読者参加型TRPG風小説 作:矢端トラム
あなたはまだ村の中に踏み入るべきではないと考えた。
注視すべきは冒険者たちの亡骸だ。
村の入り口から視認できるだけで、3人。
それが同時に襲撃をかけたのか、バラバラにやってきたのかはわからない。
だがどちらにせよ、ファントムがそれを退けたのは間違いない。
安易に戦闘を仕掛けるのは危険かもしれない。
柵を越えれば追ってはこないだろうとしても。
あなたがそう考えても無理はない光景だ。
よって、あなたはより消極的な行動を開始した。
柵の外を回り込み、ファントムとの間に崩れた家屋を挟む位置に移動する。
そうしてそのまま、しばし様子を観察した。
| 判定内容 | 対象の観察 |
| 判定方法 | 2D6+感覚SB 8以上で成功/やや難 |
| 判定結果 | 2D6+3=11(成功) |
……教会の扉、その前で佇む亡霊の姿に変化はない。
直立不動。
即座に戦闘行動に移る事の出来るだろう姿勢のまま立ち尽くしている。
ただ、あなたはひとつ気がついた。
岩山から吹き下ろすように風が流れる。
それは草を揺らし、土埃を舞い上げた。
だが、亡霊の煙のような体は揺らせていない。
| 判定内容 | 物理知識 |
| 判定方法 | 2D6+知識SB 10以上で成功/難 |
| 判定結果 | 2D6+4=11(成功) |
それを見て、あなたは足元から手頃な石を拾い上げた。
そして、鋭く投げ放つ。
ただしもちろん、佇む亡霊に向けてではない。
石はファントムの横をすり抜け、その後ろ、教会の壁に当たって落ちた。
その際、当然ながら小さくはない音を立てている。
ファントムはそれに一切反応しなかった。
視覚の他、聴覚もおそらく機能していない。
あなたは当然だと頷いただろう。
学者達の研究によって、音とは空気の揺れであるとすでに明かされている。
ならば、空気そのものたる風の影響を受けない霊体が音もまた感知しないのは自明と言えた。
村に侵入し探索を行うなら、あなたはこれに気を付けなければならない。
いくら音を立てようが問題はないという事だが、逆に音によって気を引く事も出来ないという事だ。
得られた情報を整理したあなたは、静かにまた移動した。
ボロボロの柵に沿ってぐるりと回り込む。
さして大きくない村だ。
家屋の数は10を少々超える程度。
そう時間をかけることもなく、あなたは一周を終える。
| 判定内容 | 探索 |
| 判定方法 | 2D6+感覚SB 6以上で成功/容易 |
| 判定結果 | 2D6+3=11(成功) |
そうしてあなたは気付いた。
村を囲う柵。
その壊れ方に不自然な箇所がいくらかある。
腐って自然に落ちたと思われるものの他に、明らかに何者かに破壊された部分があるのだ。
依頼を受けた冒険者が奇襲のために作った道……ではない。
よくよく観察したあなたには、それが人の手によるものではないとわかった。
何しろ転がった柵の破片は、ファントムのように色彩を失っていたのだ。
拾い上げたあなたは、まるで焼け残った炭のようだと感じただろう。
暗い灰色に変じた木のかけらはあなたの手の中でボロボロと崩れ落ち、細かい砂状になって風に散った。
風化という言葉がまさに似合う状態である。
| 判定内容 | 魔種知識 |
| 判定方法 | 2D6+知識SB 12以上で成功/困難 |
| 判定結果 | 2D6+4=14(成功) |
あなたは過去の自分に感謝すべきである。
このような現象を引き起こす存在について、博識にもあなたは知り得ていた。
山より来たる災い。
爛れたる者。
魂の簒奪者。
その名をバーゲスト。
世に現れる事はおろか、書に残された事例さえ数えるほどにしかない希少な魔種だ。
