読者参加型TRPG風小説   作:矢端トラム

9 / 55
クエスト『谷底の ???の グリズリー』(1/5)

 

あなたは1枚の木札を選び取った。

谷で目撃されたグリズリーの依頼である。

 

理由はさて、あなただけが知るものだ。

獰猛な巨獣との殺し合いを制する自信があったのか。

それとも村のために脅威を取り除かねばと奮起したのか。

はたまたもしかしたら、どれでも良いと考えて適当に決めたのかもしれない。

 

ともかく、決まったものは決まった。

あなたは残った2枚を戦士と野伏に返し、谷へ向かう準備に取り掛かる。

 

「んじゃ俺はこっちにすっかね。いかにも俺向きだ」

 

「げ。私は森かぁ……すげーイヤなんだけど。武器振りにくくて」

 

「あまりもんで良いっつったのはお前だぜ。諦めな」

 

野伏はさっくりと。

戦士はしぶしぶと。

それぞれ依頼を選び、彼らもまた食事の残りをかきこんで席を立った。

 

こうして、あなた達は神の威光に護られた平和な村から、死と隣り合わせの外界に出立する。

無事にまたここに戻ってこられるかは、選択と運次第だろう。

 

 

 

 

 

村の外れに注ぐ川は穏やかで幅が広い。

深さはおよそ腰の辺り。

生活用水として扱うにちょうどよく、また生命の息吹に溢れた豊かな川でもある。

小魚は年中捕れる上に、時期になれば大型の魚が遠方の海から遥々遡上してくるのだという。

それらは開拓村の冬を支える重要な食料との事だ。

 

だからこそ、川の平穏は村の安定に直結する。

ただのグリズリーならともかく、人型の生き物の味を覚えて積極的に襲うような個体が近場の上流に棲みつくなど許容しがたい出来事に違いない。

実際、熊退治に出るあなたの背には村人たちの激励の声が他の依頼を受けた時よりもハッキリ多く投げられたものだった。

 

 

 

さて、その件の熊、グリズリーについてだ。

川辺を進み、上流の谷を目指しながら、あなたはこの獣について知っている事を思い返した。

 

 

 

判定内容動物知識
判定方法2D6+知識SB

6以上で成功/普通

判定結果2D6+4=8(成功)

 

 

 

端的に言って。

グリズリーは恐るべき猛獣である。

 

成獣の身の丈は人の倍。

体重にいたっては10倍を優に超える。

そして驚くべき事に、そのような巨体でありながら俊敏性においても飛び抜けている。

足場の状態などの条件次第ではあるが、時に馬や鹿並の速度で駆ける事もあるほどだ。

 

これだけでも並の人間の手に負える相手ではないが、さらにまだ先がある。

優れた嗅覚による索敵能力がまずひとつ。

質の低い罠は容易く看破する程度の知能ももつ。

丈夫な毛皮と分厚い脂肪は生半な武器を通さず、長く鋭い爪は金属製の鎧さえ引き裂くとくる。

 

いかに守りに優れるあなたとて、正面からぶつかって無傷で済むなどという楽観は捨てるべきだ。

殴り合いで始末をつけようと思うなら、十分な準備をした上で挑んでなお死の危険が大きい相手だと理解しておかねばならない。

 

幸い、あなたはこうしてグリズリーに関する知識を一定以上持っていた。

そのために村を出る前に対策となりうる道具を持ち出せたのは、あなたの生存率を引き上げてくれるだろう。

 

 

 

アイテム獲得
『におい袋』

獣にとって不快な悪臭を放つ香辛料を詰めた袋。

一時的にグリズリーの鼻を麻痺させ、しばらくの間怯ませる。

クエスト中、一度だけ確実に逃走可能。

クエスト終了後に破棄される。

 

アイテム獲得
『チェインメイル』

金属製の輪を組み合わせた鎧。

クエスト中、致死ダメージを受けた時、一度だけHPを1残して生存できる。

使用されなかった場合、持ち物に残る。

 

