生徒に舐められていると勘違いしているけど、実は裏で生徒全員からめちゃくちゃ慕われている魔法学校教師 作:アスピラント
バトル描写ありますが、基本的には学園青春ものなので悪しからず……
「今日からリーダー決めのために別の人と訓練する……?」
「すみません……急なお願いですが」
クラヴィスからの嬉しい提案を受けたオルダは、クラブが使っている部室にて1人の男と対峙していた。燻んだ灰色の長い髪をポニーテールにして結び、口にキャンディーを含んで三白眼が特徴的な男は、ジロリとオルダを睨む。
「うちらの訓練じゃ足りないと?」
ゼフュロス学生魔法騎士団の顧問――ロドルフォ先生だ。受け持つ授業は4年生以上で必須科目となる魔法戦闘であり、かつて騎士団に所属した経歴を持つ先生だ。
「いや……そう言うわけじゃないですよ」
「でもお前が言ってるのは、ウチらのやり方じゃ足りねぇって言ってるようなもんだぞ? だって別の人に頼んでんだからよ」
――とロドルフォは、よくわからないがタバコを吸うような感じで飴を咥えていた。
「なんでそんな変な舐め方してるんです……?」
「あぁん? だって学校でシケモク吸えないだろ! せめて飴で吸った気分になって、精神を安定させてんだよ」
律儀なのか、何だか判断に困るような言い分をするロドルフォを見て、オルダは額にでっかい汗を流していた。この学校は優秀な人は多いが、それに伴って変な人も多い気がする。ていうか極めて優秀な人ほど、ちょっとネジ外れ気味な人が多い。
「用事か何かがあって活動に出れないなら分かる、だが別の人と訓練だと? 魔法騎士団クラブ内でも十分すぎるぐらい学べるはずだ」
魔法戦闘はかなり難しい。
単純に呪文を知っているかどうかじゃなく、状況判断能力や身体能力など、総合的な能力が優れていないといけない。ましてやロドルフォはプロである。ぽっと出の奴に大事な若き才能を任せる訳にはいかなかった。
「言えオルダ、お前に魔法戦闘を教えてやると抜かしたアホを」
「それは――」
オルダは渋った。
クラヴィスが強いのは体感してるから分かるが、元騎士団のロドルフォ先生を相手に名前を出して良いのかと。ただそんな心配は杞憂に終わる。
何故なら――
「俺ですよ、ロドルフォさん」
オルダの背中からひょこっとクラヴィスが顔を出し――ロドルフォはブホォと飴を吹き出した。
「うげっ!! クラヴィス!! テメェかよ!!」
「人の顔見て吐き戻すって酷すぎだと思いません?」
クラヴィスは引き攣った顔で言う。
まぁこんなリアクションされる心当たりはあったため、あまり強くは言えなかったりするが、それにしたって酷すぎるとは思った。
「噴くに決まってんだろっ! お前……騎士団と何かと関わりあるんだからよ!!」
「そうなの……? クラっち」
「あるけど変な事はしてないぞ」
断じて変なことはしていない。
そう、変なことは――だ。
「よく言うぜ、お前のせいで新入り魔法騎士団の連中が――」
「おぉーっと、それ以上はいけないです!! ロドルフォさん! 彼を指導するのは俺です! 一応自分なら大丈夫だとは思いますけど……どうですかね?」
ロドルフォが何かを言う前に汗びっしょりなクラヴィスが乱入して食い止める。どう見たって何かあったに決まっているが、オルダは何も言えなかった。
「はぁ〜……仕方ねぇな。確かにクラヴィスなら教えられる――いやむしろ
本当はめちゃくちゃ不服だがなとチクリ。
クラヴィスは知らんぷりした。
「ありがとうございます!」
「いーっての、まぁ試合は頑張れよ。それとクラヴィス」
「ハイ?」
呼び止められたクラヴィスは何を言われるのかビクビクしていると、ロドルフォは柔和な笑みを浮かべて言った。
「良い方に変わったな」
「……!」
「俺が言いたかったのはそれだけだ」
僅か数秒の沈黙の後、クラヴィスは照れくさそうにする。
「そう……ですね、生徒のおかげですよ」
意味深な2人のやり取りを見ていたオルダは、ただひたすらにじっとクラヴィスを見つめる。今思えば自分達は彼のことを何も知らないな――と。
◆
「――さてオルダ、魔法戦闘で1番大事な要素は何か分かるか?」
「……えーと」
夕陽が差し込む校庭――の端に、魔法の射撃訓練所がある。そこにクラヴィスとオルダの2人はいた。何でも他の訓練所は借りられまくってるし、使える場所がなかったからだ。
しかも使っていい魔法は魔力弾に連なる種別のみ。高位の魔法の一切が封じられているのは、ここが校庭という他の生徒がいる場所だからだ。効果範囲の広い魔法なんて使ったら多数の人が影響下に入ってしまう事の配慮であった。
(魔力量……か?)
