どうも!そこいらで狐ミミツンデレ男の娘やら欲望ダダ漏れ不良系オーズやら書いてる物書きの甲殻類です!知ってる人はあざっす!知らない人ははじめまして!
正直まだまだ「知らんな」という人の方が圧倒的だと思いますが、それはそれ、これはこれ。
それでは、作者の完全オリジナル、「蒼炎のサラスヴァティー」はじまりはじまりー!
一話 フォルトゥナ
「いたぞ!アーリア教の人間だ!」
世界が炎に包まれる。表現すればまさしくそれだ。
四人の人間……大人の男女と、成人前後の女性、そして見た感じ、年端も行かぬ少年はまるで互いを守り合うかのように走っていた。
「お父さんまだなの!?いい加減に撃ち殺されるよ!?」
「もうすぐだ!あと500メートルもない!そこの船に密航すれば亡命できる!」
家族は息を切らしながら走る。ここで死ぬ思いをしなければ本当に死んでしまうのだ。
「お父さん……っ!お母さん……!僕、もうっ……!」
「頑張って蓮華!あと少しの辛抱だから!」
蓮華と呼ばれた少年の足は最早足が走る以外の思考を持っていないかのように、本人の本心とは裏腹に動き続ける。
「見えた!あの船だ!あの船に乗れば───」
父親が指を指す場所には一隻の船が停留していた。恐らく、家族の信仰する宗教の船なのだろう。
「───うわっ!?」
突然、背後から強烈な風圧がのしかかり、小さな蓮華の身体を吹き飛ばし、浅い崖の底へと落とした。
「蓮華!くそっ、ナザレ教のアルケー部隊か!?」
父親が蓮華に目をやって即座にその風圧の根源を放った者へと目を向ける。
そこには、白い翼状のスラスターが特徴的な10メートル強はある機械達が鎮座していた。手元には硝煙が登っている銃があり、おそらくそこから発射された銃弾が着弾した衝撃で蓮華は飛ばされたのだろう。
「無事か蓮華!?すぐ助けに───」
三人が蓮華を助けに浅い崖を勢いよく下ろうとする。
「だ、駄目!逃げて!」
しかし、蓮華はそれを拒んだ。自分の目の前にいる一機の機体、アルヒャイと呼ばれる機体がその銃口を向けていたのだ。
無情にも、アルヒャイから弾丸は放たれた。弾薬の赤い光は閃光のようにほとばしり、弾丸が三人の身体を貫いた。
「───あっ」
蓮華が全てを認識する前に、全ては終わっていた。着弾して上がった煙で全員死んだと思ったのか、アルヒャイはスラスターを噴かせていずこかへと飛び去って行った。
それから蓮華はただ、メチャクチャになった家族の亡骸を見つめていた。
───この世界に神は存在しない。いるとしたら、神を名乗る殺戮者だけだ───
蓮華はその日から、ずっと信仰していた宗教をはじめとして、ありとあらゆる教えを否定した。
神などいない。この世界は、人の欲望で穢れているのだと。
それは、宗教が世界の全てを支える今の世の中で、彼はマトモに生きることを放棄したとも言えることだった。
◆◇◆
それから数年、世界の状況は全くと言っていいほど変わらなかった。
……いや、むしろ当然だ。世界の全てを巻き込んだ大きすぎる戦争がたかだか数年程度で終わるはずがない。第二次世界大戦が終わっても暫くは冷戦状態が続いたのだという。
小さな少年、蓮華は砂漠の中を静かに歩いていた。前の街を出てから既に一週間の刻が刻まれている。
ふと、空を見上げると白い翼のエンブレムが刻まれたナザレ教と、預言者が人々に教えを説く姿を現したコーラン教のコモンセンスカタクリズマー、通称CKと呼ばれる人型兵器が殺し合いをしているのが見えた。
それを見た蓮華はボトルの水を一息で飲み干し、ボトルを投げ捨てようかと思い、やはりバッグの中に仕舞った。
鉄は貴重だ。ここで手放したらまたいつ手に入るかなんてわからない。
「……何年経っても殺し合い……か。神様なんて信じない、なんて言ってるから、止めたいのに止める力が手に入らないんだよ……」
蓮華はやや自虐的に笑いながら呟く。しかし、彼自身のこの呟きそのものも事実であり、その呟きに答える者もいない。
蓮華は先ほどよりも少し足早に砂漠を歩いていった。
◆◇◆
アーリア教国首都、ヴェーダ。
砂漠の中を出た蓮華の一つ目の感想は煌びやかだ。
正直、砂漠を出てすぐ先に夜でも真昼のような明るさを持つ街が出迎えるとは思わなかった。
「……それでも、戦火が飛び散る中でこんなことやってるのはある意味異常なんだけどなぁ」
蓮華は賑わう街に感心と呆れを混ぜた言葉を零す。戦争の差中でもこんなことができるくらいにアーリア教の経済は圧倒的、ということなのだろうか。
暫く思考した後にどうせ答えなんかどうでもいいと気づくという答えに達した蓮華は、異教徒が入り込んだと疑われないようにできるだけ人目の少ないところを通ることにした。
「宿……は、探さない方がいいか。信仰者かどうかわからない人を留めて宿主さんが損害受けるよりはいいや」
