第一話 新時代到来!結ばれしシェア条約!
ゲイムギョウ界。其れはシェアクリスタルと呼ばれる特別な結晶、四人の女神と四人の神獣、三つの力で守護された世界
「ゲイムギョウ界にあまねく生を受けた皆さん」
そして、今日、四大国が一つである近代的な街並みが立ち並ぶプラネテューヌにて、この世界は新たな一歩を踏み出そうとしていた
「新しい時代にその一歩を踏み出せるこの日を…皆さんと共に迎えられることを、喜びたいと思います…」
紫のドレスに身を包み、長く、ドレスよりも明るい紫色の髪を二本の三つ網にして後ろで束ねた女性がレッドカーペットの上を歩き出し、その背後に追随する様に白い羽織、青い着流し風ガウン、白いブーツを着用した不良染みた青年が後に続く
彼女は〝パープルハート〟、革新する紫の大地、プラネテューヌの守護を司る女神。
「ご存知の通り、近年……世界から争いが絶えることはありませんでした…」
彼女の言葉に合わせて、十字に建造された道の先に座っていた三人の〝女神〟と三人の〝神獣〟も腰を上げる
其々の女性たちは神々しさを感じさせるほどに美しく、男性たちは勇ましく、各々が身形に合った立ち振る舞いを見せる
「女神ブラックハートが納め、神獣タイガベートが守護するラステイション」
銀色の長髪をなびかせて立ち上がった、黒いドレスの女性と、その背後には白銀の中華服を着込み、腰に二対の鉤爪を携えた青年が追随する
「女神ホワイトハートが納め、神獣シェルベートが守護するルウィー」
シアンブルーの髪をした、小柄の白いドレスを着た少女が立ちあがり、その背後を黒いスーツコートを纏い、背中に亀の甲羅を模した外装を背負った少年が追随する
「女神グリーンハートが納め、神獣フェザーベートが守護するリーンボックス」
グリーンの髪をポニーテールにした、白くうっすらと緑色の色合いが施されたドレスを着た女性が立ちあがり、その背後から赤い軍服に身を包み、軍配を手にした青年が追随する
「そして……わたし、パープルハートが納め、神獣ドランベートが守護するプラネテューヌ」
四人の女神と四人の神獣は中央に集まるように歩き続け、足元にパネルが出現し、女神たちは空中を歩くように歩を進め、神獣たちは彼女等を見上げる
「四つの国が国力の源であるシェアエナジーを競い、時には女神同士、神獣同士が戦って奪い合う事さえしてきた歴史は、過去のものとなります…本日結ばれる友好条約で、武力によるシェアの奪い合いは禁じられます、これからは国をより良くすることでシェアエナジーを増加させ、世界全体の発展に繋げていくのです…」
四人の女神が中央に集結し、手を取り合い、静かに目を閉じる
「「「「わたしたちは過去を乗り越え、希望が溢れる世界を作ることをここに誓います」」」」
刹那、溢れんばかりの歓声が響き渡り、この日、新たなる時代に向け、世界は歴史的な第一歩を踏み出した
「くぁ〜………やれやれ、どうにも落ち着かねぇな」
「そうね……お姉ちゃんや義兄さんみたいに振る舞うのは息が詰まるわね…」
式典を終え、パーティ会場のバルコニーで堅苦しそうに肩を回すドランベート。その隣に寄り添っていたパープルハートは溜め息を溢す
「そうなったらよぉ?
「あら、相変わらずの誘い上手ね?