オルダは最初に浮かんだ答えを言おうとしたが、やめた。理由は以前クラヴィスに張り倒された際に言われた忠告に、量が勝敗を決めないニュアンスが含まれていたからだ。
(量じゃないなら、発動可能な呪文の数か?)
対応策が増えればやりようが幾らでも増える。
オルダは自信なさげに言ってみた。
「使用できる呪文の数?」
「いんや違う。技術だよ……魔力操作の技術が大事なのさ」
「技術……」
「俺が思うに、ニーナちゃんは多分技術がずば抜けてる。杖有りとは言え無詠唱でお前の危機感を煽ったんだろ? 大したもんだと思うぞ」
ライバルであるニーナが褒められたように聞こえたオルダは少しムッとした。何だよアイツはニクスクラスで、言い方悪いが敵みたいなもんだぞと視線で訴えた。
「んな不満そうな顔をしても変わらん。事実だしな、だけどそんなニーナちゃんに負けない才能がオルダにはある」
「……何さ」
「魔力量だよ、ほら自分でも言ってたろ?」
そこでクラヴィスはオルダが自信のある要素へと、話を巻き戻した。
「魔力量が全てじゃないのは当たり前だ。だけど強さである事には変わらない。オルダがもし技術を手に入れたら、量も質も兼ね備えた傑物になる」
「俺が?」
「そう、オルダがだ」
だからまずはこいつを使う――そう言ってクラヴィスは人形を用意する。そこまではいい、そこまでは。問題なのは人形の顔に張られた写真にあった。
「何で人形にニーナの顔を……?」
「ライバルだろ? こんにゃろう!! ふざけんなという気持ちを込めやすいかなと」
「俺別にニーナの事嫌いじゃねぇよ!! やめろこの写真! つーかこれどっから手に入れた!?」
「俺は先生だぞ、全生徒の証明写真ぐらい……簡単に手に入る」
「最悪だ! 言ってる内容が最悪すぎる!」
しつこいようだが、オルダは何もニーナを嫌ってる訳じゃない。あくまでもライバル関係であり、それ以上でもそれ以下でもないと思っている。
「まぁそれは冗談として……」
「タチ悪いぞ」
クラヴィスは写真を引き剥がして、ビリビリに破いた後で指を鳴らし紙切れを燃やす。さらりと無詠唱でやってのけた技に、オルダは内心驚きながらも突っ込む。
「とりあえずこの人形、頭と胴体に赤丸があるだろ?」
「うん」
「魔法を撃った際に、着弾地点から魔力がはみ出ないように圧縮して撃ってもらう」
とクラヴィスは杖を引き抜き、人形から約20メートル離れた辺りに立つ。
「圧縮……?」
「そうだ、まぁいきなりは無理だと思うから……呪文詠唱を加える」
クラヴィスは「久々だな」と呟くと黒い杖を前方に突き出す。眠たそうな彼の目は鋭くなり、魔力が杖の先端に集約されていく。
「コンプレッサ・ルーン起動」
クラヴィスの杖の上に三角形のような文字が浮かぶ。
杖に溜まっていた魔力は勢いよく杖の先端に集まり、強く光り出した。
「すごい」
オルダはその輝きを見て、思わず見惚れていた。
「火の元素よ、我が意志に応えよ」
クラヴィスがそう呟くとオルダが使う炎より、やや黒みがかった炎が現れて一直線に的へ向かう。まるでレーザー光線のように伸びた火は、そのまま的の中心を穿つ。
「ふぅ、といった感じに魔力の大きさや動きは制御出来る」
「クラっち……すげえ……教師みたい」
「教師だよ」
知らなかったのかい……と遠い目をしたクラヴィスが説明したこの魔法だが、1年生の今の時期――1学期に習う内容ではなかったりする。少なくとも1年後半に習う内容を彼は先取りした。
「いきなり自力で魔力を操作するのは難易度が高いからな。だからこそルーンと長文の詠唱を用いて……操作感を身につけるんだ」
「詠唱すれば――」
「真剣勝負で長ったらしい詠唱をするのはリスクでかいだろ? だから勝負の日までに何とか自力で動かす感覚を掴め」
今できる事はこれぐらいだなとクラヴィスは言った。ただオルダにはまだ自信がなかった。果たして本当にニーナを倒せるのだろうか、失望がより強くならないかなと不安がっていると、クラヴィスはオルダの頭を撫でる。
「大丈夫、オルダは才能がある。少なくともこんな訓練なんて容易く乗り切れるってわかってるからな」
ニコリとクラヴィスは笑う。
生徒なら自信が間違いなく付く一言だ――目にがっつり隈が無ければ。
「……クラっちは健康に気をつけて」
「ははは、訓練後はちょっと生徒のお悩み相談があってな。休みなんかないぞ!!」
「目が死んでやがる……」
かくしてオルダの秘密特訓は始まった。
◆
訓練ははっきり言って騎士団に匹敵、またはそれを上回るキツさを誇った。毎日ある授業が終わるとクラヴィスはすぐにオルダと校庭や、たまたま空きがあった訓練場を借りてやっていた。
「インフラマリス――」
「ああー、ダメダメ。魔力が安定してない。それじゃ蚊だって殺せない」
「は……い!」
中ではきついのはぶっ続けでルーンを用いて魔法を撃ったあと、すぐに自力で魔力を動かす訓練だった。補助ありきとは言えこれ以上伸び切らない関節を、無理矢理引き伸ばして曲げるような痛みが奔る。
「クラっち……マジきつい! 身体の中が焼き切れる! いたい!」
「我慢だオルダ! あと痛いのは生きてる証拠だ! 生を実感しろ!」
「俺はそんなサイコキャラじゃない……!」
ある時は――
「剣術の動きを取り入れる……?」
「ああ、杖はただ魔力を任意の事象を引き起こすために必要な媒体じゃない。使用者の手となり足となる物」
そう言ってクラヴィスはフェンシングのように杖をふり、魔力の閃光で的を切り裂く。鞭のようにしなる閃光を見たオルダは、かつて騎士団の演習で見た光景を思い出す。
(騎士団の試合で、目まぐるしく杖を動かしていたのは……魔力操作の応用だったのか……!)
