読者参加型TRPG風小説   作:矢端トラム

37 / 55

【投票結果】

→ 湖畔の ???る インプ



クエスト『湖畔の ???る インプ』(1/3)

 

 

 

湖畔にて毒を受けた村人。

10代の終わりに差し掛かった頃の若者が意識を取り戻したのは、毒の果実を食んでから2日後の事だった。

 

「ぅ……あ? なん、で、俺、こんなとこに……?」

 

混乱する彼に、治療を請け負ったあなたは事情を説明した。

湖畔で倒れ、共にいた他の村人によって教会に担ぎ込まれた事。

直前の行動から、おそらく魔種の手による毒の果実に騙された事。

そして、この2日生死の境をさまよっていた事。

 

話を聞いた男はただでさえ悪い顔色をさらに悪くした。

朧げだった記憶が話を聞く事で戻ったのか。

果実に歯を立てた瞬間の強烈な違和感と、直後に襲い掛かった苦しみを思い出してしまったらしい。

 

枕元に桶を差し出すと、男はその中へと激しく嘔吐した。

意識がなかったのだから当然何も食べられていない。

ならば胃液だけが吐き出されるかというと、少し違った。

 

どす黒い、怖気を誘うような、固形となった血の塊だ。

それがいくつも男の喉から吐き出されていく。

 

「はっ、はぁ、ぁっ! し、神官様っ、お、俺、し、死──!?」

 

男は慌てる。

自分の体からこのような物が飛び出ては当たり前だ。

 

が、その心配は今は的外れである。

あなたは男の肩に手を当て、さらに説明した。

 

すでに毒の影響は完全に取り除かれている事。

吐き出された塊はいっとき胃の腑が血で満たされた名残の残留物で、害のあるものではない事。

そこまでを聞いて、ようやく男は落ち着きを取り戻していく。

吹き出た脂汗も引いていき、呼吸も静まる。

 

ただ、失われた体力まで戻ったわけではない。

特に今回、男の各種臓器には甚大な負荷がかかっていた。

秘蹟の力で回復したとはいえ、数日は安静が必要だろう。

 

男は確かに一命を取り留めたが、あくまで『かろうじて』でしかない。

インプがもたらす害はそれほどのものだ。

 

 

 

その後、あなたは男のそばを離れた。

意識を取り戻したとの連絡を受け、男の家族が駆け付けたためである。

 

部屋を出るあなたの肩を、教会の管理者たる男がそっと叩く。

普段の飄々とした、あるいは軽薄にも見える様は今はない。

細く薄い目を険しくし、あなたへと囁く。

 

「宿には僕の名前で依頼を出しておいたよ。──頼めるかい?」

 

当然あなたは頷いた。

イィル=マガの慈悲を穢す魔の存在は神官として捨て置く事の出来ない怨敵だ。

リ・ブレシアの何処にある神殿であろうとも例外なく教えている。

見つけ次第、必ず滅ぼせと。

 

「うん、なら安心だ。こっちは任せておいてよ。なーに、いくら僕だって後は回復していくだけの病人くらい診れるさ」

 

男はそれでいつもの軽い神官に戻り、病室へ入っていく。

もうそんなに愁嘆場にならなくても大丈夫だよぉ、などと、重くなっていた空気をかき乱しながら。

彼の性質は、こういった場面では実に有効に働くようだった。

 

 

 

 

 

そうして、あなたは依頼を請け、村を立った。

川沿いを下ること半日。

男が果実を食べたという湖畔に到着する。

 

晴れ空の下、凪いだ湖面が陽光を反射しきらめいていた。

 

美しい湖である。

注ぐ川の流れに沿ってあなたはさらに進み、砂浜状になった水と陸の境にしゃがみ込む。

 

透明度の高い湖水に浸した指を舐めれば、塩気を感じ取れただろう。

一部が海と直接繋がったいわゆる汽水湖だ。

こういった湖は一般的に栄養が富みやすく、生物が多く生息しやすい。

 

今もまた、あなたの存在に気付いたのか数匹の魚が周囲に集まり始めた。

腹が減っているなら食べるかいと、そう窺っているようである。

 

