読者参加型TRPG風小説 作:矢端トラム
あなたが選んだ依頼。
それは湿原の亜竜に関するものだった。
単純な話。
これを放置した時のリスクが計り知れないというのが大きい。
考えられるのは、湿原に立ち入る事が全く出来なくなる可能性だ。
クエレブレは翼持つ亜竜である。
その行動範囲は広いだろう。
どの程度の範囲を縄張りとするかはハッキリとは言えないが、最悪下手をすれば湿原のほぼ全域を己のものと認識しかねない。
もしそうなれば開拓や入植どころか、調査さえ不可能になる事も考えられる。
さらに第二に、クエレブレが開拓村に飛来する可能性だ。
湿原と開拓村は離れており、今のところ兆候はないとの話だが、空を飛べるものならば発見と到達はありえないとは言い切れない。
村に神の加護たる聖火が灯っている以上は滅多なことはないはずだが、近くにやって来られるだけでも大問題である。
もっとも、そうなれば普段は『未知を暴くのは人間の役割なのだろう?』と言って冒険者の仕事に関与しようとしないフェノゼリーが動くだろうが。
あちらも竜に近しい存在である。
むしろそうなってしまった方が簡単に片付くのかもしれない。
それはともかく。
結局のところ、クエレブレには出来る限り早々に立ち去ってもらわねばならない。
そのためにあなた達は湿原へと乗り込んだ。
そして、その光景に出迎えられる。
「……嘘でしょう? こんな──」
呆然と呟いたのは女神官だ。
携えたクロスボウをだらりと地に向け、無防備に立ちすくむ。
返事を返す者はない。
何しろ他の面々も少なからず衝撃を受けていたためだ。
中でも、
湿原の入り口。
その付近にある森のひとつが、まるごと蹂躙され尽くしていた。
クエレブレの毒の吐息のためだろう。
木々はことごとく枯れ落ち、森を満たす水の上には大小の生物が骸を浮かべている。
森の住人に生き残りは、おそらく居ない。
そう。
アイアンシザーさえも含めてだ。
……鋼色の甲殻が、砕けて落ちていた。
無数に積み重なった残骸は彼らの生存のための団結と、その無惨な結末を示している。
生前の面影を残す個体さえ、ごく少ない。
彼らの脅威をあなたは村に過不足なく伝えている。
当然の事として、冒険者の中にアイアンシザーの厄介さを知らない者はいない。
「さっすが亜竜。おっかないね。……提案なんだけどさ、直接戦闘はもう本当にどうしようもなくなってからの最終手段、って事でいいね?」
ポツリと戦士が言う。
何とも彼女らしくない言葉ではあるが、どう考えても正解だ。
怖気付いたのではなく、冒険者としての冷静な判断である。
明らかに
「賛成。これはダメだ。流石に荷が勝ちすぎる」
魔術師が言い、森へと数歩近付いた。
| 判定内容 | 周囲の警戒 |
| 判定方法 | 2D6+感覚SB 6以上で成功/容易 |
| 判定結果 | 2D6+4=8(成功) |
「待っ……いえ、失礼しました。大丈夫そう、ですね」
それを軽率な行動と思ったか女神官が止めかかるも、自分で気付いて言葉を飲み込む。
そして正しい。
辺りには何の気配もない。
当然のことである。
これほどの暴虐が振るわれた土地に、残りたいと思うものも近付きたいと思うものもいまい。
かつてあなたが踏み入った際に感じ取った無数の生命の気配は、今この時ばかりは全く失われていた。
そして、もし亜竜がまだ近くにいるのなら感知できないわけもない。
相手の強大さを考えれば隠れ潜むには到底向かないだろう。
例えどれほど息を潜めたところで、放たれる存在感だけで発見は容易なはずだ。
よって、この場に迫る危険はない。
クエレブレの痕跡を探るなら今のうちという事だ。
あなたもまた魔術師に続き、森に散乱する残骸へと近付く。
| 判定内容 | 対象の観察 |
| 判定方法 | 2D6+感覚SB 8以上で成功/普通 |
| 判定結果 | 2D6+4=13(成功) |
近くで見ると、凄惨さはよりハッキリと目に入る。
