読者参加型TRPG風小説 作:矢端トラム
「んー、無難で効果の高そうな所から手をつけるのがいいんじゃないかな」
戦士が言い。
「そうですね。危険性の高い事から始めて、失敗から大怪我をして何も出来なくなる……というのが一番怖い気がします。せめてひとつ、確実に使える仕掛けを用意しておくのが得策かと」
女神官が同意し。
「私も異論はないよ。じゃあ早速移動しようか。アレが寝ている間に動いておきたい」
魔術師がそう締めた。
そういうことになった。
あなた達の決定は、川と沼を繋げる事だ。
理由は今語られた通りである。
亜竜は川辺の寝床を気に入っている様子だった。
それを台無しにしてしまうのはまず間違いなく効果が高いだろう。
しかも、仕掛けは離れた上流で行えるために亜竜と遭遇する危険性が低く、またあなた達の暗躍がバレる恐れも少ない。
よって、あなた達は夜闇の中を歩き始めた。
昼間のうちに高台から地形を確認し条件に合う、つまり上流に存在し、川との距離が近く、腐汁が流れ出てもそう簡単には尽きない大きな沼には目星をつけてある。
後は向かえば良いだけだ。
ただし、もちろん。
様々な獣に溢れた湿原を行くのだ。
クエレブレ以外の危険はある事を、あなた達は忘れてはいない。
ジリジリとした進行だった。
先頭を行くのはあなただ。
守りに優れ、4人の中で最も気配に敏感と来ている。
他の人選はありえないだろう。
その後ろには魔術師。
さらに後方を左右に分かれて戦士と女神官が固める形。
どの方向から襲撃を受けても堅実な対処を期待できる陣形で、あなた達は進む。
| 判定内容 | 周囲の警戒 |
| 判定方法 | 2D6+感覚SB 9以上で成功/やや難 |
| 判定結果 | 2D6+4=13(成功) |
曇り空の深夜。
しかも雨の中の行軍である。
視界も鼻もきかず、雑音もひどい。
足元のぬかるみにも気を取られる。
が、それを踏まえても索敵は困難と言えるほどではなかった。
何しろ。
「……随分騒がしい事だねぇ。ま、アレの起きてる間には何も出来なかったんだろうからやむなしだけども」
そういうわけだ。
この湿原は現在、暴虐の亜竜に支配されている。
獣達はクエレブレが目覚め活動している昼間にはろくに食事も出来ていないはずだ。
例外となるのはあなた達を襲撃したアナグマなどぐらいだろう。
狂気じみた戦意か、クエレブレに狙われない、あるいは発見されないという自信か。
そういったものがなければ移動さえまともに出来まい。
よって、今の湿原は夜にこそ生命が溢れるようだ。
夜行性のものはもちろん、昼行性のものまで入り乱れているのだろう。
そこかしこから獣の気配と声がする。
もっとも、眠る亜竜を刺激しないようにか、潜めたものばかりだったが。
ともかく、行く手を阻む者達の居処はおおまかには分かった。
調査の際に先導を買って出た野伏の歩き方を思い出しながら、あなたは可能な限り障害の少ない道を選んだ。
| 判定内容 | ランダムエンカウント |
| 判定方法 | 2D6+幸運SB 索敵補正+2 12以上で成功/難 |
| 判定結果 | 2D6+5=12(成功) |
高台を下り、森と草地、そして沼の境を縫うようにして川辺へ。
そして水の流れとは逆に上流へと針路を取る。
川辺に、水牛とヒューリクは居なかった。
かつては川に沿って延々と続いていた群れの連なりはどこにもない。
やはりクエレブレから逃れるために全体で大移動を行ったのだろう。
「……ふぅー」
誰かの吐息が漏れる音。
そこに籠められていたのは道行きが順調である安堵感だ。
かといって緩んでいるわけではもちろんない。
過度の緊張は失態を呼び寄せる。
自身の状態を固すぎず緩すぎない適度な状態に保つため、時折溜まりすぎたものを吐き出すのはむしろ必要な事だ。
そうして歩く事しばし。