 

 

地形効果
初期状態が『無関心』の友好的NPCが配置される

食料無限により休息効果上昇

 

 

 

あなたはその誘いに、今は良いと立ち上がった。

早朝に宿を出る際にしっかりと食べ、道中でも保存食をいくらか齧っている。

腹具合は万全だ。

水神の恵みに頼る必要はまだない。

 

次にあなたは湖の周囲を見渡した。

湖畔は、一周するにはおよそ半日といったほどの広さだ。

 

周辺は緑に覆われているが、繁茂するのは背の低い──あなたの膝あたりまでの高さの樹木ばかりである。

縦に伸びず、代わり地を這うように広がるのはこの辺りの植物の特徴だった。

汽水湖であるために塩分が周囲の土地にも広がっており、そのために通常の森などとは植生を異にしているようだ。

 

例外となるのは楕円の湖にそこだけ突き出る半島部分のみ。

こんもりと盛り上がったそこには背の高い広葉樹が肩を寄せ合う。

この半島には水神ニムストゥルの末裔たる翠緑のサーペントが営巣している。

 

供物を捧げるための祭壇もあり、望めば会えるだろう。

件の毒にやられた村人も、大蛇に村で作られた酒を捧げた帰り道だったという。

 

もっとも、サーペントは言語を理解しない。

明確な対話は不可能だ。

 

 

 

さて、眼前の低木に話を戻すが、背は低くともそれでも生る実はある。

あなたは低木の葉をかき分けてそれを見つけた。

親指の先ほどの大きさの、淡い赤の果実である。

無加工ではさほど美味いものではないが、特に不味くもなく、ちょっとした栄養補給に適した種と知られていた。

 

あなたはその実の下に掌を出し、待った。

しかし……落ちない。

結果を見て、あなたはやはりと確信した。

偽物だ。

 

本物の果実であるなら人が手を差し出せばそこに落ちるはずである。

イィル=マガによって、人に食する優先権が与えられているためだ。

十分以上に熟しているならば、落ちなくてはおかしい。

さらに言えば、この種類の実が生るのは夏のはずだ。

時期が早すぎる。

 

 

 

判定内容魔種知識
判定方法2D6+知識SB

5以上で成功/容易

判定結果2D6+4=12(成功)

クリティカル

 

 

 

あなたは実をつまみ、もぎ取って地面に落とした。

そして踏み、中に詰まったものを弾けさせる。

 

おぞましい光景がそこには広がっていた。

赤く瑞々しい姿は外側だけのもの。

皮を破って飛び出したのは、汚液めいた黒色の泥だ。

表面には油の浮いたような虹色が艶めき、汚らしさを強調している。

 

さらに何より……その泥の中からは無数の蟲の脚が飛び出して蠢いていた。

猛毒である泥を被害者の体内へ効率的に運ぶための、自動的に体の奥を目指す機能と考えられている。

いずれも先端には鋭い爪が生え、飲み込んだ者が吐き戻そうとすれば肉に突き立ててしがみつき、喉や食道を傷付けもする。

 

これを悪意と呼ばずして何と呼ぶのか。

そんな魔術であった。

 

古来よりこの毒の犠牲になった人間は多い。

果実は安全なものという認識は信心深い者であるほど大きいものだ。

伝承などでインプの話を聞いていても、大抵の者は日々果実を食む中でいずれ忘れる。

そうして、ある日突然に偽の実に騙されるのだ。

 

 

 

あなたは確信する。

若者の命を奪いかけたのは間違いなくインプだ。

偽の実を植え付ける魔術から、接ぎ木という意味の古い言葉より名を取られた、人類にとって最も身近な神敵である。

 

人の赤子ほどの小さな体。

背にはコウモリに似た翼を生やし、素早く空を舞う。

魔術の悪質さが示す通り残忍かつ狡猾で、毒で弱った者を笑いながらいたぶる様は頻繁に書物に描かれる。

 

また、毒の実は植え付けられてから長時間はもたない。

せいぜいが1日か2日程度で偽装は限界を迎え、地に落ちて消えるはずだ。

つまりインプがまだこの辺りに居るだろうことも、あなたは理解する。

 

