読者参加型TRPG風小説   作:矢端トラム

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【投票結果】

→ 相手の奇襲を誘い、逆に不意を打つ



クエスト『湖畔の ???る インプ』(3/3)

 

 

 

あなたは作戦を決定した。

インプを騙して奇襲を誘い、近付いてきた瞬間を狙い撃つ。

これが最適解だと判断を下す。

 

依頼達成のことだけを考えるならば別だ。

サーペントに全てを任せてしまった方が事はスムーズに運ぶだろう。

 

だが、とあなたは考えた。

 

この選択の方が賭け得だ。

殺意を察知し損ねても、()()()()()()()()()()()()

その次の瞬間にはサーペントがインプに対処してくれているはずだ。

 

致命的な失敗の要素がなく、成功すればより確実にサーペントの権能はインプを直撃する。

ベットされるのはあなたの体と命だけだ。

どう転ぼうとインプが湖から消え依頼が達成されるなら、端的に言って丸儲けである。

 

 

 

結論から実行まではシームレスに行われた。

あなたは湖畔を歩き始める。

ところどころに野草が顔を出す砂浜を自然体でだ。

 

もちろん、インプの居る側には目も向かない。

あえて無防備を晒し、隙だらけの背中を見せつける。

 

 

 

そのまましばし進むが何も起こらない。

あなたは時折足を止め、低木のあたりにしゃがみこんでは探索をしている風を装うが、その程度では背を撃とうとは思わないようだ。

 

当然の判断ではある。

インプは自身の体を透明にするような、高度な隠匿の魔術を扱えるらしい。

まともに発見される可能性は低い。

ならば時間は向こうの味方だ。

獲物が疲れ、気を抜き、最も油断が深まる時までを待ち続けるのは理に適っている。

 

もし、運良く発見出来ていなければ。

このインプは実に面倒な相手になっていただろう。

現れないインプに業を煮やし徒労を延々と重ねた後、一息つこうと休息を始めた瞬間に首筋を魔弾が貫くなどという展開は想像に易い。

サーペントによる援護のあてが無ければそのまま死が見えかねない、そんな事態だ。

 

つまり、あなたが装うべきはそういった状態の冒険者だ。

 

敵のわずかな痕跡を探して四苦八苦し。

追う最中に途切れて乱暴に頭を掻き。

都合良く進まない物事に苛立って舌を打ち。

そんな様を見せつけて、あなたは偽りの探索行を長く続けた。

 

 

 

判定内容演技
判定方法2D6+精神SB(あなた)

2D6+感覚SB(インプ)

比べ合い/大きい方が勝利

難度:容易/あなたに『+2』

判定結果2D6+7=15(あなた)

2D6+2=11(インプ)

 

 

 

その背中に注がれる視線には、明らかに愉悦の気配がこもっていた。

徒労を繰り返すあなたを嘲笑いコケにする、そんな感情がだ。

 

どうやらインプはまるで疑っていない。

演技を見抜けずに騙されたまま、自身を狩人だと信じ切ったままで追跡を続けている。

あなたはそう確信した。

 

これならば成功はそう難しいものではないだろう。

けれどあなたは気を抜かぬよう、今一度気を引き締めた。

油断こそは冒険者の大敵である。

今まさに己を過信して破滅に突き進んでいるインプも、そう教えてくれていた。

 

 

 

そうして、時は進んで日が暮れ始めた。

空は赤く染まりだし、まもなく夜がやってくると示している。

 

そんな中であなたは、半ば放り捨てるように荷物を下ろした。

出来るだけわざとらしくなく、しかし軽くヤケが入ったと見える風に。

それから、長いため息の後に静かに座り込む。

柔らかい茂みに半身をもたれさせ、少しの間全身を弛緩させた。

 

荷物を漁り、あなたはいくつかのものを取り出す。

食料だ。

堅焼きのビスケットにチーズ、干し魚などである。

それらをしばし見比べた後に、あなたは干し魚を咥えた。

 

かたく締まった身をしゃぶってほぐしながら火をおこし、小鍋まで火にかけ始める。

そこに投入されるのはナイフで削ったチーズだ。

熱されてすぐに溶けたそれを柔らかくなった干し魚に絡めて、あちあちと舌をおどらせながら味わう。

 

見るからに気の抜けた姿だ。

今、ここが狙い目だぞとあなたは示してみせる。

最後のダメ押しに、そういえばアレもあったな、という表情を作って()()()()()()()()()()()()

