狂信者+ダンジョン=農家栽培   作:ストマフィリア

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15話 友人にちょっとした旅行を提案する

 

 ダンジョン内。時刻は恐らく夜。

 20階層、森林地帯にある一区切りの空間。

 そこの木々のふもとに座り込むあなたの隣には兜を脱いだラーニェが、そしてその知り合いであるという蜥蜴人(リザードマン)とリッチが対面に座っていた。

 

「あー、まず一言で言うとな。その、なんだ。お前との関係がリド達にバレた」

 

 開口一言、ラーニェが詰まり詰まりな言葉でそう言い放った。

 バレた、というのはなんだ。ラーニェは身内にあなたとの関係を隠していたという前提だろうか。 

 そうあなたが問うと、彼女はどこか気まずそうに首を縦に振る。

 

「本来、人間との交流というのは、お前が思うよりも私の同族の間柄では十分に異常事態(イレギュラー)な事態なんだ。だから混乱を広げないように、出来るだけ隠し通してはきたんだが……」

「ま、風の噂は割と強くなりがちってことだ。オレっち達も噂を耳にしたのさ」

 

 次に、蜥蜴人(リザードマン)のモンスターが口を開いた。

 

「紹介が遅れてすまねぇ、オレは蜥蜴人(リザードマン)のリドだ! ラーニェとは、同類の間柄で同時に大事な仲間ってことになるな」

 

 よろしくと、差し出された手をあなたは何の警戒も無く握り返す。

 

 蜥蜴人(リザードマン)だからか、中々に大きい掌にゴツゴツとした感触を味わう最中、あなたは彼の力量を握り返した手のひら越しに感じ取った。

 感知鑑定がどうなどと察するまでも無い。この蜥蜴人は恐らくラーニェよりも、いやアイズ(Lv.5)と堂々の勝負をできるほどの力量をその身に宿している。 

 

「まあな! そこっちょそこらの奴らには負けねぇ自信があるぜ?」

 

 素直に強さを褒めてやると、太めの二の腕を叩いて自信満々にそう吐いた。

 まあ、強いは強いがあなたと比べてしまうと流石に何とも言えない感じではあるのだが。なんなら終末の発生で湧いてくるドラゴンには負けそうだ。

 

「終末? が何かは知らんがドラゴンは多分厳しいな……」

 

 難しい顔をしてうねるリドにあなたは却って丸焼きにされそうだと笑う。

 蜥蜴人(リザードマン)だからより美味しくこんがりと焼かれるだろう。

 

「あー、次には丸食いされるって? あっはは、オレっちそんな死に方嫌なんだがっ!?」

「リドうるさいぞ。話が進まん」

 

 リドの頭を(はた)くラーニェ。

 もしかしてリドは仲間内ではやかましい部類の扱いをされているのではないだろうか?

 

 一人ツッコミで盛り上がっている所を、今度は黒衣を纏ったリッチが割って入る。

 

「まったくだ。っと、すまない。こちらも自己紹介をさせてもらおう。私はフェルズ。こっちのとは違い、とある神の下で特使のような役割で動いている者だ」

 

 ふむ、次は骨か。

 今日はやけに姿形が歪な者と知り合うものだ。

 

「骨と言うなっ!! ……いや待て、なぜお前は私の中身を知っていりゅ!?」

 

 ローブにあるフードを被っているせいか、己の物よりも目深で表情すら全くうかがえないが、生憎あなたほどの冒険者なら一目見ただけで分かった。

 恐らく黒衣の中身は、全身がヒト型の骸骨だろう。ノースティリスでも似たようなモンスターが居るので骨格等に見覚えがある。

 

「なっ、一目見ただけで分かるというのかっ?」

 

 他がどうかは知らない。単にあなたの目が良いだけである。

 

 しかしあなたには、彼が有象無象のモンスターの様には見えずにいた。何となくな感覚ではあるが、リッチには人間味が残っているように感じる。

 まさか元々人間だったものが、変異の果てにそうなったとでもいうのだろうか? エーテル病を患おうと、そこまで悪化はしない筈なのだが。

 