 

 

そしてさらに、あなたはこの魔種に特に詳しい(クリティカル特典)

インプが崇拝する魔の神と。

その恩寵としてもたらされた魔術(追加情報獲得)にもだ。

 

魔神の名は、煮える泥濘のアルシュガル。

人間と、そして創生の四神に憎悪を抱くとされる異形の存在だ。

かつて世界の始まりにあったという旧き神の似姿を取り、蠢く泥の竜として大地の果てに爪を立て、世界にしがみついているとされる。

 

かの存在の眷族は、例外なく人間に悪意を向ける。

そうあれと創造主に定められているためだ。

もし言葉が通じても対話など試みるべきではない。

彼らの語る内容にわずかでも誠意が含まれる事を期待するのは愚者の所業だ。

 

 

 

そんな魔種であるがために、インプの扱う魔術はどれも悪意に溢れる。

あなたはそのうち、代表的ないくつかを脳裏に思い浮かべた。

 

 

 

技能判明/インプ
『魔弾:猛毒』

対象に『1D6+精神SB』の魔術ダメージ

状態異常『猛毒』を高確率で付与

『変性:四神』

使い魔を1体生成

使い魔は必ず『アンシリーコート』の技能を持つ

羊、樹木、魚、炎のいずれかがなければ使用不能

 

技能/使い魔
『アンシリーコート』

武装を獲得し戦闘能力が向上

不利となる秘蹟の効果が倍化

治癒の秘蹟でダメージを受け、状態異常『神威』発生

 

TIPS/状態異常『猛毒』
1ターン毎にHPにダメージ

ダメージ量は原因によって異なる

 

薬品か秘蹟によって回復する

休息によって確率で回復する

 

 

 

神々の恩寵たる存在を歪め己の使い魔とし、自身は飛び回ってその背後から魔術を放つ。

これがインプの基本的な戦術だ。

 

それを止める事はおそらく出来ない。

例えばここが岩山などであればまだしも、周囲には樹木が生え、水中にはいくらでも魚が泳ぐ。

戦力の補充はし放題だろう。

 

幸いなのは変性の魔術は消耗が大きいらしい事だ。

日に使えて1度か2度といったところ。

また、使い魔はあくまで一時的な戦力で、日を跨ぐほど長くは生きられない。

湖畔のどこかにインプが用意した軍団が隠れているという事はおそらくないはずだ。

 

ただ、もし居たとしてもあなたに対する致命的な脅威にはなるまい。

インプに変性させられた存在は、全ていつかのレッドキャップのような『歪んだ命』に変わる。

秘蹟の光さえ纏えたなら、あなたの護りを貫く術はまずない。

 

厄介なのはそれよりもむしろ、空を飛ぶという点だ。

高くは飛べず速度もさほどでもないが、自在に宙を舞うために剣や槌で捉えるのは難しい。

 

 

 

技能/インプ
『飛行』

自在に空を飛ぶ権利を得る

この技能が有効な間、回避率『+2』

近接攻撃に対しては、さらに回避率『+3』

 

 

 

よって、あなたはインプ狩りの伝統的な道具を持ち込んでいた。

 

 

 

アイテム獲得
投げ網
投げて使う狩猟用の網

主に鳥用のため、体の大きな相手には効果がない

ダメージ0固定

命中力『+3』

命中した対象に1ターンの行動不能、3ターンの逃走阻止、3ターンの回避率『-3』を付与

 

借り物のため、クエスト後に返却される

 

アイテム獲得
解毒剤:インプ毒
インプの用いる毒を殺す薬剤

インプ毒以外には効果がない

状態異常『猛毒』を回復する

 

消費期限が短く、クエスト後に破棄される

 

 

 

相手は小さいだけに、基本的に筋力は弱く、脆い。

この網で捕えてさえしまえば、後はどうとでもなるだろう。

 

また、あなたは自身の扱う秘蹟で毒を消す事が出来るが、探索中に何らかの要因で精神力を使い果たしてしまう可能性もある。

そういった場合に備えて解毒剤も用意済みだ。

調合したのは村の薬師である。

腕は確かで、効果に不足はないはずだ。

 