やがて特徴的な木が見えてきた。
河原に立つ1本の枯れ木である。
過去に雷にでも撃たれたのか二股に割れていた。
ここから──
| ランダム分岐 |
| 1=西 2=東 |
| 1D2=1(西) |
──真西に川を越えた所に、目当ての沼はある。
ちょうど良い目印として覚えておいたものだった。
雨は降っているが、さほど強いわけではない。
川水の様子は常とほぼ変わりなく、あなた達が渡るにも大きな苦労はないだろう。
水深は胸の高さほど。
あなた達は荷を頭の上に乗せ、互いの体をロープで繋ぎ合わせて水に入る。
| 判定内容 | 水泳 |
| 判定方法 | 2D6+敏捷SB 8以上で成功/普通 |
| 判定結果 | 2D6+3=14(成功) |
その工程もまた、順調にこなされた。
あなた達は誰ひとり足を滑らせる事も溺れる事もなく、対岸へと到達する。
ここまで来れば沼はあとひと息だ。
時間を浪費する事なく、最短最速の道を歩めた事となる。
それでも時間はそれなりに経過したが、まだ夜は明けていない。
作業のために費やせる時間も多く取れるはずだ。
そうして、あなた達は目当ての場所に到達する。
「うっ……げほ、や、やっぱり、強烈ですね」
女神官がえずく。
それも仕方のない事だ。
相変わらずのひどい臭気である。
沼の底から沸き上がった気泡が弾ける度に一段と悪臭の度合いが増す。
同時に撒き散らされる汚液から逃げようと、思わず一歩下がる者もある。
幸いなのは周囲の警戒はほとんど必要ない事だろう。
獣は沼には近付かない。
それは夜でも同じであるようだ。
沼に集っているのは小さな虫と──
| 判定内容 | 暗視 |
| 判定方法 | 2D6+感覚SB 12以上で成功/難 |
| 判定結果 | 2D6+4=13(成功) |
──鳥ぐらいのようだ。
鶏よりもひと回りほど小さい鳥があなたの視界に捉えられる。
体が軽いためか。
普通の獣ならば踏み入れば脚を取られそのまま沈んでしまう沼に平然と立っていた。
一般に鳥は夜に目が見えなくなると言われているが、必ずしもそうというわけでもない。
有名なところではフクロウなどは分かりやすく夜行性であるし、小鳥の類にも意外と多い。
現に、今あなたの目に映っている鳥は夜に溶け込む色合いだ。
先ほどから一切の鳴き声も漏らさず、長細いクチバシで淡々と沼をつついている。
どうやら夜間の行動に最適化された種で、これを発見するのは湿原の獣でも難しいだろう。
また、見つけたとして沼を駆けて狩るわけにもいくまい。
「こんな沼の中に良く入れますね……」
「鳥に嗅覚はほぼないという話だよ」
「うわ、何それ羨ましい。今だけなんとか鳥になれないもんかな」
彼らにとってはこの沼は理想の住まいなのかもしれなかった。
何しろ天敵のひとつとなり得る肉食獣がまず立ち入らない土地だ。
その上、餌となる虫は無限とも思えるほどに湧いている。
クエレブレのような例外的存在が現れた場合を除けば、何者にも邪魔されない、延々と安定した生活が可能と考えられる。
| 判定内容 | ひらめき |
| 判定方法 | 2D6+精神SB 10以上で成功/やや難 |
| 判定結果 | 2D6+6=10(成功) |
そこまで考えて、あなたはふと閃いた。
到着した当初も確認したが、湿原において沼はどうやら熱病と寄生虫の温床だ。
そんな所に入り浸っている鳥である。
その身の内に寄生虫本体や卵を宿している可能性は相当に高いのではないだろうか。
| 判定内容 | 寄生虫知識 |
| 判定方法 | 2D6+知識SB(魔術師) 11以上で成功/難 |
| 判定結果 | 2D6+4=12(成功) |
「ああ、それは居るだろう。鳥を宿主とする寄生虫はそれなりに多いと聞くよ。卵から孵って虫に付き、その虫を食べた鳥の体内で成虫になって、鳥のフンと共に卵が排泄されて、というサイクルだね」
