読者参加型TRPG風小説 作:矢端トラム
いや、とあなたは首を横に振った。
まだ積極的な行動に移るには早いと考えてだ。
あなたが居るこの草原は、村からそう離れていない。
そんな所に凶暴な魔種がうろついているというのは大きな問題だろう。
今はまだ人間に被害は出ていないようだが、それは村人が草原付近の畑に自主的に近寄らないようにしているためだ。
しかし、まさか畑を完全に放棄するわけにもいかないため、この対策は一時的なものに過ぎない。
やがていつかは畑の世話をしに立ち入らねばならず、そうなれば何が起こるかは深く考えるまでもない。
あなたにとって、レッドキャップは相性の良い相手だ。
立ち会えば勝利は容易いだろう。
だが、かと言って甘く見て気を緩めてはならない。
これは失敗の許されない依頼である。
レッドキャップを取り逃し、討伐に手間取り余計な日数をかけてしまえば……血を流すのはあなたではなく、村人なのだ。
確実に、逃走を許す余地なく仕留めきる必要がある。
討伐にかかるのはもう少しばかり情報を求め歩いてからにすべきだと、あなたは判断した。
あなたは引き続き草原を探索して回る。
先ほどの肉塊は無造作に放置されていた。
どうやらレッドキャップには、自身の遊びの痕跡を隠そうという気はないらしい。
ならば他にも似たような跡が見つかる可能性は高い。
それらの分布や状態を調べる事が出来れば、レッドキャップが好んで出没する場所や時間、上手くすれば棲み家さえ判明するかも知れない。
| 判定内容 | 追跡 |
| 判定方法 | 2D6+感覚SB 5以上で成功/容易 |
| 判定結果 | 2D6+3=14(成功) クリティカル! |
そんな考えは、どうやら功を奏したようだ。
草原を歩き回ったあなたの苦労は報われる。
先の肉塊と同様の痕跡をいくつも発見したのだ。
……そう。
いくつも。
いくつも、いくつも、いくつもである。
草原を歩けば歩くだけ、探れば探るだけそれは発見できた。
最初のものと同じく真新しいものも。
すでに血が乾ききり腐敗が進んだものもだ。
レッドキャップが獰猛な魔種といえども、明らかに異常だった。
この個体は狩りの意欲が旺盛に過ぎる。
宿の主、老婆が言うにはレッドキャップが住み着いたのは最近のはずだ。
しかし、それにしては死骸の数が余りにも多い。
休息も睡眠も放り捨てて殺戮に明け暮れていなければ説明がつかないほどに。
狂気に犯されているのか。
それとも異常な体力を誇る個体なのか。
そのどちらかであるようにあなたには感じられた。
そこで思考をいったん止めて、あなたは小休止を挟む事とした。
探索を続けた分だけ時は進み、今や太陽は中天をとうに通り過ぎた。
雲の少ない晴天からは燦々と日差しがそそぎ、あなたを照らしている。
その熱を避けて、あなたは草原のところどころに点在する木のうち、やや大きめの一本の下へと入った。
なだらかな丘陵を風が吹き抜けている。
陽の遮られた木陰は実に過ごしやすい涼しさで、あなたの探索の労をねぎらってくれるようだった。
あなたはそこで、水筒を取り出して喉を潤した。
口腔に流れ込む水もまた心地良く、あなたはもうひと口と天を仰ぐように水筒を傾ける。
……と、その時だ。
先ほどまでの思索の裏付けとなってくれるものを、
まるで、マーキングのようだった。
ここは己の縄張りであると主張するように木の幹に深く傷が刻まれている。
似たものでは熊が爪跡を残す例があるが、明確に異なる。
傷跡が深く鋭いのだ。
あなたは手を伸ばし、跡をなぞって理解した。
ひとつは、この傷はまだ新しいものである事。
そしてもうひとつは、この形の傷を刻むには何かしらの道具が必要となる事。
例えば、レッドキャップが持つとされる斧あたりがちょうど合致するだろう。
あなたは確信する。
眼前の木を傷付けたのはレッドキャップだ。
村人がつけたとするならば時期がおかしく、獣がつけたとするならば形がおかしい。
まず間違いないだろう。
そしてそれは、さらにひとつの情報を導く。
あなたはこの傷跡を、水を飲みながら
傷のある位置が、高い。
斧の長さを含めたとしても、あなたと並ぶか下手をすれば上回る巨軀である可能性を捨てきれない。
レッドキャップは通常、老爺に似た姿をしている。
腰は曲がり、どちらかと言えば背は低い魔種である。
あなたが知るそんな知識と、現実とが合致しない。