「あとは銃とか参考になるな。魔力を使わない武器の動きを反映させれば相手を翻弄出来る」
「でも……そんな技術力を求められる動きとか、クラっちは教えられるの? 魔法理論って研究者タイプな人がやるイメージなんだけど」
「ああ、その事だがな――」
クラヴィスは杖をまるで居合い斬りのように素早く振るうと、的を真っ二つにした。目にも止まらない速度で放たれた魔力は、そのまま学校の外壁に傷をつけた。
「俺はむしろ魔法戦闘の方が教えやすいんだ。だから大丈夫!」
ズビシと効果音が出そうな勢いでグーサインを出す担任教師を見て、オルダの疑問はますます深まった。
(クラっちは学校来る前は何してたんだ……? どう考えても只者じゃないだろ)
今考えればロドルフォ先生も、以前のクラヴィスを知っている口だった。うげぇと具合悪そうな顔をしていた辺り、単なる顔見知りレベルじゃないだろう。元騎士団のロドルフォ先生と関わりがあるとなれば……彼もまた騎士団という事になりそうだが。
「どうしたオルダ? いきなりぼーッとして」
「ん、いや何でもない! また動き見せてよ」
「おっけい、しかと瞳に焼き付けろよ」
とまぁ……基本的には順調に訓練は進んでいた。
しかしルーメンクラスは何かとイベント事が好きな性分をした生徒が多かったりする。
「クラっち……とオルダ?」
やっと先生っぽい事が出来ると息巻くクラヴィスと、彼の過去には何があったのかと訝しむ生徒の秘密特訓は、夜の闇に紛れて見ていた複数人の注目を浴びていた。
◆
「――んで何でお前らまで来てんだよ」
「いーじゃんー、減るもんじゃないし」
翌日、見ていた奴はもう来た。
やってきたのはユスティと仲が良いギャル4人組だった。クラヴィスが1番手を焼いていた彼女らは、オルダとの秘密特訓をしているとわかった瞬間、何やら面白いイベントが起きた予感がしてやってきたらしい。
「そんなこと言って、本当は嬉しいんだろー?? ほらぁほらぁ」
薄ピンクのインナーカラーと黒いボブヘアをした狼の獣人少女――メア・ロボステラは、耳に沢山ピアスをつけた今時ギャルだ。彼女はスカートとシャツの隙間から黒い尻尾をフリフリしながら、まるでメスガキの如く生意気な顔をしながら肘でクラヴィスを突く。
「嬉しくないわ。つーか今オルダの訓練してるの見えないのか? 邪魔だし危ないから! しっしっしっ!」
「うわ! ひどっ! 今のどう思う? フラン」
「そうですわねぇ……しっしっと追い払うような言い草は良くないかなと」
メアから会話のパスをもらったのは、アメジストのロングヘアが目立つクールビューティーな少女――フランチェスカ・レヴナント。身長は170センチ近くと高く、ふわりとした髪質をしていた。しかし1番の特徴は青白い肌にある。
彼女の種族はリッチ、アンデット系の種族の中でもかなりの高位に位置する種族であり、ルーメンクラスの中でも実は裏ボスなのではと言われている。
「フランさんや、俺は別に本気で疎ましく思っていった訳じゃないんだよ。ただほら……オルダはマジで頑張ってるんだから、邪魔だけはしないでやってくれって意味だよ」
そう言ってクラヴィスは魔法で人型の的を動かして、オルダの魔法戦闘訓練の相手をしていた。的にも杖を持たせて、遠隔操作で擬似的な魔法の閃光をオルダに向かって放つ。オルダはそれを避けながら対応する事で実戦に近い経験を得られる――といった訓練だ。
「安心してくださいまし、私が邪魔するのはクラヴィスさんだけなので」
「そうか、じゃあ邪魔しないでね」
「お断りします」
フランはクラヴィスのど至近距離に佇む。
本当にくっつくレベルで近づくと、ジーっと見てきた。おかげでずっと視線が首筋に刺さって、クラヴィスの顔は引き攣る。
「おい、フラン……そんな睨まれたら集中が持たない」
「魅力的すぎて――でしょうか」
「違う、気が散るの」
「あら……私……生徒なのに……」
「無表情でいやんいやん首振るのやめてくんないかなぁ!?」
