読者参加型TRPG風小説   作:矢端トラム

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クエスト『洞窟の ???の フェノゼリー』(1/4)

 

 

 

「フェノゼリーが村に来てくれるなら、一体どれほど助かるか! 頼んだぞ。必ず、いいな、必ず連れてきとくれよ。くれぐれも失敗せんようにな……!」

 

村を立とうとするあなたの前で、村長は相当に必死であった。

あなたの手を取り、念を押すように何度も繰り返す。

どこからどう見てもフェノゼリーの勧誘に全力と分かるだろう。

 

無理もない話ではある。

フェノゼリーという魔種にはそれだけの価値があるのだ。

 

巨躯の農耕馬何頭分もの力に、狼程度に襲われてもビクともしない頑丈さ。

放っておけば3日も4日も寝ずに働く規格外のタフネスと勤勉さも併せ持つ。

その上種全体の傾向として温厚で、そして言葉通りの意味で()()()()()

言語によって詳細かつ明確な指示が可能という事だ。

もうこの時点で評価点は見上げるほどの高みに達している。

 

だというのに、さらにフェノゼリーには『手』まで備わっている。

人間と同じ五本指の器用に動く手が、だ。

太く大きい分だけ人間よりは細かい動作に向かないものの十分すぎるのは間違いない。

 

天井を突き抜けて空に届くような有用性である。

辺境においてこれほど頼りになる生物はまず他に居ない。

村長の必死さも当然の事だろう。

 

 

 

「うぅむ、また不安になってきたな……。交渉材料は可能な限り用意したが、足りるだろうか……」

 

必然、支援は潤沢であった。

交渉のための材料、つまり贈り物は村の資金でたんまりと用意されている。

その内訳はというと──

 

 

 

判定内容魔種知識
判定方法2D6+知識SB

7以上で成功/普通

判定結果2D6+4=10(成功)

 

 

 

「いや、というかそもそも本当にこれで良いのか?」

 

──なんと、9割が麦である。

 

フェノゼリーは時に人間と共に暮らす種である。

そのために彼らが欲する物品などの情報も書物に残されているのだが……。

 

いわく。

フェノゼリーは例外なく麦を好むのだという。

それも、大変に、だ。

 

挽きも炒りもしていない生の麦束。

これを渡しておけば大喜びでモリモリ平らげ、そして食べた倍以上を働きで返してくれる。

あなたと村長、両者が過去に見た文献や資料では全てにそう記されていた。

 

他に好むのも人の食べ物ばかりだ。

生のものも調理されたものも良く食べ、好き嫌いなく大体喜ぶとされている。

 

 

 

逆に、決して贈ってはならないのが装飾品類だ。

これには衣服も含まれる。

 

過去にこういう例がある。

フェノゼリーと共に数年間暮らしていたとある集落での事。

日頃の感謝を示すため、村の者たちがフェノゼリーの体をよく磨いた輝石で飾り、見栄えの良い立派なマントをつけてやったらしい。

すると、しかしフェノゼリーは途端に激怒した。

自慢の怪力で装飾品とマントをめちゃくちゃに引き裂いて地面に叩き付け、こんな村には2度と来るものかと叫んでどこかへ消えて行ったそうだ。

現在のところ知られている中では最大の、フェノゼリーの逆鱗である。

 

 

 

当の村の者にはわけのわからない出来事だったろうが、ともかく贈り物は贈られた側がどう感じるかが重要だという話だ。

 

よってあなたに持たされた荷にはわかりやすく価値の高そうな、つまり値の張るような物は何もない。

大量の麦。

その他の作物が少量。

干した魚に干した果実。

あとは村の羊の乳から作ったチーズも。

このくらいのものである。

馬車一杯に用意するならともかく、あなたが背負った程度の量ならばそこらの普通の村人でも苦労なく用意できるだろう。

 

「──ふぅ。まぁなんだ。考えれば、村に来れば毎日これが食えるぞと、そういうアピールにはなるわけではあるしな……」

 

村長があなたの周りをウロウロと歩き回った末にようやく納得する。

複数の文献と証言がこれで良いと示す以上、他に選択は考えられない。

 

村長はようやくいくらか落ち着き、あなたを送り出した。

もちろん、最後の最後まで『頼んだぞ』と繰り返しながら。

どうやらあなたの責任は重い。

心してかかると良いだろう。

 

 

 

 

 

さて、その翌日。

1日の野営を挟んで、あなたは山のふもとに到着した。

まだ朝と呼んで良い時間帯である。

秋らしい涼しい風に揺れる山の木々を横目に、あなたは手元の地図を確認しつつ進む。

 

地図には山のおおまかな形と、洞窟の位置が描かれていた。

作成者は開拓村の野伏だ。

 