「──どう思う? ああ、つまり、どう殺されたかって話だけれども」
魔術師の問いにあなたは答えた。
山と積まれた残骸の山はおそらく10体ほどのアイアンシザーだろう。
堅固なはずの甲殻を含めて全てが細切れに分解され、正確な数は把握できないが、山の大きさから見てその程度だ。
ならば牙や爪で殺されたのかというと、少し違うかもしれない。
甲殻に紛れる肉の様子がおかしいのだ。
どれもが爛れ、膿み、じゅくじゅくと汚液をこぼしている。
それが体液由来なのか、それとも注がれた毒なのかも判然としない。
どちらが先か、判別は難しい。
毒の吐息で死んだのかもしれないし、爪に引き裂かれたのかもしれない。
ありそうなのは反撃の届かない空から毒を浴びせられ、動けなくなるほど弱ってから分解された、というものだが。
| 技能一部判明/クエレブレ |
| 『死毒のブレス』 敵全体に?D(??+耐久SB)の魔術ダメージ ダメージを受けた対象に『猛毒』を確定付与 ??????????????? |
| 『通常攻撃/亜竜の爪牙』 敵に????+(筋力SBx2)の物理ダメージ 命中時、対象の物理的な装備や装甲を破壊する (チェインメイルは対象外) |
| 判定内容 | 対象の観察/知 |
| 判定方法 | 2D6+知識SB(魔術師) 11以上で成功/難 技能補正+1 |
| 判定結果 | 2D6+6=17(成功) |
「ふぅむ。なら、そうだね。組み立ててみようか」
あなたの返答に、魔術師はそう言って残骸に近付いた。
人の頭程度の肉塊を手に取り、また別の肉塊と照らし合わせる。
「神官くん、手伝ってくれたまえよ。そっち2人は念のため警戒を頼んだよ」
「あいよー。できるだけ手早くね」
「善処はするさ」
戦士と魔術師は、冬に何度もコンビを組んでいた経験がある。
そのための気安さだろうか。
凄惨極まりない現場には似つかわしくないほどの軽いやり取りを交わし、それぞれの作業に入る。
「さて、筋肉というものはね。壊れ方によって色々な事がわかるものなのさ」
始まったのは魔術師による講釈だ。
アイアンシザーの肉、その断面を合わせながら彼女は語る。
あなたはその死骸パズルの支援だ。
これかと思うものを拾い上げては手渡し、同時に耳を傾ける。
「どのような方向にどんな方法で力を加えたかはもちろん、千切れた時に抵抗はあったかなかったか、健全な状態だったか、それとも組織がすでに弱っていたか、という所もね」
そうして続ける事しばし。
ついにアイアンシザー1匹分の死体復元に成功した魔術師は、数度頷いてからあなた達に向き直った。
そして保証する。
これは毒で弱りきる前から、生きたまま分解されたものだと。
アイアンシザーは発揮し得る最大限の力で抗い、それでも一矢報いる事さえ出来なかったようだ。
辺りからは、亜竜の鱗の1枚さえ見つかっていない。
「それと、これも間違いない。甲殻の残骸と肉の量が完全に一致する。食うためにやった事じゃあないね」
「──つまり、遊びで、という事ですか?」
「さあ? そこはまだわからないさ。遊びかもしれないし、彼らに何か恨みでもあったのかもしれない。案外この巨大ザリガニくんが余程の粗相をしたって事も考えられる」
ただ、どちらにしろ。
遊びであろうが報復であろうが、こういった行いに躊躇いがない個体であることだけは、否応なく確かだ。
| 特殊条件一部判明 | |
湿原の ??な クエレブレ| 残虐性が著しく上昇 | ????? ??????????????????????????? |
| 技能一部判明/クエレブレ |
| 『?????:????』 何らかのダメージ軽減、あるいは無効化技能 詳細不明 |
「ここでわかるのはこのくらいかな。そろそろ行こう。日が暮れる前にとりあえずは拠点を確保しておこうじゃないか」
「拠点、拠点かぁ。やっぱあそこ?」
「当然。贅沢が言える状況でないのはわかるだろう?」
