それゆけ! スーパーアロナ先生   作:融合好き

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第七話 シレッと進行していたパヴァーヌ

 

 

 

 

 

 

もし人生をやり直せたら──というのは、人間誰しも一度は考えたことがあるだろう。

 

それは渦巻く周囲の環境だったり、取り巻く人との関係だったり、あるいは単に失敗を誤魔化すための短絡的なものであったりと、その理由はありとあらゆる事象に適用され多種多様に渡り、だからこそ人類の命題ともなっている。

 

亡くしたもの、失ったもの。手のひらから零れ落ちた何かを拾い上げるには、人という存在はあまりに無力で。嘆き悔いても何も変えられず、やがて過去に縋り未来を見限るようになる。取りこぼしたものが大きければ大きいほど、その穴を埋めるため盲目的に。掬う方法すら分からないままに、不器用に我武者羅に、この上なく無様に足掻く。

 

(私は一体、何をしているんだろう──)

 

もしも人生をやり直せたら。

 

ふとしたきっかけでそのように思う。足元を疎かに蹴躓いたとき、食事の後片付けをしているとき、お風呂のシャワーを止めたとき、特に意味もなく大空を仰いだとき。そしてその度に自己嫌悪し、それを誤魔化すために奇行に走る。まるで言い訳でもするかのように、けれどどこかでそんな私を冷たく見つめる自分がいて、その度に心が軋む感覚がする。

 

笑顔を浮かべるのが得意になるたび、笑い声の上げ方が分からなくなっていく。眉間に皺を寄せるのと同じ感覚で涙を流す自分を、その陳腐さに鼻で笑う。果たして感情とは、そのように都合の良いものであっていいのだろうか。 無駄に悪知恵が働く頭をどれほど酷使しても、その答えが出ることはない。

 

もしも人生をやり直せたら。

 

私には、その答えが分かるのだろうか? 

 

己が感情すら都合良く利用する化け物が、今更のように感受性豊かに振る舞ったところで、それは本当に“私”の内から湧き出たものであると、どうしてそれを肯定できようか。

 

もしも人生をやり直しても。

 

──かつての私は、変わってしまった“私”のことを、果たしてどのような目で見つめるのだろうか。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

「では“先生”、結果発表をお願いします!」

 

この集い、曰く“補習授業部”の部長として任命されたヒフミちゃんが、教壇のすぐ隣に立つ連邦生徒会長に対して告げる。

 

仮にも“先生”を名乗っているのに定位置が教壇の中央ではないのは、彼女の身長の問題だろうか。こうしてヒフミちゃんと並ぶと一体どちらが先生なのか分からなくなるが、私も散々発育の関係で揶揄われた経験があるので口にすることは憚られた。

 

 

浦和ハナコ     4点

下江コハル    16点

白洲アズサ    35点

阿慈谷ヒフミ  100点

 

 

「……これが今の私たちの現実です。このままでは、私たちの先に明るい未来はありません」

 

ホワイトボードの下の方に書かれたその点数群を見てヒフミちゃんは神妙な面持ちで告げる。誰がどう見てもヒフミちゃんは何も問題はないはずなのに、それでも『私たち』と言っているのは、彼女の優しさかはたまた傲慢さかあるいは今の状態が一時的なブーストだと理解しているのか。いずれにせよ、彼女はこの結果に驕ることはなく、どこまでも深刻な表情で私たちに語りかける。

 

「これから次の試験までおよそ一ヶ月。みんなで60点を超えるためには、いえ、この先の試験においてもこうして立ち止まらないためには、いわゆる“勉強のやり方”を学ばなくてはなりません!」

 

あくまで“補習”を乗り越えることを目的として作られたはずの仮の部活。しかし彼女はそれだけで終わりとしないため、それきりで済まさないために、その先の学園生活を見据えた提案をする。それが彼女自身の提案なのか“先生”の入れ知恵なのかは不明だが、少なくとも彼女にとっての『学園生活』は、そうするだけの価値があるものなのだろう。

 

けれど、私含めて他のメンバーにはそこまでの気概はなかったのか、あるいは単にピンと来ていないのか、特にアズサちゃんはキョトンとした顔で首を傾げる。まあ彼女の場合はもっと他の理由もありそうではあるが、どちらにせよ理解は出来ていないようで、素直に疑問を口にする。

 