 

 

 

もし、インプがあなたの演技に多少なりとも違和感をもっていたならば。

自身の判断に迷いを持ち、あからさますぎる隙への襲撃を躊躇していたかもしれない。

だがそうはならず、あなたはインプを騙し切った。

 

 

 

判定内容危機感知
判定方法2D6+感覚SB

6以上で成功/普通

判定結果2D6+4=13(成功)

クリティカル

 

 

 

よって、襲撃のタイミングは実に読みやすく、その結果はもはや約束されたものだったと言って良い。

立ち昇った殺意が迫る感覚を、あなたは鋭敏に察知した。

 

パキ、と小さな音。

あなたの背後。

茂みを形作っていた低木がその身を蟲のように歪めて、長い脚に絡め取ろうとあなたに迫る。

 

ハッと、あなたが飛び退くも一歩遅い。

歪められた樹木のムカデはあなたの下半身にしがみつき、その動きを封じていた。

 

その瞬間である。

 

「ヒィ、ヒヒャヒャヒャハハハ──」

 

そのさらに向こう。

茂みの奥から、指先に禍々しい魔弾の光を灯したインプが飛び出し。

 

「──ハ?」

 

そして、自身の目の前に投げ放たれた網が広がるのを目の当たりにして、耳障りな哄笑を凍らせた。

 

当たり前も当たり前である。

相手の情報はすでに知り、行動は誘導した。

そして完璧にタイミングを察知できた以上、どうして対処できない理由があるだろう。

 

使い魔によって動きを封じてから、魔弾でいたぶり殺す。

そんな動きは完全に丸わかりであった。

 

なのであなたは、それに先んじた。

荷に突っ込んでいた片手で投げ網を取り出しながら下半身はどうでもいいと捕えさせ、上半身の力だけでインプの正面に投げ放つ。

 

それで終わりだ(クリティカル特典)

無防備に飛び出したインプに、避ける術はない(確定命中)

 

 

 

「なんだ、なんだこれは、ふざけ────ぇあ?」

 

待ちに待ったお楽しみに向けて高まっていた期待。

それを重り付きの網に邪魔され地に落とされたインプの口から、魔種の言語で怒りが発せられ。

そしてしかし、やはり先と同じ様に間抜けな声にすぐに変わる。

 

捕えたぞ、今だ、と。

インプを指し示し、サーペントの感覚器たる霧へと伝えたあなたの向こう。

 

湖のただ中に高く立ち昇る水の柱を見てしまったのだろう。

 

サーペントの権能だ。

それも手抜きなし、神敵に裁きを下す怒りの一撃である。

囚われて身動きの取れない(1ターン行動不能による強制クリティカル)インプにとってはつまり、死そのものと言える。

 

「ま、っ……!?」

 

命乞いの暇さえ、与えられはしなかった。

 

 

 

判定内容サーペントの攻撃

NpcLv10(限定的特殊処理)

判定方法必中

4D(10+精神SB)/(攻撃力)

判定結果4D18=42

 

判定内容ダメージ計算
攻撃力42
補正致命/+42(クリティカル)
最終ダメージ84

 

 

 

家屋にして一軒分はあろうかという巨大な水球が、矮小なインプ1体に対して放たれた。

それは過たず目標に命中し、しかし弾けない。

 

「──! ッ!! ……──!!!」

 

むしろ逆だ。

大質量の中にインプを閉じ込めたまま、圧縮に圧縮を重ねていく。

水球がひと回り縮むごとに小さな体はひしゃげていった。

 

苦鳴とともにもがいていた──もがけていたのははじめだけ。

あなたが見る前で、インプは瞬く間に命どころか形さえ失った。

ばしゃりと水が解放された後に残っていたのは、かつてインプだったはずの何か、としか呼べないものであった。

 

 

 

主人を失ったからか、樹木の使い魔は動きを止めてその身をボロボロと崩していく。

こうなればもう対処はいらないだろう。

後は通常の朽ち木と同じく土に還るはずだ。

もし不安に思うなら、秘蹟の光にさらしてから地に撒いておけば良い。

 

あなたは立ち上がり、先ほど水の柱が見えた方向へ頭を垂れて感謝を示す。

余りにもあっけない、戦闘の終わりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が、あなたにはもう少しやる事があった。

事後の探索である。

 