それは黒い狼に似た、異形の姿で現れるという。
爛れ破れた腹からこぼれた鉄のハラワタを引きずり、闇の中に赤い瞳の光の尾を引かせて。
バーゲストについて分かっている事はそう多くない。
鉄の腸は自在に動き、獲物を打ち、捕えるために用いる事。
暗い夜、山間の土地でのみ目撃されている事。
そして、魂を啜り喰らう事。
| 技能判明/バーゲスト |
| 『魂喰らい』 自身の物理攻撃を『回避/防御可能な魔術攻撃』として扱う 攻撃命中時、HPとMPに同時にダメージを与える 攻撃命中時、対象に状態異常『忘却』判定 技能『霊体』所持者を優先的に攻撃対象に選択する |
| TIPS/状態異常『忘却』 |
| 精神SBが『-4』 魔術と秘蹟の行使に精神判定が必要になる 知識判定が必ず失敗する 行動選択時、過去に知識判定により得た情報を無いものとして扱う
休息、一部のアイテム、秘蹟によって治療可能 |
魂を喰われたものからは真っ当な死が失われる。
この世の生命であるならば、肉と魂は不可分の存在だ。
どちらかを無理に引き剥がしたならば、その末路に光は無い。
肉の死を否定し、魂のみで生きる者。
魂だけが滅び、肉体が取り残された者。
そうしたものはもう何者にもなれない『
実際、あなたの見た破片はもうそういうものになってしまっていた。
あなたは村の中、亡霊が佇んでいるだろう方向を見る。
バーゲストにとってファントムは実に素晴らしいご馳走だろう。
肉の鎧を持たない魂だけの存在。
それはつまり、魂を喰らう者から見れば、皮を剥かれ皿に盛られた果実のようなものだ。
その身を貪ろうと誘われやってくるのは至極当然の理屈と言えた。
あなたが続けて探れば、同じような状態の柵は数箇所に存在した。
どうやらバーゲストは複数回この村落跡に訪れているようだ。
よほどファントムに執着していると考えて良いだろう。
亡霊の様子からして、未だその魂は貪られてはいないようだ。
だからこそ、牙を突き立てた時に溢れる蜜の甘さを夢想しているのかもしれない。
時が経てば日が落ちる。
そして、今日は月のない夜だ。
バーゲストが現れる条件は整っている。
そしてもちろん、ファントムとバーゲストは戦闘になるだろう。
その背中を狙えば容易く亡霊に痛打を与えられるかもしれない。
バーゲストは危険な魔種だが、今回に限れば共闘に近い形を作れる可能性は高い。
その後にはバーゲストも相手にしなければならないだろうが……最悪、取り逃しても、または撤退しても問題はない。
幸いと言って良いかはわからないが、ここはもう人の住む土地ではない。
魔種がうろついたところで誰が被害にあうわけでもないのだ。
そもそも、バーゲストの討伐は依頼内容には全く含まれていない。
ファントムさえ討伐できれば、それであなたの仕事は終わりだ。
互いに争って弱ったところを狙う手もある。
決着がつきそうになったなら不利な側を援護し、より両者が消耗するように仕向け、最後に漁夫の利を得るといった方法だ。
あるいは、戦闘の隙に村の内部を探索するのも良い。
もしファントムがあなたの行動に気付いたとして、己の魂を狙う敵よりもあなたを優先するとは考え難い。
好きなだけ村を調べ、そして戦闘が決着する前に村外へ撤退すればさしたる危険もなく事を済ませられるだろう。
もちろん、何もせずただ見守るのも自由だ。
二者の戦闘からはファントムの手の内が読み取れるだろう。
その情報を討伐に役立てる事は出来るはずだ。
| 判定内容 | ランダムエンカウント |
| 判定方法 | 2D6+幸運SB 8以上で成功/やや難 |
| 判定結果 | 2D6+2=6(失敗) |
と、あなたがそこまで考えた時だ。
あなたの耳に咆哮が届いた。
低く大きく、吠え立てる鳴き声。