「勉強のやり方……? 教材を見る以外にそのようなものは……」

「それも正解の一つでしょう。しかし、それでは足りない人たちこそがこの場には集められている。少なくとも、それが勘違いであろうと意図したものだろうと、試験範囲すら理解してないのは論外です。……自分は関係無いって顔してますね? 貴女のことですよコハルさん。たかだか3時間程度とはいえ、昨日一日勉強に費やしておきながら16点は流石に言葉を挟まずには要られません。この分だと前回のテストの確認も行なっていませんね? いえ言い訳は結構です結果を見れば分かります。勉強は学校でするものであって自分の時間を削ってまでやりたくない──それはご尤もな意見ではありますが、なら授業は真剣にやりましょう。あれだけの数の正実が居て、しかし貴女一人しかこの場にいない現実をもっと重く受け止めてください」

 

アズサちゃんの言葉を遮るように矢継ぎ早に、まるでそれまで発言していなかった分を取り戻すかのように“先生”は語る。その内容はかなり辛辣というか妙に飛び火したコハルちゃんに対して手厳しいが、まあ正直彼女はそう言われるだけのやらかしをしているとは思う。

 

ヒフミちゃんがノイズになっていて傍目には分かりづらいが、私の見たところテストの内容に昨日からの使い回しを感じる部分はほぼ無かったと言っていい。とはいえ所詮は同じ範囲の小テストだ。それこそヒフミちゃんの例があるようによく使う数式だったり大きな戦争の勝者だったりと、いわゆる学校側からの()()()()()()()()にそうムラがあるはずもなく、少なくともテストの見直しさえしていれば20点を下回ることはそうそうなかっただろう。

 

しかし彼女はそうではなかった。それはつまりコハルちゃんは自分の間違った答案の答えを確認していないという証左であり、ならば先生の立場からしたら一言物申したくもなるだろう。

 

ただ──それは全て私に対しても言える言葉だ。初日が2点、翌日は4点。桁を一つ間違えていたとしても落第不可避なあまりに酷い点数。正解数で言うなら合計でたった3問と、誰がどう見ても馬鹿にしているとしか思えない。実際、コハルちゃんは私を引き合いに出して反論をしているが、不自然なくらい先生はそれに対して取り合わない。また、私個人に対しては特に何も言うこともない。もしかしなくても私の事情はバレているらしい。……まあ多分セイアちゃん辺りが普通に教えたのだろう。いつも通りの訳知り顔で語る光景が目に浮かぶようだ。

 

(でも、それなら尚更……)

 

どうして私はこの場にいるのか。そういう疑問が浮かぶことはある。勿論、それを私が言えた立場じゃないのは分かっている。私がこの場にいるのはある種のペナルティであり、それ自体に私の一存が介入する余地はない。でも。

 

(何が目的なの……?)

 

先程までの厳しい物言いはどこへやら、朗らかに笑う少女の表情からは驚くほど感情が読み取れない。それは権謀術数蔓延る連邦生徒会にて鍛え上げられた海千山千に由るものか、あるいは単に何も考えていないのか。

 

()()()()()()()()()()()()なんて初めての経験だった。良くも悪くも悪知恵の働く私は、あらゆる疑問をあの手この手で解消し、狡賢く立ち回ってきた。

 

けれど、彼女に関しては何も分からない。どのようにして若返ったのか。どうしてシャーレなんて異常な組織を築き上げたのか。果ては彼女は連邦生徒会長じゃないなんて噂もある。それ自体にもそれなりに信憑性があって、けれど何よりもこの街を治めた実績こそが彼女が連邦生徒会長たる証明になって。

 

いや、それ以前に。そもそも彼女は一体何者なのだ? トリニティすらキヴォトス有数の人材を複数抱えて、それでも学園内の平定さえロクに出来ていないというのに、それ以上の規模を平然と、彼女一人の有無だけで目に見えるほどの変化を齎すなどと、まさしく常軌を逸している。

 

井の中の蛙大海を知らず──彼女を見ていると、どんどん自分が小さく見えるというか、私如きを持て囃していた皆が滑稽に思えてくる。考えてみれば、私を利用しようとした人たちもトリニティという狭いコミュニティを掌握できない程度。かたやこの街の頂点と比較すら烏滸がましい。

 

(セイアちゃんは……それを私に伝えたかった?)

