蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの裏方 作:アイリエッタ・ゼロス
「お疲れ様です....って、どうしたんですか乙宗先輩?」
さやかと一緒に部室に行くと、乙宗先輩は花帆のスマホを操作しながら首をかしげていた。
「あ、さやにすみ。こずは今、かほのスマホにアプリを入れようとしてるんだ」
「アプリって....さやかが入れたって言っていたアレですか?」
「そう。でもこず、機械がちょっと苦手だから」
「つ、綴理? 後輩に間違ったことを教えないように。私に苦手なことなんてないの。これは
得意になる途中なの!」
「そして認めようとしないんだよ。ほら、登録したよかほ」
夕霧先輩は乙宗先輩から花帆のスマホを取ると慣れた手つきでアカウントを作った。
「綴理センパイの方が機械苦手そうなのに!」
「花帆....」
私は目を細めて花帆を見てそう言った。
「失礼じゃないですか花帆さん!」
「確かに! すみません!」
「ううん、いいよ。できることはできるんだボク。できないことはぜんぜんまったく
できないんだけどね。すみも登録する?」
「いえ、私は自分で出来るので....」
「そっか」
「....ありがとね綴理」
乙宗先輩はどこか悔しそうな表情をしながら夕霧先輩にそう言った。
「コホン....では、少し手こずってしまったけどこれで使えるようになったわ。スクコネはね、
近隣のライブやイベントもチェックできるのだけれど、メインはさっきも言った通り
配信機能よ」
「配信、ですか....まだわたしもやったことないんですよね。なんだか大変そうで....」
「まぁ機材とか揃えようとしたら時間もかかるからね。あと配信内容も考えないと」
「そんなに難しいものじゃないのよ? そうね....日野下さん、試しに動画を撮ってみましょう」
「「「えっ!?」」」
「それじゃ、いくわね」
そう言って乙宗先輩は花帆にスマホを向けた。
「さやか、私達は離れとこ」
私はさやかにそう言って夕霧先輩のいる場所に移動した。
「あ、あたし何をすれば!?」
「まずは簡単な自己紹介で構わないわ。3、2、1、スタート」
「えっと、初めまして! 蓮ノ空女学院、日野下花帆です! まだスクールアイドルを始めた
ばっかりの新一年生ですけど、みんなを笑顔でいーっぱいにしてみせちゃうから、応援よろしく
お願いします! ぴーすぴーす、みんなで一緒に花咲こうねっ!」
「おー....」
花帆の自己紹介を見て夕霧先輩は拍手をしながらそう言った。
「か、花帆さんすごいです! とってもかわいかったです!」
「えへへ、ほんと? 嬉しいなぁ! 菫ちゃんはどうだった?」
「良かったんじゃない? ....ただ」
「ただ?」
「今のがちゃんと撮れてたら良かったんだけどね....乙宗先輩、それ録画ボタン押せてないです」
そう言って私は乙宗先輩の持っているスマホを指差した。
「えっ....?」
「....ホントだ。こず....」
「乙宗先輩、やっぱり機械苦手なんじゃ....」
「ち、違うの! これはたまたま....!」
この日、私は乙宗先輩の意外な弱点が発見したのだった。
~次の日~
「さてと、どこで撮る?」
「....あの、菫さん。そのカバンは....」
「カメラの機材が入ってる」
次の日の放課後、校舎の外に出た私はさやかにそう聞かれた。
「ボディとかレンズとかその他もろもろ」
「いや本格的すぎません!?」
「まぁ、これでもカメラマンの端くれだしね。一応コンテストで優勝したり賞金貰ったことも
あるよ」
そう言いながら、私はボディにレンズを付けてファインダーを覗いた。
「お父さん、プロのカメラマンなんだよね。この機材も全部お父さんから貰ったものだし。
....さて、準備できたしそろそろ撮ろっか。どういう感じが良い?」
「じゃ、じゃあ....」
こうして30分程さやかのプロフィール写真の撮影会が始まった。
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「じゃあ、これでお願いします」
「了解」
私は教室に戻りパソコンに移したデータをさやかのスマホに送った。
「はい、送ったよ」
「ありがとうございます。....本当にプロの人みたいですね」
「お父さんに比べたら私なんてまだまだだよ」
「あれ、二人とも何してるの?」
さやかとそう話していると背後から花帆が現れた。
「花帆」
「菫さんにプロフィール写真を撮ってもらっていたんです」
「えー! 良いなぁ! 菫ちゃんあたしも撮って!」
「言うと思った....どこで撮るの?」
「外!」
「わかったよ....先に外行ってな」
「うん!」
私がそう言うと花帆はそう言って教室から出ていった。
「....そういうわけだから、少し行ってくる」
「い、いってらっしゃい....」
私はさやかにそう言って少し肩を落としながら機材を持って教室から出た。