その時ちょうどいいタイミングで、思いっきり焦ったクラヴィスによって人形が暴れ出した。
「いたっ!?」
不幸にも人形は奮闘していたオルダをビンタし、訓練は中断。クラヴィスは「やべっ」とやっちまった顔をしていた。
「おいクラっち!! 今いいとこだったんだぞ!」
「悪い……! でも待ってくれ、俺に情状酌量の機会をください!」
クラヴィスはビシッとフランを指差す。
「このあざといリッチが俺の集中を――」
「生徒に惑わされるのが悪くな〜イ? キャハハ!」
「フィオレ……お前……!」
横槍を入れたのはエメラルドのツインテールをした小柄な少女――フィオレ・エメラリスがケラケラ笑いながらクラヴィスを小突く。140センチ台の低い身長と背中に生えた半透明の翅、彼女はフェアリー出身であり、ユスティのようなエルフ達とは近い存在だ。
そして彼女が1番メスガキムーブをかますため、クラヴィスは毎回グギギと悔しいのか恥ずいのかよくわからない感情を抱いていたりする。
「お前らいたのかよ」
「ウチらが応援しに来てやったよ、感謝しなー」
「メアは絶対違うだろ……」
「んな事ないよー、うん」
「なら目を逸らすな」
オルダはやれやれと肩を竦めると、最後の4人目がクラヴィスの背後からゆらりと現れた。
「なぁクラっち!! アタシらも試合見に行っていい??」
「ダメだ」
「えー?」
「一応試合は真面目な形式なんでな、騎士団のメンバーじゃないと観戦出来ない」
赤いショートカットをしたギザ歯が目立つ竜人の少女――アラニカ・レッドスケイルは不満そうにため息を吐く。そのせいか口から火がチョロチョロ出ていた。
「オルダ君に勝機はあるのかしら? ニーナという子はニクスクラスの中でも、優秀な生徒だって噂で聞いた事がありましてよ?」
「んー……まぁな」
フランはちょっとだけ心配の色を滲ませた声色で、オルダに問いかける。対するオルダも頭を掻きながら厳しい戦いにはなると答える。でも――と目をキリっと細めて改めて言った。
「俺たちの先生がお前なら大丈夫って言ってんだぜ? なら大丈夫だろ」
「あらま」
「意外そうな目で見るなフラン、つーかギャル四天王揃って意外な目で見るな! 俺はマジで勝てるって思ってるんだぞ!」
クラヴィスは不躾な視線を振り払い、オルダと向き合う。
「リーダー決めまでは後5日、もう僅かしかない。でもお前の実力はちゃんと上がっているよ」
「本当か……?」
「なら軽くこいつらとデュエルしてみたらどうだ?」
ボソッとクラヴィスはとんでもない事を言う。
メア達ギャル4人組は「「え」」と聞いてないよ、ふざけるなよとジットリとした目をクラヴィスに向けた。
「何も本気で撃ち合う訳じゃない、武装解除だけ使って杖を取り上げるだけだ」
「えー!! アタシらが騎士団クラブに入ってる奴に勝てる訳ないじゃん!」
「4人がかりだったら? アラニカ」
マジで……みたいな表情をする4人。
対するクラヴィスは「マジだよ」と言う。
オルダはちょっと自信なさげだった。
「オルダ、大丈夫」
「クラっち……」
「やってみたら分かる」
そう背中を押されたら何も言えない。
オルダは決心するとメア達に頼み込む。
「頼む」
「んー……武装解除ぐらいならいいよ。つーかさ、ウチら4人も騎士団レベルじゃないけど、そこそこ魔法には自信あるからね」
「メアの言う通りだぜ、ボクなんかフェアリーで魔力の質は高いから!」
いつのまにか4人ともやる気満々な様子。
クラヴィスはあの4人組も普段からやる気を見せてくれたらなとぼやくが、実際の所この4人組はクラヴィスにいいところ見せたい思惑もあったりする。
まぁクラヴィス本人はわかってないが。
「とりあえずやってみなオルダ」
「ああ……!」
オルダは杖を引き抜くと、4人も杖を抜く。
クラヴィスは少し離れた場所でニヤリとほくそ笑んだ。
そして――5分後。
「――そんな」
「全く……歯が立たなかったですわ……」
4人の杖は全てオルダの手元にあった。
