読者参加型TRPG風小説   作:矢端トラム

25 / 55

【お知らせ】

途中まで進行されていた『廃墟の????いファントム』は、作者都合により中断され、無かった事になりました。
経緯は前話『お知らせ』にて説明させていただいております。
申し訳ありません。

また、お知らせでは『削除』と書いておりましたが、読者の方のご要望により章を分けて『除外済みクエスト』として残しておくこととしました。

今話はロールバックを行い、依頼を再生成して選択からの再スタートとなります。
ご了承ください。



本編
依頼選択フェイズ


 

 

 

からころ、ざららと。

硬く小さなものがこぼれ、跳ねては流れる音。

 

それはあなたの目の前の木板の上で鳴っていた。

ボードゲームである。

音の元は、このゲームの主役である『麦』、その粒を模した石製の駒だ。

斜めに傾いだあなたの手から『麦』が落ち、『倉』と呼ばれる木板の窪みに溜まっていく。

 

あなたの『倉』は7割ほどが埋まる。

それを見た対面の相手、豊かな白髪を頭の後方へと流した老爺が唸った。

 

「うぅむ……。この展開は、まずいか」

 

苦々しい顔である。

『倉』を『麦』で埋めた側が勝利となるこのゲームで、あなたは優位を取っていた。

あなたの『倉』が7割埋まったのに対し、老爺は未だ2割強といったところ。

 

一見してもう勝負は決まったように見える。

互いの差は歴然で、後はもう押し勝つだけと。

しかし、それは素人の意見だ。

 

あなたはちらりと対面、木板上に広がる相手の野原(フィールド)を見る。

そこにずらり並んだ駒はまだ収穫前を示す黄金色の『麦畑』だ。

数は多く、『麦』に交換すれば相当の量になろう。

 

対し、あなたの手元の野原にはわずかな『麦畑』が残るのみ。

上手く『収穫』は通せたが、その前に『鹿』と『椋鳥』の駒を使われ随分と荒らされていた。

このまま自陣の防衛と『収穫』だけを行っていては、あなたの『倉』が埋まりきるかは賭けになるだろう。

『商人』か『開墾』か。

どちらかの駒を用いて『麦』を増やさなければならない。

 

『倉』の『麦』の量には大きく差がある。

が、その見た目ほどの差はついていない。

あなたの優位である事は確かだとしても、『倉』の中身を減らす術も、『収穫』を妨害する遅延戦法の手も相手にはある。

 

「ならば、こうさな。もう少し付き合ってもらおうかい」

 

そして実際、相手は遅延を選んだ。

使われた駒は『長雨』。

いやらしい手であった。

 

あなたの『麦畑』はこのままでは病に犯され『収穫』が出来ないままに枯れてしまう。

そうなる前に別の駒で対処せねばならず……その隙は相手が『収穫』を進めるにはうってつけの時間だ。

 

難しい盤面と言って良かった。

あなたが優位を守り切って『倉』を先に埋められるかは、ここからの数手にかかっているだろう。

 

 

 

「また性格の悪い攻め手だな。そんなんだから相手がいなくなるんだぞ爺さん」

 

と、そこへ。

ひとりの男の声が割り込んだ。

ガッシリとした立派な体格の男、村の職人達を束ねる棟梁だ。

彼に呆れた声で苦言を呈された老爺、開拓村の長は、ふんと鼻を鳴らした。

 

「何を。このゲームはこういうもんだろがい。んで、手が空いたのか?」

 

「おう、急ぎのもんは片付けたぞ。新しい図面はあるか?」

 

「ん、これだ。……流石に次は上手くいくと思うぞ」

 

「だといいんだが」

 

棟梁が村長から1枚の羊皮紙を受け取る。

そこに書かれているのは図面だ。

村長が考案したとある物の、である。

村の職人達の手があいた隙間を使って、川辺で試作を繰り返しているのを近頃目撃されている。

 

 

 

言うまでもない事だが、開拓は国と、そしてトルボリ辺境伯家に主導された事業だ。

その大きな駒たる『村長』がただの老人であるわけがない。

 

村長は学者であるそうだ。

庶民の出でありながらその頭脳の明晰さから拾い上げられ、王都の学院で貴族に混じり学び、優秀な成績で卒業し──そしてわかりやすい安定や栄達に背を向けて、辺境開拓の道に進んだという。

 

本人は国家中枢での出世争いに負けた結果だと嘯いているが、彼の妻である宿の老婆が言うにはそもそも城勤めには難色を示していたとの事。

そのどちらが真相に近いかはあなたには知る由もないが、パレルヴァに派遣されてからだけでもすでにふたつの村を町に育て、こうしてみっつめの村を拓くに至ったのだから才と能力は確かなものなのだろう。