 

 

そうして歩き続けたあなたは、日が中天に差し掛かった頃に上流に到達した。

 

広かった川は遡る内に狭まり、今や数歩ほどの幅となった。

その分渡りやすくなったかというと残念ながら逆だ。

何しろ流れの速さは下流の比ではない。

深さこそ浅くなってはいるが、下手に踏み入れば簡単に足を取られるだろう。

 

幸い、川の左右には小さいながらも河原が広がっているため、水に足をつけての戦闘は回避可能だ。

が、そちらもマシなだけで十分ひどい。

大小の岩が積み重なり、なんとも安定に欠いている。

しっかりと足元を観察して歩ける状況ならばともかく、戦闘や逃走の際には苦労しそうだ。

 

 

 

環境判明
『谷底』

回避成功率低下

走行成功率低下

一部の技能で無効化可能

 

 

 

川の周囲はといえば、急な斜面となっている。

聞いていた通りに谷底だ。

 

茶色い地層が剥き出しの岩壁はそうそう崩れはしない程度の硬さがありそうだ。

ところどころに凹凸もあり、高さは中々のものだが登攀はさほど難しくはないだろう。

見上げれば木々の先端が見え隠れしている。

崖を登った先は、どうやら森になっているらしい。

 

 

 

環境をぐるりと見渡したあなたは、次に詳細な観察を行った。

村人がグリズリーを目撃したのはまだもう少し上流だが、縄張りがどこまでかは分かっていない。

もうすでに何が起こってもおかしくない死地にいるのだと、あなたは当然自覚しているだろう。

 

 

 

判定内容痕跡の捜索
判定方法2D6+感覚SB

8以上で成功/目立ちにくい

判定結果2D6+3=11(成功)

 

 

 

ザアザアと大きな音を立てる水の流れ。

ゴツゴツとした岩の転がる河原。

圧迫感のある崖。

それらをあなたはつぶさに眺め、何らかの違和感がないかと探っていく。

 

……すると、あなたの目にひとつの異常が飛び込んできた。

河原の岩に何かおかしなものが混じっているのだ。

 

あなたが警戒しつつも近付きしゃがみ込むと──

 

 

 

判定内容魔種知識
判定方法2D6+知識SB

5以上で成功/常識

判定結果2D6+4=14(成功)

クリティカル!

 

 

 

──その正体はすぐにわかった。

 

魔種、ノッカーの体の一部である。

四肢のいずれか、おそらくは腕だとあなたは当たりをつける。

腐敗臭はまだなく、新しいものだとも当然わかる。

グリズリーの犠牲になったという群れのもので間違いないだろう。

 

 

 

ノッカーは魔種の一種だ。

魔種とはいってもあなたが以前討伐したレッドキャップとは随分と異なる。

何しろノッカーは比較的に温厚で、人間に対し積極的に敵対することは少ない。

 

それどころか人間とは交渉を通じ協力関係を築くケースさえ少なくない。

深い山中や地下洞窟などに棲み岩や鉱石を糧に生きる彼らは鉱物資源の分布に明るく、その情報は人間にとって明確に有益なためだ。

人から与えるものは時と場合によって様々だが、辺境の村や町は大概1度や2度はノッカーと交渉をするものである。

 

古くから伝わる昔話の中には、ノッカーと親友になった王が次々と宝石を掘り当てて国と民を富ませるというものも存在するほどだ。

なお、その昔話の後半では欲深い王子が王位を継ぐやノッカーを鞭打ち金鉱山に案内させ、山のような黄金を見つけたは良いものの、怒ったノッカーに落盤を起こされ金と共に閉じ込められて餓死するという落ちがつくが、これはまぁ余談だ。

 

ともかく、それほどノッカーは人間にとって大変に身近な存在だ。

土地によっては平然と街中を歩いている事もある。

 

 

 