以前この山で大発生した毒羽タテハは、一度で全てが狩り切れたわけではない。

他の町の冒険者などと合同で繰り返し山狩りを行い、多すぎるその数を減らし続けてきた。

その途中、野伏が3度目の討伐に訪れた際に、件の洞窟と、そこに狩りの獲物らしい大きな鹿を担いで入っていくフェノゼリーを見たそうだ。

その後は出入りを複数回確認して住処だと断定した上で情報を持ち帰り、今日こうしてあなたにお鉢が回ってきたわけである。

 

なお、当の野伏がこの依頼を請けなかった理由であるが。

 

「いや勘弁だわ。期待重すぎんだろ。失敗したら爺さんにこの先10年はグチグチ言われそうだぞ?」

 

とのこと。

さもありなん。

あなたを送り出す村長の姿を見れば、きっと多くの者がそう思うだろう。

 

 

 

それはともかく、地図は確かな精度で作られていたようだ。

歩き続けたあなたの前に、洞窟が姿を現した。

 

平地から山に変わる境界のあたり。

多少の草に覆われてはいるが、ほぼ岩壁が剥き出しの急な斜面。

その一部が崩れて小さな谷状になっている箇所に、唐突にポッカリと洞窟が丸い口を開けている。

 

あなたはそこに近付いて、洞窟の天井を見上げた。

かなり高い。

あなたがこの場に2人居たとして、肩に乗ってまっすぐ立ち手を伸ばしても天井にはギリギリ届かないだろう。

横幅もおおむね似たようなものだ。

 

 

 

判定内容鉱物知識
判定方法2D6+知識SB

9以上で成功/やや難

判定結果2D6+4=12(成功)

 

 

 

そうして洞窟を観察していたあなたは、ふと気付く。

 

洞窟の壁は当然岩なのだが、そこに不自然な点がある。

この洞窟が『丸い口』を開けていてはおかしいのだ。

何しろ岩壁を構成している種類の岩は、板状の層が無数に積み重なる構造をしている。

こういった岩は、自然に形を変える時には層ごとにある程度固まって剥がれるものである。

つまり、まっすぐ平らにだ。

 

あなたは一歩だけ内部に踏み入り、壁を撫でた。

丁寧に削ってはいないために一見しただけではわかりにくいが、これはどうやら自然のままの洞窟ではない。

岩壁を一から掘り進めたか、元々あった小さな洞窟を広げたか。

どちらであるかは何とも言えないが、何者かによって作られたものである。

 

もし掘ったのがフェノゼリーであるならと考えてあなたは納得しただろう。

村長が切望するわけである。

これだけの事を成せる力と体力がある存在ならば、それこそ村の財をなげうってでも迎えるべきだ。

 

 

 

続いて、あなたは洞窟の奥に視線を向けた。

 

洞窟の直上は山だ。

陽光の差し込むような穴がどこかにあるわけもなく、入口から少し進めばそこには完全な闇がわだかまっている。

 

荷の中にあるランタンをあなたは意識しただろう。

それはベルトにくくりつける事の出来る物だ。

使用中に必ずしも手を塞ぐ必要はなく、普段通り盾とメイスを同時に扱うに不便はなく、その辺りの心配はしなくとも良い。

 

ただ、ランタンの灯りがあったとしても全てを見通すには足りない。

内部では視界が大きく制限される。

洞窟は時に曲がりくねり、まっすぐ長い通路というのが余り存在しないという事情もある。

 

あなたは今回持ち込んではいないが、長距離用の遠隔武器は使えないと思った方が良さそうだ。

つまり、野伏や狩人の愛用する弓、神殿兵の制式装備として知られるクロスボウ、そういった類の事である。

比較的近距離を狙うためのダガーなどはこれに含まれない。

 

 

 

地形効果
『洞窟』

視界制限により奇襲看破難度上昇

魔術以外の長距離遠隔攻撃が使用不能

休息の効果が少し低下

 

 

 

また、内部からは湿った空気が流れてきている。

それは随分と涼しくあなたの肌を撫でた。

どうやら洞窟は相当に冷え込んでいるらしい。

 

今はまだ涼しいと感じるだけだが、奥へ進めば温度は下がっていくと思われる。

防寒の備えがあったとしても、常と同じように体を休める事は難しいかもしれない。

 

 

 

 

 

判定内容探索
判定方法2D6+感覚SB

7以上で成功/普通

判定結果2D6+3=9(成功)

 

 

野伏の報告が正しければ、この奥がフェノゼリーの住処であるはずだ。

 

それを裏付ける証拠もあなたは発見した。

長く太い、茶色の毛である。

 

フェノゼリーといえば全身を毛に覆われている事で知られている。

野伏も確かにそういう姿だったと証言しており、また毛の色も一致する。

どうやら間違いない。

 

 

 

あなたは入り口から呼び掛ける。

もちろん、魔種の言語でだ。

 