あなたの疑問に魔術師が答える。
まさに求めた情報だった。
ならばと、さらに問う。
その鳥に寄生する虫が他の生物に食われたらどうなるか。
「ん?」
何故そのような事を聞くのか。
初めはそんな顔をしていた魔術師だったが、少し考えた後に目を見開いた。
そして、真顔になって口を開く。
「──基本的に、寄生虫は特定の宿主以外の体内では正しく成長できない。するとどうなるかというと、幼虫が暴走を始めるのさ。内臓の壁を破ってあちこちに移動し、どうにかして生きられる場所はないかとね」
それを一般に幼虫移行症と呼ぶ。
立派な
あなたの視線は、今度は戦士へと向けられる。
これも巡り合わせだろうか。
彼女は過去にとある依頼をこなしている。
排卵不全を起こし、それを発端とした疾病に犯され苦しんでいた所を、彼女は──とんでもない力技ではあったようだが──救っている。
そしてサーペントは水神ニムストゥルに連なる大蛇であり、広義では亜竜に分類される存在だ。
つまり、
「く、くくく、き、君、もしかして中々えげつない事を考えてやしないかい?」
魔術師はあなたのアイデアに体を折って笑いを噛み殺した。
話の流れで他の2人も分かったのだろう。
それぞれが意見を口にする。
「んー、でも効果あるかな? 流石にちっこい虫に亜竜の胃液は耐えられない気がするけど」
「確かに、食べ残しに骨もありませんでしたから……普通の動物とは比較にならないくらい胃も強いと思います」
「ああ、その通りだろうね。寄生虫の類は並の胃酸程度では死なないとされているけれど、亜竜相手ではどうしようもないだろう。ま、それでも手は多くて損はない」
通る可能性はそう高くはないかもしれない。
だがもし寄生虫がクエレブレの体内で生き残る事が叶えば、より苦しみは大きくなるはずだ。
狩った獣の腹に沼の泥を仕込むと同時に、寄生虫を詰め込んだものも用意するという手は存外悪くないのではないだろうか。
「よし、あの鳥を捕まえておこう。おそらく沼の泥にも卵は含まれているけども、卵の孵化を待つよりも育ったのをそのまま食わせた方が早く症状が出るだろうからね」
手間は小さく、試行に損はなく、目は小さいが成功した際の見返りは大きい。
あなた達の意見はまとまり、女神官がクロスボウを取り出した。
ボルトの尻に紐をくくりつけ、照準を定める。
その段になっても鳥は沼に沸く虫を啄んでいた。
あなた達の存在にはとうに気付いているようだが、沼を越えて自身を狩る獣が居るなどとは思いもしていないのだろう。
時折空を見渡している様子から、むしろ猛禽や亜竜の襲来をよほど警戒しているようだ。
「すぅ……。──っ」
息を吸い、止めて。
集中力を研ぎ澄ませ、女神官が引き金を絞る。
| 判定内容 | 暗視 |
| 判定方法 | 2D6+感覚SB(女神官) 12以上で成功/難 |
| 判定結果 | 2D6+4=13(成功) |
| 判定内容 | 女神官の攻撃 |
| 判定方法 | 2D6+器用SB(命中力) 暗視成功補正+0 距離補正(中距離)-3 2D8+器用SB(攻撃力) |
| 判定結果 | 2D6-1=7(命中力) 2D8+2=11(攻撃力) |
| 判定内容 | ヌマシギの回避 |
| 判定方法 | 2D6+敏捷SB 命中力以上で成功 |
| 判定結果 | 2D6+2=10(成功) |
しかし。
「あっ……」
その矢は外れた。
弦の音に反応して、鳥が素早く動く。
一見呑気に見えても流石に野鳥という事だろう。
羽音を立てて飛び上がった鳥の尻のやや下を掠めて、試みは失敗に終わる。
が、それはあくまで第1の矢の話だ。
この場にはもう1人、遠距離からの攻撃が可能な者が居る。
| 判定内容 | 魔術師の攻撃 |
| 判定方法 | 必中 3D(3+精神SB)(攻撃力) |