「だよねー。知ってたわ畜生」
「……? ──あ」
魔術師が提案し、戦士がその内容にガックリと肩を落とす。
女神官ははじめは疑問符を浮かべていたが、すぐに思い至ったのだろう。
納得し、そして耐えるように目を伏せた。
恐るべき悪臭であった。
その一帯、全域に漂う激烈な腐敗臭は近寄っただけであなたの鼻を、それどころか目と喉さえ潰しただろう。
逃げ場など存在しない。
三重の当て布で口と鼻を覆ってなお、容易に貫通した臭いはあなた達を苦しめる。
悪い事に夏という季節が拍車をかけさえしていた。
熱気や湿気と共に、もはや兵器として利用できるほどのそれがムンムンと立ち昇る。
さらにそれだけではない。
歩くたびに足元がニチャリニチャリと音を立てる。
不快に過ぎるその音色にふさわしく、一歩ごとに粘度の高い液が靴と地面の間に橋をかけた。
泥ではない。
腐汁だ。
「ごほ、げぇほっ……む、無理ぃ、早く、火、火ぃ……!」
「は、はい、すぐに……っ、ぅぷ、ん、ぐ……!」
そんな最悪の環境下、戦士の要請を受けて女神官が聖火を熾す。
どちらも色々と限界が近い。
防御反応としての涙と鼻水、そして涎にまみれながら、しかし一刻も早い救いを求めて炎は手早く灯される。
それで空気は清浄化された。
人の領域、つまりは人の生存に適した環境がその場の狭い範囲に上書きされ、一時的に悪臭が退いていく。
「あ゛ー……助かったぁ。ほんっと便利ねこれ」
戦士はなんとか持ち直したようだ。
引きずっていたハルバードを持ち直し、天を仰いでありがたみを噛み締める。
「流石にねぇ、私もこれが無かったらこんな拠点は提案しないさ。秘蹟とやらも中々に侮れないものだよ」
次いで魔術師が杖を掲げ、魔術を展開した。
周囲の地面から水気と腐汁が引き、代わりに近くの木がメキメキと変形を始めて簡易的な床として敷設される。
オマケとばかりにあなた達の靴や服からも汚れが取り払われた。
これでようやく人心地がつけるというものだろう。
以前の第1回調査の際、結局訪れる事のなかった沼、そのほとりであった。
あれからの継続調査において、あなたは当然真っ先にこの見落としを埋めにかかり、そして発見した。
湿原に点在する灰色の沼は、湿原きっての安全地帯である。
原因は、激烈な腐敗臭だ。
沼はそれ全体が何かの腐った汁で構成されている。
ゴポゴポと気泡の沸き立つ度に五感の大半を殺しにかかる汚染が撒き散らされるために、ここに近寄ろうという獣はいない。
代わりに腐敗の中でこそ繁殖するウジなど蟲の類は数え切れないほどに存在するが。
この沼を構成する成分はまだわかっていない。
開拓村で解析が行われている段階だ。
ただ、多少わかることもある。
あなたがかつて抱いた疑問、灰の大地に緑が根ざす理由の答えは、この沼である。
沼からは周囲の森や草地へごく細い川が流れていた。
その流れに乗り、腐れ水から多大な養分が行き渡っているらしい。
湿原の豊かさはこの沼こそが支えているというわけだ。
同時に、おそらく熱病や各種の蟲の大発生源でもあるのが困りものではある。
| 地形効果/湿原 |
| ランダムエンカウント発生率上昇 時間経過でランダムに『熱病』『寄生』判定発生 食料無限により休息の効果上昇 |
さて、あなた達はこうして一旦腰を落ち着けた。
よってここで一度、現状を再確認する。
「じゃ、まず目標だけど。クエレブレをなんとか
初めに口を開いたのは戦士だ。
力と業、両面に優れた武人である。
近接戦闘の専門家であり、正面きっての戦いでは開拓村に並ぶ者はない。
調査任務の報酬で新調したという業物、
……もっとも、それでさえも亜竜相手には心許ない武装であろうが。
| 職業 | 戦士 |
| 能力 | HP59/59 MP0/0 筋力20 耐久16 敏捷9 器用12 感覚8 知識7 精神4 幸運13 |
| 装備 | 『真銀のハルバード』 2D12+筋力SBの物理ダメージ 物理的な装甲によるダメージ軽減を無視 魔術と秘蹟によるダメージ軽減を半減 命中力+2 |