顔を見合わせた二人は互いの本名を呼び合い、不敵に笑う。刹那、光に包まれた二人に変化が生じる
「ひゃっほう!終わった、終わった!やっぱこっちの姿の方が楽でいいね!」
屈託のない笑顔を見せ、はしゃぎまわるのはパープルハート基ネプテューヌ。その姿は美しい女性から愛らしい少女に姿を変えていた
「おいおい、ネプちゃんよ〜。そんなにはしゃぐと中身がちらっと見えちゃうんじゃねぇかい?近くにエスさんしかいねぇとはいえ、節度は弁えなきゃダメだぜ☆」
けらけらと笑いながら、はしゃぎまわる彼女を咎めつつも視線はふわふわと揺れるスカートが釘付けなのはドランベート基ドラグエスト。その服装は和装からパーカーにスラックス、サンダルという不良染みた衣服に変化し、身長も小柄になっている
「おお!さすがはわたしの
「そりゃあね、目の前に見えそうで見えそうない魅惑的な芸術を前に品評しないのはエスさん的に譲れないモンがあるからな。其れが俺の
「エスさんは今日も素直だね〜!ネプちゃんはその一言で、ねっぷねっぷだよ〜!」
戯れ合い、仲睦まじく笑いあうネプテューヌとドラグエスト。その光景は側から見るとロリショタに他ならない
「よくもまぁ、公衆の面前でそんなハレンチ極まりない会話が出来るわね。その落差には驚かされるわ、毎度毎度」
「神獣の使命を理解していないバカモノか……所詮は…」
其処に近付く影が二つ、ブラックハートとタイガベートである。互いに変身を解き、黒髪ツインテールの少女と白い功夫服を着用した銀髪の青年が姿を見せる
「あっ!ノワールにジェヴォ!なになに〜?もしかして、わたしのスピーチを褒めにきたの?残念ながら、サインはないよー?」
「いらないわよ。どうせ、イストワールが考えたのを読み上げただけなんでしょ」
「ば……ばれてる!!ばれてるよ!エス!」
「落ち着け、ネプ。こういう時はアレだ……えっと……《入》を書いて飲み込むんだ。そうすりゃあ上手くいく!多分!」
「ドラグエスト。向こう側にホットドッグがあったぞ」
「えっ!マジで!?よっしゃぁぁぁ!待ってろよ!ホットドッグ!」
「あっ!ついでにわたしのプリンもおねが〜い!」
厄介払いする様に銀髪の青年基ジェヴォーダンが告げれば、好物がある方にドラグエストは駆け出していく。その背後からネプテューヌはお使いを頼むかの様にプリンを強請る
「だがよ、テメーだけ目立つ役だったのは納得がいかねーな」
「納得もヘチマもねーだろが!ジャンケンに負けたオメェのせいだ!!ブラン!」
更に其処へ、ホワイトハートとシェルベートが姿を見せ、光を放つと大人しい雰囲気の少女と穏やかな雰囲気の少年に姿を変える
「耳元でうるさい……タートのクセに…」
「ブラン。キミさ、聞こえないからって悪態を吐くのをやめてくれない?ウザいよ」
「……………誰に喋ってるの?」
「キミだよ」
静かに火花を散らしあうホワイトハート基ブラン並びにシェルベート基タート。仲睦まじいプラネテューヌ組とは裏腹にルウィー組は険悪な雰囲気である
「ブランとタートは何時も仲が良ろしいですのね」
「ベール……今の何処を見たら、その解答が導き出されたのかを聞いても構わないかい?僕の頭では理解出来なくてね」
「あら、知りませんの?コウヨク。イヤよ、イヤよも好きのうちですわよ」
「ベールの知識は今日も偏りが激しいね…」
その様子を傍観し、大人な会話を繰り広げるグリーンハート基ベールとフェザーベート基コウヨク。二人は変身を解いても、身体的な変化は無く、優しい雰囲気の女性と知的な青年となる
「おい!ジェヴォ!ホットドッグなんかねぇぞ!サンドイッチじゃねぇかっ!!!」
「パンに変わりはないだろ」
「部類じゃねぇ!!味だ!!張り倒したろかっ!!お前!!あっ、ネプにはプリンな」
好物とは似て非なるサンドイッチがあった事に激怒しながらも、ネプテューヌへの配慮は欠かさないドラグエスト。彼はメインヒロインに対するフォローだけは完璧なのである
「おお!流石は聞いてない様に見えても実はしっかりと聞いてますでお馴染みのエスさん!!今ので私ルートの好感度はバクアゲだね!」
「とーぜんだろ?メインヒロインの好感度は上げとかないと、卒業式に伝説の木の下でイベントは発生しないからな!フラグ回収はバッチリだ!」
「と・り・あ・え・ず☆エスがわたしの好感度を上げたところで!乾杯しようよ〜!だって、わたし達、もう敵じゃなくて仲間なんだから!ね!」
「流石はネプちゃん!その天真爛漫さに俺の好感度はエンジン全開だ!」
紫色のカクテルを手にしたネプテューヌに続き、青色のカクテルを手にしたドラグエストは満足そうに頷く
「楽天的な奴等だ」
「バカとも言えるわね」
「今に始まったことじゃないわ」
「確かにね、昔からだよ」
「良いじゃありませんの……ねぇ?コウヨク」
「退屈はしないね」
此れが後に語られた新時代の幕開けの夜。始まりの日の物語である