| 判定結果 | 3D9=19(攻撃力) |
| 魔術師MP |
| 40-4=36 |
| 判定内容 | ダメージ計算 |
| 攻撃力 | 19 |
| 補正 | -14/手加減 |
| 最終ダメージ | 5 |
パンッ、と。
何かが破裂するような音が響いた。
同時に空中の鳥が姿勢を崩し、勢い良くあなた達の元へと吹き飛ばされてくる。
魔術師が風を操ったようだ。
おそらくは大気を槌のように固めて頭を打ち抜いたのだろう。
目を回した様子の鳥が転がってくると共に、あなた達の元へも風が届く。
「──ごほっ、おぇ、うぇぇ……っ」
それは沼の奥、最も強烈な濃度の臭気もまた届けてしまいはしたが。
さておきこれで鳥は捕獲できた。
後の作業、鳥の腹を裂いて寄生虫の確認を行うのは明るくなってからで良いだろう。
夜の闇の中でやるような事でもない。
さて、突発的に発生した案件は一区切りがついた。
ここからは当初の予定通り、土木作業の時間である。
「よーし、やるかぁ」
「とりあえず道具は用意したよ。各自1本ずつ取るといい」
一度茂みに向かい、こみ上げてきた物を吐き捨てて幾分かスッキリした戦士の声で作業の開始が告げられる。
魔術師が適当な石と木を素材に魔術でもって作り出した大型の
この沼は川よりもやや高い位置にある。
川から見た場合、狭い砂利の河原がまずあり、その奥に地面の盛り上がった小さな崖状の地形がせり出す形だ。
その少し先に、大きく沼が広がっている。
あなた達のやるべき作業はこの崖に道をつける事だ。
もし空から見られても自然に土が割れ、隙間から沼の泥が漏れ出したように見える偽装を施しつつ、である。
もしクエレブレが頭の弱そうな個体であったなら、もう少し雑に崩しても良かっただろう。
だが、すでにあなた達は敵がそれなり以上に賢いと知っている。
手を抜けば暗躍者の存在を気取られかねず、事は慎重に運ぶ必要があった。
もっとも、偽装についてはここには魔術師が居る。
掘った水路を魔術でもって後から形を変える事が可能であるために、とりあえずは単純に掘り進めるだけで良い。
なお、全てを魔術で賄う事は出来ない。
魔術の行使には秘蹟同様に精神的な消耗を伴う。
ひとつの地形を完全に作り替えるほどともなれば、単身では1日や2日で叶う事ではなかった。
そういうわけで、あなた達は懸命に円匙を振るう。
土に刺し、掘っては捨て、また突き刺す。
これは大変な作業であった。
最悪なのは土の重さである。
何しろ今は雨だ。
ただでさえ重量のある土が大量の水分を含み、ひと掬いごとにズシリと腕にのしかかる。
| 判定内容 | 穴掘り |
| 判定方法 | 2D6+筋力SB(戦士) 11以上で成功/難 |
| 判定結果 | 2D6+6=14(成功) |
そんな中で特に活躍したのは当然、戦士だ。
「よっ、ほっ、とっ」
サクサク、という擬音が実に似合う。
重いはずの土を軽々と持ち上げ放り捨てる速度は明らかにひとり突出している。
「ど、どうすればそこまで早くやれるのでしょうか……」
「んー? これはねー、ちょっとしたコツがあんのよ」
それはただ力が強いというだけではない。
確かに彼女の筋力は桁違いではある。
しかし本当に見るべきはその力の使い方の巧みさだ。
どう刺し、どう持ち上げれば最高効率で力が伝わるかを戦士は熟知している。
そしてそのコツを、彼女は惜しげなくあなた達に伝授した。
教わった通りに円匙を動かせば、体にかかる負担が格段に減ったと実感できたはずだ。
白み始めた空の下、作業は滞りなく進んでいく。
| 地形効果発生判定 |
| 1=熱病判定 2=寄生判定 3-4=判定なし (ボーナスにより発生率低下) (環境により発生率上昇)
1D4=3(判定なし) |
| 判定内容 | 疲労抵抗 |
| 判定方法 | 2D6+耐久SB 10以上で成功/やや難 |
