蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの裏方   作:アイリエッタ・ゼロス

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触れるべきか、触れざるべきか

「....いない」

 二人のライブが終わり、私は例の先輩がいた場所にいた。だが、既にその先輩の

 姿はなかった。

 

「(色々と聞いてみたいことあったけど....まぁ、今はいいか)」

「あ、菫さん!」

 そう考えていると背後から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。振り向くと、そこにいたのは

 さやかだった。

 

「さやか」

「ここにいたんですね。花帆さんと乙宗先輩、先に部室で待っていますよ」

「そう。じゃあ行こっか」

「はい。....そういえば菫さんはどうしてこんな所に?」

「....ちょっと人探し」

「人探し、ですか?」

「ま、いなかったんだけどね」

 そう言って私は部室に繋がる道を歩いて行った。

 

 ~~~~

 

「お疲れ様、花帆。乙宗先輩もお疲れ様です」

 部室に着くと、既に制服に着替えた二人と夕霧先輩がいた。

 

「ありがとう月村さん」

「どうだった菫ちゃん! あたしと梢センパイのステージ!」

「良かったよ、本当に。おかげで良い写真も撮れた」

 そう言って私は撮った写真を何枚か見せた。

 

「あ、これ良いかも!」

「こずもかほも良い顔してるね」

「やっぱり上手いですね、菫さん」

「まぁね。後で欲しい写真あったら言って。データで送るから」

「ありがとう菫ちゃん!」

「乙宗先輩もあったら言ってください。どこかの店で現像してきますから」

「えぇ、ありがとう」

 そうして全員でしばらく私が撮った写真を見ていた。

 

 ~~~~

 

「さて、じゃあ今日は解散にしましょうか」

「うん」

「はーい! 菫ちゃん、さやかちゃん! 晩ご飯食べに行こ!」

「あー....ごめん、先行っといて。ちょっと乙宗先輩に話あるから」

 乙宗先輩の言葉を聞き、そう言った花帆に私はそう返した。

 

「私に?」

「はい。そんなに長くならないと思うんで。良いですか?」

「えぇ、もちろんよ」

 私の言葉に乙宗先輩は笑顔でそう返してくれた。

 

「....そういう事だから。先に行ってて。終わったらすぐに向かう」

「わかりました。では、先に食堂で待ってますね」

「うん! じゃあまた後でね!」

 そう言うと、二人は夕霧先輩と一緒に部室から出ていった。

 

「....それで、私に話って?」

 三人が出ていくと乙宗先輩は椅子に座り私の目を見てそう聞いてきた。

 

「....この前、スクールアイドルクラブにはユニットが三組あるって言ってましたよね」

「....そうね」

「その時、乙宗先輩の様子が変だなって思ったんですよ。一瞬ですけど悲しそうな表情に

 なったことが」

「....よく見てるわね」

 乙宗先輩は苦笑いをしながら私にそう言ってきた。

 

「嫌な話、人の顔色気にして生きてきましたんで....まぁ、それで大倉庫の方を少し

 調べてみたんですよ。そしたら、このスクールアイドルクラブにはあと()()部員がいた。

 一人は生徒会長、もう一人は今日のライブを見に来ていた茶髪のツーサイドアップの先輩」

「っ! あの子、見に来ていたの!?」

 私の言葉に乙宗先輩は驚いたようで目を見開いてそう言った。

 

「え、えぇ....壁際の方にいたんで、多分ステージからは見にくい場所だったと思います。

 ライブが終わってからその人がいた場所に向かいましたけど、既にいなくなってましたが....」

「....そう」

「....あの先輩と生徒会長、退部したって感じなんですか?」

「....生徒会長の沙知先輩は去年の秋頃に退部、もう一人の慈って子は怪我による休部中

 なの」

「怪我、ですか....」

「えぇ....」

 そう言った乙宗先輩の表情は前に見たような悲しそうな表情に変わった。

 

「本当なら三人にも紹介したかったのだけれど....あの子、休部中の人間は顔を合わせ

 にくいって、それらしい理由を付けて部室にも顔を出さないのよ。本当、困ったものね」

 乙宗先輩は苦笑しながらそう言った。

 

「....」

「ごめんなさいね。こんな大事な事を言わずに」

「....いえ、私も色々と踏み込んでしまってすみません」

「良いのよ。....それと悪いのだけれど、慈の事については花帆さんと村野さんには

 内緒にしておいてくれないかしら? ちゃんと時が来れば話そうとは考えているから」

「....わかりました」

「ありがとう。....聞きたいことはこれぐらいかしら?」

「....あと一つだけ良いですか?」

「何かしら?」

「....生徒会長、何か大きなもの抱えてたりします?」

「....さぁ、私は何もわからないわ」

「....そうですか」

 

 ~~~~

 

「じゃあ、お先に失礼します」

 乙宗先輩にそう言って、私は部室を出た。

 

「(色々と聞きたいことは聞けたけど....)」

「乙宗先輩、嘘ついてたな....」

 そして部屋に向かう途中、私はそう呟いた。乙宗先輩と話していた内容の中で、明らかに

 乙宗先輩が嘘をついたと思われる場所が二つあった。一つは慈先輩という人が部室に顔を

 出さない理由。もう一つは生徒会長の件。

 

「(慈先輩という人が部室に顔を出さない理由は恐らく別にある。喧嘩別れだった場合は

 聞きにくいな....それと生徒会長の抱えているもの。恐らく乙宗先輩は何かを知っている。

 だが、その理由は言えない....完全に厄ネタだな)」

「....下手に調べると地雷かな」

 そう呟き、私は自分の部屋に入った。

 

 ~~~~

 ? side

 

「....そうか。あの裏方の子が....」

「....はい」

「梢の表情で色々と察する当たり、恐ろしい程の観察眼だねぃ....」

「一応、私の方からそれとなく濁しておきましたが....」

「悪いね梢。....そりゃ、後輩に余計な心配はかけたくないよな」

「はい....」

「一先ず、わざわざ報告ありがとう。今日はゆっくり休むんだぞ?」

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「....月村菫、ね」

「(予想以上の怪物、かもねぃ....)」

 

 

 

 

 

 

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