、ランバさんは騎士たちを連れ屋敷を出て避難誘導に参加した。
止める人は当然いるが、ランバさんはそれを良しとせず、ただヴィコウ家の一人息子としての役割を全うしようとする。
街の中、泣いている女の子がいる。
家族と
片手にぬいぐるみを掴んで、無力の彼女は
「むなくそ悪いね」
今のネロは津波を止めることができない。
ランバさんの命を守ることくらいはできるが、全員を救うことはできない。
「後味、悪くなってしまう」
手を伸ばす。
伸ばす先は何もない。
「だから応えて」
例えこれが、己が無力だと認める行い。
情け無い神頼みとしても。
「聞こえるでしょ。応えてくれ」
それでも、届かないはずのこの声。
届いてくれと、
「お願い応えてくれ……!」
力なき鼓動を。声なき叫びを。名もなき讃美歌を。
「応えてくれ……」
皆、この手に。
「応えてーー」
『聞き届けたり』
ようやく、懐かしい声が脳に響く。
『汝、
「本当……遅いわよ!」
手を伸ばした先にーー
魂の視界より現れた新たなるページを掴む。
「でもありがとう、これで間に合う!」
温もりなき生を受けた我に。
例え虚ろな影、
奏でろ、響き渡れ、顕現せよーー
「
現れたのは、機神そのものではない。
銀白色の左腕。
武器そのものとなる巨大な副腕ではなく、ネームレス・ワンの目立たない上半身の一部である更に目を惹かない左腕。
けれど、今のネロに必要なのは正にその左腕である。
「イタクァ!」
鳴り響くのは神の蛮名、錬金により巨大化したリボルバーは左腕の先に具現化した。
巨神の左手が銀色に輝くリボルバーをしっかりと掴み取る。
「神獣弾ーー装填!」
弾を取り出し、それが光となり、リボルバーの弾倉に入り込む。
「いあ、いあ、いたくぁ!むぐるうなふ、ぶぐとらぐるん、いたくぁ、れん、ひあです、はすたー、くふあやく、ぶるぐとむ、あい、あいーー」
無銘祭祀書に記述された呪文を唱え、ありもしない神格との繋がりを求める。
言霊が術式を紡ぎ、字祷子の奔流がリボルバーに集う。
「イタクァーーー神獣形態!!!!!」
空気が弾けたような音と共に、弾丸が発射された。
風をも切り裂くの弾丸が空に銀色の軌跡を描き、津波に向かって飛んで行く。
その形が風と共に変わり、総てを凍り付く冷気を集い、隼にも似た巨大な鳥へと変わった。
氷の神獣の至る所が空気すらも凍結される。
神獣が津波に激突し、一瞬にして覆天なる波が氷の壁に変われ、後ろに続く波をも海岸線の先に堰き止めた。
津波を凍結した後、氷の神獣が役目を果たして消え失せた。
残された氷の壁が時間と共に自然融解し、海へと帰るだろう。
同じく消えず残された海霧が、摩訶不思議なこの風景を幻のように見せた。
「少し、迂闊だったかな」
『ネロの……間違っていなぃ……ぉもうよ……』
脳裏に響く声、これはネロにとっては初めてで、けれど懐かしくも感じる。
『ごめんね……こっちはまだ……間に時間差がぁ……みたい……通信もそう……続かなぃ……よ……』
「了解。久遠のほうは?」
『マスターは……夢を見て……現を見て……のか……』
向こう側も厄介な状態みたく、ネロが魔力を絞りギリギリコントロールしているネームレス・ワンの左腕も、実態のない虚ろな形を辛うじて保っている。
『通信……切れそぅ……維持……むずか……』
「わかった……ありがとう、ネム」
『またこ……もう一人のマスター・オブ・ネームレスカルツ……』
最後の呼称だけがはっきりと聞こえる。
その言葉を残し、ネムの声がこちら側に届かなくなってしまった。
巨神の左腕の虚像も声が途切れるのと共に、最初から存在しなかったように、この世界から跡形もなく霧散した。
キィィィイイイイイーーー
「ッ!?」
雑音。頭痛。
もう一つの世界からの、膨大かつ異端なる情報を受け止めた際に生じた、脳が負荷を受けてしまった時に伝わる悲鳴。
しかし『今度』こそ、その悲鳴は現実にも影響を及ぼした。
霧だ。
霧が『泣』いている。
生き物である限り再現できない名状し難い唸り声が、ネロの脳より伝わる悲鳴に呼応し、霧そのものが蠢き、現実を汚染し始める。