| 技能 | 『練武+』 命中力を常に+2 回避と防御の成功判定に常に+1 自分の攻撃が命中した時、 精神的状態異常の回復判定を発生させる
『連撃』 自分の攻撃が命中した時、 即座に追加の攻撃を行う
『猛追』 自分の攻撃が直撃した時、 1ターン命中力+2 |
「くく、一番言いそうな子が言うとなんだかおかしいねぇ。君、確かサーペント相手にもやらかしたんだろう?」
「卵押し出すのにやっただけですぅー! ……そらまぁ興味なくはないけどさぁ。他人の命賭けてまで遊びに走る趣味はないっての」
戦士をからかうように言った魔術師は、当然魔術のエキスパートだ。
広範囲を覆い尽くす破壊の嵐こそが本領であり、彼女の前では大半の生命はただ蹂躙される時を待つのみだろう。
ただし、こちらも亜竜には劣る。
ブレスとの威力比べなど、大人と子供が本気で戦うようなものだ。
| 職業 | 魔術師 |
| 能力 | HP30/30 MP40/40 筋力10 耐久10 敏捷5 器用9 感覚6 知識15 精神18 幸運6 |
| 装備 | 『スタッフ+2』 2D(精神SB)の魔術ダメージ 命中力+2 魔術の消費MPを1ランク軽減(適用済) |
| 技能 | 『強記』 学術知識を要求される判定に+1 状態異常『忘却』を完全に無効化 『朦朧』『混乱』中の詠唱成功率+3
『魔術+』 魔術の使用権を得る 魔術に対する回避/防御権を得る 炎によるダメージを無効化 近接攻撃を消費0の魔術に変更(適用済) 初級の魔術を強化(適用済)
『撃滅』 初級の魔術、消費MP4 敵全体に3D(3+精神SB)の魔術ダメージ
『掌握』 初級の魔術、消費MP5 敵単体に3D(3+精神SB)の魔術ダメージ 対象の魔術を1ターン使用不能にする |
「私も賛成します。……私がもっと高位の秘蹟を扱えれば話も違ったのでしょうが。修行不足が悔やまれるばかりです」
それらの隣で唇を噛み締めた女神官は、秘蹟使いである。
単独での戦闘力よりも他者への支援に本領を発揮する彼女は、仲間からすれば頼もしい存在に違いない。
治癒に護り、拠点確保のための聖火など、神官にしか出来ない仕事は多い。
が、これもやはり。
他2人と同じく、亜竜の前には板切れの防壁に等しい。
| 職業 | 神官 |
| 能力 | HP36/36 MP19/19 筋力4 耐久15 敏捷8 器用6 感覚12 知識10 精神18 幸運11 |
| 装備 | 『メイス』 2D6+筋力SBの物理ダメージ
『バックラー』 防御成功時、 物理ダメージを『耐久SB』軽減
『クロスボウ』 2D8+器用SBの物理ダメージ 物理的な装甲によるダメージ軽減を無視 対象との距離によって命中低下(大) 前ターンで使用していると使用不能 |
| 技能 | 『信仰』 秘蹟の使用権を得る
『治癒』 初歩の秘蹟、消費MP5 1D6+精神SBのHP回復
『守護』 初歩の秘蹟、消費MP3 『精神SB』だけ全ダメージを軽減 効果時間は1戦闘
『賦活』 初級の秘蹟、消費MP5 状態異常を回復
『聖域』 初級の秘蹟、消費MP6 休息中のみ以下の効果 通常エンカウント停止 環境ダメージと休息妨害を無効化 一部状態異常を即時回復 回復判定ダイス数+1 |
この3人にあなたを加えて、4人。
これが亜竜、クエレブレへの対処に派遣されたメンバーだった。
残る1人の冒険者たる野伏と、兵達の長である騎士はついてきていない。
後詰めとして残った形だ。
彼らが動くのはあなた達が失敗した時、という事になる。
目標にはあなたも同意した。
当然の判断である。
クエレブレとの直接戦闘は可能な限り避けるべきだ。
それ以外にどうしようもなくなった場合の、最後の最後になってようやく現れる選択肢だろう。
あなたは心しておくべきだ。
もし、本当にそうなってしまったのなら。