じゃあ今夜は路地裏で一寝入りかー、なんて蓮華が思っていた時だった。
「助けてください!」
「───へ?」
突然、勢いよく走りながら、助けろという割には周りの人のことをあまり気にせずに走っていく少女の姿を見かけた。
「……なんだったんだ……?今の人はいった───」
「追えーッ!逃がすな!」
今度は複数人の男が少女の通った道を通って行く。マグナム銃やらアサルトライフルやらスナイパーライフルやら、持ち物の一つ一つがイヤに物騒だった。
そして男達を見た瞬間、蓮華は男達のローブに刻まれた絵をハッキリと視認した。
「三首の龍の顔をした悪魔───サーサーン教!?まさか、あんな他国と戦争真っ只中のはずの国がアーリア教国の首都に乗り込んでまで女の子一人を殺害……?」
どちらにせよ、宗教的な問題で人一人殺されようとしているのならば蓮華がすることは変わらない。
「いるはずのない神様信じて人を殺して……なんになるんだよ……!」
いない神を信じて人殺しをする愚かな人間を止める。ただそれだけだ。
蓮華はすぐさま少女と男達を追いかけ始める。こんな時に限ってどの教国にも属していないから断髪もマトモにできなかったこの髪が恨めしい。夜風を感じて靡く髪を鬱陶しそうに払いながら蓮華は男達を追いかける。
すると、少女がもともと足が早くない方だったのか、男達の狙いがしっかりとしていたからなのか、蓮華は割と早くに男達と少女のすぐ近くに辿り着いた。
「さあ、観念しな!」
「……くっ、私、もしかしてこれで終わり……?」
少女は壁に背中をついて観念したのか、あるいは負けを確認していたのか、引きつった笑いをしていた。
「これで、終わりだ───」
「……今だっ」
男がマグナム銃のトリガーを引こうとした時、蓮華がバレないように声量を抑えながら近くにあった鉄パイプで男達の後頭部を殴りつけた。
「まったく……これだから宗教は。人を殺しても宗教の教えに忠実にやったと言えば許されるとでもおもってるのかな……?」
蓮華は鉄パイプを投げ捨て、握ったことでついた錆を鬱陶しそうに払う。そして少女にむかってできる限り、自分に可能な最大限の笑顔で手を向ける。
「無事……だったかな?」
「あっ……う、うん。ありがとう」
少女は蓮華の手を恐る恐るといった感じに掴み、ゆっくりと立ち上がる。
(……旧日本の人かな?顔立ちがそれっぽい気もするし……)
日本と呼ばれる国は既に何年も前に失われてしまっている。科学的にはオーバーテクノロジーと呼んでももいいくらいに科学の発展が著しい国だったが、元々宗教に関してはどれを信じるも国民の自由という思想と高すぎる技術を持っていたが、徹底非交戦を貫いていたが故にあっという間に滅んでしまったのだ。
そして宗教に関する思想の自由から、日本人はありとあらゆる場所に散らばっていき、世界各国にに少なからず科学進歩を促している……
なるほど、そういうわけなら異教徒が人攫いに来るのも納得だ。もしかすればこの少女の親族から日本のオーバーテクノロジーが産んだロストテクノロジーを手にすることも可能なのかもしれないのだ。
「……あ、あの。私の顔になにか……?」
「あっ、ご、ごめんなさい……!少し、中東では見かけない顔立ちだったからつい……」
「ああ、そういうことか。確かに私のお母さんは生まれが旧日本の人だから……そういうキミも、この辺じゃ見かけない顔立ちしてるよ?」
「それは……まあ、旅をしてるからかな。宗教を信じることができないから、誰になんて異端視されても文句は言えないよ」
蓮華は鉄パイプで気絶させた異教徒の男達を男達の服で適当に縛り付けて手を叩いて埃を落とし、そのまま話が長くなる前に立ち去ろうとする。
「待って」
だがしかし、そんな蓮華を少女が呼び止めた。
「なんですか?」
「流石に助けてくれた恩人になにもしないでバイバイは気が引けるわ……」
「いえ、だから僕は異教徒どころの話じゃないですよと」
「関係ない。それにアーリア教信者でもないんだから宿にも泊まれないでしょ?」
「……まあ、そうなんだけど」
「じゃあ決定!よろしくね、えーっと」
少女が蓮華の名前を聞いてくるかのように首を傾げる。その意味をすぐさま理解した蓮華はとりあえず包み隠さず、本名を名乗ることにした。
「……レンカです。蓮華・アズナブール」
「レンカ、ね。私はサンスクリット・グプタ。サンスクリットじゃ長いから親友にはクリットなんて言われる」
「よろしく、グプタさん」
「……そこ、普通はクリットって呼ぶところじゃない?」
というわけで蒼炎のサラスヴァティー、主人公機がまだ出ません!
いやー、最近はイスラムがどうのこうの言ってたから元々あったこの作品に宗教云々を混ぜて見たら……意外とマッチした……のかな?
まあそんなことはともかく、次回もお楽しみにしてくれる人がいると嬉しいです!