今回、インプはあっさり死んだわけだが、これが単体だったという保証はない。

よってあなたは一度村に戻って簡単な報告をした後、とって返してさらに湖で過ごした。

木々の果実をひとつひとつ見て周り、時折水中を覗き込んでは魚に異変はないかを確認する。

地道な作業には時間がかかり、じっくりとした入念な調査は数日にも及ぶ。

 

結果として、インプは単独だったのだろうとの結論が出た。

新たな毒の果実は見つかる事なく、湖は平穏を取り戻している。

これで依頼は無事達成されたと胸を張って報告できるはずだ。

 

 

 

判定内容探索
判定方法2D6+感覚SB

8以上で成功/やや難

判定結果2D6+4=9(成功)

 

 

 

そしてまた、それとは別に。

あなたは気配を消してジリジリと、焦れるほどにゆっくり目標へ近付いていた。

やや大型の水鳥、白鳥に向かってである。

 

あなたは今回サーペントに協力を要請した。

相手が神敵であるために進んで手を貸してくれたわけだが……対価としてあなたが差し出した供物は十分ではない。

本来食指の動かない干し魚を、意思表示のために口にしてくれただけだ。

 

それを幸運だとだけ考えてこのまま帰っては不義理だろう。

せめて何か他にひとつぐらいの供物を追加するのが礼儀というものだ。

 

そのために、あなたは投げ網を手に水鳥を狙っていた。

ジリジリ、ジリジリ。

湖のほとり、春の陽射しの中でうとうとしている白い鳥の群れに、気取られないように慎重に迫る。

 

 

 

判定内容隠密
判定方法2D6+敏捷SB(あなた)

2D6+感覚SB(白鳥)

比べ合い/大きい方が勝利

判定結果2D6+3=9(あなた)

2D6+2=11(白鳥)

 

 

 

しかし、相手は流石の野鳥である。

いかに昼寝で気を抜いていようとも、外敵の接近には敏感だったようだ。

 

とある1羽が大きな鳴き声を発した。

その顔はあなたが隠れる茂みに向けられている。

発見されたと、そう判断してあなたが立ち上がった瞬間には白鳥の群れは翼を広げ飛び立つ姿勢に入っていた。

 

それでもいちかばちか。

いくらかでも捕えられればと、あなたは網を放った。

 

 

 

判定内容先制判定
判定方法2D6+敏捷SB(あなた)

2D6+敏捷SB(白鳥)

比べ合い/大きい方が勝利

判定結果2D6+3=7(あなた)

2D6+2=10(白鳥)

 

判定内容白鳥の逃走
判定方法2D6+敏捷SB(あなた)

2D6+敏捷SB(白鳥)

比べ合い/大きい方が勝利

技能により白鳥に『+2』

判定結果2D6+3=10(あなた)

2D6+4=11(白鳥)

 

 

 

……網は虚しく宙を舞った。

 

ぶわりと広がった網を、飛び立った白鳥達は器用に避けた。

抜け落ちた何枚かの羽根だけを残して高く高く飛び上がっていく。

あっという間にその姿は小さくなり、もはやあなたにはどうすることもできない。

 

あなたはやむなく網を回収した。

今回の白鳥以外にも数度獲物を発見しはしたが、いずれも成果は芳しくない。

残念ながら、サーペントに良質な供物を捧げるのは難しいようだ。

 

取り得る選択肢としては、魚にするか、一度村に戻って狩人に融通してもらうか、家畜を提供してもらうかだ。

前者では相手の常食だろう事からさして喜ばれはしないと思われる。

後者ふたつは狩猟や交渉に時間がかかる。

今もうすでにインプ討伐から数日が経過している事を思えばさして変わらないかもしれないが。

 

どうあれ、サーペントはこれまで通り、あなたを特別視はしないだろう。

たまに湖にやってくる人間──祖たる水神が可愛がっている、害のない小さな生き物とだけ認識し対応するはずだ。

数度の狩りに費やした労力は残念ながら無駄だったと言う他ない。

 

 

 

が、人生とはそのようなものである。

試みが徒労で終わり、誰もあなたの奮闘を知らないなどごく普通の出来事だ。

 

それに、無駄だとしても無意味ではない。

義理のためにあなたが努力した事は確かな事実だ。

 

今回、それが報われる事はなかったが。

重ねた精進はいつか実を結ぶはずである。

悪心に囚われ、身のうちに毒を溜め込まない限り。

 

少なくとも、あなたが奉ずる神々の言葉は、人にそう教えている。

 

 

 

クエスト終了

 

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