あなた達のうち、生き残りが1人でるかどうか、というレベルの惨事になる事はまず疑いない。
少なくとも、無策で刃を交えて首を取ろうなどと思い上がる事はあってはならない。
意見の一致を見たところで、あなた達は持ち込んだ道具の点検を行った。
亜竜追放のため、村からは持たされたものが幾つかある。
新素材を用いた効果の高い薬品類。
調査の際にも用いた病と虫に対抗する服や靴。
そして、今回は極め付けがある。
女神官は、背負っていたそれを木の床へと下ろした。
巨大な弩である。
攻城戦で使うものよりも多少小さいが、本来持ち運ぶような物では決してない。
ないが……亜竜に対するにはせめてこの水準が最低限というのも確かだ。
| アイテム獲得 |
| 『ハイポーションx5』 止血と鎮痛の効果を持つ薬 3D4のHP回復
『ネクタルx3』 脳に良く効く活力剤 2D4のMP回復
『解毒剤x4』 クエレブレによる『猛毒』のダメージ発生を2回だけ無効化
『解熱剤x4』 熱を下げる薬 状態異常『熱病』の進行度を回復し、低下したステータスを戻す
『試製炸裂バリスタ』 開拓村で開発された新兵器 対象に1D50の必中物理ダメージ 物理、魔術、秘蹟によるダメージ軽減を無視 クエスト中、3回まで使用可能 1戦闘につき、1回のみ使用可能 |
「さてさて。それでは次、目標を達成するための手段は何があるかという話をしよう。誰か、案はあるかい?」
確認を終え、話が戻る。
進行役はどうやら魔術師だ。
魔術で自分の分だけ用意した椅子にどっかと腰掛け、ぐるりとあなた達を見回す。
| 判定内容 | ひらめき |
| 判定方法 | 2D6+精神SB 8以上で成功/普通 |
| 判定結果 | 2D6+6=15(成功) |
対し、あなたは答えた。
無理に直接何かをするのはリスクが大きすぎる。
ここは間接的に動くべきであり、つまりは亜竜にとって湿原は居心地が悪いと思わせられれば勝ちだと。
「いいね。具体的には?」
続けての問いには戦士が手を上げた。
魔術師がくいっと顎を動かして指名し、発言を促す。
「騒音とかどうよ? 昔散々実感したんだけどさ、夜寝れないってのは相当イラつくと思うんだわ」
戦士はチラリとバリスタに目を向ける。
村に新設された研究棟、そこで開発されたそれは、フェノゼリーの体毛で編まれた弦で巨大な矢を撃ち出す物となっている。
そして矢の中には、たっぷりと炸薬が詰め込まれている。
火山で見つかった白い鉱石から作られたものだ。
破壊力は抜群であり、伴って放たれる爆音はそれだけで鼓膜を突き破るほど。
村での実験が失敗した時のために待機させられていたあなたも被害にあったために、その音の迷惑さはよくよく知っているだろう。
眠りに落ちる度にそんなもので叩き起こされれば、いかに亜竜とてウンザリとする可能性は高い。
問題は炸薬の量産法が確立されておらず、矢が3本しかない事か。
万一の事態にクエレブレに対して矢を撃ち込みたいなら、何か他の騒音を用意する必要がある。
「ここの腐汁を行動範囲内のあちこち、特に良く訪れる場所に撒くのはどうでしょう。どこに行っても不快感をもよおす悪臭が漂っていれば嫌気がさすかもしれません。危険ですが、寝床にもやれれば高い効果がありそうです」
「それなら肉に仕込むのもアリじゃない? 美味しそうなご飯に齧り付いたら、中からブシャって飛び出すとか」
「わはは、中々悪辣じゃないか。よく思いつくねぇ」
「実体験だからね。夕飯に毒仕込まれるとかよくあるよくある」
「……どんな環境で──あ、いえ、聞かない方が良いですよね」
案はさらに出る。
騒音。
悪臭。
食事に汚物。
どれもこれもたちの悪い嫌がらせばかりだ。
だからこそ湿原から離れされるには効果が高いのではないだろうか。
| 判定内容 | 魔種知識 |
| 判定方法 | 2D6+知識SB(魔術師) 12以上で成功/難 技能補正+1 |
| 判定結果 | 2D6+6=14(成功) |