それは、村を囲う岩山のどこかから響いている。
思考の中にあった黒狼の姿をあなたは幻視しただろう。
不吉な予感とともに、あなたは音の源へ振り向いた。
| 判定内容 | エンカウント危険度 |
| 判定方法 | 1D10 大きいほど危険 環境による補正『+1』 |
| 判定結果 | 1D10+1=2 |
| 判定内容 | 危機感知 |
| 判定方法 | 2D6+感覚SB 5以上で成功/容易 |
| 判定結果 | 2D6+3=9(成功) |
……が、その動きを強制的に停止させる。
見るまでもなくあなたは理解した。
その鳴き声に異質な響きはない。
おそらくはただの狼のものであると。
そして、素早く鳴き声とは正反対の方向へ向き直る。
狼は集団で狩りをする生き物だ。
その戦法は狡知で巧みなもの。
間違っても、奇襲を仕掛けようという時に正面から吠えかかる事などない。
「──!」
あなたの予想は的中した。
鳴き声はただ気を引くため。
その隙に獲物の背後から別の個体が襲うための囮であった。
メイスを抜いたあなたの視線の先で、奇襲役だったらしい狼が身を固くする。
作戦を見抜かれた事に戸惑っているようだ。
……その体は、ひどく細い。
長く獲物にありつけていないのだろう。
| 戦闘開始/1ターン目 |
| 判定内容 | 行動順の決定 |
| 判定方法 | 2D6+敏捷SB 比べ合い/大きい方が先制 |
| 判定結果 | 2D6+3=9(あなた) 2D6+1=12(痩せた狼)
痩せた狼の先制 |
だがそれでも。
否、だからこそか。
狼はあなたの肉を諦める気はないようだ。
「──グルァッ!」
唸るような咆哮。
仲間に続けと意思を送っただろうそれと同時に、地を蹴った狼があなたの喉笛目掛けて勇猛果敢に飛び掛かる。
| 判定内容 | 痩せた狼の攻撃 |
| 判定方法 | 2D6+器用SB(命中力) 1D6+筋力SB(攻撃力) |
| 判定結果 | 2D6+0=7(命中力) 1D6+0=5(攻撃力) |
| 判定内容 | あなたの防御 |
| 判定方法 | 2D6+耐久SB 命中力以上で成功 |
| 判定結果 | 2D6+4=11(成功) |
| 判定内容 | ダメージ計算 |
| 攻撃力 | 5 |
| 補正 | 防御/-2 装備/ー4 |
| 最終ダメージ | 0 |
しかし、その末路は哀れなものだった。
痩せ衰え持ち前の俊敏性を無くし、力もろくにこもらない牙など。
戦闘を人生の友とする冒険者たるあなたにそう易々と通じるわけがない。
首を守るように、あなたは腕を掲げた。
そして、そこに牙を突き立てようとする狼の口をバックラーの側面でもって殴り抜く。
「ギャウッ!?」
かつては自慢だっただろう狼の牙がそれで折れ飛んだ。
さらに当然ながら、盾は止まらない。
宙に浮いた狼の体はあなたによって振り回され、剥き出しの土に叩き付けられる。
| 判定内容 | あなたの攻撃 |
| 判定方法 | 2D6+器用SB(命中力) 2D6+筋力SB(攻撃力) |
| 判定結果 | 2D6+2=9(命中力) 2D6+2=11(攻撃力) |
| 判定内容 | 痩せた狼の回避 |
| 判定方法 | 2D6+敏捷SB 命中力以上で成功 |
| 判定結果 | 2D6+1=4(失敗) クリティカルヒット |
| 判定内容 | ダメージ計算 |
| 攻撃力 | 11 |
| 補正 | 致命/+11 |
| 最終ダメージ | 22 |
その衝撃は、追撃に対する反応を遅らせるに十分だった。
骨の浮き出た体をよじらせ痛みに悶えていた狼の胴に、さらなる苦痛が降り掛かる。
満身の力を込めて振り下ろされた鉄塊は、違わず狼の肋骨を割り砕いた。
あなたの手に大きな手応えが返り、狼の鼻と口からは鮮血が迸る。