 

 

 

「ま、やるだけやってみるか。そんじゃ邪魔したな、神官殿。寂しいご老人に付き合ってやってくれ。……俺にはそれの良さが全くわからんしな」

 

首を傾げて棟梁が言い、立ち去ろうとする。

そのタイミングであなたは立ち上がった。

村長に退席を告げ、棟梁に同行を申し出る。

 

「まだ途中じゃあないか。新しい手も試したいところなんだがね」

 

村長はそう引き止めるが、あなたは首を縦には振らない。

 

「…………盤面は保存しとくからな」

 

どうやらあなたの意思は覆らない。

そう見たらしい村長だが、未練たらしく木板を慎重に持ち上げた。

そのまま家の中に入れておいて、また次の機会に続きを楽しもうというのだろう。

対戦相手がろくにいないために少々必死であるようだ。

 

何しろこのボードゲーム、全くと言って良いほど人気がない。

麦を害する獣や天候障害とその対処に関する基礎知識を学ぶためと、教会での教育に取り入れられているので触れた者こそ多いのだが……。

 

一戦一戦が長い。

覚える事が多すぎて煩雑。

ゲーム板が大きく邪魔で、なのに駒が小さくて無くしやすい。

などなど、様々な理由で人々からは遠ざけられている。

 

ボードゲームにしてももっと遊びやすく、わかりやすく、面白いものは他にいくらでもあり、結局どこの町や村でも置いてあるのは教会だけ。

個人で所有し、あまつさえ隙あらば対戦相手を探そうとする村長は変わり者と言えた。

 

「あーあー、いじけちゃってまぁ。いいのかい? ありゃ後で面倒かもしれんぞ」

 

棟梁の指摘にあなたは頷いて、同行は決定事項だと示す。

やるべき事があるためだ。

 

ただ、もし。

あなたがこのゲームにさほどの興味がない人間であるならば。

神官なら『麦畑』にも詳しかろうとさんざっぱらゲーム板を持って詰め寄ってくる老爺に思うところがあったかもしれないが。

 

実際どうかはあなただけが知る所だ。

 

 

 

 

 

さて、そうして村長をフッて向かった先。

村の川にてあなたは作業に当たっていた。

職人達に混じってである。

 

休日と彼らの作業が重なった時。

あなたはこうして職人を手伝うことがままあった。

村人との距離を縮め、村により深く受け入れられるためにである。

 

集団に溶け込もうとする時、有効な手段はいくつかある。

例えば何かしら貢献する。

例えば同じ飯を食らう。

例えば、同じ労働に従事して汗を流す、などだ。

 

あなたの場合、貢献は常日頃している。

村の外での戦いなどは、ただの村人には真似の出来ない難事だ。

 

同じ飯は、難しいことも多々ある。

戒律を遵守するあなたと、少しぐらい良いだろうと様々な物を口にする村人では仕方のないところだ。

 

そして、同じ労働は楽なものだ。

何しろあなたには、優れた力と体力がある。

 

「……次は、これを棟梁のとこに。頼みます」

 

職人のひとり。

寡黙な男の指示を受け、あなたは材木を担ぎ上げた。

その背中にいくつもの視線が向けられているのをあなたも自覚しただろう。

力自慢の職人も苦労するような重量を持ち上げてなお、あなたの体幹はピクリともブレていない。

そのまま歩み出す足取りも全くよどみないものだ。

 

職人の業はあなたには振るえない。

だが、彼らの助けとなる仕事はいくらでもあり、そしてそのどれもがあなたに向いていた。

 

疲れを知らず忍耐強い(耐久14/精神14)

これほど職人達から信を得やすい性質は、そうあるものではない。

あなたに向けられる眼差しは日毎に同胞を見るそれに変わっていった。

初めはあった遠慮もとうに消え、誰もがあなたの力を頼りにしているのがありありと分かる。

 

 

 

そんなあなたの尽力もあり、村長の発明、その試作品は組み上がった。

 

半分が川に沈んだそれは、水の力に押されてクルクルとスムーズに回っている。

水車だ。

ただし、揚水や粉挽きのための、通常の水車ではない。

 

羽の部分についているのは金属製のカゴである。

これが何かと言えば。

 

「よぉし、試すぞ! 追い込んでくれ!」

 

答えは棟梁の掛け声と共に示された。

 

川に入った若い衆と、ついでにあなたが川の中を歩く。

すると人間に身を捧げようとやってきた川魚が、なるほどこうして欲しいのか、と理解した風な動きであなた達に誘導され……。

 