オルダは少し額に汗を滲ませていたが、想像以上に上手くいったことに、確かな感触を感じて嬉しそうに笑っていた。
「は、はは……やった」
「だから言っただろ? お前は強くなったって」
クラヴィスはオルダの肩をポンと叩く。
「メア達は勿論弱くない。というかこの学校でマジもんの魔法の素人はいないし皆素地がある。そんな生徒を複数相手に完勝出来たら上出来だ」
「クラっち……!」
「あと5日ある、まだまだ詰めればお前はより強くなれる。だから自信持て」
クラヴィスは最後にこう言った。
「勝負の分け目は気持ちだ、気持ちで負けたら絶対にダメだぞ」
「……はい!!」
オルダの威勢の良い返答を聞いてクラヴィスは満足げに頷く。これならきっと勝てる――そう思っていると、背後からギャル4人組がクラヴィスを羽交い締めにした。
「何が自信持てだー!! ウチらをダシに使いやがって!!」
「見損ないましたわ! この朴念仁!」
「罰としてクラっちは1年間、放課後に魔法演習を付き添いで教えろ!」
「う……ぐぅ……ええ! 締まってる……頸動脈締まってる……!」
彼女達が怒るのも無理はない。
何せいいところを見せたかったのに、実際にはオルダの演習成果として扱われたのだ。そりゃもう仕返しとして色々付き合ってくれないと、釣り合いが取れない。
「オルダがあんな強くなってるって聞いてねぇゾ!」
「ははは、オルダはワシが育てた。フィオレにも勝てちゃうぐらいにな」
「ムカつく! すごいのはオルダで! クラっちは違うだロ!」
「いや一応教えて――ぐぇ」
何故いきなり後方師匠面してるんだと、更に追撃される中でオルダは杖を握りしめる。これならきっと……ニーナの力にも届くはずだ。そして自分が以前とは違うと証明して見せようと夜空を見上げた。
「待ってろ、ニーナ」
必ず見返してやる――とオルダは拳を握りしめる中で、何者かの気配を感じてオルダは振り返る。
「……?」
視線の先には校庭から離れた位置にある校舎の窓があった。だけど誰もいない、魔力の残滓もない以上オルダは気のせいだと割り切った。
「オ、オルダ……こいつら引き剥がして」
「あー……はいはい」
まぁ見ていた所でどうにもならないかと割り切って、オルダはクラヴィスにまとわりつく4人を説得する。その際もまた揉めてしまうが、それまた別の話。
重要なのはオルダ達を覗き見ていた人物にあった。
「……オルダ」
ひっそりと隠れて見ていたのは――ニーナだった。
◆
「――いよいよだな、オルダ」
「はい」
リーダー決め当日、オルダはクラヴィスと共に魔法騎士団が専用で使っている呪文戦闘訓練室の前にいた。既に何名かの騎士団クラブ所属の生徒たちが、緊張感マシマシで装備の準備をしていた。
「まさか俺も中入っていいって言われるとは……」
「ロドルフォ先生が便宜を図ってくれたみたいでさ」
「先輩には感謝だな、後で感謝って言おう」
「……渋い顔するのが予想できる……」
クラヴィスはニコニコ笑いながら言うが、ロドルフォは騎士団クラブ所属の生徒からは恐れられている。厳しいあの人にそんな態度出来るなんて信じられないなと思っていると――
「逃げずに来て何よりだわ、オルダ」
「……ニーナ」
黒いローブにプロテクターを付けたニーナが、毅然とした態度で現れた。いつになく戦意に満ちた姿を見たオルダは目を見開くが、すぐに不敵な笑みへと変えた。
「俺は強くなったぜ、ニーナ」
「どうかしら? お友達と遊んでただけじゃないの?」
「……何?」
その発言に違和感を覚えたオルダが問いかけると、ニーナは不満な態度を隠さずに言った。
「こないだ校庭でそこの教師とクラスメイト達と、夜な夜な遊んでるのを見たわ」
「あの時のはお前――いやそれよりも、俺は遊んでなんか……」
「どうかしら? すっっごい楽しそうだったけど……? そんなに……楽しいのね」
表情を歪めるニーナを見ていたクラヴィスは何となく勘づいた。
(あれ……? ニーナちゃんってもしかして……やきもち妬いてんのか?)