折れた骨が肺に突き刺さった証だ。
どう足掻こうがもう助からない、完全な致命傷である。
| 戦闘終了 |
それを群れのものたちもしっかりと見たようだ。
辺りの低木や草むらに隠れていたのだろう他の個体の気配が離れていく。
あなたを敵に回す事の意味をよくよく理解したに違いない。
あなたの足元で、痩せた狼の命の灯火が小さくなっていく。
もしあなたが慈悲深い人間であるなら、苦しみを長引かせないためトドメを刺した事だろう。
村の中からは何の反応もない。
戦闘に伴っていくらかの物音は届いているはずだが、やはり亡霊の耳には捉えられないらしい。
あなたはメイスをベルトに戻し、ここまでに得た情報を整理した。
まず、ファントムは視覚も聴覚も持たない。
だが村の中には冒険者と獣の死体が転がる以上、何らかの知覚能力は備えているに違いない。
その正体は未だ不明のままだ。
次に、その霊体の体には物理的な攻撃は意味をなさない。
メイスでもって殴り付けるには秘蹟の光に頼る必要がある。
今のあなたは、自身や仲間、つまり肉体に纏わせる秘蹟しか扱えない。
投擲物にその力を宿せない以上、討伐には近接戦闘は避けられない。
続いて、ファントムを狙う存在。
魂を喰らう魔種、バーゲストだ。
バーゲストはあなたの知識が正しければ夜になれば現れる可能性が高い。
おそらく、現状で最も有用な情報はこれである。
依頼達成のため、この魔種をどう扱うかが重要になるとあなたは予感した。
狼を撃退した今、周囲からは一時的に獣の気配が薄れている。
しばらくの間は襲撃はないだろう。
日は少しずつ傾き、西の空はかすかに赤みを帯びてきている。
日が暮れるまでに起こせる行動はあと一度といったところだ。
さて、どうすべきか。
あなたは今一度考えた。
| 名前 | (あなたが自由に決めて良い) |
| 職業 | 神官 |
| HP | 36/36 |
| MP | 17/17 |
| 筋力 | 8 | SB=2 |
| 耐久 | 14 | SB=4 |
| 敏捷 | 9 | SB=3 |
| 器用 | 7 | SB=2 |
| 感覚 | 11 | SB=3 |
| 知識 | 13 | SB=4 |
| 精神 | 14 | SB=4 |
| 幸運 | 8 | SB=2 |
| 装備 | 性能 |
| メイス | 『2D6+筋力SB』の物理ダメージ |
| バックラー | 防御成功時、 物理ダメージを『耐久SB』追加軽減 |
| 特殊技能 | 詳細 |
| 重撃 | 攻撃命中時、『朦朧』判定 クリティカル時、『朦朧』確定付与 |
| 信仰 | 秘蹟の使用権を得る |
| 治癒 | 初歩の秘蹟、消費MP5。 肉体をあるべき姿に戻す。 『1D6+精神SB』のHP回復。 |
| 守護 | 初歩の秘蹟、消費MP3。 肉体があるべき姿を保つ力を強める。 『精神SB』だけ全ダメージを軽減。 効果時間は1戦闘。 |
| 賦活 | 初級の秘蹟、消費MP5。 肉体と魂をあるべき姿に引き戻す。 状態異常を回復。 |
| アイテム | 詳細 |
| チェインメイル | 1度だけ死亡を回避 |
あなたの行動は?
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ファントムに戦闘を挑む
-
隠れて村に入り、内部を探る
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隠れて村に入り、奇襲を仕掛ける
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山に踏み込みバーゲストの痕跡を探す
-
体を休めて夜を待つ