「……おお、来てるな。成功だ。うん」

 

水車のカゴに自ら入り、回転と共に持ち上げられ。

そしてそれが最も高くなったタイミングで、カゴにつけられた傾斜によって、隣接して設置された広く平らな足場へと滑り落ちていく。

 

つまり、漁を効率化するための漁獲水車なわけだ。

 

 

 

この川には毎年、一抱えもあるほど大振りな魚が遡上する。

卵と脂をたっぷり蓄えたそれは、村が冬を越すための重要な資源だ。

秋になれば川辺には専用の作業場が設けられ、男衆が魚を捕えては運び、女衆が解体し保存のための処理をする。

それが開拓村の風物詩となっている。

 

これを効率化しようという動きは、これまで無かった。

何故かといえば、魚は水神より人に与えられたものであるためだ。

人が手を伸ばせば捕えられるために身を任せ、網を差し出せばやはり抵抗なく入ってくる。

漁に不自由を感じた人間などいるわけもなく、誰も手間をかけ頭を使ってまで工夫をこらそうなどとは思わなかったのである。

 

「……これ、意味あるのか?」

 

「わからん……普通に掬えば良い気がするけどなぁ」

 

そしてそれは、水車が組み上がった今も同じようだ。

職人のうち2人がこぼした言葉に、周囲の人間も同意して首を傾げる。

この効率化にどれほどの意味があるのか。

今の所、知っているのは考案者である変わり者の村長くらいのものらしい。

 

 

 

「……ま、良くわからんが成功は成功だ! お前ら良くやってくれた! 折角だ、取れた魚で飯にするかぁ!」

 

ともかく、あなたと職人達の共同作業は終わりを迎えた。

棟梁が皆を労い、音頭を取って火の用意を進めていく。

同時に水車で揚がった魚が次々シメられ、串に刺されて並べられた。

 

あなたももちろんその場に参加した。

中々ない、同じ飯を食う好機である。

村にもたらされた新たな漁法。

それによって捕えられた初めての魚が、あなたと職人達の空腹を満たしていく。

 

 

 

経験の共有は、きっとあなたを一段村に溶け込ませた事だろう。

深まった友好は折々であなたの力となるはずだ。

人は誰しも、他人よりも友を助ける時にこそ全力を振るうものなのだから。

 

 

 

友好NPCの能力上昇
Lv1 → 2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、また時が過ぎる。

 

季節はもうひとつ進んだ。

森の木々は赤や黄色に色づき始め、暑さはすっかり鳴りをひそめている。

麦の収穫も終わり、そろそろ魚が登ってくるぞと村は活気付いていた。

 

秋の祭も近い。

誰も彼もが浮かれ気分で、次に来る商会の馬車には酒をたんまり注文しておいたとの村長の宣言に、名村長万歳との掛け声が響き渡ったのも記憶に新しいところだ。

 

 

 

が、そんな折でも冒険者の仕事はなくならない。

今日もまた、あなたの前には3枚の依頼書が並べられる。

 

 

 

判定内容依頼の目的地
判定方法1D10

1/街道

2/湖畔

3/草原

4/廃墟

5/川辺

6/森林

7/荒野

8/谷底

9/洞窟

0/山中

判定結果①1D10=5(川辺)

②1D10=8(谷底)

③1D10=9(洞窟)

 

判定内容依頼の特殊条件
判定方法1D10

1-2/???た

3-4/???な

5-6/??の

7-8/???の

9-0/?い

判定結果①1D10=2(???た)

②1D10=3(???な)

③1D10=8(???の)

 

判定内容依頼の主目標
判定方法1D10

1/採取

2/蜘蛛

3/スケルトン

4/ミミック

5/自由探索

6/トロル

7/ワーム

8/フェノゼリー

9/鳥

0/スライム

判定結果①1D10=5(自由探索)

②1D10=2(蜘蛛)

③1D10=8(フェノゼリー)

 

 

 

まずひとつめ。

これは正確には依頼ではなく『許可』に近い。

 

今現在、緊急性の高い依頼は宿に入っていない。

そして通常の依頼もふたつだけ。

となれば冒険者の手が空く事になるのだが……戦闘と探索のプロフェッショナルを延々とただ宿で休ませておくのはもったいない。

 

そういうわけで、暇ならば探索を行って欲しいとの要請だ。

それにより危険な獣や魔種の侵入を牽制し、冒険者の簡単な鍛錬にもしようというものである。

 

この依頼を請けた者は、村の生命線である川沿いの土地を自己判断で探索し、自由に採取や狩猟を行って自身の収入とすることが許可される。

 