| 判定結果 | 2D6+5=12(成功) |
それは日が上り、完全に朝となった後も続けられた。
「いやぁ、頑張るねぇ。君ら、揃いも揃ってどういう体力なんだい」
「普通普通。このくらい冒険者やってれば身につくでしょ」
「私は、こういう単純作業は神殿で慣れていますので」
時折手を止めて腰や肩を揉む魔術師に対し、あなたと戦士、女神官はさほど大きく応えた様子はない。
軽度の疲労感はもちろんあるが、それだけだ。
手を完全に止めての大休止が必要なほどではない。
また、その体の強靭さ故か。
それとも村の協力により得られた防護用の肌着のためか。
臭気に吐き気をもよおす者はあっても、体調を崩すほどの者は出ない。
生温かい雨も、あなた達をうちのめすほどではない。
やはり工程は全く順調だ。
沼の環境故に獣の邪魔も入らず、淡々と着実に水路の完成は近付いていく。
が、この辺りで一旦手を止めるべきだろう。
日がさらに上り、朝を過ぎた。
となれば。
「そろそろ危ないんじゃない? 隠れて休もっか」
亜竜の活動時間に入るという事だ。
戦士が身を隠しての休息を提案し、満場一致で可決される。
あなた達はここまで、道中でも水路掘りでも、一切時間を浪費していない。
工程は完璧そのもので、進捗は理想通りの状況である。
無理を押して昼間にまで円匙を振るう必要性は全く感じられなかった。
ならば安全を優先するのは当然の判断だろう。
掘り返した土をまとめて沼に放り込み、水路を魔術で隠したあなた達は、近くの木々の下に向かった。
空が全く見えない──つまりは空からもあなた達を視認できない事をしっかりと確かめてから、火を灯してキャンプの態勢に入る。
| 女神官の『聖火』 |
| 行使成功 MP19-6=13 |
| 休憩回復 |
| 4D3=6 |
| 魔術師MP 36+6=40(最大値) |
| 女神官MP 13+6=19(最大値) |
「……人って、やっぱり慣れるものなんですね」
「ね。最初はあんなに辛かったのにもうなんもわかんないわ」
聖火を囲み、あなた達は保存食である堅焼きビスケットをかじる。
正確には、何とかして砕いた後に水とともに口に含み、ゆっくりとふやかして食べる。
そうでもしなければまともに歯も立てられないのが難点の食品であった。
何しろビスケット同士を打ち合わせればカンカンと金属のような音が鳴る。
硬度は悪い意味で抜群だ。
ただその分、保存性については相当なものだ。
昔から軍や旅人の糧食として重宝されてきただけの事はあり、湿気と気温で物が腐りやすい湿原においても完璧にその質を保っている。
例外なくあなた達全員の嗅覚が死んでいるために、全く味がわからないのが残念ではあったが、これはまあ仕方のない事だろう。
沼の腐臭に耐えられている分とのトレードオフだ。
むしろ、人体の適応力にあなたは感謝さえしたかもしれない。
さて、そうこうしていると。
やがて遠くから昨日も聞いた咆哮が響いてきた。
「──竜の咆哮って何て書けばいいんだろ──!!」
「っと。始まったようだね」
亜竜の狩りだ。
湿原に狂乱を生じさせ、混乱の中で死んだ獣を腹に収めるための行動。
どうやら亜竜は今日も糧を欲しているらしい。
「大して動いてもいない癖に食べるのは毎日か。よほど代謝が良いのか、それともデカさのせいで足りていないのかな。ま、どちらでも構わないけれども」
「湖のサーペントも大体寝てるのに結構食べるみたいよ。亜竜ってそういうもんなんじゃない?」
魔術師と戦士は落ち着いてそう呟く。
そこに過度の緊張はない。
聖火を焚き人の領域を顕現させてはいるが、視線は枝葉で全く遮られている。
また、上流側に離れたこの沼は亜竜の行動範囲からはやや遠い。
発見される恐れはないとすでにわかっている。
もちろん万一のために腰を浮かせ、各々武装を手にしてはいる。