それには魔術師も同意した。
「クエレブレという亜竜は実に亜竜らしい亜竜だ。2本の脚に2枚の翼。全身は強固な竜鱗で覆われ、空を飛び、ブレスを吐く。しょっちゅう御伽話に悪役として出てくるような
だからこそシンプルに強くて厄介なのだが、と挟み、続ける。
「汚物を好むような伝承も、眠らないなどという逸話もない。後者に至ってはむしろ宝の山で眠るのが好きなんて話もあるくらいだ。食性は確認されている限りでは純粋な肉食。家畜の牛や羊を襲って食べた記録は少なくない」
後は、と。
魔術師はあなた達をぐるりと見回し、特に女神官をしばらく見つめて、ふぅむと頬に指を当てた。
しかし、何やら考えたらしい事は口に出さずに終わる。
今の段階で話すような事でもないと、そういう意図のようだ。
「ま、ともかく。出た案はどれも効果があるだろうと思うね。相手は強大な怪物だが、なぁに、やりようはあるってことさ。人間様の悪知恵ってやつを食らわせてやろうじゃないか」
取るべき作戦はおおよそ決まった。
後はどれをどう進めるかだ。
クエレブレが完全に湿原に根を下ろす前。
営巣を始めるまでに『ここは住処に不適格だ』と思わせねばならない。
完全に縄張りとしてしまってからでは、どれほど嫌がらせをしようが、去るよりも原因の排除に動きかねないためだ。
魔術師の予想によれば、準備に使える時間は
それまでに集め積み重ねたもので、作戦の成否は別れるだろう。
眠りを妨げる騒音を奏でる何かしらの作成。
行く先に汚物を撒くためのクエレブレの追跡。
汚物を仕込むための肉の確保。
宝の山を好むのなら、川で砂金や宝石を集めても何かに使えるかもしれない。
諸々の仕掛けを効率良く使うには寝床も探し、クエレブレの外出中に探索を行っておくのも良い。
やるべき事は様々ある。
まずどこから着手するべきか、あなた達は話し合った。
| 名前 | (あなたが自由に決めて良い) |
| 職業 | 神官 |
| HP | 41/41 |
| MP | 25/25 |
| 筋力 | 9 | SB=3 |
| 耐久 | 15 | SB=5 |
| 敏捷 | 10 | SB=3 |
| 器用 | 9 | SB=3 |
| 感覚 | 13 | SB=4 |
| 知識 | 15 | SB=5 |
| 精神 | 19 | SB=6 |
| 幸運 | 10 | SB=3 |
| 装備 | 性能 |
| メイス+1 | 『2D6+筋力SB』の物理ダメージ 命中力+1 |
| バックラー+1 | 防御成功時、 物理ダメージを『耐久SB』軽減 防御成功率+1 |
| 特殊技能 | 詳細 |
| 重撃 | 攻撃命中時、『朦朧』判定 クリティカル時、『朦朧』確定付与 |
| 信仰+ | 秘蹟の使用権を得る 信用、説得、言いくるめに補正+2 1Tに1度、初歩の秘蹟の行動権消費を無効 初歩の秘蹟を強化 |
| 治癒 | 初歩の秘蹟、消費MP5 肉体をあるべき姿に戻す 『2D6+精神SB』のHP回復 |
| 守護 | 初歩の秘蹟、消費MP2 肉体があるべき姿を保つ力を強める 『精神SB』だけ全ダメージを軽減 効果時間は1戦闘 戦闘準備フェイズで行動権消費なし |
| 賦活 | 初級の秘蹟、消費MP5 肉体と魂をあるべき姿に引き戻す 状態異常を回復 |
| 聖域 | 初級の秘蹟、消費MP6 小規模な聖火の結界を顕現させる 休息中のみ以下の効果 通常エンカウント停止 環境ダメージと休息妨害を無効化 一部状態異常を即時回復 回復判定ダイス数+1 |
| アイテム | 詳細 |
| チェインメイル | 1度だけ死亡を回避 |
| ハイポーションx5 | 3D4のHP回復 |
| ネクタルx3 | 2D4のMP回復 |
| 解毒剤x4 | 猛毒のダメージを2回無効化 |
| 解熱剤x4 | 熱病の進行を抑える |
| 試製炸裂バリスタ | 1D50の必中物理ダメージ 残弾3/1戦闘1回のみ |