目的地が村に近く、環境は安定しており、危険度の高い存在も報告されていない。

また主目的が探索そのものであるため失敗が存在しない。

あなたが望むなら、ただ河原を散歩して帰ってくるだけでも文句をつける者はなく、評価も下がらないだろう。

 

この依頼で何が得られるかは冒険者の行動次第だ。

採取や狩猟が上手く進めば並の依頼よりも大きな収入を得られる可能性はある。

が、しかし、それ以外の報酬が無い事には留意が必要だ。

探索でろくな収穫がなかった場合、得られる物は経験だけだろう。

 

入手経験点+1〜4
入手成長点+0〜2

 

 

 

 

 

ふたつめ。

谷底での依頼だ。

 

あなたがグリズリーとの死闘を制したあの谷である。

かつてノッカーが住処としたそこに、開拓村は目を付けた。

集落を作るほどにノッカーが好んだ土地であるならば、何らかの鉱物資源が豊富に眠っているのではないかと。

 

そのために夏からこちら村人による調査が行われていたのだが、秋になってから異変が起こった。

ある日突然、谷全体を覆うようにびっしりと蜘蛛の巣が張られていたのだ。

 

これだけの規模の巣となると、その主はそれなりの大物と思われる。

時に狼さえ捕食する超大型の蜘蛛か、あるいは蜘蛛に類する魔種か。

そのどちらかが住み着いたのだろう。

いずれにせよ危険な生物である。

 

実際に資源が見つかったわけではないため緊急性はないが、これでは折角の土地に調査の手を入れられない。

巣の主の討伐、あるいは撃退が求められている。

 

入手経験点+3
入手成長点+1

 

 

 

 

 

みっつめ。

少々特殊な依頼だ。

言うなれば交渉か、あるいは勧誘依頼となるだろうか。

 

フェノゼリー、という魔種がいる。

ずんぐりむっくりとした人よりも巨大な毛玉に、これまた毛むくじゃらの太く短い手足がニョキッと生えたような存在だ。

動きは鈍いが頑丈で力が強く、身の丈ほどの大岩でも軽々持ち運ぶという。

 

そして、この種は比較的人間に友好的だ。

積極的に交流しにやってくる事こそないが、自分から敵対を選ぶ事はほとんど無いという程度には温厚である。

そのため、辺境の一部の村や町では農耕馬などに混じって労働に勤しむ姿も時に見られる。

数が多い種ではなく、ノッカーなどよりは珍しい姿ではあるが。

 

そのフェノゼリーが山近くの洞窟に居を構えているのがわかったそうだ。

村人達、特に村長はこの発見を歓迎し、村に招き入れられないかと考えている。

 

交渉といえば通常は村長の出番なのだが、場所が場所だけに戦う術をもたない者を連れて行くには少々問題がある。

依頼の目標は勧誘の成功か、あるいは交渉によって村長の待つ開拓村にフェノゼリーを連れ帰る事だ。

 

あなたは以前にノッカーと会話出来なかった経験から、言語学習を多少なりとも行っているはずだ。

それがどれ程の腕前かはまだ未知数だが、全く言葉が通じない事はないだろう。

 

入手経験点+3
入手成長点+1

 

 

 

 

 

TIPS/入手経験点&入手成長点目安
入手量の範囲は、依頼の目的地と主目標のみで算定される。

特殊条件による難度変化によって、全く割に合わない依頼や、簡単で報酬の多い依頼が発生する場合がある。

 

 

 

 

 

名前(あなたが自由に決めて良い)
職業神官

 

HP36/36
MP17/17

 

筋力8SB=2
耐久14SB=4
敏捷9SB=3
器用7SB=2
感覚11SB=3
知識13SB=4
精神14SB=4
幸運8SB=2

 

装備性能
メイス『2D6+筋力SB』の物理ダメージ
バックラー防御成功時、

物理ダメージを『耐久SB』追加軽減

 

特殊技能詳細
重撃攻撃命中時、『朦朧』判定

クリティカル時、『朦朧』確定付与

信仰秘蹟の使用権を得る
治癒初歩の秘蹟、消費MP5。

肉体をあるべき姿に戻す。

『1D6+精神SB』のHP回復。

守護初歩の秘蹟、消費MP3。

肉体があるべき姿を保つ力を強める。

『精神SB』だけ全ダメージを軽減。

効果時間は1戦闘。

賦活初級の秘蹟、消費MP5。

肉体と魂をあるべき姿に引き戻す。

状態異常を回復。

 

アイテム詳細
チェインメイル1度だけ死亡を回避

 

請ける依頼は?

  • 川辺の ???た 自由探索
  • 谷底の ???な 蜘蛛
  • 洞窟の ???の フェノゼリー
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。