若干涙目になってるニーナを見てクラヴィスは、普段からその鋭さを自分のクラスに活かせば良い察しの良さを披露した。全くもってよくわからない塩梅である。
「腑抜けた貴方は絶対に倒すわ!! 絶対に!!」
「ニーナ! 多分お前誤解してる!!」
「言い訳無用……私と話したければ、杖で語りなさい」
そう言ってプイッとそっぽ向くニーナを見て、オルダは項垂れる。やばい……このままだと何か変な誤解されたままだ。誤解を解くためにも他の1年に負けるわけにはいかない。
「クラっち、俺……負けられない理由が出来た」
「小さな理由だな……」
「俺にとってはデカいんだよ!」
やってやるよとオルダはいつになく気合いを入れて、1年生が集う訓練室の一画へ向かう。
「……がんばれよ、オルダ」
序盤から色々あったが、クラヴィスは近くの観客席に座ると黙ってオルダの活躍を見届ける事にした。
――杖の用意――
――始め――
そして試合が始まった。
1年生は全部で16人、トーナメント制で始まった。
試合時間は5分で、杖の没収や魔法によるノックダウンで勝敗を決める。オルダとニーナは順調に勝ち進んでいった。
「勝者、オルダ!」
「よっしゃあ!」
オルダの活躍は圧倒的だった。
何せ下級魔法とは言え、込められた魔力はクラヴィスの指導によって濃度が濃ゆいものになり、威力が向上していたのだ。プロテクターを付けていても体内に浸透するような一撃を貰えば、タフな生徒でも悶絶する。
「いいぞ、オルダ」
それを教え込んだクラヴィスは自分事のように嬉しく思っていた。
「お前の指導の賜物だな――クラヴィス」
「まあそれなりに仕込みましたから」
隣には騎士団クラブの顧問、ロドルフォが椅子に深く腰掛けながら感心していた。
「杖術を教えたんだな」
「杖を武器として捉えて使わないと、魔法にも反映されません。ただ仕込んだのは騎士団スタイルじゃなく、
ロドルフォはその一言を聞いてため息を吐く。
「スポーツではなく、敵をぶっ倒す為の技法か」
「……すみません」
「いやいい、戦い方自体は好きじゃないが……こうした対人戦では有利になるからな」
好きじゃないけどなとロドルフォはまた釘を刺す。
クラヴィスはますます気まずい顔をした。
「あの……一応基礎だけしか教えてないですからね!?」
「わかってるよ、見たら分かる。そこからはオルダの考え次第だろ」
「あいつは騎士らしく、立派な奴ですよ。俺みたいな道には行きません」
また勝利を重ねたオルダが腕を天高く突き上げる。
そして離れた場所ではニーナも勝利を重ね、オルダをじっと見ていた。次は決勝……オルダとニーナの戦いが待ち受けている。
「んな事はわかってるよ、オルダもニーナも誇り高い守護者としての素養がある。お前が経験してきたような道には行かせないさ」
「……助かります」
「だからお前もあいつらをしっかり導けよ、生徒たちがちゃんと道を間違える事なく、幸せな人生を送れるようにな」
ロドルフォはクラヴィスを一瞥して静かに忠告する。
それに対して彼は薄く笑って答えた。
「当たり前ですよ」
◆
「いよいよ、貴方と決着を付ける時が来たわね」
「ああ……」
1年生の最終戦、オルダ対ニーナの戦いが始まろうとしていた。敗れた他の1年は悔しさを滲ませつつも、1年の頂点に位置する2人の戦いから目を離すまいと、目をギラつかせながら見ていた。
「覚えてる? 私が小さな時……貴方の後ろに隠れてばかりで、ずっと貴方を頼ってばかりいた頃」
「ああ、覚えてるよ」
「私ね、ずっと……悔しかったの。何するにしても私は貴方に守ってもらってばかりで、ずっと怯えていた」
ニーナはかつての記憶を呼び起こす。
2人は出身地が同じで、家族ぐるみの付き合いがあった。仲良くなったのも3歳の頃で、よくお互いの家を行き来していた。
それから魔法学校の初等科に入り、10になる前までは常にべったりだった。
ただニーナはかなり弱気な性格で、よく他の子供に揶揄われては泣いてばかりいた。そんな時にオルダはずっと側にいてくれた。
「揶揄われてるだけでも、気弱だった私からしたら怖くて仕方なかった。魔法には自信あっても……気弱な性格のせいで私はよく標的にされてたよね」
――両者、位置に――
「ああ、そうだったな……だから俺は毎回庇ってた」
試合開始が近づき、2人は杖を構える。
かつて守られてばかりいたニーナの姿は、もうどこにもなかった。
「あの時から私は変わったの」
「……!」
「もう守られてばかりの私は卒業、今度は私が――」
――試合開始――
ニーナの魔力が爆発的に増して、杖に漆黒の風が纏う。
「――貴方を守ってあげるから」
ニーナの目はかっと開かれ、風が放たれる。
「アエリスブラスト・スプレーグ」
大砲のような音が鳴り、風の砲弾がオルダに向かう。
食らったら1発で終わりなのは確定だ。周りの1年生は軽く騒然としている。このままじゃオルダは大怪我するのではないか――と。
だがクラヴィスは余裕のある態度を崩さず、静かに呟いた。
「さぁオルダ、見せてやれ――お前の力を」
オルダは意識を研ぎ澄ませて杖を構える。
魔力操作の技術は、何も自分だけの魔力の動きのみ理解するものじゃない。空間に満ちる微量の魔力と生き物に宿るものも、感じ取る事が出来る。
ならば当然――ニーナの魔法も理解出来る。
(見つけた……脆弱な箇所を)
オルダの観察眼はニーナの魔法にあった弱い部分を見つけ出す。ならばそこに向かって貫通力のある魔法を使えば、容易く突破は出来る。
「インフラマリス・ラディアス」
杖の先端に赤い光が集まり、まるで太陽のように輝き始める。その光は次第に白熱し、鋭い光線となって放たれた。炎はビーム状に変わり、目標に向かって一直線に突き進んだ。魔力操作によって、放射されるはずの炎は圧縮されたものに変わったのだ。
「――!」
ニーナは驚愕を顔に張り付けた。
ちょっと前までオルダは魔力操作に疎かったはずだ。
にも関わらず、彼は自分に近い領域にまで辿り着いていた。急に習得できる技術じゃない、恐らく誰かから学んだもの。
思い当たる節はあった。
(あの不健康そうな教師のせいね!)