が、必要以上の警戒はかえって毒だ。
「…………とりあえずは終わったようだね。よし、交代でひと眠りしようか。私は後でいい。コレを処理しておこう」
それからしばし経ち、亜竜の羽音は消えた。
狩りを済ませ、遊びも終え、寝床に戻ったのだろう。
辺りからは獣の混乱が未だに続いている気配が感じられるが、安全地帯に居るあなた達には今は関係のない事だ。
作業再開に備え、交代で仮眠を取って身を休めるべきである。
戦士と女神官は先に眠る事になり、静かに体を横たえた。
それを横目に、魔術師は荷の中から袋を引っ張り出した。
捕獲しておいた鳥である。
明るいところで見てみれば、どうやらシギの仲間のようだ。
たっぷりと餌にありつけているのだろう丸っこい体をしている。
水辺の鳥らしい長い脚と、虫を捕えるための細長いクチバシが特徴的だった。
袋の中で目が覚めていたのだろう。
暴れているところに魔術師が手を伸ばし、指先でピンと額を弾く。
それだけで、鳥は沈黙した。
おそらくは魔術で衝撃を増幅か何かしたようだ。
シギは完全に意識を失い、グッタリとする。
その羽根と脚を縛ってから、腹にナイフが当てられた。
| 判定内容 | 幸運な出来事 |
| 判定方法 | 2D6+幸運SB 8以上で成功/普通 |
| 判定結果 | 2D6+3=8(成功) |
羽毛をよりわけ、肌に刃が入る。
ぷつ、と切先が埋まって、すぐに股下までが切り開かれた。
「おー……わはは、これはすごいねぇ。うじゃうじゃだ」
その中身、内臓を確認した魔術師はカラカラと笑った。
白く長い紐状の生き物、線虫の巣となっていたためだ。
どれも見るからに健康なようで、消化管の中で元気に蠢いていた。
成虫から幼虫まで目白押しである。
流石に虫まみれの沼に住む鳥だけはある。
身に宿した寄生虫の数も大変なもののようだ。
「ついてると言えばついてるのかな。これなら数を揃えるのも簡単そうだ。もう何羽か捕まえれば仕込みには使えるだろうね」
魔術師の言通り、肉に仕込むのも容易いだろう。
ただ、それを実行するかどうかは未定である。
このまま亜竜に飲ませたところで胃液の壁は依然として存在するのだ。
「よし、じゃあ傷を塞いでくれたまえよ。どうせなら少しでも健康でいてもらいたいからね。このまま生け捕りとしておこうじゃないか」
とりあえず、確認は完了した。
詳細を考えるのは実行が決まってからでも良いだろう。
あなたは要望に従い、秘蹟の光によってシギの腹を塞いだ。
その行為に何かを思ったかどうかは、さて、あなた次第である。
| 判定内容 | 幸運な出来事/湿原西部 |
| 判定方法 | 2D6+幸運SB 10以上で成功/やや難 |
| 判定結果 | 2D6+3=6(失敗) |
何事もなく時は過ぎ、夕刻を経て夜になった。
もう亜竜は眠った事だろう。
あなた達は行動を再開し、また円匙を握る。
| 判定内容 | 穴掘り |
| 判定方法 | 2D6+筋力SB(戦士) 11以上で成功/難 |
| 判定結果 | 2D6+6=12(成功) |
「思ったより早く終わりましたね」
ふぅ、とひと息。
円匙の先を地面に突き刺して女神官が言った。
作業の完了である。
実に素晴らしい仕事と言えた。
沼から川へは今や、ジグザグとした形の水路、一見して自然に土地が割れたとしか思えない道がつけられている。
まだ完全には繋げていないが、仕上げは簡単な一手で済む。
2日後の作戦開始には問題なく機能させられるだろう。
幅や深さにも人工的な痕跡は見て取れない。
あなた達の仕業だとは、先に言われてから疑って見るのでもない限り勘付かれる心配もなさそうだ。
時間的にも体力的にも、余裕があったからこその出来栄えである。
これで川の汚染は出来るはずだ。