さて、そんなノッカーだが、形はおおよそ人型だ。

ただし洞窟で生きるためか背が低い。

成熟した個体で人の半分ほど。

大きさのためか力はあまり強くなく、動きも鈍いが、とにかくタフで体力に富む。

 

外見上の最大の特徴としては、体表を覆う鉱石があげられる。

日々食した鉱石からなるそれは天然の鎧として機能し、非力な彼らを守る強力な切り札となっている。

 

その詳細な強度を、あなたは良く知っている(クリティカル特典)

 

あなたが持つメイス。

これは強力な鈍器だが、ノッカーの鎧を砕こうと思うなら1度や2度の殴打では到底足りない。

 

……だというのに、あなたの眼前に転がるノッカーの腕には傷痕がひとつしかない。

わずか一撃のみでノッカーの鎧を砕き、硬い肌を裂いて骨と肉を引きちぎった、という事だ。

 

 

 

技能判明/ノッカー
『岩肌の鎧』

物理ダメージを常に半減する。

防御成功時、物理ダメージを完全に無効化する。

 

技能判明/グリズリー
『灰色熊の剛腕』

装備と技能による物理ダメージ軽減を無視する。

この技能は秘蹟に対して効果を発揮しない。

 

能力判明/グリズリー
『攻撃力』

2D10+筋力SB

『筋力』

24/SB=8

 

 

 

あなたの視界の隅に、腕に装備したバックラーが映る。

ノッカーの鎧と、鉄で補強されてはいるが木製の盾。

どちらが頑丈であるかを考えると、自分の装備に分があるとの答えをあなたは出せそうになかった。

 

 

 

ノッカーの腕の検分を終え、あなたは周囲を再度警戒した。

これが転がっていたということは、ここで戦闘があったということだ。

つまりすでにグリズリーの縄張りに踏み入っている可能性がある。

 

……が、今のところは何事も起こる気配はない。

辺りに響くのは水音だけ。

獣の臭いのようなものも感じ取れない。

少なくとも今はもうこの付近にグリズリーは居ないと考えて良さそうだ。

 

 

 

グリズリーがノッカーを貪り食う様が目撃されたのはさらに上流である。

より大きな痕跡を探るならばそちらに向かうべきだろう。

ただしもちろん、遭遇の危険は大きく増すに違いない。

 

また、目撃した村人は谷底からではなく崖の上、森の中から見下ろして発見したのだという。

あなたが望むなら登攀に挑戦し、そちらから遠目に探っても良い。

上手く登れなかったとしても、少し下流に引き返せば大回りにはなるが楽に森に入る道もあるはずだ。

 

あるいは、この場にとどまるのも自由だ。

痕跡があった以上、グリズリーが再び訪れる可能性はある。

下手に動き回るよりもここに仮の拠点を作り、罠を構築して待ち構える手もあるだろう。

 

 

 

名前(あなたが自由に決めて良い)
職業神官

 

HP36/36
MP17/17

 

筋力7SB=2
耐久13SB=4
敏捷9SB=3
器用6SB=2
感覚10SB=3
知識12SB=4
精神13SB=4
幸運8SB=2

 

装備性能
メイス『2D6+筋力SB』の物理ダメージ
バックラー防御成功時、

物理ダメージを『耐久SB』追加軽減

 

特殊技能詳細
信仰秘蹟の使用権を得る
治癒初歩の秘蹟、消費MP5。

肉体をあるべき姿に戻す。

『1D6+精神SB』のHP回復。

守護初歩の秘蹟、消費MP3。

肉体があるべき姿を保つ力を強める。

『精神SB』だけ全ダメージを軽減。

効果時間は1戦闘。

賦活初級の秘蹟、消費MP5。

肉体と魂をあるべき姿に引き戻す。

状態異常を回復。

 

アイテム詳細
におい袋1度だけ100%逃走成功
チェインメイル1度だけ死亡を回避

あなたの行動は?

  • 上流へ移動する
  • 崖の上へ登る
  • この場にとどまる
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。