酷い言われようである。
事実……クラヴィスは何も知らない人からしたら、いつも気怠そうにしているやつにしか見えないからだ。だからこそ油断したが……ニーナは冷静だった。
「そう、成長した訳ね。でも私は負けないから」
やり方を変えたニーナは向かってくる炎のレーザーを躱し、魔法の種別を変えた。風の刃が杖から伸びてサーベルのような形状に変化する。
「アエリス・ファラクス」
試合用に加減されてるとは言え、一回斬られたらかなりのダメージになる。オルダはここで杖術を使うことにした。
「インフラマル・グレイヴ」
ニーナとは違い、まるで槍のように炎が伸びていく。
2人はお互いの杖を向け合うと、同時に斬りかかった。
「「はぁあああ!!!」」
斬り結ぶ炎と風、幻想的でありながら苛烈な光景は戦闘とは思えぐらい綺麗だった。
「おいおい、2人とも本当に1年か? あれだけ出来る奴はそうはいないだろ」
「どの国の魔法学校でも居ないでしょうね」
例外はありますが――とは言わないでおいたクラヴィスは、オルダの成長具合には心底感心していた。杖術の基礎を教えてみたはいいが、そこから扱い切るのは至難の業である。だから身につけられるかは本人のセンス頼みだったが、結果は上々だった。
(元から持ち合わせていたセンスが凄まじいな、いやー……うちの学校って……才能マンばっかりだなー……)
クラヴィスは遠い目をしながらそんなことを考えていた。
(だけどニーナちゃんはそんな甘くないぞ、あの子もかなりのものだ)
むしろ勝負はこれからだ。
ニーナの雰囲気が変わったのを、クラヴィスは感じ取った。
「やるね……まさかオルダがここまで強かったなんて!」
「お前には負けたく、なくてな!」
オルダは力一杯に杖を振るい、鍔迫り合うニーナを弾く。
何とか戦えているが、ニーナはまだ余裕ありそうだった。
「それは私も同じ、だってずっと貴方を超えたくて強くなったんだから」
ニーナの身体全体に風が纏う。
彼女が行っている魔法は、身体能力そのものを強化する使用難度の高い魔法だった。
「アエリス・スウィフト」
「……!」
「本気で倒すから」
ニーナの動きは見違える程だった。
尋常じゃない速度でオルダの背後に回り込むと、風の衝撃波がオルダを襲った。
「うぐ……!」
「もう私は弱くない……!」
苛烈さを増す魔法、ニーナの感情もまた激しくなっていく。
「もう置いてかれたくない……!」
ずっとオルダの背中を見てきた彼女は、もう間も無くオルダを追い越そうとしていた。
(強い……ニーナの奴……ここまで)
速さで追いつくのは無理だ。
しかも魔法の技術も上、何もかも彼女は上回ろうとしている。昔なら諦めていたかもしれない状況だったが、今は違う。
(クラヴィス先生……!)