 

トリニティ()()を意のままに出来たとて、その程度はどうということもない。それで全てを分かった気になるなどと片腹痛い。だから、

 

『……それは、寂しくはないかい?』

 

訳知り顔で、相手に寄り添うようでいて、しかし多くは語らない少女。

 

トリニティ総合学園のトップ、ティーパーティーに所属する一人、百合園セイア。お世辞にも社交性に優れているとは言い難いながらも、当然とばかりにその椅子に座る彼女もまた謎多き女性だ。

 

未来を見据える眼を有する──実のところ、私はその詳細を知らない。予知夢のようなもの、とは聞いているものの、それが具体的にどのような感覚なのかもわからないし、彼女も語ることはないだろう。

 

(だから、“先生”をお呼びした……?)

 

真意は知らない。きっと本人以外の誰にも分からない。私ほどに、私以上に、下手をすればこのキヴォトスにおいてもトップクラスであの子の精神は偏屈している。

 

未来が見えるということは、即ち可能性を切り捨てることに等しい。それを本人は意図したものではないと言うけれど、ならばその苦痛は如何程のものなのか。

 

例えば誰かが破滅する未来を見たとして、あるいは自身がそうなる未来を見たとして、彼女に果たしてそれに抗う術はあるのか。聞いたことがない。聞くことが恐ろしい。だってもしもその方法がないとしたら。もし、もしもその方法を探るために彼女が私と交友を得たのだとしたら、私は──

 

「ねぇ、ハナコってば、ねえ!!」

「え?」

 

ふとそのタイミングで、今更のように肩に手を置かれていたことに気づく。どころか、ガッツリ身体を揺すられていたのにも関わらず反応出来なかった。どれだけ思考の渦に囚われていたのか、私を呼びかけるコハルちゃんの声は、昨日からのキツい物言いを通り越して心配の色が混ざっている。

 

私が反応を示したことに安堵したのだろう。やはり昨日からのキツい言葉は強がりのようで、彼女はところどころで優しさが滲み出す態度のまま告げる。

 

「アンタ本当に大丈夫なの? そんなに勉強がイヤ? 私も勉強は……いや、私はまだ手加減してるだけだけど! 勉強するだけでそんなになるんだったら、私からあの子に──」

 

彼女の言葉は的外れでありながら、誰よりも正しく誠実である。私の異様に低いテストの点数や、先の私の態度を見て、真っ直ぐ何も疑わず分かりやすく、私は勉強が不得手であると判断し、親切心からこのように提案する。

 

先程のテストに関しても、彼女は点数こそ褒められたものではないにしても、物言わぬテストでさえも誤魔化し虚実で塗り固める私とは違い、未熟なりにキチンと向き合った結果とも言える。

 

頑張らなくても満点が取れる自分と、頑張っても赤点しか取れない少女。けれどどちらが賢いのか。けれどどちらが正しいのか。誰に聞いても誰が答えても、その答えはきっと明白だ。

 

先のやり取りを聞いていたのか、たまたま視線を向けたその先にいた“先生”と目が合う。ニコニコと微笑む少女の真意はわからない。あるいは単に偶然かもしれない。でも──

 

(もしも、人生をやり直したとしたら──)

 

様々な事情の果て、色々な思惑の果てに生まれたこの何気ない出会いも、無かったことになってしまうのだろうか。

 

それは分からない。分かりたくもない。分かりそうな人も答えてくれない。そもそも答えを求めるつもりもない。

 

「さて、それでは今日はここまでです! 明日はちょっと厳しいので私は代理人を呼びますが、皆さんは、特にコハルさんはきっちり自分で復習をするように!」

 

“先生”を名乗る謎の少女。公式の発表を信じるとするならば、かつて不慮の事故により全ての地位を失い、しかし自力でその全てを取り戻した女性。

 

彼女がどのような経緯でその選択を選んだのかは知らない。どんな気持ちで“先生”を名乗るようになったのかも分からない。けれど。

 

(もしも、人生をやり直しても──)

 

ただ私は、どうして再び厄介な事情を抱えると分かっているのに帰ってきた“先生”の気持ちが、ほんの少しだけ理解出来たような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………“先生”の代理として参りました七神リンです。自己紹介は不要のようですので、早速補習を始めると致しましょう」

「………」

「………」

「………」

「………」

 

それはそれとして。如何に三大校のトリニティと言えど、彼女をこんな場末の誰も使っていない教室に呼んでいい存在なのかは、顧問を引き受けてくれたことといい甚だ疑問である。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

意外に思われるかもしれないが、アタシこと美甘ネルは幼い時分、周囲の誰よりも心優しい子どもだと言われていた。

 