かつての谷底でのグリズリーとの戦闘の折、あなたはノッカーの支援を受けた。

が、それは途中からの事。

援護の開始が遅れたのはおそらく、言葉が通じず、相手があなたの意思を理解するのに時間を要したためだ。

もしあの時、魔種の言語をあなたが理解していたならば、戦いはもう少し楽なものになっていたに違いない。

 

その反省から、あなたは言語習得のために幾らか時間を費やしたはずだ。

それがどれほど身につき、どれほど滑らかに発せられるようになったのか。

 

今ここが試される時だ。

 

 

 

判定内容言語学
判定方法2D6+知識SB

9以上で成功/やや難

判定結果2D6+4=15(成功)

 

 

 

流れるように、と言って良いだろう。

 

あなたの口からはハッキリと、魔種の言語が発せられた。

十分に聞き取りやすく流暢なものだ。

たどたどしい部分が全く無いとは言わない。

しかし、通じない事はまずありえないと言語学者も保証するだろうクオリティだった。

 

素晴らしい事である。

誇ると良い。

あなたの努力はまさに実を結んだのだ。

 

 

 

判定内容聞き耳
判定方法2D6+感覚SB

7以上で成功/普通

判定結果2D6+3=9(成功)

 

 

 

……ただ、残念ながら。

聞く者がそこにいるかどうかは、また別の話だ。

 

あなたの声は洞窟の中に虚しく響き渡った。

返る声はない。

反響する自身の声以外は全く何も聞こえないとあなたは確かに理解した。

 

どうやら留守のようだ。

野伏の報告では、フェノゼリーは狩りを行うらしい。

そのために出かけているというのはありそうな事だ。

 

 

 

さて、どうするべきかとあなたは考えた。

 

すぐにフェノゼリーに会いたいならば、どうやら探しに出る必要がある。

巨体を誇るらしいために足跡などの痕跡を追う事は可能だろう。

目の前にあるのは岩山と洞窟だが、少し歩けば森や、木々の生い茂る別の山もある。

獣の気配はそれなりにあり、狩りをするならばどの辺りかという見当の付け方もできそうだ。

 

上手く合流できれば狩猟を支援するなどして距離を縮められるかもしれない。

また、探し出すのは大変だと思うなら、あなた単独で狩りを行って贈り物を増やす手もある。

 

単純に待つのも当然ありだ。

あなたはこの洞窟ですでにフェノゼリーの体毛を見つけている。

実は別の洞窟と間違えていた、などという事はおそらく無い。

ならばこの場で待機していればいずれ待ち人は帰ってくるだろう。

怪力を誇るフェノゼリーの住処であるためか、近くには獣の気配も薄く、それなり以上に安全でもありそうだ。

 

ただ待つのが手持ち無沙汰なら、料理を試みるのも悪くない。

フェノゼリーは、人の食べられる食料ならば生でも調理済みでも喜んで食べるとあなたは知っている。

贈り物にバリエーションが増えると嫌がる、などと記した文献はなかった。

喜びこそすれ、忌避される事はきっとない。

 

あるいは軽く探索を試みるのも良い。

洞窟の中か、それとも周囲か。

生活環境を見て回る事で、相手のことが多少なりとも分かるかもしれない。

そうして得た情報が交渉に良い影響を与える可能性はあるはずだ。

 

 

 

洞窟の奥は闇のために見通せない。

ひんやりと冷えた空気と、湿った匂いがわずかに漂ってくるのみだ。

 

 

 

名前(あなたが自由に決めて良い)
職業神官

 

HP36/36
MP17/17

 

筋力8SB=2
耐久14SB=4
敏捷9SB=3
器用7SB=2
感覚11SB=3
知識13SB=4
精神14SB=4
幸運8SB=2

 

装備性能
メイス『2D6+筋力SB』の物理ダメージ
バックラー防御成功時、

物理ダメージを『耐久SB』追加軽減

 

特殊技能詳細
重撃攻撃命中時、『朦朧』判定

クリティカル時、『朦朧』確定付与

信仰秘蹟の使用権を得る
治癒初歩の秘蹟、消費MP5。

肉体をあるべき姿に戻す。

『1D6+精神SB』のHP回復。

守護初歩の秘蹟、消費MP3。

肉体があるべき姿を保つ力を強める。

『精神SB』だけ全ダメージを軽減。

効果時間は1戦闘。

賦活初級の秘蹟、消費MP5。

肉体と魂をあるべき姿に引き戻す。

状態異常を回復。

 

アイテム詳細
チェインメイル1度だけ死亡を回避

 

あなたの行動は?

  • フェノゼリーを探しに出る
  • 動物を狩って贈り物を増やす
  • 何もせず待機する
  • 贈り物の一部を調理して待つ
  • 洞窟の中に踏み込んで探索する
  • 洞窟の周囲を探索する
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