 

 

 

 

さて、あなたの目的はインプの討伐だ。

達成のためには当然目標を発見しなければならないが……今回、それは難しくない。

 

何しろインプは人を害するために生まれたとされている。

近くに人間が居れば襲わずにはいられない生き物だ。

この湖畔にただ滞在するだけで、相手からあなたを感知して寄ってくるだろう。

 

いや、もしかしたらもうこちらに向かっている可能性もある。

 

 

 

判定内容周辺警戒
判定方法2D6+感覚SB

7以上で成功/普通

判定結果2D6+4=10(成功)

 

判定内容????
判定方法2D6+??SB

成功範囲不明

判定結果2D6+?=?(??)

 

 

 

そう思って周囲を見渡したあなただが、湖畔は静かなものだ。

時折魚が跳ね、低木の隙間から顔を出した小鳥がさえずる程度。

何も知らなければほんの数日前にここで人が殺されかけたなど想像できないに違いない。

 

どうやらあなたの身に迫る悪意は、今の所何も無いように見える。

 

 

 

となればやれる事は幾つかある。

 

例えばインプの襲来に備え、仮の陣地を築くなどだ。

敵が得意とする魔弾の魔術は回避も防御も難しいが、対処法が全く無いわけでもない。

即席の土塁、つまりは土を高く積んだ壁を幾つか用意しておけば、完璧にとはいかなくともある程度防ぐ事が出来るだろう。

 

待ち構えるのではなく自分から探す手もある。

先制して発見出来てしまえばこちらのもの。

不意を打って網を被せる事に成功したなら依頼は達成したも同然だ。

 

自分に自信があるなら、堂々と湖畔を歩いてみせるのも有りだ。

大声を出して『人間はここにいるぞ』と主張すれば、インプは大喜びでやってくるはずだ。

一刻も早く討伐したいというなら、これが一番手っ取り早いに違いない。

 

そのどちらでもなく、より多くの痕跡を探すなら湖を周るのはどうだろう。

今から一周すれば夕刻にまではここに戻って来られると思われる。

時間はかかるが、何かしらの情報が追加されるかもしれない。

 

また、もし湖畔の大蛇に用があるなら半島を訪ねれば良い。

かの存在は基本的に人間に対し敵対も親愛も示さず、言葉を解さないために対話も出来ないが、一目会いたいというならそれも自由である。

 

 

 

名前(あなたが自由に決めて良い)
職業神官

 

HP36/36
MP17/17

 

筋力8SB=2
耐久14SB=4
敏捷9SB=3
器用8SB=2
感覚12SB=4
知識14SB=4
精神17SB=5
幸運10SB=3

 

装備性能
メイス+1『2D6+筋力SB』の物理ダメージ

命中力+1

バックラー+1防御成功時、

物理ダメージを『耐久SB』軽減

防御成功率+1

 

特殊技能詳細
重撃攻撃命中時、『朦朧』判定

クリティカル時、『朦朧』確定付与

信仰秘蹟の使用権を得る
治癒初歩の秘蹟、消費MP5

肉体をあるべき姿に戻す

『1D6+精神SB』のHP回復。

守護初歩の秘蹟、消費MP3

肉体があるべき姿を保つ力を強める

『精神SB』だけ全ダメージを軽減

効果時間は1戦闘

賦活初級の秘蹟、消費MP5

肉体と魂をあるべき姿に引き戻す

状態異常を回復

聖域初級の秘蹟、消費MP6

小規模な聖火の結界を顕現させる

休息中のみ以下の効果

通常エンカウント停止

環境ダメージと休息妨害を無効化

一部状態異常を即時回復

回復判定ダイス数+1

 

アイテム詳細
チェインメイル1度だけ死亡を回避
投げ網インプを捕えるための投擲具
解毒剤:インプ毒インプによる猛毒を回復

 





【選択肢】

陣地を築く
水中を探索する
湖の外周を一周してみる
隠れながら周辺を探索しインプを探す
堂々と湖畔を歩きインプを呼び寄せる
半島の大蛇を訪ねる

【外部投票所】
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。