まるで一人称から三人称に変わったように、ネロが世界を認識する視点も改変され、世界そのものが、ネロにとっての『門の向こう側』の存在となった。
世界は門の向こう側にあり、己が門のこちら側にいる。
まるで第四の壁を越して世界を観測する存在となったこの状況に、ネロは何故か虫唾が走るような気分になった。
向こう側は霧に覆われており、そしてこちら側もまた、有りとあらゆる総てが『霧』によって飲み込まれている。
不安。
世界も自分自身も曖昧となり、何もかもが溶け込んでしまう感覚。
此処に居続けると、ネロは何れネロがネロであることすらも忘れてしまうのだろう。
「……戻りたい」
ネロ以外誰もいない空間に、ネロが呟く。
もどり……たい……
予想外なことに、『霧』がネロの呟きに応えたかのように、己の存在を改変した。
曖昧で不鮮明なそれが凝縮し、具体的で実態のある何かを構成する。
さながら世界の創成。
しかし創り出したのは、ネロが戻りたい門の向こう側にある星でもなければ、ネロの源である既に存在しない忌まわしき螺旋でもない。
懐かしくも馴染みのない、散乱なる
其処に見えたのはおうし座、位置する
突如、何百光年をも離れた先より、咆哮が伝わる。
道理をも覆した絶望なる怒号と共に、神秘的で混沌なる群星が一瞬にして崩壊し、爆散した。
新星、超新星爆発による光と衝撃が走り、幸いなことにそれはネロには届かない。
曖昧な形に戻った『霧』が再構築し、また別の形に変わる。
今度現れたのは雪に覆われた高原。
風が吹きすさび、
降り注ぐ
一部の者たちはかの巨人をウェンディゴと呼ぶ。さりとて、ネロにとってより親しくも、冒涜なる響きを持つ呼称はーー
イタクァ。
大いなる白き沈黙の神、その本性である。
無銘祭祀書の記述によると、イタクァを目撃した者が随伴者にされてしまうが、ネロとかの旧支配者との間は、まるで曇りガラスを隔てているのよう、影響を受けずにいる。
しかし滑稽にも、悪しき神格は認識された。
ネロの目を通して、宇宙……否、
前兆もなく、世界が破壊された。
過去、現在、未来ーー汎ての可能性に於いて、邪神、邪悪なるものたちは存在しえない。
氷の巨神が悲鳴すら挙げられずに
そこでようやく、ネロは理解できた。
今までネロが認識した情報を濾過しているフィルターとは何か。
あれは『門』だ。
ネロ・クロウとして生まれ落ちた向こう側の世界へと戻るための門と異なり、ネロの本源たる『
無窮なる門は、因果の果てにて砕かれた。
再び引力を感じたようで、ネロは最初の門に向かって墜落する。
既に滅ぼされた宇宙が遠くなって行く、思わず何かを掴もうとして手を伸ばし……
ネロは、元いた世界に戻された。
ほんの数秒か気絶したみたい。
目の前にあるのは凍結された津波によって作られた氷の巨壁。
ネロはいつの間にか砂浜にまで移動した。
上空にいるため、砂浜を守る兵士たちはネロの存在を気付いていない。
彼らは上官の指揮の下、砂浜に散乱する魔物たちの
右手に何かを持っていることに気付く。
曇りガラスの
曇りガラスの処分に戸惑っているうちに、またして遠くから振動が伝わってくる。
氷の巨壁に亀裂が蔓延し、今にも崩れそうで、兵士たちが急ぎ撤退した。
そして予想通りに、十数秒後に巨壁は亀裂に沿って砕け、無数の巨大なる氷の塊と化した。氷塊が砂浜に転がり、あるいは氷の下にある海に支えられ水平面に漂っている。
震源の方向を見、魔力を目に集まり視力を強化する。
海の底より、何かが浮上した。
海面から突き出してから海に浮いているそれは、金属に覆われた表面を持ち、小さな背びれが生えた
恐らく全長200メートルをも超えているそれが、余りにも巨大な潜水艦に見える。
「機械……やはりエルフどもの
欠片を躰の中に仕舞い込み、潜水艦に向かって飛んでいく。
潜水艦に近付くにつれて、その滑らかな楕円の機体から複数の砲台が伸び、こっちに向かてレーザーを撃ってくる。
接近が少々難しくなったが、ならば砲台を壊せばいい。
試しにもう一度魔法を使ったが、魔法を妨害する力がさっきより強くなったように感じる。