観客席にいるクラヴィスを一瞥したオルダは、痛む身体に鞭打って力を込める。生徒の勝利を信じて疑いようのない強い眼差しだ。恩師と慕う彼の前で無様な許されない。
「う――ぉおお!!」
「……!?」
懐に入り込んだニーナを前にオルダは手を伸ばす。
何を血迷ったのかとニーナは思い、避けようとしたが――身体が勝手にオルダの方へと引き寄せられた。
「は……!?」
「クラヴィス先生は前に見せてくれたんだよ……!」
それは杖無しで空間に満ちる魔力を操作して、物体を動かす術――以前オルダが、クラヴィスに倒された際に知ったあの技である。
「お……っ!」
これには観客席にいたクラヴィスも驚いた。
まさかあの一回しか見せてない技を、見よう見まねでやってのけたのかと。
「魔法は何も杖だけで使うもんじゃないってな……!」
「く――!」
「ちょっと痛いから歯を食いしばれよ、ニーナッ!!」
オルダは杖をニーナの胴に押し当てて唱えた。
「インフラマリス!!!」
「あぁ!!」
まごう事なきクリーンヒットだった。
炸裂した爆炎によってニーナの意識は揺らぎ膝から崩れ落ちるが、オルダは完全に彼女が倒れてしまう前に抱きしめて防いだ。
「勝者……オルダ・グリムホーク!」
――ワァアアア!!――
その瞬間に歓声が沸く。
2人が見せた試合は学年問わず熱狂させる素晴らしい内容だった。ロドルフォも飴を舐めながら力強くバチバチと拍手する。元騎士団から見ても素晴らしい試合だったからだ。
そしてオルダを鍛えたクラヴィスは――
「オメデドウ!!」
「きったねぇ泣き顔だな、おい」
ぐっちゃぐっちゃに嬉し泣きしていた。
隣にいたロドルフォはマジで引いた上に、席を1つ空けて離れた場所に座り直した。
「だっでぇ!! 生徒が勝ったら……うれじいでじょう!!」
「もっとマシな喜び方はなかったのか……」
つくづく締まらないなとため息吐く中で、オルダが汗だくになって駆け寄ってきた。
「クラっち!! 俺勝ったよ!!」
「ぐず……ああ、見てたさ。まさか俺の小技をコピーするなんてな……」
「へへへ、あれ結構俺の中で1番びっくりして印象深かったんだよな」
あれから自分は変わろうと思えたし――と付け足して、オルダは笑う。
「ありがとう……先生のおかげで勝てた」
「いんや! 俺はサポートしかしてない、勝ったのは自分の力だ」
「でも……」
「でもじゃない。あれはお前の力! 俺はただ手伝っただけ……オルダ自身の力で成し遂げたんだ」
クラヴィスはガシガシとオルダの頭を撫で回す。
「おめでとう、また夢に近づいたな」
「ああ……!!」
少しは先生らしく出来たかなとクラヴィスが感慨深く思っていたその時――ニーナがゆっくりと痛む身体を引きずってオルダの前に現れた。
「ニーナ……!」
「オルダ、ごめんなさい……。貴方に酷いこと言ったわ」
彼女は本当に心底反省しているようだった。
何せ散々幼馴染を容赦なく煽ったのだ。不快に思って当たり前の事だった。
「ニーナ、俺さ……そんな気にしてないから」
「私、オルダに見て欲しかったの」
「え……?」
ニーナは涙で潤んだ顔をオルダに向けた。
「だってせっかく一緒の学校通えたのに……! オルダは全然私に構わなくなったじゃない……」
「い、いや……それは何というか」
「嫌いになっちゃったの……?」
「違う違う! そうじゃなくて……」
オルダはこう言う時、どうすれば良いかわからなかった。ここはクラヴィスに助けを求めようとジェスチャーを送ったが……。
「オサナジミ……イイナァ、オルダクン」
(ダメだ……!! なんか目が死んでる……!! 使えねぇ!!)
青春しやがってこいつと、クラヴィスは嫉妬心から心が死んでいた。つくづく情け無い姿である。
「えーと、な。ニーナ……」
「何……」
「嫌いになったから話しかけなかった訳じゃないんだよ」
いつのまにか皆の視線がオルダとニーナに集まっていた。
皆何を言うのかめちゃくちゃ期待しているのが、手に取るように分かる。オルダは熱くなっていく顔を惜しげもなく晒しながらニーナに向かって言った。
「……き、綺麗になったニーナ見て、話しかけるのが……恥ずかしかった……だけだから」
「……っ!」
今度はニーナが赤くなる番だった。
周りは一斉に口笛を吹き、すっかりドンチャン騒ぎ。完全にプロポーズに成功したような盛り上がりに、オルダとニーナは慌てていた。
「「おめでとう!!」」
「何がおめでとうだ!」
「幸せにしてやれ!」
「違うよ!? いや……違くなくても……ああ、もう! 私そんなんじゃないから――」
さっきまでの真剣な空気はどこへやら。
ロドルフォは呆れ気味に笑うが、嬉しい感情が隠し切れてなかった。
「やれやれ、今日は訓練にならなさそうだな。クラヴィスもありがとうな、オルダを成長させてくれて」
「礼には及びませんよ」
クラヴィスは赤面するオルダとニーナを見ながら、ポツリと一言。
「末永く爆発したらいいのに」
「お前は成長しろよ……」
余談だが、クラヴィスはこの出来事をギャル4人組に共有して、事あるごとにオルダを揶揄うようになったという……。
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