「貴公、一体どこまで知って……」

「フェルズ、話が逸れているぞ」

「……っ、ああすまない。そうだな、私の身の上話は今は止そう」

 

 リドと同じ流れになるのを察したのか、ラーニェが先と同じく慣れたように会話を強制的に区切る。

 そうして、フェルズは本題に入ると言わんばかりに話を始めた。

 

 

 

 まず、彼ら2人から放たれたのは彼ら異端児(ゼノス)と呼ばれる存在の説明であった。

 彼らは通常のモンスター達と異なり、高い知性や心といった理知を備えている存在だと。あなたはノースティリスの常識が影響していたのが原因か、大して問題視していなかったが、モンスターが言葉を話すという状況はそもそも異常なのだという。

 

 そんな彼らは約16年ほど前、フェルズの主神によって保護の身になり、以降は私兵としてダンジョン内で起きている異常事態を秘密裏に解決する役割を与えられた。

 

 異端児の多くは、地上や人類に対する強烈な憧憬を持っており、いつか地上で生きる事や人間と共存する事を夢にみているという。

 しかし同時に、人間に対して不信感を持つ者も存在しており、かくいうラーニェも元々()()()だったと口を挟んだ。

 まあ確かに思い返せば、やれ消えろだとか、やれいきなり舌根を引き抜けとか、と関係を持ち始めた頃はやけにあなたに対して当たりが強かった。アレは人間不信から来る行動だったかと思えば納得できる。

 

「ラーニェ?」

「う、うるさいっ。過去の話だ過去のっ」

 

 昔のことを暴露されて少し赤面するラーニェ。

 

 話に戻り、今回彼らがあなたに接触してきた理由は、ラーニェと交流している人間とコネクションを取るためだと語った。

 まあ気持ちは分かる。今までボッチだった者にいきなり友人が出来たとなったら気にもなるだろう。顔も見たくなる。

 

「誰がボッチだって!?」

 

 ツッコミは置いておき、話の続きだ。

 フェルズによると人間との交流は今まで無かった訳ではないらしい。

 異端児の存在を知って、同情をした人間は今までもいたらしいが、結局最後は我が身可愛さに全員彼らの前から姿を消したとのこと。異端児たちの人間不信もそこからきているとか。

 

 ふむ、要するに今まで彼らが接してきたのは生ゴミ以下の人間という訳か。

 

 一言そう言葉にすればちょっと引いているリドと、クスリと失笑するラーニェがいた。

 

「な、生ゴミ以下……」

「言い得て妙だな。意外と的を射ているのも笑える」

「……まあ、しょうがない事だろう。異端児の存在は世界からしてみれば異常事態であることには変わりない」

 

 別にあなたにとってはモンスターが喋っていることなど日常茶飯事なのだが。

 

「貴公は例外中の例外だろう。ラーニェから話を聞いてみた所、貴公はどうやらモンスターに対する恐怖意識が無いようだが?」

 

 まあ、そんな意識はない。

 あなたにとって、人とモンスターの違いは姿形の違いとでしか見ていない。恐怖を感じるというのなら死を向けられる時だけだ。もっとも、そんな機会はあなたが狂人になって以来、久しく失われているのだが。

 

「容姿の違い、モンスターと人間であってもその境目は同じ感性と。だがしかし、それは貴公の固定観念に過ぎないだろう? 残念ながら、世間一般的には彼らのような存在は恐怖される対象になる」

 

 フェルズの返しにも一理ある。

 

 確かにあなたは特殊な側の人間だ。

 あなたはノースティリスから来た異世界人であり、その感性があるからラーニェなどの異端児にも遠慮なく接することができた。

 そんな特殊な人間性を持つあなたに、オラリオの人間と同じようにと扱うのは無理があるだろう。

 

 だがしかし、そんなあなたはその問いに返す言葉を持ち合わせている。

 

 あなたは一つ、彼らに見えないように4次元ポケットから一つの本を取り出した。

 