やはりジャミングの発信源は潜水艦と確信を強め、二
火を噴くオートマチック、氷を舞い散るリボルバー。
魔弾の雨が潜水艦に降り注ぎ、いくつかがバリアのようなものに止められたが、魔弾の性質を完全には対応していないか、残った弾丸を止めることができず、露出した砲台がすべて壊された。
レーザーによる阻害を失い、潜水艦はネロの接近を止めることができなくなった。
潜水艦の近くに辿り着き、破壊された砲台のところから潜水艦の侵入を試みたかったが、既に砲台がパージされ、収納口が閉じられた。
だったら潜水艦の装甲をこのまま壊し、中へ入ろうとした矢先、何処からか男の声が聞こえた。
『目的はなんだ?何故邪魔をする?』
声の源が潜水艦のようで、しかしスピーカーが見当たらず、どうやら一部の装甲を内部機関によって振動させ、音波を発しているようだ。
『抗魔術結界を破壊できる以上、君は神性領域に達した存在なのだろう。たかが侯爵家の跡継ぎを助ける理由はないはずだ』
くだらない言葉を発しているようなので、無視してそのままトリガーを引く。
弾丸が装甲に命中し、しかしその装甲が予想以上に固く、数発の弾丸で少々凹んだだけ。
『やめろ。私の狙いはあの赤ん坊、イーノ・ヴィコウだけだ。君と敵対するつもりはない』
魔力を集中し、脳裏にクトゥグアとイタクァを称える呪文を唱える。
炎と氷の神気を付与された魔弾がより巨大な破壊を産み、装甲を撃ち抜いた。
そこで、潜水艦から更にいくつかの砲台が伸び、ネロに向かってミサイルを発射した。
軽く位置をずらし狙いを定め、次の瞬間で発射された氷の魔弾がミサイルを命中し、凍結した。
『何故イーノ・ヴィコウを庇おうとする?アレはこの世界に大きな災いを齎す』
声に焦りが増している。
ネロの問答無用な攻撃に戸惑っているように聞こえる。
『エルロー大迷宮だけでも、其処の魔物が地上に出ないよう警戒するために、大量な人的資源がかかっている。魔物の脱走があれば、地上の混乱を招いてしまう。同じようなダンジョンが更に増えれば、災厄の到来が目に見える』
「迷宮創造のことね」
一旦手を止め、出方を伺っているような態度を取る。
『やはり知っているのか。ならば猶更、アレはどれほど大きな脅威となるのか理解できるはず。イーノ・ヴィコウを生かしておけ……』
「逆に聞きたいよ、何故そう決めつけるの?何を根拠にあの子が脅威になるというの?」
『決まっている。未熟者が身に余るほどの大きな力を手に入れてしまえば、力に溺れ、飲まれてしまうのが世の常だ。赤ん坊に至って、その純粋な無慈悲さでどれほどの破壊を創り出してしまうのか……』
まるで世を滅ぼす悪魔の誕生を予言しているかのような
ほんとう、良く喋る下郎ね。
その口八丁でどれほどの人々を騙したのやら。
「……馬鹿馬鹿しい」
『なに?』
聞くに堪えない妄言をこれ以上耳に入れるつもりはない。
この男の正体を見極め、そう決めたネロはすぐさま男の言葉に割り込んだ。
「未知の力に巻き込まれ、呆気なく前世を終えられたイーノ君は、力の危なさを身に染みるほど理解できるはず。責任感のある両親、善良なる人々に囲まれ、イーノ君はきっとすぐこの世界に馴染み、健やかに成長出来るでしょ」
『それは楽観的すぎると思わんかね』
「ふん、それお前が言う?」
『……何が言いたい』
ページを植え付けたエルフからのフィードバック、帝国首都に滞在しているエルフのリスト、総ての情報が示唆した、目の前にある潜水艦を操縦しているであろう声の主の正体はただ一つーー
「つまりね。お前が言った災厄だの脅威だの、総て戯言ってことよ!というより、お前にとっては脅威だから始末したいだけだろうが、エルフの長ーーポティマス・ハァイフェナス!!!」
返ってくるのは沈黙、けれどそれはネロにとってもはや肯定するのと同義。
そして再び、戦いの火蓋が切られた。
筆者の話:
桜崎一成の生まれ変わりが暗殺された時期は筆者の推測です。
一応書籍版ではヒントのようなものが出されたが、本作における転生者が暗殺や誘拐される時期と順番はあくまで独自設定で、原作設定ではありません。