粗雑、乱暴、凶悪と。今でこそ見る影もないが、アタシ自身もそういう時期があったのは否定しない。弱きを助け、強きを挫く。自慢じゃないが誰よりも運動は得意だったから、花壇を荒らす上級生たちにも臆さず立ち向かっていた。

 

いわゆる正義感とやらに目覚めたのもその頃だ。ネルちゃんありがとう。ネルちゃんカッコいい──なんてことないそんな賛辞が心地良くて、むしろ率先してトラブルに首を突っ込むようになっていった。

 

歯車が狂い始めたのは中学に上がってからだ。その学校にはゲヘナみたいに風紀委員なんて小洒落た役職がまだ在って、どうせいつもみたいにトラブルに首を突っ込むなら大義名分があった方が良いと所属。いじめやら暴力やら、花壇に当たり散らしてた奴が可愛く見える悪人たちを成敗し──まあ何だ。調子に乗っていた、と表現してもいいだろう。3年生すらアタシの妨げにはならなかった。アタシは凄いんだ、という気持ちがほんの少しも無かったと言ったら嘘になる。

 

そんなある日。アタシはいつものように後輩に当たり散らす馬鹿を成敗していた。そいつには見覚えがあった。再三に渡り暴力行為を行い、中学にして既に謹慎を複数回経験している救いのない馬鹿野郎。ロクに事情は聞いていなかったが、人の目があるところで他人に拳を振りかぶる奴に良い奴はいない。とりあえず制圧し、ひとまず事情を聞こうとしたその時のこと。

 

「ぐ、このヤロウ……チビのくせに」

「は?」

 

その疑問符は反射的に飛び出した。当時のアタシの身長は110センチを下回る。文句なしの低身長、発育不良を疑うレベルで、口には出さないが、むしろ今が150に迫るまで伸びたのは奇跡に近いと思っている。

 

ただ、それで他人を貶すのは何か違うだろうと。身長なんてどうにもならない。低出生体重児云々を疑ったことはないが、それで両親を責めるのも間違っている。ただ、そいつにとってはそうではなかったらしく、

 

「離せよチビ……ガキが粋がってんじゃねぇぞ……!」

「………」

 

不自然に反論しないアタシに対して、これが急所だと捉えた馬鹿は生意気にも吠え猛る。

 

苦し紛れであるのは明白だ。強がり、虚勢、負け犬の遠吠え──如何に体格差があろうとも、腕力で劣る相手に関節を決められて、且つマウントポジションを取られては抵抗など出来やしない。それは理解していたはずなのに──

 

(……何だろう、この気持ち──)

 

悲しい、とか。苦しい、とか。そういった何かを超越した感情。痛くもないし怒りも沸かない。ただただ辛く、冷たく、どこかがジクジクと傷付いていくような気持ち。

 

まるで古傷を抉られるような感情に、一番困惑していたのは自分だった。同年代と比較してもアタシが体格的に劣るのは明らかだ。でも、それが何だというのだ? 力が劣るわけでもない、頭が悪いわけでもない。何か生活に支障があるわけでもない。まして下を見ればアタシより悲惨な状況の奴なんざいくらでもいる。

 

五体満足で生まれて、親にも愛されて、たくさんの友達もいて、何が不満だというのか。こんな周囲に当たり散らすしか出来ないクズより、アタシはずっと幸せだ。

 

なのに。

 

「あれ……?」

 

気づいた時には、声は聞こえなくなっていた。たった一発、顎を綺麗に捉えた打撃がクズの意識を刈り取ったからだ。しかし、アタシはその事実に呆然とするほか無かった。こんなにも安直な手段を取った自分に、それほどまでにあんな言葉で感情を揺さぶられた自分自身に。

 

「ちょっと……ねえ……なあ……おい……そこの……オマエ……テメェ!!」

 

いつ頃から今の革ジャンを着るようになったのかは覚えていない。言葉が乱暴になるたびに、自分が荒んでいくような感覚を覚えた。そんなことはないと理解しているのに、どいつもこいつも陰では自分をチビだと嘲笑っている気がする。友達の作り方もいつしか忘れてしまった。何のために不良を成敗していたのか分からなくなっていった。

 

C&Cに勧誘されたのはどれくらい口が悪くなったころだっただろうか。ただ、謎のエージェントという立場を気に入ったのは記憶にある。正体が分からないなら気兼ねする必要はない。そんな単純な思考。まさかメイド服を着るとは色々と予想外だったが、どうせならそれくらい特徴があった方が良いとも思った。

