現代版 鬼滅の刃   作:ファイネス1

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もし、現代に鬼殺隊と鬼がいたら

 公になっていない闇の歴史。

 「鬼」という、人でありながら人を捨てた人食いの種族は「鬼殺隊」という闇の組織によって鬼の始祖、鬼舞辻 無惨と共に滅されたとされている。

 しかし。

 果たして本当に「鬼」は、滅んだのだろうか。

 発祥自体は人より遅れているとはいえ永きに渡り生きながらえてきた狡猾で力ある種族が、一つの勢力の壊滅と共に滅し絶えるということがあるのだろうか。

 否。

 鬼は生き永らえていた。

 その鬼は弱かった。

 純粋な力量でいったら、「柱」どころか一般隊士にすら斬られていただろう。

 故に、その鬼が生き延びれたのは運と、身を隠して逃れるのに便利な鬼血術と機転によるものだった。

非政府組織の「鬼殺隊」が鬼の中でも選りすぐりの戦闘派、無惨一派と闘い、これを誅す間、非力なその鬼は権力者に近づき、彼等とは別の「力」を蓄えていった。

やがてその勝利によって大命を果たすと共に戦力の大半と存在意義を失った「鬼殺隊」をその「力」で静かに闇に葬った鬼の一派は、

その後の戦争などによる動乱の中、国への貢献や海千山千の取引により、超法規的にその存在とある程度の制約下での食人行為などを認められるに至った。

 かくて、鬼は密かに現代にも様々に紛れて生活していた。

 だが、彼等のそんな日々を脅かす出来事が起こった。

 鬼との闘いや寿命で死んだと思われた「鬼殺隊」が、現代に蘇ったのだ。

 不意に前世とやらの記憶と共にその使命も取り戻してしまった彼等は、未だ滅するに至らない鬼により食われる人々がいると見るや再び悪鬼滅殺の旗を掲げて鬼達を次々と斬り殺していった。

 「力」の象徴である無惨一派も天敵である鬼殺隊もなくなり、強さよりも社会で生き残る能力が重視された現代の鬼達では、人としての粋を極めた鬼殺隊に敵わず、全国各地で鬼達は数を減らしていた。

 

「一体どうしたものだろう。我等現代の鬼の力では、とてもじゃないが鬼殺隊には勝てない。

 このままでは鬼が滅ぶのも時間の問題だ。」

「いっそ鬼ではなく人にやらせてみたらどうでしょう。」

「何を言う。我等とて並の人間よりずっと強い。

 「鬼殺隊」に対して人間で何が出来る。」

「もしかしたら同じ人間でこそ何か掴めるかもしれませんぞ。」

 

 幸いにも政府の中には呼吸などを習得して鬼に関する問題に対処する闇の『組織』があり、また、殺された「鬼」に恩や義理などがある人間達もいた。

 そして政府としても日本の「闇」を担わせた鬼を次々殺されてゆくと都合が悪く、また、追い詰められた鬼がいつまた市井の人々に対して大っぴらに牙を剝きかねないという恐れもあり、現代の「鬼殺隊」に対する討伐令が下った。

 そして『組織』は予想に反して「鬼殺隊」に対して成果を挙げ続けた。

 鬼を斬り人を救うことを使命とする「鬼殺隊」は、その理念故に人を斬り殺すことが出来ず、鬼も人も斬る『組織』の精鋭達の恰好の餌食になった。

 かくて、「柱」達は皆滅び、「鬼殺隊」は壊滅し、鬼の危機は脱した。

 人間の首相と現代まで生き延びた鬼の長は、祝杯を挙げていた。

 首相の前には酒が、鬼の前には血がなみなみと注がれた杯が注がれていた。

 

「この度は我等『鬼』の為のご尽力、感謝いたします。」

「いやあ、これでこの国は救われ、我等も枕を高くして寝れます。」

「「鬼殺隊」も時代に適応したらああも破滅しなかったものを。

 『鬼がのさばる世界を認めるわけにはいかない』とは言うが、

我等は人を滅ぼすことが出来ない一方、向こうは我等鬼を滅ぼし尽くさんと手段を選ばず襲ってくるんだからどっちが鬼なのか分からないもんだ。」

「まあ、今後もお互い、持ちつ持たれつでいきましょうや。」

「ええ、では、私もこの辺で。

『いつも通り』で、おいとまします。」

 

 そう言うや鬼の長はスルスルスルスルとその体を縮め、やがて着る者がいなくなった着物から這い出た小さな黒猫が「にゃあ」と鳴いて去って行った。

 

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