 見せびらかすは、謎にピンクと黒が目立つ表紙。

 中身は特定の者に御用達。万人には受けないだろうが、確かに魅力のある逸品である。

 

「……おい待て、待て待て!? お前、まさかまたそれを見せるつもりか?」

「なんだ、それは?」

 

 ラーニェは察しがついているだろう。

 そう、コレは《いちゃいちゃモンスターパラダイス》という題名の古書物。その第2巻目である。

 

「い、いちゃいちゃ?」

「モンスターパラダイス?」

「復唱するな! お前、そんなものまだ持って……!」

 

 困惑顔のリドとフェルズとわなわなと顔面真っ赤なラーニェが怒鳴った。

 木々の間を反響して、彼女の大声が響く。

 

 あなたが手に持つソレは、つい最近市場に出回るようになった《いちゃいちゃモンスターパラダイス》の続巻である。

 遂に古本屋から脱し、特殊性癖を持つ人間の欲望が世間に出回るようになった事実に、本の購入時あなたは良い笑みを浮かべたものだ。

 

 題名からして内容は言わずもがなで、ラーニェも顔面を赤くする程に濃いくんずほぐれつ書かれている。

 

 因みに、第1巻はラーニェとの初めての交流がてら彼女に渡したのだが、返ってきたのはビリビリに破けた紙の束であった。

 

『なんてもの見せてくれたんだ馬鹿!!!』

 

 と、乙女さながら怒声込みで紙束を顔にぶん投げられたのは懐かしい記憶である。

 

 閑話休題

 

 結論だが、フェルズとリドに語ったあなたの言い分はかつてラーニェと同じようなものである。

 

 好みなど十人十色であると。

 固い鱗を全身に纏った化け物が好きで、多数の手を持つ化け物が好きで、四つの目を開眼させている化け物が好きな人間なんているに決まっていると。

 いつだって誰かと誰かを繋ぐものは欲と癖と信じるモノというのが相場だと決まっていると。

 

 あなたは蜥蜴人(リザードマン)とリッチに語ったのである。

 

「ヤベェなんだコレ、そんなとこ入るのか……? うおぉ、今度はそんな所を……」

「やめろリド!! 目が腐る!!今すぐその本を見るのをやめろぉ!!」

「いやでも見てくれよラーニェ、人間って俺達みたいなのをこんな風に書いてくれてな」

「ひゃっ……! わ、私に見せるなぁ!!!!」 

「ぐぶおっ!?!?」

 

 隣では、あなたが提示した《いちゃいちゃモンスターパラダイス》を真面目に見るリドと見たくないと暴れるラーニェがいた。

 なお先の叫びはラーニェのボディーブローがリドの腹にぶち込まれた音である。

 実に痛快で良い音だ。あなたはラーニェはジェノパの才能がありそうだと思った。

 

「……あー、でなんだ。結局の所、貴公の意見は変わらないということでいいのだな?」

 

 見えないが、どこか遠い目をしたフェルズがあなたに語りかける。

 

 まあ、そういうことだと思ってくれていい。

 特殊の部類であるあなたであっても、オラリオに住まうこの世界の人間であっても、異端児たちと人間が相容れる可能性はあると、あなたは豪語する。

 

 互いに友好を築く余地があるのなら、良い関係を築けていけるというのがあなたの言い分だと。

 

「その言葉に、偽りはあるか?」

 

 あなたの神に誓って無い。

 

「…………そうか。なら、いい」

 

 あなたの宣言から数秒の間を空けて、フェルズは神妙な面持ちで結論を付けたようだ。

 まあ、そもそもフードの中の表情は見えないし、骸骨だから表情もクソも無いと思うが、どこか安堵したような声色だったので大丈夫だろう。

 

 で、さっきからリドをぶっ飛ばして戻ってきたラーニェがあなたの様子を見続けているがどうしたのだろう。何か顔についているのだろうか?

