ゼロの使い魔T   作:ナイトメア・ゼロ

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11話 オスマンの依頼

 翌日の朝、学校は慌ただしく動いていた。【土くれのフーケ】と呼ばれる盗賊に学校の秘宝を奪われたからだ。学校の教師達は宝物庫に集まると何やら騒いでいた。

 

「警備のものは何をしていたのだ!」

 

「やはり平民なんかに警備を任せていたのが間違いだったんだ!マルシェー先生!あなたも何をしていのですか!?」

 

「そ、それは・・・・・」

 

 男の教師が女の教師を責めた。彼女が責められるのも無理はない。なにせ昨晩の当直は彼女だったからだ。まさか盗みに入るものがいると思ってなかったが故にこの事件が起きた。自室で呑気にスヤスヤと寝ていた彼女は自分のこれからのことを考え顔を真っ青にしていた。

 

「これこれ、女性を苛めるものではい」

 

 そう言ったのはトリステイン魔法学校の校長オスマンだった。

 

「しかしですな!オスマン校長!マルシェー先生は、当直をサボり自室で寝ていたのですぞ!責任は彼女にあります!」

 

 オスマン校長は長いヒゲをいじりながら目の前の教師に呆れていた。

 

「ミスター・・・・何だっけ?」

 

「ギトーです!お忘れですか!?」

 

「そうそう、ギトー君。そんな名前じゃったな。君は怒りっぽくていかん。ではせっかくの機会だし、改めて聞かせて貰おう。この中でまともに当直をしたことのある教師は何人おられるかな?」

 

 オスマンの質問を聞いて教師達は下を向いた。

 

「これが現実じゃ。ワシも含め我々は完全に油断しフーケという賊の侵入を許してしまった。故にこの責任はミス・マルシェー1人ではなく我々の責任じゃ」

 

 オスマン校長の言葉に誰もが反論できなかった。オスマン校長の言葉に感激したのかマルシェーはオスマン校長に抱きついた。

 

「オスマン校長、あなたのお慈悲のお心に感謝致します!私はあなたをこれから父と呼ぶ事にします!」

 

「ええのじゃ、ええのじゃ、ミス・マルシェー」

 

 オスマン校長はどさくさに紛れてマルシェーの尻を撫でた。

 

「私のお尻で良かったら!そりゃもう!いくらでも!」

 

「で、犯行の現場を見ていたのは誰だね?」

 

 オスマン校長は、コホンと咳払いし目撃者は誰か尋ねた。

 

「えっと、この三人です」

 

 そう言ってルイズ達が指さされた。サイトは平民だからなのか使い魔だからなのか数には含まれていなかった。

 

「ふむ、君達か。詳しく説明してくれるかね?」

 

 ルイズ達は、昨夜の起こった事を説明した。黒いローブを着た謎の人物。でかいゴーレムを操れるところから見るとトライアングルクラスであること。ルイズ達はありのままに説明するとオスマンとハゲの教師を除いて全員が顔を真っ青にした。

 

「なるほど、なら選択肢は2つ。王宮に通報し土くれのフーケを捕まえてくれるのを待つか、ワシらで解決するか」

 

「でしたら我々で解決する一択でしょう。賊なんぞに侵入されたとなればトリステイン魔法学校の沽券にも関わります!」

 

 1人の教師がそう言い全員が同意すると1人の女性側入ってきた。

 

「ミス・ロングビル!この一大事にどこへ行っていたんですか!?」

 

「申し訳ありません。朝から急ぎ調査をしていました」

 

「調査?」

 

 ロングビルと呼ばれた女性の発言にオスマン校長達は首を傾げた。

 

「土くれのフーケのアジトです。まさか、学校にまで土くれのフーケが侵入してくるとは思ってもいませんでしたがなんとかフーケのアジトを見つけ出すことができました。」

 

「仕事が早いの、ミス・ロングビル」

 

「・・・・・・・・」

 

 オスマン校長は、ロングビルの仕事の早さに感心していた。

 

「近くの農民に聞き込んだ所、森の廃屋に入っていった黒ずくめのローブの男を見たそうです。恐らく、彼はフーケで、廃屋はフーケの隠れ家ではないかと」

 

「なるほど、そこは近いのかね?」

 

「はい。徒歩で半日、馬で四時間と言った所でしょうか」

 

 ロングビルの報告を受けオスマン校長は少し考えるとすぐさま教師達の方を向き。

 

「では捜索隊を編成する。我と思う者は杖を掲げよ」

 

と、言った。

 しかし、誰も杖を掲げなかった。

 

「おらんのか?フーケを捕まえて、名をあげようと思う者はおらんのか?」

 

 誰も杖を掲げない中、1人だけ杖を揚げた。ルイズだった。

 

「ハァ?」

 

「ミス・ヴァリエール!?何をしているのです!アナタは生徒ではありませんか!ここは教師に任せて・・・・」

 

「誰も杖を掲げないじゃありませんか」

 

 ルイズはそう言うと教師達は黙り込んだ。サイトはルイズを見て頭を抱えていると今度は、キュルケが渋々杖を掲げた。

 

「ツェルプストー!君も生徒じゃないか!」

 

 ハゲの教師にそう言われるがつまらなそうに言った。

 

「ヴァリエールには負けられませんわ」

 