 

アスナと知り合ったのはそれからしばらくだ。遅生まれの癖に高一の時点で160を超える長身、スタイル抜群とアタシを怒らせるために存在しているような女だったが、あからさまに邪険にするアタシを、しつこく抱き締めては宥めようとするどこかズレたこの女に対し、いつしか反抗する気力も失せていった。

 

「えー? だってネルちゃんはネルちゃんでしょー??」

 

これが当時のあいつの言葉だ。絶対に口にはしないが、同じくC&Cに所属するようになった今では、律儀に“部長”としか呼ばないアイツに少し寂しさを覚えているのは内緒だ。身長とか体格とか、そんな細かいことをまるで気兼ねなく付き合える友人は救いとも呼べる存在だった。曲がりなりにも今のアタシがここにいるのは、彼女の存在があるからと言って過言ではない。

 

身長云々に関してもいつしか吹っ切れた。そりゃあ面と向かって言われたらイラつくが、それだけだ。いつまでもそれを反芻することもなければ、陰で泣くようなこともしない。粗野な口調こそ直ることもなかったが、今の立場的にそれでも良いと思っている。

 

だからこそ、と言ったら変だが、アタシ自身がそんな経験をしたからこそ、低身長の……まあ、あれだ。いわゆるチビには随分と甘くなってしまった自覚はある。何だかんだとコチラを舐め腐っているゲーム開発部の連中にイマイチ強く出れないのもそのせいだ。

 

ちょっと話しただけなのに、ただそれだけの繋がりなのに。それでも遠慮なく、友達みたいに、同じ目線でゲームに誘われるとどうも断ることが出来ない。アリスとかいう色々と怪しい奴に関しても、物言いや表情がどうもかつてのアスナとダブって参ってしまう。ついつい自分からゲームに誘ってしまったりと、アタシ自身も困惑するようなやらかしも多い。

 

──あの女に出会ったのは、そんな折のことだった。

 

「おっとアリスちゃん、冒険お疲れ様です……おや? えっと、貴女は確か──」

 

アリスを伴い訪れたゲーム開発部の部室。普段は騒がしいあの双子に代わるように、その女は自然と佇んでいた。

 

座っていた状態でも分かるほどの頼りない体格。それに不釣り合いなほど仰々しくばっちり決まった白い制服。肩の辺りで切り揃えられた髪は一部がおさげになって胸元まで伸びていて、カチューシャのようなリボンも含めてアタシの髪型にそっくりで、それが偶然であっても強い親近感を覚える。

 

「ええと、美甘ネルさんですね。初めまして、私は──」

 

髪型が偶然の一致であると断言出来たのには理由がある。何故ならアタシは、過去に彼女を見た記憶があるからだ。というよりかは、このキヴォトスに住む人間で、彼女のことを知らない人は誰一人として存在しないだろう。初対面なのにアタシの名前を知っていることも、彼女であれば驚かない。流石にこのアタシでも知っている。そう、彼女の正体は──

 

「連邦捜査部シャーレ代表兼連邦生徒会長代理のアロナです。どうぞ気軽に“先生”とお呼びください」

 









モモミドよりも先にネル先輩が出るようなパヴァーヌがあっても良い。それが二次創作というものだ。



おまけの人物紹介

アロナ

本作の主人公。男性。苗字はあるが作中には登場しない。ちゃんと存在はしている設定。連邦生徒会長とは普通に違う名前。

ぶっちゃけアロナなのは見た目だけで中身は歴戦の傭兵とかそんな感じ。これは作者の「戦術指揮が上手い?→なら傭兵だな!」という単純な思考から来ている。でも普通の先生が戦術指揮上手いとかそんなわけないので原作でも似たり寄ったりの設定はあると思う。

実は意識不明の連邦生徒会長を信頼できる闇医者と共に自宅(notシャーレ)で匿ってるというとんでもない爆弾を抱えていたりする。プラナちゃんに対する好感度が天元突破している。

多分そんなに若くないし童貞でもない。直接戦闘もおそらく割と強いけど別に活かされない。かつて恋人と死に別れたとかそんな感じの無駄に重い設定をきっと抱えているけど特に語られない。どうして童顔なのかとか意味深な過去もたくさんありそうだけどぶっちゃけ何も考えてない。でも原作の先生も割と謎の人物だからこんな先生もOKだと信じてる。
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