蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの裏方 作:アイリエッタ・ゼロス
「乙宗先輩....!」
イベントスタッフに声をかけられた私はイベント会場の医務室に来ていた。
「....月村さん」
医務室に入ると、乙宗先輩はベッドの上に座っており脚には包帯が巻かれていた。
「ステージから落ちたってスタッフの人から聞いたんですけど....!」
「えぇ。日野下さんを助けようとしたら足を滑らせてしまってね....」
「花帆をって....花帆に何があったんですか!」
「日野下さん、少し足を痛そうにしていてね。ステージで少し踊っていると体勢を崩して
ステージから落ちそうになったの。それを助けようとしたんだけど少し失敗してしまって。
安心して、日野下さんは怪我をしていないわ。ただ、足に違和感が残ってるみたいで....」
「(それって、昨日のあれが原因じゃ....)」
私は花帆の足に違和感がある理由が思い浮かんだ。
「....すいません、乙宗先輩。その足の違和感、私のせいかもしれません」
「どういうこと?」
「実は....」
私は昨日の件を乙宗先輩に話した。
「....なるほどね」
「本当は止めるべきだと思ったんです....でも、花帆の今までの境遇を知っているから、
強く止められなくて....」
「身体が弱くてよく入院してた事ね」
「花帆から聞いてたんですね....」
「えぇ。それに、さっき日野下さんが足の違和感の事について話してくれたわ。夜遅くに練習を
していて違和感を感じていたそうよ。それを話すと泣きながら病室から出て行ってしまったわ」
「そうですか....」
「月村さんも、そこまで思いつめないで。今回の件はあなた一人の責任ではないわ。無理を
した日野下さんにも責任があるし、それに気づけなかった私の責任でもあるわ」
「....はい」
乙宗先輩の言葉に私はそう返すしかなかった。
「さて、それじゃあこの話はここまでにしましょう。....今回のイベントスタッフの方にも
謝罪と辞退を伝えに行かないと」
「それなら私が行ってきます。乙宗先輩は、今は安静にしてください」
「でも....」
「こういう緊急時にサポートしないと裏方の意味がないですから。じゃあ、少し行ってきます」
私はそう言うとイベントスタッフの人達が集まっている所に向かった。
~数十分後~
「行ってきました。イベントスタッフの方からはお大事にと」
「ありがとう月村さん。助かったわ」
「いえ。....それじゃあ、学校に戻りましょうか。さやかから花帆は一緒に学校の方に
戻ったって連絡があったんで」
「そう。あとでお礼を言わないとね」
「そうですね。荷物、私が持ちますね」
私はそう言って衣装が入ったカバンと乙宗先輩のカバンを肩に担いだ。
「そ、そこまでしなくても大丈夫よ?」
「いいえ。乙宗先輩には早く治してもらわないとダメなんで。怪我が完治するまでは
このスタンスでやらせてもらいます」
私はそう言うと医務室の扉を開けた。
「じゃあ行きましょうか。外にタクシー呼んでおいたんで」
「....え?」
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「タクシーなんていつの間に....」
「さっきイベントスタッフの人に話に行った時に電話しておいたんです」
私と乙宗先輩は呼んでおいたタクシーに乗っていた。
「まぁ、頻繁にタクシー使うわけじゃないですけど....一応、緊急時に呼べるように
電話番号登録してるんですよ」
「用意周到ね....」
「お客さん、着きましたよ」
そう話しているとタクシーは蓮ノ空の近くに着いた。
「ありがとうございます。支払いはカードで」
そう言って私は財布からデビットカードを出した。
「ま、待って! 半分は私が....」
「今、私の財布に現金入ってないんで....取り敢えず私が払いますよ」
私はそう言いながらカードで全額払った。そして、私と乙宗先輩はタクシーから降りた。
「乙宗先輩程じゃないにしろ、そこそこお金持ってるんですよ私。いくつかバイトを
やってますし、仕送りと、あとは写真のコンテストとかで稼いでますし」
「バイト....?」
「まぁバイトって言っても、親とか兄さんの手伝いの事ですけどね」
そう話しながら私と乙宗先輩は蓮ノ空の門をくぐった。
「乙宗先輩はこの後どうします? 寮の方に戻りますか?」
「....いえ、少しだけ寄り道をしてから寮に戻るわ」
「そうですか。なら私は衣装を部室の方に持って行きますね」
「えぇ、お願いね」
「はい。....じゃあ、お疲れ様です。今日はゆっくり休んでくださいね」
私はそう言って衣装の入ったバッグを持って部室に向かった。