 

「……はぁ。まあお前の事だから薄々分かっていたが……拒絶、しないんだな」

 

 何をいまさら。あなたとラーニェは既に友人だ。

 友人は見捨てない。拒絶などもってのほかだ。

 

「ふん、リド達もまとめてか? 今回は人間に好印象を抱いているリドだから良かったが、そうじゃない奴ならどうしていたんだ。私がいうのもなんだが、アイツらはかなりの人間嫌いだぞ」

 

 だとしても、既に人間嫌いであったはずのラーニェと交流できているのだから問題ないだろう。

 前例はある。ならあなたは友好的に関わろうと思えばできる。

 多分、恐らく、メイビー的に。

 

「そう言えるような人間に出会えたことに感謝しなくてはいけないな。ラーニェ、お前は良い人間を見つけてくれた。この者は異端児の可能性を大きく広げてくれるだろう」

「……ふん、お前に言われるのは不服だ」

「痛てて……まあ、てなわけで今後もラーニェを頼んだぞ農家っち!」

「おい、私は頼まれるなんて御免だぞ!」

 

 ボディーブローの負傷から舞い戻ってきたリドがあなたに寄ってそう声を掛けてくる。

 ……待った、農家っちとはなんだ。

 

「おう、農家を営んでるんだろう? だから農家っちだ」

「あー、リドのコレは名称だから諦めろ。……不服だろうが勘弁してやってくれ」

 

 ……呼び名に困っているというのならあなたは何も言うことは無いが。

 というか、アイズといいリドといいこの世界に来てからのあなたは何故かよく分からない名称で呼ばれることが多いような気がする。

 日頃の行いが悪いのだろうか?

 

 まあ、リドの頼みには軽く了承の意を返すあなた。

 責任を持って、彼女との交流を続けていこうと告げるのであった。

 

「お前な……っ! 全く、もう!」

 

 少しだけ顔を赤面したラーニェがあなたの顔を見てからふいっと明後日の方向へそらす。

 

「そりゃぁありがたい! ……できれば、この流れで外に連れだしてくれればいいんだけどなぁ。なあラーニェ。お前、確か持ってる夢って……」

「言うなリド。少なくともコイツの前で言うな……!!」

 

 夢、というのは何だろう。

 もしかしてラーニェは、この性格で夢を見ていることがあるのだろうか。だとしたら随分とロマンチストだ。

 

「もしかしなくても私を馬鹿にしていないかお前は」

 

 そんなつもりはない。

 夢を見ることは良い事である。目的があるというのは何かをするための動力源になりうるからだ。かつてのあなたも、神に追いつくという夢を持っていたからこそここまで強くなれたものだ。

 おかげさまで神を殺せるように成れたのだ。

 

 まあとにかく、あなたはラーニェを馬鹿にしたつもりはない。

 

 次いで、先ほどリドが言っていた言葉にも肯定の意を返す。

 あなたは、ラーニェを()()()()()()()()()()()()()()()。そう告げる。

 

「……は?」

 

 理解ができなかったのか、数秒の静寂が流れた後フェルズがひょうきんな声で疑問を放った。

 

 ふむ、さっき言ってたではないか、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 関係を持って浅いリドかフェルズ頼みなら少々考えるが、ラーニェの意思次第ではあなたは彼女をダンジョンの外へ連れ出すことを考えてはいる。

 そもそも、ラーニェに会いに行くのにダンジョンの中層まで下りて行かなければいけなかったのが面倒だったのだ。この際に外へ連れ出し、友人として関わりやすい環境下に置けるというのならあなたも願ったりである。

 

「……本気か?」

 

 マジだ。あなたは大事な友人の為なら有言実行する気だ。

 

「……妄言、というわけではなさそうだな。リド、話は聞いてたか?」

「おう、ちゃんと聞いてたぜ。っていうかマジか。オレっち冗談で農家っちに言ったつもりだったんだが。マジなのか」

 

 あなたを見ているリドとフェルズはどこか冷や汗をかいているように見える。

 うーむ、ただ友人を外に連れて行くだけだというのに、なぜか大事になりそうな気配だ。なんかこう、雰囲気が緊迫している。

 