ゴブリンの異常個体である、レッドキャップ。
その、さらに異常を発した個体。
それがあなたが討伐しなければならない相手であるようだ。
| 特殊条件判明 |
| 草原の 逞ましい レッドキャップ |
| 『 討伐対象のHPと耐久が強化される。 討伐対象が状態異常『疲労』に対する完全耐性を獲得する。 |
| TIPS/状態異常『疲労』 |
| 過度に行動を続け、疲労が一定以上蓄積すると発生する。 あらゆる判定でステータスボーナスが加算されなくなる。 休息か、特定の薬品や秘蹟によって回復可能。 |
もしあなたが正義感に富む人格であるならば、むしろ安堵の息をこぼしたかもしれない。
つまり、この依頼を受けたのが自分で良かった、との安堵だ。
例え異常個体だとしても、レッドキャップはレッドキャップだ。
通常より発達した肉体を持とうが、秘蹟の前には膝を屈する他ない種族である。
これまでの情報を加味しても未だにあなたの優位は揺らいでいない。
改めてあなたは水筒の水を口に含んだ。
それから、情報をまとめる。
レッドキャップの狩りの痕跡は広く、それは広く分布していた。
恐らく、特定の狩場というものはないのだろう。
目についた獣をただ追い、ただ殺し、また探す。
そんなサイクルを延々と繰り返しているようだ。
合間の休息や睡眠は、果たして取っているのかどうか。
あなたにはどうにも怪しいと感じられた。
追跡によって寝込みや棲家に奇襲をかける、という線は得策とは言えないかもしれない。
有効なのはやはり誘き出しと思われる。
ここに生き物がいるぞと物音や声で知らせてやれば、標的はあっさりとあなたの前に現れるのではないだろうか。
レッドキャップが繰り返した狩りのために野の獣は逃げ隠れて姿を消したようだが、開拓村にも家畜はいる。
幸い村人たちは冒険者に協力的だ。
事情を説明して鶏の1羽を貰い受けるぐらいはできるだろう。
村の財産を減らしたくないならばあなた自身を囮とすれば良い。
真っ向からの勝負であってもレッドキャップの異常個体を叩き潰す力は、あなたには十分備わっている。
情報と思考は纏まった。
あなたは水筒に栓をして荷に戻す。
| 判定内容 | ランダムエンカウント回避 |
| 判定方法 | 2D6+幸運SB 5以上で成功/時間経過・小 |
| 判定結果 | 2D6+2=9(成功) |
辺りの様子に変化はない。
のどかな……獣が追われて消えたために生まれた、過剰なまでの静謐がただ広がっている。
| 名前 | (あなたが自由に決めて良い) |
| 職業 | 神官 |
| HP | 36/36 |
| MP | 17/17 |
| 筋力 | 7 | SB=2 |
| 耐久 | 13 | SB=4 |
| 敏捷 | 9 | SB=3 |
| 器用 | 6 | SB=2 |
| 感覚 | 9 | SB=3 |
| 知識 | 11 | SB=3 |
| 精神 | 12 | SB=4 |
| 幸運 | 8 | SB=2 |
| 装備 | 性能 |
| メイス | 『2D6+筋力SB』の物理ダメージ |
| バックラー | 防御成功時、 物理ダメージを『耐久SB』追加軽減 |
| 特殊技能 | 詳細 |
| 信仰 | 秘蹟の使用権を得る |
| 治癒 | 初歩の秘蹟、消費MP5。 肉体をあるべき姿に戻す。 『1D6+精神SB』のHP回復。 |
| 守護 | 初歩の秘蹟、消費MP3。 肉体があるべき姿を保つ力を強める。 『精神SB』だけ全ダメージを軽減。 効果時間は1戦闘。 |
あなたの行動は?
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足跡を追う
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マーキングされた木の近くに潜んで待つ
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鶏を囮におびき寄せる
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自分を囮におびき寄せる
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まだ情報が足りない、探索を続ける