ここより下流にあるクエレブレの寝床近くでも、薄まりはするものの腐臭が立ちのぼる事になるだろう。
さらに、あなた達は寝床の周囲、水没した森にも腐汁を撒き散らす予定だ。
水浴びには強い不快感を伴うようになるに違いない。
| 地形効果発生判定 |
| 1=熱病判定 2=寄生判定 3-4=判定なし (ボーナスにより発生率低下) (環境により発生率上昇)
1D4=3(判定なし) |
| 判定内容 | 幸運な出来事/天候 |
| 判定方法 | 2D6+幸運SB 9以上で成功/やや難 |
| 判定結果 | 2D6+3=8(失敗) |
最後にもう一度、人の手の痕跡が残っていないかを確認して、あなた達の工作は一区切りがついた。
やる事なす事が上手く進んだ、実りある1日だったと言えるだろう。
やや残念であるのは、雨足が少しずつ弱まって来たことか。
流石にそこまでは運も味方してはくれないらしい。
やはり、寝床をさらうほどの自然な洪水には期待できそうもない。
が、それはそれだ。
あなた達は顔を突き合わせ、また相談を行う。
残る準備時間は1日。
今日の行動が上手く進まず準備が滞っていたならば、二手に別れる可能性もあっただろう。
だが問題なく進められている今、大きな危険を伴ってまでそうしようという焦りはあなた達には無い。
よって明日もまた4人固まっての行動となる。
さて、何をするべきだろうか。
| 名前 | (あなたが自由に決めて良い) |
| 職業 | 神官 |
| HP | 41/41 |
| MP | 25/25 |
| 筋力 | 9 | SB=3 |
| 耐久 | 15 | SB=5 |
| 敏捷 | 10 | SB=3 |
| 器用 | 9 | SB=3 |
| 感覚 | 13 | SB=4 |
| 知識 | 15 | SB=5 |
| 精神 | 19 | SB=6 |
| 幸運 | 10 | SB=3 |
| 装備 | 性能 |
| メイス+1 | 『2D6+筋力SB』の物理ダメージ 命中力+1 |
| バックラー+1 | 防御成功時、 物理ダメージを『耐久SB』軽減 防御成功率+1 |
| 特殊技能 | 詳細 |
| 重撃 | 攻撃命中時、『朦朧』判定 クリティカル時、『朦朧』確定付与 |
| 信仰+ | 秘蹟の使用権を得る 信用、説得、言いくるめに補正+2 1Tに1度、初歩の秘蹟の行動権消費を無効 初歩の秘蹟を強化 |
| 治癒 | 初歩の秘蹟、消費MP5 肉体をあるべき姿に戻す 『2D6+精神SB』のHP回復 |
| 守護 | 初歩の秘蹟、消費MP2 肉体があるべき姿を保つ力を強める 『精神SB』だけ全ダメージを軽減 効果時間は1戦闘 戦闘準備フェイズで行動権消費なし |
| 賦活 | 初級の秘蹟、消費MP5 肉体と魂をあるべき姿に引き戻す 状態異常を回復 |
| 聖域 | 初級の秘蹟、消費MP6 小規模な聖火の結界を顕現させる 休息中のみ以下の効果 通常エンカウント停止 環境ダメージと休息妨害を無効化 一部状態異常を即時回復 回復判定ダイス数+1 |
| アイテム | 詳細 |
| チェインメイル | 1度だけ死亡を回避 |
| ハイポーションx5 | 3D4のHP回復 |
| ネクタルx3 | 2D4のMP回復 |
| 解毒剤x4 | 猛毒のダメージを2回無効化 |
| 解熱剤x4 | 熱病の進行を抑える |
| 試製炸裂バリスタ | 1D50の必中物理ダメージ 残弾3/1戦闘1回のみ |
【お知らせ】
私用につき7/15(月)は投稿がありません
火曜をお待ちください
また、それに伴い投票締切を1日伸ばしてあります
【選択肢】
大型の獣を探して肉を狩る
森のアイアンシザーを先んじて狩り尽くす
騒音を発するアイテムを作成する
宝石や金を集める
クエレブレの寝床を探索する
ヒューリクを探して交渉を試みる
【外部投票所】