「貴公がどのような方法を用いるのかは、あえて聞くまい。しかし、貴公はそれができる人間ということで良いのだな?」

 

 フェルズの懸念は、ラーニェという少々特殊なモンスターを安全に連れ出すことができるのかというモノだろう。

 明らかに怪物な見た目。それを一般市民、あるいは冒険者に見られでもしたら即治安ファミリアに通報されかねないことに足を踏み込むのだから、まあ心配はあるだろう。

 

 だが、方法はあるのかと問われれば、オラリオで試したことはないが、あなたは恐らく可能と答える。

 この世界とモンスターと、ノースティリスのモンスター概念が同じというならあなたの持っている()()()()の一つが、有効に活用できるだろう。

 

 それこそ安全に、人目に映ることなく。

 

「……だと言っているが、ラーニェ。君はどうする」

「……なぜここで、私に話を振る」

「君が当事者になっているからという言葉しか返せないがな。彼は、君の意思次第で行動すると言っている。だとしたら私とリドが口出しすることはできないだろう?」

「つまり私の意志で、ここを出るかどうか決めろというのか」

「その通りだ。異端者(ゼノス)としてではなく、君自身の本心に沿って答えを出してもらいたい」

 

 やけに真剣な声色で相談事を始めるラーニェとフェルズ。

 

 そう気構えなくていいのだが。

 ラーニェには、ちょっとした長期旅行程度に思ってくれればいい。

 別にモンスターが外に出るのは珍しい事ではないだろう。つい最近も、怪物祭と評した祭事でモンスターが外に出ていたことがあったのだから。

 

「気楽そうだなお前は……っ」

 

 気楽でいいのではないか?

 それに、異端児という存在が人間と共存する事を望むというのなら、まずはその人間をよく観察する異端児がいたっていいと思うのだが。

 

 そう返されると言い返す言葉が浮かばないのか、少々ぐっと黙るラーニェ。

 

 ……すぐに答えは出せないか。

 まあ、あなたが勝手に出した提案だ。そこまで答えを急かすような真似もできまい。

 あなたはラーニェの困惑している表情からあてを付け、腕を組んでからフェルズにこの一件について熟考してほしいと頼む。

 

「……ああ。私も、主神の方にこの事を通しておこう。何せ前代未聞な一件になりそうだ」

 

 フェルズはどこかお腹を抑えながらそう言った。

 去り際に胃痛がどうとか言っていたが、果たして骸骨にそんな器官があるのだろうか。あなたは首を傾げて疑問を抱いた。

 

 

 

 そうして解散となった集まりを後に、あなたはオラリオの街並みを歩く。

 返答はそのうち、フェルズからあなたに来るようである。

 別に焦りも何もないので、あなたはラーニェの返答を気長に待つつもりだ。

 

『お前は……どうして私に気をかけてくれるんだ』

 

 ふと、歩きながら去り際にラーニェがかけてきた問いを思い出す。

 

 どうも思いつめた表情だったので印象に残ったのだろう。

 まあその問いには、あなたがラーニェが友人だからと返したのだが。

 

 あなたは友人を大事にする人間だ。友人にはあなたの信仰を押し付けはしないし、少し怒ったからと殺しはしない。

 意思も尊重するし、やりたい事があるのならそれをできる限り叶えてやりたいというのがあなたの本心である。

 

『どうして……この際化け物だからと言い訳はしないが。どうしてお前は……!』

 

 できれば、あなたは彼女と一緒にオラリオの街並みを歩いてみたい。

 それに生憎、ここに降り立って1年。仲間という仲間が持てずにいたあなたは、この機会に仲間を作りたいと思っていたのだ。

 

 それがラーニェであるなら良いし、ラーニェであるならあなたも満足だ。

 

 そう笑って言葉を返すと、ラーニェは純白な顔を赤らめてあなたと正反対の方向へ顔を逸らした。

 

 その顔は悲痛に満ちていたかもしれないし、どこか喜びを帯びた笑みを浮かべている様にも見えた。

 

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