 キュルケが杖を掲げるのを見て、タバサも杖を掲げた。

 

「タバサ、アンタはいいのよ。関係ないんだから」

 

 キュルケがそう言ったら、タバサは首を振って短く答えた。

 

「心配」

 

「!!ありがとう、タバサ!!」

 

 タバサの言葉に感動したのかキュルケはタバサを抱きしめた。

 

「そうか。では、諸君らに頼むとしよう」

 

 オスマン校長がそう言うと当然、反対の意見も出てくる。そしてその教師達に行くかと尋ねると体調不良などを言い訳にして拒否した。

 

「彼女達は敵を見ている。その上、ミス・タバサは若くしてシュヴァリエの称号を持つ騎士だと聞いているが?」

 

 オスマンの言葉に、教師達は驚愕してタバサを見つめた。

 

「本当なの、タバサ?」

 

(・・・・・よく分かんねーけど、称号とか騎士とか言ってるってことは軍人ってことか?)

 

 サイトはとりあえずタバサは軍人であるということを認識した。

 

「ミス・ツェルプストーは、ゲルマニアの優秀な軍人を数多く輩出した家系の出で、彼女自身の炎の魔法もかなり強力と聞いている」

 

「ええ。炎の魔法に関しては、自信がありますわ」

 

(まぁ、部屋に連れ込まれた時、確かに強そうな炎を出してたな)

 

「その・・・ミス・ヴァリエールは数々の優秀なメイジを輩出したヴァリエール公爵の息女で、その、うん、なんというか・・・将来有望なメイジと聞いている。しかもその使い魔は、平民ながらあのグラモン元帥の息子である、ギーシュ・ド・グラモンと決闘して勝ったという噂じゃ!」

 

(思いっきり言葉選ばれてるぞルイズ)

 

「そうですぞ!なにせ、彼はガンダー」

 

「これミスター・コルベール」

 

「!いえ、何でもありません!」

 

 オスマン校長はコホンと咳払いするとルイズ達の方を向き

 

「魔法学校は、諸君等の努力と貴族の義務に期待する」

 

「「「杖にかけて!」」」

 

 3人がそう言った時だった。

 

「ハッ!とんだ茶番だな」

 

 鼻で笑う声が聞こえた。教師達もルイズ達も、サイトの方へ視線が向いた。

 

「ガキどもに向かわせて大人(お前ら)は、ここで呑気にティータイムか?素晴らしい貴族の義務だな。貴族の誇りじゃなくて貴族のホコリに改名したらどうだ?」

 

「何だと、貴様!」

 

 ギトーという教師がサイトに近づき胸ぐらを掴んだ。

 

「平民風情が知ったような口を利くな!これは我々の問題「じゃかましい!!!!!」ハウッ!!!」

 

 胸ぐらを掴んできたギトーの男根を思いっきり蹴り上げた。これを見た男連中は反射的に自身の股間を抑えた。潰れたと錯覚するレベルの痛みにギトーは倒れた。

 

「さ、サイト!?」

 

 ルイズは慌ててサイトを止めようとするとサイトはルイズの手を掴んだ。

 

「きゃっ!な、何すんのよ!?」

 

「ルイズ、お前もだ。よく考えろ!普段はあれだけ偉そうにしてるくせにいざとなったら後方に引っ込んで何もせずに吠えてるだけの無能集団なんだぞ!?代わりに行く必要なんてねーだろ!100歩譲ってそこの2人ならまだ分かる。だけど、お前は実戦経験が全くない民間人だろうが!そんなお前がどうやってフーケを捕まえるんだ!?」

 

 サイトの言葉にルイズも教師達も反論できなかった。

 

「分かったらとっとと部屋に戻るぞルイズ。キュルケとタバサ・・・・だっけ?お前らもだ。元を辿ればサボってたそいつらが悪いんだ。お前らがこいつらのケツ拭くような真似しなくてもいいぞ」

 

 サイトはそう言ってルイズを連れてその場を離れようとしたが。

 

「嫌よ!!」

 

 ルイズがサイトの手を振り払った。

 

「アンタは平民だから分かんないかもしれないけど貴族には逃げちゃダメな時があるのよ!それが今なの!」

 

「お前何言って・・・・」

 

「それならミス・ヴァリエールの使い魔よ。これならどうじゃ?」

 

「?」

 

「ワシがお主を雇おう。ミス・ヴァリエール達を護衛し破壊の杖の奪還と土くれのフーケの討伐を依頼しよう。報酬はそんなに出せぬが100エキューでどうじゃ?」

 

 オスマン校長がサイトを雇うと言い出したのだ。ルイズ達と教師達は驚愕し互いの顔を見合わした。

 

「さらに土くれのフーケを生け捕りにすれば追加報酬として50、どうじゃ」

 

 オスマン校長の提案にサイトは少し考えると。

 

「この世界の金の価値なんて分かるわけねーけど、情報を集めるのに必要なら持っておくべきか。分かった。その依頼、引き受けてやる」

 

「ありがとう。ミス・ヴァリエール達を頼む」

 

 オスマン校長の提案に反対する教師達もいたが「代わりに行くか?」という脅しで全員を黙らせた。馬車を用意してもらいサイト達も準備を終えるとロングビルの案内の元、サイト達はフーケの隠れ家に出発するのだった。

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