「くか〜………」
「すぴ〜………むにゃむにゃ……」
此処はラスティションの教会バルコニー。其処に設けられたデッキチェアに仲睦まじく、抱き合う様に眠る水色のソフトリーゼントの少年と薄紫色の髪が特徴的な愛らしい少女、その名をドラグエストとネプテューヌ。プラネテューヌの女神と神獣である
「ねえ……よくわからないんだけど……どうしてお隣の国の女神と神獣がウチの教会で寝てるのかしら!?」
そして、二人を見ながら顳顬を引くつかせる少女の名はノワール。ライバルとも呼べる存在の二人の行いに苛立っている様子だ
「あ〜……ノワールは仕事してていいよ〜」
「そうそう……気にしてないからさぁ〜。んじゃあ、おやすみ〜」
「私が気にするのよ!」
怒り心頭のノワールの怒号が飛び交うのも気にせず、寝息を立てるドラグエストとネプテューヌ。その時だった
「よぉ?ジェヴォーダンよぉ……歓迎にしては随分と物騒だな」
刹那、殺気にも似た何かを感じ、腰からぶら下げた金属棒で迫る其れを受け止め、その先に視線を向ける
「ドラグエスト……お前を歓迎したつもりはない。早々に立ち去れ」
「相変わらずの硬さだなぁ?もうちっと柔軟に行かにゃ息が詰まんぞぉ?」
「知ったことか…」
けらけらと笑うドラグエストとは裏腹に表情筋を動かそうともしないジェヴォーダン。両極端ではあるが二人は長い付き合いである
「ちょっと!アニキ!他国の神獣様に失礼な発言してんじゃないわよ!すいません!ジェヴォーダン様!このバカにはキツく言っておきますんで!」
「あだだだだ!?ちょっ!アイ!関節がおかしい!お兄ちゃんの関節は其方には曲がらねぇんだけど!?」
「うっさい!!こんのバカアニキ!!静かにしろ!」
「出来たらしてますけどねぇ!?」
他国の神獣を相手に無礼極まりない態度のドラグエストの頭上にアイエフは拳骨を落とした後、関節技を決める
「お兄さんもお姉ちゃんもシャキッとしないとダメだよ。ノワールさんとジェヴォーダンさんから、心得を学ぶんでしょ」
「う〜ん……明日からがんばる〜」
「ネプねぇ……それは絶対にやんないヤツのセリフだかんな。アニキも!アイねぇの言う通り、失礼な態度は控えなきゃダメだろ」
「んだよぉ〜…エフは真面目ちゃんだなぁ〜。てことだ、心得だっけ?教えろや」
「「それがモノを頼む態度かっ!!バカアニキ!!」」
「えすっ!?」
学ぶ姿勢以前に態度を改めないドラグエストに、義妹と実弟からのダブル制裁が放たれる。一方でネプテューヌに至っては未だに夢見心地状態である
「悪いけど、態度以前に私は何も教えないわよ。ジェヴォも同じ意見よ」
「そういうことだ。もう一度だけ言う………早々に立ち去れ」
「もぉ〜!ノワールもジェヴォもガチガチだなぁ〜!相変わらず〜!」
「全くだよなぁ〜柔らかく自然体に生きんのが楽だろ」
能天気なプラネテューヌ組とは裏腹に対抗意識の高いラスティション組。片方は無邪気に笑いあうが、もう片方は外方を向く者と無表情な者という両極端な構図である
「シェアクリスタルを奪い合う関係性に変わりは無い以上……馴れ合い等は不要だ」
「うわぁ〜出た……意識高い系発言……だから、ぼっちなんだぞ?お前」
「立ち去るか……今すぐにくたばるかの何方かを選ばせてやろう」
「えっ?なに?気にしてんのぉ?」
「………エス……今日という今日は許さんぞっ!!」
腰に携えたナイフを両手に意気揚々と揶揄い続けるドラグエストを追うジェヴォーダン。その構図は正に宿敵同士にも見えなくはないが内輪のノリにも見えてしまのだから、不思議である
「ノワール………ウチのエスさんがごめん……あとでちょっとだけシバいとく」
「良いのよ……ジェヴォは割と楽しそうだし……た、多分…」
流石に心の広いネプテューヌも流れ弾で、被弾していたノワールを気遣い、ドラグエストに制裁を加えると発言する
「お姉ちゃん、この書類終わったよ」
「俺も終わらしたよー……ん?エフじゃん」
その光景の真っ最中、エレベーターから姿を見せたのは書類を抱えた少女と手をひらひらと振る軽薄そうな少年。少年はドラグエフトに気付き、声を掛ける
「ジェスーダンか。元気そうだな」
「ジェスでいいぞー。にしても……兄者もエスさんも懲りずによくもまぁ……やるねぇ?」
「習慣みたいなもんだよ……アレに関しては」
「違いねーや」
少年の名はジェスーダン。ジェヴォーダンの実弟でありドラグエフトと同じ神獣の候補生とも呼ばれる幼獣である
「あら、ユニ。今回は早かったわね?其処に置いといて」
「うん」
「あっ…そうだ、ジェス!誤字とか脱字は確認した?アンタはミスが多いわよ」
褒められた事に嬉しそうにするユニの背後で目線を逸らすジェスーダンを見逃さず、ノワールは彼に小言を言い放つ
「あ〜…‥気をつけまー---やっほー?兄者」
「ジェス、確認は怠るなと忠告した筈だが?」
「えっと………ごめーん!!」
「説教だ」
逃亡を図るジェスーダンであったが、脚力の高さは神獣の中では誰よりも秀でたジェヴォーダンに敵う筈が無く、瞬く間に追いつかれ、連行される
「ふぅ……なんとか助かったか。ジェヴォはしつこいから、逃げんのが大変だ」
「エス?ちょっと座って」
「はっ……この殺気は!!プリンを食べられた時の怒りにも匹敵する怒り……!ネプ!すまん!次のゲームイベントに付き合うし、なんでも一つだけ言うことも聞きますんで、説教だけは勘弁くだせぇ!」
一難去ってまた一難、唯ならぬ気配を察知したドラグエストは身を翻し、土下座という名の宝刀を引き抜き、更に魅惑のボーナスまでも付けた提案をネプテューヌに繰り出す
「なんでも……?ホントになんでもいいの?ネプちゃんは期待しちゃうよ?しかも…好感度あげながらのバクアゲ期待だよ?あとで断ったりしない?」
「無論。全ては俺の
「な、なんと……!!流石はわたしの
幸せそうに笑顔を見せるネプテューヌ。後にドラグエストは、あの時のネプが今までで一番可愛かったと語った
「ホントに仲良いよね、ネプテューヌさんとドラグエストさん」
「確かに……兄者や姉者とは違う関係性だよなー」
「基本的にウチのアニキはネプねぇ一筋だからなぁ……甘やかしてばかりだよ」
「お兄さんはお姉ちゃん大好きだもんね。勿論!私が一番大好きだけどね!」
「いや、なんの張り合い?ギア」
自分たちの姉や兄とは異なる関係性のドラグエストとネプテューヌが新鮮なのか、ユニは不思議そうに眺め、ジェスーダンも両眼を瞬きさせる
「おん?なんか若いもんが仲睦まじいのは目の保養になりますな。ネプさんや」
「そうだね〜エスさんや」
「あいちゃん!なんか、ねぷねぷとすーくんが湯呑みを片手に和んでるですー!」
「ほっときなさい」